| 【発明の名称】 |
介護用車椅子 |
| 【発明者】 |
【氏名】中西 幹育
【氏名】豊島 直和
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| 【要約】 |
【課題】患者が介助者の援助をかりてベッドと車椅子との間を移載する際、患者と介助者とに掛かる負担を、より軽減させ得る新規な介護用車椅子を提供する。
【解決手段】本発明の介護用車椅子1は、脚部ユニット2に対して、着座ユニット3を仰向け状態になるように回動自在に構成するとともに、背もたれ部32と脚もたせ部33との間に、着座部31に位置し得る支持体51が、掛け渡されて成り、患者が一時的に仰向け状態に寝られるような仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、背もたれ部32を後方側に倒すように回動させ、着座部31と背もたれ部32との屈曲部31aが、下方に突き出すような状態とし、なお且つ背もたれ部32と脚もたせ部33とに掛け渡された支持体51を、屈曲部31aから浮遊させ、ハンモック状態に張設するようにしたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前後左右に移動し得る脚部ユニットと、着座部に対して屈曲状態に形成された背もたれ部及び脚もたせ部とを有した着座ユニットとを具えて成り、患者が通常の車椅子として使用する着座受け入れ状態に加え、患者が一時的に仰向け状態に寝られるように、ほぼ水平面を形成する仰臥受け入れ状態にも切り替え得る車椅子において、前記着座ユニットは、脚部ユニットに対して仰向け状態になるように回動自在に構成されるとともに、前記背もたれ部と脚もたせ部との間には、着座部に位置し得る支持体が掛け渡されて成り、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、背もたれ部を後方側に倒すように回動させ、着座部と背もたれ部との屈曲部が下方に突き出すような状態とし、なお且つ背もたれ部と脚もたせ部とに掛け渡された支持体を、着座部と背もたれ部との屈曲部から浮遊させ、ハンモック状態に張設するようにしたことを特徴とする介護用車椅子。 【請求項2】 前記支持体は、一端が背もたれ部に固定状態に取り付けられるとともに、他の一端は脚もたせ部を経由して適宜の保持部材に取り付けられて成り、固定端部から保持部材までの支持体の繰り出し長さが、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて、ほぼ同じ長さを有するように設定され、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、脚もたせ部が扛上することに伴い、この脚もたせ部と保持部材との間隔が、徐々に拡がるようにし、これに伴い着座受け入れ状態において背もたれ部及び着座部に位置していた支持体が引っ張られ、支持体を背もたれ部と脚もたせ部との間にハンモック状態に張設するようにしたことを特徴とする請求項1記載の介護用車椅子。 【請求項3】 前記着座ユニットの回動軸心は、ハンモック状態に張設された支持体を着座ユニットの上方前後において支持する背もたれ部の固定端部と脚もたせ部の経由点との間に設けられるものであって、前記ハンモック状態の支持体の上に患者が載った際には、脚もたせ部の経由点に、この支持体を吊持するための張力が作用し、この力が着座ユニットを着座け受け入れ状態に起こすような回転モーメントとして寄与することを特徴とする請求項1または2記載の介護用車椅子。 【請求項4】 前記支持体の固定端部に対向する一端は、支持体の繰り出し長さを適宜調節し得る巻き取り装置によって保持されることを特徴とする請求項1、2または3記載の介護用車椅子。 【請求項5】 前記着座ユニットの背もたれ部には、車椅子を仰臥受け入れ状態に切り替えた際に、床面に当接し、車椅子の転倒防止を図る支持体が設けられることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の介護用車椅子。 【請求項6】 前記脚部ユニットには、背もたれ部と脚もたせ部との間に掛け渡された支持体を下方から支持するたわみ防止部材が設けられることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の介護用車椅子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は身体の不自由な患者等が使用する車椅子に関するものであって、特に患者が介助者の援助をかりてベッドから車椅子に、あるいは車椅子からベッドに載り移る際、患者と介助者とに掛かる負担を、より軽減させ得る新規な介護用車椅子に係るものである。 【0002】 【発明の背景】体の不自由な患者等が介助者の援助をかりてベッドから車椅子に、あるいは車椅子からベッドに載り移る際には、従来例えば介助者が患者を抱き上げるように運んで、車椅子等に載せ換える方法が採られていたが、このような方法では、介助者にはもちろんのこと、患者にも相当の体力的な負担が掛かっていた。このため患者と介助者との双方に掛かる、体力的な負担を減らし、ベッドと車椅子との間の移載がより簡単に行えるような、種々の車椅子が改良されてきている。 【0003】このような車椅子としては、例えば背もたれ部が座面の後端付近を回動基端として傾倒できるようにし、且つ脚もたせ部が座面の前端付近を回動基端として扛上できるような構造としたものが存在する。すなわちこのような車椅子は、背もたれ部と脚もたせ部とを座面に対して回動させることで、結果的に背もたれ部、着座部、脚もたせ部を、ベットとほぼ同程度の高さを有する仰臥受け入れ状態に形成し、ほとんど段差がない状態でベッドと車椅子との間を載移できるようにしたものである。もちろん着座部は背もたれ部等に対して相対的に動かないため、着座部の左右から突出するように設けられたひじ掛けや手摺り等は、ベッドと車椅子との間で移載時の障害にならないように適宜格納ないしは着脱自在に構成されている。 【0004】しかしながらこのようなリクライニング式の車椅子においては、以下に示すような点においてまだ改善の余地があった。すなわち例えば仰臥受け入れ状態に切り替えた車椅子に、患者がベッドから載り移った後、車椅子の背もたれ部を徐々に扛上させて、患者を仰臥姿勢から着座姿勢にする場合、患者が腰痛等のために、いつもより着座位置を異ならせたい場合には、患者は通常よりも深くあるいは浅く腰掛けることになり、患者の腰部の位置と背もたれ部の回動中心とにズレを生じることになる。しかしながら上述したようなリクライニング式の車椅子では、常に背もたれ部の回動中心が定まっていること等から、当然このズレは吸収できず患者に不快感を与えたり、場合によっては患者の腰部等に過度な負担を強いる結果となっていた。 【0005】また介助者にとっては車椅子の状態を切り替える度に、背もたれ部と脚もたせ部とを別個に回動させ、また固定する作業そのものが手間の掛かる作業となっていた。特に患者自身が、自分の思うように身体を動かせない場合には、患者が仰臥した車椅子の背もたれ部を起こす作業は、患者自身による体重移動が期待できないため、介助者は患者の体重が直にかかった背もたれ部を起こすことなり、介助者の腰や腕等に過大な身体的負担を強いる作業になっていた。またこのような患者の場合には、上半身を一旦起こした後、車椅子の背もたれ部を起こすのもかなり手間のかかる作業となっていた。更に近年の状況では、介助者自身が高齢化となる傾向にあるため、車椅子の状態を切り替える都度、背もたれ部と脚もたせ部との間を行ったり来たりする一見わずかな動作であっても、介助者にとってはおっくうなものとなっていた。 【0006】もちろんこのような介助者側にかかる負担を主に軽減する手法としては、背もたれ部と脚もたせ部とをリンク機構等によって接続し、背もたれ部の傾倒に連動させて、脚もたせ部を回動させる方法や、背もたれ部や脚もたせ部等のリクライニングをすべて電動で行う方法等が可能ではあるものの、このような手法は車椅子の構造が少なからず複雑化したり、高コスト化を余儀なくされるものであり、また車椅子全体が大型化を伴う場合にあっては車椅子そのものの小回りが利かなくなるという問題もあった。 【0007】 【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、背もたれ部等をリクライニングさせて仰臥受け入れ状態に切り替えていた従来の車椅子の固定観念を捨て、背もたれ部、座面、脚もたせ部等の着座ユニット全体を回動自在に構成するとともに、支持体を背もたれ部と脚もたせ部とに掛け渡すことによってハンモック状態に張設できるようにし、患者が仰向けに寝られる仰臥受け入れ状態を確保するようにした新規な介護用車椅子の開発を試みたものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の介護用車椅子は、前後左右に移動し得る脚部ユニットと、着座部に対して屈曲状態に形成された背もたれ部及び脚もたせ部とを有した着座ユニットとを具えて成り、患者が通常の車椅子として使用する着座受け入れ状態に加え、患者が一時的に仰向け状態に寝られるように、ほぼ水平面を形成する仰臥受け入れ状態にも切り替え得る車椅子において、前記着座ユニットは、脚部ユニットに対して仰向け状態になるように回動自在に構成されるとともに、前記背もたれ部と脚もたせ部との間には、着座部に位置し得る支持体が掛け渡されて成り、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、背もたれ部を後方側に倒すように回動させ、着座部と背もたれ部との屈曲部が下方に突き出すような状態とし、なお且つ背もたれ部と脚もたせ部とに掛け渡された支持体を、着座部と背もたれ部との屈曲部から浮遊させ、ハンモック状態に張設するようにしたことを特徴として成るものである。この発明によれば、ハンモック状態に張った支持体が徐々に緩められることによって、患者の腰部は、車椅子の着座部と背もたれ部とに自然に触れるようになる。すなわち患者にとっては、腰部に車椅子の着座部と背もたれ部とが、無理なく添えられるようになるため、着座部と背もたれ部との屈曲部が、患者の腰部に対して幾らかズレていても、ある程度吸収でき、患者の腰部を痛めるようなことがない。また着座ユニットの着座部、背もたれ部、脚もたせ部等は、常に一体で回動するように構成されているため、車椅子の状態を切り替える操作が簡単に行え、車椅子の構造を複雑化させることもない。 【0009】また請求項2記載の介護用車椅子は、前記請求項1記載の要件に加え、前記支持体は、一端が背もたれ部に固定状態に取り付けられるとともに、他の一端は脚もたせ部を経由して適宜の保持部材に取り付けられて成り、固定端部から保持部材までの支持体の繰り出し長さが、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて、ほぼ同じ長さを有するように設定され、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、脚もたせ部が扛上することに伴い、この脚もたせ部と保持部材との間隔が、徐々に拡がるようにし、これに伴い着座受け入れ状態において背もたれ部及び着座部に位置していた支持体が引っ張られ、支持体を背もたれ部と脚もたせ部との間にハンモック状態に張設するようにしたことを特徴として成るものである。この発明によれば、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて、支持体の繰り出し長さが、ほぼ同寸法に設定され、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替える操作に伴い、支持体は自然にハンモック状態に張設されるため、支持体を強制的に巻き取って、ハンモック状に張設する手間が掛からない。一方、患者の側からみれば、車椅子上に仰向けに寝た状態から徐々に起こされ、着座姿勢になるに従い、患者の身体を支えてハンモック状の支持体が自然に着座部と背もたれ部とに位置するようになるため、腰部等に負担を強いられることがなく、身体が自然に曲げられ、安定的な着座姿勢を得るようになる。 【0010】また請求項3記載の介護用車椅子は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記着座ユニットの回動軸心は、ハンモック状態に張設された支持体を着座ユニットの上方前後において支持する背もたれ部の固定端部と脚もたせ部の経由点との間に設けられるものであって、前記ハンモック状態の支持体の上に患者が載った際には、脚もたせ部の経由点に、この支持体を吊持するための張力が作用し、この力が着座ユニットを着座受け入れ状態に起こすような回転モーメントとして寄与することを特徴として成るものである。この発明によれば、仰臥受け入れ状態における支持体は、実質的に背もたれ部の先端部と、脚もたせ部の折り返し部材とによって、ハンモック状態に吊られることになり、この状態で支持体上に患者が載ると、脚もたせ部の折り返し部材に、患者を吊り上げようとする張力が作用し、これが着座ユニットを仰臥受け入れ状態から着座受け入れ状態に起こすような回転モーメントとして寄与することになる。このため介助者は着座ユニットを起こす力が小さくて済み、介助者の労力が大幅に軽減され得る。因みにこのように患者のみならず介助者の体力的負担をも軽減することは、近年、介助者自身が高齢化する状況下において、より重要な効果となるものである。 【0011】また請求項4記載の介護用車椅子は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記支持体の固定端部に対向する一端は、支持体の繰り出し長さを適宜調節し得る巻き取り装置によって保持されることを特徴として成るものである。この発明によれば、支持体は固定端に対向する側が、脚もたせ部を経由して巻き取り装置に取り付けられるため、仰臥受け入れ状態における支持体の張設状態を微調整できる。また車椅子を仰臥受け入れ状態にした後、この状態から支持体を緊張状態に張設する場合には、支持体は既にハンモック状態を呈しているため、巻き取り回数が少なくて済み、容易に緊張状態に張ることができる。 【0012】また請求項5記載の介護用車椅子は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記着座ユニットの背もたれ部には、車椅子を仰臥受け入れ状態に切り替えた際に、床面に当接し、車椅子の転倒防止を図る支持体が設けられることを特徴として成るものである。この発明によれば、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替える際、背もたれ部に設けられた支持体が床面に当接して、車椅子の転倒防止を図るため、患者がベッドから車椅子に、あるいは車椅子からベッドに載り移る際、転倒の心配がなく、確実に、安心して載り移ることができる。 【0013】更にまた請求項6記載の介護用車椅子は、前記請求項1、2、3、4または5記載の要件に加え、前記脚部ユニットには、背もたれ部と脚もたせ部との間に掛け渡された支持体を下方から支持するたわみ防止部材が設けられることを特徴として成るものである。この発明によれば、患者がハンモック状に掛け渡された支持体上に仰臥することによって、支持体はたわみを生じるが、このたわみを効果的に減少させ得る。またこのため患者は、交差した二つの部材によって、より確実に支持され、高い安心感が得られる。 【0014】 【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。本発明の介護用車椅子1は、一例として図1〜5に示すように、前後左右に移動できるように構成された脚部ユニット2と、この脚部ユニット2に対して回動自在に構成される着座ユニット3とを具えて成り、患者が通常の車椅子として使用する着座受け入れ状態(図1、3参照)に加え、患者が一時的に仰向け状態に寝られるように、ほぼ水平状態を呈する仰臥受け入れ状態(図2、4参照)にも切り替えられるようにしたものである。ここで本明細書に記載する患者とは、介助者の介護や支援等を要する高齢者はもちろん、病気や怪我等によって車椅子を必要とする人等を含むものである。 【0015】そしてこの介護用車椅子1を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、着座ユニット3を仰向け状態になるように回動させ、上方を向いたこの着座ユニット3の前後に、織布等の支持体をハンモック状に張設し、患者が仰臥し得る、ほぼ水平な面を確保するようにしている。またこのような脚部ユニット2、着座ユニット3等は、図示したように一例として金属製のパイプ状部材や板状部材等を適宜組み合わせて形成されるものであり、このような主要部材に対して、着座受け入れ状態を維持するためのシートロック構造4、仰臥受け入れ状態を維持するためのフラットロック構造5、仰臥受け入れ状態における後方や側方等への倒れを防止する転倒防止構造6等が構成されている。以下上記各部材及び各構造について具体的に説明する。 【0016】まず脚部ユニット2について説明する。このものは、文字通り車椅子の脚部を構成するものであって、着座ユニット3を挟んで、このものを回動自在に支持するものであり、一例として図3、4等に示すように側面視四角形状に形成された左右一対の支持フレーム21が、着座ユニット3の幅寸法とほぼ同程度の間隔を維持するように、溶接等によって接続されて成るものである。なお左右の支持フレーム21の間隔を維持するように設けられる連接部材の一部は、特に後述する支持体51を折り返し、その繰り出し長さを調節するものでもあるため、この部材を脚部側折り返し部材21aと称する。そして支持フレーム21の下部には、左右一対の前輪22及び後輪23が設けられ、後輪23の上方には、このものの回転を阻止し、車椅子の停止状態を確保するストッパ24が設けられている。なお後輪23は前輪22よりも大径に形成されるとともに、前輪22のみが水平旋回自在に構成され、車椅子の方向転換が自在に行えるように構成されている。また左右の支持フレーム21の前方上部には、着座ユニット3を回動自在に支持するための軸受け部25が設けられている。 【0017】次に着座ユニット3について説明する。このものは、通常の車椅子として使用する着座受け入れ状態において、患者が安定的な着座姿勢をとるためのものであって、着座部31と、背もたれ部32と、脚もたせ部33とを具えて成るものである。着座部31は、一例として金属板状部材によって座面34を形成するものであって、この座面34に対して背もたれ部32と、脚もたせ部33とが、共に屈曲状態に形成されている。ここで着座部31と背もたれ部32との屈曲部を31aとし、着座部31と脚もたせ部33との屈曲部を31bと区別して示すものである。なお図示した実施の形態では、背もたれ部32と脚もたせ部33とは、金属製のパイプ状部材によってフレーム状に形成した後、幅方向寸法を維持するように適宜の連接部材を接続して成るものであり、更にその上に後述する支持体51を掛けて、背もたれ部32と脚もたせ部33を形成している。ここで脚もたせ部33のほぼ中間位置を接続する連接部材は、特に後述する支持体51を折り返し、その繰り出し長さを調節するものでもあるため、この部材を着座側折り返し部材33aと称する。 【0018】また着座ユニット3は、着座部31の下方、やや脚もたせ部33に寄った位置に回動軸35が設けられる。すなわちこの回動軸35は、上記脚部ユニット2の軸受け部25に嵌め込まれることによって、着座ユニット3を回動自在に支持し、着座ユニット3を仰向け状態にし得るものである。更に着座ユニット3には、着座部31に座った患者がひじを置いたり、手摺りとなるひじ掛け36が、背もたれ部32に対して折り畳めるように回動自在に形成されるとともに、背もたれ部32の背面側には、車椅子を押して移動する際の手押しハンドル37が形成されている。また脚もたせ部33の先端下部には、患者が車椅子に座った際に、足を置く足載せ台38が折り畳めるように回動自在に設けられている。 【0019】次にシートロック構造4について説明する。このものは上述したように本発明の介護用車椅子1の着座受け入れ状態を維持するためのものであって、具体的には図2、4等に示すように、左右の支持フレーム21から内側に突出するように形成されたロック片41と、着座部31に設けられた開閉自在の挟持片42aを有したロック装置42とを具えて成るものである。すなわち着座受け入れ状態においては、挟持片42aを閉鎖することによってロック片41を挟み込み、着座ユニット3の回動を阻止するロック状態とし、一方、この状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、ロック片41を挟み込んだ挟持片42aを開放させ、着座ユニット3の回動を許容するロック解除状態にするのである。なおこの実施の形態では、挟持片42aは、ばね等によって通常、閉じる方向に付勢され、またこれに伴いロック装置42の挟持片42aの開放操作を手押しハンドル37近くで行えるようにした、操作レバー43が背もたれ部32に設けられる。なお挟持片42aと操作レバー43との間は、このような開放操作を伝達するためにワイヤ44等によって連結されている。 【0020】次にフラットロック構造5について説明する。このものは上述したように本発明の介護用車椅子1の仰臥受け入れ状態を確保するためのものであって、具体的には図2、4等に示すように、患者が仰向け状態に寝られるようにハンモック状態に張設される支持体51と、この支持体51の繰り出し長さを調節し、適宜の張り加減を得られるようにする巻き取り装置52とを具えて成るものである。 【0021】支持体51は、着座ユニット3の背もたれ部32から脚もたせ部33に掛け渡されるものであって、この実施の形態では一例として織布を適用するものであるが、金属や樹脂等によって形成されたネット状ないしはフィルム状のものを適用することが可能であるし、あるいは多数の細長い棒状ないしはスラット状の部材を簾状につなげたもの等を適用することも可能である。因みに支持体51として簾状のものを適用した場合には、患者が支持体51の上に寝ころんだ際に生じる幅方向(患者の左右方向)のたわみが、織布等を適用した場合に対して、減少することが予想される。 【0022】このような支持体51は、一端が背もたれ部32の上部に、固定状態に取り付けられるとともに、他の一端が脚もたせ部33の着座側折り返し部材33aから、支持フレーム21の脚部側折り返し部材21aを経由して巻き取り装置52に取り付けられている。そして着座受け入れ状態においては、背もたれ部32から脚もたせ部33に到る途中で、着座部31の座面34に密着し、屈曲部31a、31bにほぼ沿うように掛けられて、いわば着座ユニット3のカバーの作用を担うものであるが、仰臥受け入れ状態においては、屈曲部31aから充分浮き上がってハンモック状態に掛け渡され、患者が一時的に仰臥し得る、いわば簡易ベッドの作用を担っている。 【0023】なお支持体51は、上述した着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて背もたれ部32から巻き取り装置52に至るまでのトータルの繰り出し長さが、ほぼ同寸法に設定されている。すなわち着座受け入れ状態において図3に示すように、背もたれ部32に作用する長さをL1、着座部31に作用する長さをL2、脚もたせ部33に作用する(屈曲部31bから着座側折り返し部材33aまで)長さをL3、着座側折り返し部材33aから脚部側折り返し部材21aまでの長さをL4とし、仰臥受け入れ状態において図4に示すように、背もたれ部32の先端部から着座側折り返し部材33aまでの長さをD1、着座側折り返し部材33aから脚部側折り返し部材21aまでの長さをD4とすると、【0024】 【数1】L1+L2+L3+L4≒D1+D4【0025】とするような設定がなされるのである。因みに上記数式1において、脚部側折り返し部材21aから巻き取り装置52までの長さを、両辺に加えていないのは、この寸法が双方の状態においてほぼ等しいためである。 【0026】ここで二つの折り返し部材33a、21a間の長さ、すなわちL4とD4とを比較すると、仰臥受け入れ状態においては、脚もたせ部33が扛上された状態となるため、L4<D4となり、その分、着座受け入れ状態において背もたれ部32や着座部31に作用していた支持体51、特にL1、L2部分が引っ張られ、全体的に屈曲部31aから充分浮遊したハンモック状態に張設されるのである。逆にいえば、車椅子の双方の状態における支持体51の繰り出し長さを同程度に設定し得るように、着座ユニット3の回動軸35、脚もたせ部33の着座側折り返し部材33a、支持フレーム21の脚部側折り返し部材21a、巻き取り装置52等の相対的な位置関係を決定するものである。 【0027】このように支持体51は、その上に患者が着座したり仰臥したりするものであるため、強度、弾性、耐摩耗性、耐疲労性、耐衝撃性等に優れるとともに、車椅子の重量をトータルで軽減させるために軽量化、あるいは病院等で使用されることが多いことから耐薬品性等にも優れた素材が好ましく、一例として東洋紡績株式会社製のダイニーマ(登録商標)が適用される。また患者の身体が主に接触する部位にクッション材を設けたり、あるいはこのような部位に適宜の滑り止め加工を施したりすることが好ましい。なお支持体51は、着座受け入れ状態にあっては、上述したように屈曲部31a、31bにほぼ沿った折り曲げ状態に設けられ、この状態で支持体51が着座ユニット3から不用意に離反するのを防止するために、ひじ掛け36の下方において支持体51を背もたれ部32のフレームに一時的に固定するための、面状ファスナ53等が設けられている。 【0028】巻き取り装置52は、支持体51を適宜巻き取ったり、繰り出したりして、その張設状態を微妙に調節するものであって、一例として図3等に示すように、支持体51の一側端が取り付けられた巻き取り軸54と、この巻き取り軸54の端部に設けたウォームギヤ機構55と、このウォームギヤ機構55を回転させるためのハンドル56とを具えて成るものである。そしてハンドル56を適宜の方向に回転させることによって、左右の支持フレーム21間に支持された巻き取り軸54を適宜回転させ、支持体51を巻き取ったり、あるいは逆に支持体51を自在に繰り出し得るようにしている。 【0029】因みにこの実施の形態では、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替える際、この操作に伴って支持体51が人為的な手段を何ら加えることなく、ハンモック状態に張設されるような構成を採るため、実質的に、この巻き取り装置52は、患者の体重や支持体51の弾性等によって異なるたわみ状態を微妙に調節するものとなる。しかしながら、支持体51の張設操作を、必ずしも着座ユニット3の回動と連動させる必要はなく、例えば単純に支持体51を着座ユニット3上に掛け渡し、巻き取り装置52によって積極的に支持体51を巻き取ったり、繰り出したりして、その状態に見合った、適宜の張設加減を得るようにしても何ら構わない。 【0030】次に転倒防止構造6について説明する。このものは上述したように本発明の介護用車椅子1を仰臥受け入れ状態に切り替えた際に、このものの後方や側方への転倒を防止するためのものであって、一例として図5に示すように、背面視略H字状を成す支持部材61が背もたれ部32の背面側に回動自在に形成されて成るものである。なおこの支持部材61には、脚部ユニット2の支持フレーム21からリンク片62が回動自在に接続され、仰臥受け入れ状態において支持部材61が床面上に当接するように構成されている。またこのため、支持部材61は、着座ユニット3の回動状態に応じて背もたれ部32からの回動角度が規制されるものである。なおこの実施の形態では、車椅子を仰臥受け入れ状態に切り替えた後に、その作用高さをベッドの高さに合わせる装置を、特に設けていないが、脚部ユニット2等に着座ユニット3の昇降を担う、例えばパンタグラフ式の高さ調整機構を別途設けることが可能である。 【0031】次に以上のように構成される介護用車椅子1の作動態様について説明する。なお説明にあたっては、患者がベッドから車椅子に載り移る場合について説明するものであり、またこのときの車椅子の初期状態は、通常の車椅子として使用できる着座受け入れ状態に設定されているものとする(図3参照)。 (1)準備着座受け入れ状態におけるシートロックを実質的に解除する作業に先立ち、以下のような準備作業が行われる。まず通常の着座受け入れ状態に設定された車椅子を、患者が寝ているベッドの脇の至近位置に移動させ、後輪23にストッパ24を下ろし、車椅子が不用意に移動しないようにする。そしてこのような作業に伴い、患者がベッドから車椅子に容易に移載できるように、ひじ掛け36を背もたれ部32に密着させるように折り畳み、足載せ台38を脚もたせ部33に密着させるように折り畳む。またひじ掛け36の下方において支持体51を背もたれ部に取り付けていた面状ファスナ53を外し、支持体51の屈曲部31a付近への固定を解除する。 【0032】(2)着座受け入れ状態におけるシートロック解除シートロック状態では、着座ユニット3に設けられたロック装置42の挟持片42aが閉鎖されることにより、脚部ユニット2に形成されたロック片41を挟み込み、着座ユニット3の回動を阻止するようにしている。このため、このシートロックを解除するにあたっては、まず背もたれ部32の背面に設けられた左右の操作レバー43を引くことによって、ワイヤ44を介して、挟持片42aを開放させ、ロック片41の挟持を解除する。この状態で着座ユニット3は、回動軸35を中心とした回動が許容される。 【0033】(3)着座ユニットの回動(着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態へ) このようにシートロックを解除し、着座ユニット3を回動許容状態とした後、図6に示すように背もたれ部32を後方側に倒すように回動させる。この際、着座ユニット3の回動に伴い、転倒防止を担う支持部材61は、背もたれ部32に密着した状態から徐々に後方に張り出し、背もたれ部32と支持部材61との回動角を拡げるような回動を行う。なおこのような着座ユニット3の回動は、図7に示すように、着座ユニット3が仰向き状態となり、屈曲部31aが下方に突き出された状態で終了となり、この回動終了状態で支持部材61が、回動自由端側を床面上に当接させた状態となっている。 【0034】(4)仰臥受け入れ状態の形成このように着座ユニット3が徐々に仰向け状態にされることに伴い、その一方で、支持体51がハンモック状態に張設される。これは上述したように着座受け入れ状態と、仰臥受け入れ状態とにおける支持体51の繰り出し長さが、ほぼ同程度に設定されることに起因するものである。すなわち着座ユニット3の回動に伴い脚もたせ部33は徐々に扛上され、従って脚もたせ部33と巻き取り装置52との間隔(図3、4におけるL4、D4寸法参照)は、徐々に拡がって行き、結果的に着座受け入れ状態において背もたれ部32及び着座部31等に位置していた支持体51が引っ張られ、屈曲部31aから浮遊したハンモック状態に張設されるのである。 【0035】(5)支持体の張り加減の微調整このように着座ユニット3の回動に伴い支持体51をハンモック状態に張設し、仰臥受け入れ状態を形成すると、今度は支持体51の張り加減が微妙に調整される。この微調整は、主に患者の身体の状態や患者の要求あるいは患者が載り移った後の支持体51のたわみ等を種々考慮して行われるものであって、一般的には図7に併せて示すように、介助者が巻き取り装置52によって、支持体51を巻き取ることによって、現状よりも強い、ほぼ緊張状態に張設するものである。しかしながらこの支持体51を、必ずしも緊張状態に張設する必要はなく、患者が移載を行う際に、沈み込み過ぎ等の不安感を抱くことがない範囲で、ある程度、弛みを持たせた状態に張設することが可能である。 【0036】因みに仰臥受け入れ状態が形成され、支持体51がハンモック状態に張設された当初の張り加減を、特に微調整する必要がなければ、この微調整の工程はもちろん、巻き取り装置52そのものを省略することが可能であり、このような場合、支持体51の固定端に対向する一端は、脚部ユニット2等の適宜の部材に固定的に保持される。またこのような微調整の工程は、患者が仰臥受け入れ状態の車椅子に載り移った後に行うことも可能であるし、移載の前後において2回、行うことも可能である。 【0037】(6)患者の載り移りこのように支持体51の張り加減が微調整された後、仰臥受け入れ状態に切り替えられた車椅子に、患者が載り移る。この際、患者は、体を少しずつ左右等にずらし、車椅子ににじり寄って、載り移るものであり、患者の状況に応じて、介助者が患者の移載を援助する(図4参照)。 【0038】(7)仰臥受け入れ状態ハンモック状態を呈した車椅子に患者が仰臥した状態では、支持体51の両端に、患者の身体を支えるための張力が作用する。このため支持体51の両端部分を保持する背もたれ部32の先端部と巻き取り装置52とには、一例として図4に示すような、張力F1、F2が作用するが、支持体51は着座側折り返し部材33aや脚部側折り返し部材21a等において折り返されているため、巻き取り装置52に作用していた張力F2は、支持体51を介して、着座側折り返し部材33aに力F3として伝えられる。すなわちこの状態における背もたれ部32から脚もたせ部33までの支持体51は、実質的に背もたれ部32の先端部と、着座側折り返し部材33aとによって、患者が載った支持体51を吊持しており、このうち着座側折り返し部材33aに作用する力F3が、着座ユニット3を着座受け入れ状態に起こすような回転モーメントとして寄与するのである。 【0039】(8)着座ユニットの回動(着座受け入れ状態へ) 患者が載った車椅子を仰臥受け入れ状態から着座受け入れ状態に切り替えるには、図8に示すように、背もたれ部32が扛上され、着座ユニット3が徐々に正面を向くように起こされて行く。この際、今度は着座ユニット3の回動に伴い、屈曲部31aから浮き上がり、ハンモック状態に張られていた支持体51は、患者の体重を受けて、徐々に背もたれ部32と着座部31とに位置するようになる。すなわち患者にとっては、着座ユニット3の回動に伴い腰部に、自然に着座部31や背もたれ部32が添えられるようになり、安定的に着座姿勢に移行されることになる。このように患者は、着座ユニット3の回動に伴い、着座部31と背もたれ部32とが自然にあてがわれるものであり、腰部が無理なく曲げられて行き、腰部と屈曲部31aとに多少のズレがあっても、吸収され得る。もちろんこの実施の形態では、支持体51が着座ユニット3の回動に伴い、屈曲部31aにほぼ沿うように変形して行くため、患者に着座ユニット3からのずり落ち感を抱かせることもない。 【0040】一方、介助者にとっては、患者が仰向けに寝た状態の車椅子を起こす作業が比較的簡単に行える。これは上述したように着座側折り返し部材33aに作用する力F3が、着座ユニット3を起こすような回転モーメントとして貢献するためであり、これによって介助者が着座ユニット3を起こす力が大幅に軽減され得るのである。従って例えば患者自身が自分の思い通りに身体が動かせず、患者自身の体重移動がほとんど期待できないような場合であっても、介助者は腰や腕等に過度な負担を掛けることなく、着座ユニット3を起こすことができるのである。なお支持体51に作用する張力は、車椅子を仰臥受け入れ状態にし、支持体51をほぼフラット状態に張設した時が最も大きいため、上記回転モーメントも、この仰臥受け入れ状態の時が一番大きい。またこの回転モーメントは患者の体重に比例して大きくなるため、本実施の形態を採ることにより、比較的単純な方法で介助者の負担を軽減することができるのである。 【0041】(9)着座受け入れ状態の維持そして着座ユニット3が正面を向くように徐々に起こされて行くことに伴い、ロック装置42の挟持片42aは、脚部ユニット2に形成されたロック片41に徐々に接近することになり、着座受け入れ状態に到達した段階で挟持片42aがロック片41を挟み込んだ状態で閉鎖され、着座ユニット3の回動を阻止したシートロック状態となる。もちろんこの状態は初期状態と同一の状態であり、転倒防止を担う支持部材61は、背もたれ部32に密着した状態に折り畳まれる。 【0042】(10)車椅子の通常の状態以上のように車椅子が着座受け入れ状態に切り替えられた後、介助者は、カバー状に掛けられた支持体51が、着座ユニット3から不用意に外れないように、面状ファスナ53によって固定したり、ひじ掛け36や足載せ台38を使用に備えて、背もたれ部32や脚もたせ部33から立てるようにする。そして最後に後輪23のストッパを解除し、車椅子の移動を行うものである。 【0043】なお上述した態様では、面状ファスナ53の固定解除、あるいはひじ掛け36や足載せ台38の折り畳み等を、準備段階で行うように説明したが、このような操作はどれも実質的に患者がベッドから車椅子に乗り移る前までに行っていればよいため、必ずしも上述した操作順序を忠実に実行する必要はない。すなわち、患者がベッドから車椅子に、より容易に載り移れ、且つ介助者の負担を減少させるものであれば、上記操作の内容や順序は、適宜変更することが可能である。また上述した態様では、仰臥受け入れ状態にした車椅子の作用高さを、ベッドの高さに合わせる操作については、特に触れていないが、着座ユニット3の昇降を担う機構が別途設けられている場合には、当然この作用高さの調整が移載の前までに行われる。 【0044】更にまた上述した態様では、支持体51をハンモック状態に張設する操作と、着座ユニット3を仰向け状態にする回動操作とを関連して行えるように設定したが、これらの操作を全く関連させずに行うことももちろん可能であり、その場合には仰向け状態まで回動させた着座ユニット3の表面に、支持体51が密着することが考えられるため、この支持体51を巻き取り装置52によって巻き取り、屈曲部31aから浮き上がらせたハンモック状態に張設するものである。また上述した態様は、患者がベッドから車椅子に乗り移る態様を述べたものであるが、車椅子からベッドに乗り移る態様は、ほぼ上述した態様を逆に行うことになるので省略する。 【0045】 【他の実施の形態】本発明は以上述べた実施の形態を一つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のような改変が考えられる。すなわち先の図1〜8に示した実施の形態において患者は、ハンモック状態に吊られた支持体51の上に仰臥するものであって、この際、患者の体重や支持体51そのものの性状によって支持体51が、過度にたわむことが考えられる。このような状況下では患者が、車椅子に載り移った際、身体が深く沈み込むことに伴い、不安感を抱く場合があるため、このような過度のたわみを防止すべく、図9に示すように脚部ユニット2の支持フレーム21上部に、別途織布や板材等のたわみ防止部材26を掛け渡し、支持体51を下方から支持する手法が採り得る。すなわちこの場合には、患者は二つの交差する部材によって、支えられることになり、支持体51のたわみが効果的に減少されるとともに、患者が深く沈み込むことがなくなり、患者の不安感を解消し得るものである。 【0046】また先に述べた基本の実施の形態では、支持体51の全体を織布、ネット状部材、簾状部材等で形成し、特にその長手方向において自由に屈曲し得るように形成したが、必ずしも支持体51の全体をこのような折り返し可能な部材で構成する必要はない。すなわち支持体51のうち、着座受け入れ状態において着座部31や背もたれ部32に位置する部位は、仰臥受け入れ状態において屈曲部31aから浮遊した状態になっても、折り返されることはほとんどないため、例えば図10に示すように、支持体51のうち、着座受け入れ状態において着座部31や背もたれ部32に位置する部位には金属等の板材(順に51A、51Bとする)を適用し、脚もたせ部33に位置する部位には織布や簾状部材等の屈曲体51Cを適用し、組み合わせて形成することが可能である。この際二つの板材51A、51Bは、着座受け入れ状態において着座部31と背もたれ部32とに位置するが、仰臥受け入れ状態においては屈曲部31aから充分浮遊させ得るように、二つの板材51Aと51Bとの結合部、及び板材51Bと背もたれ部32との結合部に、ヒンジ等が適用され、回動自在に構成されるものである。なお本明細書の請求項1等に記載する、「ハンモック状態」とは、このように複数の部材を組み合わせて成る支持体51を、屈曲部31aから充分浮遊させるように張設した状態をも広義的に含むものである。 【0047】またこのように着座部31に位置する支持体51を金属等の板材51Aで構成した場合には、基本の実施の形態で述べた座面34を設ける必要はない。更にこのような形態を採った場合には、患者を載せた車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替える際、着座部31に位置していた板材51Aが、側面から視て、着座ユニット3のフレーム枠から突出し、仰臥姿勢に入ろうとする患者の脚部に接触することが考えられる。このためここでは図10に併せて示すように、脚もたせ部33のフレーム枠の内側に案内溝33bを形成し、板材51Aの突出側の先端をこの案内溝33bに沿って移動させ、着座ユニット3のフレーム枠からほぼ張り出させないようにする形態が採り得る。 【0048】 【発明の効果】まず請求項1記載の介護用車椅子によれば、患者が車椅子上で仰向けに寝る場合、患者はハンモック状態に掛け渡された支持体51の上に仰臥するものであり、この状態から支持体51が徐々に緩められることによって、患者の腰部は、車椅子の着座部31と背もたれ部32とに自然に触れるようになる。従って患者にとっては、腰部に車椅子の着座部31と背もたれ部32とが、自然にあてがわれるようになり、このため着座部31と背もたれ部32との屈曲部31aが、患者の腰部に対して、多少ずれていても、このズレがある程度吸収され、患者に無理な姿勢を強いることがない。また着座部31、背もたれ部32、脚もたせ部33等は、常に一体で回動するように構成されるため、車椅子の状態を切り替える操作や動作が減少され、車椅子の構造を複雑化させることもない。 【0049】また請求項2記載の介護用車椅子によれば、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて、支持体51の繰り出し長さが、ほぼ同寸法に設定され、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替える操作に伴い、支持体51は自然にハンモック状態に張設されるため、支持体51を巻き取ってハンモック状態に張設する必要がない。一方、患者の側からすれば、車椅子上に仰向けに寝た状態から徐々に起こされ、着座姿勢になるに従い、身体を支えているハンモック状態の支持体51が、自然に着座部31や背もたれ部32に位置するようになるため、腰部等に負担を強いられることなく、身体が自然に曲がって行き、安定的な着座姿勢が得られることになる。 【0050】更にまた請求項3記載の介護用車椅子によれば、着座ユニット3の回動軸35は、支持体51を固定状態に取り付ける固定端部から、支持体51を脚もたせ部33において折り返す着座側折り返し部材33aまでの間に形成され、ハンモック状態に張設された支持体51の上に患者が仰臥した状態では、着座側折り返し部材33aに、患者を吊り上げるための張力が作用し、これが着座ユニット3を着座受け入れ状態に起こすような回転モーメントとして貢献することになる。このため介助者が着座ユニット3を起こす力が少なくて済み、介助者自身が高齢者であっても、患者を仰臥姿勢から着座姿勢に起こす操作が比較的容易に行え、介助者の腕や腰等、身体に掛かる負担が大幅に軽減され得る。 【0051】また請求項4記載の介護用車椅子によれば、支持体51は一端が巻き取り装置52に保持されるため、繰り出し長さを適宜調節でき、特に仰臥受け入れ状態において、患者の要求に応じた張り加減が再現できる。更にこの仰臥受け入れ状態から支持体51を緊張状態に張設する場合には、支持体51が既にハンモック状態を呈しているため、巻き取り回数が少なくて済み、容易に緊張状態に張設することができる。 【0052】また請求項5記載の介護用車椅子によれば、極めて簡単な構造の下に仰臥受け入れ状態の転倒防止が図れるとともに、患者及び介助者は、安心してベッドと車椅子との間の載り移りが行える。 【0053】また請求項6記載の介護用車椅子によれば、背もたれ部32と脚もたせ部33との間に掛け渡された支持体51を、下方から支持するたわみ防止部材26が、脚部ユニット2に設けられるため、仰臥受け入れ状態に切り替えられた車椅子に患者が仰向けに寝た際に生じる支持体51のたわみが、効果的に減少される。また患者は、重なり合った二つの部材によって、より確実に支持されるため、より高い安心感が得られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000129404 【氏名又は名称】鈴木総業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月26日(2000.5.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086438 【弁理士】 【氏名又は名称】東山 喬彦
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| 【公開番号】 |
特開2001−333938(P2001−333938A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月4日(2001.12.4) |
| 【出願番号】 |
特願2000−156829(P2000−156829) |
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