| 【発明の名称】 |
車椅子車輪の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐野 明
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| 【要約】 |
【課題】車椅子で上り坂と共に下り坂を走行するときの労力を軽減することができる車椅子車輪の制御装置を提供する。
【解決手段】車椅子本体11の両側に、固定軸12、13を介してそれぞれ取付けられた車輪14、15の回転を制御する車椅子車輪の制御装置10であって、固定軸12、13に取付けられた第1の一方向クラッチ25及び第1の一方向クラッチ25の外側に固着された円筒状の摩擦リング26と、車輪14、15のハブ22と摩擦リング26との間に設けられたブレーキ手段27と、ブレーキ手段27を外部から操作する操作手段43とを有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車椅子本体の両側に、固定軸を介してそれぞれ取付けられた車輪の回転を制御する車椅子車輪の制御装置であって、前記固定軸に取付けられた第1の一方向クラッチ及び該第1の一方向クラッチの外側に固着された円筒状の摩擦リングと、前記車輪のハブと前記摩擦リングとの間に設けられたブレーキ手段と、前記ブレーキ手段を外部から操作する操作手段とを有することを特徴とする車椅子車輪の制御装置。 【請求項2】 請求項1記載の車椅子車輪の制御装置において、前記ブレーキ手段は、相互にバネによって付勢され、自由状態では前記摩擦リングの外側に隙間を有して配置され、しかも半径方向外側には所定幅の溝部と第1の幅広凹部が形成された複数の分割ブレーキシューと、内側には第2の幅広凹部が形成されて前記複数の分割ブレーキシューを配置し、前記ハブに対して回転可能に設けられた回動ハウジングと、前記各分割ブレーキシューの第1の幅広凹部と対応する前記第2の幅広凹部との間にそれぞれ嵌入する転動ローラとを有し、さらに、前記第1、第2の幅広凹部によって形成されるそれぞれのローラ収納空間の半径方向の幅が一回転方向に対して徐々に狭くなっており、前記回動ハウジングに対して、前記操作手段による回動操作を行うことによって、前記回動ハウジング及び前記転動ローラを所定方向に回動させ、前記各分割ブレーキシューを前記摩擦リングに押圧してブレーキをかけることを特徴とする車椅子車輪の制御装置。 【請求項3】 請求項1又は2記載の車椅子車輪の制御装置において、前記操作手段は、前記車輪の外側に設けられたハンドリムを備え、該ハンドリムを一方向に回動させることによって前記車輪にブレーキをかけることを特徴とする車椅子車輪の制御装置。 【請求項4】 請求項1又は2記載の車椅子車輪の制御装置において、前記操作手段は、前記ブレーキ手段とは離れた位置に配置された第1のハンドグリップと、左右の前記ブレーキ手段と前記操作手段を連動して作動させる第1の連結手段を有することを特徴とする車椅子車輪の制御装置。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の車椅子車輪の制御装置において、前記固定軸には、前記固定軸と前記ハブを第2の一方向クラッチを介して連結する歯車クラッチと、前記歯車クラッチの連結及び連結解除を行う切替え手段が設けられ、前記切替え手段によって前記歯車クラッチを連結し、車椅子の移動方向を一方向に制限することを特徴とする車椅子車輪の制御装置。 【請求項6】 請求項5記載の車椅子車輪の制御装置において、前記切替え手段は、前記固定軸の外側端部に設けられたハンドルと、該ハンドルが一方側に取付けられ他方側にはそれぞれ対向配置された凹部と凸部が位相を変えて形成され、前記凸部に安定座が設けられた立体カムが形成された操作軸と、前記立体カムに当接して前記歯車クラッチの外歯車の軸方向の進退を行う操作部材と、該操作部材を前記立体カムに押圧するスプリングとを有し、前記ハンドルを所定角度だけ回動して前記歯車クラッチの入切を行うことを特徴とする車椅子車輪の制御装置。 【請求項7】 請求項5記載の車椅子車輪の制御装置において、前記切替え手段を操作する切替え操作手段は、前記切替え手段とは離れた位置に配置された第2のハンドグリップと、左右の前記切替え手段と前記切替え操作手段を連動して作動させる第2の連結手段を有することを特徴とする車椅子車輪の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車椅子のハブに取付けられる車椅子車輪の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、車椅子には、車椅子の操作を搭乗者が自ら行う自走式、補助者が車椅子の後方から押す介助式、及び自走式と介助式を兼用した複合式のものがあった。自走式の車椅子は、通常、座席を支持するフレームの左右両側にそれぞれ走行用の車輪を設け、車輪の外側には、車輪より小さい直径のハンドリムを設け、手でハンドリムを回転させることにより車輪を回転させるようにしている。そして、フレームの前側にはキャスター付きの補助車輪を設け、フレームの側面には車椅子の停止時に使用するパーキングブレーキ装置を備えている。また、介助式の車椅子は、搭乗者が操作するハンドリムが省略されているが、背もたれの左右のフレームの上端部にはそれぞれハンドグリップが設けられ、車椅子を後方から押すことができるようになっている。さらに、ハンドグリップには、ブレーキが設けられ補助者がブレーキをかけて車椅子を停止することができるようになっている。そして、複合式の車椅子は、搭乗者が操作するハンドリムと共に、補助者が操作可能なハンドグリップ及びブレーキが設けられている。例えば、上り坂で車椅子を使用する場合、自走式の場合には、パーキングブレーキを使用して休憩しながら上っていた。一方、介助式の場合には、補助者がブレーキをかけながら上っていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の車椅子では、自走式の場合には、搭乗者がハンドリムから手を離してパーキングブレーキをかけ、再度パーキングブレーキを解除してハンドリムを回すという動作を繰り返すため疲労が大きかった。また、介助式の場合には、搭乗者の体重と車椅子の重量が負担になるため、やはり疲労が大きかった。本発明者は、この問題点を解決するために車椅子の逆行防止装置を発明した。この逆行防止装置は、上り坂では、一方向クラッチを使用して車椅子の逆行防止を行うものであるが、操作ハンドルをねじ込んで一方向クラッチの使用、不使用を切替える方式であったため、切替えに多少時間がかかっていた。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、車椅子で上り坂及び下り坂を走行するときの労力を軽減することができる車椅子車輪の制御装置を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に係る車椅子車輪の制御装置は、車椅子本体の両側に、固定軸を介してそれぞれ取付けられた車輪の回転を制御する車椅子車輪の制御装置であって、前記固定軸に取付けられた第1の一方向クラッチ及び該第1の一方向クラッチの外側に固着された円筒状の摩擦リングと、前記車輪のハブと前記摩擦リングとの間に設けられたブレーキ手段と、前記ブレーキ手段を外部から操作する操作手段とを有する。このように構成することによって、例えば、車椅子で坂道を下るときには、操作手段によってハブと摩擦リングの間に設けられたブレーキ手段を作動させてブレーキをかけることができ、また、第1の一方向クラッチが設けられているので、ブレーキをかけて停止した状態から後退することもできる。 【0005】ここで、前記ブレーキ手段には、相互にバネによって付勢し、自由状態では前記摩擦リングの外側に隙間を有して配置し、しかも半径方向外側には所定幅の溝部と第1の幅広凹部を形成した複数の分割ブレーキシューと、内側に第2の幅広凹部を形成して前記複数の分割ブレーキシューを配置し、前記ハブに対して回転可能に設けた回動ハウジングと、前記各分割ブレーキシューの第1の幅広凹部と対応する前記第2の幅広凹部との間にそれぞれ嵌入する転動ローラとを設け、さらに、前記第1、第2の幅広凹部によって形成するそれぞれのローラ収納空間の半径方向の幅を一回転方向に対して徐々に狭くしており、前記回動ハウジングに対して、前記操作手段による回動操作を行うことによって、前記回動ハウジング及び前記転動ローラを所定方向に回動させ、前記各分割ブレーキシューを前記摩擦リングに押圧してブレーキをかけることも可能である。分割ブレーキシューが転動ローラより内側にあるので、転動ローラの転動距離を大きくしてブレーキ手段の動きを滑らかにすると共に、ブレーキ手段の大きさをコンパクトにすることができる。 【0006】また、前記操作手段に、前記車輪の外側に設けられたハンドリムを備え、該ハンドリムを一方向に回動させることによって前記車輪にブレーキをかけることもできる。このように構成することによって、自走式の車椅子のハンドリムから手を離さずにブレーキをかけることが可能となる。さらに、前記操作手段に、前記ブレーキ手段とは離れた位置に配置された第1のハンドグリップと、左右の前記ブレーキ手段と前記操作手段を連動して作動させる第1の連結手段を設けてもよい。第1の連結手段には、例えば、ワイヤロープや油圧管を使用することができる。このように構成することによって、左右のブレーキを同時にかけられるので操作が簡単になる。なお、第1のハンドグリップを背もたれの後方に取付けると介助式の車椅子のブレーキとして使用でき、搭乗者が操作可能な範囲に取付けると自走式の車椅子のブレーキとして使用することができる。 【0007】また、前記固定軸に、前記固定軸と前記ハブを第2の一方向クラッチを介して連結する歯車クラッチと、前記歯車クラッチの連結及び連結解除を行う切替え手段を設け、前記切替え手段によって前記歯車クラッチを連結し、車椅子の移動方向を一方向に制限することも可能である。このように構成することによって、例えば、車椅子で坂を上る場合に、前記歯車クラッチを連結しておくと、車椅子が後退しなくなるので、ブレーキ操作をしながら上る必要がなく、また、自走式の車椅子の搭乗者、又は介助式車椅子の補助者が手を離しても、その場で停止するので休憩を自由にとることができる。さらに、前記切替え手段には、前記固定軸の外側端部に設けられたハンドルと、該ハンドルが一方側に取付けられ他方側にはそれぞれ対向配置された凹部と凸部が位相を変えて形成され、前記凸部に安定座が設けられた立体カムが形成された操作軸と、前記立体カムに当接して前記歯車クラッチの外歯車の軸方向の進退を行う操作部材と、該操作部材を前記立体カムに押圧するスプリングとを設け、前記ハンドルを所定角度だけ回動して前記歯車クラッチの入切を行うことも可能である。ハンドルが固定軸の外側端部に設けられているので、搭乗者が簡単に切替え操作を行うことができる。 【0008】また、前記切替え手段を操作する切替え操作手段に、前記切替え手段とは離れた位置に配置された第2のハンドグリップと、左右の前記切替え手段と前記切替え操作手段を連動して作動させる第2の連結手段を設けてもよい。第2の連結手段には、例えば、ワイヤロープや油圧管を使用することができる。このように構成することによって、左右の切替えを同時に行うことができるので操作が簡単になる。なお、第2のハンドグリップを背もたれの後方に取付けると介助式の車椅子のブレーキとして使用でき、搭乗者が操作可能な範囲に取付けると自走式の車椅子のブレーキとして使用することができる。 【0009】 【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。図1、図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る車椅子車輪の制御装置10は、車椅子本体11の両側に、固定軸12、13を介してそれぞれ取付けられた車輪14、15の回転を制御する装置である。以下、詳しく説明する。なお、車椅子車輪の制御装置は、車椅子本体11に対して左右対称に設けられているので、以下、右側に設けられた車椅子車輪の制御装置10のみについて説明し、左側に設けられた車椅子車輪の制御装置については、説明を省略する。固定軸12は、自走式の車椅子16の側部フレーム17に取付けられた固定部材18に挿通され、固定部材18の挿通孔19及び固定軸12の基部側に設けられた座ぐり穴部20に図示しない固定ピンを挿入することによって着脱自在に設けられている。また、固定軸12の中間部には車輪14を多数のスポーク21によって支持するハブ22が2つの軸受部材23、24を介して回転自在に支持されている。さらに、固定軸12の先部には、一方向クラッチ25(第1の一方向クラッチ)が取付けられ、その外側には円筒状の摩擦リング26が固着されている。 【0010】図1、図3に示すように、ブレーキ手段27は、車輪14のハブ22と摩擦リング26との間に、ハブ22の軸方向端部に軸方向に平行に等間隔に立設する3本の固定ピン28を介して設けられ、ブレーキ手段27の半径方向外側には、ブレーキ手段27を外部から操作する操作手段43が設けられている。以下、ブレーキ手段27について詳しく説明する。ブレーキ手段27は、ブレーキ手段27を構成する各部品を収納する回動ハウジング35と、半径方向に移動して摩擦リング26に摺接する分割ブレーキシュー30と、各分割ブレーキシュー30を摩擦リング26から離反させるバネ31と、各分割ブレーキシュー30を外側から押圧して摩擦リング26に摺接させる転動ローラ39と、回動ハウジング35を付勢するねじりコイルバネ40を有している。分割ブレーキシュー30は、円環状の部材をその中心から実質的に120度の角度で切断したような形状で、半径方向外側で周方向中央部には半径方向に摺動可能に嵌入する固定ピン28の直径に合わせた所定幅のU字状の溝部29と、溝部29を挟んだ両側に幅広凹部37(第1の幅広凹部)を形成し、摩擦リング26の周囲に120度おきに3つ設けられている。各分割ブレーキシュー30は、相互に側部に取付けたバネ31によって周方向に付勢され、自由状態では、摩擦リング26の外側に隙間を有して配置されている。 【0011】溝部29内に固定ピン28が嵌入している各分割ブレーキシュー30の外側には、回動ハウジング35の円筒側壁部36が設けられている。また、回動ハウジング35は、円筒側壁部36の軸方向の外側端部に底板部33を、半径方向の外側にフランジ部34をそれぞれ設けている。そして、円筒側壁部36の内側には、幅広凹部38(第2の幅広凹部)が設けられ、底板部33の中央には、固定軸12の外径より拡径した逃げ孔32が設けられている。さらに、底板部33のハブ22の外周に立設された固定ピン28と重合する位置には、固定ピン28が嵌入する回動用長孔41が形成されている。このように構成することによって、回動ハウジング35を、ハブ22に対して回動させることができる。各分割ブレーキシュー30の幅広凹部37と対応する幅広凹部38との間には6本の転動ローラ39がそれぞれ嵌入している。幅広凹部37、38によって形成されるそれぞれのローラ収納空間42の半径方向の幅Lは、回動ハウジング35及び転動ローラ39が図3中の左回り(後方)に回動及び転動するときに、徐々に狭くなるように構成されている。すなわち、回動する回動ハウジング35の幅広凹部38を、固定軸12の中心からの半径が右周りに徐々に小さくなるように形成し(図3中の固定軸12と同心円となる一点鎖線で示す比較用円参照)、回動しない分割ブレーキシュー30の幅広凹部37を半径が一定になるように形成し、固定ピン28及び回動ハウジング35に両端部を取付けられたねじりコイルバネ40によって、回動ハウジング35を右回りに付勢した状態(図3に示す状態)から左回りに回動させると、幅広凹部38の転動ローラ39に当接する部分の半径は徐々に小さくなり、転動ローラ39は左回りに転動しながら半径方向内側に移動し、分割ブレーキシュー30の幅広凹部37を半径方向内側に押圧し、分割ブレーキシュー30は、摩擦リング29に摺接される。こうして、回動ハウジング35に対して、操作手段43による回動操作を行うことによって、回動ハウジング35及び転動ローラ39を左回りに回動及び転動させ、各分割ブレーキシュー30を摩擦リング26に押圧(摺接)させてブレーキをかけることができる。 【0012】図1、図3に示すように、操作手段43は、車椅子16の車輪14の外側に設けられたハンドリム44を皿ねじ80でブレーキ手段27のフランジ部34に螺合した構成とし、ハンドリム44を後方(図3中で左回り)に回動させることによって車輪14にブレーキをかけることができる。前進するときはハンドリム44を前方に回して、停止するときはハンドリム44を後方に引くように操作できるので、ハンドリム44から手を離さずにスムーズにブレーキ操作ができる。 【0013】固定軸12の中央部には、一方向クラッチ48(第2の一方向クラッチ)が設けられ、その外側には、固定軸12とハブ22を一方向クラッチ48を介して連結する歯車クラッチ45が設けられている。また、固定軸12の内部には歯車クラッチ45の連結及び連結解除を行う切替え手段49が設けられ、切替え手段49によって歯車クラッチ45を連結し、車椅子16の移動方向を前方のみに制限することができる。以下、歯車クラッチ45の構造と、歯車クラッチ45の連結及び連結解除を行う切替え手段49の構造について詳しく説明する。歯車クラッチ45は一方向クラッチ48に軸方向に進退可能に設けられた外歯車46とハブ22の内側に固着された内歯車47から構成されている。外歯車46の軸方向の内側には、外歯車46の内径よりも大きな内径を有する円筒掛止部50が一体的に設けられ、また、円筒掛止部50の軸方向の内側端部には、座金51及び固定リング52が設けられ、円筒掛止部50の内側に嵌入するノックピン53と外歯車46が一体的に軸方向に進退可能となるように構成されている。 【0014】一方、切替え手段49は、固定軸12の外側端部に設けられたハンドル54と、ハンドル54が雄ねじ63によって一方側に取付けられた操作軸55と、操作軸55に当接してノックピン53を介して歯車クラッチ45の外歯車46の軸方向の進退を行う操作部材56と、操作部材56を操作軸55に押圧するスプリングの一例である連結スプリング57及び緩衝スプリング67を有している。図4(A)、(B)に示すように、円筒状の操作軸55は、中央部にフランジ部58が設けられ一方に雄ねじ63と螺合可能な雌ねじ部75が形成されている。そして、操作軸55の他方側にはそれぞれ対向配置された凹部59と凸部60が位相を変えて形成され、前記凸部60には安定座61が設けられた立体カム62が形成されている。本実施の形態では、凹部59と凸部60の安定座61までの位相(角度)は90度に形成している。図1に示すように、操作軸55は、固定軸12の端部に嵌入され、固定リング70によって回転可能に支持され、ハンドル54に連動して回動することができる。 【0015】操作部材56は、操作軸55の立体カム62に当接する従動ピン64を介して操作軸55の回転に合わせて軸方向に進退可能に取付けられている。また、操作部材56の軸方向の内側にはノックピン53が軸方向に移動可能な切欠き68が対向して形成されると共に、ノックピン53を押圧する緩衝スプリング67を収納可能なばね収納穴65が形成されている。さらに、操作部材56の軸方向内側の端部には、スライド案内軸66が固定され、スライド案内軸66の端部は、これに当接する連結スプリング57によって固定軸12の外側方向に付勢されている。ノックピン53は、切欠き68、及び固定軸12の切欠き68に対応する位置にそれぞれ設けられた長孔部69に沿って軸方向に進退可能となっている。歯車クラッチ45を連結するときは、まず、ハンドル54を左回り(後方)に回動させると、操作軸55も追従して回動する。すると、従動ピン64は操作部材56を介して緩衝スプリング67によって軸方向左側に付勢されているので安定座61から凹部59に移動し、また、操作部材56も左側に移動する。このとき、ノックピン53は、緩衝スプリング67から右向きに、連結スプリング57から左向きに付勢力を受けているが、緩衝スプリング67が伸びて右向きに押圧する付勢力が弱くなっているので、ノックピン53は左向きの付勢力を受けた状態となっている。ノックピン53を介して、左向きの付勢力を受ける外歯車46は、内歯車47と噛合可能な状態にあるときに、左側に摺動して内歯車47と噛合する。 【0016】歯車クラッチ45の連結を解除するときは、まず、ハンドル54を前方(右回り)に回動させると、操作軸55も追従して回動する。すると、従動ピン64が、凹部59から安定座61に移動し、また、操作部材56も軸方向右側に移動するので緩衝スプリング67が縮んで、ノックピン53は、右側に押圧された状態になる。そして、ノックピン53を介して、右側に力を受ける外歯車46は、内歯車47と噛合解除可能な位置にあるときに、右側に摺動して内歯車47との連結を解除する。このようにして、ハンドル54を所定角度(本実施の形態では90度)だけ回動して歯車クラッチ45の入切を行うことができる。ノックピン53を連結スプリング57及び緩衝スプリング67を介して移動させているので、例えば、歯車クラッチ45の歯が噛んだ状態で連結解除を行うときには、ハンドリム44から手を離してハンドル54を回動させたあとに、手をハンドリム44に戻し、ハンドリム44を少し動かして連結を解除することができるので、安全に操作することができ、また、ハンドル54を回動させるのに必要なトルクを一定にして、操作時の負担を小さくすることができる。 【0017】次に、車椅子車輪の制御装置10を使用した車椅子16の使用方法について説明する。図2に示す車椅子16は、本実施の形態で説明した部分以外に、本体フレーム82に背もたれ76、座席77、前輪78及びパーキングブレーキ79を備えた車椅子本体11を有している。図1、図5(A)に示すように、平地で車椅子16を使用する場合には、切替え手段49は連結を解除した状態で使用することが望ましい。この場合、ハンドリム44を前方に回した場合は、一方向クラッチ25及び48は連結されていないので車輪14、15はハブ22及び軸受部材23、24を介して固定軸12、13の周りを自由に回転することができる。 【0018】また、ハンドリム44を後方に回した場合は、ブレーキ手段27が作動し、車輪14、15は、摩擦リング26と一体的に固定される。しかし、摩擦リング26が固定された一方向クラッチ25は前転のみを制限しており、後転することは可能なので、車椅子16は、自由に後進することができる。次に、図5(B)に示すように上り坂で使用する場合には、切替え手段49を連結した状態で使用することが望ましい。この場合、一方向クラッチ48が接続されているが、一方向クラッチ48は後転を制限しているので、ハンドリム44を前方に回した場合には、車輪14、15は前転して車椅子16を前進させることができる。また、手の力を緩めたときに、ハンドリム44が後転をしようとすると、一方向クラッチ48に後転方向のトルクが加わるが、一方向クラッチ48は後転を制限しているので、車輪14、15は後転することができず、車椅子16はその場に停止する。 【0019】そして、図5(C)に示すように下り坂で使用する場合には、ハンドリム44を後方に回動させてブレーキ手段27を使用しながら前進することが望ましい。ハンドリム44を後方に回動させると、ブレーキ手段27が作動し、車輪14、15は、摩擦リング26と一体的に固定される。一方向クラッチ25は前転を制限しているので車輪14、15は、回転しないで車椅子16は停止する。そして、ハンドリム44を少し緩めると、摩擦リング26は分割ブレーキシュー30と摺動しながら回転するので、車椅子16をゆっくり前進させることができる。また、ブレーキをかけて停止した状態からさらにハンドリム44を後方に回動させると車椅子16を後進させることもできる。これによって、進行方向に障害物がある場合には、一旦バックしてから方向を変えることが可能となる。このように、本発明に係る車椅子車輪の制御装置10を使用することによって上り坂及び下り坂での車椅子での移動を安全かつ容易に行うことができる。 【0020】図2中の二点鎖線に示すように、車椅子16の車輪14、15の内側にブレーキ手段72を設け、これを操作する操作手段73をブレーキ手段72とは離れた位置に配置されたハンドグリップ71(第1のハンドグリップ)と、左右のブレーキ手段72と操作手段73を連動して作動させる第1の連結手段の一例であるブレーキワイヤ83を設けた構造にしてもよい。この場合、ハンドリムは、車輪14、15のハブ22又は車輪14、15の側部に固着してもよく、また、介助用の車椅子として使用する場合には省略することもできる。ブレーキ手段72の回動ハウジング74には、回動補助アーム81が半径方向外側に伸延して一体的に形成され、回動補助アーム81の先部に連結されて回動補助アーム81を周方向に引張って回動ハウジング74を回動させるブレーキワイヤ83を左右連結し、ハンドグリップ71に図示しないブレーキレバーに取付けるように構成することができる。ブレーキワイヤ83は、左右のハンドグリップ71のいずれか一方、又は、他のブレーキワイヤを使用して両方に取付けることができる。このように構成することによって、例えば、補助者が下り坂を運転するときの負担を軽くすることができる。なお、本発明で使用したブレーキ手段は自転車のブレーキとして使用することも可能である。 【0021】また、前記実施の形態においては、切替え手段49をハンドル54で操作していたが、これを省略し、切替え手段49を操作する切替え操作手段に、切替え手段49とは離れた位置に配置されたハンドグリップ(第2のハンドグリップ)と、左右の切替え手段と切替え操作手段を連動して作動させる第2の連結手段の一例である図示しないワイヤロープを設けることも可能である。例えば、切替え手段のスライド案内軸にワイヤロープを連結し、これを固定軸の内側から引張り、又は緩めることによってノックピン及び外歯車を右、又は左に進退させることができる。また、左右のワイヤロープを連結してハンドグリップに設けた切替えレバーに取付けることが、可能である。ワイヤロープは、左右のハンドグリップのいずれか一方又は両方に取付けることができる。このように構成することによって、補助者が上り坂を運転するときの負担を軽くすることができる。なお、第1のハンドグリップ(ハンドグリップ71)と第2のハンドグリップを共用することも当然に可能である。以上、本発明に係る実施の形態について説明してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、ハンドグリップに取付けるブレーキワイヤ及びワイヤロープはリンク機構を介して取付けてもよく、これによって装置の大きさや作動力の大きさを調整することができる。 【0022】 【発明の効果】請求項1〜7記載の車椅子車輪の制御装置においては、第1の一方向クラッチ及びブレーキ手段が設けられているので、車椅子で坂道を下るときには、操作手段によってハブと摩擦リングの間に設けられたブレーキ手段を作動させてブレーキをかけることができ、また、第1の一方向クラッチが設けられているので、ブレーキをかけて停止した状態から後退することも可能となる。特に、請求項2記載の車椅子車輪の制御装置においては、分割ブレーキシューが転動ローラより内側にあるので、転動ローラの転動距離を大きくしてブレーキ手段の動きを滑らかにすると共に、ブレーキ手段の大きさをコンパクトにすることができる。請求項3記載の車椅子車輪の制御装置においては、ハンドリムを一方向に回動させることによって車輪にブレーキをかけることができるので、車椅子のハンドリムから手を離さずに、迅速かつ容易にブレーキをかけることができる。また、車軸に取付けられたハンドリムでブレーキの制御を行うので、車椅子の車軸を取外して整備を行うときにブレーキ手段と一体となって簡単に取外すことができる。 【0023】請求項4記載の車椅子車輪の制御装置においては、左右のブレーキ手段に取付けられている操作手段を連動して作動させる第1の連結手段を設けるので、左右のブレーキを同時にかけられるので操作が簡単になる。請求項5記載の車椅子車輪の制御装置においては、固定軸とハブを第2の一方向クラッチを介して連結する歯車クラッチと、歯車クラッチの連結及び連結解除を行う切替え手段を設けているので、車椅子で坂を上る場合に、車椅子が後退しなくなるので安全に運転することができ、また、ブレーキ操作をしながら上る必要がないので、容易に運転することができ、さらに、自走式の車椅子の搭乗者、又は介助式車椅子の補助者が手を離しても、その場で停止するので休憩を自由にとることができる。請求項6記載の車椅子車輪の制御装置においては、ハンドルが固定軸の外側端部に設けられているので、搭乗者が簡単に切替え操作を行うことができる。そして、請求項7記載の車椅子車輪の制御装置においては、左右の切替え手段に取付けられている切替え操作手段を連動して作動させる第2の連結手段を設けるので、左右の切替えを同時に行うことができ、操作が簡単になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596014221 【氏名又は名称】株式会社ヘッズ
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| 【出願日】 |
平成11年7月19日(1999.7.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090697 【弁理士】 【氏名又は名称】中前 富士男
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| 【公開番号】 |
特開2001−29396(P2001−29396A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月6日(2001.2.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−204709 |
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