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【発明の名称】 椅子型床走行リフト
【発明者】 【氏名】長岡 隆一

【氏名】野中 英俊

【氏名】安部 賢一

【要約】 【課題】着座用椅子の揺れがなく、要介護者の移乗、移動、姿勢変更が安全、容易に行える椅子型床走行リフトを提供する。

【解決手段】前、後輪(車輪)4a,4bを設けた脚部フレーム2に支柱3を立設してなるリフト本体5に、椅子支持フレーム6が昇降自在に支持されている。該椅子支持フレーム6には、座面部20と肘掛け部21と背もたれ部22とからなる着座用椅子7が取り付けられている。支柱3に沿って設けたねじ軸9を電動機8で回転させ、ねじ軸9に螺合したナットを上下動させるようにした昇降機構12に、前記椅子支持フレーム6がそれに固定した従動ブロックと上記ナットとを係合してなる連動連結部11を介して連結され、昇降機構12の作動で前記着座用椅子7が揺れのない、円滑な昇降をするようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脚部フレームに支柱が立設され車輪により走行するリフト本体と、上記支柱に昇降自在に支持されている椅子支持フレームと、該椅子支持フレームに取り付けられている着座用椅子と、電動機でねじ軸を回転させ該ねじ軸に螺合されたナットを上下動させることにより、連動連結部を介して前記椅子支持フレームを昇降させる昇降機構とを設けた椅子型床走行リフトにおいて、前記着座用椅子は、座面部と、該座面部の少なくとも一側の上方位置に配置した肘掛け部と、座面部の後方側において上方に向けて設置した背もたれ部とを備えていることを特徴とする椅子型床走行リフト。
【請求項2】 前記昇降機構における連動連結部は、前記ナットの上部に前記椅子支持フレームに支持した従動ブロックの下部が当接され、該当接部は前記ナットと従動ブロックの一方が凸球面状に、他方が凹球面状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の椅子型床走行リフト。
【請求項3】 前記昇降機構における連動連結部は、前記ナットの上部に前記椅子支持フレームに支持した従動ブロックの下部が当接され、ナットと従動ブロックは当接位置から互いに離れる方向への相対移動が自由になっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の椅子型床走行リフト。
【請求項4】 前記昇降機構における連動連結部は、前記ナットと前記椅子支持フレームとの間に設けたばねにより前記従動ブロックが常時ナットに当接するように付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の椅子型床走行リフト。
【請求項5】 前記昇降機構における連動連結部には、前記ナットと従動ブロックの互いに離れる方向への相対移動を検知する相対移動検出器が設けられていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の椅子型床走行リフト。
【請求項6】 前記着座用椅子は、座面部と肘掛け部とが、それらの基端部を前記椅子支持フレームに旋回自在に支持されており、所要時に前記背もたれ部に沿う上方への折り畳みができるように設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフト。
【請求項7】 前記着座用椅子は、前記背もたれ部に着座者の胴部を保持するシートベルトと着座者の頭部を添えるヘッドレストの少なくとも一方が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフト。
【請求項8】 前記着座用椅子の座面部は、前記椅子支持フレームに基端部が支持されて自由端側を前方に突き出された左右一対の支持棒を有する座面用フレームと、左右の両端部に筒状の挿入部が設けられ該挿入部を前記支持棒に着脱自在に差し込むことにより、支持棒間に張設された座面用布材とからなり、また、前記背もたれ部は、前記椅子支持フレームに基端部が固定されて上方に延長された左右一対の支持部材を有する背もたれフレームと、袋状に形成され前記支持部材に扁平にして着脱自在に張設された背もたれ用布材とからなることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフト。
【請求項9】 前記座面部の座面用布材は、座面域の全面に布面を配した通常の布材と、前記背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切欠き部を設けた移乗用布材と、中央部に排泄用穴を設けたトイレ移乗用布材とが備えられ、選択的に前記支持棒に装着されるようになっていることを特徴とする請求項8に記載の椅子型床走行リフト。
【請求項10】 前記座面部の座面用布材は、前記背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切欠き部が設けられ、前記座面部の前方に向けて張り出す張り出し部が設けられ、かつ布材本体と前記張り出し部とにまたがるように補強材が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の椅子型床走行リフト。
【請求項11】 前記座面用フレームの支持棒が、前記椅子支持フレームに基端部が支持されて自由端側を前方に突き出された状態で固定的に設けられるガイド部と、前記座面用布材が装着されて、前記ガイド部に対して、前記座面用布材とともに前後方向にスライド移動可能にして設けられるスライド部とを有していることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフト。
【請求項12】 前記着座用椅子の前記背もたれ側の下部に、着座者の下肢が接触したことを検知する接触検出器が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、下肢の不自由な高齢者や身体障害者が、座位と立位との間の姿勢変更をするのを補助したり、椅子やベッドと車椅子との間の移乗、ベッドとトイレとの間の移乗等を助けるのに使用する椅子型床走行リフトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の床走行リフトは、リフト本体に設けたアームの先端に電動式の昇降機構で昇降自在に吊り下げて設けたハンモック状吊り具に着座者(要介護者)を乗せ、移動させるものであり、又、従来の昇降式座椅子では座面部の座面用布材は厚さが2センチ以上あるクッション等で製作したものが通常使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の床走行リフトは、身体保持部が吊り下げ式のハンモック状吊り具であるので、要介護者の移乗、移動の際該身体保持部が揺れるため、移乗が円滑に行えないばかりでなく、移動中身体保持部の位置が安定せず、要介護者に不安感、恐怖感を与えたりすると共に、走行リフトの移動も円滑に行えないという問題があった。また、昇降式座椅子は、その昇降機構が電動機の駆動力を昇降の両方向へ強制的に伝動するものであったので、座椅子(身体保持部)の座面部の下面に障害物があった場合には、電動機の駆動力が上記座面部を介して障害物を押し付けることになり、昇降機構が損傷する等のおそれがあり、安全性に欠ける問題があった。さらに、座椅子の座面部は厚さが大きいので、床面と座面部との間に要介護者にとっては比較的大きな段差が生じ、リュウマチ等により自分の力では臀部を浮かせることができない人は、上記座面部に移乗することができない等の問題点があった。また、リフト本体の形状が大きくて大きな設置面積を要すると共に、機能性、機動性に劣る欠点があった。
【0004】そこで、本発明は、リフト本体に対する身体保持部の揺れをなくして、要介護者の移乗、移動が容易に、かつ安定して円滑に行える椅子型床走行リフトを提供することを目的とする。また、本発明の他の目的は、身体保持部の座面部の下に障害物がある場合、身体保持部の無理な下降を防止して安全性を高めた椅子型床走行リフトを提供することである。また、本発明の更に他の目的は、機能性、機動性を高めた椅子型床走行リフトを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1の発明は、脚部フレームに支柱が立設され車輪により移動するリフト本体と、上記支柱に昇降自在に支持されている椅子支持フレームと、該椅子支持フレームに取り付けられている着座用椅子と、電動機でねじ軸を回転させ該ねじ軸に螺合されたナットを上下動させることにより、連動連結部を介して前記椅子支持フレームを昇降させる昇降機構とを設けた椅子型床走行リフトにおいて、前記着座用椅子は、座面部と、該座面部の少なくとも一側の上方位置に配置した肘掛け部と、座面部の後方側において上方に向けて設置した背もたれ部とを備えた構成としている。
【0006】上記構成の椅子型床走行リフトにおいては、例えば、要介護者が床に座位の姿勢で居るときは、リフトを要介護者の近くに移動し、電動機を起動して昇降機構を下降に作動させると、連動連結部を介して椅子支持フレームが降下し、着座用椅子は最下端位置まで下降する。この状態では着座用椅子の座面部が床面にほぼ段差がなく接するので、要介護者は自力でまたは介護者の助けを得て上記座面部に臀部から膝までを乗せる。そして、電動機を起動して上記と逆に昇降機構を作動させて着座用椅子を上昇させ、要介護者の足が床面から少し離れた状態になったところで着座用椅子の上昇を停止する。この間に、要介護者は両上肢を肘掛け部に支えて胴部を背もたれ部に支え、着座用椅子に移乗して安定した着座姿勢をとる。そして、必要に応じて他の部屋等へ移動して、着座用椅子を若干昇降させベッド、トイレ等に移乗、またはその他の動作に移るため、立位に姿勢を変える補助に使用したり、着座用椅子を最下端位置まで下降して床面への座位に姿勢を変える。上記構成の椅子型床走行リフトによれば、要介護者の移乗、移動の際には、着座用椅子は昇降機構により円滑に昇降され、座面部が揺れたりすることがないので、移乗、移動、姿勢変更が容易に、かつ安全に行われる。
【0007】請求項1に記載の椅子型床走行リフトにおいて、昇降機構における連動連結部は、ナットの上部に椅子支持フレームに支持した従動ブロックの下部が当接され、該当接部は前記ナットと従動ブロックの一方が凸球面状に、他方が凹球面状に形成された構成とする(請求項2)と、着座用椅子に移乗した要介護者の体重が偏心荷重として連動連結部に作用してもねじ軸によるナットの昇降駆動が円滑に行われ、着座用椅子の昇降が円滑に行われる。
【0008】請求項1または請求項2に記載の椅子型床走行リフトにおいて、昇降機構における連動連結部は、ナットの上部に椅子支持フレームに支持した従動ブロックの下部が当接され、ナットと従動ブロックは当接位置から互いに離れる方向への相対移動が自由になっている構成とする(請求項3)と、着座用椅子の下降中、座面部の下の障害物によりそれ以上着座用椅子が下降しなくなった場合、ナットのみが従動ブロックから離れて下降するので、着座用椅子が障害物を押さえて無理に下降をすることがなく、安全であり、昇降機構等が損傷することもない。
【0009】請求項3に記載の椅子型床走行リフトにおいて、昇降機構における連動連結部は、ナットと椅子支持フレームとの間に設けたばねにより従動ブロックが常時ナットに当接するように付勢されている構成とする(請求項4)と、着座用椅子の昇降に際し従動ブロックとナットとの当接が常時確実に行われて、座椅子の昇降駆動が円滑に行われる。
【0010】請求項3又は請求項4に記載の椅子型床走行リフトにおいて、昇降機構における連動連結部に、ナットと従動ブロックの互いに離れる方向への相対移動を検知する相対移動検出器が設けられた構成にする(請求項5)と、着座用椅子の座面部の下に障害物があることが確実に検知されるので、昇降機構の電動機の停止等の操作を速やかに行って昇降機構等の安全を図る。
【0011】請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフトにおいて、着座用椅子は、座面部と肘掛け部とが、それらの基端部を椅子支持フレームに旋回自在に支持されており、所要時に前記背もたれ部に沿う上方への折り畳みができるように設けられた構成にする(請求項6)と、着座用椅子が小型にまとめられ、不使用時の椅子型床走行リフトの移動、運搬や格納が容易に行える。
【0012】請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフトにおいて、着座用椅子は、背もたれ部に着座者の胴部を保持するシートベルトと着座者の頭部を添えるヘッドレストの少なくとも一方が設けられた構成にする(請求項7)と、自力で着座用椅子に身体をしっかり保持できない要介護者に対してもその身体を着座用椅子に確実に固定でき、要介護者が着座した椅子型床走行リフトの移動も安心して行える。
【0013】請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフトにおいて、着座用椅子の座面部は、椅子支持フレームに基端部が支持されて自由端側を前方に突き出された左右一対の支持棒を有する座面用フレームと、左右の両端部に筒状の挿入部が設けられ該挿入部を前記支持棒に着脱自在に差し込むことにより、支持棒間に張設された座面用布材とからなり、また、背もたれ部は、前記椅子支持フレームに基端部が固定されて上方に延長された左右一対の支持部材を有する背もたれフレームと、袋状に形成され前記支持部材に扁平にして着脱自在に張設された背もたれ用布材とから構成とする(請求項8)と、座面部や背もたれ部の構造が軽量、簡単になると共に、上記支持棒や支持部材から取り外した座面用布材、背もたれ用布材はそれらの両側にパイプを通して担架として使用してもよく、必要に応じて洗濯、消毒が簡単に行える。
【0014】請求項8に記載の椅子型床走行リフトにおいて、座面部の座面用布材は、座面域の全面に布面を配した通常の布材と、背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切欠き部を設けた移乗用布材と、中央部に排泄用穴を設けたトイレ移乗用布材とが備えられ、選択的に支持棒に装着されるように構成する(請求項9)と、椅子型床走行リフトを使用して要介護者の多種多用な姿勢変更が容易に行え、機能性に富んだ椅子型床走行リフトの活用が図れる。また、例えば椅子型床走行リフトと車椅子との間の移乗の際には、椅子型床走行リフトの正面を車椅子の正面と向かい合わせかつできるだけ接近させた状態で、椅子型床走行リフトの座面部と車椅子との間で着座者を移送していた。ここで、座面部の座面用布材として、背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切欠き部が設けられ、座面部の前方に向けて張り出す張り出し部が設けられ、かつ布材本体と張り出し部とにまたがるように補強材が設けられた座面用布材(移乗用布材)を用いると(請求項10)、要介護者を椅子型床走行リフトから車椅子に移送する場合には、例えば着座者を張り出し部近傍に着座させた状態で椅子型床走行リフトの正面を車椅子の正面と向かい合わせて近接配置し、張り出し部を車椅子の座面シート上にオーバーラップさせる。そして、オーバーラップ部分に着座者を移動させ、その後に椅子型床走行リフトを後退させて張り出し部を着座者の下から引き抜くことで、着座者を車椅子に移送する。また、車椅子から椅子型床走行リフトへの移送の際には、椅子型床走行リフトの正面を車椅子の正面と向かい合わせて近接配置して、要介護者の下に張り出し部を差込んで張り出し部を車椅子の座面シート上に載せてオーバーラップさせ、この状態で、要介護者を張り出し部上で移動させて移乗用布材に深く着座させ、その後に椅子型床走行リフトを後退させることで、要介護者を椅子型床走行リフトに移送する。このとき、着座者の体が張り出し部によって車椅子の座面シート上、または移乗用布材上に案内されるので、着座者の移送をスムーズかつ容易に行うことができる。ここで、この移乗用布材には、布材本体と張り出し部とにまたがるように補強材が設けられているので、座面の安定性を確保することができる。請求項8から請求項10のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフトにおいて、座面用フレームの支持棒が、椅子支持フレームに基端部が支持されて自由端側を前方に突き出された状態で固定的に設けられるガイド部と、座面用布材が装着されて、ガイド部に対して、座面用布材とともに前後方向にスライド移動可能にして設けられるスライド部とを有する構成とする(請求項11)と、車椅子への要介護者の移乗を行う際に、スライド部を前方にスライドさせることで座面用布材を前方に移動させて車椅子の座面シートにさらに近接させることができ、これらの間での要介護者の移送が容易になる。請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の椅子型床走行リフトにおいて、着座用椅子の背もたれ側の下部に、着座者の下肢が接触したことを検知する接触検出器を設けた構成とする(請求項12)と、着座者を着座用椅子に対して反対側に向いた(後ろ向き)状態で着座させている場合に、着座者の足先が床面に達した後もさらに着座用椅子を下降させても、座面部に設けられた接触検出器によって着座者の下肢の接触が検知されるので、昇降機構の電動機が停止する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図において、1は椅子型床走行リフトである。該椅子型床走行リフト1は、脚部フレーム2に支柱3が立設されてなり下部に設けた車輪4a,4bで走行自在に床面Fに支持されているリフト本体5と、前記支柱3に昇降自在に支持されている椅子支持フレーム6と、該椅子支持フレーム6に取り付けられている身体保持部としての着座用椅子7と、電動機8でねじ軸9を回転させ該ねじ軸9に螺合されたナット10(図8)を上下動させることにより、連動連結部11を介して前記椅子支持フレーム6を昇降させる昇降機構12とを備えている。
【0016】前記リフト本体5の脚部フレーム2は、図3に示すように、平面視でコ字状に形成され、その開口部側(前端側)の両下部には回転止め具を備えたキャスタからなる前輪(車輪)4a,4aが回転自在に取付けられており、また、後端部の両側に後方へ突き出して固定した一対の支持片13,13には、それぞれ回転止め具を備えた後輪(車輪)4b,4bが取付けられている。上記支持片13,13に連結して設けた横部材14には斜め上方へ向けてステップ15が固定され、その自由端側の下部に1つの小径車輪4cが支持されている(図4参照)。
【0017】前記支柱3は、図2に示すように、パイプを逆U字状に曲げて形成され、その両端下部を前記脚部フレーム2の後端部に結合され、上端側が後方へ傾くようにして上方へ延長した左右の一対の案内棒3a,3aとして設けられている。図1に示すように、支柱3の上端部両側にはリフト本体5を移動操作するための一対のハンドル16,16が後方へ向けて固定されている。前記椅子支持フレーム6は、図2に示すように、上下一対の平行な横棒17,17を両端で縦棒18,18で結合してなり、その後面の両側に間隔をあけて縦に向けて固定した一対の案内筒19,19が前記支柱3の一対の案内棒3a,3aに嵌合され、該案内棒3a,3aに沿って昇降するように支持されている。
【0018】前記着座用椅子7は、図4に示すように、着座者が臀部を乗せる座面部20と、座面部20の両側の上方位置に配置した肘掛け部21と、座面部20の後方側において上方に向けて設置した背もたれ部22とから構成されている。前記座面部20は、側面視でL字状に折り曲げられた一対の平行な支持棒23,23を折り曲げ部で横棒24で結合してなる座面用フレーム25と、該座面用フレーム25に張設した薄い布材で構成された座面シート(座面用布材)26とからなっている。前記座面用フレーム25の支持棒23,23は、その短辺部23aの上端部が前記椅子支持フレーム6の縦棒18,18に固定した一対の支片27,27(図4では1つのみ図示)に、ピン28で上下に回動自在に支持され、前記支持棒23の長辺部23bが水平に前方へ張り出した状態から、支柱3に平行となる上方への折り畳み状態に回動し得るようになっている。
【0019】また、上記座面シート(座面用布材)26は、図9に示すように、1〜5ミリ好ましくは2〜3ミリの厚さを有する矩形状の布材を使用し、その両側部に前記一対の支持棒23,23に挿通し得る挿通部26aを設けると共に、後部側に前記横棒24に巻き掛けて固定する係止部26bが設けられている。該係止部26bの端部と座面シート26との裏面には、両者を互いに止着自在に結合する自在ファスナー、ホック、スナップ等からなる留具26cが設けられている。
【0020】上記座面シート26は、図9(A)に示すように、前記支持棒23,23に張設される座面域の全面に布面を配した通常の布材26xと、図9(B)に示すように、前記背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切欠き部26dを設けた移乗用布材26yと、図9(C)に示すように、移乗用布材26yと同様な外形形状を有し、中央部に排泄用穴26eを設けたトイレ移乗用布材26zとが備えられ、選択的に前記座面用フレーム25に装着して張設し得るようになっている。
【0021】また、前記着座用椅子7の肘掛け部21は、図4に示すように、前記一対の支片27,27にピン28で上下に回動自在に支持された一対のアーム29、29と、該各アーム29の上面に固定された肘掛け30とからなり、前記支持棒23の上方において水平に前方へ張り出した状態から、支柱3に平行となる上方への折り畳み状態に回動し得るようになっている(図4ではアーム29、肘掛け30は一方のみ図示)。さらに、前記着座用椅子7の背もたれ部22は、パイプを逆U字状に折り曲げて両端側下部を、それぞれ一対の取付片31、31で前記椅子支持フレーム6に固定して、前記支柱3にほぼ平行状に設けた背もたれフレーム32と、該背もたれフレーム32の一対の支持部材32a,32aに張設した背もたれ用布材33とからなっている。
【0022】該背もたれ用布材33は、前記座面シート26と同様な材質、厚さを有する布材を使用し、上方を凸状にして閉じて袋状に形成した布材を扁平にした状態で、前記背もたれフレーム32に開口部側を下にして挿入することにより張設されるようになっている。上記背もたれ用布材33には、そのほぼ中間位置の両側に、前記留具26cと同様な留具で端部を相互に連結することができる一対のシートベルト33a,33bが取り付けられて、着座用椅子7の着座者の胴部を保持するようになっており、また、上方位置には上記着座者の頭部を添えるヘッドレスト33cが固定されている。
【0023】また、前記昇降機構12のねじ軸9は、前記支柱3の一対の案内棒3a,3aの中間においてそれと平行に配置されて、図4に示すように、上端部を支柱3の上端水平部3bに設けた支持部材3cの軸受29に支持され、また、下端部を、脚部フレーム2の後端部と前記支柱3の上端水平部3bとを結合する縦フレーム34の下端部に固定した上下一対の軸受35,36に支持されている。そして、縦フレーム34と前記脚部フレーム2の横部材14とに固定した支台13cに前記電動機8が取り付けられ、その回転軸8aに固定したタイミングプーリ37と、前記軸受35,36の間でねじ軸9に固定したタイミングプーリ38とにタイミングベルト39を巻き掛けられており、電動機8の回転で前記ねじ軸9が軸回りに回転するようになっている。
【0024】前記ねじ軸9に螺合されたナット10は、図8に示すように、下端側にフランジ10aを有し、その上側には、上端が凸球面状の係合面40aを有する円筒部材40が嵌合され、ボルト41によりナット10に一体に固定されている。上記ナット10の上部には、前記椅子支持フレーム6の横棒17に一対の連結板42,42を介して支持した従動ブロック43が位置され、該従動ブロック43の下面に形成された凹球面状の係合面43aが前記ナット10の係合面40aに当接されている。上記従動ブロック43は、その中央には前記ねじ軸9を通す穴43bを有すると共に、前記連結板42に溶接された上板42aの下面42bに上面が当接され、該上板42aにあけた4個の長穴42c内(図7参照)に位置させたカラー43cと座金43dに挿入したボルト43eを介して前記上板42aに取付けられることにより、前記連結板42に支持されている。上記カラー43cの高さは上板42aの厚さより僅かに大きくなっている。
【0025】前記連結板42に固定したナットカバー44の下部フランジ44aと前記ナット10のフランジ10aとの間には、圧縮ばね45が介在されて、常時は、前記従動ブロック43の係合面43aと前記円筒部材40の係合面40aとの当接部における当接状態が圧縮ばね45の弾力で維持されるようになっており、非常時は、圧縮ばね45の弾力に抗して前記従動ブロック43がナット10から離れる方向に相対移動し得るようになっている。前記ナット10、円筒部材40、上板42a、従動ブロック43、圧縮ばね45等によって上記連動連結部11が構成されている。該連動連結部11の構成により、ねじ軸9等の倒れによる偏心荷重は、球面状の係合面40a,43aの相互間の滑りで吸収され、水平面内の偏心荷重等は、従動ブロック43の上面が圧縮ばね45の弾力で前記上板42aの下面42bに当接しながら、前記長穴42cの範囲内で横方向に滑ることにより吸収されるようになっている。
【0026】また、前記円筒部材40の外周には、図5に示すように、直径方向に向けてピン46が固定されており、該ピン46は、前記連結板42,42にねじ軸9の軸方向に向けて長くした長穴42dに挿入され、ナット10のねじ軸9に対する連れ回りを防止すると共に、上記長穴42dの長さ方向の範囲内でナット10とねじ軸9との相対移動を許容している。前記ナットカバー44の側面には、上記相対移動に伴うピン46の移動範囲にわたって、切り欠き部47が設けられている。
【0027】そして、上記ナットカバー44の側面には、上記切り欠き部47の近くにマイクロスイッチ、無接触スイッチ等の相対移動検出器48が取り付けられ、前記ナット10とねじ軸9との相対移動が生じたときに、上記相対移動検出器48がその作動片48aをピン46により接触されて動作するようになっている。なお、図示してないが、電動機8には制御器が接続され、この制御器には上記相対移動検出器48が接続され、相対移動検出器48が動作すると電動機8が停止するようになっている。また、上記制御器には操作スイッチが備えられており、介護者または要介護者が着座用椅子7を適宜に昇降操作することができるようになっている。
【0028】次に、上記のように構成された椅子型床走行リフト1の使用方法について説明する。要介護者が床面に座位でいる状態から立位へその姿勢を変更するのを補助する場合には、通常の布材26xを着座用椅子7に装着した椅子型床走行リフト1を要介護者の背後に移動させ、電動機8を起動して昇降機構12を作動して着座用椅子7を最下降位置まで下げる。要介護者は、自力でまたは介護者の力を借りて臀部を浮かせ、着座用椅子7の座面シート26上に移動させて下肢を伸ばした状態で着座する。そして、上肢を肘掛け部21の肘掛け30に添え、背中を背もたれ部22の背もたれ用布材33に支える。この状態で電動機8で昇降機構12を逆に作動して着座用椅子7を上昇させ、要介護者の座面シート26から下げた足が床面に付く位置で昇降機構12を停止させる。
【0029】ここで、要介護者は、自力でまたは介護者の力を借りて足を床に付けた状態で、背中を背もたれ部22から離して腰を上げ臀部を浮かせて立位姿勢に移る。以後は適宜所要の動作を行う。上記においては、座面シート26の布材は厚さが数ミリ程度の薄いものであるので、要介護者は臀部を高く浮かせる必要がなく、比較的楽に座面シート26の上に移動することができる。
【0030】なお、上記においては、着座用椅子7に張設した状態の座面シート26に要介護者が移動して着座するようにしたが、着座用椅子7から外して床面に敷いた状態の座面シート26に、予め要介護者が下肢を伸ばして臀部を乗せて置いた状態で、椅子型床走行リフト1を要介護者の背後に移動させ、着座用椅子7を最下降位置まで下げて後、椅子型床走行リフト1を要介護者側へ進めながら、座面部20の支持棒23,23に座面シート26の挿通部26aに挿通して、要介護者を着座用椅子7に着座させるようにしてもよい。
【0031】また、ベッドから車椅子に移乗する場合には、要介護者をベッドの側部に着座した状態にし、椅子型床走行リフト1を移動して移乗用布材26yを装着した着座用椅子7の前側を要介護者側に向けて止める。このとき、着座用椅子7の座面シート26の高さはほぼベッドの高さに合わせておく。しかる後、要介護者の足を移乗用布材26yの切り欠き26dに通して臀部を移乗用布材26yに乗せることにより、要介護者は着座用椅子7に対して反対側に向いた(後ろ向き)状態で着座させる。上記の代わりに、予めベッドの側部に敷いた移乗用布材26yに要介護者が切り欠き26dに下肢を位置させて着座した状態で待機し、そこへ椅子型床走行リフト1を移動して着座用椅子7の支持棒23,23を移乗用布材26yの挿通部26a,26aに挿入することにより、着座用椅子7に要介護者を後ろ向きに着座させるようにしてもよい。上記のようにして要介護者が着座用椅子7に着座した状態で車椅子のあるところまで椅子型床走行リフト1を移動して、車椅子の正面に着座用椅子7の正面を向かい合わせる。
【0032】そして、着座用椅子7の座面シート26の高さを車椅子の座面シートの高さより少し高くして、着座用椅子7を車椅子側へ押し込み、両者の座面シートが上下に重なるようにする。この状態で着座用椅子7を下げると、車椅子の座面シートに着座用椅子7の座面シート26が接触し、要介護者の臀部が車椅子の座面シートに乗る。要介護者が車椅子に完全に着座した状態になったときに、着座用椅子7の降下を止めて椅子型床走行リフト1を後退させることにより、要介護者の車椅子への移乗が終わる。車椅子からベッドに移乗する場合には、上記の動作とほぼ逆の動作を行う。上記において、着座用椅子7に要介護者を着座した状態で椅子型床走行リフト1を移動させるときは、必要に応じてヘッドレスト33cに要介護者の頭部を支え、胴部をシートベルト33a,33bで固定する。
【0033】また、ベッドからトイレへ移乗する場合には、要介護者をベッドの側部に後ろ向きに座位の状態にし、椅子型床走行リフト1を移動してトイレ移乗用布材26zを装着した着座用椅子7の前側を要介護者の後ろ側に向けて止める。このとき、着座用椅子7の座面シート26の高さはベッドの高さに合わせておく。しかる後、要介護者を着座用椅子7側へ移動して臀部をトイレ移乗用布材26zに乗せることにより、要介護者は着座用椅子7に対して正面を向いた状態で着座させる。上記の代わりに、移乗用布材26yにより要介護者を後ろ向き状態で着座用椅子7に着座させるときと同様にして、要介護者をトイレ移乗用布材26zにより後ろ向き状態で着座用椅子7に着座させるようにしてもよい。
【0034】上記のようにして、着座用椅子7に要介護者が着座した状態で要介護者用トイレ又は一般用トイレのあるところまで椅子型床走行リフト1を移動して、着座用椅子7の座面シート(トイレ移乗用布材)26zがトイレの便座の上方位置になった状態で停止する。この状態で着座用椅子7を下降させてトイレ移乗用布材26zが上記トイレの便座に乗ったところで下降を停止させると、要介護者はその臀部がトイレ移乗用布材26zを介在した状態でトイレの便座に着座することができる。要介護者が便座に着座した後用便する際は、必要に応じてはトイレ移乗用布材26zを着座用椅子7の支持棒23から外して椅子型床走行リフト1をトイレから待避させておいてもよい。用便後は着座用椅子7を上昇させ便座からトイレ移乗用布材26zを浮かせて椅子型床走行リフト1をベッドまで移動する。要介護者をトイレ移乗用布材26zに着座した状態で椅子型床走行リフト1を移動させるときも、移乗用布材26yに着座して移動するときと同様に、必要に応じてヘッドレスト33cやシートベルト33a,33bを使用する。
【0035】上記において、昇降機構12により着座用椅子7を昇降する場合には、要介護者の体重等による偏心荷重が連動連結部11に作用するが、前記椅子支持フレーム6の案内筒19,19が前記支柱3の案内棒3a,3aに嵌合して支持されていると共に、昇降機構12のナット10と一体の円筒部材40と従動ブロック43とに球面状の係合面40a,43aが形成されているので、前記連動連結部11においてナット10やねじ軸9に曲げモーメントが作用することがなく、したがって、ねじ軸9とナット10との噛み合いが良好でナット10の上下動が円滑に行われ、着座用椅子7の昇降動作を揺れのない安定した状態で円滑に行うことができる。
【0036】また、昇降機構12は、ナット10と椅子支持フレーム6の連結板42に固定したナットカバー44との間にばね45を介在させて、従動ブロック43とナット10とを当接させ、それらが離れる方向に相対移動可能にしているので、常時は、連動連結部11を介してナット10と椅子支持フレーム6との連動が確実に行われ、昇降機構12により着座用椅子7が下降しているとき、座面シート26の下に障害物があるような異常時には、椅子支持フレーム6は下降せず、ナット10のみがばね45の弾力に抗して従動ブロック43から離れて下降するので、電動機8の駆動力が直接に椅子支持フレーム6に作用しない。
【0037】したがって、障害物を椅子支持フレーム6が無理に押し付けることがなく、昇降機構12等が破損することはない。上記の場合、ナット10が従動ブロック43に対して相対移動すると、円筒部材40に固定したピン46が相対移動検出器48を動作させるので、上記異常状態が検知されて電動機8が速やかに停止されるから、昇降機構12等の安全が確保される。
【0038】さらに、着座用椅子7の背もたれ部22にはヘッドレスト33cとシートベルト33a,33bを設けたので、要介護者を着座用椅子7に着席した状態で椅子型床走行リフト1を移動させるとき、必要に応じて該ヘッドレスト33cとシートベルト33a,33bによって要介護者の上半身を固定できるから、要介護者を安全に移動させることができる。なお、椅子型床走行リフト1を移動させるとき、床面に段差がある場合には、ペダル15を踏み込んで後輪4bを支点にして脚部フレーム2の前端部を上げ、前輪(キャスタ)4a,4aが前記段差を乗り越えるようにする。このとき、後輪4bと補助輪4cとで椅子型床走行リフト1を支えて前記段差を乗り越える位置まで容易に前進させることができる。
【0039】また、椅子型床走行リフト1は、脚部フレーム2の幅が座椅子7の幅より僅かに広く形成され、昇降機構12が座椅子7の中央部の背後に近接して設けられて、全体として小型に構成され、かつ、脚部フレーム2の前端部にキャスタが設けられているので、小回りに方向変換ができると共に、廊下等を経て部屋から部屋への移動等が楽にでき、機動性を高めて使用することができる。また、図10に示すように、前記着座用椅子7の座面シート(座面用布材)26と背もたれ部22の背もたれ用布材33とを着座用椅子7から取り外して、座面シート26の下面の両側に設けた筒状部26f,26fと背もたれ用布材33の両側の挿通部33dにパイプPを通して担架として使用することができ、前記座面シート26における各種用途別の座面用布材26x,26y,26zの使用と併せて、機能性に富んだ活用を図ることができる。上記の場合、必要に応じて、背もたれ用布材33の閉鎖側に挿通穴33eを明けてパイプPを突き出すようにしてもよいし、座面シート26の挿通部26a,26aにパイプPを通すようにしてもよい。
【0040】なお、上記実施の形態では、上端面に凸球面状の係合面40aを形成した円筒部材40をナット10と別体に設けたので、係合面40aの摩耗し易い円筒部材40を交換部品として使用でき、表面硬化処理をナット10にまで及ぼさなくて済み好ましいが、必ずしもこれに限定されず、ナット10の上端に直接凸球面状の係合面40aを設けるようにしてもよい。この場合、前記ピン46は該ナット10の外周部に固定するのは勿論である。さらに、凸球面状の係合面40aを前記従動ブロック43に、凹球面状の係合面43aを円筒部材40またはナット10に設けるようにしてもよい。
【0041】また、上記実施の形態では、電動機8の駆動力をタイミングプーリ37,38とタイミングベルト39とによりねじ軸9に伝動するようにしているので、軽量で静粛に動力を伝動できて好ましいが、これに代えて、VベルトとVプーリ、歯車機構、その他の伝動機構を採用してもよい。
【0042】ここで、上記実施の形態では、移乗用布材として、背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切り欠き部26dを設けた移乗用布材26yを用いたが、これに限られることなく、例えば図11に示すように、移乗用布材26yにおいてさらに座面部の前方に向けて張り出す張り出し部26gを設けた移乗用布材26wを用いてもよい。この移乗用布材26wには、座面の安定性を確保するために、布材本体26hと張り出し部26gとにまたがるようにして補強材56が設けられている。この移乗用布材26wを用いる場合には、移乗用布材26yにより要介護者を後ろ向き状態で着座用椅子7に着座させるときと同様にして、要介護者を後ろ向き状態で着座用椅子7に着座させる。そして、椅子型床走行リフト1から車椅子への移送の際には、図12に示すように、椅子型床走行リフト1の正面を車椅子51の正面と向かい合わせて近接配置して、張り出し部26gを車椅子51の座面シート52上に載せてオーバーラップさせる。この状態で、張り出し部26gのオーバーラップ部26iに要介護者を移動させ、その後に椅子型床走行リフト1を後退させて張り出し部26gを要介護者の下から引き抜くことで、要介護者を車椅子51に移送する。また、車椅子51から椅子型床走行リフト1への移送の際には、椅子型床走行リフト1の正面を車椅子51の正面と向かい合わせて近接配置して、要介護者と車椅子51の座面シート52との間に張り出し部26gを差込んで張り出し部26gを座面シート52にオーバーラップさせる。この状態で、要介護者を張り出し部26g上で移動させて移乗用布材26wに深く着座させ、その後に椅子型床走行リフト1を後退させることで、要介護者を椅子型床走行リフト1に移送する。このように、移乗用布材として張り出し部26gを有する移乗用布材26wを用いることで、椅子型走行リフト1と車椅子51との間の移送の際に、着座者の体が張り出し部26gによって車椅子51の座面シート52上、または移乗用布材26w上に案内されるので、着座者の移送をスムーズかつ容易に行うことができる。
【0043】また、上記実施の形態において、座面用フレーム25の支持棒23、23の代わりに、図13に示すように、椅子支持フレーム6(図13では図示せず)に基端部が支持されて自由端側を前方に突き出された状態で固定的に設けられるガイド部56、56と、ガイド部56、56に対して前後方向にスライド移動可能に設けられて、座面用布材26が装着されるスライド部57、57とを有する構成としてもよい。スライド部57、57は、それぞれ内部にガイド部56、56が挿通される筒形状をなしており、ガイド部56、56の外面とスライド部57、57の内面とは互いに摺動可能とされている。また、ガイド部56、56は、それぞれ一側面に長手方向(前後方向)に沿ってガイド溝58が形成されており、スライド部57、57は、それぞれ内面側にガイド部56のガイド溝58と係合されて、ガイド部56の長手方向へのスライド部57のスライド移動を許容しつつ、スライド部57の脱落を防止する係合ピン59が突出状態に設けられている。この構成では、例えば車椅子との間で要介護者の移乗を行う際に、ガイド部56、56に対してスライド部57、57を前方にスライドさせることで、座面部20だけを前方に移動させて、車椅子の座面シートにさらに近接させることができ、これらの間での要介護者の移送が容易になる。
【0044】また、上記実施の形態において、着座用椅子7の背もたれ側の下部に、着座者の下肢が接触したことを検知する接触検出器61を設けた構成としてもよい。接触検出器61は、例えば図14(a)の側断面図、及び図14(b)の下面図に示すように、着座用椅子7の座面部20を構成する横棒24に、ステー62等によって横棒24よりも下方に突出させて取り付けられるものであって、例えば着座者の下肢が触れることで接点が接触または開放されるリミットスイッチが用いられる。このように構成することで、図15に示すように、着座者を着座用椅子7に対して後ろ向きで着座させ、着座者の足先が床面Fに達した後もさらに着座用椅子7を下降させても、座面部20に設けられた接触検出器61によって着座者の下肢の接触が検知され、昇降機構12の電動機8が停止し、着座者の下肢の保護を図る。ここで、接触検出器61を電動機8を制御する制御器に接続して、接触検出器61が動作すると電動機8が停止する構成が採用されている。
【0045】
【発明の効果】以上説明のように、請求項1に記載の発明は、脚部フレームに支柱が立設され車輪により移動するリフト本体と、上記支柱に昇降自在に支持されている椅子支持フレームと、該椅子支持フレームに取り付けられている着座用椅子と、電動機でねじ軸を回転させ該ねじ軸に螺合されたナットを上下動させることにより、連動連結部を介して前記椅子支持フレームを昇降させる昇降機構とを設けた椅子型床走行リフトにおいて、前記着座用椅子は、座面部と、該座面部の少なくとも一側の上方位置に配置した肘掛け部と、着座面部の後方側において上方に向けて設置した背もたれ部とを備えた構成としている。
【0046】上記構成の椅子型床走行リフトによれば、昇降機構のねじ軸によりナットが駆動され、椅子支持フレームが支柱に沿って円滑に昇降されるので、着座用椅子の座面部が揺れたりすることがないから、要介護者の移乗、姿勢変更が容易に行え、要介護者の移動も身体を安定した状態にして安全に、かつ、機動的に行うことができる。
【0047】請求項2に記載の発明によれば、ナットと従動ブロックの凸球面状の係合面が当接する連動連結部を介して椅子支持フレームが昇降されるので、着座用椅子に移乗した要介護者の体重が偏心荷重として連動連結部に作用しても、ねじ軸に不都合な曲げモーメントが作用しないから、ナットの昇降駆動が円滑に行われ、着座用椅子の昇降を円滑に行うことができる。
【0048】請求項3に記載の発明によれば、ナットと従動ブロックは当接位置から互いに離れる方向への相対移動が自由になっているので、着座用椅子の下降中、座面部の下の障害物によりそれ以上着座用椅子が下降しなくなった場合、ナットのみが従動ブロックから離れて下降するから、着座用椅子が障害物を押さえて無理に下降をすることがなく、昇降機構等が破損するのを防止することができる。
【0049】請求項4に記載の発明によれば、連動連結部のナットと椅子支持フレームとの間に設けたばねにより従動ブロックが常時ナットに当接するように付勢されているので、着座用椅子の昇降に際し従動ブロックとナットとの当接が常時確実に行われて、着座用椅子の昇降駆動を円滑に行うことができる。
【0050】請求項5に記載の発明によれば、連動連結部におけるナットと従動ブロックとの互いに離れる方向への相対移動を相対移動検出器で検知することにより、着座用椅子の座面部の下に障害物があることが確実に検知されるので、昇降機構の電動機の停止等の操作を速やかに行って昇降機構等の安全を図ることができる。
【0051】請求項6に記載の発明によれば、所要時に座面部と肘掛け部とを椅子支持フレームに対して旋回させて、背もたれ部に沿う上方への折り畳むことができるので、着座用椅子が小型にまとめられ、不使用時の椅子型床走行リフトの移動、運搬や格納を容易に行うことができる。
【0052】請求項7に記載の発明によれば、着座用椅子の背もたれ部に設けたシートベルトとヘッドレストとの少なくとも一方により、自力で着座用椅子に身体をしっかり保持できない要介護者に対してもその身体を着座用椅子に確実に保持でき、要介護者が着座した椅子型床走行リフトの移動も安心して行うことができる。
【0053】請求項8に記載の発明によれば、着座用椅子の座面部が、椅子支持フレームに支持された座面用フレームの一対の支持棒間に着脱自在に座面用布材を張設されて構成され、また、背もたれ部が、前記椅子支持フレームに固定され背もたれフレームの上方に延長された一対の支持部材に着脱自在に背もたれ用布材を張設されて構成されるので、上記座面部や背もたれ部の構造が軽量、簡単になると共に、上記支持棒や支持部材から取り外した座面用布材、背もたれ用布材はそれらの両側にパイプを通して担架として使用することができ、必要に応じて洗濯、消毒が簡単に行うことができて便利である。
【0054】請求項9に記載の発明によれば、座面用布材として、通常の布材と、移乗用布材と、トイレ移乗用布材とが備えられ、選択的に支持棒を介して座面部に装着できるので、椅子型床走行リフトを使用して要介護者の多種多用な姿勢変更を容易に行え、機能性に富んだ椅子型床走行リフトの活用を図ることができる。
【0055】請求項10に記載の発明によれば、座面用布材(移乗用布材)を、背もたれ側の両側に両下肢を挿入する切欠き部が設けられ、座面部の前方に向けて張り出す張り出し部が設けられ、かつ布材本体と張り出し部とにまたがるように補強材が設けられた構成としたので、椅子型床走行リフトと車椅子との間の移乗の際には、椅子型床走行リフトの正面を車椅子の正面と向かい合わせて近接配置し、張り出し部を車椅子の座面シート上に載せてオーバーラップさせることで、着座者の体が張り出し部によって車椅子の座面シート上、または移乗用布材上に案内されるので、着座者の移送をスムーズかつ容易に行うことができる。
【0056】請求項11に記載の発明によれば、座面用フレームの支持棒は、椅子支持フレームに基端部が支持されて自由端側を前方に突き出された状態で固定的に設けられるガイド部と、ガイド部に対して前後方向にスライド移動可能に設けられて、座面用布材が装着されるスライド部とを有する構成としたので、例えば車椅子との間で要介護者の移乗を行う際に、ガイド部に対してスライド部を前方にスライドさせることで座面部だけを前方に移動させて、車椅子の座面シートにさらに近接させることができ、これらの間での要介護者の移送が容易になる。
【0057】請求項12に記載の発明によれば、座面部の背もたれ側の下部に、着座者の足が接触したことを検知する接触検出器を設けたので、着座者を着座用椅子に対して反対側に向いた状態で着座させ、着座者の足先が床面に達した後もさらに着座用椅子を下降させても、座面部に設けられた接触検出器によって着座者の下肢の接触が検知されて昇降機構の電動機が停止し、着座者の下肢の保護を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】593147405
【氏名又は名称】株式会社江藤製作所
【出願日】 平成12年8月30日(2000.8.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2001−137297(P2001−137297A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願2000−261961(P2000−261961)