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【発明の名称】 緩衝装置
【発明者】 【氏名】佐藤 毅

【要約】 【課題】狭い領域で比較的大きな緩衝ストロークを確保し緩衝装置自体を小型化・軽量化することができ、また、簡単な改良で既存の車椅子等走行体に容易に取付けることができ、更には、走行体の走行時に路面から伝わる衝撃・振動を和らげ、乗り心地の向上を図る。

【解決手段】メインブラケット12の一端部をメインフレーム31に回転可能に取付け、他端部に車輪33を取付け、前記メインブラケット12を前記走行中の衝撃による回転方向とは反対方向に付勢する緩衝部材13を設け、前記メインブラケット12をメインフレーム31への取付け位置に取付けられていた車輪33に代えて取付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 架台を車輪によって支持する走行体の走行中に路面から伝わる衝撃を緩和するための緩衝装置であって、一端部が前記架台に回転可能に取付けられ、所定部に前記車輪が取付けられるメインブラケットと、前記メインブラケットを、前記走行中の衝撃による回転方向とは反対方向に付勢する緩衝部材と、を有し、前記メインブラケットを、前記架台への取付け位置に取付けられていた車輪に代えて取付け可能にした、ことを特徴とする緩衝装置。
【請求項2】 走行用の一対の主車輪と、操舵用の一対の補助車輪と、少なくとも乗員が着座する着座部及び介護者が把持するハンドル部を構成するように組み付けられたメインフレームと、を備えた車椅子に用いられ、前記車椅子の走行中に路面から伝わる衝撃を緩和するための車椅子用緩衝装置であって、一端部が前記メインフレームに回転可能に取付けられ、前記主車輪の車軸が取付けられることによって、前記衝撃に応じて前記一端部を中心に回転するメインブラケットと、下端部が前記メインブラケットに取付けられ、上端部が前記メインブラケットのメインフレームへの取付け位置よりも上方に固定され、前記メインブラケットを、前記衝撃による回転方向とは反対方向に付勢する緩衝部材と、を有する車椅子用緩衝装置。
【請求項3】 前記緩衝部材の上端部が、一端がメインフレームに取付けられるサブブラケットを介して固定されることを特徴とする請求項2記載の車椅子用緩衝装置。
【請求項4】 前記サブブラケットの前記一端部が、前記メインブラケットのメインフレームへの取付け位置と同一位置に回転可能に取付けられることを特徴とする請求項3記載の車椅子用緩衝装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緩衝装置及び車椅子用緩衝装置に係り、特に、走行体が凹凸のある走行路を走行する際に路面から加わる衝撃・振動を和らげるために用いられる緩衝装置及び車椅子用緩衝装置に関する。
【0002】
【従来の技術】乗員を乗せて走行する台車として、お年寄り、身体の不自由な人等自力での歩行が困難な人々を対象とした、着座したままで移動可能な車椅子がある。
【0003】通常、このような既存の車椅子の主車輪には空気が封入されたタイヤが用いられており、このタイヤの弾性力により凹凸のある路を走行する際の衝撃・振動を和らげ、利用者に不快感を与えないようにしている。
【0004】また、特開平7−455号公報、及び登録実用新案第3031277号公報に開示されるように、フレームと車輪の軸との間に、ばね等の緩衝部材を設けることにより、凹凸の激しい場所を走行する際の比較的大きな衝撃・振動をも和らげ、利用者に不快感を与えないようにしているものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の公報に開示されている緩衝装置では、衝撃を吸収する方向が車椅子等走行体の車輪を支持するフレームの軸と同軸または平行に設けられていたため緩衝ストロークに制限があり、この緩衝ストロークを増やすためには緩衝装置自体が大型化するという問題があった。
【0006】また、従来の緩衝装置では、緩衝装置を設けることを想定してフレームの設計を行わなくてはならず、既存のフレームを利用して既存の車椅子等走行体に取付けることができない、という問題があった。
【0007】本発明は上記問題を解決すべく成されたものであり、狭い領域で比較的大きな緩衝ストロークを確保し緩衝装置自体を小型化・軽量化することができ、また、簡単な改良で既存の車椅子等走行体に容易に取付けることができ、更には、走行体の走行時に路面から伝わる衝撃・振動を和らげ、乗り心地の向上を図ることができる緩衝装置の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、架台を車輪によって支持する走行体の走行中に路面から伝わる衝撃を緩和するための緩衝装置であって、一端部が前記架台に回転可能に取付けられ、所定部に前記車輪が取付けられるメインブラケットと、前記メインブラケットを、前記走行中の衝撃による回転方向とは反対方向に付勢する緩衝部材と、を有し、前記メインブラケットを、前記架台への取付け位置に取付けられていた車輪に代えて取付け可能にしたことを特徴とする。
【0009】請求項1に記載の発明によれば、メインブラケットが架台に回転可能に設けられることから、狭い領域で緩衝部材の緩衝ストロークを直線的なストロークに比べて増加させることができ、緩衝装置自体を小型化・軽量化することができる。また、メインブラケットを架台への取付け位置に取付けられていた車輪に代えて取付けることにより既存のメインフレームに大きな設計変更を加えることなく、本来車軸を取付けるための部位に容易に本発明に係る緩衝装置を取付けることができる。
【0010】請求項2に記載の発明は、走行用の一対の主車輪と、操舵用の一対の補助車輪と、少なくとも乗員が着座する着座部及び介護者が把持するハンドル部を構成するように組み付けられたメインフレームと、を備えた車椅子に用いられ、前記車椅子の走行中に路面から伝わる衝撃を緩和するための車椅子用緩衝装置であって、一端部が前記メインフレームに回転可能に取付けられ、前記主車輪の車軸が取付けられることによって、前記衝撃に応じて前記一端部を中心に回転するメインブラケットと、下端部が前記メインブラケットに取付けられ、上端部が前記メインブラケットのメインフレームへの取付け位置よりも上方に固定され、前記メインブラケットを、前記衝撃による回転方向とは反対方向に付勢する緩衝部材とから構成される。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、前記緩衝部材の上端部が、一端がメインフレームに取付けられるサブブラケットを介して固定されることを特徴とする。
【0012】更に、請求項4に記載の発明は、前記サブブラケットの前記一端部が、前記メインブラケットのメインフレームへの取付け位置と同一位置に回転可能に取付けられることを特徴とする。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、例えば、メインブラケットの一端部をメインフレームに取付ける場合、フレームの車軸が取付けられていた位置に車輪に代えて取付けることにより簡単な改良で緩衝装置を取付けることができる。また、車椅子等走行体が段差のある路等凹凸のある走行路を走行した場合に、緩衝部材がメインブラケットの回転運動に応じて伸縮し、路面から伝わる衝撃・振動を緩衝部材が吸収する。これにより、安全な走行が可能となり、路面から伝わる衝撃・振動が走行体の乗員等に直接伝わるのが防止され、乗員の疲労、負担が軽減され、乗り心地の向上を図ることができる。
【0014】このとき、請求項3に記載の発明によれば、サブブラケットを設けることで、緩衝装置単独で組立てられることができる。
【0015】更に、請求項4に記載の発明によれば、上記に加えて、サブブラケットをメインブラケットと同一位置に取付けることにより車椅子等走行体への組み付けが容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0017】本実施の形態に係る緩衝装置10が取付けられた、走行体の一種である車椅子について説明する。
【0018】図3には本実施の形態に係る車椅子30が示されている。この車椅子30は骨組を構成し、路面に対して上下方向に立設されたメインフレーム31を備えている。メインフレーム31の上端部は車椅子30の通常進行方向に対して後方側に向かって屈曲されており、介護者等が把持するハンドル部32となっている。このハンドル部32には把持しやすいように合成樹脂製のカバー32Aが取付けられている。また、メインフレーム31の下端部には後述する車軸取付部34(図1参照)が形成され、この車軸取付部34には軸孔35が穿設されている。また、車軸取付部34には車椅子走行用の一対の主車輪33を支持するための緩衝装置10が取付けられている。即ち、主車輪33はメインフレーム31に対して緩衝装置10を介して取付けられことになる。
【0019】メインフレーム31の中間部には、一対のアームレストフレーム36の一端部が固定され、アームレストフレーム36は車椅子の通常進行方向に向かって略水平に伸長されている。アームレストフレーム36の水平部分上部にはアームレスト37が設けられている。また、アームレストフレーム36の前方は下方(路面)に向かって屈曲され、キャスタフレーム38となっており、キャスタフレーム38の先端開口部には車椅子操舵用の一対の補助車輪39の支持軸が挿入され保持されている。この補助車輪39は主車輪33に比して小さな径を有しており、主に車椅子の操舵のみを行う役目を有している。
【0020】メインフレーム31の前記アームレストフレーム36よりも下方(路面側)には、このアームレストフレーム36と平行に一対のサイドフレーム40がメインフレーム31に取付けられている。この一対のサイドフレーム40間には着座部(図示せず)が掛け渡されている。サイドフレーム40の前方は下方(路面)に向かって屈曲され、ステップフレーム41となっており、ステップフレーム41先端にはステップ42が取付けられている。このステップ42には、車椅子の乗員が車椅子利用時に足を載せることができる。
【0021】以下、図1、図2に従い、緩衝装置10について詳細に説明する。
【0022】緩衝装置10は、車椅子等走行体に取付けられたときに上側となるサブブラケット11、下側となるメインブラケット12、及び一端がメインブラケット12に固定され他端がサブブラケット11に固定される緩衝部材としての圧縮コイルばね13とから構成される。
【0023】サブブラケット11は板材の幅方向両端部を互いに平行になるように90°屈曲させ、断面が略コ字状に形成されたアーム部11Aとこのアーム部11Aに連続され前記車軸取付部34に嵌り合う断面がコ字状の取付部14と、で構成されている。このアーム部11Aと取付部14とで、サブブラケット11は側面視で略T字型となっている。
【0024】このサブブラケット11に対向するようにメインブラケット12が設けられており、メインブラケット12には互いに平行な一対の脚板12Aガ形成されている。この脚板12A間にはサブブラケット11が収容されている。メインブラケット12の一端側(メインフレーム31に近い側)には、取付孔21が穿設され、取付部19となっている。従って、メインブラケット12に収容されたサブブラケット11における取付部14の対応する部位には、取付孔21と同軸となる取付孔16が穿設されている。この取付孔16と、取付孔21とにはボルト45が挿入されるようになっている。
【0025】これにより、メインブラケット12と、サブブラケット11とはボルト45を中心に相対回転が可能となっている。
【0026】ボルト45がサブブラケット11とメインブラケット12とを軸支するときに、同時にメインフレーム31の車軸取付部34に設けられた軸孔35にも挿入される。これにより、軸孔35を中心にサブブラケット11とメインブラケット12との回転が可能となる。ここで、サブブラケット11の取付部14の上部はメインフレーム31に嵌合されている。この結果、取付部14がサブブラケット11の反時計回り方向の回転を制限し、実際には、メインブラケット12のみの回転運動となる。
【0027】メインブラケット12の下端部には図1、図2に示すようにメインブラケット12の時計回り方向の回転を制限するストッパ20が設けられている。これにより、メインブラケット12は、メインブラケット12がサブブラケット11に当接する位置からストッパ20がメインフレーム31に当接するまでの範囲内で、回転可能となる。
【0028】サブブラケット11には取付部14とは反対側にばね取付部17が設けられ、メインブラケット12には、ばね取付部17に対向するようにばね取付部18が設けられている。そして、緩衝部材としての圧縮コイルばね13がばね取付部17と、ばね取付部18との間に介在し、圧縮コイルばね13の両端はボルト25により保持されている。従って、この圧縮コイルばね13は図1の時計回り方向の付勢力を有し、メインブラケット12を図1の時計回り方向に付勢するようになっている。即ち、圧縮コイルばね13はメインブラケット12の回転方向とは反対方向にメインブラケット12を付勢するようになっている。
【0029】以下に、本実施の形態の作用を説明する。
【0030】緩衝装置10は、サブブラケット11がメインブラケット12に収容され、サブブラケット11とメインブラケット12との間に圧縮コイルばね13が設けられる。そして、メインブラケット12の取付孔21、及びサブブラケット11の取付孔16とにボルト45を貫通させることにより組立てられる。従って、緩衝装置10は、サブブラケット11の存在により緩衝装置10単体として組立てが可能である。
【0031】この緩衝装置10は車椅子等走行体に取付けることが可能であり、以下、この緩衝装置10を車椅子30に組み付ける場合について説明する。
【0032】まず、車椅子30の車軸取付部34に取付けられていた主車輪33の車軸を取り外し、車軸取付部34の軸孔35とサブブラケット11の取付孔16及び、メインブラケット12の取付孔21の位置を一致させるようにしながら、サブブラケット11の取付部14、及びメインブラケット12の取付部19を車軸取付部34に嵌める。次に、ボルト45を、取付孔21、取付孔16、及び軸孔35に貫通させ、メインブラケット12を車軸取付部34に対して回転可能に取付ける。更に、メインブラケット12の車軸取付孔22に主車輪33の車軸を取付ける。
【0033】こうして、メインブラケット12が車椅子30のメインフレーム31に回転可能に設けられることから、直線的なストロークに比べ狭い領域で緩衝部材の緩衝ストロークを増加させることができ、緩衝装置自体を小型化・軽量化することができる。また、サブブラケット11及びメインブラケット12には走行体のメインフレーム31の軸孔35と略同一径の取付孔16,21が穿設されているため、既存のメインフレーム31に設計変更を加えることなく、本来車軸を取付けるための車軸取付部34に、容易に緩衝装置10を取付けることができる。
【0034】また、緩衝装置10が取付けられた車椅子30が、例えば段差のある路面等凹凸のある走行路を走行した場合であって、主車輪33へ路面に対して上方向の力が作用する場合には、サブブラケット11の取付部14がサブブラケット11の反時計回り方向の回転運動を制限し、またメインブラケット12に反時計回り方向の力が加わるが、圧縮コイルばね13はメインブラケット12の回転方向とは反対方向に付勢するように設けられていることから、この2つの相反する力により、走行路の凹凸により路面から主車輪33に伝わる衝撃・振動を圧縮コイルばね13が吸収することができる。この結果、走行路の凹凸により路面から伝わる衝撃・振動が車椅子30の乗員等に直接伝わるのが防止され、安全な走行が確保され、乗員等の疲労、負担が軽減される。また、車軸取付部34が立方体状、即ち非円形形状となっていることから、サブブラケット11及びメインブラケット12のメインフレーム31を中心とする水平方向の回転運動が抑止され、従って、主車輪33の水平方向の回転運動が抑止され、不要な回転運動により車椅子利用者に不快感を与えることはない。
【0035】次に、図4乃至図6に従い、本発明の他の実施の形態について説明する。なお、この図4乃至図6において、本実施の形態と同様の構成のものには同一の符号を付し、その構成の説明を省略する。
【0036】図4及び図5に示すように、本発明の他の実施の形態に係る緩衝装置50は一対のサブブラケット51、メインブラケット52、圧縮コイルばね13から構成されている。
【0037】サブブラケット51はメインフレーム31に取付けた場合に、車軸取付部34よりも路面に対して上方に位置している。サブブラケット51はメインフレーム31を囲むように半円弧部が設けられ互いに嵌合する2つの部品からなり、この2つの部品を組み合わせることにより、メインフレーム31に固定されるようになっている。サブブラケット51から半径方向に突出したばね取付部54には圧縮コイルばね13の一端が保持されるようになっており、サブブラケット51の他端部はメインフレーム31に取付けられるための取付部53となっている。
【0038】また、メインブラケット52の一端側は車軸取付部34に嵌り合う取付部55となっており、メインブラケット52の他端側にはばね取付部56が設けられ、圧縮コイルばね13の他端部が保持されるようになっている。また、ばね取付部56近傍には車軸取付孔57が穿設されている。
【0039】本実施の形態においては、上述した実施の形態と異なり、サブブラケット51とメインブラケット52とをメインフレームに別々に取付けることが可能である。
【0040】上述の緩衝装置10,50では、緩衝部材として圧縮コイルばね13を用いたが、図6に示す本発明の更に他の形態に係る緩衝装置60のように、ガススプリング59を用いてもよい。また、他の緩衝部材として上述の圧縮コイルばね13、ガススプリング59に代えてオイルシリンダ、エアーシリンダ等流体による緩衝部材、または、板ばね等ばね類、ゴム等弾性材による緩衝部材を用いることもできる。
【0041】
【発明の効果】以上述べた如く本発明に依れば、本発明に係る緩衝装置では、狭い領域で比較的大きな緩衝ストロークを確保し緩衝装置自体を小型化・軽量化することができ、また、簡単な改良で既存の車椅子等走行体に容易に取付けることができ、更には、走行体の走行時に路面から伝わる衝撃・振動を和らげ、乗り心地の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】500069851
【氏名又は名称】不二工業株式会社
【出願日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2001−245933(P2001−245933A)
【公開日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【出願番号】 特願2000−62633(P2000−62633)