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【発明の名称】 床擦れ防止マット
【発明者】 【氏名】谷 俊一

【氏名】小野田 祥久

【要約】 【課題】床擦れ防止マットに関し、ベッドをギャッジアップする際に、エアーセルの収縮部分に生じる間隙に尾てい骨や腰骨部位が落ち込んで、堅い床面に直接的に圧着する不具合を解消する。

【解決手段】マット本体aの屈曲範囲a2に配置した第1,第2両エアーセル11,12に、補助エアーセル31,32を付設し、この補助エアーセル31,32は、母体となるエアーセル11,12が膨張した際に収縮し、また、エアーセル11,12が収縮した際に同補助エアーセル31,32を膨張させて膨張するエアーセル11,12間の間隙に使用者の尾てい骨部位が落ち込んでも、上記補助エアーセル11,12により床擦れが生じやすい部位を軟らかく受け止めて、使用者の尾てい骨部位が堅い床面Bに直接的に圧着する不具合を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の断面形状を維持しつつ略柱形に膨張する第1エアーセルと第2エアーセルとを交互に配置して並列することにより一体的なマット本体を構成し、これら第1,第2両エアーセルに系統の異なる空気通路を個々に接続し、これらの空気通路を通して給気及び排気を行なうことより、第1エアーセルと第2エアーセルとを所定の時間をおいて交互に膨張、収縮させる床擦れ防止マットであって、上記マット本体における略中央の範囲にギャッジ用の屈曲範囲を設け、この屈曲範囲に配置した第1,第2両エアーセルに沿って、これらのセルよりも外周寸法の小さな補助エアーセルを付設し、該補助エアーセルを付設した第1エアーセル及び第2エアーセルは、膨張した際に上記補助エアーセルを収縮させ、且つ、収縮した際に同補助エアーセルを膨張させるように構成した床擦れ防止マット。
【請求項2】 上記空気通路は、第1及び第2両エアーセルに接続する2系統の空気通路から成り、且つ、マット本体の屈曲範囲の第1,第2両エアーセルに付設した各補助エアーセルは、その補助エアーセルを付設した第1エアーセル、若しくは第2エアーセルの主気室に接続される空気通路の系統とは反対の系統の空気通路に接続して成る請求項1記載の床擦れ防止マット。
【請求項3】 マット本体の屈曲範囲に配置する第1エアーセル及び第2エアーセルは、2枚の帯状シートを重ね合わせ、これらのシートの周縁部同士を接着して主気室を形成し、且つ、上記一方の帯状シートの内面若しくは外面の何れか一方に、上記帯状シートよりも幅の狭い補助シートを重ね合わせ、該補助シートの周縁部を帯状シートに接着して、該補助シートと上記帯状シートとの間に補助気室を形成し、この補助気室と上記主気室とに各々所定の空気通路を接続する接続口を設けて成る請求項1又は2記載の床擦れ防止マット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、寝たきりの人が使用する床擦れ防止マットに関し、さらに詳しくは、ギャッジアップが可能なベッドに使用する床擦れ防止マットの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】図8及び図9は、従来の床擦れ防止マットを示すものである。この床擦れ防止マット100は、それぞれ略円柱形に膨張するように構成したエアーセル100aとエアーセル100bをシート101の上で交互に配置して並列すると共に、各エアーセル100aと100bとを2本の保持ベルト102により保持することで、一体的なマット本体100'を構成している。また、上記マット本体100'の上面には、シート100cを被覆する。上記床擦れ防止マット100は、2系統の空気通路103aと103bを備えている。空気通路103aは分岐路103a'を介して上記した各エアーセル100aに各々接続し、且つ、空気通路103bは、分岐路103b'を介して各エアーセル100bに各々接続してある。
【0003】上記した両通気路103a及び103bは、各々コンプレッサー等の空気供給装置(図示せず)と作動弁に接続し、系統の異なるエアーセル100a及び100bに対して、空気の供給と排気が行なわれるように制御している。即ち、上記床擦れ防止マット100は、エアーセル103aと103bとの内、何方か一方の系統の空気通路に給気を行なって膨張させると同時に、作動弁(図示せず)を開弁することにより、他方のエアーセルの気室から空気を排気する。これを両系統の空気通路100aと100bとの間で所定の時間をおいて繰り返すことにより、各エアーセル100aと各エアーセル100bとが交互に膨張と収縮を繰り返すように構成してある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図8は、ベッドの床面110の上に上記床擦れ防止マット100を定置した状態を示している。上記したベッドは、床面110の略中央から屈曲して上半身側が起き上がるように構成したものであり、この作動をギャッジアップと呼んでいる。上記したように、ベッドをギャッジアップすると、床面110の上に定置した床擦れ防止マット100も略中央部から屈曲し、使用者の上半身が起き上がった状態となる(図9)。
【0005】この時、エアーセル103aと103bの何れか一方が膨張し、その間にある他方のエアーセルが収縮した状態となっているが、ギャッジアップの際に、使用者の上半身が起き上がると同時に、尾てい骨や腰骨等、床擦れが生じやすい尾てい骨や腰骨付近の部位に上半身の体重が加わる。そして、使用者の床擦の生じ易い部位が膨張しているエアーセルの間を押し広げるように落ち込み、収縮して床面110上に押し潰されたエアーセルの上に床擦れが生じやすい部位が直接的に当たるようになる。このように底付きを生じると堅い床面で床擦れが生じやすい部位を刺激してしまい、床擦れが生じてしまったり、また、既に床擦れが生じている使用者は、ギャッジアップの際に受ける刺激により、床擦れが悪化してしまうこともある。
【0006】本発明の課題は、上述したような床擦れ防止マットに関し、ベッドをギャッジアップする際に、床擦れ防止マットの収縮したエアーセル部分に床擦れの生じ易い尾てい骨や腰骨部位が落ち込んで、堅いベッドの床面に対して直接的に圧着する不具合を防止することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するために、本発明は、所定の断面形状を維持しつつ略柱形に膨張する第1エアーセルと第2エアーセルとを交互に配置して並列することにより一体的なマット本体を構成し、これら第1,第2両エアーセルに系統の異なる空気通路を個々に接続し、これらの空気通路を通して給気及び排気を行なうことより、第1エアーセルと第2エアーセルとを所定の時間をおいて交互に膨張、収縮させる床擦れ防止マットであって、上記マット本体における略中央の範囲にギャッジ用の屈曲範囲を設け、この屈曲範囲に配置した第1,第2両エアーセルに沿って、これらのセルよりも外周寸法の小さな補助エアーセルを付設し、該補助エアーセルを付設した第1エアーセル及び第2エアーセルは、膨張した際に上記補助エアーセルを収縮させ、且つ、収縮した際に同補助エアーセルを膨張させるように構成したものである。尚、上記した第1エアーセル及び第2エアーセルの断面形は、最も容易に形成できる略円形の他に、四角形、楕円形、若しくは気室の内部に吊り布を張って膨張時における断面形が略8字形になるように形成してもよい。
【0008】上記したように構成した床擦れ防止マットは、膨張した際における断面が所定の形状、例えば、円形や四角形等に維持しつつ略柱形に膨張する第1,第2両エアーセルをマット本体の縦方向へ交互に並列することによりマット本体を構成してある。尚、上記第1,第2両エアーセルを膨張させた際の断面形と高さは、第1エアーセルと第2エアーセルとの間にて略一致するように設定してある。上記した第1,第2両エアーセルは、系統の異なる空気通路を個々に接続してあるので、系統の異なる空気通路毎に給気と排気を行なうことで、交互に並列する第1エアーセルグループと、第2エアーセルグループとを適宜な時間をおいて交互に膨張,収縮する作動を繰り返すことができる。
【0009】マット本体の略中央部には屈曲範囲が設けられ、この屈曲範囲に配置した第1,第2両エアーセルには、同エアーセルよりも外径の小さな補助エアーセルを付設してある。第1エアーセル及び第2エアーセルに付設される各々の補助エアーセルは、母体となるエアーセル(第1若しくは第2エアーセル)が膨張した際に収縮し、また、エアーセル(第1若しくは第2エアーセル)が収縮した際に同補助エアーセルを膨張させるように構成してある。
【0010】よって、ベッドをギャッジアップして使用人の上半身を起き上がらせると、同ベッドの床面に定置した床擦れ防止マットも、中央部の屈曲範囲から略くの字形に屈曲する。この際、第1,第2エアーセルの一方の系統が膨張し、他方の系統が収縮した状態にある。また、マット本体の屈曲範囲に配置される第1若しくは第2エアーセルも、一方が膨張し、他方が収縮した状態となっている。この状態において、上記屈曲範囲のエアーセルにおける収縮した系統のエアーセル(第1若しくは第2エアーセル)に付設される補助エアーセルが膨張する。その補助エアーセルは、膨張する両隣りのエアーセル(第1若しくは第2エアーセル)の間に生じる凹状の間隙の内部で膨張し、例えば同間隙の深さの半分程度の空間を埋める。
【0011】よって、ベッドをギャッジアップした際に、使用者の上半身が起き上がると、尾てい骨や腰骨等、床擦れが生じやすい部位に上半身の体重が加わり、補助範囲において膨張するエアーセル(第1,第2エアーセル)の上を圧迫する。そして、使用者の床擦れの生じ易い部位が膨張しているエアーセル同士の間を押し広げて落ち込みそうになる。しかし、ベッドの床面を底とする間隙内では、収縮するエアーセル(第1,第2エアーセル)に設けた補助エアーセルが膨張し、例えば上記間隙内の下半部を埋める状態となる。これにより、ギャッジアップ時に使用者の尾てい骨部分や腰骨部位が膨張したエアーセル同士の間に落ち込んでも、床面上にて膨張する補助エアーセルにより軟らかく受け止められるので、使用者の床擦れの生じ易い部位がベッド上の硬い床面に直接的に当たるのを回避できる。
【0012】請求項2記載の床擦れ防止マットにおいて、上記空気通路は、第1及び第2両エアーセルに接続する2系統の空気通路から成り、且つ、マット本体の屈曲範囲の第1,第2両エアーセルに付設した各補助エアーセルは、その補助エアーセルを付設した第1エアーセル、若しくは第2エアーセルの主気室に接続される空気通路の系統とは反対の系統の空気通路に接続して成るものである。
【0013】上記した手段によれば、交互に並列して床擦れ防止マットを構成する第1,第2両エアーセルは、一方の系統の空気通路を通して給気を行なうのと同時に、他方の系統の空気通路を介して排気することにより、第1エアーセルグループと第2エアーセルグループとの何方か一方のグループを膨張させ、他方グループを収縮させる作動を適宜な時間をおいて交互に繰り返す。一方、屈曲範囲に配置した第1,第2両エアーセルに付設した補助エアーセルは、その母体となるエアーセル(第1エアーセル若しくは第2エアーセル)が収縮している状態において、同エアーセルとは反対の系統にあって膨張するエアーセルに接続される空気通路から給気を受けて膨張する。即ち、第1,第2エアーセルの何れか一方が膨張している際に、収縮するエアーセルの付設される補助エアーセルが膨張し、膨張するエアーセル(第1エアーセル若しくは第2エアーセル)間に生じる間隙内の下側、例えば同間隙の略下半部の空間を埋めて、床面の上のクッションとして機能する。
【0014】請求項3記載のマット本体の屈曲範囲に配置する第1エアーセル及び第2エアーセルは、2枚の帯状シートを重ね合わせ、これらのシートの周縁部同士を接着して主気室を形成し、また、上記一方の帯状シートの内面若しくは外面の何れか一方に、帯状シートよりも幅の狭い補助シートを重ね合わせ、該補助シートの周縁部を帯状シートに接着して、該補助シートと帯状シートとの間に補助気室を形成し、この補助気室と上記主気室とに各々所定の空気通路を接続する接続口を設けて成るものてある。
【0015】上記したように、屈曲範囲に配置される第1及び第2両エアーセルは、2枚の帯状シートを重ね合わせその周縁同士を接着することにより、両帯状シートの間に主気室を形成できる。この主気室は、空気の供給により断面略円形に膨張する。また、上記エアーセル一方の帯状シート内面若しくは外面の一方には、補助シートを重ね合わせ、その周縁部を上記帯状シートに接着してあるので、上記補助シートと帯状シートとの間に比較的小径な補助エアーセルの補助気室を形成できる。上記補助気室と主気室とには、各々に空気通路を接続する接続口が設けられ、これらの接続口から給気を行なうことにより、上記補助気室及び主気室を個々に膨張させ、且つ収縮することができる。また、上記したエアーセルは、主気室若しくは補助気室が収縮すると平たい形態となる特性を有し、膨張している気室の周面に沿って湾曲する形で自然と密接する。換言すると、収縮した際にシワや縒れが生じる不具合を防止し得る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図6にて示す床擦れ防止マットAは、ポリウレタンシートやPVCシート等から成る長方形状の敷きシート5の上に、略円柱形に膨張する第1エアーセル1と第2エアーセル2とを設置する。第1,第2両エアーセル1,2,11,12は、上記敷きシート5の長さ方向へ交互に配置して並列してある。また、上記敷きシート5の上面には2本の保持ベルト4を適宜な間隔を置いて2本平行状に配置し、これら保持ベルト4間に第1,第2両エアーセル1,2,11,12を挿通することにより、敷きシート5の上にて並列した状態で保持して一体的なマット本体aを構成する。上記した敷きシート5の両端部には、ベッド上に 装着する際に使用する装着用のシート部6を延出してある。尚、本実施例におけるエアーセル1,2,11,12は、両端部を上記したシート部6によりテーパー状に形成したが、本発明にて用いる第1,第2両エアーセルは、上記した形状に限定するものではなく、任意な形状に設定してもよい。例えば、両端部のシート部を含む第1,第2両エアーセルを平面視略長方形に形成してもよい(図示せず)。
【0017】上記した2本の保持ベルト4は、断面逆U字形に湾曲させ、その両端部に略逆T形に折り曲げてなる接着部4bを形成してある(図2,)。両保持ベルト4は、上記接着部4bを敷きシート5の上面に所定の間隔、即ち第1,第2両エアーセル1,2,11,12の直径と略同じ間隔を置いて順次止着する。これにより、側面視略アーチ状に形成される第1,第2両エアーセル1,2,11,12の挿通部4aを一線上に並設する(図1,図5)。第1,第2両エアーセル 1,2,11,12は、上記両保持ベルト4の挿通部4aに順次挿通することにより、敷きシート5の上面において、交互に並列した状態を保って保持され、一体的なマット本体aを構成する。尚、上記した保持ベルト4は、逆T形に折り曲げてなる接着部4bを敷きシートの上面に所定の間隔を置いて止着(ウエルダー加工)したが、各挿通部4aを敷きシート5の上に直線状に配置した。しかし、上記保持ベルト4の間をシート5の上に止着する手段は、上記した構造に限定するものではなく、保持ベルト4を適宜な間隔を置いて止着する手段は、既存のどのような止着手段を用いてもよい。例えば、後述する床擦れ防止マットA2のように各挿通部4aの間に形成した接着部4b'を敷きシート5に対して縫着しても良い。
【0018】マット本体aの中央部には、ベッドをギャッジアップした際にベッド床面Bと共に屈曲する屈曲範囲a2を設定してあり、この屈曲範囲a2内に補助エアーセル31,32を付設した第1,第2エアーセル11,12を配置し、該屈曲範囲a2以外の部位a1,a3に1気室からなる第1,第2エアーセル1,2を配置してある(図1)。また、屈曲範囲a2内に配置する第1,第2両エアーセル11,12 と、同屈曲範囲a2の両側にある範囲a1,a3に配置した第1,第2エアーセル1,2とは、全く同様な形状であり、外径も同径に設定してある。
【0019】上述したように、マット本体aは、中央に設けた屈曲範囲a2と、同屈曲範囲a2の両側に配置した一端側範囲a1と、他端側範囲a3とより構成される(図1)。マット本体aの一端側範囲a2と,他端側両範囲a3とに配置される第1,第2両エアーセル1,2は、ポリウレタンレザーを帯状に裁断した2枚の帯状シート1a(2a)から成る。また、両帯状シート1a(2a)は、樹脂層側を内側にして重ね合わせ、その周縁部を高周波ウエルダーで溶着することにより、気密の保たれた主気室1b(2b)を形成してある。また、第1,第2両エアーセル1,2の両端部は略台形に形成し、その一端側の下面に空気通路の接続口1c,(2c)を付設し、一端部側に向けて突出してある(図2)。また、上記した如く構成した第1,第2両エアーセル1,2一端部の下面側には面ファスナー6aを貼着し、エアーセル1,2を敷きシート5の上の装着位置に定置した際に、敷きシート5側に貼着した面ファスナー6bと着脱可能に係合して、第1,第2両エアーセル1,2を敷きシート5上の定位置に着脱可能に取り付け固定してある。尚、上記した第1,第2両エアーセル1,2の両端部は、面ファスナー6aと6bによる係合により敷きシート5に対して着脱可能に止着したが、第1,第2両エアーセルの両端部の固定には、プラスチックホックや金属製のホックを用いてもよい。
【0020】一方、マット本体aの屈曲範囲a2に配置する第1,第2両エアーセル11,12は、範囲a1,a3の第1,第2両エアーセル1,2の帯状シート1a(2a)と同形に形成した2枚の帯状シート11a(12a)と、補助エアーセル,31(32)を構成する帯状の補助シート11a(12a)とからなる。第1,第2両エアーセル11,(12)は、2枚一対の帯状シート11a(12a)の内、何れか一方の内面若しくは外面に接着する。
【0021】本実施例の場合、上記補助シート11a(12a)を下側の帯状シート11a(12a)の内面上に定置し、その周縁を高周波ウエルダーで上記帯状シート11a(12a)の内面に溶着することにより、下側の帯状シート11a(12a)と上記補助シート11a(12a)との間に気密の保たれた補助気室11b(12b)を形成する。
【0022】上記したように下側の帯状シート11a(12a)の内面に補助エアーセル31,(32)を取り付けた後、この下側の帯状シート11a(12a)と上側の帯状シート11a(12a)とは、樹脂面となる内面同士を各々内側に向けた状態で重ね合わせ、その周縁部を高周波ウエルダーで溶着することにより、気密の保たれた主気室1b(2b)を形成する。すなわち、補助エアーセル31,(32)が、第1,第2両エアーセルの内部に収納された形で設けられる。
【0023】上記第1,第2両エアーセル1,2の両端部は略台形に形成し、その一端側の下面に空気通路の接続口1c,2cを付設し、一端部側に向けて突出してある。また、内部に補助エアーセル31(32)を内設した第1,第2両エアーセル11,22の一端側の下面には、上記補助エアーセル31(32)の気室31b(32b)に通じる接続口11d(12d)を設けてある(図4)。既述したように、第1,第2両エアーセル11,12の両端の下面には面ファスナー6aを貼着し、同エアーセル11,12を屈曲範囲a2の所定位置に定置した際に、敷きシート5側に貼着した面ファスナー6bと着脱可能に係合して、第1,第2両エアーセル11,12を敷きシート5上の定位置に取付支持する。尚、上記したマット本体aの上面は、着脱可能なシーツ8で被覆してある。
【0024】上記した如く構成したマット本体aには、2系統の空気通路20aと20bとを設置してある。両空気通路20a,20bは、切り換え弁50に各々接続してある。切り換え弁50にはコンプレッサー等の空気供給源60を接続してあり、同空気供給源60から供給された空気をマット本体aの第1,第2両エアーセル1,2,11,12に対して供給する。第1空気通路20aは、マット本体aの一側に沿って沿設し、定間隔を置いて分岐した分岐路20a'を一つ置きに配置される各第1エアーセル1,11の接続口1c,11cに接続してある。また、第2空気通路20bは、上記第1空気通路20aと平行してマット本体aの一側に沿って沿設し、定間隔を置いて分岐した分岐路20b'を各第2エアーセル2,22の接続口2c,12cに接続してある(図1)。尚、上記した接続口1c,11c及び2c,12cは、略L字形に屈曲せしめたものを使用しているが、上記接続口は、L形以外のもの、例えばT字形のものを用いてもよい。
【0025】上述したように、マット本体aの屈曲範囲a2に配置した第1,第2両エアーセル11,12には補助エアーセル31,32を設けてある。そして、この補助エアーセル31,32の空気接続口11d,12dと、上記空気通路20a,20bとの間を補助空気通路21a,21bを介して接続する。この際、各第1エアーセル11に設けた補助エアーセル31の空気接続口11dと、上記空気通路20bとの間を補助空気通路21bにより連絡する。また、第2エアーセル12に設けた補助エアーセル32の空気接続口12dと空気通路20aとの間を補助空気通路21aにより連絡する(図1)。即ち、屈曲範囲a2に配置した第1,第2両エアーセル11,12に付設した各補助エアーセル31,32は、その補助エアーセル31,32の母体となる第1エアーセル1,11、若しくは第2エアーセル2,12に接続される空気通路20a,20bの系統とは反対の系統の空気通路に接続することになる。
【0026】上記した両空気通路20a,20bの基端部を接続する切り換え弁50は、切り換え可能な給気弁と排気弁(図示せず)とを備え、空気供給源60から供給される空気を上記空気通路20aと20bの何方か一方に切り換えて供給し、第1,第2両エアーセル1,11,2,12の一方を膨張させる。例えば、切れ換え弁50は、給気弁を開弁して上記空気通路20aを介して第1エアーセル1,11のグループを膨張させる(図6−a)。同切り換え弁50は、これと平行して排気弁(図示せず)を切り換え作動し、空気通路20bを介して第2エアーセル2,12内に充気してあった空気を排気口52から自然排気して第2エアーセル2,12のグループを収縮させる(図6−a)。
【0027】この際、マット本体aの屈曲範囲a2に配置される第1,第2両エアーセル11,12の内、第2エアーセル12のグループが収縮する。しかし、同エアーセル12に付設した補助エアーセル32には、上記空気通路21aを介して空気が供給され、同補助エアーセル32が膨張した状態となる(図5−a)。膨張した補助エアーセル32は、膨張する第1エアーセル11同士の間に生じる間隙内の略下半部若しくは2/3程度の空間を埋める形で膨張する。
【0028】上記状態を維持して所定時間、例えば5分程度経過したならば、切り換え弁50は、給気弁を切り換え、空気通路20bを介して第2エアーセル2,12のグループに空気を給気して膨張させる(図6−b)。また、切り換え弁50は、これと平行して排気弁(図示せず)を切り換え、空気通路20aを介して第1エアーセル1,11内に充填してあった空気を排気口52から自然排気して第1エアーセル1,11のグループを収縮させる(図6−b)。
【0029】この際、屈曲範囲a2に配置される第1エアーセル11のグループが収縮するが、同エアーセル11内に付設した補助エアーセル31は、上記空気通路21bを介して空気が供給され、同補助エアーセル31が膨張した状態となる(図5−b)。膨張した補助エアーセル31は、膨張した第2エアーセル12同士の間に生じる間隙内の下半部を埋める形で膨張する。以後、上記したサイクルを繰り返して、第1エアーセル1,11のグループと第2エアーセル2,12のグループとを5分程度の時間をおいて交互に膨張,収縮させることにより、使用者の体重が加わる部位を交互にずらして床擦れを防止する。尚、各エアーセルの排気は、エアーポンプ等を用いて強制排気でもよい。
【0030】図6(c)のように、ベッドを中間部から屈曲させてギャッジアップし、使用者の上半身が起き上がると、尾てい骨や腰骨等、床擦れが生じやすい部位に上半身の体重が加わり、屈曲範囲a2において膨張する第1エアーセル11若しくは第2エアーセル12を圧迫する。このため、使用者の尾てい骨付近の部位が膨張しているエアーセル同士11若しくは12の間に生じる間隙を押し広げて落ち込みそうになる。
【0031】しかし、上記した間隙には、収縮している方のエアーセル11若しくは12に付設した補助エアーセル31若しくは32が膨張し、上記したように形成される間隙内の下半部若しくは2/3程度を埋めた状態となっている。よって、ギャッジアップの際に、床擦れが生じ易い尾てい骨部位が膨張したエアーセル11若しくは12同士の間に落ち込んでも、床面B上にて膨張する補助エアーセル31若しくは32により下から軟らかく受け止められるので、ギャッジアップの際に床擦れが生じ易い部位が堅いベッドの床面Bに直接的に圧接して刺激を受ける不具合を確実に防止できる。尚、上記した実施例では、補助エアーセル31及び32を第1,第2両エアーセル1,11及び2,12の内部の下面に設けたが、上記エアーセルは、第1,第2両エアーセル1,11及び2,12の上面、若しくは、同エアーセル外側の上面若しくは下面に設けてもよい。
【0032】本実施例の場合、上記した第1,第2両エアーセル1,2や補助エアーセル31,32を構成する帯状シート1a,2aとして、片面に織布層等を接着したポリウレタンレザーを用いていているが、各帯状シートは、軟質PVCレザーや軟質PVCシート,ポリウレタンエラストマ−等、若しくは、これらの中から複数種類のものを選択して用いてもよい。これらの内、耐屈曲性を重視するならばポリウレタンが好ましい。また、ポリウレタンとしては、熱可塑性ポリウレタンエラストマーが好適に使用できる。レザーの場合、織布としては、綿やナイロンの薄手の平織りが感触、滑りから好ましい。さらに、ポリウレタン、軟質PVC等の樹脂層の厚みは、レザーの場合で0.25〜0.4mm,シートの場合は0.25から0.5mmが好ましい。これより薄いと強度が不足し、厚いと感触が悪くなるからである。
【0033】上記実施例では、シート同士の接着を行なう際に高周波ウェルダーを用いたが、超音波ウェルダー,ヒートシール,接着剤による接着等、接着部の気密を確保できるものであれば、既存のどのような接着方法を用いてもよい。一方、ポリウレタン、PVC等、高周波で良好な発熱をする材料を用い、高周波ウエルダーするのが接着強度、コスト面で好ましい。
【0034】上記実施例では、独立したセルを並列することによりマット本体を構成したが、ウエルダー加工を利用することにより、隣り合うセル同士が一体に連結している状態でマット本体を構成することもできる。また、上記した一体式の加工を用いた場合、左右両側部に沿ってそれぞれ1系統の空気通路を形成することにより、送排気バルブを1系統あたり一個とすることも可能となり、合理的である。他方、上記実施例のように、独立するセルを着脱可能に並列することにより、汚れや気密漏れを生じた際に部分的に交換することができるので、メンテナンスや修理の面では独立セル構造が有利である。
【0035】上記した実施例では、屈曲範囲a2に配置した第1,第2両エアーセル11,12に付設した補助エアーセル31,32の横方向の長さは、上記エアーセル11,12の90%程度の長さで設定したが、補助エアーセルの長さは、50%〜90%の範囲から任意に設定し、同補助セルと干渉しない部分を利用して第1,第2両エアーセルの接続口を下向きに取り付けるとよい。
【0036】図7にて示す床擦れ防止マットA2は、第1,第2両エアーセルを断面略四角形に保形し、膨張した状態において角柱形状となるように構成してある。第1,第2両エアーセル51,52を略角柱形状に保形するには、気室の内部に多数本の吊り糸を架設したり、若しくはコーナー部分に吊り布を張設することにより行なう。第1,第2両エアーセル51,52は、その両端部を敷きシート5の両側部に沿って立ち上げて形成した側片部5aに内側から当接する。また、第1,第2両エアーセル51,52両端の上辺部には舌片60aを各々延出する形で設け、この舌片60aを折り曲げて上記側片部5aの側面に上から被着する。そして、舌片60aに設けたホック61aを上記側片部5aに設けたホック61bに嵌着することで、第1,第2両エアーセル51,52を敷きシート5に対して着脱可能に取付固定している。この実施例の場合、第1,第2両エアーセル51,52を挿通する保持ベルト4は、隣り合うもの同士の間に適宜な幅を有する接着部4b'を確保し、この接着部4b'を敷きシート5に縫着することにより、同敷きシート5上に等間隔を置いて並設してある。尚、上記した如く略角柱形状に膨張する第1,第2両エアーセルは、敷きシートの上に載置して、同エアーセルの両端面と、敷きシートの側片部の内面とを付き合わせ、その付き合わせ面同士を上記したものと同様なホックや面ファスナー等の止着手段を用いて止着することにより、敷きシート上に取付固定しても良い(図示せず)。
【0037】
【発明の効果】本発明は以上のように、マット本体の屈曲範囲に配置した第1,第2両エアーセルに、比較的外周寸法の小さな補助エアーセルを付設し、この補助エアーセルは、母体となるエアーセル(第1若しくは第2エアーセル)が膨張した際に収縮し、また、エアーセル(第1若しくは第2エアーセル)が収縮した際に同補助エアーセルを膨張させるように構成したものである。
【0038】よって、ベッドをギャッジアップした際に、使用者の上半身が起き上がる姿勢となって、尾てい骨付近等の床擦れが生じやすい部位に上半身の体重が加わり、上記屈曲範囲において膨張するエアーセル(第1若しくは第2エアーセル)同士の間に形成される間隙に落ち込んでも、その間隙内では収縮するエアーセル(第1若しくは第2エアーセル)に設けた補助エアーセルが膨張し、該補助エアーセルにより床擦れが生じ易い部位を軟らかく受け止めることができる。よって、従来のように、床擦れが生じやすい部位が気室同士の間隙に落ち込んで堅いベッドの床面に直接的に圧迫される底付きの不具合を防止し得る。また、上記第1及び第2エアーセルは、補助エアーセルを設けた屈曲範囲のものと、それ以外ものとが同径に膨張させることができるので、補助エアーセルを具備するエアーセルと、具備しないエアーセルとの間に段差を生じることがなく、マット本体の受け面に不自然な段差が生じて使用時に違和感を感じることもない。
【0039】請求項2記載の床擦れ防止マットは、第1エアーセルと、第2エアーセルとに接続する2系統の空気通路を構成し、第1エアーセルグループと第2エアーセルグループとの何方か一方のグループを膨張させ、他方グループを収縮させる作動を適宜な時間をおいて交互に繰り返す。また、屈曲範囲の第1,第2エアーセルに付設した補助エアーセルは、その母体となるエアーセル(第1エアーセル若しくは第2エアーセル)が収縮している状態において、同エアーセルとは反対の系統にあって膨張するエアーセルに接続される空気通路から給気を受けて膨張する。したがって、第1,第2エアーセルの何れか一方が膨張している際に、収縮するエアーセルに付設される補助エアーセルが膨張し、膨張するエアーセル(第1エアーセル若しくは第2エアーセル)間に生じる間隙を適度に埋めて、床面の上のクッションとして機能し、患部が気室同士の間隙に落ち込んで堅いベッドの床面に底付きする不具合を確実に防止し得る。
【0040】また、補助エアーセルは、その母体となるエアーセル(第1エアーセル若しくは第2エアーセル)が収縮している状態において、同エアーセルとは反対の系統にあって膨張するエアーセルに接続される空気系統から給気されて膨張するものであるから、第1,第2エアーセルに接続する2系統の空気通路を利用して、同エアーセルの各々に付設した各補助エアーセルの膨張,収縮作動を行なうことができ、空気通路の経路を簡素化することができる。
【0041】請求項3記載の床擦れ防止用マットは、マット本体の屈曲範囲に配置する第1エアーセル及び第2エアーセルとして、2枚の帯状シートを重ね合わせ、これらのシートの周縁部同士を接着して主気室を形成し、また、上記一方の帯状シートの内面若しくは外面の何れか一方に、上記帯状シートよりも幅の狭い補助シートを重ね合わせ、該補助シートの周縁部を接着して、補助シートと帯状シートの間に補助気室を形成したものである。よって、第1,第2両エアーセルの主気室と、補助エアーセルの補助気室とを具備する第1,第2両エアーセルを容易に形成できると共に、収縮した状態では、3枚のシートを重ね合わせた形態に戻るので、収縮時の保形性がよく、膨張,収縮を円滑に行なうことができ、さらに、気室を構成する各エアーセルが変形して癖がつくような不具合もない。
【出願人】 【識別番号】000000550
【氏名又は名称】オカモト株式会社
【出願日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【代理人】 【識別番号】100068607
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外3名)
【公開番号】 特開2001−333942(P2001−333942A)
【公開日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願番号】 特願2000−157078(P2000−157078)