| 【発明の名称】 |
涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブおよび鼻涙管チューブ器具 |
| 【発明者】 |
【氏名】牧 野 弘 之
|
| 【要約】 |
【課題】鼻涙管チューブの挿入術を行う際に、暗い鼻腔内での操作を照明により直視しつつ、または鼻涙管チューブの位置を探知しながら、鼻涙管チューブの挿入を容易かつ確実に行うことを可能にする鼻涙管チューブ器具を提供する。
【解決手段】涙道に挿入可能な径をもつ可撓性留置チューブ部分20の両端のそれぞれに、留置チューブ部分20の延長部をなすように可撓性で光透過性の探子チューブ部分21が接続される。各探子チューブ部分21の先端21a、21bは閉鎖されるとともに、各探子チューブ部分21の基端寄りには開口23が形成される。術中は、開口23を経て探子チューブ部分21内部に、光ファイバー素子30のような発光素子が挿入される。これにより、光透過性の探子チューブ部分21は鼻腔内で光輝いて鼻腔内を照明する。これにより、術者は鼻腔内で的確に探子チューブ部分21を掴んで外部に引き出すことができる。発光素子に代って、探子チューブ部分21内部に超音波プローブ、内視鏡等を挿入して鼻涙管チューブの位置を探知することもできる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】涙道に挿入して留置することが可能な径をもつ可撓性チューブを備え、このチューブの両先端の少なくとも一方から所定の距離を置いた位置に開口が形成され、チューブの先端は滑らかな曲面状をなして尖っていることを特徴とする涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ。 【請求項2】前記チューブは、前記開口の近傍部分で開口を頂点として角度をなして屈曲していることを特徴とする請求項1記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ。 【請求項3】前記チューブが、可撓性留置チューブ部分と、この留置チューブ部分の両端のそれぞれに、留置チューブ部分の延長部を構成するように接続された可撓性の探子チューブ部分とを備えていることを特徴とする請求項1記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ。 【請求項4】前記チューブの少なくとも探子チューブ部分が光透過性材料で構成されていることを特徴とする請求項3記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ。 【請求項5】前記探子チューブ部分の先端が自由状態でかぎ状に屈曲する習性を与えられていることを特徴とする請求項3記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ。 【請求項6】前記探子チューブ部分がポリオレフィン、ポリアミド、またはポリウレタンの単体または混合物の群から選んだ材料により構成されていることを特徴とす 請求項3記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ。 【請求項7】涙道に挿入して留置することが可能な径をもつ可撓性チューブを備え、このチューブの両先端の少なくとも一方から所定の距離を置いた位置に開口が形成され、また、この開口を経てチューブ内部に抜去可能に挿入される発光素子を備えることを特徴とする涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項8】前記チューブが、可撓性留置チューブ部分と、この留置チューブ部分の両端のそれぞれに、留置チューブ部分の延長部を構成するように接続された可撓性の光透過性探子チューブ部分とを備えていることを特徴とする請求項7記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項9】前記チューブは、開口の近傍部分で開口を頂点として角度をなして屈曲していることを特徴とする請求項7記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項10】前記発光素子は光ファイバーからなり、光ファイバーに光源が接続されていることを特徴とする請求項7記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項11】前記発光素子は自己発光体からなることを特徴とする請求項7記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項12】前記チューブの両先端が自由状態でかぎ状に屈曲する習性を与えられていることを特徴とする請求項7記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項13】前記開口を経てチューブ内部に抜去可能に挿入される線材からなるブジを備えることを特徴とする請求項7記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項14】涙道に挿入して留置することが可能な径をもつ可撓性チューブを備え、このチューブの両先端の少なくとも一方から所定の距離を置いた位置に開口が形成され、また、この開口を経てチューブ内部に抜去可能に挿入されるチューブ位置探知手段を備えることを特徴とする涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項15】前記チューブが、可撓性留置チューブ部分と、この留置チューブ部分の両端のそれぞれに、留置チューブ部分の延長部を構成するように接続された可撓性の探子チューブ部分とを備え、前記開口は、探子チューブ部分に設けられていることを特徴とする請求項14記載の道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項16】前記チューブは、開口の近傍部分で開口を頂点として角度をなして屈曲していることを特徴とする請求項14記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項17】前記チューブ位置探知手段は超音波プローブからなることを特徴とする請求項14記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項18】前記探子チューブ部分は光透過性材料からなり、前記チューブ位置探知手段は内視鏡からなることを特徴とする請求項14記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項19】前記チューブの両先端が自由状態でかぎ状に屈曲する習性を与えられていることを特徴とする請求項14記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。 【請求項20】前記開口を経てチューブ内部に抜去可能に挿入される線材からなるブジーを備えることを特徴とする請求項14記載の涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、流涙症の治療等のために、涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管の涙道を再形成する手術の際に用いる鼻涙管チューブおよび鼻涙管チューブ器具に関する。 【0002】 【従来の技術】人間の目と鼻の部分は、図15に示すようになっており、目Eの内部は、その鼻側の上下に開口する小孔である上涙点1aおよび下涙点1bを介して上涙小管2aと下涙小管2bに連通している。そして、上涙小管2aと下涙小管2bは、総涙小管3を経て涙嚢4に連なっている。この涙嚢4は下方へ向かって延びる鼻涙管5に連通し、鼻涙管5の下端は下鼻道6で終わっている。なお、7は中鼻道を示し、8は中鼻甲介を示している。 【0003】以上のような涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管等を含む涙道の再形成手術を行う際に用いる鼻涙管チューブとしては、シリコーンチューブをもつ器具が知られている。このシリコーンチューブは、例えば涙道形成術あるいは涙小管形成術のステントとして、または眼部放射線治療の合併症である涙道閉塞の予防のための挿入具として使用される場合が多い。 【0004】このシリコーンチューブをもつ器具およびその使用方法は、図16および図17に示すとおりである。この器具は、図16に示すように可撓性のシリコーンチューブ9の両端に金属製の棒状プローブ10、10を接続した構造を有しており、各棒状プローブ10の先端は符号11で示すように膨大している。この器具は図17に示すようして上下の涙点1a,1bから涙嚢4および鼻涙管5に挿入される。すなわち、まず各棒状プローブ10の先端の膨大部11を上下の涙点1a,1bを経て上下の涙小管2a,2bにそれぞれ挿入する。そして、挿入作業をさらに進め、膨大部11が鼻腔内に達したところで専用フック12を各棒状プローブ10の膨大部11に掛けて図17に示すように外部へ引き出す。このような各棒状プローブ10の案内作用によって、シリコーンチューブ9は涙点1a,1bから下鼻道6ヘ貫通状に通されることになる。以上のような挿通作業の完了後、必要に応じて棒状プローブ10をシリコーンチューブ9から外し、図18に示すようにシリコーンチューブ9の先端同士を結び目13が形成されるように結ぶことによって、シリコーンチューブ9は図示のように固定されて脱落しないようになり、ステントとして体内に残されて涙道の連通状態を維持する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のようにシリコーンチューブ付き器具の挿入術を行う際に、特に涙嚢4、鼻涙管5の部分が暗いために、鼻腔内操作を手探り状態で行わねばならず、本来通すべき経路から外れた仮道が組織にできてしまうことも多く、鼻粘膜を傷つけて大量の出血を引き起こす等操作は困難を極める。これを回避するために、内視鏡で観察しながら操作を行う、無影灯を用いて照明を行う等の方法の試みもあるが、内視鏡ではモニターを見ながら手先で実体の手術を行うので作業が容易ではなく、また無影灯では鼻腔内を直視するのが難しく、十分な効果が得られない。 【0006】本発明は、上述の問題を解決するためになされたもので、その目的は、上述のような鼻涙管チューブ挿入術を行う際に、鼻涙管チューブを鼻腔を通して鼻腔外に確実かつ容易に引き出すことができ、したがって、粘膜等を傷つけ出血を引き起こす等の問題がない、涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブおよび鼻涙管チューブ器具を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明によれば、涙道に挿入して留置することが可能な径をもつ可撓性チューブを備え、このチューブの両先端の少なくとも一方から所定の距離を置いた位置に開口が形成され、チューブの先端は滑らかな曲面状をなして尖っていることを特徴とする涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブが提供される。前記チューブは、開口の近傍部分で開口を頂点として角度をなして屈曲するように形成するのが望ましい。 【0008】前記チューブは、可撓性留置チューブ部分と、この留置チューブ部分の両端のそれぞれに、留置チューブ部分の延長部をなすように接続された可撓性の探子チューブ部分とから構成することができ、前記開口は探子チューブ部分に形成することができる。 【0009】また、本発明によれば、涙道に挿入して留置可能な可撓性チューブを備え、チューブの両先端の少なくとも一方から所定の距離を置いた位置に開口が形成され、この開口を経てチューブ内部に抜去可能に挿入される発光素子を備えることを特徴とする涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具が提供される。発光素子は光ファイバーまたは自己発光体により構成することができる。 【0010】また、本発明によれば、涙道に挿入して留置可能な可撓性チューブを備え、チューブの両先端の少なくとも一方から所定の距離を置いた位置に開口が形成され、この開口を経てチューブ内部に抜去可能に挿入されるチューブ位置探知手段を備えることを特徴とする涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブ器具が提供される。チューブ位置探知手段は、超音波プローブや内視鏡により構成することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。 【0012】図1に示すように、本発明による涙道再形成手術に用いる鼻涙管チューブおよび鼻涙管チューブ器具の実施の形態は、涙道に挿入可能な径をもつチューブTを有し、このチューブTは、可撓性留置チューブ部分20と、この留置チューブ部分20の両端のそれぞれに、留置チューブ部分20の延長部を構成するように接続された可撓性で光透過性(透明または半透明)の探子チューブ部分21とから構成されている。可撓性留置チューブ部分20は従来例のようにシリコーンにより構成することができる。また、探子チューブ部分21は例えばポリオレフィン、ポリアミド、またはポリウレタンの単体または混合物の群から選んだ材料により構成することができる。ポリオレフィン等のこれら材料からなるチューブはシリコーンチューブより硬さがあって形状保持性に優れており、涙道に挿入し易い。留置チューブ部分20の内径は例えば0.05ないし3.5mm程度が好ましく、さらに好ましくは0.5ないし0.6mm程度であり、探子チューブ部分21の外径は0.1ないし4.0mm程度が好ましく、さらに好ましくは例えば1.1mm程度である。探子チューブ部分21の先端21aから開口23までの長さは典型的には55mm程度である。なお、チューブTは、留置チューブ部分20の部分と探子チューブ部分21の部分をすべて一体的に同じ材料で形成した構造をもつようにすることもできる。 【0013】探子チューブ部分21の基端は、留置チューブ部分20の両端に符号24で示す部分で接合される。また、探子チューブ部分21の先端21aは、涙点等への挿入を容易かつ円滑にするため、先端が曲面状、例えば球面状に尖ったほぼ円錐形状に形成されるとともに端部が閉鎖され、図2にも示すように、自由な状態では、かぎ状に屈曲する形状をもつように形成されている。図2に最も明瞭に示すように、探子チューブ部分21の基端近傍には開口23が形成されている。この開口23を経て、探子チューブ部分21内には、後述のように、金属製の細線状ブジー、および極細の発光素子(例えば光ファイバー素子)あるいはチューブ位置探知手段が抜去可能に挿入される。開口23の周縁は断烈しないように強固に形成しておく必要がある。探子チューブ部分21の閉じた先端21aは、挿入された細線状ブジーの先端により押されたときに当該ブジーが突き抜けることがない程度の固さに形成されている。なお、先端21aは閉じているのが望ましいが、支障のない程度に開放されていてもよい。探子チューブ部分21は、その開口23の近傍で角度αをなして屈曲させてある。開口23はこの屈曲部の頂点位置の凸側にあるように設けられる。角度αは例えば5度程度とする。なお、図示の実施の形態では、開口23は両先端21aから一定の距離だけ離れた位置にそれぞれ1個設けられているけれども、一方の側の開口を省略することも場合によっては可能である。 【0014】次に、本発明の器具に属する金属製の細線状ブジーおよび極細の光ファイバー素子について説明する。図3にはブジー26を示してある。このブジー26は可撓性をもつが保形性のある極細の金属線により構成されていて、図3に示すように探子チューブ部分21の内部に開口23を経て挿入可能な外径をもっている。このブジー26の基部には後述のようにブジー26の操作時にそれを把持する把持部26a(図5)が設けられている。 【0015】一方、光ファイバー素子は図4に符号30で示されており、ブジー26と同様、探子チューブ部分21の内部に開口23を経て挿入可能な外径をもつ可撓性の極細線状をなしている。この光ファイバー素子30は、その一端に光源31(図8)から光を入力させると内部を光が反射しつつ進む構成を持っている。なお、発光素子としては光ファイバー以外の任意の線状発光体を用いることができる。例えば、光ファイバーのように光源から光の供給を受ける必要のあるものに代って、自分で発光する自己発光体、例えば蓄光性顔料を発光素子として用いることもできる。いずれにしても、自己発光体は、探子チューブ部分21の内部に開口23を経て挿入可能な外径をもつ可撓性の極細線状をなしている必要がある。 【0016】次に、以上に説明した構造をもつ本発明の鼻涙管チューブ器具の使用方法を説明する。 【0017】まず、図3に示すように、一方の探子チューブ部分21の内部に開口23を経て金属細線のブジー26を挿入する。この時、開口23が探子チューブ部分21の屈曲部の頂点位置にあるので、開口23から探子チューブ部分21内への金属細線ブジー26の挿入は容易に行うことができる。金属細線のブジー26は直線状をなしているので、図3に示すように、探子チューブ部分21の内部の先端部まで点線で示すようにブジー26を挿入することによって、探子チューブ部分21の先端21aの屈曲したかぎ状探子チューブ部分は消失する。即ち、金属細線ブジー26の直線形状に習って、図3に示すように探子チューブ部分21の先端部は直線状になり、屈曲先端21aの屈曲形状は消失する。 【0018】図3の状態が得られたところで、先端21aを先にして下涙点1b(図15)から探子チューブ部分21の挿入を開始する。挿入された探子チューブ部分21は、涙小管2b、総涙小管3、涙嚢4を経て進み、最終的に図5に示す位置に達する。この位置では、探子チューブ部分21の先端21aは鼻底壁15の位置に達している。所定位置への探子チューブ部分21の挿入完了は、開口23が下涙点1bに入る直前の位置で確認することができる。 【0019】図5の状態を確認したところで、図6に示すように金属細線ブジー26を矢印Aで示すように抜去する。ブジー26の抜去は、その基部に設けたつまみ部分26aを把持して行う。ブジー26を抜去すると、探子チューブ部分21の先端21aは、ブジー26による直線形状維持機能が消失し、先端21aはその習性により図6に示すように元のかぎ形状に戻る。それによって、かぎ形状の先端21aは鼻底壁15に当って探子チューブ部分21は外れにくい安定した状態になる。 【0020】次に、図7に示すように、ブジー26を抜去した探子チューブ部分21の内部に、開口23を経て、本発明の特徴をなす発光素子としての光ファイバー素子30を矢印B方向に挿入する。この際にも、開口23の近傍の屈曲形状は光ファイバー素子30の挿入を容易にする。光ファイバー素子30を探子チューブ部分21の内部に挿入した状態は、図4に示す通りである。光ファイバー素子30は保形性が低いので、それが探子チューブ部分21内の先端まで挿入され終っても、かぎ状に屈曲した先端部21aは図7に示すようにその形状を維持したままで、鼻底壁15に当って探子チューブ部分21の脱出を阻止し続ける。 【0021】上記のようにして光ファイバー素子30を探子チューブ部分21の内部に挿入し、かつ図8に示すように光源31から光ファイバー素子30に光が入力されていることにより、探子チューブ部分21内の光ファイバー素子30は光輝く。したがって、探子チューブ部分21はそれが光透過性(透明または半透明)であることによって、暗い鼻腔内で全体として光輝いて鼻腔内を内部から照明する。このため、術者は鼻腔内を直視することができる。よって、術者は鼻鏡で鼻穴を拡大しつつ、図9に示すように、鼻腔内で光っている探子チューブ部分21の先端21aを、例えば耳鼻科用鉗子またはフック33等で確実に掴んで鼻腔内から矢印C方向に引き出すことができる。 【0022】これによって、探子チューブ部分21に続く留置チューブ部分20は、下涙点1b、下涙小管2b、涙嚢4等の内部に引き込まれる。その状態を図10に示す。この状態では前記開口23は鼻腔内にある。次いで、図10に矢印Dで示すように光ファイバー素子30を探子チューブ部分21内から抜去する。これにより探子チューブ部分21は光輝くことがなくなる。 【0023】続いて、図11に示すように探子チューブ部分21を矢印Eで示すようにさらに引き出して、留置チューブ部分20の一部をも露出させる。これによって、下涙点1bを経由する留置チューブ部分20の引き込みが完了する。 【0024】次に、上涙点1aを経由して探子チューブ部分21および留置チューブ部分20の他の側の挿入作業を始める。その手順は、下涙点1bを経由する上述の手順と基本的に変わるところがなく、図12から図14を参照して以下に説明する通りである。 【0025】まず、図12に示すように残る側の開口23を経て金属細線ブジー26を矢印Fで示す方向に残る側の探子チューブ部分21の内部に挿入する。なお、残る側の探子チューブ部分21の先端は符号21bにより示してある。そして、保形性をもつブジー26による先導作用により、前述の場合と同様に探子チューブ部分21をその先端21bが鼻底壁15に当たるまで挿入する。そして、ブジー26を抜去すると先端21bはその習性により屈曲して鼻底壁15に当たり、探子チューブ部分21は図13に示すように簡単には抜けなくなる。 【0026】次に、ブジー26を抜去した探子チューブ部分21の内部に前述と同様にして光ファイバー素子30を挿入する(図示省略)と、探子チューブ部分21が鼻腔内で光輝くので、術者は探子チューブ部分21の先端21bを容易にフックで掴んで外に引き出すことができる。次いで、前述の場合とまったく同様にして光ファイバー素子30を抜去した後、その側の探子チューブ部分21をさらに引き出すと図14の状態が得られる。この状態では、留置チューブ部分20の両端部は、上涙点1aおよび下涙点1bから完全に涙道に挿入されて鼻腔から外部に導き出されたことになる。そして、最後に、探子チューブ部分21を留置チューブ部分20から外し、図19に示した従来の場合と同様に留置チューブ部分20に結び目13を形成して留置チューブ部分20が移動できないようにし、一連の手順が完了する。 【0027】以上に述べた手順は、光ファイバー素子30に代って線状自己発光体を使用した場合でも同じである。 【0028】以上に述べた実施の形態では、光ファイバー素子30や自己発光体のような照明効果のある発光素子を使用しているが、発光素子の代りに、涙道や鼻腔内での探子チューブ部分21の位置を探知できる「チューブ位置探知手段」を用いることもできる。チューブ位置探知手段としては、例えば超音波プローブ、内視鏡等が挙げられる。使用する超音波プローブは、探子チューブ部分21の内部に開口23を経て出し入れされる関係上、細い線状に形成される。内視鏡についても同様である。超音波プローブは、探子チューブ部分内で超音波を発し、その超音波の反射状態によって、探子チューブ部分が本来通すべき経路から外れているかどうかを検知する。術者は超音波の反射状態を見て、探子チューブ部分が通されている経路を知ることができる。なお、超音波プローブを用いる場合には、探子チューブ部分は光透過性である必要は必ずしもない。また、内視鏡を用いる場合は探子チューブ部分の壁を通して探子チューブ部分の外側を見る必要があるので、探子チューブ部分は光透過性である必要がある。 【0029】 【発明の効果】以上に実施の形態について説明したように、本発明では、チューブに開口を設けているので、この開口を経てチューブ内に発光素子やチューブ位置探知手段を出し入れできる。このため、鼻涙管チューブ挿入術を行う際、発光素子を用いる場合にはチューブ自体が光輝き、暗い鼻腔内でのチューブの操作を、チューブを照明により直視しつつ容易かつ的確に行うことができる。そして、チューブの先端を曲面状に形成することによって、チューブの涙道への挿入が円滑になる。 【0030】また、チューブ位置探知手段を用いる場合には、この探知手段によって、チューブが通されている経路を知ることができる。したがって、チューブが仮道を作ったりして、粘膜等を傷つけ出血を引き起こす等の問題を避けることができる。 【0031】また、チューブを、その開口の近傍部分で角度をなすように屈曲させることにより、発光素子やチューブ位置探知手段のチューブに対する挿入、抜去を容易に行うことができる。 【0032】さらに、チューブ内部に抜去可能に挿入される線材のブジーによって、チューブの涙道内への導入を確実に行うことができる。 【0033】また、チューブの先端に自由状態でかぎ状に屈曲する習性を与えておくことによって、チューブの先端が鼻底壁に当たるようにし、手術の途中でチューブが戻るのを確実に防ぐことができる。 【0034】さらにまた、チューブの探子チューブ部分を保形性の良いポリオレフィン、ポリアミド、またはポリウレタンの単体または混合物の群から選んだ材料により構成することにより、探子チューブ部分の十分なプローブ効果を得ることが可能になる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】500117509 【氏名又は名称】中川 皓夫
|
| 【出願日】 |
平成13年3月14日(2001.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075812 【弁理士】 【氏名又は名称】吉武 賢次 (外5名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−327525(P2001−327525A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月27日(2001.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2001−71931(P2001−71931) |
|