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【発明の名称】 座席分離式介護用車椅子
【発明者】 【氏名】石原 張男

【要約】 【課題】特殊仕様のベッドや特殊仕様の自動車を使用しなくても、障害者をベッドから移動して、普通乗用車に搭乗させて障害者を運ぶ。また、自動車から障害者を下車させてベッドまで運び、ベッドに寝かせる。この一連の介護作業を、一人の介護人で容易に行なうことの出来る介護用車椅子を提供すること。

【解決手段】ベッドに寝ている障害者が容易に乗り移れるように左右対称に分割・結合できる構造で、しかも容易に車椅子の台車部分と連結できる構造の座席と、ベッドの床下、乗用車の床下に潜り込める構造の台車部分と、座席を片持ち支持及び結合するフォーク部分と、フォーク部分を昇降する構造のフォーク昇降部分とで座席分離式介護用車椅子を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ベッドに寝ている障害者を容易に乗用車に搭乗させるための介護用車椅子において、車体と座席とが容易に分離、又は結合出来る構造であり、さらに座席が片持ち支持されていて昇降出来る構造であり、座席と車体の間に空間が形成され、車椅子の車体がベッドの床下、及び乗用車の床下に潜り込むことができる構造を具備していることを特徴とする座席分離式介護用車椅子。
【請求項2】 前部両側、及び後部両側にそれぞれ車輪が取り付けられた主フレームの後部側に同等幅の背面フレームが立設され、背面フレームの側壁に形成されたガイドに沿って摺動するフォーク固定・摺動枠が具備され、このフォーク固定・摺動枠に昇降機構を具備し、昇降機構を操作して、フォーク固定・摺動枠に固着されたフォーク及びフォークに固着された座席を昇降させることを特徴とする請求項1記載の座席分離式介護用車椅子。
【請求項3】 形態を保持するための骨格と、その骨格の表面を覆うクッション部材で構成された座席は中心に沿って左右に分離、及び結合出来る構造を具備し、さらに骨格に座席を結合、支持させるフォーク(片持ち支持の突き出たパイプ、及び棒状の部材)が挿入・固定できるフォーク挿入穴が具備され、さらに、このフォークを固定する固定具が具備されていることを特徴とする請求項1記載の座席分離式介護用車椅子。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自力歩行不可能な障害者や寝たきり老人をベッドから乗用車まで移動し、乗用車に搭乗させる際、介護者に負担をかけさせないで容易に移動、搭乗、下車させることが可能な座席分離式介護用車椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】自力歩行不可能な障害者や寝たきり老人(以降の説明では、障害者と呼ぶ)の動範囲を広げたり、病院に通院等でどうしても自宅以外の場所に移動する必要があり、そのために障害者を安全に、しかも容易に乗用車に搭乗させなければならない。この際、障害者の寝ているベッドから障害者を抱き起こし、車椅子に乗せて乗用車の所まで移送し、乗用車に搭乗させる。この一連の作業における従来技術を二つの要素に分けて説明する。
【0003】第一の要素として、障害者の寝ているベッドから障害者を抱き起こし、車椅子に乗せて移送する従来技術について述べる。従来から実施されている最も普通の方法は車椅子並びにストレッチャーに介護人が患者をベッドから抱きかかえて乗せ替えることであった。さらに、労力を低減し、より安全に作業を行う方法は幾通りか提案されている。特開平11−128281のように介護寝台に車椅子を出し入れ自在に組み込む方法や、特開平9−290004のように患者乗せ台をベッド上にせり出し、患者を乗せかえる方法や、患者を電動モータで吊り上げる方法などが提案されている。
【0004】しかし、いずれの提案も大掛かりな特殊仕様のベッドやリフトやストレッチャーが必要となり、介護者が一人でベッドから障害者を抱き起こし、車椅子に乗せて移動し、自動車の所まで行き、自動車に乗せるという作業には適さなかった。
【0005】第二の要素として、障害者を安全に自動車に搭乗させる従来技術について述べる。最も一般的に行われている方法は車椅子輸送専用の装置を備えた特別自動車(リフト付ワゴン車)に車椅子を乗り入れ、固定手段を用いて安全に固定し、輸送する方法である。しかし、このリフト付ワゴン車は高価なため個人で所有することは殆どなく、自治体や民間団体及び医療施設等が所有し運営している。しかし、保有台数が少ないため、満足のいく利用は成されていない。さらに赤字で運営危機に浸っているのが現状である。
【0006】特開平11−128281で提案されているように、台車と座席が分離可能になっている車椅子があり、自動車の車室内に組み付けられた搬送機構に座席台車から分離して移動することにより障害者が搭乗する方法である。しかし、この方法は特別仕様の自動車を必要とする欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来提案されている技術では、特殊仕様のベッドや特殊仕様の自動車を使用することが条件になっていて、普通のベッドや普通の乗用車を使用して一人の介護人が容易に障害者をベッドから移動して、普通乗用車に搭乗・下車させる手段を有する技術は末だ提案されていない。
【0008】そこで本発明は上述の事情に鑑みて成されたものであり、本発明の目的は、簡単な構造でありながら障害者を安全・容易にベッドから車椅子に乗せて普通乗用車まで連れて行き、ドアを開け、障害者の座っている座席ごと普通乗用車の座席に乗せ、車椅子の車体と座席を分離することによって、障害者は何ら乗り換えという動作をすることなくベッドから普通乗用車に搭乗できる。また降車のときは普通乗用車のドアを開放し、座席の外れた介護用車椅子本体を普通自動車に差込み、障害者が座っている座席と介護用車椅子本体を合体させ、僅か持ち上げた後、普通自動車から引き抜くことにより、障害者が普通自動車から簡単かつ安全に降車することが可能となる。本発明は上述したように、介護者一人で安全かつ容易に、寝ている障害者をベッドから普通乗用車まで移乗させることが出来る座席分離式介護用車椅子を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】ベッドに寝ている障害者のそばに座席分離式介護用車椅子から分離させた座席を置き、障害者を左右に起こす手段により障害者を座席に容易に乗せ、次に座席分離式介護用車椅子の車体と座席を合体させることにより障害者を座席分離式介護用車椅子に乗せ、普通乗用車のところまで移動し、座席分離式介護用車椅子を普通乗用車の床下に潜り込ませ、普通乗用車の座席の真上まで導き、座席分離式介護用車椅子の座席を普通乗用車の座席まで降ろす。そこで座席分離式車椅子の座席と車体とを連結・支持していたフォークを座席から引き抜き、障害者が座っている座席を普通乗用車の座席に固定する。つぎに座席の外れた座席分離式車椅子本体を普通乗用車から引き抜くことにより簡単に、しかも安全に介護者は障害者を普通乗用車に搭乗させることが出来る方法を提供するものである。
【0010】また降車のときは普通乗用車のドアを開放し、座席の外れた座席分離式介護用車椅子本体を普通乗用車の底下に潜り込ませ、障害者が座っている座席のフォーク挿入穴にフォークを差し込む。フォーク固定具で座席とフォークを固定し、座席分離式介護用車椅子の昇降機構を操作して座席を普通乗用車の座席から必要な高さに持ち上げ、次に座席分離式介護用車椅子を普通乗用車から引き抜く。このように簡単に、しかも安全に介護者は障害者を普通乗用車から降車させることが出来る方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】障害者が車椅子に座ったままで普通乗用車の座席に座ることの出来る座席分離式介護用車椅子は、普通乗用車の座席真上まで障害者の座っている座席を差し込むことの出来る片持支持機構を備え、さらに座席分離式介護用車椅子の車体部分が、普通乗用車の床下やベットの床下に潜りこむことが出来る形状を有していて、座席が上下動できる昇降機構に繋がっていて、さらに座席が容易に車体から分離したり合体することが出来る構造を保有している。
【0012】本発明に係わる座席分離式介護用車椅子の実施の形態を関連する図面を参照ながら詳細に説明する。図1、図2に示すごとく本発明の座席分離式介護用車椅子は大別すると、台車部分と座席昇降・連結部分と座席になる。
【0013】図3(A)、図3(B)、図4(A)、図4(B)を参照しながら座席4について詳細に説明する。座席4の骨格は金属とプラスチックとの複合材料で出来ていて、その表面はクッション作用を兼ねた表装材料で覆われている。リクライニング機構について説明すると、ロックダイアル10を回し、ロックを解除することにより、リクライニング軸11を中心に背もたれ19が図示のように180度〜90度まで任意の角度に回転・固定できる構造になっている。
【0014】座席4は左右対称に2分割できる。すなわち、座席4の中心に沿って左座席18と右座席17に分割できる構造になっている。分割するには分割ロックダイアル12をロック解除にして、左右に引き抜くことにより達成する。右座席17にはガイドシャフト13が、左座席18にはガイドシャフト軸受14が設けられていて、お互いが嵌め合って一体になる。この際、ガイドシャフト13は分割ロックダイアル12によってロックまたはロック解除される。
【0015】座席の横部分にフォーク挿入穴15が貫通している。図5に示すように、このフォーク挿入穴15はフォーク20が挿入する穴でフォーク20と適当な嵌め合いで連結する。安全ベルト16は障害者1が座席4から離脱しないようにするためのもので、図示のように襷がけで左右座席の腰部分にロックされる。
【0016】図5に示す実施例では2本のフォークから構成されているが、もちろん一枚の幅広板であっても実現出来る。この際、2本構成よりも挿入ガイドが確実となる利点がある(図示せず)。
【0017】さらに、図5で示す実施例では、フォーク挿入穴15はリクライニング軸11及びガイドシャフト13と共用しているが、もちろん別に設けても作用効果は変わらない(図示せず)。
【0018】車体部分について詳細に説明する。図1、図2に示すごとく本発明の座席分離式介護用車椅子3の主フレーム21は前部の左右両側にキャスター22が2個、後部の左右両側に主車輪23が2個取り付けられている。障害者1の座った座席4をフォーク20に挿入する時や、乗用車座席35の真上に座席4を導く時などにおいて、座席分離式介護用車椅子3の位置を自在に移動する必要がある。キャスター22は走行方向を自由自在に変えることが出来るように、特に前輪に採用されている。後輪は走行が主目的のために特にキャスターが採用されてないが、もちろんキャスターであっても良い。
【0019】この主車輪23、キャスター22を含めた主フレーム21の全高Hはベット2の床下、及び普通自動車9の床下(地面と車の底との間)の距離以下に設定されている。このようにすることにより、図7(A)、図7(D)に示すごとく、座席分離式介護用車椅子3をベッド2の床下、及び普通自動車9の床下の中へ潜りこませることができる。
【0020】座席昇降・連結部6について詳細に説明する。前記主フレーム21の後部側に同等幅の背面フレーム24が立設され、この背面フレーム24の左右側壁に昇降ガイドシャフト25が取り付けられている。この昇降ガイドシャフト25に摺動可能な嵌合の昇降ガイドシャフト軸受26が埋め込まれたフォーク固定・摺動枠27が挿入されている。このフォーク固定・摺動枠27と背面フレーム24の下部に設けられた横枠30との間にシリンダー28が固着されている。このシリンダー28は実施例では空気圧シリンダーであるが、油圧シリンダーであっても良い。
【0021】さらに横枠30には手動ポンプ29が固着されていて、ペダル31によって発生した空気圧力がシリンダー28へホース32を通って伝達される。このことにより、フォーク固定・摺動枠27が上昇する。下降は圧力調整弁レバー34を操作すると、圧力調整弁33の弁が開閉し、シリンダー28の空気圧力が可変する。このことにより下降位置、及び下降スピードも調整できる。実施例では空気ポンプであるが、もちろん油圧ポンプであっても良い。
【0022】上述の昇降機構は空圧手段及び油圧手段を用いたが、ネジ式でも歯車式でも実現できる(図示せず)。
【0023】本発明では大別すると二つの要素から成り立っている。第一の要素は障害者を寝ているベッドから車椅子に乗せかえる方法を提供するものであり、第二の要素は障害者を普通乗用車に座席ごと搭乗させ、座席を普通乗用車の座席に固定させる方法を提供するものである。
【0024】第一の要素について述べる。図6(A)に示すように、ベッド2に寝ている障害者1を図6(B)に示すように右側に倒し横向きにする。次に図6(B)の矢印で示すように障害者1の左側に左座席18を近接させて置く。次に図6(B)に示すように障害者1を、先程置いた左座席18側に横向きに転がせて左座席18に乗せ、横向きの状態にする。次に図6(C)に示すように右座席17を座席4のガイドシャフト軸受14にガイドシャフト13を挿入し図6(D)に示すように一体化させる。次に障害者を元のように仰向けにさせる。この動作により、介護者は容易に座席4の上に障害者を移し替えたことになる。
【0025】次に図7(A)に示すごとくに台車部5のフオーク20をベッド2上に滑らせながら移動し、座席4のフォーク挿入穴15に挿入し、突き通す。さらにフォーク固定ダイアル8で座席4をフォーク20に固定する。次に座席4のリクライニング軸11を中心にしてL型形状に起こす。次に台車部5に固着しているペダル31を踏み、手動ポンプ29からシリンダー28に圧縮空気を送ることによりフォーク20を僅か持ち上げる。これで完全に障害者はベット2から座席分離式介護用車椅子3に乗り換えたことになる。
【0026】図7(C)に示すように、座席分離式介護用車椅子3に乗せた障害者1を普通乗用車9まで移送する。
【0027】第二の要素について述べる。図7(D)を参照しながら説明すると普通乗用車9のドアを全開し、図示のごとく障害者1を乗せた座席分離式介護用車椅子3を潜り込ませ、障害者1が座っている座席4が乗用車9の乗用車座席35の真上に位置するまで移動する。次に座席分離式介護用車椅子3の圧力調整弁レバー34を操作し、ゆっくりと下降させ、乗用車座席35に障害者1を乗せた座席4を降ろす。
【0028】次にフォーク固定ダイアル8を操作し、ロック解除してから座席分離式介護用車椅子3を引き抜く。障害者1の座っている座席4ごと乗用車座席35に固定することにより、障害者1を座席4ごと普通乗用車9に搭乗させることが出来る。
【0029】
【発明の効果】以上本発明の効果をまとめると次のものが得られる。すなわち、(1) 座席分離式介護用車椅子3を用いることにより、特別仕様のベッドや特別仕様の車椅子輸送用車を用いることなく、ベッドに寝ている障害者を容易に座席分離式介護用車椅子3に移乗させ、乗用車の所まで移送し、普通の乗用車に搭乗させることができる。この作業は介護者一人で安全に、容易に行なうことが可能である。特別仕様の車椅子輸送用車を使用する場合、特別車購入、維持費のコストが莫大であるが、本発明では普通乗用車を使用するため、コスト増にはならない。
(2) 座席分離式介護用車椅子3は単に搭乗の目的のためのみに使用するのでなく、ベッドからベッドへ移動させたり、入浴の際、浴槽に移送するとき、ベッドから車椅子に乗り換えさせなければならないが、この場合に介護用車椅子としても使用出来る。
【出願人】 【識別番号】591211478
【氏名又は名称】株式会社石原産業
【出願日】 平成11年7月15日(1999.7.15)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−29393(P2001−29393A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−233078