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【発明の名称】 被介護者乗降補助装置
【発明者】 【氏名】中野 道太

【氏名】中野 杉太

【要約】 【課題】車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置において、被介護者の乗用車内での快適性と、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性とを向上させる。

【解決手段】被介護者が着座するための可動椅子26の座面の高さを、その可動椅子26が搬入されて搭載される乗用車12に予め用意された座席と実質的に等しくする。さらに、車体開放状態で、可動椅子26を乗用車12に搬入するためにその乗用車12の客室22の床24と路面との間に架けられる誘導通路を、隙間を隔てて互いに平行に延びる2本のスロープレール28,28により構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、前記客室内において設定位置に位置決めされた状態で、前記座席の座面の高さが前記乗用車に予め用意されている座席と実質的に等しい可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものとを含む被介護者乗降補助装置。
【請求項2】 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、それら前輪対と後輪対との少なくとも一方が変向可能車輪対である可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものと、前記変向可能車輪対における少なくとも1個の車輪である対象車輪と前記2本のスロープレールのうちその対象車輪が走行させられるものである対象スロープレールとに設けられ、前記可動椅子がそれら2本のスロープレール上を走行する際に前記変向可能車輪対の変向を制限する変向制限機構とを含む被介護者乗降補助装置。
【請求項3】 前記変向制限機構が、前記対象スロープレールに対して位置が不変である部材を前記対象車輪の左向き面と右向き面とに各面に対向する位置において係合させることにより、前記対象車輪の変向を制限する請求項2に記載の被介護者乗降補助装置。
【請求項4】 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、前記座席が鉛直方向において少なくとも2個の位置に昇降可能である可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものとを含む被介護者乗降補助装置。
【請求項5】 前記可動椅子が、支持部と駆動部とを有する昇降装置を含み、かつ、前記支持部は、前記可動椅子の座席を一体的に昇降可能に支持する支持部材と、前記座席の背もたれの背後において、水平面と交差する方向に延びるとともに、前記支持部材を片持ち状にかつ昇降可能に支持する支柱とを含み、前記駆動部は、前記支持部材を昇降するように駆動するものである請求項4に記載の被介護者乗降補助装置。
【請求項6】 前記駆動部が、水平面と交差して前記可動椅子の横方向に延びる一平面上での回動運動を前記支持部材の昇降運動に変換する運動変換機構を含むものである請求項5に記載の被介護者乗降補助装置。
【請求項7】 前記運動変換機構が、前記可動椅子の前後方向に延びる一回動軸線まわりに回動させられるアームと、前記支持部材と共に昇降可能であるとともに前記可動椅子の横方向に延びる溝であって、前記アームにそれの自由端部において前記溝の長さ方向に移動可能に係合させられるものとを含むものである請求項6に記載の被介護者乗降補助装置。
【請求項8】 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、前記客室内において設定位置に位置決めされた状態で、前記座席の座面の高さが前記乗用車に予め用意されている座席と実質的に等しく、かつ、前記前輪対と後輪対との少なくとも一方が変向可能車輪対である可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものと、前記変向可能車輪対における少なくとも1個の車輪である対象車輪と前記2本のスロープレールのうちその対象車輪が走行させられるものである対象スロープレールとに設けられ、前記可動椅子がそれら2本のスロープレール上を走行する際に前記変向可能車輪対の変向を制限する変向制限機構とを含む被介護者乗降補助装置。
【請求項9】 さらに、前記各スロープレールの前端部を前記客室の床に一時的に連結する連結装置を含み、かつ、その連結装置が、前記床に装着される基台と、その基台に突出位置と格納位置とに変位可能に取り付けられた可動レールであって、突出位置において後端部が前記各スロープレールの前端部に着脱可能に係合するものとを有する請求項1ないし8のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗用車に対する乗降時に被介護者を補助する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】乗用車に対する乗降時に被介護者を補助する技術の一従来例が特開平5−85251号公報に記載されている。この従来例は、車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態において車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置である。具体的には、この従来例は、被介護者が着座するための車椅子と、乗用車の客室と路面等の車輪走行面との間を延びる折り畳み可能なスロープ板とを備えている。この従来例を使用すれば、被介護者は車椅子に着座したまま乗用車に乗ったり乗用車から降りたりすることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、この種の技術を研究した結果、その技術を設計する際に配慮することが望ましいいくつかの事項があることに気が付いた。それらは、被介護者の乗用車内での快適性と、乗降時における被介護者の椅子の走行安定性と、被介護者の乗降のための部品の使用および収納の容易性とである。
【0004】
【課題を解決するための手段および発明の効果】このような知見に基づき、本発明は、被介護者の乗用車内での快適性と、乗降時における被介護者の椅子の走行安定性と、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性とのうちの少なくとも2つを同時に向上させ得る被介護者乗降補助装置を提供することを課題としてなされたものであり、本発明によって下記各態様が得られる。各態様は、請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合せのいくつかの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると解釈されるべきではない。
【0005】(1) 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、前記客室内において設定位置に位置決めされた状態で、前記座席の座面の高さが前記乗用車に予め用意されている座席と実質的に等しい可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものとを含む被介護者乗降補助装置[請求項1]。この補助装置においては、可動椅子が乗用車に乗せられた状態で、その可動椅子の座面の高さがその乗用車に予め用意されている座席と実質的に等しくされている。したがって、この補助装置によれば、被介護者は、それの視線の高さが他の乗員と近い状態で、乗用車による移動時間を過ごすことが可能となり、被介護者の乗用車内での快適性が向上する。さらに、この補助装置においては、可動椅子を乗用車に対して乗降させるためにその乗用車の床面と車輪走行面との間に架けられる誘導通路が、隙間を隔てて互いに平行に延びる2本のスロープレールとされている。したがって、この補助装置によれば、その誘導通路を概して1つの連続した平面状を成すように構成する場合に比較して、誘導通路の軽量化が容易となる。その結果、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性が向上する。
(2) 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、それら前輪対と後輪対との少なくとも一方が変向可能車輪対である可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものと、前記変向可能車輪対における少なくとも1個の車輪である対象車輪と前記2本のスロープレールのうちその対象車輪が走行させられるものである対象スロープレールとに設けられ、前記可動椅子がそれら2本のスロープレール上を走行する際に前記変向可能車輪対の変向を制限する変向制限機構とを含む被介護者乗降補助装置[請求項2]。この補助装置によれば、2本のスロープレールが採用されているため、前記(1)項の説明に記載されている理由により、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性が向上する。さらに、この補助装置においては、可動椅子が2本のスロープレール上を走行させられる際に変向可能車輪対の変向が制限される。したがって、この補助装置によれば、乗降時における可動椅子の走行安定性、すなわち、直進性が向上し、その結果、介護者は、可動椅子を2本のスロープレール上を走行させる際に、変向可能車輪対がそれらスロープレールから逸脱しないように留意することを省略可能となる。
(3) 前記変向制限機構が、前記対象スロープレールに対して位置が不変である部材を前記対象車輪の左向き面と右向き面とに各面に対向する位置において係合させることにより、前記対象車輪の変向を制限する(2)項に記載の被介護者乗降補助装置[請求項3]。この補助装置によれば、比較的簡単な構造により、対象スロープレール上における変向可能車輪対の変向を制限し得る。この補助装置において部材の数は、単数としたり、複数とすることができる。複数の部材は、例えば、対象車輪を隔てて互いに対向するように配置し得る。
(4) 前記部材が、突起と溝との一方であって前記対象スロープレールに設けられたものであり、前記左向き面および右向き面が、前記突起と溝との他方であって前記対象車輪に設けられたものの両側面であり、それら突起と溝との嵌合により前記変向可能車輪対の変向を制限するものである(3)項に記載の被介護者乗降補助装置。
(5) 前記溝が、前記対象車輪の外周面にそれに沿って延びるものであり、前記突起が、前記対象スロープレールの表面にそれに沿って延びるとともに、前記溝に嵌合可能な形状を有するものである(4)項に記載の被介護者乗降補助装置。
(6) 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、前記座席が鉛直方向において少なくとも2個の位置に昇降可能である可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものとを含む被介護者乗降補助装置[請求項4]。この補助装置においては、可動椅子の座席が鉛直方向において少なくとも2個の位置に昇降可能とされている。したがって、この補助装置によれば、被介護者が可動椅子に座ったり可動椅子から立ち上がったりすることを容易に行うために座面を比較的高くしたいという要望と、被介護者が乗用車の客室内で他の乗員と同程度の視界を確保して快適性を向上させるために座面を比較的低くしたいという要望との双方を同じ可動椅子により実現し得る。さらに、この補助装置によれば、2本のスロープレールが採用されているため、前記(1)項の説明に記載されている理由により、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性が向上する。
(7) 前記可動椅子が、支持部と駆動部とを有する昇降装置を含み、かつ、前記支持部は、前記可動椅子の座席を一体的に昇降可能に支持する支持部材と、前記座席の背もたれの背後において、水平面と交差する方向に延びるとともに、前記支持部材を片持ち状にかつ昇降可能に支持する支柱とを含み、前記駆動部は、前記支持部材を昇降するように駆動するものである(6)項に記載の被介護者乗降補助装置[請求項5]。この補助装置によれば、可動椅子の座席が支柱に片持ち状で昇降可能に支持され、それら昇降および支持を実現するための機構を可動椅子の座席の下方に配置することが不可欠ではなくなる。その結果、可動椅子の座席の最下位置をできる限り低く設定することが容易となる。
(8) 前記駆動部が、水平面と交差して前記可動椅子の横方向に延びる一平面上での回動運動を前記支持部材の昇降運動に変換する運動変換機構を含むものである(7)項に記載の被介護者乗降補助装置[請求項6]。この補助装置によれば、可動椅子の横方向に延びる一平面上での回動運動を利用して可動椅子の昇降が行われるため、駆動部を可動椅子に搭載することに起因してその可動椅子の前後方向寸法が長くなってしまうことを容易に抑制し得る。
(9) 前記運動変換機構が、前記可動椅子の前後方向に延びる一回動軸線まわりに回動させられるアームと、前記支持部材と共に昇降可能であるとともに前記可動椅子の横方向に延びる溝であって、前記アームにそれの自由端部において前記溝の長さ方向に移動可能に係合させられるものとを含むものである(8)項に記載の被介護者乗降補助装置[請求項7]。この補助装置によれば、アームと溝との組合せにより、可動椅子の座席の昇降を比較的簡単な構造により実現し得る。
(10) 前記駆動部が、さらに、回転力を倍力して前記運動変換機構の入力軸に伝達する倍力機構を含む(8)または(9)項に記載の被介護者乗降補助装置。
(11) 車体がそれの後面において開放させられる車体開放状態で車体後方から客室へアクセス可能である乗用車に対する被介護者の乗降を補助する装置であって、被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、前記客室内において設定位置に位置決めされた状態で、前記座席の座面の高さが前記乗用車に予め用意されている座席と実質的に等しく、かつ、前記前輪対と後輪対との少なくとも一方が変向可能車輪対である可動椅子と、前記車体開放状態で、前記車体後面から後方に延びて前記客室の床面と路面等の車輪走行面との間に架けられ、前記可動椅子の前後の左輪対と前後の右輪対とをそれぞれ支持する2本のスロープレールであって、隙間を隔てて互いに平行に延びるものと、前記変向可能車輪対における少なくとも1個の車輪である対象車輪と前記2本のスロープレールのうちその対象車輪が走行させられるものである対象スロープレールとに設けられ、前記可動椅子がそれら2本のスロープレール上を走行する際に前記変向可能車輪対の変向を制限する変向制限機構とを含む被介護者乗降補助装置[請求項8]。この補助装置によれば、乗用車内での可動椅子の座面の高さがその乗用車の本来の座席に適合させられるため、前記(1)項の説明に記載されている理由により、被介護者の乗用車内での快適性が向上する。さらに、この補助装置によれば、2本のスロープレールが採用されているため、前記(1)項の説明に記載されている理由により、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性が向上する。さらにまた、この補助装置においては、可動椅子が2本のスロープレール上を走行する際に変向可能車輪対の変向が制限されるため、前記(2)項の説明に記載されている理由により、乗降時における可動椅子の走行安定性が向上する。
(12) 前記可動椅子が、前記乗用車に対する乗降時のみならず、その乗用車の走行時にも被介護者により使用されるものである(1)ないし(11)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
(13) さらに、前記各スロープレールの前端部を前記客室の床に一時的に連結する連結装置を含み、かつ、その連結装置が、前記床に装着される基台と、その基台に突出位置と格納位置とに変位可能に取り付けられた可動レールであって、突出位置において後端部が前記各スロープレールの前端部に着脱可能に係合するものとを有する(1)ないし(12)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置[請求項9]。この補助装置においては、スロープレールを乗用車の床に連結するためのレールが、基台に対して突出位置と格納位置とに変位可能な可動レールとされている。したがって、この補助装置によれば、スロープレールを乗用車の床に連結することが必要でない場合に、可動レールを格納位置に変位させて基台から突出しないようにするか、または突出するにしてもその突出量を突出位置におけるより少なくすることができる。その結果、スロープレールを床から取り外した状態で、乗用車の後面を開閉させるために乗用車に取り付けられている可動部材(例えば、リヤゲートパネル、後部ドア)と可動レールとの干渉なしで、乗用車の後面を閉塞することが可能となる。
(14) さらに、前記可動椅子が前記客室に搬入された状態で、その可動椅子を前記車体に固定する固定装置を含む(1)ないし(13)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
(15) 前記固定装置が、前記乗用車に対して位置が不変である単一または複数の部材を前記可動椅子の前向き面と後向き面とに各面に対向する位置において係合させることにより、その可動椅子が前記客室内で前後に移動することを制限する前後移動制限機構を含む(14)項に記載の被介護者乗降補助装置。
(16) 前記可動椅子の座席が、前記乗用車に予め用意されている座席と種類が実質的に同じである(1)ないし(15)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
(17) 前記可動椅子の座席が背もたれが座り部に傾倒可能に連結されているものである(16)項に記載の被介護者乗降補助装置。
(18) 前記可動椅子が、それの移動を制限するブレーキ装置を含む(1)ないし(17)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
(19) 前記ブレーキ装置がブレーキ操作部材と、作動状態で前記可動椅子の少なくとも一つの車輪の回転を制限するブレーキと、そのブレーキを前記操作部材の操作状態では非作動状態非操作状態では作動状態に制御する制御機構とを含む(18)項に記載の被介護者乗降補助装置。この補助装置においては、介護者が可動椅子をスロープレール上を走行させている際に、介護者がブレーキ操作部材から手を離した状態で、ブレーキが作動させられる。したがって、この補助装置によれば、可動椅子がスロープレールの途中で傾斜状態にあるときに、介護者は、重力によって可動椅子が意に反してスロープレールを下ってしまうことを比較的容易に阻止し得る。
(20) 前記可動椅子が、それを移動させる際に介護者により握られる握り部材と、その握り部材を揺動可能に支持するとともに当該可動椅子の前輪対と後輪対とのいずれかを操舵車輪対として変向可能に支持し、かつ、前記握り部材と操舵車輪対とを連動させる操舵装置とを含む(1)ないし(19)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
(21) 前記握り部材および前記操舵装置が、前記可動椅子において前記座席の背もたれの背後に配置されておりかつその操舵装置が前記後輪対を前記操舵車輪対として変向可能に支持するものである(20)項に記載の被介護者乗降補助装置。
(22) 前記背もたれが、下部の背後に上部の背後におけるより広い空間が形成される形状を有し、前記操舵装置が、その空間に配置されている(21)項に記載の被介護者乗降補助装置。この補助装置によれば、可動椅子の背もたれの背後に存在する空間を有効に利用することによって、操舵装置を配置し得、その結果、操舵装置を可動椅子に搭載することに起因して可動椅子の前後方向寸法が長くなってしまうことを容易に阻止し得る。
(23) 前記可動椅子の前輪対と後輪対とが、互いに実質的に等しい直径を有する(1)ないし(22)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。
(24) 前記2本のスロープレールの各々が、全体の長さが短くなるように折り畳み可能である(1)ないし(23)項のいずれかに記載の被介護者乗降補助装置。この補助装置においては、2本のスロープレールが折り畳み可能であるため、それらスロープレールを容易に搬送可能であるとともに、使用状態では長いスロープレールを収納状態では短くすることが可能となる。例えば、被介護者が利用する乗用車内に容易に収納可能となるのである。したがって、この補助装置によれば、被介護者の乗降を補助するための部品の使用および収納の容易性が向上する。
(25) 被介護者が着座するための座席を支持するフレームに左右の前輪対と左右の後輪対とが回転可能に装着されて構成されるとともに、それら前輪対と後輪対との少なくとも一方が変向可能車輪対である被介護者用可動椅子であって、支持部と駆動部とを有する昇降装置を含み、かつ、前記支持部は、前記可動椅子の座席を一体的に昇降可能に支持する支持部材と、前記座席の背もたれの背後において、水平面と交差する方向に延びるとともに、前記支持部材を片持ち状にかつ昇降可能に支持する支柱とを含み、前記駆動部は、前記支持部材を昇降するように駆動するものである被介護者用可動椅子。この被介護者用可動椅子は、被介護者が着座するための可動椅子の座席が昇降可能とされている。したがって、この被介護者用可動椅子によれば、被介護者が可動椅子に座ったり可動椅子から立ち上がったりすることを容易に行うために座面を比較的高くしたいという要望と、例えば、被介護者が乗用車の客室内で他の乗員と同程度の視界を確保して快適性を向上させるという目的を達成するために、座面を比較的低くしたいという要望とを同じ可動椅子により実現し得る。さらに、この被介護者用可動椅子によれば、可動椅子の座席が支柱に片持ち状で昇降可能に支持され、それら昇降および支持を実現するための機構を可動椅子の座席の下方に配置することが不可欠ではなくなる。その結果、可動椅子の座席の最下位置をできる限り低く設定することが容易となる。
(26) 前記駆動部が、水平面と交差して前記可動椅子の横方向に延びる一平面上での回動運動を前記支持部材の昇降運動に変換する運動変換機構を含むものである(25)項に記載の被介護者用可動椅子。この被介護者用可動椅子によれば、可動椅子の横方向に延びる一平面上での回動運動を利用して可動椅子の昇降が行われるため、駆動部を可動椅子に搭載することに起因してその可動椅子の前後方向寸法が長くなってしまうことを容易に抑制し得る。
(27) 前記運動変換機構が、前記可動椅子の前後方向に延びる一回動軸線まわりに回動させられるアームと、前記支持部材と共に昇降可能であるとともに前記可動椅子の横方向に延びる溝であって、前記アームにそれの自由端部において前記溝の長さ方向に移動可能に係合させられるものとを含むものである(26)項に記載の被介護者用可動椅子。この被介護者用可動椅子によれば、アームと溝との組合せにより、可動椅子の座席の昇降を比較的簡単な構造により実現し得る。
(28) 前記駆動部が、さらに、回転力を倍力して前記運動変換機構の入力軸に伝達する倍力機構を含む(26)または(27)項に記載の被介護者用可動椅子。
(29) さらに、当該可動椅子を移動させる際に介護者により握られる握り部材と、その握り部材を揺動可能に支持するとともに当該可動椅子の前輪対と後輪対とのいずれかを操舵車輪対として変向可能に支持し、かつ、前記握り部材と操舵車輪対とを連動させる操舵装置とを含む(25)ないし(28)項のいずれかに記載の被介護者用可動椅子。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0007】図1には、本発明の第1実施形態である被介護者乗降補助装置10が乗用車12に適用された状態で示されている。乗用車12は、路面等の車輪走行面14上を走行させられる。乗用車12の一例は、ステーションワゴンである。
【0008】乗用車12は、車体16の後面に後部ドア18を備えている。後部ドア18は、それの上端部において、車体16の後部開口20の上縁部にヒンジ(図示省略)を介して取り付けられている。そのヒンジの回動軸は車幅方向に延びており、後部ドア18は、そのヒンジの回動軸まわりに回動させられることによって開閉される。図1に示すように後部ドア18が開かれた状態では、車体16の後方から客室22へアクセス可能である。
【0009】客室22の床24には、図示しない複数のシートが、車体16の前後方向で3列となる形態で予め設けられている。それらシートのうち最後列に位置するものは、床24に対して着脱可能なシートである。
【0010】被介護者乗降補助装置10は、乗用車12の後部ドア18が開いた状態で被介護者の乗降を補助する装置である。そのため、この被介護者乗降補助装置10は、被介護者が着座する状態で走行可能な可動椅子26と、乗用車12の床24に連結可能な2本のスロープレール28,28と、連結装置30とを有している。連結装置30は、床24の設定位置であって乗用車12の最後列に属する複数のシートのいずれかが取り外された位置に装着された基台134(図2参照)を備えている。乗用車12内においては、その基台134に可動椅子26が固定される。
【0011】図2に示すように、可動椅子26は、フレーム32と、そのフレーム32により支持された、被介護者が着座するための座席34と、フレーム32に直接的ないしは間接的に装着された複数の車輪36とを備えている。
【0012】座席34は、図2に示すように、フレーム32の上部に固定されている。座席34は、乗用車12用のシートと実質的に同じリクライニング式とされている。具体的には、座席34は、背もたれ38が座り部39にリクライニングアジャスタ40を介して傾倒可能に連結されて構成されている。リクライニングアジャスタ40は、座り部39に対する背もたれ38の傾倒角度を調整するための機構である。
【0013】座席34は、可動椅子26が基台134に位置決めされた状態で、座り部39の座面(上面)の高さが、前記設定位置に本来であれば存在すべきシートと実質的に等しくなるように設計されている。したがって、座席34に着座する被介護者は、隣の乗員や前の乗員と視界を共有し得る。
【0014】座り部39の前方には、図3に示すように、左右のフットレスト42,42が位置している。それらフットレスト42,42は、フレーム32に取り付けられている。それらフットレスト42,42は、座り部39に着座した被介護者の左右の足を載せるためのものである。
【0015】前記背もたれ38は、図2に示すように、下部から上部に向かうにつれて後側に湾曲する形状を有している。したがって、リクライニングアジャスタ40により座席34を図2に示す標準的な位置(設計基準位置)に調整した状態では、背もたれ38の下部の背後に上部の背後におけるより広い空間43が形成される。
【0016】その空間43内に操舵装置44が、フレーム32の後部に固定されて配置されている。この操舵装置44には、可動椅子26を移動させる際に介護者により握られる握り部材としてのハンドル46が背もたれ38の上部の背後において装着されている。
【0017】図3に示すように、車輪36は、フレーム32の前後左右に4個設けられている。具体的には、それら4個の車輪36のうち前輪対を成す左前輪36および右前輪36は、フレーム32の前部の左右にそれぞれ回転可能にかつ互いに正対して装着されている。一方、後輪対を成す左後輪36および右後輪36は、操舵装置44に回転可能にかつ互いに正対して装着されて、フレーム32の後部の左右にそれぞれ位置している。前輪対36,36同士の間隔(以下、「前輪対間隔」という)と後輪対36,36同士の間隔(以下、「後輪対間隔」という)とは、互いに実質的に同じとなっている。
【0018】図2および図3に示すように、車輪36はいずれも、ディスク56の外周にタイヤ58が装着された構造を有するとともに、互いに実質的に等しい直径を有している。各車輪36におけるタイヤ58の外周面には、その外周面に沿って延びる1本の溝60が形成されている。この溝60は、図4に示すように、底部から開口部に近づくにつれて拡幅する形状を有している。タイヤ58の外周面の断面は、外向きに尖る形状を有している。
【0019】前記操舵装置44は、図3および図5(a)に示すように、左後輪36と右後輪36とをそれぞれ変向可能に支持する一対の変向機構64,64と、それら後輪対36,36の変向を制御するための変向制御機構66とを有している。
【0020】一対の変向機構64,64はそれぞれ、図5(a)および図6(a)(b)に示すように、支持部材68と、変向シャフト70と、支持ブラケット72とを備えている。
【0021】各支持部材68は、フレーム32の後端部分74の左および右端部のうちその支持部材68が対応するものに固定されている。各支持部材68には、変向シャフト70が垂直方向に挿通されている。変向シャフト70は、支持部材68により中心線方向に移動不能かつ中心線まわりに回転可能に支持されている。変向シャフト70の下端部は、支持部材68の下端面から突出させられている。
【0022】各支持ブラケット72は、共にフランジを有する水平部82と垂直部83とがL字状に結合されて構成されている。垂直部83には、それの幅方向に延びる取付穴78が貫通させられている。この取付穴78の長さ方向の適当な位置に、左後輪36および右後輪36のうち取付穴78が対応するものの回転軸80が挿入されて固定される。水平部82は、変向シャフト70の下端部に固定されており、それにより、互いに対応する支持ブラケット72と変向シャフト70とが一体的に回動可能となっている。
【0023】各後輪36は、対応する支持ブラケット72により回転軸80まわりに回転可能に支持されているとともに、対応する支持ブラケット72の回動に伴って各後輪36の回転平面がフレーム32の前後方向に対して傾斜させられる。すなわち、本実施形態においては、後輪対36,36が「変向可能車輪対」の一例を構成しているのである。
【0024】図3に示すように、変向制御機構66は、一対の変向アーム86,86と、一対の制御リンク88,88とを備えている。
【0025】一対の変向アーム86,86は、互いに等しい長さを有している。各変向アーム86は、図5(a)に示すように、対応する変向機構64の変向シャフト70に固定されており、それにより、互いに対応する変向アーム86と変向シャフト70と支持ブラケット72とが一体的に回動可能となっている。変向シャフト70の中心線は、対応する変向アーム86の長さ方向の中心を通っている。変向アーム86は、一水平面内で回動させられる。
【0026】一対の制御リンク88,88は、図3に示すように、互いに等しい長さを有している。一対の制御リンク88,88は上記一対の変向アーム86,86に、回動可能にかつ互いに共同して平行リンク機構89を構成するように連結されている。平行リンク機構89においては、一対の変向アーム86,86も一対の制御リンク88,88も互いに平行に保たれたまま、それら一対の変向アーム86,86と一対の制御リンク88,88とが互いに連動させられる。
【0027】前記変向制御機構66は、図3および図5(a)に示すように、さらに、制御アーム90と、制御シャフト92と、支持部材94とを備えている。制御シャフト92と支持部材94とは互いに同軸に垂直方向に延びている。
【0028】制御アーム90は、それの両端部のそれぞれにおいて、各制御リンク88,88の長さ方向の中心部に相対回動可能に連結されている。この制御アーム90は、左右の変向アーム86,86に対して平行となっている。
【0029】制御アーム90の長さ方向の中心部には、制御シャフト92の下端部が固定されている。制御シャフト92は、フレーム32の後端部分74の中央部に固定された支持部材94に挿通されている。この制御シャフト92は、支持部材94によって中心線方向に移動不能かつ中心線まわりに回転可能に支持されている。
【0030】制御シャフト92は、図2に示すように、支持部材94の上端面から上方に突出させられている。その突出部の上端部にはハンドル46が固定されており、それにより、それらハンドル46と制御シャフト92とが前記制御アーム90と共に一体的に回動可能となっている。
【0031】ハンドル46は、図3に示すように、それの中央に直線部95を有し、かつ、その直線部95の長さ方向の中心部において制御シャフト92に固定されている。直線部95の長さ方向は制御アーム90の長さ方向に対して直角となっている。直線部95の両端部から一対の握り部96,96が後方にかつ対称的に屈曲して延びている。したがって、図3に示すように、ハンドル46の直線部95がフレーム32の前後方向線Aに対して直交する状態(以下、この状態を「基準状態」という)では、図5(a)に示すように、後輪対36の回転軸80,80の軸方向がフレーム32の横方向と一致することとなる。
【0032】上記変向制御機構66の作動を図7に基づいて説明する。まず、ハンドル46が回動させられると、制御アーム90がハンドル46と同じ方向に同じ角度で回動させられる。この制御アーム90の回動に追従して、平行リンク機構89の作用により、一対の制御リンク88,88がそれぞれ平行移動させられるとともに、一対の変向アーム86,86がそれぞれ対応する支持ブラケット72,72と共に制御アーム90と同じ方向に同じ角度で回動させられる。その結果、支持ブラケット72,72により支持される後輪対36,36が変向させられる。すなわち、本実施形態においては、後輪対36,36が「操舵車輪対」の一例を構成しているのである。
【0033】ハンドル46の向きと可動椅子26の進行方向との関係を具体的に説明すれば、図3に示すように、ハンドル46を前記基準状態に保持する場合には可動椅子26が直進走行させられる。一方、図7に示すように、ハンドル46をそれの直線部95がフレーム32の左右方向に対して傾斜する状態に保持する場合には、可動椅子26が旋回走行させられる。
【0034】本実施形態においては、後輪対36,36の操舵性(例えば、ハンドル46の切れ味がシャープであるか否か)を、例えば、変向機構64において変向シャフト70を垂直方向に対して傾斜させたり、支持ブラケット72,72の取付穴78,78に対する後輪対36,36の取付位置を変えること等によって調整することが可能である。
【0035】図5(a)(b)に示すように、操舵装置44には、さらに、ハンドル46を中立位置に保持するデテント機構98が設けられている。このデテント機構98は、図5(b)に示すように、回転部100と、一対の付勢部101,101とを備えている。
【0036】回転部100は、概して円盤状を成している。この回転部100は、前記制御アーム90に前記制御シャフト92と同軸に固定されている。それにより、回転部100は、制御シャフト92の中心線まわりに制御アーム90およびハンドル46と一体的に回動可能となっている。
【0037】この回転部100の外周縁部には、回転部100の中心を隔てて可動椅子26の左右方向において互いに対向する2箇所において、それぞれ一対の凹み102,102が形成されている。凹み102は、部分円形断面で回転部100の厚さ方向に延びる形状を有している。
【0038】一対の付勢部101,101はそれぞれ、概して棒状の一対の部材104,104がばね等の付勢部材(図示省略)を介してケーシング105に装着された構造を有している。一対の部材104,104はそれぞれ、それの先端に形成された凸面において、中立位置にある回転部100の一対の凹み102,102に嵌入させられる。
【0039】したがって、前記基準状態、すなわち回転部100の中立位置においては、図5(b)に示すように、回転部100がその位置から回転することが制限され、その結果、ハンドル46が中立位置に自動的に保持されることとなる。
【0040】図2および図3に示すように、可動椅子26には、さらに、前輪対36,36を制動するブレーキ装置106が設けられている。このブレーキ装置106は、一対のブレーキ108と、一対のブレーキ操作部材110とを有している。
【0041】一対のブレーキ108,108はそれぞれ、フレーム32の前部の左右に固定されている。各ブレーキ108は、一対のブレーキ摩擦材111,111を各前輪36のタイヤ58にそれの両側から押し付けることにより、摩擦力によって各前輪36の回転を制限する。
【0042】一対のブレーキ操作部材110,110はそれぞれ、ハンドル46の各握り部96,96に取り付けられているとともに、一対のケーブル112,112を介してそれぞれ一対のブレーキ108,108に連結されている。本実施形態においては、各ブレーキ操作部材110の握り操作によって各ケーブル112が引っ張られることにより、対応するブレーキ108が作動させられる。
【0043】以上、可動椅子26の構成および作動を説明したが、次に2本のスロープレール28,28と連結装置30とを説明する。
【0044】2本のスロープレール28,28は、それぞれ薄い金属板で形成されている。それらスロープレール28,28の構成は互いに同じであるため、以下、その一方についてのみ構成を説明する。
【0045】スロープレール28は、図4および図8に示すように、概してU字状断面で略直線的に延びるレール本体114を有している。そのレール本体114の両側壁部間の内法寸法は、可動椅子26の車輪36の幅寸法よりも大きくされている。
【0046】レール本体114の両側壁部の上縁部にはそれぞれ、L字状断面で延びる補強フランジ116,116が形成されている。レール本体114の底部には、レール本体114の全長に亘って直線状に延びる突条118が設けられている。この突条118は、レール本体114の底部の幅方向中央部分がその底部の内表面側に突出する山形状に屈曲変形させられることにより形成されている。突条118は、図4に示すように、可動椅子26の車輪36の溝60に嵌合可能な幅寸法と、その溝60の深さよりも小さな高さ寸法とを有している。
【0047】レール本体114は、図8および図9(a)(b)に示すように、長手方向中間部分において略半分に折り畳み可能となっている。具体的には、レール本体114は、互いに略等しい長さの2本の部材120,120から構成されている。それら2本の部材120,120は各々の一端部において、一対のヒンジ122,122(図8参照)により互いに相対回動可能に連結されている。
【0048】図9(a)(b)に示すように、それらヒンジ122,122の回動軸124,124の軸方向はいずれも、2本の部材120,120の幅方向と一致している。ヒンジ122,122の回動軸124,124の中心線はいずれも、2本の部材120,120の底部から外方にずれている。
【0049】レール本体114は、図9(a)に示すように2本の部材120,120が各々の一端面で互いに突き合わされることによって直線的な状態(以下、この状態を「使用状態」という)となる。本実施形態においては、その使用状態にある2本の部材120,120が、各々の底部の内表面同士が互いに対向する方向へ相対回動することは不能となっている。
【0050】一方、レール本体114は、図9(b)に示すように、2本の部材120,120が各々の底部の外表面同士が互いに対向する状態(以下、この状態を「収納状態」という)となることにより、レール本体114の長さが短くなるよう折り畳まれる。
【0051】図1に示すように、レール本体114は、さらに、それの後端部において傾斜部126を有している。傾斜部126は、スロープレール28の使用状態において、水平面に対する傾斜角度がレール本体114の他の部分より大きくなるものである。一方、レール本体114は、前端部において、図10(a)(b)に示すように、一対の連結部材128,128を有している。
【0052】各連結部材128は、図10(a)に示すように、固定部130を有しており、その固定部130においてレール本体114の側壁部の外表面に固定されている。この固定部130の一端は、レール本体114の前端部から突出させられている。各連結部材128は、さらに、レール本体114の底部の外表面から突出する係合突起132を上記固定部130の前端部において有している。スロープレール28は、それら一対の連結部材128,128と連結装置30とにより、乗用車12の床24に連結される。
【0053】ここで、連結装置30を説明する。連結装置30は、図2および図8に示すように、基台134と、一対の可動レール136,136とを備えている。
【0054】基台134は、薄い金属板で長方形状に形成されている。この基台134においては、図8および図11に示すように、互いに平行な2本の屈曲部138,138が基台134の長さ方向全長に延びている。各屈曲部138は、基台134の表面に向かって開口させられている。それら屈曲部138,138は、前輪対間隔および後輪対間隔に対応した間隔を隔てて配置されている。また、2本の屈曲部138,138はいずれも、両側壁部間の内法寸法が可動椅子26の車輪36の幅寸法よりも大きくされている。
【0055】各屈曲部138は、スロープレール28の突条118と同様な形状を有する突条144を有している。この突条144は、屈曲部138の全長に亘って直線状に形成されている。
【0056】各屈曲部138の幅方向外方に位置する外側部146,146にはそれぞれ、L字状断面で延びる2つの固定フランジ148,148が形成されている。基台134は、それら固定フランジ148,148において、乗用車12の床24の前記設定位置に必要な取付具を使用して固定されている。この状態において、基台134の長さ方向が車体16の前後方向に一致させられる。
【0057】前記一対の可動レール136,136はそれぞれ、薄い金属板で形成されている。各可動レール136は、図11に示すように、U字状断面で延びるレール本体150を有し、そのレール本体150において、基台134の屈曲部138の裏面に摺動可能に嵌合されている。そのレール本体150の長さは、基台134の長さよりも短くされている。
【0058】レール本体150の底部の幅方向中央部分には、屈曲部138の突条144に重なり合う突条154が設けられている。この突条154は、レール本体150の全長に亘って形成されている。
【0059】レール本体150の両側壁部の上縁部には、基台134の外側部146と、屈曲部138,138により挟まれた中央部160とにそれぞれ部分的に重なり合う一対の保持フランジ162,162が形成されている。各保持フランジ162は、基台134に固定された保持体164,164により摺動可能に保持されている。それら保持体164,164により、一対の可動レール136,136は基台134にそれの長さ方向に、すなわち車体16の前後方向にスライド可能に装着されている。
【0060】各可動レール136には、さらに、図10(a)(b)に示すように、レール本体150の後端部166の底部において、係合部材156が固定されている。係合部材156は、レール本体150からそれの幅方向両側に突出させられている。この係合部材156の両突出端のそれぞれには、レール本体150の高さ方向に貫通する係合穴158が形成されている。この係合穴158は、係合突起132が挿入されて係合させられることが可能な大きさを有している。
【0061】可動レール136は、使用者により、それの後端部166が車体16の後方側に引っ張られることにより、基台134から突出させられる。その突出限度は、図1に示すように、車体16の後部ドア18が開いた状態で、可動レール136の後端部166が後部開口20の内周縁部168から後方へ所望の長さだけ突き出す位置(以下、この位置を「突出位置」という)である。この突出位置は、少なくとも係合穴158への係合突起132の挿入が可能となるように決められ得る。
【0062】一方、可動レール136は、使用者により、それの後端部166が車体16の前方側に押し込まれることにより、基台134に格納される。その格納限度は、可動レール136の後端部166が客室22に完全に収まり、後部ドア18の閉作動が阻害されない位置(以下、この位置を「格納位置」という)である。この格納位置は、可動レール136の後端部166が基台134の後端部から全く突出しない位置であっても、あるいは前記突出位置への突出量よりも少ない長さで突出する位置であってもよい。
【0063】以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、可動レール136が前記突出位置に変位させられ、図10(a)(b)に示すように、係合突起132が係合穴158に挿入され係合させられることにより、図1および図8に示すように、スロープレール28の連結部材128が可動レール136の後端部166に係合され乗用車12の床24に連結される。
【0064】この連結状態においては、図1に示すように、スロープレール28が車体16の後面から斜下後方に延び出させられ、傾斜部126において車輪走行面14に接触させられる。したがって、スロープレール28は、車輪走行面14に対して傾斜する姿勢で、乗用車12の床24と車輪走行面14との間に架設される。
【0065】2本のスロープレール28,28は、図8に示すように、前輪対間隔および後輪対間隔に対応した距離を有して互いに平行に並んでいる。本実施形態においては、2本のスロープレール28,28間の距離を正確に保持するために、図8に示すように、間隔調整部材170が2本のスロープレール28,28に跨って取付け可能となっている。
【0066】スロープレール28の車輪走行面14に対する傾斜角度は、そのスロープレール28の長さや床24の車輪走行面14からの高さ等に応じて定められる。この傾斜角度が小さいほど小さな力で可動椅子26をスロープレール28上を走行させることができる。
【0067】係合突起132と係合穴158との係合が解除させられれば、スロープレール28が乗用車12の床24から取り外し可能となる。本実施形態においては、このように取り外された2本のスロープレール28,28を折り畳んで収納可能な収納空間(図示省略)が乗用車12の客室22内に設けられている。
【0068】被介護者乗降補助装置10は、以上の構成要素に加え、図2に示す固定装置172を有している。この固定装置172は、前記連結装置30の基台134上に可動椅子26が位置決めされた状態において、その可動椅子26を車体16に固定し可動椅子26の前後移動を制限するものである。
【0069】固定装置172は、一対の前側ストッパ174,174を備えている。各前側ストッパ174,174は、基台134の各屈曲部138,138内の前側部分に固定されている。前側ストッパ174は、前輪対36,36のうち対応するものの外周面にそれの前方から係合することにより、可動椅子26の前方移動を制限する。
【0070】固定装置172は、さらに、一対の後側固定機構176,176を備えている。各後側固定機構176,176は、フレーム32に固定された第1部材177と、基台134に固定された第2部材178とを有している。第1部材177は、フレーム32から基台134に向かって延びてその先端に係合突部(図示省略)を有している。一方、第2部材178は、基台134からフレーム32に向かって延びてその先端に係合穴(図示省略)を有している。それら係合突部と係合穴とが互いに係合させられることにより、可動椅子26の後方移動が制限される。本実施形態においては、さらに、車輪36と屈曲部138の突条154との嵌合によって、可動椅子26の横移動が制限される。
【0071】以上、被介護者乗降補助装置10の構成を説明したが、以下、その被介護者乗降補助装置10を利用して乗用車12に対する被介護者の乗降を行う方法を説明する。
【0072】乗用車12に被介護者を乗車させる場合には、介護者は、まず、乗用車12の後部ドア18を開ける。次に、介護者は、折り畳まれている2本のスロープレール28,28を客室22内から車外へ搬出する。
【0073】続いて、介護者は、連結装置30の可動レール136を前記突出位置に変位させるとともに、スロープレール28,28を展開させる。その後、介護者は、係合突起132と係合穴158との係合により2本のスロープレール28,28と乗用車12の床24とを連結させて、それら2本のスロープレール28,28を床24の表面と車輪走行面14との間に掛け渡す。介護者は、さらに、間隔調整部材170を2本のスロープレール28,28に取り付け、それより、それらスロープレール28,28の間隔を適正にする。
【0074】続いて、介護者は、被介護者が着座する可動椅子26を乗用車12に乗せる。具体的には、介護者は、ハンドル46の操作により、左輪対36,36を左側スロープレール28に、右輪対36,36を右側スロープレール28にそれぞれ乗せて、可動椅子28を前進させる。スロープレール28,28上における可動椅子26の前進走行は、ハンドル46が中立位置に保持されるとともに、図4に示すように、各車輪36の溝60がスロープレール28の突条118に嵌合する状態で行われる。すなわち、本実施形態においては、溝60および突条118が「変向制限機構」の一例を構成しているのである。
【0075】なお付言すれば、本実施形態においては、可動椅子26の座面の高さが上述したように乗用車12用のシートの座席と略等しくなるように決められていることから、そのシートの床24からの高さが比較的低い場合には可動椅子26の座面の高さも低くなる。すなわち、被介護者が着座した状態での可動椅子26の重心位置が比較的に低くなるので、スロープレール28,28上を傾斜状態で走行する可動椅子26が転倒し難くなる。
【0076】介護者はさらに、ハンドル46の押し操作により可動椅子26を前進させて、左輪対36,36については、左側可動レール136さらには基台134の左側屈曲部138に、右輪対36,36については、右側可動レール136さらには右側屈曲部138にそれぞれ乗せる。連結装置30上における可動椅子26の前進も、各車輪36の溝60が可動レール136の突条144や屈曲部138の突条154に嵌合する状態で行われる。
【0077】このような一連の可動椅子26の前進に際して、介護者は、2本のスロープレール28,28間の隙間に立ってハンドル46の操作を行うことができる。また、介護者は、ブレーキ装置106のブレーキ操作部材110を握り操作することにより、必要に応じて可動椅子26を制動することができる。
【0078】介護者は、以上のようにして可動椅子26を後部開口20を通過して客室22に搬入して連結装置30上に位置決めした後、その可動椅子26を車体16に固定装置172により固定する。
【0079】続いて、介護者は、間隔調整部材170を2本のスロープレール28,28から取り外し、その後、係合突起132と係合穴158との係合解除により2本のスロープレール28,28を床24から取り外す。さらに介護者は、取り外したスロープレール28,28を折り畳んで客室22内に収納する一方、可動レール136を格納位置に変位させた後、後部ドア18を閉じる。本実施形態においては、被介護者が可動椅子26に着座したまま乗用車12が走行させられる。
【0080】一方、乗用車12から被介護者を降車させる場合には、介護者は、上述した方法を逆の順序で行うこととなる。
【0081】次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのは可動椅子の構成のみであるため、その可動椅子のみについて詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0082】本実施形態の可動椅子200は、図12に示すように、座席34を昇降させるための昇降装置202を備えている。この昇降装置202は、支持部204と、駆動部206とを有しており、その支持部204は、一対の支柱208,208と、一対の支持部材210,210と、昇降体212とを備えている。
【0083】一対の支柱208,208はそれぞれ、図15(図において上方が可動椅子200の前方に当たる)に示すように、略U字状断面で垂直に延びる形状を有している。それら支柱208,208は、図12に示すように、フレーム32の後部の左右に固定されるとともに、図15に示すように、各々の中央板部208aの外表面同士をフレーム32の左右方向において互いに対向させている。一対の支柱208,208は、座席34の背もたれ38の背後に位置させられている。
【0084】本実施形態においては、第1実施形態の操舵装置44に対して、変向制御機構66において前側制御リンク88が省略されるとともに各変向アーム86,86の前側部分が省略された構成の操舵装置209が採用されている。この操舵装置209の採用により、一対の支柱208,208を可動椅子200に設置することに起因した可動椅子200の前後方向寸法の増大が抑えられている。
【0085】前記一対の支持部材210,210はそれぞれ、図12に示すように、座席34の座り部39の左右両側部を下方から固定的に支持している。一対の支持部材210,210は前記昇降体212から前方に延びている。
【0086】前記昇降体212は、図13および図15に示すように、C字状断面で垂直に延びている。昇降体212は、支柱208,208の双方に複数の軸受214と複数の軸受216とを介して装着されている。この昇降体212の両側板部212b,212cの間に支柱208,208が配置されている。各支柱208は、昇降体212の中央板部212aの内表面が、それら各支柱208の両側板部208b,208cのうち前側に位置するものの外表面と対向するように配置されている。
【0087】複数の軸受214は、図14および図15に示すように、各支柱208に関して2個ずつ設けられている。それら複数の軸受214は、それらの回転平面が前後に延びる垂直面とされている。各軸受214は、それの内輪において、昇降体212の各側板部212b,212cに垂直に固定された軸218に固定されている。各軸受214の外輪は、各支柱208の両側板部208b,208c間に適当なクリアランスをもって収容されている。
【0088】一方、複数の軸受216も、図13および図15に示すように、各支柱208に関して2個ずつ設けられている。それら複数の軸受216は、それらの回転平面が左右に延びる垂直面とされている。各軸受216は、それの内輪において、昇降体212の中央板部212aに垂直に固定された軸220に固定されている。各軸受216の外輪は、それの外周面において、各支柱208の中央板部208aに接触させられている。
【0089】昇降体212の下部には、図14に示すように、前記各支持部材210の後部が垂直に固定されている。それにより、一対の支持部材210,210が昇降体212を介してそれら支柱208,208に片持ち状にかつ昇降可能に支持されている。
【0090】支持部材210,210の昇降(すなわち、座席34の昇降)に際し、本実施形態においては、各支柱208に関する2個の軸受214のうち上側のものの外輪がその支柱208の前側側板部208bに接触して回転させられる一方、下側のものの外輪がその支柱208の後側側板部208cに接触して上側のものとは反対方向に回転させられる。これに対して、各軸受216は各軸受214と共同して、昇降体212の横方向における変位を抑制するように働く。したがって、支持部材210,210は大きながたなくスムーズに昇降させられる。
【0091】前記駆動部206は、図13に示すように、倍力機構222と、操作部材224と、運動変換機構226とを備えている。
【0092】倍力機構222は、ウォームギヤで構成されている。この倍力機構222は、フレーム32に幅方向中心から一方向(本実施形態においては左方)にずれた位置に固定されている。倍力機構222においては、図示しないウォームの回転軸は支柱208,208と平行に延びる一方、図示しないウォームホイールの回転軸は可動椅子26の前後方向前側に延びている。
【0093】前記操作部材224は、ハンドル228と、そのハンドル228の中心部に固定された回転軸229とから構成されている。回転軸229は、倍力機構222の前記ウォームの回転軸に同軸に連結されており、それにより、ハンドル228が前記ウォームと一体的に回転させられる。
【0094】前記運動変換機構226は、溝形成部材230と、アーム232とを有して構成されている。
【0095】溝形成部材230は、溝234を形成している。溝形成部材230は昇降体212の下部に、溝234がフレーム32の横方向に延び、かつ、後方に開口する形態で固定されている。溝形成部材230は、昇降体212と共に、さらには支持部材210,210と共に、昇降可能となっている。
【0096】前記アーム232は、それの基端部236において、入力軸238に固定されている。入力軸238は、倍力機構222のウォームホイールの回転軸と同軸に連結されている。アーム232は入力軸238の中心線まわりに、すなわち、水平方向に延びる一軸線まわりに前記ウォームホイールと一体的に回動させられる。
【0097】アーム232の自由端部240には、その自由端部240から前記溝形成部材230に向かって延びる軸242が設けられている。この軸242には、軸受244の内輪が固定されている。軸受244の外輪は、溝形成部材230の溝234内に適当なクリアランスをもってスライド可能に収容されている。要するに、アーム232の自由端部240は軸受244において、溝234にそれの長さ方向に移動可能に係合されているのである。
【0098】ここで、駆動部206の作動を説明する。まず、ハンドル228が回転させられると、倍力機構222の作用により、そのハンドル228に加えられる回転力が倍力されてアーム232の入力軸238に伝達される。その回転力の伝達を受けてアーム232が回動させられると、溝形成部材230が昇降体212および一対の支持部材210,210と共に昇降させられる。その結果、座席34が昇降させられる。
【0099】このように、運動変換機構226は、アーム232の入力軸238まわりの回転運動を、溝形成部材230が昇降体212および支持部材210,210と共に昇降する昇降運動に変換する往復両スライダクランク機構なのである。
【0100】本実施形態においては、運動変換機構226がウォームギヤ式とされていて、逆方向伝達、すなわちウォームホイールからウォームへの力の伝達が実質的に阻止される。そのため、運動変換機構226は、ハンドル228が操作されない状態では、座席34を同じ位置に保持する機能を有する。したがって、座席34が鉛直方向における最上到達位置と最下到達位置との間の任意の位置に停止可能となっている。
【0101】なお付言すれば、本実施形態においては、支柱208が垂直方向に延びていて、その垂直方向が「水平面と交差する方向」の一例であるが、支柱208が垂直方法に対して傾斜する方向に延びる形態で本発明を実施することが可能である。この形態においては、垂直方向に対して傾斜する方向が「水平面と交差する方向」の一例である。
【0102】次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多く、異なるのは可動椅子の構成のみであるため、その可動椅子のみについて詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0103】本実施形態においては、図16に示すように、可動椅子300に第2実施形態とは異なる構成の昇降装置302が設けられている。この昇降装置302は、支持部材304と、一対の昇降リンク306,306から成るリンク対308と、駆動機構310とを有している。リンク対308は、可動椅子300の左右にそれぞれ設けられている。
【0104】支持部材304は、座席34の座り部39を下方から固定的に支持している。支持部材304は、フレーム32にリンク対308,308を介して装着されており、それにより、支持部材34がそのフレーム32の上方に位置させられている。各リンク対308は、支持部材304とフレーム32とを互いに回動可能に連結している。したがって、支持部材304とフレーム32とが互いに平行に保たれるとともに、左右両側において一対の昇降リンク306,306が互いに平行に保たれたまま、それら支持部材304と一対の昇降リンク306,306とが連動する平行リンク機構314が構成されるのである。
【0105】前記駆動機構310は、昇降ボルト316と、一対のナット318,318とを備えている。昇降ボルト316は、それの頭部を上にした状態でフレーム32の中央部分に螺合されて、垂直に延びている。その昇降ボルト316の頭部は、支持部材304の下部の中央部分に当接させられている。一対のナット318,318はそれぞれ、フレーム32の中央部分の上部および下部に接した状態で、昇降ボルト316に螺合されている。
【0106】したがって、本実施形態においては、一対のナット318,318が緩められた状態で、昇降ボルト316の頭部がレンチ等により回転させられると、その昇降ボルト316が上方または下方に変位させられる。この昇降ボルト316の変位に追随して、平行リンク機構314の作用によって支持部材304の昇降がなされ、それにより座席34が昇降させられる。
【0107】以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、昇降ボルト316の回転操作に従って、座席34が鉛直方向における最上到達位置と最下到達位置との間の任意の位置に昇降可能となっている。
【0108】次に、本発明の第4実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、本実施形態は、第1実施形態と共通する要素が多いため、異なる要素のみについて詳細に説明し、共通する要素については同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0109】本実施形態においては、図17に示すように、乗用車12用の3列のシートのうちで最高列に位置するものの一つが取り外されるとともに、その位置が可動椅子26の固定位置とされている。可動椅子26が車体16に固定された状態では、その可動椅子26が乗用車12用のシート400の横に隣接している。
【0110】さらに、本実施形態においては、車体16に固定された可動椅子26の座り部39の座面の高さと、隣のシート400の座面の高さとが、互いに実質的に等しくされている。
【0111】以下、本実施形態における被介護者の乗用車12への乗降方法のうち、乗車方法を以下に説明する。降車方法については、以下の乗車方法を逆の順序で行うことにより実現されるため、説明を省略する。
【0112】乗用車12に被介護者を乗車させるに際して、介護者は、まず、第1実施形態と同様に、2本のスロープレール28,28を利用して、可動椅子26を後部開口20を経て客室22内に搬入し、連結装置30上に位置決めする。その後、介護者は、可動椅子26を車体16に固定装置172により固定する。
【0113】続いて、介護者は、可動椅子26に着座する被介護者を抱き上げて、その被介護者を可動椅子26から隣のシート400に移動させる。その後、介護者は、第1実施形態と同様にして、間隔調整部材170の取り外し、2本のスロープレール28,28の取り外しおよび収納、ならびに可動レール136の格納を実施する。したがって、本実施形態においては、被介護者が可動椅子26ではなく、乗用車12用のシート400に着座した状態で乗用車12が走行させられる。
【0114】以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、乗用車12の走行時に被介護者が乗用車12用のシート400に着座することとなることから、被介護者は、そのシート400用として乗用車12に予め用意されたシートベルトを着用することができるため、より高い安全性が確保され得る。
【0115】さらに、本実施形態においては、可動椅子26が、シート400と座面の高さが等しくなるように車体16に固定されることから、介護者は可動椅子26とシート400との間で被介護者を移動させ易くなる。その結果、その移動作業に費やされる労力が軽減され得る。
【0116】なお付言すれば、本実施形態においては、可動椅子26の代わりに第2実施形態および第3実施形態の可動椅子200,300を採用しても、同様な効果が得られる。
【0117】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明は、前記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄に記載された態様を始めとするその他の形態で実施することが可能である。
【0118】例えば、本発明が適用される乗用車は、車体がそれの後面において開放されるものであればよく、その開放のための形式の如何は問題にならない。例えば、一または複数の可動部材が車幅方向に延びる回動軸まわりに回動させられることにより車体後面が開放される形式や、一または複数の可動部材が車高方向に延びる回動軸まわりに回動させられることにより車体後面が開放される形式を採用する乗用車にも本発明を適用し得るのである。
【0119】また、上述の実施形態においてはいずれも、車輪の溝が1個のタイヤにより形成されているが、例えば、2個のタイヤを隙間を残して重ね合わせて1個の車輪を構成する場合には、それら2個のタイヤの対向する2つの内面を溝の両側面に代わるものとして利用し得る。
【0120】さらに、上述の実施形態においてはいずれも、スロープレールに設けられる突条が、そのスロープレールを構成する部材を屈曲変形することにより形成されているが、スロープレールとは別部材で形成するようにして本発明を実施することも可能である。
【0121】さらにまた、上述の実施形態はいずれも、後輪対が変向可能車輪である一例および操舵車輪対である一例であるが、前輪対を変向可能車輪対とするとともに操舵しない自在輪として本発明を実施することも可能である。
【0122】また、上述の実施形態においてはいずれも、連結装置の可動レールの変位が連続的なスライドによって実現されるようになっているが、可動レールを突出位置と格納位置とに着脱して位置決めする等といった不連続的な動きによって実現されるようにして本発明を実施することも可能である。
【0123】これらの他にも、特許請求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した形態で本発明を実施することが可能である。
【出願人】 【識別番号】500242764
【氏名又は名称】中野 道太
【識別番号】500242775
【氏名又は名称】中野 杉太
【出願日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【代理人】 【識別番号】100107674
【弁理士】
【氏名又は名称】来栖 和則
【公開番号】 特開2001−333936(P2001−333936A)
【公開日】 平成13年12月4日(2001.12.4)
【出願番号】 特願2000−157415(P2000−157415)