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【発明の名称】 褥瘡防止ベッド
【発明者】 【氏名】西岡 英也
【課題】体圧の完全分散を自動的に行う事が出来ると共に寝返り機能をも兼ね備えた褥瘡防止ベッドを実現する事。

【解決手段】体圧を分散して支える為に、ベット臥床面に沿って縦横に配列された複数個の夫々独立した支持体が、夫々上下に移動し得る機構を備え、支持体下部に軸を水平にして取付けられた動滑車と、これに対応してベッドフレーム側に軸を水平にして動滑車と、同一平面になる如く取付けられた定滑車との間に、複数個の支持体に共通する張力伝達用ワイヤを張り、外部からワイヤに与えられる張力と、支持体に与えられる体圧とが平衡する位置に個々の支持体が自動的に保持される如く動作する制御方式を採用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 体圧を分散して支える為に、ベッド臥床面に沿って縦横に配列された複数個の夫々独立した支持体が、夫々上下に移動し得る機構を備え、支持体下部に軸を水平にして取付けられた動滑車と、これに対応してベッドフレーム側に軸を水平にして動滑車と同一平面になる如く取付けられた定滑車との間に、複数個の支持体に共通する張力伝達用ワイヤを張り、外部からワイヤに与えられる張力と、支持体に与えられる体圧とが平衡する位置に個々の支持体が自動的に保持される如く動作する褥瘡防止ベッド。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は褥創防止ベッドの構成方式に関する。
【0002】
【従来の技術】臥床者が自力で寝返りを打つ事の出来ない場合は、体圧が過大にかかる身体部位にうっ血を生じ、更には壊死を起こすに至る所謂褥瘡が発生する。この褥瘡を防ぐには臥床時の体圧の分散を図る事が必要となる。この為に従来実用化されているベッドには、流体を主要支持体として利用する事により体圧の分散化を図る方式のものと、通常のバネ特性を持った固体を支持体とし、支持部位を時間的に変化させて過大な体圧のかかる部位を移動させ、同一部位に対する圧迫継続時間を短くする時間差方式のものとがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】褥瘡が発生しない為には、床と体との接触圧即ち体圧が毛細血管の血流を阻害しない30mmHg以下に保たれなければならない。流体を直接支持体として使用する場合、比重が人体より大なる液面に人体が直接浮いている場合は流体力学の原理により、流体と人体との接触面に於ける圧力即ち体圧は均等になる。然し実際のベッドとして使用する場合は、適当な弾性と剛性とを併せ持った材料によって流体を閉じ込めたものの上に人体が乗る形となり、体圧の分散はこの被覆材の特性よって左右され、体圧分布の均等化は大きく損われる。流体として空気を使用する場合も同様である。この為流体を用いる方式に於ても、時間により支持点を変える時間差方式を加味している。一方バネ性を持った固体を支持体とする場合は支持部位の時間的な移動により同一部位での圧迫継続時間を軽減する時間差方式が専ら採用されている。本発明は個々の支持体にかかる体圧を、滑車を用いた張力機構で支えてその張力を制御し、機能している個々の弾性支持体にかかる体圧を、所定の適正値に自動的に調整する事により、直接的に体圧の完全分散を実現せしめ、褥瘡の原因を根本から取除く事を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】臥床面に縦横に配列される支持体は、隣接支持体との干渉を無くして、夫々独立して体圧に対応する如く構成する事が体圧の分散を正確に行う為に必要である。この為支持体は隣接干渉を生じない程度の隙間を隔てて配列される。そして張力制御による体圧の平衡機構は、支持体毎に独立して設けられる。又通常のベッドが支持体の上に全面に拡がるマット状の緩衝材を介して人体を支えるのに対し、本発明に於ては、支持体自体が直接人体を支える構造を採用している為、夫々の支持体上面に適当な硬度と弾性を有する支持板を設けてある。
【0005】
【発明の実施の形態】臥床面に沿って縦横に配列された支持体は夫々自由に上下に移動し得る機構を介してベッドフレームに取付けられ、夫々の支持体下部に軸を水平にして取付けられた動滑車と、これに対応してベッドフレーム側に軸を水平にして動滑車と同一平面になる如く取付けられた定滑車との間に、複数個の支持体に共通する張力伝達用ワイヤを張り、このワイヤに張力を与える駆動源としてのモーターと張力検出センサを設け、張力検出センサー出力で張力源となるモーターを制御し、ワイヤに所定の張力を与える形態をとる。
【0006】
【実施例】以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
【0007】図1は本発明によるベッドの平面図、図2は長手方向の側面図、図3は張力による体圧の平衡機構の正面図である。
【0008】図1に於て支持体1は臥床面に沿って多少の隙間を以て縦横に配置されている。これ等の支持体は夫々上下方向に自由に動き得るリニアスライド機構2を介してベッドの長手方向に延伸した縦梁3に結合される。ベッドの巾方向に配列された縦梁3は夫々の両端部の上面に於てベッドの巾方向に延伸する2本の横梁4に結合される。この様に構成された縦梁3と横梁4との結合体がベッドにかかる全荷重を支えるベッドフレームを形成する。支持体1の下部には動滑車5が取付けられ、これに対応する定滑車6は縦梁3に取付けられる。これ等の機構の位置関係を図2に示す。
【0009】図3に於て支持体1はその下端部でリニアスライド機構2のスライダに取付けられ、縦梁3の側面に垂直に取付けられたリニアスライド機構2のレールに沿って上下に自由に移動する事が出来る。リニアスライド機構2のスライダ下端部には動滑車5が軸を水平且つ縦梁3の延伸方向に直角となる如く取付けられる。これに対応する定滑車6は軸を動滑車5と平行にし且つ動滑車と同一平面になる如く縦梁3に取付けられる。支持体1にかかる体圧と平衡する為の張力を与えるワイヤ7は複数個の動滑車5と定滑車6を交互に経由して一端がベッドフレームに固定され、他端が張力を与える駆動源としてベッドフレームに取付けられたモーター8の出力軸に直結されたワイヤドラム9に巻取られる。ワイヤ7はワイヤドラム9から張力検出用の動滑車10を経て最初の定滑車6に導かれる。
【0010】動滑車10はリニアスライド機構11のスライダに取付けられ、最初の定滑車6を取付けた縦粱3の側面に垂直に取付けられたリニアスライド機構11のレールに沿って上下に自由に移動する事が出来る。リニアスライド機構11のスライダにはモーター12が軸を水平且つ縦梁3の側面に垂直な方向に取付けられ、図には示されていないがモーター12の軸に取付けられたピニオンがリニアスライド機構11のレールに取付けられたラックと結合し、モーター12に通電する事により動滑車10を下方に引下げてワイヤ7に張力を与える。
【0011】図には示されていないがリニアスライド機構11のスライダにはスライダの全行程の中央に於て出力が零となる両極性の位置センサーが取付けられ、その出力によってモーター8を制御して、張力検出用の動滑車10がこれに与えられた張力に於て常にリニアスライド機構11のスライダ全行程の中央付近に来る様に自動的に制御される公知の閉ループサーボ制御方式を本実施例では採用している。この為モーター8には直流サーボモーターを使用している。又モーター12にも直流サーボモーターを使用し、定電流駆動により動滑車10の位置如何に拘らず一定の張力が与えられる方式を使用している。
【0012】この様にしてワイヤ7に与えられた張力と個々の支持体1に与えられた体圧とが平衡して臥床した人体が支えられる。若しすべての支持体を1組のワイヤで支持するとすれば滑車の力学から1組の滑車はワイヤ7の張力の2倍の荷重を支えるので(機能支持体数)×(ワイヤ7の張力)×2=体重となり、1支持体当りの体圧はワイヤの張力の2倍に均等化され、完全な体圧分散が実現出来ると共に1支持体当りの体圧を任意の値に設定出来る。ここに機能支持体数とは実際に臥床者の体圧を受けている支持体の数である。本実施例では図1に示す如く1辺50mmの正方形の支持体を5mmの隙間を設け、縦32列、横16列、計512個配列しているので実際に体圧を受けている支持体数即ち機能支持体数は全数の約30〜50%程度となる。
【0013】本実施例では図1に示す如く張力を与える駆動源としてのモーター8を2組使用し、ワイヤ7を左右2組に分けて構成している。これは体圧の完全分散機能の他に併せて寝返り機能を与える為のもので左右の張力を変化させて臥位を任意に変化させる事が出来る。尚ワイヤの分割数は本実施例の2に限定するものではなく、使用条件の高度化により更に増加させる事も出来るし、ワイヤ使用の形態も本実施例の如く縦方向えの展張に限定するものではなく、横方向えの展張形態を採る事も出来る。
【0014】ワイヤ7の張力制御方式としては本実施例に示すものに限らず公知の各種制御方式が適用可能である。支持体1の構造は本実施例に限定するものではなく人体接触部に適当なバネ構造若しくは弾性支持部材を使用する事が出来る。又その配列も本実施例の如き同一寸法の縦横配置に限定するものではなく、用法に応じた自由な形状と配列が可能である。梁の構成も実施例に限定される事なく自由な構成が可能である。支持体の上下動機構も実施例のリニアスライド機構に限定されるものではなく、低摩擦で上下に移動し得る機構を自由に採用する事が出来る。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、体圧の完全な分散を任意の設定値に於て実現出来ると共に、寝返り機能をも兼ね備え、褥瘡の原因を根本から取り除く褥瘡防止ベッドを実現する事が出来る。尚本実施例に於ては臥位の変化に応じての体圧分散応答速度は約1分である。
【出願人】 【識別番号】599044869
【氏名又は名称】西岡 英也
【出願日】 平成11年9月28日(1999.9.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−95856(P2001−95856A)
【公開日】 平成13年4月10日(2001.4.10)
【出願番号】 特願平11−311397