| 【発明の名称】 |
医療用生体内分解吸収性粘着テープ |
| 【発明者】 |
【氏名】敷波 保夫
【氏名】川原田 裕之
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| 【要約】 |
【課題】手術の際に生体内で使用して骨折部分の整復固定や他の組織の形成、固定などを簡単に行うことができ、治癒後、再手術をして生体内から取り出す必要のない医療用生体内分解吸収性粘着テープを提供する。
【解決手段】生体内分解吸収性ポリマーよりなるテープ基材の少なくとも片面に、体温に近い温度(略30℃〜40℃)以上の温度で粘着性を発現もしくは増大する熱感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層、又は、水分との接触で粘着性を発現もしくは増大する水感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層を形成して、医療用生体内分解吸収性粘着テープを構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】生体内分解吸収性ポリマーよりなるテープ基材の少なくとも片面に、体温に近い温度(略30℃〜40℃)以上の温度で粘着性を発現もしくは増大する熱感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層、又は、水分との接触で粘着性を発現もしくは増大する水感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層を形成したことを特徴とする医療用生体内分解吸収性粘着テープ。 【請求項2】テープ基材が、生体内分解吸収性ポリマーの不織布、織布、フィルムのいずれかである請求項1に記載の粘着テープ。 【請求項3】テープ基材を構成する生体内分解吸収性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、乳酸−グリコール酸共重合体、乳酸−カプロラクトン共重合体のいずれか、又は、これらの2種以上を混合したものである請求項1又は請求項2に記載の粘着テープ。 【請求項4】テープ基材を構成する生体内分解吸収性ポリマーが、D−乳酸とL−乳酸との共重合体である請求項1又は請求項2に記載の粘着テープ。 【請求項5】テープ基材を構成する生体内分解吸収性ポリマーが、D−乳酸とL−乳酸とのラセミ共重合体である請求項1又は請求項2に記載の粘着テープ。 【請求項6】粘着層、又は、粘着層とテープ基材の双方に、生体活性なバイオセラミックス粉体が含有されている請求項1に記載の粘着テープ。 【請求項7】熱感応性の生体内分解吸収性粘着物が、p−ジオキサノンと他の生体内分解吸収性の単量体との共重合体であって、2,000〜200,000の重量平均分子量を有するものである請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の粘着テープ。 【請求項8】熱感応性の生体内分解吸収性粘着物が、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとD−乳酸との共重合体、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとL−乳酸との共重合体、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとD,L−乳酸との共重合体、8,000〜50,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとトリメチレンカーボネートとの共重合体、10,000〜100,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとε−カプロラクトンとの共重合体のいずれか、又は、これらの2種以上を混合したものである請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の粘着テープ。 【請求項9】熱感応性の生体内分解吸収性粘着物が、p−ジオキサノンとメソ−D,L−ラクチドとの共重合体であって、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するものである請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の粘着テープ。 【請求項10】共重合体が、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、星形ポリエチレングリコールなどの多官能アルコールを混合して合成された星形共重合体である請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の粘着テープ。 【請求項11】熱感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層に、グリセリン又はそのポリマー、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、アルギン酸(ソーダ)又はそのポリマー、ポリエチレングリコール、キトサン、酸化セルロース繊維、微繊維性コラーゲンのいずれか一種又は二種以上を含有させて水感応性をも付与した請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の粘着テープ。 【請求項12】水感応性の生体内分解吸収性粘着物が、フィブリン糊、ゼラチン系粘着剤、キトサン系粘着剤、コラーゲン系粘着剤のいずれか、又は、これらの2種以上を混合したものである請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の粘着テープ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生体内に埋設して使用される医療用生体内分解吸収性粘着テープに関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、複雑な骨折部分の整復固定には、金属製の骨接合プレート、ピン、スクリュー等が多用されている。しかしながら、これらは、金属イオンの溶出によって生体に害を与える恐れがあるため、あるいは強度的に過剰に強すぎるので周囲骨にかえって脆弱化を与えるため、骨折が治癒した後にそれを体内から取り出す再手術をしなければならないという問題があった。 【0003】そこで、本出願人は、生体内分解吸収性のポリ乳酸等からなる骨接合プレート、ピン、スクリュー等を開発した。これらは、生体骨と同程度の初期強度を備え、骨折が治癒した後は生体内で加水分解されて吸収されるため再手術を行う必要がないという優れたものであった。 【0004】けれども、これらの生体内分解吸収性の骨接合プレート、ピン、スクリュー等は、従来の金属製のものと同様、生体骨に孔をあけてねじ込んだり打ち込んだりする必要があるため、操作が煩雑であり、骨折部分の整復固定に時間がかかるという問題があった。特に、修復箇所が外力の殆どかからない部位であって、テーピング等により簡単に固定するだけで充分と考えられるような場合でも、ドリルによる生体骨の孔あけ作業、ピンの打ち込み作業、スクリューのねじ込み作業等が必要であり、その手間が大変であった。 【0005】上記のような場合、生体内で使用可能な分解吸収性の粘着テープがあれば、大きい外力が作用しない骨折部分をテーピングにより簡単に整復固定することが可能であるが、そのような粘着テープは未だ開発されていない。 【0006】また、そのような粘着テープがあれば、生体内の手術において、骨以外の他の硬組織や軟組織をテーピングにより簡単に固定したり、形状を整えたりすることができるので、糸やクリップで固定する場合よりも、手術の能率が大幅に向上することとなり、更に、そのような粘着テープは、狭頭症の手術等において切断した頭蓋骨の隙間を被覆して骨同士の癒合を促すような場合にも有効利用が見込まれる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑みなされたもので、手術の際に生体内で使用して骨折部分の整復固定や他の組織の形成、固定などを簡単に行うことができ、治癒後、再手術をして生体内から取り出す必要のない医療用生体内分解吸収性粘着テープを提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発明の医療用生体内分解吸収性粘着テープは、生体内分解吸収性ポリマーよりなるテープ基材の少なくとも片面に、体温に近い温度(略30℃〜40℃)以上の温度で粘着性を発現もしくは増大する熱感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層、又は、水分との接触で粘着性を発現もしくは増大する水感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層を形成したことを特徴とするものである。 【0009】このような粘着テープは、手術の際に、体温に近い温度以上の温度に加温するか、又は、水分と接触させることによって、粘着性を発現もしくは増大させることができ、骨折部分の整復固定や他の組織との固定を行ったまま生体内に埋設される。この粘着テープは粘着性を維持し、骨折部分等が治癒するまで固定力を持続する。そして、治癒後は、粘着テープのテープ基材も粘着層も体液との接触によって加水分解され、最終的に生体に完全に吸収される。従って、治癒後、再手術をして生体内から粘着テープを取り出す必要は全くない。 【0010】本発明の粘着テープの基材としては、生体内分解吸収性ポリマーの不織布、織布、フィルムなどが適しており、20〜500μmの厚さを有するものが好ましく使用される。テープ基材が20μmよりも薄くなると、粘着テープの強度、特に引裂き強度が低下して切断しやすくなる恐れがあり、また、500μmよりも厚くなると、生体内での分解吸収に要する時間が長くなり、柔軟性も低下するといった不都合を生じる。テープ基材の更に好ましい厚さは40〜300μmであり、更に好ましくは50〜150μmである。 【0011】テープ基材となる不織布は、生体内分解吸収性ポリマーの長繊維が絡み合って溶着したものであり、例えば、生体内分解吸収性ポリマーの溶液をノズルから繊維状に連続して吐出形成しながら絡ませ合って溶着した不織布や、所定の長さに切断した生体内分解吸収性ポリマーの長繊維を互いに絡み合うように堆積して熱圧着等の手段により溶着した不織布が使用され、特に、長繊維の太さが50μm以下で、目付重量が1〜20g/m2 程度、厚さが20〜300μm程度である不織布が好適に使用される。 【0012】不織布の長繊維が50μmよりも太くなると、生体内での見掛け上の加水分解速度が遅くなり、生体に吸収されるまでの期間が長くなる。また、目付重量が1g/m2 より軽い不織布は引裂き強度が不充分であり、20g/m2 より重い不織布は柔軟性に乏しく、生体内での分解吸収に要する期間も長くなる。不織布の更に好ましい繊維の太さは5〜15μmであり、更に好ましい目付重量は3〜10g/m2 である。 【0013】不織布の長繊維は、多孔質の繊維でも無孔質の繊維でもよいが、多孔質の繊維であると、生体内で体液と接触する表面積が増大するため、加水分解が促進されて吸収に要する時間が更に短縮される利点がある。なお、多孔質の生体内分解吸収性ポリマーの繊維は、後述するように、該ポリマーを溶剤と非溶剤との混合溶媒に溶解し、このポリマー溶液をノズルを通して繊維状に吐出することによって容易に得ることができる。 【0014】また、テープ基材として使用される織布は、多孔質又は無孔質の生体内分解吸収性ポリマーの糸(太さ10〜500μm程度のもの)で平織り、綾織り、朱子織りしたもの等が好適である。 【0015】一方、テープ基材として使用されるフィルムは、インフレーション法その他の公知のフィルム形成法によって得られる生体内分解吸収性ポリマーのフィルムであり、無延伸のフィルムは勿論、延伸したフィルムも使用される。延伸したフィルムは引張り強度が大きいので、これをテープ基材として用いると、引張り強度の大きい丈夫な粘着テープを得ることができる。 【0016】このフィルムは無孔であっても多孔性であってもよい。多孔性フィルムにすると、フィルムが厚くても柔軟性に富み、体積が少ない分、見掛け上の加水分解が速く進む利点がある。さらに多孔性フィルムは連続気泡を有するものが適しており、特に、発泡倍率が2〜10倍程度のものが好ましく使用される。発泡倍率が2倍よりも小さい多孔性シートは生体内での分解吸収が遅くなり、発泡倍率が10倍よりも大きい多孔性シートは引裂き強度が低下して切断しやすくなる。 【0017】上記の不織布、織布、フィルム等の原料となる生体内分解吸収性ポリマーとしては、既に実用され生体内での安全性が確認されているポリ乳酸やポリグリコール酸や各種ポリ乳酸共重合体などが好適に使用される。 【0018】ポリ乳酸としては、L−乳酸のホモポリマーや、D−乳酸とL乳酸とのコポリマーが使用され、特に、D−乳酸とL−乳酸が30:70〜70:30のモル比で共重合したコポリマーが好ましく使用される。このようなコポリマーからなる不織布やフィルムは生体内での加水分解がすみやかに進行し、およそ半年余りで生体にほぼ吸収される利点がある。更に好ましいコポリマーは、D−乳酸とL−乳酸が50:50のモル比で共重合したラセミ共重合体である。 【0019】また、ポリ乳酸共重合体としては、乳酸−グリコール酸共重合体や乳酸−カプロラクトン共重合体のうち繊維やフィルムを形成する粘性をもつ比較的高分子量のものが使用でき、特に、乳酸とグリコール酸又はカプロラクトンとのモル比が99:1〜50:50の範囲にあるものが好ましく使用される。その他、ポリ乳酸とポリエチレングリコールとの共重合体や、ポリ乳酸とポリプロピレングリコールとの共重合体なども、テープ基材の原料ポリマーとして使用できる。 【0020】上記の生体内分解吸収性ポリマーの分子量は、少なくとも繊維やフィルム等を形成し得る分子量以上であればよく、通常、5万以上の粘度平均分子量を有するポリマーであれば使用することができる。しかし、分子量の上限が60万を越えてあまり高くなりすぎると、ノズルから繊維を吐出形成し辛くなったりフィルムを形成し辛くなること、及び、生体内での分解吸収に長時間を要することから、粘度平均分子量が10万〜30万の範囲にある生体内分解吸収性ポリマーを使用することが好ましい。 【0021】以上のようなテープ基材の少なくとも片面に積層形成される粘着層は、体温に近い温度(略30℃〜40℃)以上の温度で粘着性を発現もしくは増大する熱感応性の生体内分解吸収性粘着物、又は、水分との接触で粘着性を発現もしくは増大する水感応性の生体内分解吸収性粘着物からなる層である。この粘着層の厚さは30〜300μm程度であることが好ましく、これより薄くなると、粘着力が不足する恐れがある。一方、これより厚くしても、それに見合った粘着力の向上が得られず、むしろ、分解吸収されるべき物質の量が多くなりすぎることと、生体内での分解吸収に要する時間が長くなるといった不都合を生じる。 【0022】上記の熱感応性の生体内分解吸収性粘着物は、具体的にはp−ジオキサノンと他の生体内分解吸収性の単量体との共重合体であって、2,000〜200,000の重量平均分子量を有するものからなる可塑性の粘着物であり、好適なものは、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとD−乳酸との共重合体、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとL−乳酸との共重合体、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとD,L−乳酸との共重合体、8,000〜50,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとトリメチレンカーボネートとの共重合体、10,000〜100,000の重量平均分子量を有するp−ジオキサノンとε−カプロラクトンとの共重合体のいずれか、又はこれらの2種以上を混合したものからなる生体内分解吸収性の可塑性粘着物である。特に、p−ジオキサノンとメソ−D,L−ラクチドとの共重合体であって、5,000〜60,000の重量平均分子量を有するものは粘着性に優れており、極めて好適に使用できる。また、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール、星形ポリエチレングリコールなどの多官能アルコールを混合して合成された、上記の共重合体を分岐鎖に持つ星形共重合体からなる生体内分解吸収性の可塑性粘着物も好適に使用できる。 【0023】これらの共重合体は、p−ジオキサノンがグリコール酸とエチレングリコールの脱水縮合物であるから、本質的に三元共重合体である。p−ジオキサノンとD−、L−又はD,L−乳酸の共重合体の構造式は下記の[化1]に示す通りであり、p−ジオキサノンとトリメチレンカーボネートの共重合体の構造式は下記の[化2]に示す通りであり、p−ジオキサノンとε−カプロラクトンの共重合体の構造式は下記の[化3]に示す通りである。これらの共重合体はブロックあるいはランダム配列のどちらであってもよい。なお、[化1]の共重合体は、D体とL体が光学異性体のモノマーとして混在している場合は四元の共重合体とみなせる。 【0024】 【化1】
【0025】 【化2】
【0026】 【化3】
【0027】このようにグリコール酸とエチレングリコールの縮合物であるp−ジオキサノンを主たる成分とし、これにD−,L−,D,L−乳酸、又はトリメチレンカーボネート、又はε−カプロラクトンを共重合させて得られた共重合体は、分子配列が乱されており、凝集力があまり大きくない2,000〜200,000程度の比較的小さな重量平均分子量を有する本質的に三元あるいはそれ以上の共重合体である。重量平均分子量が6,000〜100,000程度の共重合体は、概して30℃より低い温度域では粘着性がない比較的硬い固体(時としてゴム状あるいは固体ワックス様)であるが、ヒトの体温前後の温度(30℃〜40℃)以上の温度域では、軟化して可塑性を発現すると共に、接触により生体組織等を固定ないし仮止めできる程度の粘着性を発現するものであり、更に高い温度域では、流動性を増して水飴状、糊状、ゼリー状などの粘稠な物質に変わる一種のホットメルトタイプの粘着物となる。重量平均分子量が2,000〜60,000の共重合体は、室温でも粘着性を発揮するようになり、また、60,000〜200,000の共重合体は、加熱しても粘着性が十分発現しにくくなる。 【0028】ちなみに、これらの共重合体からなる粘着物は、JIS Z 0237−1991の90°引剥がし法の試験方法による37℃での粘着力が100〜1500g程度(但し、試料の幅は1/2インチ、引張り速度は300mm/min)であり、その粘着力の大きさは、p−ジオキサノンと共重合する単量体の種類によって変化し、メソ−D,L−乳酸>ラセミ−D,L−乳酸>L−乳酸,D−乳酸>トリメチレンカーボネート>ε−カプロラクトンの順となる。そして、これらの共重合体からなる粘着物は、37℃で70以下のショアー硬度を有する程度にまで軟化する。 【0029】なかでも、p−ジオキサノンとD,L−乳酸、L−乳酸、D−乳酸との共重合体よりなる粘着物は、その分解吸収速度が適度であり、後述するように生体内で体液と接触することにより速い場合は2〜3週間、遅い場合でも2〜3ケ月で顕著に分解する。そして、速い場合は2〜3ケ月、遅い場合でも6〜12ケ月で生体内に吸収され体外へ排出されて消失する。 【0030】上記共重合体中のp−ジオキサノンの占める割合は、5〜95モル%とすることが必要である。p−ジオキサノンの占める割合が95モル%を越えると、共重合体の粘着性やその他の物性が実質的にp−ジオキサノンのホモポリマーの物性と変わらなくなり、逆に5モル%を下回ると、共重合体の物性が実質的に他の共重合成分のホモポリマーの物性と変わらなくなるので、本発明の目的にかなう粘着物にはなり得ない。p−ジオキサノンのより好ましい割合は15〜85モル%であり、最も好ましい割合は30〜80モル%である。この範囲でp−ジオキサノンを含む共重合体は、体温前後の温度域(30℃〜40℃)において良好な粘着性と自在な可塑性を有し、正常な体温である37℃においても実用的な形状保持性をもつ。 【0031】また、共重合体の重量平均分子量は、既述したように2,000〜200,000の範囲内であり、200,000を越えると、30℃以上の温度域でも柔軟性を欠き、粘着性および可塑性が低下するといった不都合を生じる。そして、生体内での分解吸収に要する期間も長くなる。一方、重量平均分子量が2000を下回ると、共重合体が液体に近づき、過度のべとつきがあり、曳糸性がひどく、形状保形性がなくなり、粘着テープの粘着層を構成する粘着剤としては使用し難くなる。なお、個々の好ましい共重合体の分子量は既述した通りである。 【0032】上記の共重合体よりなる粘着物には、共重合体の重量平均分子量より大きい重量平均分子量を有する、p−ジオキサノンとD,L−乳酸との共重合体、ポリ−p−ジオキサノン、ポリ−D,L−乳酸などを更に混合してもよい。このように重量平均分子量の高いポリマーを混合すると、粘着物の形状保持性を改良することがで、また、生体内での分解速度を少し遅らすこともできる。 【0033】混合する重量平均分子量の高いポリマーは、上記の共重合体の重量平均分子量以上で、且つ、大略20万以下の重量平均分子量を有するものが適当であり、20万より高分子量のポリマーを混合すると、分解と吸収に必要以上の長時間を要するという不都合を生じる。重量平均分子量の高いポリマーの混合率は、5〜30重量%の範囲とするのが好ましい。30重量%より多量に混合すると、分解、吸収に長時間を要すると共に、粘着性及び可塑変形性が悪くなり、5重量%より少なく混合すると、混合の効果が実質的に得られない。 【0034】また、上記の共重合体よりなる粘着物は、無数の気泡を含ませて多孔質体としてもよい。このように気泡を含ませると、生体内に埋設したとき体液が気泡を通じて粘着物の内部まで侵入しやすくなるため、粘着物の加水分解が速くなり、しかも周囲の組織細胞が体液と共に粘着物の内部まで誘導されて成長するため、速やかに組織を再建できる利点がある。 【0035】さらに、上記共重合体の粘着物よりなる粘着層には、グリセリン又はそのポリマー、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、アルギン酸(ソーダ)又はそのポリマー、ポリエチレングリコール、キトサンなどの吸水性のある高分子や、酸化セルロース繊維、微繊維性コラーゲンなどを一種又は二種以上含有させることによって、水感応性を併せて付与するようにしてもよい。このように吸水性の高分子を含有させると、体内で体液もしくは血液と接触した際に該高分子が吸水し、粘着層の上記共重合体が水との接触で粘着性の低下を生じるのを防止することが可能となり、また、止血効果も合わせ持つ利点がある。 【0036】一方、粘着層を構成する水感応性の生体内分解吸収性粘着物としては、フィブリン糊や、ゼラチン系接着剤、キトサン系接着剤、コラーゲン系接着剤などを架橋剤の量を少なくすることで粘着剤としたものが単独で或は混合して使用される。フィブリン糊は、水溶性の血漿蛋白質であるフィブリノーゲンをトロンビンの酵素作用によりフィブリンに限定分解し、その分解フィブリンを分子会合させてゲル化させた生体系接着剤である。また、ゼラチン系接着剤は、生体由来のゼラチンとレゾルシノールをホルマリンで架橋した接着剤である。また、キトサン系接着剤は生体由来のキトサンを酸で処理した接着剤であるし、コラーゲン系接着剤はアルカリ可溶化コラーゲンに架橋剤を加えて架橋させた接着剤である。このような接着剤の架橋剤の量を少なくして粘着性をもたせたものを粘着剤としてテープ基材に塗布した粘着テープを用いて骨折部分等に貼付けると、体液あるいは血液と接触して粘着性を発現もしくは増大して固定することができる。 【0037】上記の熱感応性あるいは水感応性の生体内分解吸収性粘着剤のうちでも、熱感応性粘着剤は、水感応性粘着剤で使用するホルマリンや酸や架橋剤を使用しないので、これらの生体に与える悪影響を排除でき、さらに粘着力も強いので好ましく採用される。 【0038】上記の熱感応性あるいは水感応性の生体内分解吸収性粘着剤は、これらを単独で使用してテープ基材に積層形成して粘着層としてもよいが、熱感応性粘着剤に水感応性粘着剤を適量添加して、熱感応性と水感応性の両性質を兼備した粘着層としてもよい。 【0039】以上のような熱感応性又は水感応性の生体内分解吸収性粘着物からなる粘着層を、前述のテープ基材の少なくとも片面に形成した本発明の粘着テープにおいて、生体活性なバイオセラミックス粉体を、粘着層又は粘着層とテープ基材の双方に含有させてもよい。このようにバイオセラミックス粉体を含有させた粘着テープで例えば骨折部分をテーピングすると、バイオセラミックス粉体の骨伝導能によって粘着テープと骨が強く結合、一体化する利点が生ずる。 【0040】バイオセラミックス粉体としては、例えば焼結ハイドロキシアパタイト、バイオガラス、セラバイタル、アパタイトウォラストガラスセラミックス、湿式(未焼成もしくは未仮焼成の)ハイドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、ジカルシウムホスフェート、カルサイトなどの生体活性であるものが使用され、その好ましい含有量は、テープ基材及び粘着層のいずれに含有させる場合も、5〜50重量%である。含有量が50重量%より多くなると、テープ基材や粘着層が脆弱化し、5%より少なくなると、骨との結合性の向上が殆ど見られなくなる。 【0041】更に、各種のサイトカイン、キチンもしくはキトサンの誘導体、各種の薬物やホルモンなどを、粘着層又は粘着層とテープ基材の双方に有効量含有させるようにしてもよい。サイトカインとしては、例えばTGF−β(トランスフォーミング成長因子)、EGP(上皮増殖因子)、FGF(繊維芽細胞増殖因子)、IFNs (各種のインターフェロン)、LAFs (各種のインターロイキン)、BHPs (各種の骨増殖因子)などが使用される。また、薬物の主なものとしては、リュウマチ治療薬(抗リュウマチ薬、ステロイド薬、免疫抑制薬など)、骨粗しょう症治療薬(カルシウム製剤、滑性ビタミンD、ビタミンK2 、カルシトニン、イプリフラボン、エストロゲン、ジホスホン酸誘導体、副甲状腺ホルモン、新規ステロイド誘導体、骨形成タンパクなど)、抗癌剤(アドリアマイシン、シスプラチン、マイトマイシン、5−フルオロウラシルなど)、抗菌薬、構成物質などが挙げられる。 【0042】以上詳述した本発明の医療用生体内分解吸収性粘着テープは、手術の際に、体温に近い温度以上の温度に加温するか、又は、水と接触させることによって粘着性を発現もしくは増大させるか、或は、貼付けて体温付近の温度まで昇温させて粘着性を発現もしくは増大させ、簡単なテーピング作業により該テープを貼付けて骨折部分の整復固定や他の組織の固定、仮止めなどを行ったまま生体内に埋設される。このように埋設された粘着テープは体温や体液との接触によって粘着性を維持し、骨折部分等が治癒するまで固定力を持続する。そして、治癒後は、粘着テープのテープ基材も粘着層も体液との接触によって加水分解され、最終的に生体に完全に吸収されるので、治癒後、再手術をして生体内から粘着テープを取り出す必要は全くない。 【0043】このように本発明の粘着テープは、簡単なテーピング作業で骨折部分の整復固定や他の組織の固定、仮止めなどを行えるため、他の金属製や吸収性ポリマーでできたスクリュー、プレート、ピンなどの固定材と比べて手術の能率が大幅に向上して、手術に要する時間を大幅に短縮することが可能となり、且つ、患者に再手術の負担を強いることも解消できるようになる。 【0044】次に、本発明の粘着テープ(テープ基材が不織布であるもの)を製造する具体的な方法について説明する。 【0045】まず、前述したテープ基材用の生体内分解吸収性ポリマーを、該ポリマーを溶解できる溶剤、又は、この溶剤とこの溶剤よりも沸点が高い非溶剤との混合溶媒に溶解し、ポリマー溶液を調製する。前者の溶剤に生体内分解吸収性ポリマーを溶解したポリマー溶液は、非多孔質の長繊維からなる不織布のテープ基材を作製する場合に使用し、後者の混合溶媒に生体内分解吸収性ポリマーを溶解したポリマー溶液は、多孔質の長繊維からなる不織布のテープ基材を作製する場合に使用する。 【0046】上記の溶剤としては、常温よりやや高い温度で揮散しやすい低沸点の溶剤、例えば塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロルエタンなどが使用され、この中では最も低い沸点と最も高い蒸気圧を示す低毒性の塩化メチレンが最適である。また、非溶剤としては、溶剤との相溶性に優れ、沸点が60〜110℃の範囲にある一価アルコール、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ter−ブタノール、ter−ペンタノールなどが使用され、この中では毒性や臭いの少ないエタノール、1−プロパノール、2−プロパノールが好適に使用される。また、これらの一価アルコールに少量の水を加えたものも使用される。 【0047】ポリマー溶液の濃度は、溶解する生体内分解吸収性ポリマーの分子量を考慮して、0.5〜10重量%の範囲内に調整するのが適当であり、形成される長繊維はポリマー溶液の濃度が高くなるほど太くなるので、この濃度を調整することによって形成される長繊維の太さをコントロールすることが好ましい。 【0048】ポリマー溶液の調製が完了すると、ノズルからポリマー溶液を繊維状に連続して吐出し、面状支持体に均等に吹付けることによって不織布を作製する。吹付け量は、最終的に厚さ20〜300μm、目付重量1〜20g/m2 の不織布が得られるようにコントロールする必要がある。 【0049】上記のようにポリマー溶液を繊維状に吐出して吹付けると、吐出された長繊維が褶曲しながら絡み合って溶着し、溶媒の気散に伴って固化した生体内分解吸収性ポリマーの長繊維からなる不織布が形成される。その場合、ポリマー溶液が溶剤にポリマーを溶解したものであると、非多孔質の長繊維からなる不織布が形成されるが、前述した混合溶媒にポリマーを溶解したポリマー溶液を使用すると、多孔質の長繊維からなる不織布が形成される。 【0050】尚、バイオセラミックス粉体等を含む不織布からなるテープ基材を作製する場合は、該粉体を均一に分散させたポリマー溶液をノズルから吐出するか、又は、該粉体の分散液とポリマー溶液を二つのノズルから共に吐出するか、又は、ノズルの出口で吐出されたポリマー溶液上に該粉体の分散液を滴下しながら吹付けるようにすればよい。 【0051】生体内分解吸収性ポリマーの不織布からなるテープ基材の作製が完了すると、前述した熱感応性の生体内分解吸収性粘着物を50〜60℃に加熱して塗布に適した粘稠液となし、これをバーコート等の塗布手段でテープ基材の片面又は両面に一様な厚みに塗布したのち、30℃以下の室温で冷却、固化して厚さ30〜300μmの粘着層をテープ基材の片面又は両面に形成する。そして、これを所定のテープ幅に切断したのち、ロール状に捲きとり、滅菌処理を施して粘着テープの製品とする。その場合、ポリエチレンフィルム等の剥離性フィルムを重ねてロール状に捲きとると、貯蔵温度が30℃以上になった場合でも、粘着テープ同士が粘着するのを防止できるので好ましい。 【0052】尚、バイオセラミックス粉体等を含んだ粘着層を形成する場合は、生体内分解吸収性粘着物を加熱した粘稠液に該粉体を均一に混合、分散させて、テープ基材に塗布すればよい。 【0053】また、水感応性を併せ持つ熱感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層を形成する場合は、熱感応性の生体内分解吸収性粘着物を加熱した粘稠液に、前述した吸水性を有する高分子や微繊維性コラーゲンなどを均一に混合分散させて、テープ基材に塗布するか、或は、上記の熱感応性粘着物と吸水性の高分子などを溶剤に溶解して均一に混合した溶液をテープ基材に塗布して乾燥すればよい。 【0054】更に、水感応性の生体内分解吸収性粘着物よりなる粘着層を形成するには、フィブリン糊の粘着層の場合、フィブリノーゲン液をテープ基材に塗布しておき、トロンビン、アブロチニン、塩化カルシウム混合液を塗布するか、または、フィブリノーゲン液とトロンビン、アブロチニン、塩化カルシウム混合液を混和し、テープ基材に塗布すればよい。また、ゼラチン系粘着層を形成する場合も、テープ基材にゼラチンとレゾルシノールを塗布しておき、架橋剤のホルマリンを塗布するか、または、ゼラチンとレゾルシノールを架橋剤のホルマリンと混合してテープ基材に塗布すればよい。更に、キトサン系粘着層の場合は、キトサンを塩酸で処理したものをテープ基材に塗布すればよく、また、コラーゲン系粘着層の場合は、アルカリ可溶化コラーゲンに架橋剤を加えてテープ基材に塗布すればよい。 【0055】次に、本発明の更に具体的な実施例を説明する。 【0056】[実施例1]粘度平均分子量(Mv)が21万のD−乳酸とL−乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)をジクロロメタンに溶解し、濃度4%のポリマー溶液を調整した。このポリマー溶液をスプレーノズル(口径:1mm)から735KN/m2 の吐出圧力で繊維状に連続して吐出し、面状支持体に吹き付けることによって、繊維径1〜50μmの長繊維が絡み合って溶着した厚さ90〜110μm、目付重量6.5g/m2 の不織布を得た。 【0057】一方、pージオキサノン(DOX)10.2g(0.1mol)と、D,L−ラクチド(D,LーLA)14.4g(0.1mоl)をガラス容器に入れ、開始剤(ラウリルアルコール)300ppm、触媒(2ーエチルヘキサン錫)100ppmをトルエンに分散させて添加した後、真空ポンプにて20時間減圧乾燥し、トルエンを除去後、ガラス容器内の空気をN2 ガスで置換し、減圧状態で封管した。これを170℃のオイル浴中で一定の時間間隔で内部を撹拌しながら共重合を進め、所定時間後、重合容器を取り出して反応を停止させ重合体を得た。これをアセトンに溶解後、エタノール中に沈殿させ未反応物などを除去することにより精製し、重量平均分子量が0.76万、1.1万、1.5万、2.5万、8.6万、21.8万の共重合体を得た。 【0058】そして、上記の不織布をテープ基材として使用し、その片面にそれぞれの共重合体を80℃に加熱した粘稠液を厚さ100±10μmに塗布し、これを室温で冷却後、15mmのテープ幅に切断し3種類の生体内分解吸収性粘着テープを得た。 【0059】これらのテープについて、それぞれの性状と、JΙS Z 0237ー1991の90°引き剥がし試験法に従って37℃でSUS304に対する粘着力を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは250mm、引張速度は300mm/min)した結果を表1に示す。 【0060】 【表1】
【0061】これらの測定結果から、粘着層の共重合体の重量平均分子量が1.5万の粘着テープや2.5万の粘着テープは、室温での取扱い性に優れ、体温前後の温度で粘着層が良好な可塑性を備え、大きい外力が作用しない骨折部分の固定や、仮止めなどに使用するには十分な粘着力を有していることが分かった。但し、粘着層の共重合体の重量平均分子量が1.1万の粘着テープは、粘着層と基材との界面の粘着が弱く、取扱い難いものの、なお骨折部分の固定などには十分な粘着力を有している。また、重量平均分子量が0.76万の共重合体の粘着テープは、室温でやや流動性を有し、保形性を保ちにくいが、粘着力は有していて、骨折部分等の固定を行える状態にあった。そして、共重合体の重量平均分子量が8.6万の粘着テープは、粘着力が弱いものの、加熱により粘着性が生じ、骨折部分の固定には十分な粘着力を有していた。さらに、共重合体の重量平均分子量が21.8万の粘着テープは加熱しても粘着力を発現しなかった。これらのことより、p−ジオキサノンとD,L乳酸との共重合体は、その重量平均分子量が5,000〜60,000程度のものが取扱い性や粘着力において最も好ましいことが分かる。重量平均分子量が5000以下では粘着力が低いものの、固定するには十分な粘着力を有しているが、流動性が高いため不適となることもあるので、低くとも2000以上の分子量が必要であり、そにれより保形性を維持するようにしなければならない。さらに、重量平均分子量が20万以上になると加熱によっても粘着力を発現せず、採用し難いことが分かった。 【0062】更に、これらの粘着テープの引張破壊強度を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは50mm、引張速度は300mm/min)したところ、粘着層の重量平均分子量に関係なく、6〜120KN/m2であった。このことより骨折部分の整復固定や仮止めなどに十分使用できるだけの引張強度を有することが分かった。 【0063】[実施例2]実施例1と同様の方法で、粘度平均分子量(Mv)が21万のDー乳酸とLー乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)の不織布を作製した。一方、D,L−ラクチドに代えてメソ−D,L−ラクチドを使用し、実施例1と同様の方法で、p−ジオキサノンとメソ−D,L−ラクチドとの共重合体[p−ジオキサノン/メソ−D,L−ラクチド=1/1(モル比)]であって重量平均分子量がそれぞれ1.1万、1.5万、2.5万のものを得た。そして、それぞれの共重合体を80℃に加熱した粘稠液を上記不織布の片面に100±10μmの厚さに塗布し、これを室温で冷却後、15mmのテープ幅に切断して生体内分解吸収性粘着テープを得た。 【0064】これらのテープについて、それぞれの性状と、JΙS Z 0237ー1991の90°引き剥がし試験法に従って37℃でSUS304に対する粘着力を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは250mm、引張速度は300mm/min)した結果を表2に示す。 【0065】 【表2】
【0066】これらの測定結果より、p−ジオキサノン/メソ−D,L−ラクチド共重合体のほうがp−ジオキサノン/D,L−ラクチド共重合体よりも粘着力が大きいことがわかる。これは、メソ−D,L−ラクチドからなる分子はD−,L−ラクチドの交互配列の効果によるためと考えられる。 【0067】[実施例3]実施例1と同様の方法で、粘度平均分子量(Mv)が21万のDー乳酸とLー乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)の不織布を作製すると共に、重量平均分子量が1.1万、1.5万、2.0万のpージオキサノン(DOX)とD,Lーラクチド(D,LーLA)との共重合体を合成し、これらの共重合体に未焼成のハイドロキシアパタイト(uーHA)(粒径2〜3μm)を50wt%混合したものを粘着剤として、幅15mmの生体内分解吸収性粘着テープを得た。 【0068】これらのテープについてそれぞれの性状、および、JIS Z 0237ー1991の90°引き剥がし試験法に従って37℃でSUS304に対する粘着力を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは250mm、引張速度は300mm/min)した結果を表3に示す。また、この生体内分解吸収性粘着テープを37℃の擬似体液中に浸漬し、浸漬時間と分子量低下の関係を調べた結果を表4に示す。 【0069】 【表3】
【0070】この結果、uーHA(粒径2〜3μm)を50wt%混合することで粘着性の調整と、粘着層の保型性を付与できることが分かった。 【0071】 【表4】
【0072】この結果から、Dー乳酸とLー乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)の不織布よりなるテープ基材と、pージオキサノン(DOX)とD,Lーラクチド(D,LーLA)との共重合体からなる粘着層を用いた生体内分解吸収性粘着テープは、生体内で比較的短時間のうちに加水分解されて吸収される可能性があることが分かった。 【0073】[実施例4]粘度平均分子量(Mv)が21万のDー乳酸とLー乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)をジクロロメタンとエタノールとの混合溶媒(ジクロロメタン/エタノール=10/0、10/3、10/6)にそれぞれ溶解し、実施例1と同様の方法で厚さ90〜110μmの3種類の不織布を作製して、これを基材とした。そして、実施例3で作製した重量平均分子量が1.5万のpージオキサノン(DOX)とD,Lーラクチド(D,LーLA)との共重合体に、uーHA(粒径2〜3μm)を50wt%混合したものを粘着層として、幅15mmの3種類の生体内分解吸収性粘着テープを得た。 【0074】これらの粘着テープについて、JIS Z 0237ー1991の90°引き剥がし試験法に従って37℃でSUS 304に対する粘着力を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは250mm、引張速度は300mm/min)した。また、これらの粘着テープの引張破壊強度を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは50mm、引張速度は300mm/min)した。その結果を表5に示す。 【0075】 【表5】
【0076】この結果から、Dー乳酸とLー乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)の不織布の作製は、エタノールを含まないポリマー溶液から作製した場合の方が骨折部分の固定や仮止めなどに使用するに充分な引張強度を有することが分かった。しかし、加水分解されて吸収を速くするためには、不織布を形成している繊維に多孔性を付与するジクロロメタン/エタノール混合溶液から作製するのが好ましいと考えられる。 【0077】[実施例5]実施例1と同様の方法で、粘度平均分子量(Mv)21万のDー乳酸とLー乳酸とのラセミ共重合体(D/L=50/50)からなる厚さ90〜110μmの不織布を作製して、これを基材とした。そして、実施例3で作製した重量平均分子量が1.5万のpージオキサノン(DOX)とD,L−ラクチド(D,LーLA)との共重合体にuーHA(粒径2〜3μm)を50wt%混合したものに、更にヒアルロン酸(分子量:60万〜120万)を5wt%混合したものを粘着層として、幅15mmの生体内分解吸収性粘着テープを得た。 【0078】一方、上記のpージオキサノンとD,L−ラクチドとの共重合体にu−HAのみを混合した粘着層を上記不織布の片面に形成した幅15mmの生体内分解吸収性粘着テープを作製した。 【0079】そして、これらの粘着テープについて、JIS Z 0237ー1991の90°引き剥がし試験法に従って37℃でSUS 304に対する粘着力、および、牛の大腿骨から切り出した皮質骨に対する粘着力を測定(但し、試料の幅は15mm、長さは100mm、引張速度は300mm/min)した。その結果を表6に示す。 【0080】 【表6】
【0081】この結果から、粘着層中にヒアルロン酸を5wt%混合した粘着テープは、皮質骨のように水分が存在する場合でも粘着力が増加していることより、水感応性を併せてもった生体内分解吸収性粘着テープとなりうることが分かった。 【0082】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の医療用生体内分解吸収性粘着テープは、手術の際に、簡単なテーピング作業で骨折部分の整復固定や他の組織の固定、仮止めなどを行えるため、手術の能率が大幅に向上して、手術に要する時間を大幅に短縮することが可能となり、しかも、治癒後は生体に吸収されて消失するため、粘着テープを取り出す再手術が不要となって患者の負担を軽減することができる。特に、狭頭症などの頭蓋骨の骨切り後の整復固定などのようにテープ自体に高い強度を要しない症例への適用には極めて効果的である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000108719 【氏名又は名称】タキロン株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年5月23日(2000.5.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090608 【弁理士】 【氏名又は名称】河▲崎▼ 眞樹
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| 【公開番号】 |
特開2001−327520(P2001−327520A) |
| 【公開日】 |
平成13年11月27日(2001.11.27) |
| 【出願番号】 |
特願2000−155961(P2000−155961) |
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