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【発明の名称】 車椅子用乗降補助装置
【発明者】 【氏名】近藤 孝二

【氏名】大内 克也

【要約】 【課題】本発明は、面倒な介助を必要とせずに、車椅子の乗車および降車の双方が行える車椅子用乗降補助装置を提供する。

【解決手段】本発明の車椅子用乗降補助装置は、車両の開口3下部と地面との間に配置されるスロープ部材11に、車椅子5を保持する自走式の車椅子保持装置20を組付け、車椅子5のキャスタ5bを保持したまま、スロープ部材11に沿って移動させる構造して、車椅子5の乗車時には、車椅子5を車椅子保持装置20の自走ユニット23でアシストしながら登坂させ、降坂時には、同自走ユニット23で車椅子5が下る方向の慣性力を抑えながら車椅子5を降坂させるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車椅子が乗降可能な開口をもつ車両の前記開口とそれより下側にある車両の接地面との間に配設され、高低差のある前記両地点へ車椅子を通行させるスロープ部材と、前記スロープ部材に同スロープ部材の傾斜方向に沿って自走するように組付けられ、前記車椅子を保持したまま前記スロープ部材に沿って移動させる自走式の車椅子保持装置とを具備してなることを特徴とする車椅子用乗降補助装置。
【請求項2】 前記車椅子保持装置は、前記スロープ部材の前記車椅子が通る領域を挟む幅方向両側に形成された一対のガイドレールと、前記各ガイドレールにそれぞれ組み付けられ、当該ガイドレールにならって前記スロープ部材を自走する一対の自走ユニットと、各自走ユニット間を連結し、各自走ユニットを略平行の姿勢に保つ連結部材と、前記連結部材に設けられ、前記車椅子のキャスタを着脱可能に保持する保持部とを有して構成されることを特徴とする請求項1に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項3】 前記各自走ユニットは、前記ガイドレールを転がるガイドローラが組付くと共に前記連結部材の端部が連結された本体と、前記本体内に収められた電動モータと、前記本体内で前記スロープ部材上を転がるように収められた駆動タイヤと、前記電動モータの駆動力を前記駆動タイヤへ伝える伝達機構とを有して構成されることを特徴とする請求項2に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項4】 前記各自走ユニットは、前記ガイドレールを転がるガイドローラが組付くと共に前記連結部材の端部が連結された本体と、前記本体内に収められた電動モータと、前記本体内に収められ、外周部に歯車状の凹凸を有する回転部材と、前記電動モータの駆動力を前記回転部材へ伝える伝達機構とを有して構成され、かつ前記スロープ部材あるいは前記ガイドレールには、前記回転部材の凹凸と係合する係合部が傾斜方向に沿って連続的に形成され、前記回転部材が回転すると、前記自走ユニットが、前記スロープ部材に沿って進行するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項5】 前記電動モータからの回転は、ウォーム式歯車機構で減速されて出力されることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項6】 前記電動モータは、車両に設置されたハーネス自動巻き取り装置から導出されたハーネスに接続されるとともに、前記ガイドレールに沿って配線された前記ハーネスを通じて給電されることを特徴とする請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項7】 前記保持部は、前記連結部材に支持され前記車椅子の前側の各キャスタを載せる一対のキャスタ載せと、前記キャスタ載せに載ったキャスタを保持する保持具とを有して構成されることを特徴とする請求項2に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項8】 前記キャスタ載せは、前記スロープ部材の傾斜方向に沿って延びる前記キャスタ幅にならう溝形をなし、前記スロープ部材の下側へ向く一端側には、前記接地面からスロープ部材へ向かう車椅子のキャスタを前記溝形へガイドする左右方向に拡開するキャスタ出入口を有し、前記スロープ部材の他端側には、前記キャスタ出入口から進入したキャスタを後退しないように下側へ落とし込む屈曲部を有して構成され、前記保持具は、前記自走ユニットに固定されたベルトの先端を車椅子のフレーム部分に引掛けて、車椅子のキャスタを保持するベルト式締め具から構成されることを特徴とする請求項7に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項9】 前記各キャスタ載せは、前記連結部材に前記スロープ部材の幅方向にずらせるように支持されるとともに、締結具により任意の地点に位置決め固定されるようにしてあることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項10】 前記各キャスタ載せは、前記連結部材に前記スロープ部材の幅方向にずらせるように支持されるとともに、リンク機構によって、1つの操作レバーの操作で対称的に位置決め固定されるようにしてあることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項11】 前記スロープ部材は、前記車両の内部に格納されるよう、途中がヒンジにより谷折れで前記ガイドレールが向き合うように長手方向から折り畳み可能に構成され、前記ガイドレールは、前記谷折りをなすヒンジから分割されるとともに、同ヒンジを挟む分割レールの一方の端部分が分割されて谷折れ可能に支持され、前記スロープ部材を折り畳む際、前記分割レールの端部分を谷折れすることにより、前記ヒンジを挟んだ分割レールの端部同士が当接しないようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項12】 前記一方の分割レールの分割した端部分は、クリップ具で、他方の分割レールに着脱可能に連結されて、ガイドレールの所定形状が保たれるようにしてあることを特徴とする請求項11に記載の車椅子用乗降補助装置。
【請求項13】 前記一方の分割レールの分割した端部分と前記他方の分割レールとは、前記スロープ部材を折り畳むにしたがい、分割した端部分が谷折れして他方の分割レールからずれ上がる斜めの合せ面で合せてあり、かつ双方は、一方の側面に設けられ前記合せ面に沿う斜め方向の切欠部を有するガイド部材と、他方の側面に設けられ前記ガイド溝に摺動自在に挿入されるガイドピンとで構成されるカム機構によって、前記スロープ部材を展開するにしたがいガイドレールの所定形状が保たれるようにロックされ、前記スロープ部材を折り畳むにしたがい、前記分割した端部分が谷折れしながらずれ上がり他方の分割レールと重なり合うようにしてあることを特徴とする請求項11に記載の車椅子用乗降補助装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、乗員を載せた車椅子を車両に乗せたり降ろしたりするときの手助けに用いられる車椅子用乗降補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車椅子を使う人の行動範囲を拡げるために、近時、車椅子の搭載を可能とした自動車(車両)が登場している。
【0003】テールゲートをもつ1ボックスタイプのワゴン車は、車室内のリア側に車椅子を収容できるスペースが確保しやすいという利点から、多くはワゴン車の後部開口を車椅子が出入り可能な開口として利用して、乗降補助装置を使い、車椅子を乗降させることが進められている。
【0004】乗降補助装置では、車両の床面(後部開口の下部)とそれより下側の地面(自動車の接地面)といった高低差のある両地点に、乗員を乗せた車椅子を良好に移動できることが求められる。
【0005】そこで、乗降補助装置には、後部開口の下部から地面までの間に平板状のスロープ部材を配置して、人手(介助者など)で、地面で待機している車椅子(乗員を乗せたまま)を動かし、スロープ部材の上面を通行させて、後部開口から車室内へ乗車させるようにした構造がある。
【0006】ところが、介助者は、車椅子の重量に乗員の体重を加えた重量の重量物を押し上げたり引張り上げたりするので、かなり労力的に大きな負担が強いられる。
【0007】そこで、特開平11−1139363号にも開示されているように、車室内にウインチを設置して、ウインチの巻取り力で、乗員を乗せたまま車椅子を、スロープ部材から引き上げる構造を採用して、介助者をアシストすることが行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところが、降車時にはウインチの巻取り力が働かないため、降車の際、介助者は、車椅子の重量と乗員の体重、さらには下る慣性力を考慮したアシストを行うことが求められ、それが介助者にとって負担となっていた。
【0009】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、面倒な介助を必要とせずに車椅子の乗車と降車との双方が行える車椅子用乗降補助装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載の車椅子用乗降補助装置は、車両の開口下部と車両の接地面との間に配置されるスロープ部材に、車椅子保持装置をスロープ部材の傾斜方向に沿って自走するように組付け、車椅子を保持したまま、スロープ部材に沿って移動させるようにした。
【0011】これにより、乗車の際は、スロープ部材の昇る方向に自走する車椅子保持装置の登坂力でアシストして、乗員を乗せたまま車椅子がスロープ部材に沿って引き上げられる。また降車の際も、車椅子が下る慣性力を車椅子保持装置の降坂力で抑えて、乗員を乗せたまま車椅子をスロープ部材に沿って降ろすので、いずれも面倒な介助を必要とせずに乗降補助が行える。
【0012】請求項2に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、さらに乗員を乗せた状態の車椅子をふらつかずにスロープ部材上を移動させるために、車椅子保持装置を、スロープ部材の前記車椅子が通る領域を挟む幅方向両側に形成された一対のガイドレールと、同ガイドレールにならってスロープ部材を自走する一対の自走ユニットと、各自走ユニット間を連結し各自走ユニットを略平行の姿勢に保つ連結部材と、同連結部材に設けられ車椅子のキャスタを着脱可能に保持する保持部とを有し構成して、略平行な位置関係を保ちながら自走する一対の自走ユニットで、動きやすくなっている車椅子のキャスタの動きを拘束したまま、スロープ部材上を車椅子が通るようにした。
【0013】請求項3に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、さらに簡単な構造の自走ユニットが得られるよう、自走ユニットを、ガイドレールを転がるガイドローラが組付き、連結部材の端部が連結された本体と、本体内に収められた電動モータと、本体内でスロープ部材上を転がるように収められた駆動タイヤと、電動モータの駆動力を駆動タイヤへ伝える伝達機構とを有して構成したことにある。
【0014】請求項4に記載の車椅子用乗降補助装置は、同じく自走ユニットを、ガイドレールを転がるガイドローラが組付き、連結部材の端部が連結された本体と、本体内に収められた電動モータと、本体内に収められ、外周部に歯車状の凹凸を有する回転部材と、電動モータの駆動力を回転部材へ伝える伝達機構とを有して構成し、さらにスロープ部材あるいはガイドレールは、回転部材の凹凸と係合する係合部が傾斜方向に沿って連続的に形成された構成とし、回転部材が回転すると、自走ユニットが、スロープ部材に沿って進行するようにしたことにある。
【0015】請求項5に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、電動モータが停止しても、スロープ部材の途中で車椅子が後退することが起きないよう、電動モータからの回転は、ウォーム式歯車機構で減速されて出力されるようにしたことにある。
【0016】請求項6に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、ハーネスを用いて、車両側から、たるんだりせずに自走ユニットの電動モータへ電源を供給できるよう、電動モータは、車両に設置されたハーネス自動巻き取り装置から導出されてガイドレールに沿いに配線されるハーネスが接続される構造にしたことにある。望ましくは、ハーネスが見栄えよく配線されるよう、ハーネスは、ガイドレールの内部を通して、電動モータへ至るようにし手在ることが好ましい。
【0017】請求項7に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、簡単な構造で車椅子の前側の保持が行えるよう、保持部を、連結部材に支持され車椅子の前側の各キャスタを載せる一対のキャスタ載せと、キャスタ載せに載ったキャスタを保持する保持具とを有して構成したことにある。
【0018】請求項8に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、簡単な構造で脱落なく確実にキャスタを保持できるよう、キャスタ載せは、スロープ部材の傾斜方向に沿って延びるキャスタ幅にならう溝形をなし、スロープ部材の下側へ向く一端側には、接地面からスロープ部材へ向かう車椅子のキャスタを溝形へガイドする左右方向に拡開するキャスタ出入口を有し、スロープ部材の上側へ向く他端側には、キャスタ出入口から進入したキャスタを後退しないように下側へ落とし込む屈曲部を有して構成され、保持具は、自走ユニットに固定されたベルトの先端を車椅子のフレーム部分に引掛けて、車椅子のキャスタを保持するベルト式締め具から構成したことにある。
【0019】請求項9に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、車椅子の種類で異なるキャスタ間の距離に、キャスタ載せが位置合せできるよう、各キャスタ載せを連結部材にスロープ部材の幅方向にずらせるように支持し、同キャスタ載せが締結具により任意の地点に位置決め固定されるようにしたことにある。
【0020】請求項10に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、1回の操作で一対のキャスタ載せの双方の位置合わせが行えるよう、各キャスタ載せを連結部材にスロープ部材の幅方向にずらせるように支持し、かつリンク機構によって、1つの操作レバーの操作で対称的に位置決め固定されるようにしたことにある。
【0021】請求項11に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、スロープ部材を谷折りで折り畳んで車両に格納する場合、谷折りのヒンジを挟むガイドレール部分が互いに干渉せずに格納が行えるよう、このときのガイドレールは、スロープ部材の谷折りをなすヒンジから分割し、さらに同ヒンジを挟む分割レールの一方の端部分を分割して谷折れ可能に支持し、スロープ部材を折り畳む際、分割レールの端部分を谷折れすることにより、ヒンジを挟んだ分割レールの端部同士が当接しないようにしたことにある。
【0022】請求項12に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、簡単な操作でスロープ部材の展開が行えるよう、一方の分割レール部分の分割した端部分は、クリップ具で、他方の分割レールに着脱可能に連結する構成としたことにある。
【0023】請求項13に記載の車椅子用乗降補助装置は、上記目的に加え、人手操作を要せずに自動で、分割レールの逃げ、分割した分割レールの端部分と他方の分割レールとの連結が行えるよう、一方の分割レールの分割した端部分と他方の分割レールとは、スロープ部材を折り畳むにしたがい、分割した端部分が谷折れして他方の分割レールからずれ上がる斜めの合せ面で合せ、かつ双方は、一方の側面に設けられ合せ面に沿う斜め方向の切欠部を有するガイド部材と、他方の側面に設けられガイド溝に摺動自在に挿入されるガイドピンとで構成されるカム機構によって、スロープ部材を展開するにしたがいガイドレールの所定形状が保たれるようにロックされ、スロープ部材を畳むにしたがい、分割した端部分が谷折れしながらずれ上がり他方の分割レールと重なり合うようにしたことにある。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図9示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
【0025】図1は、例えば1ボックスのワゴン車(車両)の後部側を示し、図中1は、後部にテールゲート2で開閉される開口3を有する車体である。この車体1の車室内(車体1の内部空間で形成される室)の最後部側には、乗員Sを載せたまま、車椅子5(シート5aの前側に左右一対のキャスタ5bを有し、シート5aの左右両側に一対の大輪5cを有して構成される椅子)の収容が行える乗車スペースが確保してある。
【0026】この車体1には、後部開口3を車椅子5の乗降が行える開口として利用して、車外、すなわち地面(ワゴン車が接地している接地面)から、車椅子5を車室内へ乗車させたり降車させたりする乗降補助装置10が組み込まれている。
【0027】乗降補助装置10は、車室内の最後尾に組み込まれた折畳式のスロープ部材11と、同スロープ部材11上を自走する自走式の車椅子保持装置20とを有して構成されている。
【0028】このうちスロープ部材11は、図2および図3にも示されるように乗車スペースの床面を形成する車内側の第1の平板12a、同平板12aの端部にヒンジ13aを介して谷折り可能に回動自在に連結される車外用の第2の平板12b、同平板12b端部にヒンジ13bを介して山折り可能に回動自在に連結された車外用の第3の平板12cとを有して構成してある。そして、車室の最後部に配置されている第1の平板12aの後部側は、下側に傾斜していて、図2に示されるようにテールゲート2を開けて、各平板12a〜12cを開口3から外へ引き出し、直線状に平板12bと平板12cとを連ならせることにより、開口3から地面へ向かうスロープが形成されるようにしてある。各平板12a〜12cは、車椅子5が通行できる幅寸法を有していて、同スロープを用いて、高低差のある車内床(開口3下部に続いている部分)と地面との間を車椅子5が通行できるようにしてある。また車室外に出ていたスロープは、図1および図3に示されるようにヒンジ13aを支点に平板12aと平板12bと間を谷折り、ヒンジ13bを支点に平板12bと平板12cとの間を山折りをして折り畳めば、車室内に格納される。
【0029】車椅子保持装置20は、図3にも示されるようにスロープ部材11に組付く一対のガイドレール22と、各ガイドレール22に組付く一対の自走ユニット23とを有している。
【0030】このうち各ガイドレール22は、車椅子5が通行する領域を挟んだスロープ部材11の幅方向両側に設けてある。具体的には、各ガイドレール22は、平板12a〜12c毎に分割した分割レール22a〜22cを、各平板12a〜12cの幅方向両縁をなす各上面に縁に沿って一直線状に設けた構造が用いられ、スロープが形成されると、当該スロープにならうよう各分割レール22a〜22bが一直線状に配列され、ガイドレール22の全長を形成するようにしてある。なお、各分割レール22には、図4および図5にも示されるような上階に幅方向に向き合う略平行な一対のガイド21aを有し、下階に上下方向に向き合う略平行な一対のガイド21bを有した略角形のレール部材が用いてある。
【0031】このガイドレール22のヒンジ部13a周辺(図3中のB域)には、谷折りしたとき(格納するとき)、レール部分が干渉せずにすむ工夫が施してある。この工夫には、図8および図9にも示されるようにヒンジ13aを挟む分割レール22a,22bの一方の端部、ここでは分割レール22bの端部分を分割して、同分割した端部分25を用いて、干渉する相手となる分割レール22aから逃げるようにした構造が用いられている。具体的には、分割した端部分25は、ヒンジ13cを介して分割レール22bに谷折れ可能に支持してある。これにより、ガイドレール22を折り畳む際、分割した端部25をヒンジ23cを支点に谷折りして、図8および図9中の二点鎖線で示されるように分割レール22bの壁面に固定部材、例えばテープ状のベルベッドファスナ27で保持させれば、端部分25が分割レール22aの端部から逃げるようにしてある。この逃げた状態から分割レール22bの谷折れを行うことにより、分割レール22a,22bとが当接せずに、谷折れの折り畳みが行える。なお、分割した端部分25と分割レール22aとは、端部分25aが抜け出やすくなるよう、同抜け出やすくする方向に傾斜した斜め階段状の合せ面28(図9のみ図示)で合わせてある。
【0032】また分割レール22aおよび端部分25のうち、一方の幅方向外側の側面には、止め具29(クリップ具に相当)の一方の部品、具体的には受け部29aが取付けられ、他方の幅方向外側の側面には、同止め具29の他方の部品をなすトグル式の掛け金29bが取付けられている。この止め具29は、図9に示されるように分割レール22aの端面と端部分25の端面とを合わせてから、掛け金29bを受け部29aに引掛けると、分割レール22aと端部分25とを突き合わせた直線状のまま固定するものである。この止め具29により、展開した分割レール22a,22b同士が所定形状(ここでは直線状)に保たれるように固定してあり、同固定で、展開した平板12a、12bを保持する構造としている。
【0033】なお、展開した分割レール22b、23同士は、図示はしないが同様の止め具を用いて保持される。
【0034】一方、各自走ユニット23には、図4に示されるような一対のボックス形の本体30内にそれぞれ駆動機器を収めた構造が用いられている。同構造は、左右勝手反対となるだけで、左右共、同じ構造である。図5には、このうちの片側の自走ユニット23の全体の構造が示され、図6(a)〜(c)および図7(a)〜(c)には、同自走ユニット23の各部矢視方向から見たときの構造が示されている。
【0035】同自走ユニット23の構造について説明すれば、本体30は、下面が開放し、前上部が斜めに形成された縦形の偏平ボックスをなしている。この本体30は、側面がガイドレール22の内方の面と向き合うように配置される。この側面の前後2箇所の地点には、縦向きガイドローラ31a(軸心が縦に向くローラ)と横向きガイドローラ31b(軸心が横に向くローラ)とを対としたガイドローラ31がそれぞれ組付けてある(2組)。このうちの縦向きガイドローラ31aが、図7(b)に示されるようにガイドレール22の上階のガイド21a間に転動可能に嵌まり、横向きガイドローラ31bは、ガイドレール22の下階のガイド21b間に転動可能に嵌まっている。これにより、本体30が、左右上下の各方向が規制された所定の姿勢のまま、ガイドレール22に沿って動けるようにしてある。
【0036】この本体30内の一端側、例えば車体寄りの地点には、駆動源ユニット35が収めてある。駆動源ユニット35は、図5および図6(a)に示されるように斜め下向きの電動モータ36の出力軸に、ウォーム式歯車機構37a(原動側にウォームギヤ、従動側にウォームホイールとしたギヤ機構:図5のみ図示)が内蔵してある減速部37を連結してなり、減速部37の出力軸37bから、電動モータ36の回転が減速されて出力されるようにしてある。この減速部37が、図7(a)にも示されるように出力軸37bが横から突き出る向きに設置してある。
【0037】また本体30内の他端側となる地点(スロープ端寄り)には、図5および図7(b)に示されるように駆動タイヤ38(例えばホイール38aにゴム製のタイヤ部材38aを組付けてなる)が収められている。駆動タイヤ38は、本体30の幅方向両側壁間に掛け渡した円形な支持軸39の外周部に回転自在に嵌挿してあり、これでスロープ方向に向く姿勢に駆動タイヤ38を配置させている。そして、この駆動タイヤ38の下部側が本体30の下部開口から突き出て、スロープ部材11の上面と接地している。これでスロープ部材11の上面を駆動タイヤ38が長手方向(傾斜方向)沿いに転がる構造としてある。
【0038】駆動タイヤ38と減速部37の出力軸37bとは、伝達機構、例えばチェーン機構40でつないである。チェーン機構40は、出力軸37bに固定した小径のスプロケット41と、支持軸39に回転自在に嵌挿した大径のスプロケット42とを有している。スプロケット42は、図6(a)および図7(b)にも示されるように該スプロケット42と隣接して支持軸39に回転自在に嵌挿された接続具、例えば短筒状のスリーブ部材43を用いて、駆動タイヤ38に連結してある。具体的には、中間に配置されたスリーブ部材43のうち、スプロケット42側の端部をねじ44でスプロケット42にねじ止めし、駆動タイヤ38側をピン45でホイール38aに結合することによって、スプロケット42と駆動タイヤ38との間を連結してある。そして、大径のスプロケット42と小径のスプロケット41との間には、無端状のチェーン46が巻き付けられ、電動モータ36の回転をスプロケット41,42で減速(歯数差による)して伝達、つまり電動モータ36の駆動力を増幅して駆動タイヤ38へ伝えるようにしてある。
【0039】これで、左右の各自走ユニット23、23は、展開したスロープ部材11上を自走(走行)できるようにしてある。
【0040】各自走ユニット23,23間は、図4に示されるように連結部材、例えば前後方向に平行に並ぶ2本の連結パイプ50で連結されている。詳しくは、各連結パイプ50には、図7(b)中の二点鎖線で示されるように1本の短い中間パイプ50aの両端部にそれぞれ短い端側パイプ50bの一端部を嵌めてねじ止め固定したパイプ部材が用いられる。そして、同部材の各端部が左右自走ユニット23,23の本体30をなす側壁(幅方向内側にある壁)の前後部の最も低い地点にそれぞれ連結してある。この平行な連結パイプ23,23により、各左右の自走ユニット23,23が、略平行な姿勢を保ちながら動くようにしている。
【0041】また各自走ユニット23,23は、車体側から給電を受けている。この給電には、図3に示されるよう車室内、具体的には平板12aの前方の車内床面に、ハーネス自動巻き取り装置51を設置した構造が用いられている。詳しくは、同巻き取り装置51は、ドラム52に長尺なハーネス53を巻き取り方向に付勢して巻回して構成され、同装置51に内蔵のハーネス根元部が、車両の電源、例えば車載のバッテリ(図示しない)に接続してある。また巻き取り装置51から導出されたハーネス53の先端側は、ガイドレール22に沿って摺動自在に配線される。具体的には、導出したハーネス部分は、例えば図3に示されるように片側のガイドレール22を構成する分割レール22a〜22cの内部、詳しくは図7(a),(b)に示されるように各レールの上階側の内腔を挿通してある。そして、このハーネス53の先端部が一方の自走ユニット23の電動モータ36に接続される。さらに連結パイプ23のうちの1本の内部を通じて、残る他方の自走ユニット23の電動モータ36に接続され、自走ユニット23,23の移動に応じて車室内から引き出されるハーネス53を通じて、モータ駆動に必要な電力を送れるようにしている。
【0042】また車椅子保持装置20には、この他、車椅子5の前側を保持する左右一対の保持部60を有している。保持部60は、図3に示されるように連結パイプ50,50の左右両側に組付けられ、車椅子5の前側のキャスタ5bを載せる一対のキャスタ載せ61と、同キャスタ載せ61に載ったキャスタ5bを保持する保持具70とを有して構成される。
【0043】詳しくは、各キャスタ載せ61は、図4および図5(a)に示されるようスロープ部材11の通行方向(傾斜方向)に沿って延びるキャスタ幅にならう溝形の部材、例えば連結パイプ50,50間に掛け渡された溝形の板金部材62から構成される。この板金部材62のスロープ部材11の下側へ向く先端部は、連結パイプ50を越えて地面のごく近くまで延びていて、同端部を車椅子5のキャスタ5bが出入りするキャスタ出入口63としている。このキャスタ出入口63の両側壁63a(図5のみに図示)は、左右方向に拡開していて、地面からスロープ部材11へ向かう車椅子5のキャスタ5bをガイドして溝形部分内に導けるようにしている。また板金部材62のスロープ部材11の上側に向く基端側、具体的には連結パイプ50,50間の部分は、同部分に形成されたキャスタ外径にならう円弧形の屈曲部64により他の部分より下側に下がっていて、キャスタ出入口63から進入したキャスタ5bを後退しないように下側に落とし込ませるようにしてある。67はその落ち込んだ部分を示している。
【0044】これらキャスタ載せ61の前後部は、各連結パイプ50,50を摺動自在に貫通していて、キャスタ載せ61全体をスロープ部材11の幅方向に略平行にずらせるようにしてある。そして、各キャスタ載せ61の基端部(キャスタ出入口63とは反対の端部)を形成している端壁61aには、図5および図6(c)に示されるように外部から締結具、例えばボルト部材66が連結パイプ50へ向かい進退可能に螺挿されていて、ボルト部材66の端部が連結パイプ50に突き当たれば、キャスタ載せ61が固定され、同ボルト部材66の端部を連結パイプ50から離せば、キャスタ載せ61のスライドが許されるようにしてある。この任意の位置にキャスタ載せ61,61を固定する構造により、車椅子5の異なるキャスタ間の距離に合わせて、キャスタ載せ61の位置合せが行えるようにしている。
【0045】一方、保持具70は、ラッシングベルトを用いたベルト式締め具71が用いられている。同ベルト式締め具71は、図5、図6(b)および図7(c)に示されるように例えばバックル部材72にベルト73をU字状に挿通させ、ベルト先端となるU字部にU字状のフック部材74を組付け、バックル部材72の途中から出たベルト端部分73aを引っ張れば、フック部材74がバックル部材72側に引き寄せられる構造になっている。このベルト式締め具71から突き出たベルト基端部が、ブラケット71aを介して、落ち込んだ部分67上方の本体30の側壁部分に固定されている。またフック部材74は、車椅子5のキャスタ5b上方の前後方向に向かうフレーム5dと係脱可能な形成されていて、キャスタ載せ61の落ち込んだ部分67にキャスタ5bを載せてから、フック部材74を同キャスタ5bの上方のフレーム部分に引掛けて、バックル部材72から出ているベルト端部分73aを引っ張れば、キャスタ5bをキャスタ載せ61との間で挟み込めるようにしてある。これで、キャスタ5bは、保持されるだけでなく、キャスタ5bの接地面より高い部分(前側:連結パイプ50、後側:屈曲部64)で前後方向が規制されるようにしてある。
【0046】他方、各自走ユニット23,23には、操作部、例えば図3に示されるように長尺なハーネス75を介して操作スイッチ76が接続されている。同操作スイッチ76には、自走ユニット23,23を上方へ移動させるアップスイッチ部77や同ユニット23,23を下方へ移動させるダウンスイッチ部78などが組み込まれていて、車椅子5に乗っている乗員Sや介助者で行う遠隔操作により、スロープ部材11上を自走する自走ユニット23,23を使って、乗員を載せた車椅子5を屋外から乗車させたり、車室内から降車できるようにしてある。
【0047】すなわち、車椅子5が乗車するときを説明すれば、今、図1に示されているようにスロープ部材11が降り畳められてワゴン車のリヤ側に格納されているとする。このとき、自走ユニット23,23は、スロープ部材11の最も車室側の地点で待機している。
【0048】このときには、まず、図1に示されるようにテールゲート2を開け、折り畳んであるスロープ部材11を展開して、図2および図3に示されるように後部開口3から地面までの間にスロープを形成する。このとき、谷折りしてある端部分25を戻して、掛け金29bで、分割レール22aに固定したり、分割レール22bと分割レール22cとの間を掛け金(図示しない)で固定して、スロープの形状を保つ。
【0049】ついで、操作スイッチ76を操作して、待機位置にある自走ユニット23,23を下降させて、スロープ部材11の最下端となる地点に配置する。すると、各キャクスタ載せ61のキャスタ出入口63が、地面と接して配置されたり、あるいは最も地面と最も近接する地点に導かれる。
【0050】ここで、各キャスタ載せ61,61のスパンが、乗車する車椅子5のキャスタ間の距離に位置合わせしてあれば、車椅子5のキャスタ5bの搬入可能な体制が整う。
【0051】この後、図2に示されるように乗員Sを乗せた車椅子5を、乗員S自身あるいは介助者の操作により、スロープ端に向かい前進させて、車椅子5の各キャスタ5b、5bを各キャスタ出入口63,63から各キャスタ載せ61の奥側へ進入させる。
【0052】すると、各キャスタ5b、5bは、図6(c)に示されるように落ち込んだ部分67に進む。そして、各キャスタ5b、5bは、前方に有る連結パイプ50のパイプ部分がストッパーとなって、当該落ち込んだ部分67に止まる。
【0053】つぎに、乗員Sあるいは介助者の操作で、図6(b)および図7(c)に示されるようにベルト締め具71のフック部材74をキャスタ上方のフレーム5d部分に引掛け、バックル部材72から導出している締上げ用のベルト端部分73aを引っ張り、フック部材74が付いているベルト部分を締め上げる。これにより、各キャスタ5b、5bはキャスタ載せ61,61の落ち込んだ部分67との間に挟み込まれる。なお、図6(b)中、5eは車椅子5の前部に有る脚載せを示す。
【0054】ここで、各キャスタ5b、5bの前後には、当該キャスタ5b、5bの接地面より高い位置に障害物、すなわち前側に連結パイプ5が有り、後側に屈曲部64が有るので、たとえベルト73の締め上げが緩くとも、各キャスタ5b,5bは、外れるおそれなく各キャスタ載せ61,61に保持される。
【0055】キャスタ5bの保持を終えたら、車椅子5の乗員あるいは介助者が、操作スイッチ76を操作して、自走ユニット23,23をモータ駆動力で登坂走行(自走)させる。
【0056】すると、図2に示されるように各自走ユニット23,23は、ガイドレール部材11にならってスロープを上る。
【0057】このとき、自走ユニット23,23は、連結パイプ50,50で所定の姿勢に保たれながら動くので、車椅子5は、電動モータ36,36の駆動力だけで、左右に大きくぶれたりせずに、真っ直ぐスロープ部材11上を引き上げられる。そして、自走ユニット23,23が車室内の待機位置まで進むと、図2に示されるように車椅子5は、乗員Sを乗せたまま車室内に到着する。
【0058】つまり、乗員Sを乗せたまま車椅子5は、自走ユニット23,23の登坂力でアシストされながらワゴン車に乗車していく。なお、自走ユニット23,23は、待機位置まで進むと、図示しないリミットスイッチがオンして、同地点に止まるものである。
【0059】この後、スロープ部材11を、図3中の二点鎖線に示されるようにヒンジ13aを支点に谷折りし、ヒンジ13bを支点に山折りして折り畳むが、このままだと、ヒンジ13aを挟む分割レール22aと分割レール22bの端部が干渉を起こして、スロープ部材11が折り畳めないので、このときには図9に示されるように掛け金29bによる端部分25の固定を解除して、当該端部分25をヒンジ13cを支点に谷折りする。そして、ベルベットファスナ27で、該端部分25を、分割レール22bと重なる状態に保持させ、干渉が起きる相手の分割レール22aの端部から端部分25を逃がす。
【0060】この状態のまま、スロープ部材11を折り畳むことにより、レール同士が干渉せずに、図1に示されるように車室の最後部に格納される。その後、テールゲート2を閉じれば、車椅子5が乗員Sを乗せたまま、乗車を終える。
【0061】降車をするときは、逆の手順で、スロープ部材11を展開して、スロープを形成した後、操作スイッチ76を操作して、各自走ユニット23,23を降坂走行(自走)させる。この降坂のときは、車椅子5の重量、乗員Sの体重などで下る方向の慣性力をもたらすが、自走ユニット23,23自身の降坂力で、当該慣性力を抑えながら、乗員Sを乗せたまま車椅子5をスロープ部材11上に沿って最下位の地点まで降ろす。この後、バックル部材72を緩めて、フック部材74を車椅子5のフレーム部分から外し、車椅子5を後退させて、車椅子5の各キャスタ5b、5bをキャスタ載せ61,61から離脱させれば、乗員Sを乗せたままで車椅子5の降車が行われる。
【0062】むろん、自走ユニット23,23が通るスロープ部材11の上面部分には、滑り止め(図示しない)が施してあり、乗車の際、降車の際のいずれも、自走ユニット23,23はスリップせずに良好に作動する。
【0063】a.このように自走式の車椅子保持装置20を用いることによって、乗車および降車のいずれも面倒な介助を必要とせずに、車椅子5の乗降補助を行うことができる。
【0064】b.しかも、車椅子保持装置20は、一対のガイドレール22,22、一対の自走ユニット23,23、同ユニット23,23の姿勢を保つ連結パイプ50,50、同パイプ50,50に組付けた車椅子5の保持部60を組み合わせた構造を採用して、動きやすくなっている車椅子5のキャスタ5b、5bの動きを拘束したまま、スロープ部材11上を車椅子5が通るようにしたので、乗員Sを乗せた状態の車椅子5をふらつかずにスロープ部材11上を移動させることができる。
【0065】c.そのうえ、自走ユニット23,23は、ガイドローラ31が付いた本体30に、電動モータ36、駆動タイヤ38、チェーン機構40(伝達機構)を組み合わせるだけの簡単な構造でよい。しかも、チェーン機構40だと、構成部品が少なくてすみ、構造がより簡素になる。
【0066】d.特に電動モータ36からの回転をウォーム式歯車機構37aで減速したことにより、自走ユニット23,23は、駆動タイヤ38から力が加わっても無用に回転することはないので、たとえ電動モータ36が停止することがあっても、スロープ部材11の途中で車椅子が後退することはない。
【0067】e.また自走ユニット23,23は、車室側からガイドレール22に沿って導出されるハーネス自動巻き取り装置51のハーネス53を通じて電源が供給される構造なので、別途、電源を必要とせずにすむ。しかも、自走ユニット23,23の動きに追従して、ハーネス53の導出量が変わるので、ハーネス53が無用にたるんだりせずに電動モータ23,23へ電力を供給することができる。
【0068】f.特にハーネス53はガイドレール22の内部を挿通させてあるので、見栄えのよい配線ができる。
【0069】g.また保持部60には、キャスタ5bを載せるキャスタ載せ61、同キャスタ載せ61に載るキャスタ5bを保持する保持具70を用いたので、簡単な構造で、動きやすい車椅子5のキャスタ5bの保持ができる。
【0070】h.しかも、キャスタ載せ61には、キャスタ幅にならう溝形で、ガイドをもつキャスタ出入口63やキャスタ5bを落とし込む屈曲部64を有した構造を用い、保持具70にはキャスタ5bをキャスタ載せ61の落ち込んだ部分67との間で挟み込むベルト式締め具71を用いたので、簡単な構造、さらには容易にキャスタ5bを後退や脱落なく確実に固定できる。
【0071】i.そのうえ、キャスタ載せ61は、スロープ部材11の幅方向に略平行にずらせるようにしてあるので、車椅子5に応じて位置合わせすることができ、どのような種類の車椅子5でも対応できる。
【0072】j.また谷折れで折り畳むようにしたスロープ部材11の場合、同谷折れのヒンジ13cを挟む分割レール22a,22bのうちの一方、例えば分割レール22bの端部を谷折れ可能にしたので、当該端部分25を逃げさえすれば、ガイドレール22が干渉せずに格納ができる。
【0073】k.特に止め具29(クリップ具)の固定で、ガイドレール22の形状を保つようにしたので、簡単な操作で、ガイドレール22を含むスロープ部材11の展開ができる。
【0074】図10は、本発明の第2の実施形態を示す。
【0075】本実施形態は、駆動タイヤの代わりに、外周部に歯車状の凹凸を有する回転部材、例えばスプロケット80を用い、またスプロケット80が通るスプール部材11の幅方向両側の地点には該スプロケット80の歯部80aと係合する係合口81(係合部に相当)をスロープ部材11の長手方向(傾斜方向)に沿って連続的に形成して、スプロケット80が回転すると、スプロケット80の歯部80aが係合口81と逐次、係合、離脱を繰り返しながらスロープ部材11上を進行するようにしたものである。
【0076】こうした歯部81を用いて、スロープ部材11上を掛け上がったり掛け降りたりする自走ユニット23だと、簡単な構造であるだけでなく、スリップが発生しないので、確実に自走ユニット23,23を自走させることができる利点がある。なお、係合口81(係合部)は、ガイドレール22に形成しても同じ効果をもたらす。
【0077】図11は、本発明の第3の実施形態を示す。
【0078】本実施形態は、1操作で、2つのキャスタ載せ61,61の位置調節を同時に行えるようにしたものである。
【0079】具体的には、連結パイプ50,50の中央部を形成している中間パイプ50a,50a間に、支持台85を用いて操作レバー86を固定し、同操作レバー86とその両側に配置されているスライド可能なキャスタ載せ61,61との間を、レバー87とリンク88とを組み合わせたリンク機構89で接続して、操作レバー86が回動すると、各キャスタ載せ61,61が各リンク機構89によって、スロープ部材11の幅方向に対称的にスライドして、位置決めされるようにしたものである。
【0080】図12は、本発明の第4の実施形態を示す。
【0081】本実施形態は、人手操作を要せずに自動で、分割した端部分25の逃げ、同分割した端部分25と他方の分割レール22aとの連結が行えるようにしたものである。
【0082】具体的には、図12(a)に示されるように分割した端部分25と分割レール22aとを、スロープ部材11が畳むにしたがい、ずれが起きる斜めの合せ面90で合せる。そして、これら部材22a、25間に、図12(b)にも示されるように一方である端部分25の側面に、合せ面90に沿う斜めの切欠溝91a(切欠部に相当)が形成されたガイドプレート91を固定し、他方である分割レール22aの側面に、切欠溝91aに摺動自在に挿入されるガイドピン92を突設してなるカム機構93を組付け、スロープ部材11を折り畳む作業を行うと、分割した端部分25がヒンジ13aを支点に谷折れしながら、ずれ上がって分割レール22aと重なり合うまで導かれ、スロープ部材11の展開作業を行うと、ガイドピン92が切欠溝91aに嵌まりその動きがロックされて、分割レール22aと端部分25とが直線状に連なる形状に保持されるようにしたものである。
【0083】但し、第2〜第4の実施形態において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付してその説明を省略した。
【0084】なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、チェーン機構を用いて、電動モータの駆動力を走行輪に伝えるようにしたが、これに限らず、歯車列で電動モータの駆動力を走行輪に伝えるようにしてもよい。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明に記載の発明によれば、スロープ部材に沿って自走する車椅子保持装置により、車椅子の乗車時には、登坂がアシストされ、降坂時には、車椅子が降りる方向の慣性力を抑えることができ、乗降の双方共、面倒な介助を必要とせずに車椅子の乗降補助ができる。
【0086】請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、さらに乗員を乗せた車椅子をふらつかずにスロープ部材上を安定して移動させることができる。
【0087】請求項3および請求項4に記載の発明によれば、上記効果に加え、さらに簡単な構造の自走ユニットを得ることができる。しかも、請求項4に記載の発明は、これに加え、スリップなどが起きずに、確実に自走ユニットの自走ができる利点がある。
【0088】請求項5に記載の発明によれば、上記効果に加え、ウォーム式歯車機構の特性を活用して、たとえ電動モータが停止しても、スロープ部材の途中から車椅子が下るということが起きずにすみ、安全性の向上が図れるといった効果を奏する。
【0089】請求項6に記載の発明によれば、上記効果に加え、ハーネス自動巻き取り装置の採用により、車両側から自動ユニットへ導出するハーネスは、自走ユニットの動きに追従して導出量が変化するから、ハーネスを用いて、たるんだりせずに自走ユニットの電動モータへ電源を供給することができる。
【0090】請求項7および請求項8に記載の発明によれば、上記効果に加え、車椅子のキャスタを保持するといった簡単な構造で車椅子の前側の保持ができる。しかも、請求項8に記載の発明によれば、ベルト締め具で、キャスタ載せの落とし込んだ部分に載る車椅子のキャスタを保持する構造を採用したので、車椅子を脱落なく確実に固定できるといった効果を奏する。
【0091】請求項9および請求項10に記載の発明によれば、上記効果に加え、車椅子の種類で異なるキャスタ間の距離に、キャスタ載せを位置合せでき、どのような種類の車椅子にも対応できる。しかも、請求項10に記載の発明によれば、1回の操作で一対のキャスタ載せを同時に位置合わせできる利点がある。
【0092】請求項11〜13に記載の発明によれば、上記効果に加え、分割した端部分が逃げる構造により、谷折り可能なスロープ部材をガイドレールの干渉なしに折り畳むことができる。しかも、請求項12に記載の発明によれば、これに加え、クリップ具の止め操作で、簡単に展開したガイドレールの形状を保つことができる。そのうえ、請求項13に記載の発明によれば、請求項12の発明ような人手による止め操作を要せずに、自動で、分割した端部分の逃げ、同分割した端部分と他方の分割レールとを連結する作業ができる利点がある。
【出願人】 【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成12年5月25日(2000.5.25)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開2001−327538(P2001−327538A)
【公開日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願番号】 特願2000−155023(P2000−155023)