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【発明の名称】 大腿骨股関節補綴物
【発明者】 【氏名】ジョン・アンドリュー・ストーラー

【氏名】リチャード・エディ・フィールド

【氏名】ニール・ラシュトン

【要約】 【課題】骨髄質管中に入れる幹を使用せず、外科的手術手技を簡略化し、また、その手順に関連する外傷を最小化するような、保存的、骨温存的大腿骨股関節補綴物を提供すること。

【解決手段】大腿骨頸(2)の近位側にある位置で切除された大腿骨内に作成された受け口に設置するための大腿骨補綴コンポーネントであって、テーパをつけた挿入部分(4)と、近位大腿骨頭部分(5)とを含み、前記挿入部分の近位端(6)は、作成された受け口に設置するために適応させ、また、平行平面における大腿骨頸(2)の最小寸法よりも大きい、大腿骨頸(2)の遠位−近位軸に垂直な平面における最大寸法を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 その大腿骨頸(2)の近位側にある位置で切除された大腿骨に作成される受け口に設置するための大腿骨補綴コンポーネントであって、テーパをかけた挿入部分(4)と、近位大腿骨頭部分(5)とを含み、前記挿入部分の近位端(6)は、前記作成された受け口に設置するために適応され、かつ、前記大腿骨頸(2)の遠位−近位軸に平行な平面における大腿骨頸(2)の最小寸法よりも大きい、前記遠位−近位軸に垂直な平面における最大寸法を有する、前記大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項2】 テーパをかけた挿入部分(4)が近位方向に外向きに裾を広げている、請求項1に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項3】 テーパをかけた挿入部分(4)が、それと併せて使用される大腿骨頸(2)を通過するのに必要な大きさにされる、請求項1又は2に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項4】 テーパをかけた挿入部分(4)が平滑仕上げされている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項5】 大腿骨頭部分(5)の近位端が一般的には球形形状のものであり、また寛骨臼受け口と連係するための軸受け表面を有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項6】 大腿骨頭部分(5)の近位端が実質的に部分的に球形になっている軸受け要素(20)を受け入れるように適応される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項7】 大腿骨頭部分(5)の近位端が、部分的に球形になっている軸受け要素(20)上の整合雌テーパを受け入れるように雄テーパ(23)を備える、請求項6に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項8】 軸受け要素(20)が、大腿骨頭部分(5)に設けられた穴(22)に嵌合するように適応される差込み継ぎ手(21)を有する、請求項6又は7に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項9】 差込み継ぎ手(21)と穴(22)が嵌合適合をもたらすようにテーパをかけられる、請求項8に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項10】 差込み継ぎ手(25)を長くし、また、差込み継ぎ手が大腿骨頭部分(5)を通って、テーパをかけた挿入部分(4)のなかに延びている、請求項9に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項11】 大腿骨頭部分(5)の近位端が、大腿骨頭部分(5)にある嵌合適合のためにテーパをかけた穴(22)に嵌合するように適応させたテーパをかけて長くした差込み継ぎ手を有する軸受け要素(20)の内側壁(26)であるように、実質的には半球形であり、かつ差込み継ぎ手(25)が前記大腿骨頭部分(5)を通り、前記テーパをかけた挿入部分(4)のなかに入る、請求項6に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項12】 テーパをかけた挿入部分(4)が金属で作成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項13】 テーパをかけた挿入部分(4)が合成プラスチック材料で作成される、請求項6乃至11のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項14】 テーパをかけた挿入部分(4)と大腿骨頭部分(5)が合成樹脂と炭素繊維で作成される、請求項13に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項15】 前記合成樹脂が、チョップド炭素繊維がそのなかに組み込まれているPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはPBT(ポリブタリエンテレフタレート)である、請求項14に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項16】 前記材料が格子状骨と同様の圧縮弾性率のものである、請求項15に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項17】 テーパをかけた挿入部分(4)と大腿骨頭部分(5)がセラミック材料から作成される、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項18】 軸受け要素(20)がセラミック材料から作成される、請求項6乃至11に従属の場合は、請求項17に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項19】 前記セラミック材料がアルミナジルコニウムまたはジルコニウム強化アルミナである、請求項17又は18に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項20】 骨と境界を接する部品の表面仕上げが切り落としハニカム形態である、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項21】 骨と境界を接する部品がプラズマ溶射ヒドロキシアパタイト(HA)で被膜される、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項22】 前記幹が骨のなかに導入され、またセメントを使用せずに保持されるように適応される、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項23】 前記幹が挿入部分(4)の近位端でセメントにより保持されるように適応される、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の補綴コンポーネント。
【請求項24】 単一コンポーネントとして形成される、請求項1乃至5と、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項25】 テーパをかけた挿入部分(4)が、そこに向かって放射状になっている平面における大腿骨頭部分(5)の中心軸(11)に対して傾斜している一般軸(10)を有する、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項26】 テーパをかけた挿入部分(4)が非円形であり、また骨に対して相対的に回転するのを防ぐように適応される、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項27】 テーパをかけた挿入部分(4)の横断面が、中心軸(11)に垂直に延びている平面において長くなっている、請求項26に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項28】 テーパをかけた挿入部分(4)の横断面は、実質的に方形、卵形、または8の字形である、請求項26または27に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項29】 テーパをかけた挿入部分(4)が、中心軸(11)に向かって大腿骨頭部分(5)の遠位縁(12)から遠ざかるにつれて放射状に広がる、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項30】 大腿骨頭部分(5)の遠位側が、テーパをかけた挿入部分(4)の周りに延びる溝(トロフ)(13)として形成される、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項31】 テーパをかけた挿入部分(4)の遠位部分が、方形または不規則な凹テーパで形成される、請求項1乃至30のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【請求項32】 テーパをかけた挿入部分(4)の近位端に、放射状に外向きに広がる一連の階段またはひれ状物が設けられる、請求項1乃至31のいずれか1項に記載の大腿骨補綴コンポーネント。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、保存的および骨温存的なものであると考えられる、骨髄質管のなかに入れる幹を使用せずに適用されるタイプの大腿骨補綴コンポーネント(component)に関する。
【0002】
【従来の技術】保存的大腿骨股関節補綴術とは、この目的のため、非常に一般的に行われている大腿骨股関節補綴術によって根本的な適用(非修復)を通常的に意図した髄質幹と最終的に取り替えるために十分な骨を適所に残す補綴術である。骨温存的大腿骨股関節補綴術とは、その大腿骨頭のある部分を保存し、疾患組織を切除し、また満足のいく固定術を実施するために、必要を満たすのに十分な骨のみを除去することにより、成育可能な骨の除去を限定するものである。
【0003】骨髄質管中に入れる幹を使わずに機能させる大腿骨股関節補綴物の使用は、1937年にWylesにより報告された最初の全体的な股関節補綴物から始まった。この股関節補綴物は、大腿骨頭の近位切除後に適合させ、かつ大腿骨頸に沿って通し、また大転子の下から出して通した1つの直線幹により安定させたものであり、この幹は、その大腿骨の外側皮質上に固定した骨板に付着されている。Wylesの股関節補綴術では、取り替えるその元来の大腿骨頭よりも意図的に小さな軸受けの直径を有する大腿骨頭に修復した。その臨床上の結果が芳しくないため、この装置を使用して6例のみがいままで実施されただけである。
【0004】Wylesの補綴物の後のもう1つの大腿骨股関節補綴物の設計は、Judet補綴物であって、フランスで開発され、また1945〜55年の期間に使用されたものである。半関節形成術としての用途のため、その元来の直径にその大腿骨頭を修復しようと試みたこの補綴術に伴い、近位の大腿骨頸切除が行われた。この補綴物は、アクリル系(低弾性率)大腿骨頭と、大腿骨頸に沿って通した短い直線幹から成っていた。その補綴用の大腿骨頭には、その大腿骨頭への幹付着物の周りに付けた溝(トロフ)が含まれ、これは、その大腿骨頸の作成近位端上にその補綴物を据え置くのに使用された。初期の破損では、幹にステンレス鋼コア支持をあてがわなければならなかった。後期の不全では、その装置が下部大腿骨頸を貫通して破壊しているのがみられた。この補綴物の変型ではすべて、アクリル製大腿骨頭の未熟な装着が原因となって不全に陥った。
【0005】上部頸切除術、すなわち、大腿骨頸を保存する切除術はまた、わけてもPipino(1978)およびFreeman(1985)の設計のものでは、髄質管のなかを通す幹を用いた大腿骨股関節補綴術により使用された。これらの股関節補綴物は、セメントを使用せずに、またセメントを使用して、の両方で移植されたが、その元来あった直径のものに大腿骨頭を修復しようとはせずに、より小さな寸法の大腿骨頭を備えた全股関節代替物として、使用された。これらの大腿骨股関節代替物は、Pipinoの設計上の幹は非常に短かったが、髄質管のなかに幹を置くため、保存的なものであるとは考えられない。
【0006】髄質管のなかに入れる幹を使用せずに大腿骨頭の代替を確実にすることを試みた大腿骨股関節補綴物の設計は、いまだに臨床上で使用されている1982年に報告されたVincentとMuntingの設計の補綴物を手本としている。この設計を用いたものでは、大腿骨頸の一部分が保存され、また、その移植片のための台座を提供するため、切欠きが形作られた。その補綴物は、股関節全体の代替物として使用され、また大腿骨頸の部分と大腿骨頭を代替し、その元来あった大腿骨頭よりも小さな直径の大腿骨頭を有する。この補綴物はセメントによる固定は使用せずに、大きなネジを、外側皮質を通して、その補綴物の本体のなかに入れて、そのネジにより固定する。この補綴物は大腿骨頸に残っている皮質上に取り付けることが意図されており、また、残っている骨幹の格子構造の骨のなかに入って通される大腿骨頸の軸に平行なひれ状物により安定にされている。その骨係合面には、固定を増強する骨の成長を促進するためにヒドロキシアパタイト被膜が設けられる。
【0007】Vincent−Munting補綴術は、上記で与えられた定義によると、保存的ではあるが、しかし骨温存的なものではないと考えられる。保存的であり、かつ骨温存的である、開発された大腿骨股関節補綴物の唯一のタイプは、ICLH(Freeman、1973)、THARIES(Amstutz、1976)、Wagner(Wagner、1973)、Zephyr(Aubriot、1977)およびGerard(Gerard、1975)などの補綴術で使用されている大腿骨キャップである。このタイプの補綴物は、部分的に球形になっている外部形態および異なる内部形態を有する金属キャップから成っており、またセメントで固めるおよびセメントは使用しないの両方で使用されていた。大腿骨キャップの軸受け面は常に解剖学的寸法に近付けたものになっており、したがって、そのキャップは、1つの半関節形成術用のものとして使用することができた。そのキャップ下の骨端骨の吸収によるだけではなく、骨境界面での応力集中により機械的に弛緩してしまうことが報告されている。その骨吸収の原因は、外科技術の結果として骨の各領域への血液供給が破壊されることと関連していた。しばしば、そのキャップは、寛骨臼でポリエチレンライナーと連接するのに使用され、また、これにより、補綴物による骨との境界面における骨溶解という付加的な不全の形態がポリエチレン破片の潜入により引き起こされた。
【0008】大腿骨キャップ設計の開発物の1つには、そのキャップに短い幹が含められていた。こうした設計の実施例には、TARA股関節(1970年代)と、さらに最近ではMcMinn股関節(1990年代)が含まれる。
【0009】骨に自然に載せることを意図した幹を使用しない大腿骨股関節補綴物を記載している欧州特許明細書EP0094829およびEP0176188には、大腿骨キャップに対する代替的な設計アプローチが提示されている。前者の設計では、大腿骨頭の大部分と大腿骨頸部分の切除が必要であり、後者の設計では、瘢痕骨端軟骨板にいたるまでの大腿骨頭の近位部分の切除のみが必要であった。後者の設計では、骨と大腿骨キャップの間の低弾性率材料が、より生理学的な力の分配による近位大腿骨の小柱構造上への荷重の移し変えに使用された。実際には、過度の柔組織損傷もなく、寛骨臼に関して十分に外科的に接触可能にするにはあまりに少量の骨しか除去されなかった。さらに、三次元の瘢痕骨端軟骨板を制御して露呈させることは、あまりに複雑であることが判明し、またその設計は移植片にまで開発が及ぶことはなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】大腿骨股関節補綴術のセメントでの髄質内固定術が現在およそ30年成功裡に臨床上の結果を出してきており、股関節移植の新しい設計がそれに対して評価される測定基準となっている。移植片破損、腐食、セメント被膜完全性および過度の受け軸磨耗という初期の問題は現在では大部分が解決され、また、従来からの大腿骨股関節補綴物の期待寿命を制限する主要な問題は、無菌状態での弛緩である。にもかかわらず、その再建術の早発性の不全が弛緩のために起こることがあるので、最終的にはその補綴術の修正が、とくに年齢の若い患者(65歳未満)に使用される場合には、考慮されなければならない。
【0011】セメントで固める幹を備えた大腿骨股関節補綴物の修復は、かなりのやりがいのある仕事であり、セメントを全部除去する必要がある結果となっている場合にはとくにそうである。事実、セメントを使用しない髄質内固定による幹が、その修復手順を簡略化するように開発された。こうした装置では、セメント固定股関節補綴の場合と比較すると、外科的な手技の正確さがさらに要求され、また痛み、弛緩および沈降などの補綴それ自身による不全の形態を有する。
【0012】若くまたより活動的な患者にとっては、次の修復の可能性があるので、保存的、かつ実際に骨温存的な大腿骨股関節補綴術を魅力ある選択肢にしている。理論上では、こうした装置は、骨移植あるいはそのほかの増強の必要がなく、従来からの幹を備えた根本的な股関節補綴術により修復されることができる。実際、保存的な股関節設計が、髄質にまで差し込む幹を備えた股関節設計のように、少なくとも安全かつ効果的でありうるはずがないという理由は見当たらない。しかし、保存的、骨温存的大腿骨股関節補綴術を開発しようと行われてきた試みでは今までのところ、大腿骨コンポーネント(および寛骨臼コンポーネント)の早発性の弛緩のために有意に悪い結果に遭遇することとなった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本設計は、以前の設計により遭遇した問題と取り組む保存的、骨温存的大腿骨股関節補綴術を提供することを模索している。本補綴物には、骨との境界面での応力集中を避けるため、大腿骨への荷重の移動を制御するように設計されている挿入部分が含まれている。その挿入部分は、骨端の骨全体を取り替えるような寸法にされ、それによって破壊された血液供給による骨吸収の危険性を最小化している。それはまた、骨溶解につながる破損断片の潜入を制限するように、荷重下に自己密封するようにテーパがかけられている。
【0014】以前の設計の欠点に取り組むことに加えて、本設計は、より良好な結果の再現性を達成するために、外科的手術手技を簡略化し、また、その手順に関連する外傷(例えば、血液の喪失、術後感染症)を最小化することを模索している。
【0015】股関節代替は通常、大きな露出部分を伴って行われる。早発性の術後感染症はもはや顕著な問題ではないが、しかしこうした主要な傷を治癒させる期間は重要な問題である。外科医によっては現在では、できるかぎり切除を少なくしながら従来からの幹を備えた装置を移植している。大腿骨頭と頸が除去された後は、大腿骨管を作成するのに、細い道具のみが必要であって、また、寛骨臼への接近接触が容易になる。しかし、骨温存大腿骨股関節補綴物の設計は一般的には、2つの理由により広範な露出に立ち戻る必要が出てくる。第1に、大腿骨頭の外側の作成には嵩張る道具が関わる。第2に、大腿骨頭が寛骨臼への接近接触を遮断する。骨盤にいたる大腿骨に付着している軟組織の切除をさらに行うには、大腿骨頭を邪魔にならないように操作する必要がある。
【0016】本発明は、大腿骨頭の基底部あるいは中間点にある大腿骨頸の円形の横断面を露出させるために、元からの大腿骨頭を切除することを含む装着方法で用いることができる大腿骨股関節補綴物を提供することを意図している。これは、寛骨臼に対する接近接触を大幅に改善し、それによって必要とされる切除の長さを軽減し、また邪魔にならないように残りの大腿骨頭を梃子入れできるようにするのに必要とする軟組織の切除を最少化する。補綴物の挿入部分の形状は、簡便で、嵩張らず、再現性のある開口手術後に正確にその骨に適合させることができるように設計される。このように、緊密に適合させることにより、微細な動きに抵抗し、また破損破片の潜入を妨げる自己密封テーパ設計の支えの上で働くようになっている。嵩張らない道具が使用されることにより、さらに非侵襲的(less-invasive)な外科技術を使用することになる。
【0017】本発明によると、その大腿骨頸の近位側位置で切除された大腿骨のなかに作成された受け口に設置される大腿骨補綴コンポーネントには、テーパをかけた挿入部分および近位大腿骨頭部分とが含まれ、前記挿入部分の近位端は前記作成された受け口に設置されるように適応させ、また、大腿骨頸の遠位−近位軸に平行な平面における大腿骨頸の最小寸法よりも大きい、遠位−近位軸に垂直な平面における最大寸法を有する。
【0018】このように、本発明によるコンポーネントは、その挿入物が骨のなかに正確にまたしっかりと設置されるようにすることを可能とする、受け口の周辺にある骨を利用する。受け口の外縁にあるその骨の存在がそのコンポーネントを安定させる助けとなる。
【0019】好適には、テーパをかけた挿入部分は、近位方向に外向きにその裾が広がっている。
【0020】テーパをかけた挿入部分は、大腿骨頸を通り抜けるような寸法にすることができ、それを使用するか、あるいは必要に応じて、途中で止めることができる。
【0021】1つの好適な実施態様では、テーパをかけた挿入部分は、平滑仕上げされている。これは、セメントを使用して挿入される場合には、その骨のなかにそれを沈めることができる。空隙中央配置は、EP0427444で示されているように設けることができる。
【0022】いかなる場合でも、大腿骨頭部分の近位端は一般的には、球形形状のものであり、また寛骨臼受け口と連係するための軸受け表面を有することができる。
【0023】あるいは、大腿骨頭部分の近位端は、部分的に球形になっている軸受け要素を実質的に受容するように適合させることができる。
【0024】大腿骨頭部分の近位端に、部分的に球形になっている軸受け要素上の整合雌テーパを受容するための雄テーパを設けることができる。
【0025】軸受け要素は、大腿骨頭部分に設けられた穴のなかに嵌合するように適合された差込み継ぎ手を有することができ、またその差込み継ぎ手と穴には嵌合適合をもたらすようにテーパをかけることができる。1つの好適な実施態様では、その差込み継ぎ手は長くして、大腿骨頭の部分を通して延長して、そのテーパをかけた挿入部分のなかに入れる。
【0026】あるいは、大腿骨頭部分の近位端は、軸受け要素の内側壁26であるように、実質的に半球形とすることができ、この軸受け要素は、嵌合適合をもたらすため大腿骨頭部分のテーパをかけた穴に嵌合するように適応させたテーパをかけて長くした差込み継ぎ手を有し、その差込み継ぎ手は、大腿骨頭部分を通って延び、テーパをかけた挿入部分のなかに入って、安定をもたらすことができる。
【0027】前出の構造のいずれでも、いずれの部品も、金属、合成プラスチック材料、あるいはセラミック材料で作成することができる。
【0028】代替構造においては、大腿骨補綴コンポーネントを単一コンポーネントとして形成することができる。
【0029】好適には、テーパをかけた挿入部分は、そこに向かって放射状になっている平面で、大腿骨頭部分の中心軸(cental axis)に対して傾斜している一般軸(general axis)を有する。
【0030】テーパをかけた挿入部分は非円形であり、その骨に対して相対的に回転するのを防止するように適応させることができる。
【0031】このように、テーパをかけた挿入部分の横断面は、中心軸に対して垂直に延びる平面において長く延ばすことができる。このタイプの構造では、テーパをかけた挿入部分の横断面は、実質的には、方形、卵形、ないしは8の字形あるいはそのほかの所望される横断面とすることができる。
【0032】テーパをかけた挿入部分は、中心軸に向かって大腿骨頭部分の遠位の縁から離れるにつれて放射状に延びるように配置することができる。
【0033】もう1つの好適な実施態様では、大腿骨頭部分の遠位側が、テーパをかけた挿入部分の周りの部分に延びる溝(トロフ)として形成され、またその挿入部分の遠位部分は凹テーパを備えて形成することができる。
【0034】所望の場合には、テーパをかけた挿入部分の近位端には、放射状に外向きに広がる、一連の階段あるいはひれ状物(fins)を設けることができる。
【0035】本発明はさまざまな方法で実施することができるが、しかし、1つの実施態様をここで、実施例により、また添付の図面を参照しつつ説明する。
【0036】
【発明の実施の形態】図1に示されているように、大腿骨の元来の構造は、外側の硬質な骨、大腿骨の両端の領域でスポンジ状の内側を包み込んでいる通常は皮質といわれているものから成る。参照番号1で示される皮質は、大腿骨頭の上に広がっているが、しかし、大腿骨頭1と大腿骨頸2の接合部では非常に薄い。参照番号3で示される小柱線維は、図1に示されるように、皮質から上に向かって、また大腿骨頭1を通って発出している。骨が切断される場合には、これらの線維が鋭く尖った表面の周りを最良に修復できることが観察された。
【0037】図に示されているように、大腿骨補綴コンポーネントは、大腿骨頸2の近位側の位置で切除された大腿骨内に作成された受け口に設置するためのものであり、またそれには、テーパをかけた挿入部分4と近位の大腿骨頭部分5とが含まれる。テーパをかけた挿入部分4は、作成した受け口7に設置するために適応される近位端6を有し、また、参照番号8で示されるように、それは外向きに裾が広がっており、そのため、遠位−近位軸9に平行な平面における大腿骨頸2の最小寸法よりも大きい、大腿骨頸2の遠位−近位軸9に垂直な平面における最大寸法を有する。これは、図5でもっとも明確にみられることであろう。
【0038】図4からは、大腿骨頭が大腿骨頸2の近位側上の1点で横に切開され、また大腿骨頭のおよそ半分まで行ったところがみられる。
【0039】テーパをかけた挿入部分4の一般軸は、図3と図4中の参照番号10で示され、軸10に対して放射状に広がっている箇所の平面上では大腿骨頭部分5の中心軸11に対して傾斜している。中心軸11はコンポーネントが所定の位置にある場合には、大腿骨頸2の遠位−近位軸9と実質的に一直線になっている。
【0040】図2は、テーパをかけた挿入部分がどのような非円形横断面のものであり、またどのようにしてその骨に対して相対的に回転するのを防止するように形作られているかを図示している。このように、この挿入部分4の横断面は大腿骨頭5の中心軸11に垂直に延びている平面においては長くしてあり、またこの構造においては、横断面は実質的には方形である。
【0041】挿入部分4は、中心軸11に向かって大腿骨頭部分5の遠位縁12から離れるにつれて放射状に広がっており、また大腿骨頭部分5の遠位側は、テーパをかけた挿入部分4を大腿骨頭部分5の遠位側が取り囲む溝(トロフ)13として形成される。
【0042】挿入部分4の遠位部分14は、規則的なあるいは不規則な凹テーパ15として形成される。
【0043】図2は、金属、合成プラスチック材料あるいはセラミック材料から作成され、また単一コンポーネントとして形成されている構造を図示している。
【0044】図3〜6は、図2に図示されているものと同様の代替的な実施態様を示しているが、しかし複合構造のものである。
【0045】図3に示されている配置では、実質的に部分的に球形になっている軸受け要素20が設けられ、また大腿骨頭部分5の近位端には、部分的に球形になっている軸受け要素20上の整合雌テーパを受けるために雄テーパ23が設けられる。この軸受け要素20は、大腿骨頭部分5に設けられる、連係モールステーパ穴22に嵌合するように適応させたモールステーパが設けられる差込み継ぎ手21を有する。これが嵌合適合をもたらす。代替的には、差込み継ぎ手21と穴22は円筒状のものでありうる。
【0046】しかしながら、図4に示されている構造では、軸受け要素20は長くしたモールステーパ差込み継ぎ手25を有し、これは、大腿骨頭部分5を通って延び、延長モールステーパ穴22のなかにあるテーパ挿入部分4のなかに入る。図示されている構造では、大腿骨頭部分5の近位端が、軸受け要素20の内側壁26であるように、実質的に半球形である。
【0047】これらの構造では、テーパをかけた挿入部分は、都合のよいことに、合成プラスチック材料で、また軸受け要素20はいずれかほかの好適な材料、例えば、金属で作成することが可能である。所望の場合は、テーパ挿入部分と外側軸受け要素20の両方とも、同じ材料で作成することができる。また、テーパをつけた挿入部分4と大腿骨頭部分5はセラミック材料、例えば、アルミナジルコニウムあるいはジルコニウム強化アルミナから作成することができる。
【0048】図4は、骨がこのタイプの大腿骨補綴コンポーネントを受容するためにどのように切断されているかを図示している。元来の大腿骨頭は大腿骨頸2のすぐ上で切除され、軸11上に穴を設けるためにカットされる。次いで、第2の穴が、軸10の線上に第1の穴に対してある角度であけられる。穴により設けられたその開口は大きくされ、また横断面は実質的に方形である、テーパがかかっている開口部を設けるために外向きにテーパがつけられている。
【0049】この手順を実施する作成法は次のとおりである。すなわち、ステップ1:大腿骨頭は振動のこぎりを使用して赤道周囲で切断する。
ステップ2:案内棒は大腿骨頸の軸に沿って設置する。
ステップ3:打ち抜き切断工具は円筒形形状を作り出すよう、大腿骨頭の周りをきれいにするのに使用する。
ステップ4:外部円錐形リーマーは、高さを正すために大腿骨頭を穴開けし、かつ、切断のおよその深さを計測するトライアルキャップ(trial cap)を使用してその補綴用の接触表面を作成するのに使用する。
ステップ5:トライアルキャップは、寛骨臼が作成される間、その大腿骨頭を保護するのに使用する。
ステップ6:寛骨臼が所定位置にある場合には、トライアル減少(trial reduction)をトライアルキャップとトライアルヘッドを用いて実施し、高さを正して大腿骨が作成されたのを確かめ、その後、大腿骨の内側腔の作成を完了する。
ステップ7:トライアルヘッドを除去し、また穴開け案内としても働くことができるトライアルキャップを使って骨に2つの穴を開ける。リーマーの形状により裾が広がった形状がその骨に付与される。
ステップ8:トライアルキャップを除去して、その空洞部を、切骨刀か、あるいはやすりのいずれかで仕上げる。
【0050】補綴物はここでは、上述されているように、適合している。
【0051】所望の場合には、切断開口部の近位端は、図6に示されているように、一連の放射状に内側に延びている階段あるいはひれ状物27を設けるために切断することができる。階段あるいはひれ状物の鋭く尖った角の周りを修正するため、小柱線維の成長を促進するよう、挿入部分4の裾が広がった部分8上に同様な階段あるいはひれ状物28を設けることができる。
【0052】図3、4および5に図示されている幹の特定形状が、骨のなかでの挿入部分4の回転を防ぎ、また安定性も向上させ、移植するのを容易にしている。
【0053】本発明の長所は、それが最小限度の侵襲的な外科手術を含めたものであることである。
【0054】挿入部分4と大腿骨頭部分5は、いずれかの好適な材料、例えば、合成樹脂や炭素繊維、典型的な実施例は、チョップド炭素繊維をそのなかに組み込むことができるPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)あるいはPBT(polybutalieneterephthalate:ポリブタリエンテレフタレート)樹脂で作成することができる。有利には、その材料は格子状の骨として、同様の圧縮弾性率のものである。
【0055】上のすべての構造で、骨と境界を接する部分の表面仕上げは切り落としハニカム形態にすることができる。
【0056】挿入部分と近位大腿骨頭部分は、上に述べた材料のいずれかから作成し、また、骨伝導性であり、また骨成長を刺激するプラズマ溶射ヒドロキシアパタイト(HA)で被膜することができる。所望の場合には、その部品は、金属、例えば、有孔被膜チタンで作成することができる。
【0057】上述の構造では、挿入部分4は骨のなかに導入され、セメントによって保持できる。このように、少量のセメントを挿入部分の近位端では適用することができ、骨の成長は遠位端に向かって延びるのに頼る。
【0058】上述の構造では、テーパをつけた挿入部分は、大腿骨頸2に沿って延び、所望の場合には、短い長さのものだけにして、その頸部分を通過させないように配置することが可能である。
【出願人】 【識別番号】399040058
【氏名又は名称】ベノワスト・ジラール・エ・コンパーニ
【出願日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【代理人】 【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−346818(P2001−346818A)
【公開日】 平成13年12月18日(2001.12.18)
【出願番号】 特願2001−88990(P2001−88990)