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【発明の名称】 スリングマット
【発明者】 【氏名】森島 勝美

【要約】 【課題】普段は床ずれ軽減用のマットとして使用できる。要介護者を吊り上げるときには手間と時間がかからずスムースに行えるとともに、締付感が小さく、安定感・安心感を与えることができる。

【解決手段】スリングマット1には、床ずれを軽減可能なクッション性を有する嵩高なマット本体2が使用され、その裏面に補強帯3を縫い付けることにより吊り上げ可能な強度に補強されている。補強帯3には、介護用リフト40に連結可能な複数の環状のストラップ5,6が一体形成されている。ストラップ5,6には、介護用リフト40の掛止部41に連結させるための連結ベルト10が着脱可能に取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 床ずれを軽減可能なクッション性を有する嵩高なマット本体の裏面を補強帯により吊り上げ可能な強度に補強し、該補強帯に介護用リフトに連結可能な複数の連結部を設けたことを特徴とするスリングマット。
【請求項2】 前記連結部は、前記補強帯を延出して一体形成した環状のストラップである請求項1記載のスリングマット。
【請求項3】 前記ストラップは、前記マット本体の縁から外部へ突出させたときでもその突出長が40cm未満である請求項1記載のスリングマット。
【請求項4】 前記ストラップに着脱可能に掛止するフックを備えた連結ベルトを該フックにより取り付け、該ストラップを連結ベルトを介して前記介護用リフトに連結させるようにした請求項2又は3記載のスリングマット。
【請求項5】 前記連結ベルトは、ベルト長を連続的に加減調整する長さ調整機構を備える請求項4記載のスリングマット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、病人、高齢弱者等の要介護者を吊り上げる際に使用するスリング部材に関し、詳しくは、新たにマットを使用したスリングマットに係るものである。
【0002】
【従来の技術】要介護者をベッド、車椅子、便座、風呂等の相互間で移動させる場合、図6及び図7に示すような介護用リフト40とスリングシート50とを使用して、要介護者を吊り上げている。このスリングシート50は、要介護者30の背中を支える背受け部51と、背受け部51の下端で二股に分かれて要介護者30の大腿部を包む脚受け部52とが、ポリエステル布又はナイロン製メッシュにより形成されてなる薄手のものである。背受け部51の左右上端及び脚受け部52の左右下端には、それぞれ介護用リフト40の掛止部41に引掛けるためのストラップ53が設けられている。54は背受け部51に取り付けられた取っ手である。
【0003】例えばベッドに横たわった要介護者30を吊り上げるときには、要介護者30に横にずれてもらったり要介護者30を一部ずつ持ち上げたりして、要介護者30の背中の下にスリングシート50を拡げて敷き、脚受け部52を要介護者30の大腿部に巻いて股間から出し、要介護者30の背中を起こし、ストラップ53を介護用リフト40の掛止部41に引掛け、介護用リフト40を作動させる、という手順で行う。
【0004】各ストラップ53にはストラップ長方向の2〜3位置に引掛部位53aが設けられていて、これらの引掛部位53aを選択して掛止部41に引掛けることにより、各ストラップ53の長さを2〜3段階に調整し、もって要介護者の吊り上げ姿勢を調整するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のスリングシート50には、次のような問題があった。
■ 上記の通り、ベッドに横たわった要介護者30を吊り上げるときには、要介護者30の背中の下にスリングシート50を拡げて敷く際に要介護者30の姿勢移動が必要なため、スムースに行かないことがあり手間も時間もかかる。
■ ポリエステル布又はナイロン製メッシュよるなる薄手のスリングシート50では、要介護者を吊り上げたときに、背中ないし胴体側部と大腿部とを締め付ける反面、スリングシート50自体は薄手ゆえに剛性感が無いため、要介護者にとって締付感が大きいともに不安定感・不安感を与える。
■ スリングシート50は、吊り上げのための専用品であり、不使用時には他に使い道が無い。
■ ストラップ53の引掛部位53aの選択により、ストラップ53の長さを2〜3段階に調整することはできたが、それではまだ段階が粗すぎて、要介護者の吊り上げ姿勢をベストに調整することができないことがあった。
【0006】そこで、本発明の目的は、上記問題を解決することができるスリングマットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のスリングマットは、床ずれを軽減可能なクッション性を有する嵩高なマット本体の裏面を補強帯により吊り上げ可能な強度に補強し、該補強帯に介護用リフトに連結可能な複数の連結部を設けたことを特徴とする。
【0008】マット本体は、特に限定されないが、毛足の長いパイルを有するムートン調のマット本体や、内部クッション材を表布で包んで縫い合わせたキルティング調のマット本体等を例示できる。
【0009】補強帯は、特に限定されないが、高強度の織布や、可撓性のある樹脂よりなるものを例示できる。
【0010】連結部は、特に限定されないが、補強帯を延出して一体形成した環状のストラップや、補強帯とは別体に形成したリング部材を例示できる。
【0011】ストラップは、マット本体の縁から外部へ突出させたときでもその突出長が40cm未満であることが好ましく、20cm未満であることがさらに好ましい。
【0012】ストラップに着脱可能に掛止するフックを備えた連結ベルトを該フックにより取り付け、該ストラップを連結ベルトを介して前記介護用リフトに連結させるようにすることが好ましい。
【0013】連結ベルトは、ベルト長を連続的に加減調整する長さ調整機構を備えることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施形態例のスリングマットについて、図1〜図5を参照して説明する。このスリングマット1は、床ずれを軽減可能なクッション性を有する嵩高なマット本体として、図3及び図4に示すように、毛足の長いパイルを有するムートン調のマット本体2を使用している。図3のマット本体2は長さ1000mm前後、幅700mm前後、厚さ10〜40mmのものであり、図4のマット本体2は長さのみを1300mm前後と長くしたものであり、寸法はさらに変更可能である。
【0015】マット本体2は、その裏面の四辺付近と中央部(例えば略対角線部位)とに、高強度の織布よりなる補強帯3を縫い付けることにより、吊り上げ可能な強度に補強されている。また、補強帯3には、介護用リフト40に連結可能な複数の連結部として、該補強帯3を延出して一体形成した環状のストラップ5,6が設けられている。5は肩側の左右二つのストラップであり、マット本体2の縁から外部へ突出させたときの突出長は10〜20cmである。6は脚側の左右二つのストラップであり、マット本体2の縁から外部へ突出させたときの突出長は5〜15cmである。
【0016】図5は、ストラップ5,6を介護用リフト40の掛止部41に連結させるための高強度の織布よりなる連結ベルト10を示している。図5(a)に示すように、連結ベルト10の一端にはその端部を折り返し縫い付けてなるループ11が形成され、他端にはその端部を「日」字状の止め具12の中央部に通して折り返し縫い付けることにより該止め具12が取り付けられている。図5(b)に示すように、この止め具12に連結ベルト10を一端側から通して折り返し部13を作り、この折り返し部13の長さを変えることにより、ベルト長を連続的に加減調整できるようになっている。折り返し部13には、ストラップ5,6に着脱可能に掛止するフック14が取り付けられ、該フック14はストラップ5,6に着脱可能に掛止される。
【0017】このスリングマット1によれば、次のような作用・効果が得られる。
■ 床ずれを軽減可能なクッション性を有する嵩高なマット本体2を使用しているので、普段、要介護者30はこのスリングマット1を図2に示すようにベッド45(あるいは畳や床)に敷いてその上に横たわることにより床ずれ軽減用のマットとして使用することができる。このとき、連結ベルト10はストラップ5,6からフック14を取り外して分離し、邪魔にならないようにできる。
【0018】■ そして、このようにスリングマット1に横たわった要介護者30を吊り上げるときには、各ストラップ5,6に連結ベルト10をフック14により取り付け、スリングマット1とともに要介護者30の背中を起こし、連結ベルト10のループ11を介護用リフト40の掛止部41に引掛けて連結し、介護用リフト40を作動させればよい。従来のように、要介護者30に横にずれてもらったり要介護者30を一部ずつ持ち上げたりする必要がないので、要介護者30の姿勢移動が少なくて済むとともに、スムースに行き、手間と時間がかからない。
【0019】■ また、要介護者30を吊り上げたときに、クッション性を有する嵩高なマット本体2は、従来の薄手のスリングシート50で吊り上げたときと比べて、より優しく背中ないし胴体側部を包み込むとともにしっかりとした感じで背中や腰を支えるため、要介護者30にとって締付感が小さいとともに安定感・安心感を与えることができる。
【0020】■ また、マット本体2は補強帯3により吊り上げ可能な強度に補強されており、その補強帯3にストラップ5,6が設けられているので、強度面の心配もない。
【0021】■ ストラップ5,6を、マット本体2の縁から外部へ突出させたときでもその突出長が30cm未満となるようにすることにより、普段、床ずれ軽減用のマットとして使用するときにストラップ5,6が邪魔にならない。
【0022】■ その突出長の短いことは、連結ベルト10を介して介護用リフト40に連結させるようにすることにより、簡単に補うことができる。
【0023】■ その連結ベルト10に長さを連続的に加減調整する長さ調整機構を設けたことにより、吊り上げたときの要介護者30の吊り上げ姿勢を従来より細かく調整することができ、ベストな吊り上げ姿勢を得ることができる。
【0024】なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
【0025】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明に係るスリングマットによれば、普段は床ずれ軽減用のマットとして使用することができ、要介護者を吊り上げるときには手間と時間がかからずスムースに行うことができるとともに、要介護者にとって締付感が小さいとともに安定感・安心感を与えることができる、という優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】393029929
【氏名又は名称】株式会社モリトー
【出願日】 平成11年9月24日(1999.9.24)
【代理人】 【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
【公開番号】 特開2001−87324(P2001−87324A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−271460