トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 生理用布ナプキン及びその製造方法
【発明者】 【氏名】角張 光子

【要約】 【課題】再利用ができて環境に対する負荷が小さく、かつ、プラスチックや化学物質等による身体への負荷がない生理用布ナプキンを提供すること。

【解決手段】生理用布ナプキン1は、矩形の本体2と矩形の中あて3とを縫い合わせて構成されている。中あて3は、本体2に対して横方向Hの長さが小さく、縦方向Vの長さが等しくなるよう裁断され、縦方向Hの両端で本体2と中あて3とを揃えた状態で本体2の横方向Hの中央に中あて3が縫い付けられている。これらの本体2と中あて3とは、共に無漂白綿ネル地から成る。本体2は、四隅が丸くカットされている。これにより、周囲のミシンがかけやすくなり、かつ、使用時にも折り曲げやすくなる。使用時には、縦方向Vに沿って折り目を入れ、適当な大きさに折ってショーツと身体との間に配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 共に無漂白綿ネル地から成る矩形の本体と矩形の中あてとを備え、前記中あては、前記本体に対して横方向の長さが小さく、縦方向の長さが等しく、縦方向の両端で前記本体と前記中あてとを揃えた状態で前記本体の横方向の中央に前記中あてが縫い付けられていることを特徴とする生理用布ナプキン。
【請求項2】 天然染料により染色したことを特徴とする請求項1に記載の生理用布ナプキン。
【請求項3】 前記天然染料は、枇杷の葉、タマネギの皮、ヨモギのいずれかを煮出したものであることを特徴とする請求項2に記載の生理用布ナプキン。
【請求項4】 原綿から生地を製造する第1段階と、該第1段階で製造された生地を裁断、縫製する第2段階と、天然染料で染色する第3段階とを含むことを特徴とする生理用布ナプキンの製造方法。
【請求項5】 前記第1段階は、原綿の繊維を紡いで綿糸にする紡績工程、紡がれた綿糸により生地を織る生織工程、織られた生地を精錬し、起毛処理を施す精錬、起毛工程を含み、塩素漂白工程を含まないことを特徴とする請求項4に記載の生理用布ナプキンの製造方法。
【請求項6】 前記第2段階は、前記第1段階で得られた無漂白綿ネル地を矩形の本体と矩形の中あてとに裁断する裁断工程、前記中あてを前記本体に縫い付ける縫製工程を含むことを特徴とする請求項4または5に記載の生理用布ナプキンの製造方法。
【請求項7】 前記第3段階は、生地にタンパク質を含ませる前処理工程、枇杷の葉、ヨモギ、タマネギの皮のいずれかから煮出した染液を用いて前処理の済んだ生理用布ナプキンを煮染めする第1の染色工程、該第1の染色工程で染色された前記生理用布ナプキンを媒染液に浸漬する媒染工程、媒染が済んだ生理用布ナプキンを前記染液を用いて染色する第2の染色工程、該第2の染色工程で染色された生理用布ナプキンを絞って天日干しする天日干し工程を含むことを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の生理用布ナプキンの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、月経時に排泄される経血を吸収する生理用布ナプキン、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の生理用ナプキンは、多孔性の熱可塑性プラスチックフィルムから成る透水性表面シートと、同様のプラスチックフィルムから成る不透水性裏面シートとの間に、綿状パルプや高分子吸収剤から成る吸収剤を挟み込み、表面、裏面シートの周縁を熱エンボス加工により融着して構成されている。裏面シートには、粘着テープが取り付けられており、これによりナプキンをショーツに貼り付けて着用時の位置ずれを防ぐことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の生理用ナプキンは、いわゆる「使い捨てタイプ」であり、使用済みのナプキンを再利用することができない。したがって、資源の浪費、ゴミの増加、あるいは焼却時のダイオキシンの発生という点で環境に対する負荷が大きいという問題がある。
【0004】また、従来の生理用ナプキンは、着用時にはプラスチック素材が皮膚に直接密着することとなるため、「かぶれ」や「かゆみ」を引き起こす可能性があり、かつ、プラスチックに含まれる微量の添加物や吸収剤に含まれる吸収促進剤、消臭剤、香料等の化学物質が身体に与える影響も無視できない。したがって、女性の身体に対する負荷が大きいという問題もある。
【0005】この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、再利用ができて環境に対する負荷が小さく、かつ、プラスチックや化学物質等による身体への負荷がない生理用ナプキンを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明にかかる生理用布ナプキンは、上記の目的を達成させるため、共に無漂白綿ネル地から成る矩形の本体と矩形の中あてとを縫い合わせて構成されている。中あては、本体に対して横方向の長さが小さく、縦方向の長さが等しくなるよう裁断され、縦方向の両端で本体と中あてとを揃えた状態で本体の横方向の中央に中あてが縫い付けられている。
【0007】また、上記の生理用布ナプキンを天然染料(草木染め)により染色してもよい。天然染料は、枇杷の葉、タマネギの皮、ヨモギのいずれかを煮出したものを利用することが望ましい。また、あかね、あい、どんぐり、藤等を用いてもよい。
【0008】上記の生理用布ナプキンは、原綿から生地を製造する第1段階と、この第1段階で製造された生地を裁断、縫製する第2段階と、天然染料で染色する第3段階とを経て製造される。第1段階は、原綿の繊維を紡いで綿糸にする紡績工程、紡がれた綿糸により生地を織る生織工程、織られた生地を精錬し、起毛処理を施す精錬、起毛工程を含み、塩素漂白工程を含まない。
【0009】第2段階は、第1段階で得られた無漂白綿ネル地を矩形の本体と矩形の中あてとに裁断する裁断工程、中あてを本体に縫い付ける縫製工程を含む。第3段階は、生地にタンパク質を含ませる前処理工程、枇杷の葉、ヨモギ、タマネギの皮のいずれかから煮出した染液を用いて前処理の済んだ生理用布ナプキンを煮染めする第1の染色工程、この第1の染色工程で染色された生理用布ナプキンを媒染液に浸漬する媒染工程、媒染が済んだ生理用布ナプキンを染液を用いて染色する第2の染色工程、この第2の染色工程で染色された生理用布ナプキンを絞って天日干しする天日干し工程を含むことが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる生理用布ナプキンの実施形態を説明する。最初に図1,図2に基づいて構造を説明し、次に図3、図4に基づいて製造方法を説明する。図1は、実施形態にかかる生理用布ナプキンの構造を示す平面図、図2はその分解斜視図である。
【0011】実施形態の生理用布ナプキン1は、矩形の本体2と矩形の中あて3とを縫い合わせて構成されている。中あて3は、本体2に対して横方向Hの長さが小さく、縦方向Vの長さが等しくなるよう裁断され、縦方向Hの両端で本体2と中あて3とを揃えた状態で本体2の横方向Hの中央(図2に破線で示す位置)に中あて3が縫い付けられている。これらの本体2と中あて3とは、共に無漂白綿ネル地から成る。本体2は、四隅が丸くカットされている。これにより、周囲のミシンがかけやすくなり、かつ、使用時にも折り曲げやすくなる。
【0012】使用時には、縦方向Vに沿って折り目を入れ、適当な大きさに折ってショーツと身体との間に配置する。綿ネル地を利用しているため、ショーツとの間の摩擦抵抗が大きく、従来のように粘着テープを用いなくとも使用時のずれを防ぐことができる。使用後は数回水を換えて水洗いし、石鹸等で洗濯し、天日干しすることにより、生地が破損しない限り何度でも再度利用することができる。
【0013】次に、上記の実施形態にかかる生理用布ナプキンの製造方法について説明する。製造方法は、原綿から生地を製造する第1段階と、この生地を裁断、縫製する第2段階と、天然染料で染色する第3段階とを含む。各段階に含まれる複数の工程について、図3に示すフローチャートに従って順に説明する。
【0014】第1段階は、ステップ1の紡績工程、ステップ2の生織工程、ステップ3の精錬、起毛工程を含む。紡績工程では、原綿の繊維を紡いで綿糸にする。原綿は、安全性を高めるため、無農薬栽培されたオーガニックコットンを用いることが望ましい。紡績工程は、通常専門の紡績工場で行われる。生織工程では、紡がれた綿糸により生地を織る。生織工程は、織布工場で行われる。精錬、起毛工程では、織られた生地を精錬し、起毛処理を施す。精錬、起毛工程は、染色工場で行われ、通常の染色工程や塩素漂白の工程を含まず、生地は水洗い、糊抜きを経て、乾燥、起毛される。
【0015】第2段階は、ステップ4の裁断工程、ステップ5の縫製工程を含む。裁断工程では、第1段階で得られた無漂白綿ネル地を裁断する。布地は、一般に幅93cm、長さ50mの反物として供給されるため、これを例えば図4に示すような寸法で裁断する。なお、この明細書では、反物の状態を基準として、反物の長手方向に相当する方向を縦方向V、幅方向に相当する方向を横方向Hと定義している。
【0016】図4の例によれば、反物の縦方向72cmの生地で以下の表1に示すような大中小の3枚セット2組分の本体、中あてが得られることとなる。本体は、四隅を丸くカットする。なお、図1,図2に示したのは、大に相当する構成であり、中小も大と同様に縫い合わせることにより作成することができる。大中小の生理用布ナプキンは、経血の量に合わせて選ぶことができ、例えば、大は4つ折り、中は3つ折り、小は2つ折りで利用することができる。大、中は、使用して経血が付着した面を内側にして折り返すことにより、きれいな面を身体に当てることができる。
【0017】
【表1】

【0018】縫製工程では、まず、中あての縦方向に沿う両端をかがり縫いし、これを本体の中央に合わせて仮止めし、中あてのかがり縫いした両端を直線縫いで縫い合わせる。そして、縫い合わされたナプキンの周囲に沿ってかがり縫いをする。
【0019】第2段階で生理用布ナプキンは完成し、この状態で使用することも可能である。ただし、白地のままでは使用後、洗濯して乾燥させた際に経血のしみが目立ちやすい。そこで、この実施形態では、第3段階で縫製の済んだ生理用布ナプキンを染色する。ただし、化学染料を用いたのでは身体に有害であるため、身体に無害な天然染料を用いる。さらに、枇杷の葉、ヨモギ等の材料で染料を作ることにより、かぶれの防止等の薬効を持たせることができる。
【0020】第3段階は、ステップ6の前処理工程、ステップ7の第1の染色工程、ステップ8の媒染工程、ステップ9の第2の染色工程、ステップ10の天日干し工程を含む。縫製の済んだ生理用布ナプキンは、ステップ6で染料を定着させるための前処理工程が施される。前処理工程では、あらかじめ湯通しして脱水した生理用布ナプキン地を豆汁の薄め液に30分程度浸し、絞ってから陰干しする。豆汁は、大豆を一晩水でふやかし、水ごとミキサーで粉砕して布で濾し取った液体であり、これを10倍程度の水で薄めて浸し液として利用する。綿ネル地はタンパク質が乏しいため、そのままでは染料が定着しにくい。そこで、この工程で生地にタンパク質を含ませて染料が定着しやすいように前処理する。
【0021】第1の染色工程では、枇杷の葉、ヨモギ、タマネギの皮のいずれかから煮出した染液を用いる。前処理の済んだ生理用布ナプキンを湯通ししてから絞り、染液に入れて沸騰させ、15分程度煮染めする。
【0022】媒染工程では、染料の色素を生地に定着させ、発色をよくするため、第1の染液浸漬工程が済んで軽く絞った生理用布ナプキンを媒染液に浸ける。媒染液としては、錆釘、酢、水を混ぜて煮出して10日程度寝かした後に濾過したもの(鉄媒染)、あるいは、焼きミョウバンの溶液を利用する。鉄媒染の場合には、溶液適当量を生理用布ナプキンが浸る程度の水に溶いて利用する。焼きミョウバンを用いる場合には、生地100gに対し、4gの焼きミョウバンを500ccの熱湯で溶かし、3500ccの水加えて利用する。いずれの場合にも、5分間程度は布を揺すって媒染液をまんべんなく染みこませ、その後15分程度放置する。
【0023】次に、媒染が済んだ生理用布ナプキンを水洗いして絞り、第2の染色工程で再び第1の染色工程と同じ染液に浸漬する。染液中で15分程度煮染めし、火を止めてから30分程度そのまま放置する。最後の天日干し工程では、第2の染色工程が済んだ生理用布ナプキンを水洗いし、天日で乾燥させる。以上の工程で、第1,第2,第3段階が全て終了する。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の生理用布ナプキンは、無漂白綿ネル地を用いて作成されているため、使用後に洗濯することにより何度も繰り返し利用することができ、使用者の自己管理が可能になると共に、ゴミを減量することができる。また、破損等により廃棄する時にも焼却によりダイオキシンが発生する虞がない。したがって、環境に対する負荷を軽減することができる。
【0025】また、プラスチック素材や化学薬品等の身体に有害な材料、添加物を利用しないため、身体に与える悪影響がなく、使用する女性の身体に対する負荷を軽減することができる。特に、枇杷の葉、ヨモギ等の天然染料で染色した場合には、見た目を良好にしてシミを目立たなくさせるだけでなく、成分の薬効によりかぶれやかゆみを防ぐこともできる。
【出願人】 【識別番号】500301359
【氏名又は名称】角張 光子
【出願日】 平成12年6月12日(2000.6.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−353182(P2001−353182A)
【公開日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【出願番号】 特願2000−215204(P2000−215204)