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【発明の名称】 台車式担架
【発明者】 【氏名】山田 由博

【要約】 【課題】負傷者等を載せるためのレームに張架されたシートが弛んだり皺を発生したりしないこと。

【解決手段】フレーム20の下面の長さ方向の一端で、幅方向の中央付近に装着した1輪の主車輪32と、フレーム20の下面の長さ方向の中央付近の脚部に設けられた2輪の脚車輪40とを有し、所定間隔毎に内外に通じる複数の開口部を側面に有する袋部55を幅方向の両端縁に沿って形成されたシート50を、その各袋部55にピアノ線からなる補強部材56を挿通し、フレーム20の上面から覆って幅方向の両端縁から所定幅部分をフレーム20の下面へと折り返して対向させ、袋部55の開口部位置で補強部材56間に複数のバネ57を掛けて付勢する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両側が略平行する枠状に形成されたフレームと、前記フレームに対応させて形成されたシートと、前記シートを前記フレームに取付け、前記シートが所定の引張力で引き延ばされた状態に連結する複数のバネと、前記フレームの長さ方向一端部側の幅方向略中央に回動自在に取付けられた1輪からなる主車輪と、前記フレームの下面の長さ方向の略中央付近に取付けられ、折畳み自在な脚部に回動自在に取付けられた2輪からなる脚車輪とを具備することを特徴とする台車式担架。
【請求項2】 前記フレームは、前記主車輪及び脚車輪を取付けた主フレームと、前記主フレームとの重ね合わせ方向に折畳み自在に配設された略U字状の副フレームとから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の台車式担架。
【請求項3】 前記シートは、前記主フレームと前記副フレームとの連結部分を避けて切欠かれた切欠部が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の台車式担架。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、負傷者や、負傷者を救助するためのレスキュー用品を搬送する台車式担架に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、先に、災害や人災等の緊急時に狭くなった道や、1本橋をも1人で負傷者等を搬送できる特開2000−60901号公報に掲載の台車式担架を発明した。
【0003】図11は特開2000−60901号公報にかかる台車式担架を示す斜視図、図12は上記公報にかかる台車式担架からシートや枕等の非金属部分を除いた状態を示す側面図である。
【0004】図11及び図12に示すように、上記公報にかかる台車式担架60は、フレーム61の下面の長さ方向の一端で、幅方向の中央付近に装着した1輪の主車輪62と、フレーム61の下面の長さ方向の中央付近の脚部63aに設けられた2輪の脚車輪63とを備えており、1輪の主車輪62或いは2輪の脚車輪63のいずれかでフレーム61を支持して移動させることができる。即ち、上記公報に掲載の台車式担架60では、通常、1輪の主車輪62で移動できる。しかし、2輪の脚車輪63で移動し、図12において二点鎖線で示すように、ハンドル部61aを持ち上げることによって脚車輪63を浮かせ、1輪の主車輪62でフレーム61を支持すれば、障害物等で狭くなった箇所や1本橋であっても1人で負傷者等を無理なく搬送できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記公報にかかる台車式担架60のフレーム61に張架されたシート64は、端縁を紐65によりフレーム61に結び付けられて張設されており、シート64が弛むことがあった。
【0006】そこで、本発明は、障害物等により狭くなった箇所でも、移動させることができ、かつ、1人で負傷者等の搬送を行える台車式担架において、負傷者等を載せるシートが弛むことのない台車式担架の提供を課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる台車式担架は、両側が略平行する枠状に形成されたフレームと、前記フレームに対応させて形成されたシートと、前記シートを前記フレームに取付け、前記シートが所定の引張力で引き延ばされた状態に連結する複数のバネと、前記フレームの長さ方向一端部側の幅方向略中央に回動自在に取付けられた1輪からなる主車輪と、前記フレームの下面の長さ方向の略中央付近に取付けられ、折畳み自在な脚部に回動自在に取付けられた2輪からなる脚車輪とを具備するものである。
【0008】この構成によれば、負傷者等を2輪からなる脚車輪或いは1輪からなる主車輪のいずれかにより支持して1人で搬送できる。これに加えて、フレームに張架されたシートに連結された複数のバネにより所定の弾性力で付勢される。前記シートは、テント地から構成しても良い。前記フレームに折畳み自在に取付けられた2輪からなる脚車輪は、前記フレームの長さ方向に対して40乃至60%の位置に配設されるのが好適である。
【0009】請求項2の発明にかかる台車式担架の前記フレームは、前記主車輪及び脚車輪を取付けた主フレームと、前記主フレームとの重ね合わせ方向に折畳み自在に配設された略U字状の副フレームから構成されている。前記フレームは主フレームと副フレームからなり、折畳み自在であるからコンパクト化が可能である。
【0010】請求項3の発明にかかる台車式担架の前記シートは、前記主フレームと前記副フレームとの連結部分を避けて切欠かれた切欠部が形成されている。前記シートによれば、主フレームと副フレームとの連結部分を避けて切欠かれた切欠部が形成されており、主フレームと副フレームとの連結部分での回動を妨げない。また、脚部をフレームに対して重なるまで折畳むことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】図1は本発明の実施の形態にかかる台車式担架を示す斜視図、図2は本発明の実施の形態にかかる台車式担架からシートや枕等の非金属部分を除いた状態を示す側面図、図3は図2に示す本発明の実施の形態にかかる台車式担架を折畳んだ状態を示す側面図、図4は本発明の実施の形態にかかる台車式担架を示す底面図である。図5は本発明の実施の形態にかかる台車式担架のシートを展開した状態を示す平面図、図6は図4のA−A断面を示す拡大断面図である。
【0013】図1乃至図4に示すように、本実施の形態にかかる台車式担架10は、本体となる金属パイプで形成したフレーム20と、搬送用の脚車輪40を有する折畳み自在な脚部41と、負傷者等を載せるフレーム20に張設したシート50とを有する。
【0014】フレーム20は、金属、強化樹脂等のパイプ材からなり、本実施の形態では、略U字状に湾曲させ、略長方形に形成した主フレーム21と、略U字状に湾曲させ、略長方形に形成した副フレーム22とからなる。副フレーム22は、主フレーム21の湾曲側の端部に対してヒンジ23で解放側の端部を折畳み自在に取付けられている。また、フレーム20は、副フレーム22が主フレーム21の長さ方向の延長状態を維持するように固定自在なロック機構24を備えている。フレーム20の幅は、負傷者を寝かせることができる略40cm程度の大きさであり、その全長は副フレーム22を展開したときに人の身長より少し長い略2m程度が好適である。なお、副フレーム22の湾曲側の端部は、救助者が手を掛けて台車式担架10を移動させるためのハンドル部22aとなる。
【0015】主フレーム21の略U字枠状の解放側の端部には、受板30が主フレーム21の上面側に向かって垂設されており、負傷者を載せた場合に、負傷者の足の裏が受板30に接することによって、搬送中の移動止めとして機能している。
【0016】主フレーム21の解放側の端部の幅方向の略中央には、所定の間隔を空けて平行を保つ1対の車軸板32aが配設されており、その間には1輪の主車輪32が回動自在に支持されている。
【0017】受板30の主フレーム21に支持された側に対して反対側の端には、パイプ材からなるスタンド31が主車輪32の突出側に向かって配設されている。スタンド31の受板30からの突出長さは主車輪32の外径の大きさ対して、図3に示すように、台車式担架10を保管場所に立てることが可能な関係を有する大きさである。
【0018】脚部41は、フレーム20の下面の長さ方向中央付近に略直角状態に取付けられており、その状態で固定するロック機構を有するとともにフレーム20への取付け位置においてフレーム20への重ね合わせ状態へと回動自在である。2輪の脚車輪40は、脚部41のフレーム20への取付け側に対して反対側の端部の幅方向両側に回動自在に取付けられている。
【0019】このようなフレーム20に装着されたシート50は、可撓性を有するテント地からなり、図5に示すように、幅が主フレーム21の両側間の距離より長く、主フレーム21の両側間の2倍の距離よりも短い帯状であり、所定間隔毎に内外に通じる複数の開口部55aを側面に有する袋部55を幅方向両端縁に沿って形成されている。
【0020】袋部55は、シート50の幅方向両端縁から所定幅を折り返してその端縁を当接する面に接合して形成したものであり、シート50にはその幅方向両端縁に沿って接合部55bが形成されている。
【0021】シート50の幅方向の両端縁のうち、フレーム20に装着したときに、主フレーム21と副フレーム22との連結部分となるヒンジ23、及び副フレーム22を主フレーム21の長さ方向の延長状態を維持するロック機構24に対応する各位置には、切欠部51,52が形成されている。
【0022】シート50の長さ方向の両端縁の幅方向略中央には、所定幅で外部へと突出する延設部53,54が延設されている。延設部53,54の各端縁にもシート50の幅方向両端縁と略同様の袋部55が形成されており、それに沿う接合部55bが形成されている。
【0023】このように構成されたシート50の幅方向両端縁の各袋部55には、図6に示すように、断面の直径が4mm程度の線材からなる補強部材56が挿通されている。補強部材56は袋部55への挿通状態において、直角方向への引張力を加えても容易に変形しない曲げ強度を有する。なお、補強部材56には、ピアノ線、硬銅線、或いはグラスファイバー、カーボンファイバーで補強された強化樹脂からなる棒材が使用可能である。
【0024】シート50は、フレーム20の上面から覆って幅方向の両端縁から所定幅をフレーム20の下面へと折り返し、幅方向の両端縁の各袋部55が対向する。この状態でシート50の幅方向の両端縁は、複数のバネ57で引き合う方向に付勢される。即ち、対向する各袋部55内にある補強部材56には、各袋部55に形成された対向する開口部55a位置で、所定の引張力で引き延ばされた状態にある複数のバネ57の異なる端部に形成された鈎状部57aが引っ掛けられ、対向する補強部材56が引き合う方向に付勢される。そして、シート50は、所定の引張力で幅方向に常に付勢されることになり、弛んだり、皺が発生したりしない。
【0025】なお、フレーム20の主車輪32側の端部には、図1及び図4に示すように、容易に変形しない帯板状の横架材25が横架されており、フレーム20のハンドル部22a側の端部近傍の幅方向の両端には、容易に変形しない帯板状の横架材27が横架されている。これら横架材25,27は、シート50の長さ方向の両端を支持させる部分である。なお、横架材27については、負傷者の頭部を支持する図示しない枕を支持させる部分でもある。
【0026】図7は本発明の実施の形態にかかる台車式担架のシートの長さ方向一端を補強する補強部材を示す平面図、図8は本発明の実施の形態にかかる台車式担架のシートの長さ方向一端のフレームへの固定箇所を示す拡大断面図である。また、図9は本発明の実施の形態にかかる台車式担架のシートの長さ方向他端を補強する補強部材を示す平面図、図10は本発明の実施の形態にかかる台車式担架のシートの長さ方向他端のフレームへの固定箇所を示す拡大断面図である。
【0027】即ち、シート50の長さ方向の一端側の延設部53に形成された袋部55には、図7に示すような帯板状の鋼板からなる補強部材26が挿通され、図8に示すように、延設部53の袋部55の外部から補強部材26が有する2つの留孔26aの各々に連通するように横架材25の上面に螺子26bが螺着されている。
【0028】同様に、シート50の長さ方向の他端側の延設部54に形成された袋部55には、図9に示すような棒状の鋼材からなる補強部材28が挿通され、図10に示すように、延設部54の袋部55の外方向に突出した補強部材28の両端を、横架材27に設けた引掛部27bに掛けて固定される。引掛部27bは補強部材28を装着後、補強部材28が抜け出さないよう口元が閉じるまで曲げ加工が施される。
【0029】なお、本発明の実施の形態にかかる台車式担架10には、その他にフレーム20の上面の横架材27の位置に図示しない枕が設けられ、負傷者の頭部を支持できるようになっている。また、シート50に横臥させる負傷者を固定するための図示しない締結具が設けられている。
【0030】このように、本実施の形態では台車式担架は、両側が略平行する枠状に形成されたフレーム20と、フレーム20に対応させて形成されたシート50と、シート50をフレーム20に取付け、シート50が所定の引張力で引き延ばされた状態に連結する複数のバネ57と、フレーム20の長さ方向一端部側の幅方向略中央に回動自在に取付けられた1輪からなる主車輪32と、フレーム20の下面の長さ方向の略中央付近に取付けられ、折畳み自在な脚部41に回動自在に取付けられた2輪からなる脚車輪40とを具備するものである。
【0031】したがって、本発明の実施の形態にかかる台車式担架10の構成によれば、通常は、シート50の上に負傷者等を横臥させた状態でハンドル部22aを持ってフレーム20を略水平に保てば、2輪からなる脚車輪40により負傷者等を略重心位置で支持できるので、1人で負傷者等を無理なく搬送でき、また、1輪からなる主車輪32により1人で負傷者等を搬送できる。この選択は、使用者によって自由に選択できる。特に、障害物等で狭くなった箇所や1本橋では、ハンドル部22aを引き上げることで、1輪からなる主車輪32により負傷者等を支持できるので、この場合も1人で負傷者等を搬送できる。そして、障害物等が横たわっている場合には、主車輪32側を上げて通過させ、後に、主車輪32側を支点として脚車輪40側を上げて、通過させることができる。
【0032】これに加えて、フレーム20に張架されたシート50の幅方向の両端縁に形成された各袋部55に挿通された対向する補強部材56間に連結されたバネ57によりシート50が幅方向に所定の弾性力で付勢されるので、シート50が常に弛むことなく、かつ、皺も発生しない。しかも、バネ57が搬送に伴う衝撃を吸収するから、負傷者等に加わる振動を緩和した状態で搬送できる。
【0033】また、本発明の実施の形態にかかる台車式担架10の構成によれば、シート50には主フレーム21と副フレーム22との連結部分を避けて切欠かれた切欠部51,52が形成されており、副フレーム22の主フレーム21との連結部分での回動を妨げないから、副フレーム22を主フレーム21に対して重なるまで折畳むことができる。また、脚部41をフレーム20に対して重なるまで折畳むことができる。そのため、保管スペースを少なくできる。
【0034】そして、本発明の実施の形態にかかる台車式担架10の前記フレーム20に折畳み自在に取付けられた2輪からなる脚車輪40は、フレーム20の長さ方向に対して40乃至60%の位置に配設されるのが好適である。即ち、発明者等の実験によれば、人を載せることを前提とするフレーム20は、自ずとその全長が決定され、その長さ方向に対して40乃至60%の位置に配設されるのが、搬送のしやすさ、台車式担架に搭載する際の安定性の良さからして好適であることが判明した。
【0035】
【発明の効果】以上のように、請求項1にかかる台車式担架は、両側が略平行する枠状に形成されたフレームと、前記フレームに対応させて形成されたシートと、前記シートを前記フレームに取付け、前記シートが所定の引張力で引き延ばされた状態に連結する複数のバネと、前記フレームの長さ方向一端部側の幅方向略中央に回動自在に取付けられた1輪からなる主車輪と、前記フレームの下面の長さ方向の略中央付近に取付けられ、折畳み自在な脚部に回動自在に取付けられた2輪からなる脚車輪とを具備するものである。
【0036】したがって、通常、主車輪または脚車輪により負傷者等を支持して1人で負傷者等を無理なく搬送できる。また、主車輪及び脚車輪により負傷者等を略重心位置で支持したり、主車輪及び脚車輪を交互に利用して障害物を乗り越えたり、障害物等で狭くなった箇所や1本橋では1輪からなる主車輪により負傷者等を支持して1人で負傷者等を無理なく搬送できる。また、フレームに張架されたシートは、複数のバネによりシートが幅方向に所定の弾性力で付勢しているので、シートが常に弛むことなく取付けられる。しかも、複数のバネが搬送に伴う衝撃を吸収するから、負傷者等に加わる振動を緩和した状態で搬送できる。
【0037】請求項2にかかる台車式担架の前記フレームは、前記主車輪及び脚車輪を取付けた主フレームと、前記主フレームとの重ね合わせ方向に折畳み自在に配設された略U字状の副フレームとから構成されているから、請求項1に記載の効果に加えて、前記フレームがフレームと副フレームからなるものであるからコンパクト化が可能である。
【0038】請求項3にかかる台車式担架の前記シートは、前記主フレームと前記副フレームとの連結部分を避けて切欠部が形成されるものであるから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、主フレームと副フレームとの連結部分を避けて形成された切欠部によって、主フレームと副フレームとの連結部分での回動を妨げない。また、脚部をフレームに対して重なるまで折畳むことができるから、保管スペースを少なくできる。
【出願人】 【識別番号】391020322
【氏名又は名称】東海理研株式会社
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−340387(P2001−340387A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−164134(P2000−164134)