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【発明の名称】 手術台用マットレス
【発明者】 【氏名】吉田 修一

【要約】 【課題】手術中に生ずる褥瘡を防止し、体温保持を図り得る手術台用マットレスを提供する。

【解決手段】手術台12に載置されて被術者に掛かる体圧を軽減させ、手術中の体温低下を防止するマットレス10において、被術者が載せられるシートであって反発係数が低く、被術者に対して大きな体接触面積を確保し得る第1フォーム14と、手術台に載置されるシートであって反発係数が高く、第1フォームの裏側に位置して被術者を手術台に安定的に保持する第2フォーム16と、第1および第2フォームの間に配設され、第1フォームを介して被術者を加温する電気ヒータ18と、第1フォームの表面側に配設され、被術者の体温を複数の部位で検出する第1温度センサ22と、複数の第1温度センサからの温度情報を被術者に設定した目標体温と比較して、電気ヒータの通電状態を制御するコントローラ26とから構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 手術台(12)上に載置されて被術者に掛かる体圧を軽減させ、併せて手術中の体温低下を防止するようにしたマットレス(10)において、前記被術者が載せられる側のシートであって反発係数が低く、被術者に対して大きな体接触面積を確保し得る第1フォーム(14)と、前記手術台に載置される側のシートであって反発係数が高く、前記第1フォーム(14)の裏側に位置して被術者を手術台上に安定的に保持する第2フォーム(16)と、前記第1フォーム(14)および第2フォーム(16)の間に所要のパターンで配設され、この第1フォーム(14)を介して被術者を加温する電気ヒータ(18)と、前記第1フォーム(14)の表面側に所要のパターンで配設され、被術者の体温を複数の部位で検出する第1温度センサ(22)と、前記複数の第1温度センサ(22)からの温度情報を被術者に設定した目標体温と比較して、前記電気ヒータ(18)の通電状態を制御するコントローラ(26)とから構成したことを特徴とする手術台用マットレス。
【請求項2】 前記第1フォーム(14)の反発係数は、被術者が長時間に亘り該第1フォーム(14)に載せられても体圧を分散させて褥瘡の発生を抑止し得る程度の低い数値となっている請求項1記載の手術台用マットレス。
【請求項3】 前記電気ヒータ(18)の近傍に該ヒータ(18)の過熱を監視する第2温度センサ(24)が少なくとも1つ配設され、前記第1温度センサ(22)による電気ヒータ(18)の制御に不具合を生じたことを条件に、該電気ヒータ(18)への通電を遮断するようになっている請求項1記載の手術台用マットレス。
【請求項4】 前記第1フォーム(14)および第2フォーム(16)は、被術者の上半身側を保持するマットレス(10a)と、下半身側を保持するマットレス(10b)とに分離可能になっている請求項1記載の手術台用マットレス。
【請求項5】 前記電気ヒータ(18)は上半身用のマットレス(10a)だけに配設されると共に、被術者の背丈方向に分割されて複数のブロック(20)とされ、夫々のブロック(20)に前記第2温度センサ(24)が少なくとも1つ配設されている請求項4記載の手術台用マットレス。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は手術台用マットレスに関し、更に詳細には、手術台に載せられた被術者の術中における褥瘡を防止し、併せて被術者の体温保持を図り得るマットレスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に外科手術は被術者を手術台に載せて行なわれるが、近年の医療技術の進歩に伴い10時間以上の長時間に亘る手術も増えてきている。また脳血管障害の如く高齢者に多い疾患の治療技術が進歩し、これに伴い高齢者が手術を受ける頻度も増加している。そして手術台上に被術者の体位を一定に保持した状態で、前述した長時間に亘る手術を行なうと、高齢者でなくとも被術者には体圧(手術台と体との接触圧)により圧迫性壊疽の一つである虚血性組織破壊を生じ、褥瘡(いわゆるとこづれ)と称する病態を形成する。これが寝た切り老人等であれば、数時間毎に体位を変えさせることで人体局所の圧迫を解消し、血流を回復させることで褥瘡発生を防止することができる。しかし手術台上で全身麻酔を施された被術者は、体位が固定化されていると云う点では寝た切り患者と同じ状態にあるが、手術中は被術者を手術台に固定しておく必要があるため体位変換は不可能である。しかも手術台のマットレスは、このような褥瘡を予防するという観点に立った配慮は殆どなく、むしろ術中に被術者の身体が安定するよう硬く作られている場合が多い。このため長時間の手術により、被術者に褥瘡を誘発してしまうことが往々にしてあった。
【0003】また被術者に全身麻酔が施されると基礎代謝が低下することに加えて、手術内容によっては全く着衣を纏わない状態で手術室(25℃〜28℃程度)に長時間いるために、被術者の体温はかなり低いものとなり易い。更に開腹手術の場合は、臓器表面の体液が気化する際に潜熱を奪うので、これも体温低下を助長する要因となる。このように被術者の体温が不当に低下すると、術後に麻酔からの覚醒が遅延したり、シバリングという震えを来たしたりして、術後の順調な回復を阻害する原因になることが一般に云われている(但し、脳外科手術等で意図的に低体温状態を形成する場合は別である)。このため手術台上にある被術者の体温低下を防止する手段として、温水式ブランケットが広く使用されている。これは被術者の下に温水を流すパイプを有するマットを敷き、このパイプに外部で加温された温水を循環させて被術者の体を温めるものである。
【0004】
【発明が解決すべき課題】前述した如く手術台上にある被術者は、術中にあっては体位変換を行なうことができないので褥瘡を生じ易い。しかも外科手術という救命の現場では、どうしても命を助けるキュア(治療)の方面が優先され、褥瘡の未然防止というケアは後回しにされ勝ちである。褥瘡予防用に開発されたエアマット等の寝具は、ベッドの寸法に合わせて作られており、従って手術台の寸法には適合せず使用することができない。そこで手術台の寸法に合わせたエアマット(特に圧力を可変としたもの)を被術者の下に敷くことも提案されてはいるが、これは被術者の身体が手術台に対し不安定になり易い。従って例えば顕微鏡を使用するマイクロサージェリィを行なう場合は、このようなエアマットを使用することができない。また手術に際しては、被術者の術位に合わせて様々な体位が選択されるために、全身用の一体型となったマット類では限られた体位でしか使用できない難点がある。
【0005】褥瘡予防のためには、前述したエアマット以外にも、ウレタンやムートンその他ビーズのクッション等、人体局所に掛かる体圧分散用の器具が実用化されてはいる。しかしこれらの器具を手術台の下に敷き、これに全身麻酔下で基礎代謝や抹消血流が低下している被術者を載せて手術を施しても、手術現場は一般病棟よりも条件が悪い訳であるから、褥瘡を防止するという観点からは充分な効果は得られていないのが現状である。
【0006】また手術中に被術者の体温を保持する手段としては、先に述べた如く、外部ユニットから温水をパイプ中に循環供給させる温水式ブランケットが最も普及している。しかし温水式ブランケットに被術者が載っても温水を循環させ得ると云うことは、ブランケット中のパイプにそれだけの重量が加わっても、潰れないだけの硬さを有していると云うことである。従って温水式ブランケットに被術者を直接に寝かせると、硬い板の上に臥床させたと同様のことになって褥瘡発生のリスクが非常に高くなる。そこで褥瘡を予防するために、前記ブランケットと被術者との間に様々なクッション類を用いることも実施されている。しかしこの場合には、温水からの熱が該クッション類によって遮断され、被術者の体温を保持する効果が得られ難くなる、という欠点が指摘される。
【0007】褥瘡予防の手段としては、その他にエアマットに面状ヒータを組み合わせたものや、温風を手術台上の被術者に吹きかけて保温するもの等が知られている。しかしエアマット式のものは、前述の通り被術者の身体を手術台に対して安定的に保持し得ないという問題や、全身用しかないために砕石位等の体位には対応できないという問題がある。また温風式のものについては、手術中における術野の制限が大きいことや、温風が被術者の開腹部等を乾燥させたり細菌感染の怖れがある等の問題が挙げられる。
【0008】
【発明の目的】本発明は、前述した課題を好適に解決するために提案されたものであって、手術台に載せられた被術者の長時間に亘る術中に生ずる怖れのある褥瘡を防止し、併せて被術者の体温保持を図り得る手術台用マットレスを提供することを目的とする。
【0009】
【発明を解決するための手段】前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明は、手術台上に載置されて被術者に掛かる体圧を軽減させ、併せて手術中の体温低下を防止するようにしたマットレスにおいて、前記被術者が載せられる側のシートであって反発係数が低く、被術者に対して大きな体接触面積を確保し得る第1フォームと、前記手術台に載置される側のシートであって反発係数が高く、前記第1フォームの裏側に位置して被術者を手術台上に安定的に保持する第2フォームと、前記第1フォームおよび第2フォームの間に所要のパターンで配設され、この第1フォームを介して被術者を加温する電気ヒータと、前記第1フォームの表面側に所要のパターンで配設され、被術者の体温を複数の部位で検出する第1温度センサと、前記複数の第1温度センサからの温度情報を被術者に設定した目標体温と比較して、前記電気ヒータの通電状態を制御するコントローラとから構成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明に係る手術台用マットレスについて、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【0011】(マットレスの基本構成について)図2は、実施例に係る手術台用マットレスの概略構成を示す一部切欠斜視図であって、このマットレス10は手術台12上に載置し得る寸法に設定されると共に、被術者の上半身側が主として載せられるマットレス10aと、下半身側が載られるマットレス10bとに分離可能になっている。このように上半身側マットレス10aと下半身側マットレス10bと分ける理由は、手術時における術体位によっては手術台12の下半身用側を切り離すことがあるためそれに相応させたものである。なお手術台用マットレス10は、高伸縮性を有する薄手の防水カバー(例えば、ポリエステルのニットにウレタンフォーム加工を施したもの)で被覆され、かつベルトにより手術台12に固定される(何れも図示せず)。
【0012】前記マットレス10は、基本的にウレタンフォームを材質とし、被術者が載せられる側となる上層シートをなす第1フォーム14と、前記手術台12に載置される側の下層シートをなす第2フォーム16とから構成される。すなわち第1フォーム14は低い反発係数を有するウレタンフォームからなり、被術者を載せた際に充分に変形して被術者に対して大きな体接触面積を確保し得るようになっている。一例として第1フォーム14はEGR−4(イノアック製で厚さ25ミリ)のウレタンフォームであって、それに固有の反発係数は、被術者が長時間に亘り該第1フォーム14に載せられても体圧を効果的に分散させて、褥瘡の発生を抑止し得る程度の低い数値が選択される。例えば低反発係数としては、15%以下のものが好適に使用される。
【0013】また下層シートをなす第2フォーム16は高い反発係数を有し、前記第1フォーム14の裏側に位置して被術者を手術台12上に安定的に保持し得るようになっている。一例として第2フォーム16はERG−S(イノアック製で厚さ60ミリ)のウレタンフォームであって、それに固有の反発係数は充分高いために、大きな体接触面積をもって被術者を包み込んでいる第1フォーム14を前記手術台12に対して安定的に保持し得るものである。この高反発係数としては、例えば45%以上のものが好適に使用される。このようにマットレス10は、全体として第1フォーム14および第2フォーム16の層状構造をなすと共に、該マットレス10は前述した如く上半身側のマットレス10aと下半身側のマットレス10bとに分離可能になっている。そして上半身側マットレス10aには、図1に関して後述するように、電気ヒータ18が配設される。
【0014】(電気ヒータについて)図1は、上半身側のマットレス10aが有する層状構造を分離状態で示した斜視図であって、このマットレス10aは先に述べた如く被術者が載せられる側の上層シートをなす第1フォーム14と、手術台12に載置される側の下層シートをなす第2フォーム16とから基本的に構成される。そして第1フォーム14および第2フォーム16の間に中間層として、所要のパターンでシーズヒータの如き線状をなす電気ヒータ18が配設されている。従ってマットレス10に載せられた被術者は、第1フォーム14を介して電気ヒータ18により加温されて、体温低下を防止されるものである。この電気ヒータ18は、図3に示す如く、被術者の背丈方向に分割されて複数のブロック20(図示例では頭部・肩部・背部・腰部に対応して4つ)とされ、各ブロック20に後述する第2温度センサ24が少なくとも1つ配設される。
【0015】このように電気ヒータ18の配設区分を、複数のブロック20に分割する理由は次の通りである。すなわち被術者によって、また同一人であっても身体の部位により、体重の掛かり具合や骨の突出具合は千差万別で異なっている。そのため電気ヒータ18と身体の間における第1フォーム14の潰れ方は均一でなく、該電気ヒータ18と体表との距離も相違することになる。結果として、体重が大きく掛かるところ、骨の突出したところは過剰に加熱され、そうでない部位は充分に暖められないと云うことになる。そこで電気ヒータ18の配設パターンを、例えば図3に示す如く、頭部・肩部・背部・腰部に対応する4つのブロックに分割し、各々のブロック20における電気ヒータ18を独立して制御し得るようにしたものである。
【0016】(第1温度センサについて)図1および図4に示すように、前記第1フォーム14の表面側には、被術者の体温を複数の部位で検出する第1温度センサ22が所要のパターンで配設されている。すなわち被術者を電気ヒータ18により加温する場合、それが余り高くない温度であっても、長時間に亘って身体の同一部位が加温されると低温熱傷を発生することが知られている。この低温熱傷は、42℃程度からその危険が発生すると云われるが、被術者に全身麻酔を施している間は本人に知覚が無いため、その危険性は一層増大する。一般に電気毛布や電気カーペット等では、電気ヒータの近傍の温度をセンサで感知することによりオン・オフ制御しているが、同じ制御をこの手術台用マットレス10でも行なうと、前記の如く第1フォーム14の潰れ方が被術者によって相違するために、電気ヒータ18の温度は一定でも被術者の体表温度は異なってくる。
【0017】前記の如き知見を基に本実施例では、第1温度センサ22が被術者の体表付近に点散状態で位置するよう、該温度センサ22を前記電気ヒータ18の各ブロック20に3個設けるようにしてある。すなわち電気ヒータ18が頭部・肩部・背部・腰部の4ブロックに分割されているのに対応して、図4に示す如く、第1温度センサ22も夫々のブロック毎に3個配設される。このように1つのブロック20に対して3つの第1温度センサ22を設ける理由は、被術者の身体が必ずしも左右対称でなく、また肺癌手術などで側臥位を取るような場合は、肩がマットレス幅方向の中央付近に来ることになり、更に仰臥位では肩甲骨付近が最も沈み込んで中央部は浮くことになるので、マットレス10の幅方向にも感知エリアを広げる必要があるからである。この場合に第1温度センサ22は、図1に示す如く、前記第1フォーム14の表面側に位置するよう設けられるので、手術台12に横たわった被術者の身体は該温度センサ22に殆ど接触することになる(実際には、前述した高伸縮性の防水カバーが介在している)。従って第1温度センサ22は被術者の体表付近の温度を検知することができ、後述の如く検知した温度情報と被術者に設定した目標体温とを比較して、電気ヒータ18の通電状態を制御することになる。
【0018】(第2温度センサについて)図1および図3に示すように、各ブロック20に分割された電気ヒータ18の近傍には、該ヒータ18の過熱を監視する第2温度センサ24が少なくとも1つ配設されている。この第2温度センサ24は、第1温度センサ22による電気ヒータ18の制御に不具合を生じた場合(例えば、第1温度センサ22の1つが故障して被術者に設定した目標体温との温度比較をし得なくなった場合)に、これを放置すると電気ヒータ18が過熱する等の暴走事故に至るので、該ヒータ18の温度上昇を検知して通電遮断を行なうものである。
【0019】(コントローラについて)図5は、実施例に係る手術台用マットレス10に各ブロック単位で設けた電気ヒータ18を第1温度センサ22および第2温度センサ24により制御するコントローラ26の制御ブロック図である。コントローラ26は電源ユニット28から電源供給がなされ、内部に設けたCPU30は外部のパソコン32に接続して自在にデータ交換をなし得るようになっている。4つに分割したブロック20の夫々に設けた電気ヒータ18は各対応のリレー34に接続され、該リレー34は前記CPU30に接続されている。また4つのブロック20の夫々に3個設けた第1温度センサ22(計12個)および各ブロック20に1個づつ設けた第2温度センサ24(計4個)は、マルチプレクサ36およびA/Dコンバータ38を介してCPU30に接続されている。更にCPU30に入力キー40および温度表示ユニット42が接続され、この入力キー40の操作により被術者に求められる目標温度(体温)がCPU30に記憶されると共に、その設定温度が温度表示ユニット42に表示される。
【0020】前記コントローラ26は、前記複数の第1温度センサ22により検出される被術者の体表付近の温度情報と、前記入力キー40により設定された被術者の目標温度とを比較し、その比較結果に応じて前記電気ヒータ18への通電をオン・オフしたり、電圧を増減変化させたりすることで、該電気ヒータ18における通電状態の制御を行なうものである。例えば、被術者の体表付近の温度を第1温度センサ22で検出すると共に、電気ヒータ18の近傍温度を第2温度センサ24で検出し、これら温度情報を夫々のブロック20毎に出力する。その温度情報に関するデータは、コントローラ26内のCPU30で処理される。そして各ブロック20において、4個ある温度センサ22,24の内で1個でも入力キー40で設定した目標温度に到達すると、CPU30は前記リレー34へ指令を出して電気ヒータ18への通電をオフする。また温度センサ22,24による検出温度が目標温度よりも数℃(これも予め設定される)下がった場合は、再びリレー34へ指令を出して電気ヒータ18への通電をオンする。
【0021】更に第1温度センサ22の検出温度とは独立して、第2温度センサ24が電気ヒータ18の近傍温度が常態よりも上昇(例えば60℃)したことを検出した場合は、過熱と判断して該電気ヒータ18ヒータをオフする制御を同時に行なう。なお電気ヒータ18に並行してヒューズ機能を有する短絡検知線(図示せず)を走らせておき、何等かの原因により前記コントローラ26が機能喪失して電気ヒータ18が異常発熱したような場合は、その短絡検知線を断線させて該ヒータ18への通電を遮断し、これにより暴走を防ぎ安全性を確保するようにしてもよい。
【0022】(試験例)被術者に接する側となる低反発性の第1フォーム14は25ミリ厚とし、その下に張り合わされる高反発性の第2フォーム16は60ミリ厚とした。その他の構成は、先に図面で示した通りとし、被験者の仙骨部に加わる圧力はRB体圧計(帝国臓器株式会社)で計測した。その際の測定体位は、仰臥位および砕石位(股関節外転角度90度、股関節屈曲度45度)とした。センサは手術開始と同時に43℃で始動させ、被験者の体温は膀胱温或いは食道温で測定した。仙骨部の圧力は10名のボランティアの協力により、また体温測定は2名の大腸手術患者で行なった。
【0023】A.被験者の仙骨部に加わる圧力は仰臥位で13〜23mmHgであり、従来報告されている毛細血管圧32mmHg以下であった。
B.被験者の体温は、1症例目では入室時体温36.5度、退室時体温37.4度、2症例目では入室時体温36.1度、退室時体温36.2度であり、体温保持に有用であった。纏めとして、(1)供試例に係るマットレスは、被験者の仙骨部に加わる圧力を13〜23mmHgに保持でき、従って褥瘡の予防に有用である事が示唆された。また(2)該マットレスは、体温保持に有用である事が示唆された。
【0024】
【発明の効果】以上に説明した如く、本発明に係る手術台用マットレスによれば、次のような有益な効果が奏されるものである。
(1) 長時間に亘る手術に際して、従来の温水ブランケット等では達成し得なかった被術者の褥瘡予防と、被術者の保温との両立が実現される。
(2) 複数の部位で温度検出するようにしたことと、ヒータのを複数のブロックに分割することで、低温熱傷の危険を最小限にして効率良く被術者を加温し得る。
(3) 従来のエアマットでは不可能だったマットレスの分割化が図られるので、術位に応じた様々な体位での手術に対応し得る。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【出願日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【代理人】 【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
【公開番号】 特開2001−238924(P2001−238924A)
【公開日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願番号】 特願2000−50259(P2000−50259)