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【発明の名称】 シリコーン系化合物の層を有する吸収性物品
【発明者】 【氏名】鈴木 祥代

【要約】 【課題】吸収性物品において横漏れを効果的に防止する防漏カフを得る。

【解決手段】液透過性トップシート4とバックシート2と前記両シートの間に挟まれた吸収コア3とを含む吸収性物品(生理用ナプキン1)である。生理用ナプキン1の両側部には横漏れを防止する防漏カフ5、5が設けられ、前記防漏カフ5、5の表面にはシリコーン系化合物の層8、8が設けられている。この防漏カフ5、5によって横漏れを確実に防止できる。また、防漏カフには経血などの排泄液が付着しにくいので、生理用ナプキンの交換時に使用者が視覚的に不快感を感じにくい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 着用者の肌に当接する液透過性のトップシートと、バックシートと、前記トップシートとバックシートとの間に位置する吸収コアと、が設けられた吸収性物品において、前記吸収コアの両側方で肌当接面側に位置するシートの表面に、シリコーン系化合物の層が形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】 吸収性物品の肌当接側表面から延びる防漏カフを有し、前記防漏カフの表面と裏面のうちの少なくとも1面にシリコーン系化合物の層が形成されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】 前記吸収コアの両側方に延びるフラップ部を有し、前記フラップ部の肌当接側表面にシリコーン系化合物の層が形成されている請求項1または2記載の吸収性物品。
【請求項4】 前記シリコーン系化合物の層は、前記面に接する第1のシリコーン系化合物の第1層と、第1層の上に形成された第2のシリコーン系化合物の第2層とからなる請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項5】 前記シリコーン系化合物の層は、第1のシリコーン系化合物と第2のシリコーン系化合物との混合物で形成されており、前記層の表面に、第2のシリコーン系化合物が第1のシリコーン系化合物より多く現れている請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項6】 前記第2のシリコーン系化合物は前記第1のシリコーン系化合物より表面張力が低い請求項4または5記載の吸収性物品。
【請求項7】 第2のシリコーン系化合物の表面張力が、30.0mN/m以下である請求項6記載の吸収性物品。
【請求項8】 前記第1のシリコーン系化合物がシリコーン樹脂である請求項4〜7のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項9】 前記第2のシリコーン系化合物はシリコーンオイルである請求項4〜8のいずれかに記載の吸収性物品。
【請求項10】 前記シリコーンオイルのポリシロキサン骨格導入率が30〜100%である請求項9記載の吸収性物品。
【請求項11】 前記シリコーンオイルの重合度は100以下である請求項9または10記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収性物品に関する。更に詳しくは、排泄物を確実にトップシートへと導き、且つ滲み出しによる横漏れも防止することができる防漏カフ、あるいはフラップを設けた吸収性物品に関する。またさらに詳しくはシリコーン系化合物層を有する防漏カフ、あるいはフラップを設けた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、尿取りパッドなど、排泄物を吸収させるための吸収性物品が多く使用されている。これら吸収性物品は、装着者の肌側に位置して排泄液を透過させる液透過性トップシートと、下着側に位置するバックシートと、前記トップシートとバックシートの間に挟まれた吸収コアとから構成される。さらにこれらの吸収性物品では、横方向に排泄液(排泄物)が移動して吸収性物品の外へと漏れることを防止するため、両側部には防漏カフが設けられる。このような吸収性物品では、装着時に物品内の湿度が高くなることを防止するため、通気性を持つ素材で形成され、例えば防漏カフは疎水性繊維からなる不織布で形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、疎水性繊維からなる不織布では、排泄物が不織布に付着し、吸収性物品の着用者の体圧によって排泄物が防漏カフの外側面へ滲み出すことがある。
【0004】また疎水性繊維からなる不織布で防漏カフを形成した場合、排泄液が一旦防漏カフに接触すると少量ではあるものの排泄液が防漏カフに付着してしまう。特に経血など蛋白質を含む液体は不織布などに強固に付着する。よって、生理用ナプキン等においては、使用後の廃棄時に、防漏カフに付着した経血の色によって装着者が不快感を感じ易い。
【0005】また軟便や水様便などの高粘度流体も不織布などに付着しやすいため、使い捨ておむつなどにおいては、軟便や水様便が防漏カフに付着することによって装着者に不快感を与える。
【0006】本発明は上記従来の課題を解決するものであり、排泄物の滲み出しによる横漏れを効果的に防止でき、また前記排泄物がトップシート以外の領域で付着しにくい吸収性物品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、着用者の肌に当接する液透過性のトップシートと、バックシートと、前記トップシートとバックシートとの間に位置する吸収コアと、が設けられた吸収性物品において、前記吸収コアの両側方で肌当接面側に位置するシートの表面に、シリコーン系化合物の層が形成されていることを特徴とする吸収性物品である。
【0008】本発明では、吸収コアの両側方に位置する防漏カフおよび/またはフラップ部にシリコーン系化合物層が設けられているので、排泄物が防漏カフおよび/またはフラップ部の外側面に滲み出ることを防止できる。さらに、シリコーン系化合物層の表面には排泄物が付着しにくく、特に蛋白質を含んだ経血であっても付着しにくい。よって前記防漏カフやフラップ部に前記経血などが付着しにくくなり、吸収性物品の交換時などに不快感を与えにくいものとなる。
【0009】吸収性物品の肌当接側表面から延びる防漏カフを有し、前記防漏カフの表面と裏面のうちの少なくとも1面にシリコーン系化合物の層が形成されていることができる。
【0010】また、前記吸収コアの両側方に延びるフラップ部を有し、前記フラップ部の肌当接側表面にシリコーン系化合物の層が形成されていてもよい。
【0011】前記シリコーン系化合物の層は、前記面に接する第1のシリコーン系化合物の第1層と、第1層の上に形成された第2のシリコーン系化合物の第2層とからなることが好ましい。
【0012】または、前記シリコーン系化合物の層は、第1のシリコーン系化合物と第2のシリコーン系化合物との混合物で形成されており、前記層の表面に、第2のシリコーン系化合物が第1のシリコーン系化合物より多く現れていることが好ましい。
【0013】この場合、前記第2のシリコーン系化合物は前記第1のシリコーン系化合物より表面張力が低いことが好ましい。
【0014】第2のシリコーン系化合物の表面張力が、30.0mN/m以下であることが好ましい。
【0015】前記第1のシリコーン系化合物がシリコーン樹脂であることが好ましい。前記第2のシリコーン系化合物はシリコーンオイルであることが好ましい。この場合、前記シリコーンオイルのポリシロキサン骨格導入率が30〜100%であることが好ましい。さらに、前記シリコーンオイルの重合度は100以下であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施の形態の吸収性物品として生理用ナプキンを示す平面図、図2は図1のII−II線の断面図である。生理用ナプキンの横方向をX方向とし、縦方向をY方向とする。また、装着者へ方向をZ1方向とし、下着などの外部装着体への方向をZ2方向とする。
【0017】図1及び図2に示す生理用ナプキン1は、装着者の肌に対面する液透過性のトップシート4と、下着側に対面するバックシート2と、前記トップシート4とバックシート2との間に挟まれる吸収コア3とを有して砂時計形状に形成されている。すなわち、砂時計形状の吸収コア3の周辺において、吸収コア3より一回り大きな砂時計形状のトップシート4とバックシート2とが接合されている。このトップシート4とバックシート2とが接合されたものが前記吸収コア3の横方向の両側に延出して、フラップ部6、6が形成されている。
【0018】また、横方向の両側において、吸収コア3の上に位置するトップシート4の上面から上方へ防漏カフ5、5が延びており、この防漏カフ5、5は、前記縦方向に延びている。
【0019】前記防漏カフ5はシートで形成されており、前記シートは生理用ナプキン1の横方向の両側縁部1R、1Lまで延びて、前記トップシート4の表面に接合され、防漏カフ5を形成している前記シートと前記トップシート4と前記バックシート2とで前記フラップ部6、6が形成されている。
【0020】前記シートは、前記吸収コア3上に位置する固定端5bを起点として肌当接側に延びる自由端5aが立ち上がって前記防漏カフ5,5が形成されている。自由端5aには、Y方向へ延びる弾性部材7が伸長した状態で接合されている。
【0021】前記防漏カフ5、5の縦方向(Y方向)の両端部は、生理用ナプキン1の肌当接側での縦方向両端部1eにおいて自由端5aがトップシート4側へ倒れるように接合されており、その結果、自由状態では弾性部材7が収縮し、生理用ナプキン1が縦方向へ向けて肌当接側が凹状に湾曲変形し、またその結果、図2に示すように防漏カフ5は固定端5bから自由端5aが肌当接側へ向けてZ1方向へ立ち上る。なお、図2においては固定端5bが吸収コア3上で形成されているが、固定端5bは前記フラップ部6上に形成されてもよい。
【0022】吸収性物品の縦中央線L0に対面する防漏カフ5の表面、すなわち内側面5mには、固定端5bから自由端5aまでシリコーン系化合物の層8が設けられている。シリコーン系化合物の層8は撥水性が高いため、吸収コア3で吸収しきれなかった経血などの排泄液がX方向へ多量に移動し、排泄液と層8とが接触した部分に体圧がかかったとしても、排泄液は前記層8から防漏カフ5の外側面5nへ滲み出て透過することがないため、横漏れを防止できる。またシリコーン系化合物の層8が設けられている箇所に経血が接触しても、経血はシリコーン系化合物の層8の表面上には付着せず、層8の表面をZ2方向へ滑り落ち、吸収コア3によって吸収される。よって、生理用ナプキン1を使用後に廃棄するとき、装着者は経血で汚れた防漏カフを目にすることが無くなり、装着者は視覚的に不快感を感じにくくなる。
【0023】なお、シリコーン系化合物の層8は、防漏カフ5の表面と裏面、すなわち内側面5mから外側面5nの双方に設けられていてもよい。また、図2においてはシリコーン系化合物の層8が防漏カフ5は自由端5aを完全に覆っているが、自由端5aはシリコーン系化合物の層8に覆われてなくてもよい。
【0024】前記防漏カフ5を形成するシートは、例えばキュプラ、レーヨン、アセテートなどのセルロース系化合物、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ナイロンなどのポリアミド系化合物、ビニロンなどのポリビニルアルコール系化合物、ビニリデンなどのポリ塩化ビニリデン系化合物、ポリ塩化ビニルなどのポリ塩化ビニル系化合物、ポリエチレンテレフタレートやポリアクリレートなどのポリエステル系化合物、アクリルなどのポリアクリロニトリル系化合物、低密度系ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系化合物、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系化合物、ポリウレタンなどのポリウレタン系化合物及びベンゾエートなどのポリアルキレンパラオキシベンゾエート系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物から形成された繊維及び/または天然繊維(コットン、麻、絹、パルプなど)により構成された不織布や、前記少なくとも一種の化合物から形成されたフィルムやネットである。好ましくは通気性をもつもので形成することが好ましい。さらに好ましくは、PE繊維、PP繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維や、PE/PPまたはPE/PETなどの複合繊維(すなわち芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維)等から形成されるスパンレース不織布、スパンボンド不織布、エアースルー不織布、サーマルボンド不織布である。熱可塑性繊維を含んだ不織布であれば、生理用ナプキン1に熱溶着によって接合でき、さらに肌に対する感触に優れたものとなる。
【0025】なお、表面にシリコーン系化合物を均一に薄く塗工できるように、防漏カフを形成する前記シートの表面は濡れ性が高いことが好ましい。例えばポリエチレンフィルムなどからなるシートで防漏カフ5を形成する場合、シリコーン系化合物の塗工に先立ち、コロナ放電処理を施して濡れ性を向上させることもできる。
【0026】シリコーン系化合物の層8はシリコーンオイル、シリコーン樹脂、シリコーンワニス、シリコーンゴム等の公知のシリコーン系化合物を一種または2種以上用いて形成することができる。シリコーン系化合物の層8を一種類の化合物で形成する場合、シリコーン系化合物はポリシロキサン骨格導入率が30〜100%のシリコーンオイルであることが好ましい。前記シリコーンオイルは重合度が100以下であることが更に好ましい。
【0027】またシリコーン系化合物の層8は2種類のシリコーン系化合物から形成することができる。具体的には、防漏カフ5の表面に接触するように設けられた第1のシリコーン系化合物の第1層と、第1層の表面に面する第2のシリコーン系化合物の第2層とからなることが好ましい。または、シリコーン系化合物の層8は、第1のシリコーン系化合物と第2のシリコーン系化合物との混合物の層であり、第2のシリコーン系化合物が前記層8の表面に第1のシリコーン系化合物より多く現れていることが好ましい。なおこれらの場合、第2のシリコーン系化合物として第1のシリコーン系化合物より表面張力の低いものを使用すると、層8の表面に、排泄物、例えば経血が付着しにくいものとなる。なお、ここでいうシリコーン系化合物の表面張力は液体状態の表面張力を意味する。ただし、シリコーン系化合物の固定後(固体化後)においても、第1のシリコーン系化合物の表面張力が第2のシリコーン系化合物の表面張力より大きいことが好ましい。
【0028】2種類のシリコーン系化合物から形成されるシリコーン系化合物の層8は以下の(1)〜(3)の方法によって得ることができる。
【0029】(1)防漏カフ5を形成するシートの表面に第1のシリコーン系化合物を塗工して架橋させ、下地層を形成し、下地層の固定後、下地層の表面に第2のシリコーン系化合物を塗工して表面層を形成する方法。
【0030】(2)第1のシリコーン系化合物と、第1のシリコーン系化合物より表面張力の低い第2のシリコーン系化合物との混合物を、シートの表面に塗工してシリコーン混合物層を形成し、第2のシリコーン系化合物がシリコーン混合物層の表面側へ移行し、第1のシリコーン系化合物がシート側へ移行した状態でそれぞれのシリコーン系化合物を架橋させる方法。
【0031】(3)第1のシリコーン系化合物と、第1のシリコーン系化合物より表面張力の低い第2のシリコーン系化合物との混合物をシートの表面に塗工してシリコーン混合物層を形成し、架橋後、ブリーディングさせることにより第2のシリコーン系化合物が主にシリコーン系化合物の層8の表面に現れるようにする方法。
【0032】前記(1)では、シートに第1のシリコーン系化合物を塗工・固定後、第2のシリコーン系化合物系を塗工して2層構造を形成するので、第1のシリコーン系化合物と第2のシリコーン系化合物は、反応性ポリマーと非反応性化合物のどちらを使用しても良い。
【0033】前記(2)(3)においては、第1のシリコーン系化合物として反応性ポリマーを、第2のシリコーン系化合物として非反応性化合物を好ましく使用する。前記(2)においては、第1のシリコーン系化合物と第2のシリコーン系化合物とを混合したものを塗工した状態でしばらく放置すると、第1のシリコーン系化合物が基材シート側に移行し、また第2のシリコーン系化合物が表面側に移行する。この状態で架橋処理を行ない、シリコーンを防漏カフ5の表面に固定する。
【0034】前記(3)においては、第1と第2のシリコーン系化合物を混合したものを塗工した直後、すぐに加熱などの架橋処理を行なう。すると、第2のシリコーン系化合物が表面側にブリーディングする。これは、非反応性の第2のシリコーン系化合物の表面張力が第1のシリコーン系化合物より小さいために起こると思われる。(3)の場合、防漏カフ5から層8の表面に向かって第2のシリコーン系化合物の量が徐々に多くなっている。
【0035】次に、第1のシリコーン系化合物について説明する。排泄物の付着防止効果を高めるためには、第1のシリコーン系化合物は表面張力が30.0mN/m以下であることが好ましい。なお、本発明でいう表面張力は、標準状態(気温20℃)で測定されたものとする。
【0036】第1のシリコーン系化合物はシロキサン構造を基本骨格とする反応性をもつシリコーンオイルであることが好ましい。例えば、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ポリジメチルシロキサンジオール、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ビニル変性シリコーンオイル及びアミノ変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。これらは、塗工後、乾燥・加熱等の処理により、防漏カフ5の表面に固着する。
【0037】また、前記(1)においては、第1のシリコーン系化合物として非反応性のシリコーン系化合物も使用できる。その場合、非反応性のシリコーン系化合物を塗工し、UV・EB照射によるラジカル重合による架橋処理を行なうことによって防漏カフ5の表面に固着させ、その後、第2のシリコーン系化合物を塗工する。非反応性のシリコーン系化合物としては、非反応性シリコーンオイル、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フルオロアルキル変性シリコーンオイル及び脂肪酸エステル変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
【0038】その他、前記(1)においては、第1のシリコーン系化合物として、ポリシロキサン、シリコーンアルキドワニス、シリコーンエポキシワニス、シリコーンポリエステルワニス、シリコーンアクリルワニス、シリコーンフェノールワニス、シリコーンウレタンワニス、シリコーンメラミンワニスなどのシリコーンワニスや、ジメチルシリコーンゴム、メチルビニルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム及びメチルフルオロアルキルシリコーンゴムなどのシリコーンゴムも用いることができる。
【0039】次に、第2のシリコーン系化合物について説明する。第2のシリコーン系化合物の表面張力は、第1のシリコーン系化合物の表面張力より低いことが好ましい。第2のシリコーン系化合物の表面張力は、第1のシリコーン系化合物の表面張力より、5.0mN/m以上小さいことが好ましい。また、汚れ付着防止効果を高めるため、第1のシリコーン系化合物として表面張力が30.0mN/m以下のものを使用する場合、第2のシリコーン系化合物の表面張力は21.0mN/m以下であることが好ましい。
【0040】前記(1)においては、第2のシリコーン系化合物が非反応性シリコーンオイルであることが好ましく、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、ポリジメチルシロキサンジオール、アルキル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、フルオロアルキル変性シリコーンオイル、脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル及びビニル変性シリコーンオイルからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
【0041】また、前記(2)(3)の場合、第2のシリコーン系化合物は非反応性シリコーン系化合物であることが好ましく、例えばポリシロキサン、シリコーンアルキドワニス、シリコーンアクリルワニス、シリコーンフェノールワニス、シリコーンウレタンワニス、シリコーンメラミンワニス及びジメチルシリコーンゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物であることが好ましい。
【0042】なお、優れた排泄物付着防止効果を得るため、前記(1)においては、第1のシリコーン系化合物で形成される下地層の厚みが少なくとも0.1μm以上であることが好ましい。さらに好ましくは0.3μmである。また、第2のシリコーン系化合物で形成される表面層の厚みが少なくとも0.1μm以上であることが好ましい。さらに好ましくは0.2μmである。なお、前記(2)(3)の場合も分離した後の各層の厚みがこの程度になることが好ましい。
【0043】またシリコーン系化合物の固定は、シリコーン系化合物を架橋させる方法として一般に用いられている方法により行なうことができる。例えば、加熱による縮合架橋・付加架橋や、UVによるカチオン重合・ラジカル重合や、EBによるラジカル重合である。
【0044】防漏カフ5を形成するシート上にシリコーン系化合物を塗付する方法としては、エアドクタコータ、ブレードコータ、ロッドコータ、ナイフコータ、スクイズコータ、含浸コータ、リバースロールコータ、トランスファロールコータ、グラビアコータ、キスロールコータ、キャストコータ、スプレーコータ、カーテンコータ、カレンダコータまたは押出コータなどの塗工方法を用いることができる。なお、コーターを用いてシリコーン系化合物を塗工するにあたり、層を均一に且つ薄く塗工するためにシリコーン系化合物は粘度が500mm2/s以下であることが好ましい。
【0045】生理用ナプキン1において、液透過性トップシート4は、親水処理されたPE繊維、PP繊維、PET繊維、またはこれらの複合繊維などで形成された不織布であり、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、エアースルー不織布、サーマルボンド不織布などである。あるいは開孔処理が施された樹脂シートである。
【0046】バックシート2は不透液性のシートで形成されることが好ましい。バックシート2は、通気性の樹脂フィルム、撥水処理されたスパンボンド不織布、メルトブローン不織布、またはそれら2つの複合不織布、あるいは不織布と通気性の樹脂フィルムとのラミネートシートである。なおバックシート2のZ2方向の裏面には、下着などの外部装着体などに掛止させるための粘着層2fが設けられている。なお、生理用ナプキンの使用時まで粘着層2fを保護するための離型紙も設けられることが好ましい。
【0047】吸収コア3は、粉砕パルプあるいは粉砕パルプと高吸水性ポリマーの混合物などにより形成され、粉砕パルプあるいは粉砕パルプと高吸水性ポリマーとの混合物がティッシュなどの吸収性シートで包まれたものである。
【0048】弾性部材7は天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン共重合体から形成されるエラストマーであり、その形状としては、糸状、フィラメント状、フィルム状、帯状(ベルト状)などの形態を取り得る。またはエラスチックスパンボンド不織布やエラスチックメルトブロン不織布などの伸縮性不織布を切断したもの等も使用可能である。ただし、弾性部材7が設けられる代りに、防漏カフ5自体を収縮性を持つシートや不織布で形成したり、通常のシートや不織布に細かな凹凸を付して収縮性を持たせたもので形成してもよい。
【0049】図3は、本発明の第2の実施の形態を示す断面図であり、第1の実施の形態の図2に相当する。図3に示す生理用ナプキン1Aでは、図2のようにシリコーン系化合物の層8は防漏カフ5の表面には設けられておらず、生理用ナプキン1Aの吸収コア3のX方向外側から両側縁部1R,1Lへ延びるフラップ部6、6の表面にシリコーン系化合物の層8Aが設けられている。この生理用ナプキン1Aでは、トップシート4の中央部から、フラップ部6、6へ経血などの排泄液が流れても、シリコーン系化合物の層8Aによって生理用ナプキン1Aの外へと漏れることを防止できる。
【0050】なお、前記防漏カフ5、5を設けず、前記層8Aが形成されて前記フラップ部6の両側縁部1R、1LにY方向へ延びる弾性部材を設け、フラップ部6、6が肌当接側へ立ち上がって実質的に防漏カフを形成しているものであってもよい。
【0051】また前記防漏カフ5、5とフラップ部6、6の双方に前記シリコーン系化合物の層を形成してもよい。
【0052】また、防漏カフ5とフラップ部6の双方に弾性部材が設けられていてもよい。図4は、本発明の第3の実施の形態を示す断面図である。図4に示す吸収性物品は生理用ナプキン1Bである。生理用ナプキン1Bの両側部では、両側縁部1R,1Lから吸収コア3の側部まで延びるバックシート2上にフラップ用シート9が設けられている。そして、バックシート2とフラップ用シート9は互いに接合されてフラップ部6B、6Bを形成している。生理用ナプキン1Bは、前記生理用ナプキン1、1Aに設けられているような防漏カフ5を有しないが、フラップ部6Bの端部(生理用ナプキン1Bの両側縁部1R,1L)には弾性部材7が設けられ、フラップ部6Bの端部が装着者の方向(Z2方向)へ立ち上っている。フラップ用シート9の表面にはシリコーン系化合物の層8Bが設けられている。
【0053】図5は、図4に示した生理用ナプキン1Bの変形例(第4の実施の形態)を示す断面図である。図5に示す生理用ナプキン1Cでは、フラップ用シート9Cが、生理用ナプキン1Cの両側縁部1R,1Lからトップシート4上の吸収コア3が存在する領域まで延びている。そして、シリコーン系化合物の層8Cもフラップ用シート9Cの表面全体を覆うように、両側縁部1R,1Lからトップシート4上の吸収コア3が存在する領域まで延びている。この場合、肌当接面は吸収コア3が存在する領域以外は全てシリコーン系化合物の層で覆われることになるので、漏れ防止効果が更に高くなる。
【0054】なお、フラップ部は様々な形態を取り得る。例えば、図6の生理用ナプキン1D(第5の実施の形態)に示すように、フラップ用シート9Dのみでフラップ部6Dを形成し、シリコーン系化合物の層8Dを設けても良い。また、図7の生理用ナプキン1E(第6の実施の形態)に示すように、バックシート2Eを生理用ナプキン1Eの両側縁部1R,1Lにおいてトップシート4側で且つ中央線L0に向かって折り返し、フラップ部6Eを形成しても良い。この場合、フラップ部6Eを形成するバックシート2Eの表面にシリコーン系化合物の層8Eが形成されている。
【0055】図8は、本発明の第7の実施の形態を示す断面図である。図4に示す吸収性物品は、使い捨ておむつ1Fである。使い捨ておむつ1Fでは、防漏カフ5のX方向の外側に対面する表面、すなわち外側面5n、5nにシリコーン系化合物の層8Fが設けられている。この場合においても尿や便が防漏カフ5の外側面5n上の層8より外へ滲み出ることがない。
【0056】以上、本発明の吸収性物品について生理用ナプキン及び使い捨ておむつを例に挙げて説明したが、使い捨ておむつや、尿取りパッドやパンティライナーなどその他の吸収性物品であってもよい。また、シリコーン系化合物の層が設けられる防漏カフは一つに限られず、2つまたは3つ以上の防漏カフに設けられていてもよい。
【0057】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】防漏カフ用のシートとして、ポリエチレンフィルム表面に溶媒で希釈された紫外線効果型シリコーンを厚み0.5μmで塗工し、溶媒を乾燥させた後、紫外線(350nm、120w/cm)を1秒間照射した。得られたシートを実施例1とした。
【0059】また、ジメチルシリコーンオイル(粘度20mm/s2、表面張力20.8mN/m)を厚み20μmで塗工した。得られたシートを実施例2とした。
【0060】さらに、前記実施例1と同様にして得られたシートのシリコーン樹脂層表面に、実施例2と同じジメチルシリコーンオイルを実施例2と同様にして塗工し、得られたシートを実施例3とした。
【0061】実施例1〜3について、以下に述べる接触角の測定及び滑落―付着性評価試験を行なった。また、比較例として、ポリエチレンフィルム及びポリテトラフルオロエチレンフィルムについても実施例と同様にして汚れの付着防止効果について試験を行なった。それぞれの結果を表1に示す。
【0062】(接触角)協和界面化学株式会社製の接触角計「CA−Sミクロ2型」を使用し、馬血をシリコーン系化合物の層の表面に滴下し、平衡に達したときの接触角を測定した。
【0063】(滑落―付着性評価試験)30mm×110mmに切断した各実施例のサンプルにおいて、シリコーン系化合物の層の表面をスパンレース不織布で20回摩擦した。摩擦後のシートを水平な台上に載せ、シートの端から1cm内側に馬血0.2gを滴下した。前記台を1度/秒の速度で傾け、馬血がながれ始めた時点の前記台の角度を滑落角とした。また馬血が完全にながれきった後の馬血の付着量を測定した。
【0064】
【表1】

【0065】上記結果より、ポリエチレンフィルムやフッ素系の撥水シートよりも本発明に用いられるシリコーン系化合物の層が設けられたシートの方が小さい角度勾配で血液等が流れ落ちるため、汚れの付着量が少ないことがわかる。さらに、シリコーン系化合物の層を2層構造とすることにより、摩擦に対する抵抗性が強いものとなることがわかる。よって、生理用ナプキンの防漏カフやフラップに本発明のシートを用いることにより、経血が付着しにくい優れた防漏カフやフラップを形成することができる。
【0066】
【発明の効果】本発明では、防漏カフやフラップにシリコーン系化合物層が設けられており、排泄物は防漏カフから透過しにくくなり、排泄物の滲み漏れを防止できる。
【0067】さらに、シリコーン系化合物層の表面には排泄物が付着しにくく、特に蛋白質を含んだ経血や、粘度の高い軟便や水様便であっても付着しにくい。よって、吸収性物品の交換時に装着者や介護者に不快感を与えにくい。特に2層構造もしくはほぼ2層構造のシリコーン系化合物の層を形成すれば、摩擦に対しても剥離や脱離や裂傷がおきにくく、特に優れた撥水効果並びに排泄物付着防止効果を持つ防漏カフを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
【出願日】 平成12年5月19日(2000.5.19)
【代理人】 【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
【公開番号】 特開2001−327533(P2001−327533A)
【公開日】 平成13年11月27日(2001.11.27)
【出願番号】 特願2000−147826(P2000−147826)