トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 介護用補助バンド
【発明者】 【氏名】川崎 誠司

【氏名】川口 正江

【要約】 【課題】極めて簡易かつ迅速に使用できると共に、被介護者を補助する際の安定性が高い介護用補助バンドを提供する。

【解決手段】被介護者の支持力を発揮するリング状芯材10の対向辺部と、介護者の取っ手となる曲線部14,15とが一体構造であり、対向辺部12,13間に被介護者の身体に直接接する当接体20が配設されている。従って、被介護者がある動作を行おうとする場合には、その動作の補助に役立つ部位にこの当接体を当接し、介護者が取っ手を把持して操作するだけでよく、極めて迅速かつ簡易に使用することができる。また、当接体20は、被介護者の任意部位に点や線ではなく面接触するように設けられており、かつ、取っ手となる曲線部14,15と一体に形成されたリング状芯材10の一対の対向辺部12,13によって支持されている。このため、リング状芯材10を構成するベルト素材そのものの強度が被介護者の支持力に反映され、安全性が高く、介護者、被介護者とも安心して使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被介護者の任意部位に当接して使用され、当該被介護者の動作を補助する介護用補助バンドであって、所定幅の扁平なベルト素材からなり、内側端縁同士が略対向するように離間した位置に形成された一対の対向辺部と、この一対の対向辺部の一端同士及び他端同士をそれぞれ結ぶように形成された一対の曲線部とを有すると共に、該対向辺部と曲線部とが一体的に形成され、対向辺部が被介護者の任意部位の支持部として機能し、曲線部が介護者用の取っ手として機能するものであるリング状芯材と、前記各対向辺部の表面を被覆すると共に、該各対向辺部間に掛け渡され、かつリング状芯材に対して位置ずれしないように固定して配設され、被介護者の任意部位に面接触する当接体とを具備することを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項2】 請求項1記載の介護用補助バンドであって、さらに、前記取っ手を構成する各曲線部の内側に、該各曲線部と同様に曲成されて配置されると共に、それぞれ、リング状芯材の任意部位に連結固定され、第2の取っ手として機能する内側曲線部を具備することを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項3】 請求項1記載の介護用補助バンドであって、前記取っ手として機能する曲線部が、所定の範囲に亘って幅方向に折り曲げられて形成されていることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項4】 請求項2記載の介護用補助バンドであって、前記取っ手として機能する曲線部及び内側曲線部が、所定の範囲に亘って幅方向に折り曲げられて形成されていることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1に記載の介護用補助バンドであって、前記当接体が、クッション材から構成されていることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項6】 請求項5記載の介護用補助バンドであって、前記当接体を構成するクッション材が、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材であることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項7】 請求項5又は6記載の介護用補助バンドであって、前記当接体を構成するクッション材が、リング状芯材を構成する対向辺部の両面を被覆し、端縁同士が一面側で接合されていることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項8】 請求項7記載の介護用補助バンドであって、クッション材のうち、表面側に位置する面と裏面側に位置する面とが、任意の間隔をおいて縫合処理されていることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1に記載の介護用補助バンドであって、前記曲線部及び/又は内側曲線部がクッション材により被覆されていることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項10】 請求項9記載の介護用補助バンドであって、前記クッション材が、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材であることを特徴とする介護用補助バンド。
【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1に記載の介護用補助バンドであって、前記当接体を着脱可能なカバーで被覆したことを特徴とする介護用補助バンド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被介護者の起立動作、着座動作等の種々の動作を補助するための介護用補助バンドに関する。
【0002】
【従来の技術】床や椅子あるいは浴槽等に着座した姿勢から起立したり、これとは逆に、起立した姿勢から着座したりする動作を自力で行うことが困難な場合、従来、これらの人(被介護者)に対しては、介護者が両手で背部を支えるように抱きかかえながら補助することが一般的に行われている。しかしながら、このような補助動作は、介護者の手のひらと腕とで直接被介護者を支持することになるため、介護者にかかる負担が非常に大きいと共に、安定性が悪く、被介護者側にかかる身体的負担も大きい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなことに鑑み、例えば、実用新案登録第3032397号公報には、介護者の肩にベルトに形成した輪を通し、ベルトの先端に設けたフックを被介護者を乗せたネットや被介護者の着衣に係合して被介護者を立ち上がらせたりする介護補助具が開示されている。
【0004】しかしながら、この介護補助具を使用するには、その度に、介護者が肩をベルトに形成した輪に挿通するなど、所定の準備をする必要がある。従って、起立動作や着座動作を一定のタイミングごとに頻繁に行わなければならない場合には、その準備が面倒で、利用し難い面がある。また、緊急を要する場合に、介護者側の準備作業に時間を要するのでは役に立たない。
【0005】また、この介護補助具を使用するための操作部であるベルトと、被介護者を直接支持する部分である上記のネットや着衣とは、全く別の部材であり、両者は単にフックにより連結されているに過ぎない。従って、介護中にこのフックが外れたりするおそれもあり、極めて不安定である。
【0006】また、被介護者の任意部位、例えば、背部に当接される幅広の布材からなる当接体と、この当接体の両端に縫いつけられた取っ手とからなる介護補助具も知られている。この介護補助具は、被介護者の任意部位に当接体を当接し、介護者が取っ手を把持して操作するだけでよく、上記の介護補助具と異なり、余計な準備作業を必要とせず、迅速かつ簡単に使用できる。また、上記した介護補助具のように、所定の長さを必要とする肩掛けベルトを使用しているわけではないため、例えば、背部に当接体を当てようとする場合には、介護者が被介護者を抱きかかえるように、その背部に自らの手を回してセットし、その上で、介護者が手前に引きつけて起立動作などをさせるものである。このため、介護時における介護者と被介護者の距離を接近させて保ちやすい。すなわち、スキンシップをとりやすく、被介護者を精神的にも心地よくさせる機能を有する。
【0007】しかしながら、当接体と取っ手から構成される介護補助具の場合も、被介護者の支持部である当接体と介護者の操作部である取っ手とが別部材で構成されているため、被介護者の支持力は、専ら当接体と取っ手との連結強度に依存することになる。従って、安全性の点ではやはり問題が残る。
【0008】本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、介護者が極めて簡易かつ迅速に使用できると共に、被介護者を補助する際の安定性が高く、介護者、被介護者共に安心して使用できる介護用補助バンドを提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するため、請求項1記載の本発明の介護用補助バンドは、被介護者の任意部位に当接して使用され、当該被介護者の動作を補助する介護用補助バンドであって、所定幅の扁平なベルト素材からなり、内側端縁同士が略対向するように離間した位置に形成された一対の対向辺部と、この一対の対向辺部の一端同士及び他端同士をそれぞれ結ぶように形成された一対の曲線部とを有すると共に、該対向辺部と曲線部とが一体的に形成され、対向辺部が被介護者の任意部位の支持部として機能し、曲線部が介護者用の取っ手として機能するものであるリング状芯材と、前記各対向辺部の表面を被覆すると共に、該各対向辺部間に掛け渡され、かつリング状芯材に対して位置ずれしないように固定して配設され、被介護者の任意部位に面接触する当接体とを具備することを特徴とする。
【0010】請求項2記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項1記載の介護用補助バンドであって、さらに、前記取っ手を構成する各曲線部の内側に、該各曲線部と同様に曲成されて配置されると共に、それぞれ、リング状芯材の任意部位に連結固定され、第2の取っ手として機能する内側曲線部を具備することを特徴とする。
【0011】請求項3記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項1記載の介護用補助バンドであって、前記取っ手として機能する曲線部が、所定の範囲に亘って幅方向に折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
【0012】請求項4記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項2記載の介護用補助バンドであって、前記取っ手として機能する曲線部及び内側曲線部が、所定の範囲に亘って幅方向に折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
【0013】請求項5記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項1〜4のいずれか1に記載の介護用補助バンドであって、前記当接体が、クッション材から構成されていることを特徴とする。
【0014】請求項6記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項5記載の介護用補助バンドであって、前記当接体を構成するクッション材が、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材であることを特徴とする。
【0015】請求項7記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項5又は6記載の介護用補助バンドであって、前記当接体を構成するクッション材が、リング状芯材を構成する対向辺部の両面を被覆し、端縁同士が一面側で接合されていることを特徴とする。
【0016】請求項8記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項7記載の介護用補助バンドであって、クッション材のうち、表面側に位置する面と裏面側に位置する面とが、任意の間隔をおいて縫合処理されていることを特徴とする。
【0017】請求項9記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項1〜8のいずれか1に記載の介護用補助バンドであって、前記曲線部及び/又は内側曲線部がクッション材により被覆されていることを特徴とする。
【0018】請求項10記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項9記載の介護用補助バンドであって、前記クッション材が、表面メッシュ層と裏面メッシュ層とを有すると共に、該表面メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合されて構成された三次元構造のネット材であることを特徴とする。
【0019】請求項11記載の本発明の介護用補助バンドは、請求項1〜10のいずれか1に記載の介護用補助バンドであって、前記当接体を着脱可能なカバーで被覆したことを特徴とする。
【0020】(作用)本発明によれば、被介護者がある動作を行おうとする場合には、その動作の補助に役立つ部位に当接体を当接し、介護者が取っ手を把持して操作するだけでよい。従って、極めて迅速かつ簡易に使用することができる。また、被介護者の任意部位に面接触する当接体は、リング状芯材の一対の対向辺部によって支持されている。このため、この一対の対向辺部が被介護者の体重を支える部位となるが、該一対の対向辺部は介護者の操作部となる取っ手として機能する曲線部と一体的に形成されている。従って、本発明では、リング状芯材を構成するベルト素材そのものの強度が被介護者の支持力に反映するため、安全性が高く、介護者、被介護者とも安心して使用できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を更に詳しく説明する。図1は、本実施形態にかかる介護用補助バンド1を示す平面図であり、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図である。これらの図に示したように、この介護用補助バンド1は、リング状芯材10と当接体20とから構成される。
【0022】リング状芯材10は、図4に示したように、所定幅の扁平な1本のベルト素材を略楕円状に曲成して、端部11同士を重ね合わせた上で、縫合処理したものである。より詳しくは、略楕円状といっても、内側端縁12a,13a同士が略対向するように離間した位置に形成されることになる一対の略直線状の対向辺部12,13と、該各対向辺部12,13の各一端12b,13b同士及び各他端12c,13c同士をそれぞれ結ぶような配置で形成された一対の曲線部14,15を有する形状に形成される。略直線状の一対の対向辺部12,13は、後述の当接体20を介して被介護者の任意の部位を支持する機能を果たし、一対の曲線部14は介護者が把持する取っ手としての機能を果たす。すなわち、本実施形態では、被介護者用の体重を支える部位となる一対の対向辺部12,13と介護者の操作部となる取っ手として機能する曲線部とが一体的に形成されている。このため、本実施形態によれば、リング状芯材10を構成するベルト素材そのものの強度を被介護者の支持力として反映させることができる。
【0023】リング状芯材10を形成するベルト素材としては、合成樹脂繊維等から形成された布材であり、自動車用シートベルト等で採用されているような強度の高いものが好ましい。また、本実施形態の介護用補助バンド1の浴場などでの使用を考慮すると、撥水性材料から形成されているものが好ましく、あるいは繊維自体が撥水性材料でない場合には、撥水性材料で表面をコーティング処理したものが好ましい。
【0024】リング状芯材10の各曲線部14,15は、その各中間付近14a,15aを中心として所定の範囲に亘って幅方向に略半分に折り曲げられ、折り曲げることにより重なり合う側縁部同士を縫合処理により接合している。これにより、中間付近14a,15aの把持が容易となる。中間付近14a,15aを中心とした曲線部14,15の把持を容易にするためには、この曲線部14,15をクッション材(本実施形態では後述のように三次元構造のネット材)30で被覆した際の中間付近の外周長が約50〜100mm程度となるようにすることが好ましい。中間付近14a,15aを幅方向に略二つ折りにした状態でクッション材30を被覆した際の外周長をかかる範囲とするためには、被覆するクッション材30の種類によっても異なるが、リング状芯材10を構成するベルト素材の幅として、約25〜70mm程度のものを採用することが好ましい。
【0025】対向辺部12,13の各一端12b,13b付近と各他端12c,13c付近には、それぞれ一方の対向辺部12と他方の対向辺部13間に掛け渡される補強用ベルト材16,17が縫合されて取り付けられている。この補強用ベルト材16,17により、対向辺部12,13を、歪まないようにほぼ直線状に形状維持できると共に、当接体20を介した被介護者の支持力が補強される。
【0026】また、補強用ベルト材16,17に対し、それぞれ各端部18a,19aが縫いつけられると共に、中間付近を中心として所定の範囲に亘って幅方向に折り曲げられ、上記の曲線部14,15の内側に曲成されて配置された内側曲線部18,19が設けられている。この内側曲線部18,19は、クッション材(本実施形態では後述のように三次元構造のネット材)30によって被覆された後、第2の取っ手として機能するものであり、介護者が、握力、腕力等があまり強くない場合等において、介護者の手から取っ手がすり抜けることを防止するために、この第2の取っ手として機能する内側曲線部18,19に後方から手を通した後、第1の取っ手である曲線部14,15を把持して使用することを可能としたものである(図11(c)参照)。なお、介護者の肩幅が狭いような場合に、内側曲線部18,19のみを把持して使用することも可能である(図11(b)参照)。
【0027】リング状芯材10には、上記したように内側曲線部18,19を設けることが好ましいが、本発明の趣旨に照らせば、対向辺部12,13と取っ手として機能する曲線部14,15が一体であることが最低限の要件であり、図5に示したように、リング状芯材10を、内側曲線部を備えていない構造とすることもできる。また、この場合、図6に示したように、対向辺部12,13を被覆するように当接体20を巻き付けた後、クッション材のみからなる内側曲線部18’,19’を配置し、各内側曲線部18’,19’の各端部を当接体20の各端部にそれぞれ縫合連結する構成とすることもできる。この場合には、図4のベルト素材からなり、リング状芯材10の一部を構成するように設けられた内側曲線部18,19と比較すれば、クッション材同士の連結となるため支持力に多少劣ることになるが、曲線部14,15からなる第1の取っ手しか設けない態様と比較すると、図11(c)に示したように、内側曲線部18’,19’に手を通した上で曲線部14,15を把持できることから、使用時の便宜を図ることができる。
【0028】当接体20は、上記リング状芯材10の対向辺部12,13の表面を被覆し、該対向辺部12,13間に掛け渡されるように配置され、かつ該リング状芯材10に対して位置ずれしないように固定される。
【0029】当接体20は、被介護者の任意部位、例えば、背部、腰部、脚、腕等に直接接する機能を果たすものであり、上記したように、対向辺部12,13間に掛け渡されて配設されることにより、被介護者の任意部位に面接触でき、被介護者に対する当たり具合を柔らかくするものである。
【0030】当接体20としては、このような機能を果たすものである限り、その材料は限定されるものではないが、入浴時の介護を考慮すると、撥水性を備えた合成樹脂繊維によって、透水性を備えるようにネット状に編んで形成することが好ましい。また、被介護者に対する当たり具合をより和らげる衝撃吸収特性を備えたクッション材から形成することが好ましい。クッション材を当接体20として使用することにより、使用開始時に急激にかかる被介護者の体重を上記のリング状芯材10の対向辺部12,13で支持すると共に、この当接体20によりその際の衝撃を吸収することができる。
【0031】このような、撥水性、透水性、衝撃吸収特性を兼ね備えた素材として、図8に示したように、表面メッシュ層21、裏面メッシュ層22及び該表面メッシュ層21と裏面メッシュ層22とを結合する多数のパイル23とを有する立体的なトラス構造(三次元構造)から構成されたネット材が特に適している。
【0032】このネット材は後述するような合成樹脂繊維からなる撚糸から形成されると共に、多数のメッシュを備えているため通水性も有する。また、多数のパイル23により三次元構造となっているため、二次元のネット材と比較すると、柔らかく、かつ面剛性があり、被介護者の身体の凹凸による点当たりや線当たりを吸収し、被介護者の接触部位にフィットさせることができ、体圧値(支持圧)を低減することができる。また、ウレタンや綿等のクッション材と比較した場合、荷重がかかることによる変位に対し、バネ定数0付近を維持している範囲が広く、すなわち、不感帯領域が広いため、反力によって被介護者の身体を局部的に押し返すのではなく、衝撃を吸収した状態で被介護者の身体を抱持するように安定して支持できる特性を有している。
【0033】この三次元構造のネット材を構成する表面メッシュ層21は、例えば、図9に示したように、細い糸を撚った撚糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する構造に形成されている。裏面メッシュ層22は、例えば、図10に示したように、細い糸を撚った撚糸をゴム編みにして形成され、表面メッシュ層21のハニカム状のメッシュよりも小さなメッシュ(細目)を有する構造に形成されている。パイル23は、繊維又は糸で形成し、表面メッシュ層21と裏面メッシュ層22とが所定の間隔を保持するように、該表面メッシュ層21と裏面メッシュ層22との間に編み込んだもので、この立体メッシュニットとなっている三次元構造のネット材に所定の剛性を付与している。
【0034】なお、本実施形態では、ハニカム状のメッシュを有する層を当接体20の表面、すなわち、被介護者の身体に接する面としているが、これを裏面とし、小さなメッシュを有する層を表面として使用することもできる。また、後述の表1で示したように、このメッシュ層組織としてはハニカム状や細目以外のメッシュ形状を採用することももちろん可能である。
【0035】表面メッシュ層21、裏面メッシュ層22及びパイル23を構成する材料としては、熱可塑性樹脂が好ましく、繊維状に成形可能で、かつ織物にした際に被介護者の身体を支持するために要求される所定の強度を発揮できるものが採用される。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂などを用いることができる。
【0036】また、パイル23の太さとしては、90d以上で、好ましくは180d以上がよい。これにより、上記したように、当接体20に加わる被介護者の荷重を各メッシュ層21,22を構成するメッシュの変形とパイル23の倒れによって支持することができ、応力集中の起きない柔構造とすることができる。
【0037】表1及び表2に、当接体20として使用可能な三次元構造のネット材の構成材料の例及びそれらの物性値をいくつか示す。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】表1、表2において、「d」はデニールを表し、1dは1グラムの原料を9,000m引っ張ったときの太さの単位であり、例えば、220dは1グラムの糸を9,000/210=42.9m引っ張ったときの太さの糸である。「f」はフィラメントを表し、糸が何本の細い糸で構成されているかを示す単位で、例えば、70fは70本の細い糸で1本の糸を構成していることを意味する。引張強度の「kg/5cm」は、5cm幅のものを引っ張ったときの強度である。パイル組織の「パラレル」は表面メッシュ層21と裏面メッシュ層22とを連結するパイル23が側面から見て交差していない状態をいい、「クロス」とは側面から見て交差している状態をいう。
【0041】本実施形態の当接体20は、上記した三次元構造のネット材からなると共に、これをリング状芯材10の各対向辺部12,13の両面を被覆するように、すなわち、各対向辺部12,13間に跨ると共に、これらを包み込むような状態で配置される(図2、図6(a)参照)。そして、その端縁25,26同士を縫合している(図6(a)参照)。端縁25,26同士を縫合する際には、縫い代が外側に突出すると、被介護者の身体に接触して当接感が損なわれるため、端縁25,26をいずれも内側に折り曲げることにより縫い代を内側に突出させ、かかる状態で両者を縫い合わせることが好ましい。
【0042】また、当接体20は、このようにしてリング状芯材10に取り付けたならば、さらに、幅方向(対向辺部12,13が対向する方向)に沿って、リング状芯材10を挟んで両側に位置する部位(表面側に位置する面20aと、裏面側に位置する面20b)同士を、対向辺部12,13と共に縫合処理する(図1〜図3及び図6(a)参照)。これにより、当接体20がリング状芯材10に位置ずれしないように固定される。縫いつけ間隔、すなわち、隣接する縫い糸20cの間隔は任意であるが、このようにある程度の間隔をおいて、表面側に位置する面20aと裏面側に位置する面20b同士を縫いつけると、縫い糸20c間の部位の面剛性を高めることができる。
【0043】また、リング状芯材10に形成された第1の取っ手となる曲線部14,15及び第2の取っ手となる内側曲線部18,19にも、本実施形態では、図1〜図3に示したように、上記した三次元構造のネット材からなるクッション材30が巻き付けられる。なお、図7に示したように、介護者の手に対するフィット感を向上させるため、ネット材の端末部が外側に露出しないように、曲線部14,15及び内側曲線部18,19をそれぞれ被覆した後、端末部31,32付近を内側に折り曲げた上で、縫合処理されて取り付けられる。また、このクッション材30の各端部33,34は、美観上の観点から、当接体20の表面側に位置する面20aと裏面側に位置する面20bとの間に収容された上で、該当接体20の長手方向端部付近を縫合する縫い糸20cによってこれらと一緒に縫いつけられる(図1及び図2参照)。
【0044】本実施形態の介護用補助バンド1を使用して介護するに当たっては、例えば、介護者は、図11(a)に示したように、第1の取っ手である曲線部14,15をクッション材30を介して把持する。あるいは、図11(b)に示したように、第2の取っ手である内側曲線部18,19をクッション材30を介して把持する。さらには、より安全に保持するため、ないしは握力の弱い介護者は、図11(c)に示したように、第2の取っ手である内側曲線部18,19に手を通した後、第1の取っ手である曲線部14,15をクッション材30を介して把持する。次に、図12(a),(b)に示したように、被介護者を椅子に着座した状態から起立させる場合には、被介護者の背部に当接体20のいずれかの面20a,20bを当接させる。そして、図12(c)に示したように介護者が手前に引き寄せる。これにより、被介護者を容易に起立させることができる。
【0045】物と人の身体とが接した際に、人が、心地よい接触感を得るのは、当該物が柔らかい部位の層と、硬い部位の層と、バネの層との三層構造となっている場合である。もちろん、これらの度合い(柔軟度、硬度、弾力性)にも左右されるが、本実施形態によれば、当接体20を構成する三次元構造のネット材のうち、表面メッシュ層21又は裏面メッシュ層22が柔らかい部位の層を構成し、パイル23がバネの層を構成し、ベルト素材から形成されたリング状芯材10が硬い部位の層を構成する。従って、上記のようにして被介護者の身体に当接した場合に、被介護者の受ける接触感は心地よいものとなり、心理的な安心感を与えることができる。
【0046】また、被介護者の支持力を発揮するリング状芯材10の対向辺部12,13と、介護者の取っ手となる曲線部14,15とが一体構造であるため、リング状芯材10を構成するベルト素材の強度がそのまま支持力に反映されることから、信頼感が高い。特に、本実施形態では、当接体20の構成材料として三次元構造のネット材を使用しているため、不感帯領域が広いことから、被介護者の体圧値を低減し、被介護者の身体とのフィット感が高い。また、三次元構造のネット材は、被介護者に接する面がメッシュになっているため、摩擦係数が高く滑りにくく、入浴の際の介護時においても高い信頼性を発揮できる。
【0047】なお、本発明の介護用補助バンドの使用箇所は任意であり、被介護者の背部に当接して起立、着座動作を補助する場合に限られないことはもちろんである。当然、寝ている姿勢から起立するまでの動作を補助したり、その逆の動作を補助したりすることもできるし、腕や脚に当てて入浴時やリハビリ時の種々の動作を補助することもできるし、下着等の交換のために、脚を持ち上げる際に使用したりすることもできる。
【0048】また、例えば、事故や火災等の発生時に、負傷者(被介護者)の動作を補助したり、あるいは、本発明の介護用補助バンドを複数使用して負傷者(被介護者)を搬送したりする際に使用することもできる。なお、この場合、負傷者の血液等が付着しても再使用できるように、当接体の表面を、使い捨てあるいは洗浄できる着脱可能な不織布等からなるカバー(図示せず)で被覆しておくことが好ましい。
【0049】
【発明の効果】本発明の介護用補助バンドによれば、被介護者の支持力を発揮するリング状芯材の対向辺部と、介護者の取っ手となる曲線部とが一体構造であり、対向辺部間に被介護者の身体に直接接する当接体が配設されている。従って、被介護者がある動作を行おうとする場合には、その動作の補助に役立つ部位にこの当接体を当接し、介護者が取っ手を把持して操作するだけでよく、極めて迅速かつ簡易に使用することができる。また、当接体は、被介護者の任意部位に点や線ではなく面接触するように設けられており、かつ、取っ手となる曲線部と一体に形成されたリング状芯材の一対の対向辺部によって支持されている。このため、リング状芯材を構成するベルト素材そのものの強度が被介護者の支持力に反映され、安全性が高く、介護者、被介護者とも安心して使用できる。特に、三次元構造のネット材からなる当接体を用いた場合には、被介護者の身体の凹凸に対する追従性等に優れ、被介護者に心地よいフィット感を与えることができる。
【出願人】 【識別番号】594176202
【氏名又は名称】株式会社デルタツーリング
【出願日】 平成12年3月6日(2000.3.6)
【代理人】 【識別番号】100073139
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 稔 (外1名)
【公開番号】 特開2001−245931(P2001−245931A)
【公開日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【出願番号】 特願2000−60082(P2000−60082)