| 【発明の名称】 |
車椅子の転倒防止機構及び車椅子 |
| 【発明者】 |
【氏名】村山 民生
【氏名】内田 桂治
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| 【要約】 |
【課題】車椅子1の方向転換が円滑に行われ、しかも汎用性のある転倒防止機構21の提供。
【解決手段】車椅子1には、転倒防止機構21が装着されている。この転倒防止機構21は、キャスター23と、固定ロッド25と、前側固定部材27と、後側固定部材29と、上側支持アーム31と、下側支持アーム33と、ガスダンパー35とを備えている。前側固定部材27は、背面パイプ5に固定されている。後側固定部材29は、固定ロッド25に固定されている。上側支持アーム31及び下側支持アーム33の前端は、軸ピン45、49によって前側固定部材27に回動可能に軸着されている。また、上側支持アーム31及び下側支持アーム33の後端は、軸ピン47、51によって後側固定部材29に回動可能に軸着されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャスターと、略鉛直方向に延びて下端にキャスターが旋回自在に固定される固定ロッドと、一端が固定ロッドに回動可能に軸着されるとともに他端が車椅子の背面パイプに回動可能に軸着される支持アームと、一端が固定ロッドに回動可能に軸着されるとともに他端が車椅子の上方の部材に回動可能に軸着される伸縮部材とを備えた車椅子の転倒防止機構。 【請求項2】 上記支持アームを2本以上備えた請求項1に記載の転倒防止機構。 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の転倒防止機構が装着された車椅子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子の背面方向への転倒を防止するための転倒防止機構と、この転倒防止機構を備えた車椅子とに関するものである。 【0002】 【従来の技術】身体障害者、高齢者等が利用する車椅子は、通常2個の大車輪(主車輪とも称される)と2個の前輪との、4個の車輪を備えている。そして、車椅子が後方(座者にとっての背面方向)に転倒しないように、重心が大車輪と前輪との間にかかるように構成されている。このため、大車輪は座者の体に対して比較的後方に位置する。 【0003】車椅子の移動では介護者が車椅子を押すこともあるが、座者が大車輪と同軸とされたハンドリムを手で回して自走することもある。自走の際、前述のように大車輪が後方に取り付けられている(すなわちハンドリムも後方に取り付けられている)ので、座者がハンドリムを回すのに大きな力が必要であり、また、障害の内容によっては座者がこれを回すことが困難である場合もある。 【0004】大車輪が比較的前寄りに取り付けられるとともに、後方への転倒防止のために2個の後輪が設けられた、6輪構造の車椅子も提案されている。この車椅子では、平坦な地面では後輪は地面から離れている。この後輪が接地するまで介護者が車椅子を後方に傾斜させることができるので、この傾斜によって前輪が浮き、車椅子が段差を乗り越えることができる。 【0005】しかしながら、この6輪構造の車椅子では、後輪が接地するとそれ以上は車椅子を後方に傾斜させることができないので、地面から大幅に前輪を浮かせることができない。従って、高い段差を乗り越えることは困難である。平坦な地面上での後輪と地面との距離を大きく設定することにより傾斜可能な角度を大きくし、段差乗り越え時に前輪を地面から大幅に浮かせることもできる。しかし、この場合は車椅子の傾斜の際に後輪と地面との衝突によって生じる衝撃が大きくなってしまい、また、急に車椅子が傾くことによって座者に恐怖心を与えてしまうという問題がある。 【0006】このような問題を解決した6輪構造の車椅子が、特開平9−572号公報に開示されている。図4は、この6輪構造の車椅子101が示された左側面図である。この車椅子は前輪103、大車輪105及び後輪107を備えており、これらの車輪全ては平坦な地面上で接地している。大車輪105は、軸ボルト109によってメインフレーム111に軸支されている。後輪107は固定ロッド113に固定されており、この固定ロッド113には上下2本の支持アーム115が連結されている。これら支持アーム115は回動プレート117に固定されている。回動プレート117は、軸ボルト109によってメインフレーム111に回動可能に軸着されている。上側の支持アーム115には、伸縮ロッド119が取り付けられている。この車椅子101が段差を乗り越えるときは、介護者が車椅子を後方に傾け、前輪103を浮かせる。この際、回動プレート117は軸ボルト109を中心として回動し、また、伸縮ロッド119が収縮する。これにより、大きな衝撃がなく、しかも座者に不安を与えることなく、段差の乗り越えがなされる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】この車椅子101において前輪103が浮かされた場合は、後輪107に大きな荷重がかかる。特に、前輪103が浮かされたままで車椅子101の方向が変えられる場合に、後輪107に捻りの力が加わり、後輪107が傾いてしまうことがある。具体的には、車椅子101の背面側から見て、図5(a)に示されるように後輪107が上方ほど内向きとなるように傾いたり、逆に図5(b)に示されるように上方ほど外向きとなるように傾いてしまうことがある。後輪107が傾くと、車椅子101の方向転換が円滑に行われにくいという問題がある。 【0008】また、この車椅子101では、後輪107が支持アーム115及び回動プレート117を介してメインフレーム111に取り付けられているので、車椅子101の種類に応じた支持アーム115及び回動プレート117が必要であり、汎用性に劣るという問題もある。 【0009】本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、車椅子の方向転換が円滑に行われ、しかも汎用性のある転倒防止機構の提供をその目的とするものである。また、他の発明は、この転倒防止機構が装着された車椅子の提供を目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するためになされた発明は、キャスターと、略鉛直方向に延びて下端にキャスターが旋回自在に固定される固定ロッドと、一端が固定ロッドに回動可能に軸着されるとともに他端が車椅子の背面パイプに回動可能に軸着される支持アームと、一端が固定ロッドに回動可能に軸着されるとともに他端が車椅子の上方の部材に回動可能に軸着される伸縮部材とを備えた車椅子の転倒防止機構、である。 【0011】この転倒防止機構では支持アームが背面パイプに固定されるので、支持アームが短尺となる。従って、荷重がかかったときのキャスター(後輪)の傾きが少なくなり、車椅子の方向転換が円滑となる。また、支持アームが背面パイプに取り付けられる構造なので、種々の構造の車椅子に容易に装着できる。 【0012】好ましくは、支持アームは2本以上設けられる。これにより、キャスターの傾きがよりよく抑制され、車椅子の方向転換が円滑となる。 【0013】本発明の転倒防止機構が装着される車椅子は、この転倒防止機構によって後方への転倒が防止されるので、大車輪の位置が比較的前寄りとされうる。これによって座者と大車輪との位置が近くなり、座者がハンドリムを回しやすくなる。また、方向転換時の小回りも可能である。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、適宜図面が参照されつつ、本発明の実施形態が説明される。 【0015】図1は、本発明の一実施形態にかかる車椅子1が示された左側面図である。この車椅子1は、既知の車椅子と同様に、ハンドグリップ3、背面パイプ5、駐車ブレーキ7、肘掛けパイプ9、座パイプ11、メインフレーム13、大車輪15、前輪17及びフットレスト19を備えている。また、図示は省略されているが、この車椅子1は、背シート、座シート、レッグレスト、スカートガード、安全ベルト、介助ブレーキ、ハンドリム等を備えている。もちろん、車椅子1がこれらの部材全てを備える必要はなく、用途等に応じて部材が省略されてもよい。また、必要に応じて、他の部材が追加されてもよい。大車輪15は座者のほぼ真横に位置しており、これは通常の車椅子(4輪タイプのもの)に比べて前寄りである。 【0016】この車椅子1には、転倒防止機構21が装着されている。この転倒防止機構21は、キャスター23と、固定ロッド25(「キャスターブラケット」とも称される)と、前側固定部材27と、後側固定部材29と、上側支持アーム31と、下側支持アーム33と、伸縮部材としてのガスダンパー35とを備えている。この車椅子1は、大車輪15及び前輪17と、転倒防止機構21のキャスター23との、6個の車輪を備えている。すなわち、転倒防止機構21が装着された後は、この転倒防止機構21のキャスター23は車椅子1の後輪となる。 【0017】キャスター23は、回転軸37を中心として回転する車輪体39と、この回転軸37を受ける軸受片41(「ヨーク」とも称される)と、この軸受片41の上端に固定されて鉛直方向に延びる支持軸43とから構成されている。回転軸37は支持軸43の直下からずれて位置しており(いわゆるオフセット)、これによって車椅子1の方向転換が容易とされている。 【0018】固定ロッド25は略鉛直方向に延びており、その下側にはキャスター23の支持軸43が挿入されている。固定ロッド25の内周面と支持軸43の外周面との間には、図示されていないゴム部材が設けられている。このゴム部材は上下方向に圧縮状態とされており、この圧縮によってゴム部材が半径方向外向きに膨出している。この膨出によって固定ロッド25の内周面及び支持軸43の外周面とゴム部材との摩擦力が高められており、これによってキャスター23と固定ロッド25とが固定されている。もちろん、他の手段によってキャスター23が固定ロッド25に固定されてもよい。キャスター23は図示されていないボールベアリングを備えており、このボールベアリングによって、軸受片41が支持軸43に対して旋回自在とされている。もちろん、固定ロッド25と支持軸43との間にボールベアリングが設けられてもよい。 【0019】前側固定部材27は、溶接、ボルト止め等の手段で背面パイプ5に固定されている。また、後側固定部材29は、溶接、ボルト止め等の手段で固定ロッド25固定されている。前側固定部材27及び後側固定部材29の構造は、後に詳説される。 【0020】上側支持アーム31の前端は、軸ピン45によって前側固定部材27に回動可能に軸着されている。また、上側支持アーム31の後端は、軸ピン47によって後側固定部材29に回動可能に軸着されている。下側支持アーム33の前端は、軸ピン49によって前側固定部材27に回動可能に軸着されている。また、下側支持アーム33の後端は、軸ピン51によって後側固定部材29に回動可能に軸着されている。上側支持アーム31及び下側支持アーム33の構造は、後に詳説される。 【0021】ガスダンパー35の上端は、軸ピン53によって取り付けプレート55に回動可能に軸着されている。この取り付けプレート55は、背面パイプ5の上方に溶接、ボルト止め等の手段によって固定されている。もちろん、取り付けプレート55が省略され、ガスダンパー35の上端が背面パイプ5に直接軸着されてもよい。ガスダンパー35の下端は、軸ピン47によって後側固定部材29に回動可能に軸着されている。もちろん、後側固定部材29が省略され、ガスダンパー35の下端が固定ロッド25に直接軸着されてもよい。 【0022】ガスダンパー35は、ガスの圧力によってその全長が延びる方向に付勢されている。すなわち、ガスダンパー35は荷重がかかることによって収縮し、荷重が開放されることによって伸延する。ガスダンパー35に代えて、油圧ダンパーや圧縮コイルバネ等が伸縮部材として用いられてもよい。 【0023】メインフレーム13には、上側軸穴57と下側軸穴59とが設けられている。車椅子1には、例えば座者がハンドリムを回して自走する場合や、介護者がハンドグリップ3を押す場合等があるが、これらの用途に応じて直径の異なる複数個の大車輪が使い分けられることがある。下側軸穴59には、図1において二点鎖線で示されるような比較的小径の大車輪15が装着される。これよりも大きな大車輪15が装着される場合は、上側軸穴57が用いられる。もちろん、軸穴は必ずしも複数個設けられる必要はない。また、3個以上の軸穴が設けられ、直径の異なる3種類以上の大車輪15が使い分けられてもよい。 【0024】駐車ブレーキ7は、操作レバー61の操作によってスイングレバー63が前後に移動する構成とされている。このスイングレバー63の先端が大車輪15に当接することによって大車輪15の回転が阻止され、車椅子1にブレーキがかかる。駐車ブレーキ7は、操作レバー61が前方に押されても後方に引かれてもブレーキがかかる、いわゆる前後制動式のものが好ましい。 【0025】図2は、図1のII−II線に沿った拡大断面図である。この図から明らかなように、前側固定部材27は、第一プレート65と第二プレート67とを備えている。第一プレート65及び第二プレート67には、それぞれ貫通孔69、71が形成されている。第一プレート65と第二プレート67との間には、上側支持アーム31の前端近傍が位置している。この上側支持アーム31にも、貫通孔73が形成されている。そして、軸ピン45が第一プレート65の貫通孔69、上側支持アーム31の貫通孔73及び第二プレート67の貫通孔71を貫通している。各貫通孔69、73、71の内径は、軸ピン45の外径よりも若干大きめである。これにより、上側支持アーム31の前端が前側固定部材27を介して背面パイプ5に回動可能に軸着されている。 【0026】後側固定部材29も、第一プレート75と第二プレート77とを備えている。第一プレート75及び第二プレート77には、それぞれ貫通孔79、81が形成されている。第一プレート75と第二プレート77との間には、上側支持アーム31の後端近傍が位置している。この上側支持アーム31にも、貫通孔83が形成されている。そして、軸ピン47が第一プレート75の貫通孔79、上側支持アーム31の貫通孔83及び第二プレート77の貫通孔81を貫通している。各貫通孔79、83、81の内径は、軸ピン47の外径よりも若干大きめである。これにより、上側支持アーム31の後端が後側固定部材29を介して固定ロッド25に回動可能に軸着されている。なお、後側固定部材29には、前述のように、ガスダンパー35もその下端で回動可能に軸着されている。ガスダンパー35の下端と上側支持アーム31の後端とは、共軸的に軸着されている。 【0027】詳説は省略されるが、下側支持アーム33の形状や取り付け構造も、図2に示された上側支持アーム31とほぼ同様である。 【0028】図3は、図1の車椅子1が段差85を乗り越える様子が示された左側面図である。この車椅子1が段差85を乗り越える場合は、例えば介護者がハンドグリップ3を後方に引いて車椅子1を後方に傾け、前輪17を浮かせる。図3には、前輪17が浮いた状態が示されている。 【0029】この状態では、前側固定部材27、上側支持アーム31、後側固定部材29及び下側支持アーム33が平行四辺形を保ちつつ、上側支持アーム31及び下側支持アーム33が前側固定部材27及び後側固定部材29に対して回動している。また、ガスダンパー35は、収縮している。上側支持アーム31及び下側支持アーム33の回動が許容される範囲内であり、かつガスダンパー35の収縮が許容される範囲内であれば、介護者は任意の角度に車椅子1を傾けることができる。従って、介護者が前輪17を高く浮かせることが可能であり、車椅子1がある程度高い段差を乗り越えることも可能である。 【0030】図1に示された状態(6輪全てが接地している状態)から図3に示された状態(前輪17が浮いた状態)へと車椅子1が傾けられる場合でも、キャスター23は当初から接地しており、またガスダンパー35が衝撃を吸収するので、座者に衝撃が加わることが抑制される。また、車椅子1の傾斜はガスダンパー35の収縮に伴って徐々に行われるので、座者に恐怖心を与えることもない。 【0031】上側支持アーム31及び下側支持アーム33は前側固定部材27を介して背面パイプ5に固定されているので、その前後方向の長さは、図4に示された従来の車椅子101の支持アーム115に比べて極めて短尺である。従って、前輪17が浮いた状態で車椅子1の方向が転換されても、図5に示されるようなキャスター23の傾きがさほどは生じない。よって、車椅子1の方向転換が、円滑かつ容易に行われる。 【0032】この転倒防止機構21は、図4に示された従来の車椅子101のようにメインフレーム13に取り付けられるのではなく、背面パイプ5に取り付けられる。従って、車椅子1の種類に応じた固有の取り付け部材(支持アーム115等)が不要である。また、メインフレーム13と背面パイプ5との位置関係(特に座者から見て左右方向の位置関係)に制約されることなく、車椅子1に取り付けられ得る。従って、この転倒防止機構21は汎用性が高い。例えば、既に身体障害者等に使用されている4輪構造の車椅子1にも、追加部品として溶接、ボルト止め等で容易に取り付けられ得る。また、車椅子の生産工場においても、異なるタイプの車椅子に同一タイプの転倒防止機構21が装着されうるので、部品の共有化が進んで車椅子1の製造コストが低減される。 【0033】この転倒防止機構21が装着された車椅子1は後方へ転倒することがないので、大車輪15を比較的前寄り(例えば大車輪15の軸が座者の真横になる位置)に位置させることができる。これにより、座者がハンドリムを回すことが容易となる。また、左右いずれか一方の大車輪15の接地部分が中心とされて車椅子1の方向転換がなされる場合に、座者の旋回半径が小さくなり、座者の立場からみて小回りがきく。 【0034】この転倒防止機構21は上側支持アーム31及び下側支持アーム33の、2本の支持アームを備えているが、支持アームの数は1本であってもよく、また3本以上であってもよい。但し、キャスター23の傾き抑制の観点から、支持アームの本数は2本以上が好ましく、特に、製作容易の観点からは2本とされるのが好ましい。 【0035】以上、通常の車椅子に適用される場合が一例とされて本発明の転倒防止機構が説明されたが、この転倒防止機構は、例えば折り畳み式の車椅子、身体障害者用歩行器等にも適用されうる。また、この転倒防止機構が装着されることによって例えば5輪構造となるような車椅子にも、装着可能である。 【0036】 【発明の効果】以上説明されたように、本発明の転倒防止機構は汎用性に優れる。また、この転倒防止機構が装着された車椅子では、方向転換が円滑に行われる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598026851 【氏名又は名称】株式会社カワムラサイクル
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| 【出願日】 |
平成12年5月8日(2000.5.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107940 【弁理士】 【氏名又は名称】岡 憲吾
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| 【公開番号】 |
特開2001−314450(P2001−314450A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月13日(2001.11.13) |
| 【出願番号】 |
特願2000−134484(P2000−134484) |
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