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【発明の名称】 人体検知装置およびそれを備えたベッド
【発明者】 【氏名】斎藤 雅文

【氏名】山室 進

【氏名】粟野 直

【氏名】西臺 哲夫

【要約】 【課題】ベッド上にいる病人や要介護者をより確実に検知することができ、しかもその人々にとって違和感もなく健康上の悪影響もない人体検知装置およびそれを備えたベッドを提供する。

【解決手段】インパルス状電磁波を送波し、人体からの反射波を受波するインパルスレーダを用い、反射波の状態から人体を検知する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インパルス状の電磁波を送波し、人体からの反射波を受波するインパルスレーダを有し、反射波の状態から人体を検知する人体検知装置であって、ベッドに備えられ、ベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む範囲に電磁波を送波する、人体検知装置。
【請求項2】 前記インパルスレーダの検知領域は、ベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む所定の範囲に限定されている、請求項1に記載の人体検知装置。
【請求項3】 前記インパルスレーダは、ベッドのマットより下の部分に備えられ、マットを透過して送波および受波を行う、請求項1または2に記載の人体検知装置。
【請求項4】 前記インパルスレーダは、ベッドのマットより上の部分に備えられ、マットを透過せずに送波および受波を行う、請求項1または2に記載の人体検知装置。
【請求項5】 人体の有無を表す信号を生成して送信し、それによりその信号の受信側においてベッド上の人の有無を遠隔検知できるようにした、請求項1または2に記載の人体検知装置。
【請求項6】 互いに異なる範囲を検知領域とする複数のインパルスレーダを有し、各インパルスレーダが受波する反射波の状態に基づき人体の動作状態を表す信号を生成して送信し、それによりその信号の受信側においてベッド上の人の状態を遠隔検知できるようにした、請求項1または2に記載の人体検知装置。
【請求項7】 ベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む範囲にインパルス状の電磁波を送波し、人体からの反射波を受波するインパルスレーダを有し、反射波の状態から人体を検知する人体検知装置、を備えたベッド。
【請求項8】 前記インパルスレーダの検知領域は、ベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む所定の範囲に限定されている、請求項7に記載のベッド。
【請求項9】 請求項5に記載の人体検知装置と、前記人体の有無を表す信号を受信し、その信号の状態が所定の条件を満たしたときに報知する受信手段とを備える、人体検知システム。
【請求項10】 請求項6に記載の人体検知装置と、前記人体の動作状態を表す信号を受信し、その信号の状態が所定の条件を満たしたときに報知する受信手段とを備える、人体検知システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ベッド上にいる人の有無等を検知する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】病院、老人介護施設、要介護者のいる家庭などでは、病人や要介護者の安全にため、介護をする人等がそばにいないときでもベッドの上の病人や要介護者に異常がないか、またその人たちがベッドから離れていないかどうかを知ることのできる手段が求められている。この目的にために赤外線式焦電センサやマットセンサを利用することが考えられる。
【0003】赤外線式焦電センサを用いた人体検知が図17に示されている。同図において、aはベッド、bは天井に取り付けられた焦電センサ、pはベッドに横臥する人体である。このような、人体検知装置では、焦電センサbがベッドに横臥する人体pからの赤外線を受光して人体検知を行っていた。
【0004】マットセンサを用いた人体検知が図18に示されている。同図において、aはベッド、dはベッド上に位置しているマットセンサ、pはベッドに横臥する人体である。このような、人体検知装置では、横臥する人体pの下に、マットセンサdを敷いて、マット内の圧力の変化を利用し、すなわち、人体の荷重を利用し嚢袋などに空気などを封入し人体の荷重圧力をはかり人体検知を行っていた。
【0005】また、別のマットセンサではマット上にメカセンサを配置し、人体の荷重によって電気的接点が開閉するのを検出し人体検知を行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の赤外線を検知する焦電センサは微分型出力であるので動きのある人体は検知することができたが、静止した人体は検知できなかった。また、ペットなどの小動物や人体以外の熱源を検知するといった誤動作があった。さらに、検出対象の人体とセンサの間に赤外線を遮蔽する、布団や毛布などがあると検出不可能となったり、誤動作の原因となった。
【0007】また、人体の荷重による電気的接点の開閉を用いたセンサでは、繰り返しの荷重によって接点部が故障したり、閾値荷重の設定が容易でないといった難点があった。
【0008】また、人体の荷重を利用し嚢袋に空気などを封入した圧力を検出するマットセンサでは、人体の下のシーツの下に配置するようになるため、ベッドを利用する人に違和感を感じさせるとともに、マットがゴムやビニールなどの空気を通さない素材のため蒸れ等をおこすので健康上問題があった。
【0009】この発明は、上述の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、ベッド上いる病人や要介護者を確実に検知することができ、しかも病人や要介護者にとって違和感もなく健康上の悪影響もない人体検知装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明による人体検知装置は、インパルス状の電磁波を送波し、人体からの反射波を受波するインパルスレーダを有し、反射波の状態から人体を検知する人体検知装置であって、ベッドに備えられ、ベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む範囲に電磁波を送波し、人体を検知するものである。
【0011】ここで、『インパルスレーダ』とは、例えばU.S PAT5,457,394に開示されるMIR(Micropower Impulse Radarの略)などのレーダを意味し、同インパルスレーダにより送受信されるインパルス状の電磁波は、木材、布、綿、プラスチック、樹脂などを透過可能である一方、人体等の水分を多量に含むものには反射し易い性質を有する。
【0012】『ベッド』は、介護用ベッド、成人用や子供用ベッド、一般家庭用ベッドを含む様々な態様のベッドを意味し、主にベッド筐体とその上に置かれるマットから構成される。
【0013】『人体が通常存在しうる領域』とは、病人や要介護者がベッド上で横臥しているときに通常存在すると想定される位置を意味する。
【0014】このような構成によれば、人体検知装置は、病人や要介護者がベッド上で横臥しているときその人体からの反射波を受波して人体を確実に検知することができる。人体と人体検知装置との間にマットや布団があっても、それらは通常電磁波を透過するので人体検知の妨げとはならない。病人や要介護者に違和感を与えることもない。送波する電磁波には極微弱電力のものを使用することができ、しかもそのスペクトラムは広い周波数に拡散しているので、送波する電磁波が人体や周囲の医療機器に与える影響は極めて小さい。好ましくは、人体の足や頭の部分よりも胴体部分が通常存在しうる領域を含むように電磁波を送波する。そうすれば検知の確実性は増すことができる。病人や要介護者が横臥している場合に限らず、ベッドの上に座っている場合もインパルスレーダの検知領域に人体の一部があれば人体が検知されることはいうまでもない。
【0015】好ましくは、インパルスレーダの検知領域はベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む所定の範囲に限定される。『所定の範囲に限定』とは、所定の距離範囲もしくは所定の角度範囲または両者を組み合わせた範囲に限定する意味である。例えば、マット内部にあるスプリング、転落防止用手摺、ベッド上のテーブル、ベッドサイドの人や備品等が存在する範囲をインパルスレーダ不感帯として設定することができる。インパルスレーダ不感帯は、例えばインパルスレーダの送波から受波までの所要時間が不感帯相当の所要時間の範囲であれば受波があっても検知出力を出さないことで実現できる。
【0016】ところで、インパルスレーダの取り付け位置ならびにその検知領域は、ベッドの種類に応じて様々な形態をとることができる。
【0017】たいていのベッドではマットは電磁波を透過するので、インパルスレーダは、ベッドのマットより下の部分に備えることができる。この場合は、インパルスレーダはベッド中心部のマット下に位置していることが好ましい。そうすれば、検知したい人体に最も近い個所にインパルスレーダを設定できる。また、ベッド中心部は人体が通常存在しうる確率が高いので検知がより確実になる。さらに、インパルスレーダの電磁波が、他の電磁波反射物体の影響を受けにくくすることができる。
【0018】インパルスレーダは、ベッドのマットより上の部分に備えることもできる。そうすれば、マットが電磁波を透過しない素材で作られていても人体を検知することができる。この場合、インパルスレーダは天板部に位置していることが好ましい。ベッドサイド部や人体の足の近傍部分に設置することもできる。
【0019】この場合においても、インパルスレーダの検知範囲は、マット内部にあるスプリング、転落防止用手摺、ベッド上のテーブル、ベッドサイドの人や備品等にインパルスレーダが感知しないように、ベッド上の人体が通常存在しうる領域範囲に限定することが好ましい。
【0020】また、本発明による人体検知装置では、人体の有無を表す信号を生成して送信し、それによりその信号の受信側においてベッド上の人の有無を遠隔検知できるようにすることができる。
【0021】また、本発明による人体検知装置は、互いに異なる範囲を検知領域とする複数のインパルスレーダを有し、各インインパルスレーダが受波する反射波の状態に基づき人体の動作状態を表す信号を生成して送信し、それによりその信号の受信側においてベッド上の人の状態を遠隔検知できるようにすることができる。
【0022】これらの人体の有無を表す信号や人体の動作状態を表す信号の送信は有線でも無線でもよい。受信側としては遠隔地の監視者や病院のナースセンタ等が想定され、それらの場所でベッド上の人の有無を遠隔監視できる。
【0023】また、本発明によるベッドは、ベッド上の人体が通常存在しうる領域の全部または一部を含む範囲にインパルス状の電磁波を送波し、人体からの反射波を受波するインパルスレーダを有し、反射波の状態から人体を検知する人体検知装置を備えたものである。
【0024】また、本発明による人体検知システムは、前記人体の有無を表す信号を生成して送信する人体検知装置と、人体の有無を表す信号を受信し、その信号の状態が所定の条件を満たしたときに報知する受信手段とを備えたものである。
【0025】『所定の条件』とは、例えば、ベッドに寝ている人の存在を検知し、その後ベッドから離れ、ある一定時間以上たっても戻って来ない、などの条件である。この一定時間は、検知対象となる人の病状、歩行能力、監視の目的等を考慮して設定される。『受信手段』は監視者のいる場所やナースセンタ等に設置され、所定の条件が満たされると音声や表示などによる通報を出す。これによりベッドの利用者が徘徊していないかやベッドから降りて倒れていることがないかなどを知ることを目的とする監視を行うことができる。
【0026】また、本発明による人体検知システムは、前記人体の動作状態を表す信号を生成して送信する人体検知装置と、人体の動作状態を表す信号を受信し、その信号の状態が所定の条件を満たしたときに報知する受信手段とを備えたものである。
【0027】この場合の『所定の条件』とは、例えば、インパルスレーダが受波する反射波の状態に基づき、ベッドに寝ている人の位置や姿勢についての状態を検知し、ある一定時間以上状態の変化がない場合は、何か異常があったとすることである。
【0028】通常人はすなわち、ある一定時間内では人であれば、眠っていても寝返り等の動作を行うから、平均的な寝返り間隔等を考慮して、一定時間を設定することができる。これらの人体検知システムは要介護者や、一人暮らしの老人等のライフリズムセンサとしても使用することができる。一人暮らしの老人等が寝たきりでないのであれば、夜間に限定して検知してもよく、また人体を検知しないと報知する一定時間を例えば24時間のように長く設定してもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。先ず、本発明装置の第1実施形態について説明する。図1は本発明装置の第1実施形態を示す一部破断斜視図、図2は本発明装置の第1実施形態の作用説明図である。
【0030】図1に示されるように、この第1実施形態はインパルスレーダ4がベッド背面に配置されるベッド1に適用される。ベッド筐体1aは金属や木製などである。マット1bはベッド筐体1aの上に位置しその背面にあたるベッド筐体1aにはインパルスレーダ4が配置される。マット1bはパルス状電磁波を透過させやすい繊維で覆われて内部にはスプリングが設けられている。
【0031】ベッド筐体1aは、この例では、金属板や木材で枠組みされ、インパルスレーダ4はマット1bが置かれるベッド筐体1aの上面中央部に、インパルスレーダ4の上面が一致するように取り付けられる。取付金具5はインパルスレーダ4をベッド筐体1bに固定する金具である。人体検知装置の他の部分はインパルスレーダ4と一体に設けてもよいし、インパルスレーダ4とは離して、例えば外から操作のしやすいベッドの側面に設けてもよい。
【0032】インパルスレーダ4をこのように取り付ければ、要介護者や病人の目に触れないので、それらの人たちの監視されているという感情を緩和することができる。マット1bの背後の、インパルスレーダ4から放出されるインパルス状電磁波の様子が図2に模式的に示されている。
【0033】同図から明らかなように、インパルスレーダ4から放出される電磁波はマット1bを透過して、敷き布団6や、シーツなどを透過し、そこに存在する人体pに向けて照射される。その人体pで反射された電磁波は同様にしてシーツ、敷き布団6、マット1bを透過してインパルスレーダ4に戻る。
【0034】図2に模式的に示されるように、インパルスレーダ4から発せられる電磁波の指向角度は十分に広く、人体pがマット1b上で広範囲の位置に移動しても的確に検知できるような、インパルスレーダ4の検知領域設定となっている。
【0035】次に、本発明装置の第2実施形態について説明する。図3は本発明装置の第2実施形態を示す一部破断斜視図、図4は本発明装置の第2実施形態の作用説明図である。
【0036】図3に示されるように、この第2実施形態はインパルスレーダ4がベッド天板部2cに配置されるベッド2に適用される。このタイプはマット2bがインパルスレーダ4のパルス状電磁波を透過しない金属などで覆われた材質のベッドの場合である。
【0037】ベッド筐体2bは、この例では、金属や木製などで枠組みされ、天板部2cは木製である。人体頭部は天板部2cの方に向けられている。インパルスレーダ4は天板部2cの中央内部にあり人体頭部に向けて取り付けられている。
【0038】このようなベッド2であって、インパルスレーダ4をこのように取り付ければ、要介護者や病人の目に触れないので、それらの人たちの監視されているという感情を緩和することができる。
【0039】天板部2cの内部に隠蔽される、インパルスレーダ4から放出されるパルス状電磁波の様子が図4に模式的に示されている。
【0040】同図から明らかなように、インパルスレーダ4から放出される電磁波は天板面2dを透過して、ベッド上に存在する人体pに向けて照射される。その人体pで反射された電磁波は同様にして天板面2dを透過してインパルスレーダ4に戻る。
【0041】図4に模式的に示されるように、インパルスレーダ4から発せられる電磁波の指向角度は十分に広く、人体pがマット1b上で広範囲の位置に移動しても的確に検知できるような、インパルスレーダ4の検知領域設定となっている。
【0042】マット2b上には、枕7や上布団が存在するがインパルスレーダ4から発せられる電磁波が透過する材質が使用されているので人体検知には何ら関与しない。
【0043】次に、本発明装置の第3実施形態について説明する。図5は本発明装置の第3実施形態を示すベッドの側面図、図6は本発明装置の第3実施形態を示すベッドの平面図である。
【0044】図5示されるように、この第3実施形態はインパルス状電磁波が透過するマット3bのベッド3に適用される。マット3bはその背面にインパルスレーダ4a,4b、4cが3個配置されている、マット3bの材質はパルス状電磁波を透過させやすい繊維などで覆われ内部にはスプリングが設けられている。
【0045】マット3bの上に、敷き布団6、更にその上に、要介護者や病人などの人体pが存在する。このようなベッド3であって、人体pの存在有無を検知するためのインパルスレーダ4a,4b、4cは、それらの人たちの目に触れぬよう、マット3bの背後に隠蔽される。 インパルスレーダ4a,4b、4cをこのように取り付ければ、要介護者や病人の目に触れないので、それらの人たちの監視されているという感情を緩和することができる。
【0046】マット3bの背後の、インパルスレーダ4a,4b、4cから放出されるパルス状電磁波の様子が図5に模式的に示されている。
【0047】同図から明らかなように、インパルスレーダ4a,4b、4cから放出される電磁波はマット3bを透過して、敷き布団6を透過し、そこに存在する人体pに向けて照射される。その人体pで反射された電磁波は同様にして敷き布団6、マット3bを透過してインパルスレーダ4a,4b、4cに戻る。
【0048】図5に模式的に示されるように、インパルスレーダ4a,4b、4cから発せられる電磁波の指向角度は、は十分に広く、人体pがマット3b上で広範囲の位置に移動しても的確に検知できるような、インパルスレーダ4a,4b、4cの検知領域設定となっている。
【0049】また、インパルスレーダの指向角はある特定の角度に調整できるようになっているため、マット3bの厚さで算定し人体の検出範囲を限定することができる。
【0050】次に、図6で示されるように3個のインパルスレーダ4a,4b、4cは、マット上にほぼ等間隔に配置されている。それらの位置はインパルスレーダ4aは肩部、インパルスレーダ4bは腰部、インパルスレーダ4cは足部である。さらに各々のインパルスレーダの検出範囲は、4a1,4b1、4c1となっており、マット3bのほぼ全域をカバーしている。
【0051】以上のように、複数のインパルスレーダを配置することでマット3bのほぼ全域をカバーし、人体がマット上どこへ移動しても検知可能としている。また、人体は全て横臥した状態ばかりでなく、寝返りをしたり、丸まったり、斜めになったり、様々な姿勢となるため、このような状態にあっても検知するためのものである。この複数のインパルスレーダを配置する特徴を活かした、人体の状態変化を検知する作用説明はあとで詳細を述べる。
【0052】次に、第1〜第3の実施形態に採用可能なインパルスレーダについて説明する。「インパルスレーダ」とは、例えばU.S PAT5,457,394(Impulse Rader Studfinder)に示されるようなものであって、パルス状の電磁波を検査対象に向けて送信し、その反射波を受信する送信手段と、送受信手段により電磁波が送信されてから、その反射波が受信されるまでの時間に基づいて、検査対象までの距離を測定する測距手段とを有するレーダ装置である。
【0053】従来のCW(連続波)方式、パルス方式のレーダと比較すると、インパルスレーダには以下の長所が存在する。変復調回路が不要であることから構成が簡単であり、小型軽量で消費電力が小さくかつ安価である。
【0054】送信電磁波がパルス状であることから、送信が極短時間で終了するため、検査対象が1m以下の近距離に存在し、そこからの反射波が即座に返ってきても送信波と分離して抽出できる。つまり極近距離まで検出できる。インパルスレーダの電気的なハードウェア構成の全体が図7に概略的に示されている。同図に示されるように、インパルスレーダ100には、1GHz以上の周波数の電磁波のパルスを送信する送信部10と、その電磁波の反射波を受信する受信部11とを制御するとともに送信部10がパルス状の電磁波を送信した後、検査対象物体からの反射波を受信するまでに時間や反射波そのものの形状である時間ごとの振幅や位相などを計測する制御部12とを含んでいる。
【0055】インパルスレーダの送受信部並びに制御部の詳細が図8に示されている。同図に示されるように、送信部10と受信部11は高周波回路とされている。
【0056】送信部10は、立ち上がりが急峻なパルスを発生するパルス発生部10aと、パルス発生部10aの出力するパルスに基づいて、パルス状の電磁波を発生する送信アンテナ10bとを含んでいる。
【0057】受信部11は、サンプリングパルスを発生するサンプリングパルス発生部11aと、サンプリングパルス発生部11aより供給されたサンプリングパルスに対応して、受信アンテナ11cで受信した反射波のレベルをサンプリングするサンプリング部11bとを含んでいる。
【0058】制御部12は、2MHzの周波数のクロックを発生し、パルス発生部10aとサンプリングパルス発生部11aに出力するクロック発生回路12aと、40Hzの周波数のクロックを発生し、サンプリングパルス発生部11aに出力するクロック発生回路12aとを含んでいる。制御部12は、また、サンプリング部11bより供給されたサンプル値を受信し、ホールドする受信信号処理部12cを含んでいる。
【0059】次に、電磁波の送受信の動作について説明する。パルス発生部10aは、クロック発生部12aの出力するクロックに同期して、鋭い立ち上がりのパルスを発生する。立下りの鋭いパルスは、内蔵するスイッチング素子としてのトランジスタを高速にオンまたはオフすることで生成することができる。送信アンテナ10bはパルス発生部10aから立下りが急峻なインパルスが供給されると、鋭い立下りのタイミングに同期して、パルス状の電磁波を送信する。送信されたパルス状の電磁波は、電磁波反射物体(誘電率に不連続点があると反射が生じる)13により反射され、受信アンテナ11cにより受信され、その受信信号が、サンプリング部11bに入力される。
【0060】従って、図9(A)に示されるように、2MHzの周波数の逆数の周期で送信波(送波)が送信されると、それより若干遅れて反射波が受信される。いま、この反射波(受波)だけに着目すると、図9(B)に示すような反射波が、サンプリング部11bに入力されることになる。
【0061】サンプリングパルス発生部11aは、クロック発生回路12aより供給される2MHzの周波数のクロックに同期したサンプリングパルスを発生するが、このサンプリングパルスは、クロック発生回路12bより供給される40Hzの周波数クロックに基づいて、その位相が若干ずらされる。これにより、図9(B)に示すように、サンプリングタイミング(tA〜tE)によって、受波の異なる位置のレベルをサンプリングすることが可能になる。
【0062】電磁波を反射している電磁波反射物体13は、短時間内で実質的に移動していないと考えられるので、図9(B)に示す2MHzの周波数の逆数の周期で受信される反射(受波)の波形は、実質的に同一と考えられる。そこで、これらの受波をほぼ2MHzの周波数の逆数の周期で位相を若干変化させつつサンプリングすることで、1つの受波の時々刻々と変化するレベルを、時間軸を拡大して(低周波領域で)、サンプリングすることが可能になる。
【0063】単純にはこの1つの反射波を受信して、その時時刻刻と変化するレベルの値をサンプリングするようにするためには、2MHzの周波数より十分大きい周波数のサンプリングクロックが必要になる。そのような高周波数回路は、取り扱いが面倒であるし、コスト高となる。そこで、このように、ほぼ2MHzの周波数のサンプリングクロックの位相を若干ずらすことで、特別な高周波回路を用いずとも、9(B)の例においては、時刻tAからtEのタイミングで、受波がサンプリングされることになる。
【0064】このため、サンプリングパルス発生部11aにおいては、図10に模式的に示されるように、2MHzの周波数のクロックを40Hzのクロックのレベルと比較し、両者が同じレベルとなったタイミングでサンプリングパルスを発生する。
【0065】より具体的には、サンプリングパルス発生部は、図11に示されるように、クロック発生部12aより供給された2MHzの周波数のクロック((図11)(A))と、クロック発生回路12bより供給された40Hzの周波数の鋸歯状波のクロック(図11(B)参照)とを合成し、合成波(図11(C)参照)を生成する。サンプリングパルス発生部11aは、この合成波を予め設定されている所定の閾値LTと比較する。
【0066】図11(C)に示す合成波のエッジをより拡大した状態が、図12に示されている。即ち、2MHzのクロックエッジは、40Hzの周波数のクロックと合成することで、所定の傾きを有することになる。その結果、鋸歯状波の始点付近においては、図11(A)に示すように2MHzのクロックの立上がりエッジの立上がり点を基準点として、そのエッジのレベルが閾値LTまで達する時間をT1とすると鋸歯状波の終点付近においては、図11(B)に示すように、基準点からサンプリング点までの時間T2は、図11(A)に示す時間T1より長くなる。従って、鋸歯状波の始点と鋸歯状波の終点の間領域においては、時間T1と時間T2の間の時間でサンプリング点が発生することになる。
【0067】サンプリングパルス発生部11aは、このサンプリング点のタイミングでサンプリングパルス発生し、サンプリング部11bに出力する。サンプリング部11bは、このサンプリングパルスに同期して反射をサンプリングし、サンプリング値を受信信号処理部へ出力する。
【0068】受信信号処理部12cの動作が図13のフローチャートに示されている。受信信号処理部12cでは、測距処理実行により、パルス状電磁波の送受信時間差に基づいて、対象人体までの距離を算出する(ステップ1301)。すなわち、この測距処理(ステップ1301)では、サンプリング部11bから到達するサンプル値に基づいて受信波形を低周波変換して検出するとともに、これを送信波に相当する低周波波形と比較して送受信時間差に相当する距離データLを生成する。
【0069】次に、この対象物体までの距離に相当する距離データLは、距離判定処理(ステップ1302)の実行により、検知領域の近限界距離及び遠限界距離にそれぞれ相当する閾値Lmin、Lmaxの範囲から外れている場合には検知出力はOFFとされるのに対し、 Lmin、Lmaxの範囲入る場合は検出出力はONとされる。
【0070】従って、例えば図2のような実施例1を対象とするのであれば、マット上面を近限界Lminより近くなるように設定するとともに、想定される人体位置をカバーする距離を遠限界Lmaxとするように設定すれば、それらのノイズ成分による誤動作を防止できる。同様にして実施例3の場合も、近限界Lmin、遠限界Lmaxを適切に設定することにより、距離弁別作用を通じて検知信頼性を向上できる。
【0071】つづいて、図3のような実施例2を対象とするのであれば、天板面から人体頭部までを数cmを想定しこの距離が近限界Lminより近くなるように設定するとともに、人体の移動を考慮して概ね50cmから80cmをカバーすべき遠限界Lmaxとするように設定すれば、それらのノイズ成分による誤動作を防止できる。
【0072】第1〜第3の実施例形態の検知装置における典型的な応用例として、病院、老人介護施設、要介護者のいる家庭などでは、病人や要介護者の安全にため、介護をする人等がそばにいないときでもベッドの上の病人や要介護者に異常がないか、またその人たちがベッドから離れていないかどうかを知ることのできる。ベッドの上の病人や要介護者の存在を検知し、監視者のいる場所やナースセンタ等に通報を出す徘徊監視や、一定時間以上寝ていると監視者に通報をする通報装置が挙げられる。このような通報装置の一例を図14及び15図を参照に説明する。
【0073】図14に示されるように、この通報装置は、第1〜第3実施形態と同様に介護ベッドに取り付けられたインパルスレーダ100と、インパルスレーダ100の出力に基づいて人体の状態情報処理する実行するマイクロコンピュータ20と、送信機信号20bの出力でトランジスタ22を介して駆動されるリレー23と、リレー23の接点24を介して送信機26に電源供給される電源25と送信機アンテナ27とを含んでいる。
【0074】マイクロコンピュータ20には、インパルスレーダ100の出力に基づいて人体の状態情報処理を実行する処理部20aと、その処理結果から人体の有り無しを出力する送信機信号部20b、処理部20aの処理結果から状態信号を生成し出力する状態信号発生部20cから構成される。
【0075】次に、送信機アンテナからでた電波は、一例としてナースセンタに通報され、受信端末で集中監視されている。
【0076】人体監視処理の内容が図15に示されている。この例においては、介護ベッド上にはじめ人体が存在し、その後人体が存在しなくなったことを判断し通報し送信機出力を行うようにしている。
【0077】すなわち、処理が開始されると、インパルスレーダから送受信が行われ、人体が存在したか、あるいは存在していないかの判断が繰り返し行われる(ステップ1501,1502)。この状態において、人体が存在から不在の変化が判断されると(ステップ1502YES)、送信機出力がONとなる。この様にして人体監視が行われる。
【0078】また、第3の実施形態の場合は、人体の存在有無の有り無しの情報ではなく状態情報、位置情報や複数のインパルスレーダのON,OFF情報など数個の情報となるため、送信機信号部21bと同期して状態信号部21cを出力する。
【0079】この状態信号は複数の情報をもつデータとして送信機へ送られ、デーダ通信としてナースセンタへ送信される。このようにして人体の状態監視が行われる。
【0080】第3の実施例形態の検知装置における人体検知の応用例として動作状態検知について説明する。図16に、複数のインパルスレーダを配置する特徴をいかした人体の状態変化を検知する作用説明図を示す。
【0081】図16(A)はベッドに横臥した人体pの動作状態の姿勢を示し、各々のインパルスレーダ4a、4b、4cの受波波形を、それぞれに対応し(A)4aの反射波、(A)4bの反射波、(A)4cの反射波として示している。これらの反射波の波形の電圧値を縦軸に示し、時間の経過は横軸を示している。
【0082】続いて、に図16(B)は上記のベッドに横臥した人体pが起きあがろうとしているの動作状態の姿勢を示しており、各々のインパルスレーダ4a、4b、4cの受波波形を、それぞれに対応し(B)4aの反射波、(B)4bの反射波、(B)4cの反射波として示している。これらの反射波の波形の電圧値を縦軸に示し、時間の経過は横軸を示し、(B)4aの反射波の電圧はV1a、(B)4bの反射波はV2b、(B)4cの反射波はV3bとする。
【0083】横臥した人体pが起きあがろうとしているの動作状態の時、インパルスレーダ4cの反射波の波形は脚部の変化が無いために、(A)4cの反射波と(B)4cの反射波は同じである。インパルスレーダ4bの反射波の波形は腰部が浮き上がりの変化が有るために、(A)4bの反射波と(B)4bの反射波は、V2bはV1bに比べ低くなり、波形のピーク値までの時間遅れT3となり変化がおきる。
【0084】インパルスレーダ4aの反射波の波形は頭部が大きく起上がりの変化が有るために、(A)4aの反射波と(B)4aの反射波はV2aはV1aに比べかなり低くなり、波形のピーク値までの時間遅れT4となり大きく変化がおきる。
【0085】即ち、この時間変化はインパルスレーダからの人体の各部の距離が増すごとに、送波と受波の時間が増し、腰部より頭部の方がより時間が増すことで、状態の変化がわかる。
【0086】この様に、複数のインパルスレーダを配置することによって、起上がりの状態を検知することができた。以上起上がりの状態を説明したが、ベッド上の全域をカバーし、人体がマット上へ移動したり、横臥した状態ばかりでなく寝返りをしたり、丸まったり、斜めになったり、起き上がったり様々な状態も同様の考え方で検知可能となる。
【0087】以上のような、応用例として、ベッドに寝ている人の存在及び状態を検知しベッドから離れたら看視者やナースコールに通報を出す徘徊監視や、一定時間以上状態の変化がない場合は、ベッドいる介護される人や、病人に何か異常があったとして看視者に通報を出すライフリズムセンサ等が挙げられる。
【0088】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の人体検知装置およびそれを備えたベッドは、ベッド上いる病人や要介護者を確実に検知することができ、しかも病人や要介護者にとって違和感もなく健康上の悪影響もない人体検知装置を提供できる。
【0089】また、本発明のベッドの人体検知装置は、水分を多く含む人体を選択的に検知でき、ベッド上にある枕、布団、毛布や小物類などの人体以外の物体には感応しにくいから、人体をより確実に検知できるとともに、誤検知を防止できる。さらに、本発明のベッドの人体検知装置は、検知距離範囲を任意に設定できるから、インパルスレーダの取り付け場所に応じた最適の検知対象範囲を設定可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
【出願日】 平成12年2月29日(2000.2.29)
【代理人】 【識別番号】100083954
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 輝夫
【公開番号】 特開2001−238922(P2001−238922A)
【公開日】 平成13年9月4日(2001.9.4)
【出願番号】 特願2000−54835(P2000−54835)