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【発明の名称】 膝関節症治療用品
【発明者】 【氏名】戸田 佳孝

【要約】 【課題】膝関節症に対して優れた治療効果を発揮し、外出時(靴を履いている時)はもちろんのこと、家に帰ってからも引き続き使用することができ、位置ズレの心配もなく、また靴の(足の)悪臭の原因にもならない膝関節症治療用品(10)を、比較的安価に提供するところにある。

【解決手段】変形性膝関節症などの膝関節症を治療するためのものであって、所定長さを有する伸縮帯(12)と、伸縮帯(12)の長手方向中央部に設けられた弾性体(14)とを備え、弾性体(14)は、伸縮帯(12)の一端側に向かうに従って次第に厚みが大きくなる断面略三角形状の部分を有し、弾性体(14)における厚みの大きい部分を足裏の内側寄り、または外側寄りに当てがった状態で足首を伸縮帯(12)の巻き付けにより固定することができるように構成され、弾性体(14)を伸縮帯(12)に対して着脱自在に構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】変形性膝関節症などの膝関節症を治療するためのものであって、所定長さを有する伸縮帯と、前記伸縮帯の長手方向中央部に設けられた弾性体とを備え、前記弾性体は、前記伸縮帯に対して着脱自在に設けられ、これにより当該弾性体は交換可能となり、かつ前記弾性体は、前記伸縮帯の一端側に向かうに従って次第に厚みが大きくなる断面略三角形状の部分を有し、前記弾性体を足裏の内側寄りまたは外側寄りに当てがった状態で、足首を前記伸縮帯の巻き付けにより固定することができるように構成したことを特徴とする膝関節症治療用品。
【請求項2】変形性膝関節症などの膝関節症を治療するためのものであって、所定長さを有する伸縮帯と、前記伸縮帯の長手方向中央部に設けられた弾性体とを備え、前記弾性体は、前記伸縮帯に対して着脱自在に設けられ、これにより当該弾性体は交換可能となり、かつ前記弾性体は、前記伸縮帯の一端側に向かうに従って次第に厚みが大きくなる断面略三角形状の部分を有し、前記弾性体を足裏の内側寄りまたは外側寄りに当てがった状態で足首を前記伸縮帯で巻き付ける際に、前記弾性体より左右両側方向に各々延びる伸縮帯片のどちらか一方を、症状の経過を診ながら他方より少し緩めあるいは強めに巻き付け、これにより足首の右側または左側の巻き付け強度を適宜調節して治療効果を高めることができるように構成したことを特徴とする膝関節症治療用品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、変形性膝関節症などの膝関節症を治療するための膝関節症治療用品(以下、単に「治療用品」ともいう)に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】変形性膝関節症は、一般に、軟骨の退行性変性として始まるといわれており、例えば、加齢に伴う(老年性の)“O脚化”による軟骨の変性が原因とされている。
【0003】すなわち、例えば加齢に伴う足のO脚化により、大腿骨と脛骨との位置的関係が不具合な状態となり、これによって大腿骨と脛骨との間の軟骨が部分的に摺り減り、次第に弾力性を失う。これにより、局所的な圧力が直接的に骨に加わるために関節縁に骨が堤状に増殖し、次第に骨端が変形する。また、労働過重で機械的に関節が摩耗したり、また先天的に関節端が不適合のために関節が部分的に摩耗した場合にも、上記したような関節縁において増殖性変化を起こし、変形性関節症が発症する。
【0004】従来、このような変形性関節症の治療を目的とした治療用品として、足底板と呼ばれている靴の中敷きを使用したものがあった。すなわち、変形性関節症の治療用として、左右両側のいずれか一方を肉厚に構成した靴の中敷きがあった。
【0005】例えばO脚が原因で発症した変形性膝関節症の患者に対し、靴の中敷きにおける外側を肉厚にして足底の外側を引き上げることによりO脚が矯正され、膝に偏って掛かっていた力(局所的な力)が比較的平均的に掛かるようになる。これにより、膝関節症の症状(主として痛み)が一応緩和するものの、臨床的にはまだまだ満足のいくレベルではなかった。
【0006】また、従来の靴の中敷きには、(1)上述したごとく、満足な治療効果が得られない、といった問題以外にも、次のような問題があった。すなわち、(2)靴を履いている時(外出時)にしか使用することができなかった(家の中では使用できなかった)
(3)靴の中に入れて使用することにより、治療効果を発揮し得ないまで、あるいは逆効果となるまで、中敷きが移動することがあった(4)靴の(足の)悪臭の原因になった(5)一般的に、このような靴の中敷きは、金型を作製してからの製造となるので高価な場合が多く、このため使用者(購入者)は、当該中敷きにおける肉厚部分が少しくらいすり減ってもなおも使用し続けるケースが多く、このことが、治療効果を小さくさせるばかりか、逆効果(症状をさらに悪化させる状態)を招くおそれが十分にあった。
【0007】[発明の目的]本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、膝関節症に対して優れた治療効果を発揮し、外出時(靴を履いている時)はもちろんのこと、家に帰ってからも引き続き使用することができ、位置ズレの心配もなく、また靴の(足の)悪臭の原因にもならない膝関節症治療用品を、比較的安価に提供するところにある。
【0008】本発明者は、膝関節症は、従来のように足底の外側あるいは内側を上げることにより治療することに加え、足首を固定することによって治療効果が相乗的にアップすることを見い出し、そして本発明に至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明請求項1に記載の膝関節症治療用品は、変形性膝関節症などの膝関節症を治療するためのものであって、所定長さを有する伸縮帯と、前記伸縮帯の長手方向中央部に設けられた弾性体とを備え、前記弾性体は、前記伸縮帯に対して着脱自在に設けられ、これにより当該弾性体は交換可能となり、かつ前記弾性体は、前記伸縮帯の一端側に向かうに従って次第に厚みが大きくなる断面略三角形状の部分を有し、前記弾性体(における厚みの大きい部分)を足裏の内側寄りまたは外側寄りに当てがった状態で、足首を前記伸縮帯の巻き付けにより固定することができるように構成した。
【0010】本発明請求項2に記載の膝関節症治療用品は、変形性膝関節症などの膝関節症を治療するためのものであって、所定長さを有する伸縮帯と、前記伸縮帯の長手方向中央部に設けられた弾性体とを備え、前記弾性体は、前記伸縮帯に対して着脱自在に設けられ、これにより当該弾性体は交換可能となり、かつ前記弾性体は、前記伸縮帯の一端側に向かうに従って次第に厚みが大きくなる断面略三角形状の部分を有し、前記弾性体(における厚みの大きい部分)を足裏の内側寄りまたは外側寄りに当てがった状態で足首を前記伸縮帯で巻き付ける際に、前記弾性体より左右両側方向に各々延びる伸縮帯片のどちらか一方を、症状の経過を診ながら他方より少し緩めあるいは強めに巻き付け、これにより足首の右側または左側の巻き付け強度を適宜調節して治療効果を高めることができるように構成したことを特徴とする膝関節症治療用品。
【0011】
【発明の実施の形態】
【0012】
【作用】一般的に言って、足首は、図1における「T点」と「S点」と「C点」とが、一直線上(α(距踵部角)=0°)に並ぶことが理想的であるとされている。
【0013】T点:距骨滑車上縁における左右両凸端を結んだ線の中央点S点:腓骨遠位端と脛骨遠位端とを結んだ縁の中央点C点:腓骨遠位端から2.5cm遠位にて床と平行に引いた線の中央点。
【0014】すなわち、体重(自重)がかかる力の方向はT点→S点の方向であり、重力に抗する力(抗重力)の方向はC点→S点である。従って、前述したように、T点とS点とC点が、一直線上(すなわち、α(距踵部角)=0°)に存することが理想であり、αの値(角度)が大きければ大きいほど、体重(自重)が膝関節や足首に大きく及ぼされ、膝関節や足首に対する負担が大きくなる。
【0015】本発明の治療用品によれば、弾性体を足の内側部分あるいは外側部分で踏みしめることにより、大腿骨と脛骨との位置的関係を正常あるいはそれに近い状態に復帰させることができる。これにより、大腿骨と脛骨との間の軟骨に対する局所的な圧迫が減少され、膝関節症の症状(痛みなど)が緩和される。
【0016】またこれと同時に、足首を伸縮帯の巻き付けにより固定するので、強制的に、上記した距踵部角(α)を0(ゼロ)度に近い状態に保持することができ、このことが、膝関節症の症状(痛みなど)がより一層効果的に緩和される(臨床的なデータは以下の実施例にて記載する)。
【0017】さらには、本発明の治療用品において、弾性体から左右両側方向に伸縮帯片がそれぞれ延びているので、症状をみながら右側をやや強めに巻いたり、あるいは左側をやや強めに巻いたりして治療効果を高めることができる。
【0018】さらに、本発明の治療用品は、例えば靴下の上から装着することができるので、靴を履いている時のみならず、外出後もそのまま引き続き家の中で使用することができ、煩わしさがない。
【0019】前述したように、弾性体を伸縮帯に取り付け、当該伸縮帯の身体への巻き付けにより前記弾性体を足の裏にしっかりと固定するので、使用中に動いたりする心配はない。
【0020】そして、前記弾性体は、伸縮帯に対して着脱自在となっており、容易に交換できるので、適宜洗濯することで、あるいは新しいものと交換することで、常に、清潔を保つことができ、靴の(足の)悪臭の原因になるといったおそれはない。のみならず、弾性体がすり減っても、その弾性体のみを新しいものと交換すればよく、優れた矯正能力を発揮する治療用品を常に装着し続けることができる。また、症状の改善状況をみながら、弾性体の厚み(高さ)を調節することも簡単にできるので、非常に好都合である。
【0021】
【実施例】以下、図面に基づいて、本発明の一実施例を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、以下の記載において、「従来の足底板」とは、「左右両側のいずれか一方を、他方よりも肉厚に構成した靴の中敷き」をいう。
【0022】治療用品の構成図2は本発明の治療用品(10)の側面図であり、図3はその斜視図である。図において、符号(12)は伸縮帯であり、例えば幅5〜10cm、長さ50〜80cm(非伸縮時。最大伸縮長さは、例えば70〜100cm)である。伸縮帯(12)の一方の端部の表面には、面ファスナー(12a)の雄部材が取着され、他方の端部の裏面には、前記面ファスナー(12a)の雌部材が取着されている。
【0023】また、伸縮帯(12)の長手方向略中央部には、軟質ポリウレタン発泡体からなる弾性体(14)が、着脱自在に設けられている。着脱自在に設ける方法としては、例えば互いを面ファスナーを用いて取り付ける方法、縫合により仮止めする方法などが挙げられる。
【0024】弾性体(14)は、図面に示されているように、伸縮帯(12)の一端側に向かうに従って次第に厚みが大きくなる(他端側に向かうに従って次第に厚みが小さくなる)縦断面略三角形状をなしている。
【0025】なお、弾性体(14)の形状としては、上記実施例(図2参照)で示した形状に限られず、例えば均一な厚みを有する部分を備えた弾性体(14)(図9(a)参照)、弾性体(14)の上面の一方側の端部が伸縮帯(12)の上面にまで下がった断面直角三角形のもの(図9(b)参照)、あるいは断面円弧状の足載せ面を有する弾性体(14)(図9(c)参照)であっても良いし、それ以外の形状であっても構わない。
【0026】治療用品(10)の使用方法次に、上記構成の治療用品(10)の使用方法について説明する。
【0027】先ず、図4に示すように、床の上に治療用品(10)を横方向にして置く。この状態で、弾性体(14)の真上から足を載せる。このとき、弾性体(14)における厚みの高い方を、足の裏の内側にするか外側にするかは、患っている膝の内側が痛いのかあるいは外側が痛いのかによって決める(膝の内側が痛い場合には足底の外側に弾性体(14)を当てがう)。
【0028】図5に示すように、弾性体(14)の上に足を載せた状態で、足首を伸縮帯(12)で以て巻き付け、足首の後側(ちょうど、アキレス腱の位置)で、当該伸縮帯(12)における左右両側片を互いに面ファスナー(12a)で固定する。すなわち、図5〜図7に示すように、伸縮帯(12)における一方の端片を手で持って、当該端片を足首の前側から後側に向けて移し、また他方の端片も同様、足首の前側から後側に向けて移し、足首後側(ちょうどアキレス腱に相当するところ)における互いの重なる部分にて面ファスナー(12a)で以て互いの端片を、図8に示すように止着する。これにより、弾性体(14)の上に足を載せた状態で、足首を伸縮帯(12)で以て巻き付けて当該足首を前記伸縮帯(12)で固定することができる。
【0029】臨床的効果(1)変形性膝関節症を長年患っている患者(58歳、女性)に対し、本発明の治療用品を装着してもらい、レントゲン写真撮影により足首の骨格状態(具体的には、距踵骨角α(図1参照))を調べた。
【0030】結果を下記[表1]に示す。なお、比較対照のため、本発明の治療用品を装着する前の状態と、従来品である靴の中敷(足底板)を装着した場合の状態とを、各々[表1]に併記する。
【0031】
【表1】

【0032】上記[表1]から明らかなように、本発明の治療用品により距踵部角(α)の値が0°に近くなっており、足首の理想的な状態が得られている。これにより、体重による膝への負担が軽減されることが、従来品のものと比較して十分に期待でき、実際、この患者は、本発明の治療用品を装着して約1週間目くらいから膝の痛みが緩和され始め、2週間目からは膝の痛みがほとんど消失した。
【0033】なお、従来品である足底板を使用した場合も、ある程度の矯正が確認できるが、前述したようにこのような足底板は、金型を作製してからの製造となるので高価(今回使用したものは6000円のもの)であり、このため使用者(購入者)は、当該足底板における肉厚部分が少しくらいすり減ってもなおも使用し続けるケースが多いと考えられる。従って、この場合には、上記で確認されたある程度の矯正能力が、時間の経過によって次第に無くなり、治療効果を小さくさせるばかりか、逆効果(症状をさらに悪化させる状態)を招くおそれがある。しかしながら、本発明の治療用品は伸縮帯に対して弾性体が交換可能に構成されているので、仮に当該弾性体がすり減っても、この弾性体のみを交換すればよく、優れた矯正能力を発揮する治療用品を常に装着し続けることができる。また、症状の改善状況をみながら、弾性体の厚み(高さ)を調節することも簡単にできるので、好都合である。
【0034】臨床的結果(2)従来の足底板(靴の中敷きタイプ)[新品と1年間使用したもの]を使用した変形性膝関節症の患者9人と、本発明の治療用品を装着した変形性膝関節症の患者24人について、上記した臨床的結果(1)と同様、レントゲン写真撮影により足首の骨格状態(具体的には、距踵骨角α)を調べた。すなわち、何も装着せずに片足で起立した場合と、従来の足底板あるいは本発明の治療用品を装着して片足で起立した場合との、距踵骨角(α)の変化(平均矯正率。正の値が大きいほど矯正されていることを示す。)を調べた。結果を図10に示す。
【0035】図10のグラフから分かるように、本発明の治療用品は3.7°であるのに対し、従来の足底板(新品)は1.2°であった。このように、本発明の治療用品は、使用によって大きな治療効果が期待できる。
【0036】また、従来の足底板は、前述したように高価であるため、何年も同じものを使用しがちであるが、上記のように1年間使用したものを用いた場合には、当該足底板が元々の足の形に馴染んで次第にその矯正能力を失い、平均矯正率が逆に負の値(−1.9°)を示した。
【0037】臨床的結果(3)従来の足底板(靴の中敷きタイプ)を使用した変形性膝関節症の患者9人と、本発明の治療用品を装着した変形性膝関節症の患者24人について、大腿骨長軸と脛骨長軸のなす角度(膝矯正角)を調べた。すなわち、何も装着せずに片足で起立した場合と、従来の足底板あるいは本発明の治療用品を装着して片足で起立した場合との、膝矯正角の平均値(負の値が大きいほど矯正されていることを示す。)を調べた。結果を図11に示す。
【0038】図11のグラフから分かるように、本発明の治療用品の膝矯正角の平均値は、−3.1°であるのに対し、従来の足底板は−0.3°であった。このように、本発明の治療用品は、使用によって大きな治療効果が期待できる。
【0039】臨床的結果(4)各種動作により疼痛を訴える変形性膝関節症の患者12人に、本発明の治療用品を毎日装着してもらい、疼痛症状の変化を装着前と装着後で比較した。結果を図12に示す。
【0040】図12から分かるように、いずれの疼痛誘発動作においても、装着前に比べて装着後は痛みを訴える患者の割合が低下している。特に、起床時(朝、寝床から出て動き出す時)の膝の痛みを訴える患者は、装着前は8例(67%)であったのに対し、装着後は半分の4例(34%)まで低下し、著効を示した。
【出願人】 【識別番号】396004648
【氏名又は名称】戸田 佳孝
【出願日】 平成12年4月5日(2000.4.5)
【代理人】 【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子 (外1名)
【公開番号】 特開2001−286499(P2001−286499A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−103669(P2000−103669)