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【発明の名称】 介護装置及び臥床者の移行方法
【発明者】 【氏名】那須 信夫

【要約】 【課題】ベッドに寝たきりの人達に肉体的及び精神的負担を殆ど与えることなく介護装置に移行させ、日常生活に支障が生じないように補助できる介護装置及び該介護装置へ移行させる方法を提供する。

【解決手段】通常はそれぞれが水平に位置する、背もたれ部41、該背もたれ部に連結された座部42及び該座部に連結された足受け部43を含んで成り、前記座部に対して背もたれ部を上方に、かつ足受け部を下方に向けてそれぞれ回転して椅子を構成する。この装置は、回転前に、背もたれ部、座部及び足受け部が直線状に位置しているため、臥床者をその上に着座させる際に臥床者に肉体的及び精神的負担を与えることが殆どない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 背もたれ部、座部及び足受け部を含んで成り、前記座部に対して背もたれ部及び足受け部をそれぞれ回転可能にしたことを特徴とする介護用可動椅子装置。
【請求項2】 背もたれ部、座部及び足受け部が1対のフレームに設置され、1対のフレームの少なくとも一方に回転可能な煽り板を設置した請求項1に記載の介護用可動椅子装置。
【請求項3】 背もたれ部、開口を有する座部、足受け部、及び前記座部の開口の下方に設置した便槽を含んで成り、前記座部に対して背もたれ部及び足受け部をそれぞれ回転可能にしたことを特徴とする介護用簡易便器。
【請求項4】 背もたれ部、座部及び足受け部が1対のフレームに設置され、1対のフレームの少なくとも一方に回転可能な煽り板を設置した請求項3に記載の介護用簡易便器。
【請求項5】 1対のフレーム、該フレームに設置された背もたれ部、座部、足受け部、補助板及び1対の煽り板を含んで成り、前記背もたれ部は前記座部に対して回転可能であり、前記補助板は前記足受け部の外端又はその近傍から上方に向けて延設され、前記1対の煽り板は前記背もたれ部、座部及び足受け部及び補助板に接触又は近接できるように前記フレームの側部に回転可能に設置され、前記背もたれ部、座部、足受け部、補助板及び1対の煽り板により形成される空間に防水シートを配設したことを特徴とする組み立て式介護用簡易浴槽。
【請求項6】 臥床者のベッドに対する体圧の強い部分に対応する箇所に切り欠きを設けた1対の支え板を互いの内縁部同士が接触しないように前記臥床者とベッド間に挿入し、両支え板を上昇させ、次いで水平方向に、それぞれが実質的に水平方向に位置する、背もたれ部、該背もたれ部に連結された座部及び該座部に連結された足受け部を含んで成る介護装置の上方まで移動させ、次いで両支え板を前記介護装置に接触するまで下降させ、更に両支え板を外側に向けて移動させ、前記臥床者を前記介護装置に移行させることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構成部材間を相互に可動にした介護装置に関し、より詳細には寝たきりの人やハンディキャップを有する人等の臥床者に有用な可動椅子装置、簡易便器、組立式簡易浴槽、及びこのような介護装置まで臥床者を円滑に移行させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高齢化社会の到来に伴い、寝たきりの人達の介護の問題は注目されており、特に自発的に動けない人達を補助して日常生活に支障が生じないようにすることができれば福祉に関する大きな進歩となる。この場合の日常生活とは、通常はベッド等で生活している人達が、自力で椅子等に移動してしたり、簡易便器に移動して自力で排便をしたり、簡易浴槽に移動して入浴を行うこと等を意味している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら現状では、多くの場合、看護人や付添人が人力で抱き上げてベッドから椅子や簡易便器に移動させている。これは単に、ベッドから椅子等へ寝たきりの人達を機械を使用して移動させることが難しいという理由だけでなく、比較的硬く形状が固定された椅子へ寝たきりの人達へ肉体的及び精神的な負担を与えることなく着座させることが難しいという理由にも依る。つまり現状では人力による臥床者を椅子等に移行させることが臥床者に対して負担の少ない方法であるが、逆に看護人や付添人には大きな負担となっているため、機械的に臥床者の移行を行える装置や方法が要請されている。従って本発明は、寝たきりの人達等の臥床者に負担を与えることなく着座できる椅子、簡易便器及び簡易浴槽を提供し、かつこれらの臥床者装置に臥床者を機械的に移行させる方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】従って本発明は、第1に背もたれ部、座部及び足受け部を含んで成り、前記座部に対して背もたれ部及び足受け部をそれぞれ回転可能にしたことを特徴とする介護用可動椅子装置、第2に背もたれ部、開口を有する座部、足受け部、及び前記座部の開口の下方に設置した便槽を含んで成り、前記座部に対して背もたれ部及び足受け部をそれぞれ回転可能にしたことを特徴とする介護用簡易便器、第3に1対のフレーム、該フレームに設置された背もたれ部、座部、足受け部、補助板及び1対の煽り板を含んで成り、前記背もたれ部は前記座部に対して回転可能であり、前記補助板は前記足受け部の外端又はその近傍から上方に向けて延設され、前記1対の煽り板は前記背もたれ部、座部及び足受け部及び補助板に接触又は近接できるように前記フレームの側部に回転可能に設置され、前記背もたれ部、座部、足受け部、補助板及び1対の煽り板により形成される空間に防水シートを配設したことを特徴とする組み立て式介護用簡易浴槽、及び第4に臥床者のベッドに対する体圧の強い部分に対応する箇所に切り欠きを設けた1対の支え板を互いの内縁部同士が接触しないように前記臥床者とベッド間に挿入し、両支え板を上昇させ、次いで水平方向に、それぞれが実質的に水平方向に位置する、背もたれ部、該背もたれ部に連結された座部及び該座部に連結された足受け部を含んで成る介護装置の上方まで移動させ、次いで両支え板を前記介護装置に接触するまで下降させ、更に両支え板を外側に向けて移動させ、前記臥床者を前記介護装置に移行させることを特徴とする方法である。
【0005】以下本発明を詳細に説明する。本発明の介護装置である、可動椅子装置、簡易便器及び組み立て式簡易浴槽は、通常時つまり臥床者を移行させる前の状態では、臥床者を着座させる部分である背もたれ部、座部及び足受け部が実質的に水平方向にほぼ一直線になるように位置していることが好ましい。しかし自力移動が可能な臥床者の場合は予め背もたれ部と足受け部を座部に対して回転させ、通常の椅子と同様の状態にしておいても良い。ベッドから臥床者をこの介護装置に移行させる際に、該介護装置が臥床時の状態を維持していると、つまり水平方向にほぼ一直線状になっていると、そのままの状態で前記介護装置に着座でき、肉体的及び精神的な負担がなくなる。次いで前記背もたれ部を上方に向けて回転させ、前記足受け部を下方に向けて回転させると、通常の椅子と同じ状態になり、臥床者をベッドから椅子へ容易に移行させることができる。
【0006】前記可動椅子装置は、通常の椅子としての他、予め例えば袋状の防水シートを設置しておき、この防水シート上に臥床者を着座させて背もたれ部及び足受け部を回転させ椅子状に変形させ、更にその上方にシャワーノズルを設置すると簡易シャワー装置としても使用できる。この他にも適宜部材を追加することにより、前記可動椅子装置は椅子以外の用途にも適用できる。又前記可動椅子装置の座部に開口を形成し、この開口の下方に便槽を設置すると、簡易便器になる。排便や排尿を自力で行えることは臥床者にとって大きな精神的な救いになり、精神的な安定が達成されることが多い。更に1対のフレーム、1対の煽り板等を追加すると組み立て式簡易浴槽を構成することが可能になる。なおこの組み立て式簡易浴槽は使用時に座部と足受け部を直線状にすることが多いため、座部と足受け部を一体とした座及び足受け兼用部として構成しても良い。
【0007】このような介護装置は前述した通り、臥床者の移行時に背もたれ部、座部及び足受け部を直線状にしてあり、臥床者をその上に着座させると肉体的及び精神的負担がなくなるという利点を有しているが、臥床者を前記介護装置まで円滑に移行させる必要がある。そのため本発明ではその上にベッド上の臥床者を移行させかつ保持し、保持した臥床者を前記介護装置まで無理なく移行させる方法を提供する。臥床者を保持する手段として本発明では1対の支え板を使用する。この支え板は方形とはせず、臥床者の体の輪郭に沿った切り欠きを有する形状とする。
【0008】ベッドに寝ている臥床者の体とベッドの間の全体に硬い板を挿入し、この板を上昇させることにより臥床者を上昇させかつ移行させることは臥床者にとって大きな負担となる。本発明のように臥床者の体の輪郭に沿って切り欠きを形成した、好ましくは左右対称の支え板を臥床者とベッド間に挿入すると、ベッドと弱く接している体の部分とベッドの間にのみ支え板が挿入され、ベッドとの接触が弱いため支え板が挿入されてもさほどの不快感や肉体的負担がなく、円滑に臥床者を移行させることができる。なお前記可動椅子装置や簡易便器を1対のフレームに設置し、該1対のフレームの少なくとも一方に回転可能な煽り板を取り付けておくと、通常は下方に向いている前記煽り板を90°上方に回転させて水平に位置させこの煽り板を臥床者のベッドに接触又は近接させると、自力で移動できる臥床者はこの水平方向の煽り板上を移動して前記可動椅子装置や簡易便器に到達できる。特に簡易便器をベッドと接触させておくと環境衛生的な負担となり、僅かでもベッドから離すことにより、このような負担を解消できる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に本発明の介護装置を添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の可動椅子装置の一例を示す概略縦断面図、図2は同じく平面図、図3は図1の装置の可動椅子本体の各部材の位置関係の変化を例示する概念図である。前後1対の側板フレーム1同士は前後に位置する図示の例では計3個の連結杆2により連結されている。前記側板フレーム1の上縁に沿って、図の右から順に、それぞれが方形である背もたれ部3、座部4及び足受け部5から成る可動椅子本体6が設置され、該可動椅子本体6は、背もたれ部3の左右(図における前後)に形成された支持杆7により前記背もたれ部3が回転できるように、前記側板フレーム1に連結されている。なお座部4には開口8が形成され、この開口8は臥床者が着座した際に、その臀部を食い込ませて、体を安定に保持するためのものである。なおこの開口の下方に便槽を設置すると、図示の可動椅子装置を簡易便器としても使用できる。
【0010】前記連結杆の後方側の連結杆2のやや内方には連結軸2aが設置され、該連結軸2aには駆動チェーン9を介して駆動モータ10が接続され、その下端部が連結軸2と第1アーム駆動用チェーン11により連結された第1アーム12が前記駆動モータ10により基軸13を中心に回転するようになっていて、第1アーム12の上端は前記背もたれ部3下面に補助板14を介して固定されている。前記連結軸2aと同軸状の大径軸15には、第2アーム駆動チェーン16が係合され、このチェーン16は前記大径軸15と前記座部4と足受け部5の連結部の下方の第2アーム駆動軸17間を無端走行するようになっている。この第2アーム駆動軸17には、第2アーム18が連結され、該第2アーム18の上端は、前記足受け部5との連結部に近い座部4の下面に補助板19を介して固定されている。なお20は第2アーム19の上端近傍に保持され、前記足受け部5を保持する保持アームである。
【0011】このような構成から成る背もたれ部3、座部4及び足受け部5が一直線状になった図1及び2の可動椅子装置は、駆動モータ10を駆動させることにより通常の椅子となる。その要領を図3に示す。駆動モータ10の回転力が駆動チェーン9により連結軸2aに伝達され、この回転力は第1アーム駆動用チェーン11により第1アーム12に伝達され、かつ第2アーム駆動チェーン16により第2アーム駆動軸17に伝達される。前記駆動モータ10の回転力が伝達された第1アーム12は、前記背もたれ部3を支持杆7を中心に図3中で3→3a→3b→3cのように反時計回りに回転させ、最終的に背もたれ部3を直立又はそれに近い状態にする。
【0012】他方第2アーム18は座部4を4→4a→4b→4cのように反時計回りに回転させ、最終的に水平状態にする。この座部4に連結された足受け部5は座部とともに5→5a→5b→5cの順に移動して垂直状態になる。これにより図1及び2に示す可動椅子装置は、図4aに示すような通常の椅子21に変化し、例えば予め図1の可動椅子装置に袋状の防水シート22をセットしておき、更に前記椅子21の上方にシャワーノズル23を設置すると、シャワーとして使用することができる。図1の状態から図4の状態への移行は、ボタン操作等により自動的に行わせることも可能であり、自発的に動けない人達が自身の意志でシャワーを浴びることが可能になる。
【0013】図4bは、図1の装置を簡易便器に応用した例を示すもので、座部4の下方に開閉可能な蓋24を設置した便槽25を設置している。この例の場合には自発的に動けない人達が自身の意志で排便や排尿を行うことが可能になる。
【0014】図5は図1及び2の装置を利用する組み立て式簡易浴槽を例示する概略図であり、図1及び2と同一部材には同一符号を付している。この組み立て式簡易浴槽26は、図3の背もたれ部3c−座部−4c−足受け部5cの状態、つまり図6aに示す状態から足受け部5を座部4は一直線になるように上方に向けて回転させて図6bの状態にし、更にこの足受け部5に第1仕切り板27を足受け部5と直線状になるようにセットし、更にこの第1仕切り板27の他端側に若干外向き傾斜するように第2仕切り板28を直立させ、2枚の支持板29及び30により両仕切り板27及び28を保持することにより形成しかつ維持できる。なお第1アーム12′及び第2アーム18′は機能自体は図1及び2と同様であるが、より簡単な構造としてある。
【0015】図5の組み立て式簡易浴槽26の背もたれ部3、座部4、足受け部5及び両仕切り板27及び28で形成される空間内で、予めセットしておいた防水シート31を浴槽の形に保持しかつ適温の浴用水を入れると簡易浴槽が組み立てられる。この組み立て式簡易浴槽の場合には完全な自動化は難しいが、最小限の補助により臥床者の入浴が可能になる。
【0016】図7は、本発明における他の可動椅子装置の実施態様を例示する概略縦断面図であり、図8は図7の装置を組み立て式簡易浴槽として使用する状況を例示する概略縦断面図である。この可動椅子装置における背もたれ部41、座部42及び足受け部43はアームにより駆動される態様ではなく、座部42の位置が水平に固定され、背もたれ部41と足受け部43が互いにその座部42との連結部を中心に回転して椅子を構成するようになっている。つまり3本の連結杆52により連結された側面視下向き「コ」字状の1対のフレーム44上に固定された開口45を有する前記座部42の左右に密着又は近接する背もたれ部41及び足受け部43のそれぞれの座部42に接近する箇所の下部には背もたれ部回転用モータ46及び足受け部回転用モータ47が設置されている。なおこの可動椅子装置においても、背もたれ部、座部及び足受け部をアームで駆動させるようにしても良い。
【0017】なお前記開口45の下方に便槽48を設置しておくと、簡易便器として使用できる。又49は通常はフレーム44の側面に接触しており、例えば後述の組み立て式簡易浴槽を構成する場合に上方向に180 °回転して浴槽の側壁となる前後1対の煽り板である。両モータ46及び47を駆動させると、図示を省略したギアにより背もたれ部41が上向きに回転し、かつ足受け部43が下向きに回転してそれぞれ二点鎖線で示した位置まで移動して椅子が構成される。なお図示は省略したが、フレーム44の脚の下端にキャスターを設置しておくと、装置全体を移動させることができる。
【0018】図8に示すように、座部42の開口を無くし、背もたれ部41の傾斜を緩やかにし、足受け部43を座部42と直線を成すように当初の状態に保持し、足受け部43の先端に直立する仕切り板50を連結し、前述した前後1対の煽り板49を180 °回転させて側壁とし、予めセットしかつ浴槽の形状に維持して臥床者がその中に位置している防水シート51内に適温の浴場水を入れると簡易浴槽が組み立てられる。これにより前述と同様にして臥床者の入浴が可能になる。
【0019】図9は、図1及び2に示した可動椅子装置等にベッド上の臥床者を移行させるための装置を例示する正面図、図10は図9の装置の平面図、図11は図9及び10の支え板の拡大平面図である。本実施態様の臥床者移行装置61は、床面上に延設された1対の杆状の昇降装置保持部材62上に設置された昇降装置63と、床面上に設置されたベッドフレーム64上のベッド本体65上に位置し、前記昇降装置63により昇降する1対の支え板66を有している。前記昇降装置63の前後両端には、断面視が内向き「コ」字状の1対の昇降部材67が上向きに設置され、この昇降部材67のそれぞれには前記ベッド本体65から可動椅子装置まで延設された1対の水平アーム68が固定されている。
【0020】これら両水平アーム68には、例えばその上半分と接触する半円状のスライド部材69が摺動自在に連結され、かつ両スライド部材69には、下端が前記支え板66に連結されて該支え板66を昇降させる左右1対、計2対の支え板用アーム70が連結されている。前記1対の支え板66は図11に示すように臥床者71の頭部、胴部及び足部の輪郭に応じた、好ましくは左右対称の切り欠き72を有し、かつ内側に向けて下向き傾斜している。これらの支え板66上に臥床者71を載せる際には、まず図11の実線で示す位置に支え板66を位置させ、次いで2対の支え板用アーム70により1対の支え板66を近接するように臥床者71方向に移動させると、支え板66が二点鎖線で示す位置まで移動し(66a)、前記切り欠き72の外縁部が臥床者71の頭部、胴部及び足部の周縁部に達し、両支え板66同士は互いに接触しない。
【0021】この状態は臥床者にとって体全体の下に板が存在しないためつまり比較的硬い板が体とベッドの間の全部に挿入されることがないため、不快感が少ない。この状態で昇降部材67を上昇させると水平アーム68、スライド部材69とともに支え板アーム70に連結された支え板66が上昇して、臥床者がベッド本体65から離れる。次いでスライド部材69を水平アーム68に沿って可動椅子装置の上方まで移動させ、昇降部材67を支え板66が可動椅子装置の座部4に接触するまで下降させる。その状態で1対の支え板66を横方向に互いに離れるように移動させると臥床者が可動椅子装置の背もたれ部、座部及び足受け部の上に移行される。このベッドから可動椅子装置への移行の際に臥床者はベッド上の状態を保持したまま移行でき、そして特別の付添い人の手助けを必要とせずに、ボタン操作等のみで移行できるように構成することも可能である。
【0022】図12は図11に示した支え板66とは別の支え板を例示する平面図である。この例では、左右1対の支え板81は、臥床者82の頸部、腰部及び臀部に相当する箇所に方形の切り欠き83を有する対称形として成形されている。この例では、臥床者82のベッドシーツ85の下に1本の縦軸に互いに平行な3本の横軸を連結した構造を有する空気が満たされていないエアチューブ84を置いてある。臥床者82とベッドシーツ85の間に前記支え板81を挿入する前に、エアチューブ84に空気を入れると、エアチューブ84が膨らんで臥床者82の体がベッドから浮き上がった状態になり、容易に支え板81を挿入できる。
【0023】
【発明の効果】本発明は、背もたれ部、座部及び足受け部を含んで成り、前記座部に対して背もたれ部及び足受け部をそれぞれ回転可能にしたことを特徴とする可動椅子装置(請求項1)である。この可動椅子装置は、通常は背もたれ部、該背もたれ部に連結された座部及び該座部に連結された足受け部が実質的に直線状に位置しているため、臥床者をその上に着座させる際に臥床者に肉体的及び精神的負担を与えることが殆どなくなる。
【0024】そして臥床者の着座後に、前記背もたれ部、座部及び足受け部の相互の位置関係を変更して、水平方向の座部、この座部の端部に直立又は直立状態からやや傾斜するように背もたれ部が連結され、前記座部の他端に下向きに足受け部を連結することで通常の椅子とほぼ同じ構造となる。従って従来は付添いの人に抱き上げられて肉体的にも精神的にも負担を強いられて椅子へ移行させられていたのに対し、本発明の可動椅子装置によると、臥床者に殆ど負担を強いることなく臥床者が椅子に移動することができ、必要に応じてボタン操作等により自動的に行うことも可能になる。この場合に単に椅子に移動するだけでなく、椅子に補助部品を設置することにより、シャワーを浴びる等の椅子本来の用途以外としても使用できる。
【0025】そして座部に開口を設け該開口の下方に便槽を連結すると、請求項1の可動椅子装置は簡易便器(請求項3)として使用できる。排便や排尿を他人の手を借りずに行えることは日常生活を営む上で非常に重要で精神的な安定が得られる。本発明の簡易便器はこのような要請に対して応じることができる。そして請求項1又は3の可動椅子装置や簡易便器のフレームに回転可能な煽り板を取り付けておくと(請求項2及び4)、この煽り板を水平に位置させ臥床者のベッドに接触又は近接させることができ、自力で移動できる臥床者はこの水平方向の煽り板上を移動して前記可動椅子装置や簡易便器に到達できる。
【0026】又本発明は、フレーム、該フレーム上に設置された、それぞれが水平に位置する背もたれ部、該背もたれ部に連結された座部、該座部に連結された足受け部、該座部又は足受け部の他端側に連結された補助板、及び前記背もたれ部、座部及び足受け部及び補助板に接触できるように前記フレームの側部に回転可能に設置された1対の煽り板を含んで成る組み立て式簡易浴槽(請求項5)である。この組み立て式簡易浴槽は、防水シートを使用する等の理由で完全な自動化は難しいが、従来の付添人や看護人による臥床者の入浴より遙かに容易に入浴を行うことができる。
【0027】更に本発明は、臥床者のベッドに対する体圧の強い部分に対応する箇所に切り欠きを設けた1対の支え板を互いの内縁部同士が接触しないように前記臥床者とベッド間に挿入し、両支え板を上昇させ、次いで水平方向に、それぞれが水平に位置する、背もたれ部、該背もたれ部に連結された座部及び該座部に連結された足受け部を含んで成る介護装置の上方まで移動させ、次いで両支え板を前記介護装置に接触するまで下降させ、更に両支え板を外側に向けて移動させ、前記臥床者を前記介護装置に移行させることを特徴とする方法(請求項6)である。この方法は、ベッドに臥床している臥床者を請求項1、3及び5に記載した可動装置へ移行させるためのものである。特に臥床者のベッドに対する体圧の強い部分に対応する箇所に切り欠きを設けた1対の支え板を使用しているため、体の下全体に支え板を挿入する肉体的な負担が軽減されて、より快適にかつ容易に臥床者を介護装置に移行させることが可能になる。
【出願人】 【識別番号】591264474
【氏名又は名称】有限会社ナムックス
【出願日】 平成12年4月17日(2000.4.17)
【代理人】 【識別番号】100086726
【弁理士】
【氏名又は名称】森 浩之
【公開番号】 特開2001−293035(P2001−293035A)
【公開日】 平成13年10月23日(2001.10.23)
【出願番号】 特願2000−115482(P2000−115482)