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【発明の名称】 腱固定部材
【発明者】 【氏名】越智 隆弘

【氏名】吉川 秀樹

【要約】 【課題】腱の固定が容易であり、また、体内に金属が残留しない腱固定部材を提供する。

【解決手段】骨3内に形成された挿入孔13に挿入される腱固定部材であって、腱2を挿通させるための孔5を有し、孔5の内面を緻密質アパタイトとすると共に孔5の内面形状をもって逆戻り防止機構4を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 骨3内に形成された挿入孔13に挿入される腱固定部材であって、腱2を挿通させるための孔5を有し、該孔5の内面を緻密質アパタイトとすると共に該孔5の内面形状をもって逆戻り防止機構4を形成したことを特徴とする腱固定部材。
【請求項2】 孔5の内面形状が入口側Aから奥部側Bへ縮径する截頭円錐型空間41状に形成された請求項1記載の腱固定部材。
【請求項3】 孔5の内面形状が、複数の截頭円錐型空間41…が連続した形状として、その入口側Aの截頭円錐型空間41の径が最も大であり、奥部側Bに近づく程径が小さくなるように構成した請求項1記載の腱固定部材。
【請求項4】 上記孔5の内面形状が楔状の係止突部23,24を有する請求項1記載の腱固定部材。
【請求項5】 骨3と接触する部分7,8が、多孔質アパタイトから成る請求項1,2,3又は4記載の腱固定部材。
【請求項6】 腱2が、アキレス腱である請求項1,2,3,4又は5記載の腱固定部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、腱固定部材に関する。
【0002】
【従来の技術】アキレス腱等が断裂した時等には、腱が強く収縮するため、その治療に於ては、強い引っ張り力に耐えられる方法で腱を固定しなければならず、容易ではなかった。
【0003】例えば、特表平8−507462号公報及び特表平8−500046号公報には、骨に貫通孔をあけ、その貫通孔内に腱端部を引っ張り込み、その腱端部を金属製アンカーを用いて貫通孔内へ固定する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来例では、金属製アンカーが体内に残るため、劣化の可能性がある上に、イオンが体内に溶出して生体毒となるため、好ましくなかった。
【0005】そこで、本発明は、腱の固定が容易であり、また、体内に金属が残留しない腱固定部材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明は、骨内に形成された挿入孔に挿入される腱固定部材であって、腱を挿通させるための孔を有し、該孔の内面を緻密質アパタイトとすると共に該孔の内面形状をもって逆戻り防止機構を形成したものである。
【0007】また、孔の内面形状が入口側から奥部側へ縮径する截頭円錐型空間状に形成した。あるいは、孔の内面形状が、複数の截頭円錐型空間が連続した形状として、その入口側の截頭円錐型空間の径が最も大であり、奥部側に近づく程径が小さくなるように構成した。さらに、上記孔の内面形状が楔状の係止突部を有する。
【0008】腱固定部材の骨と接触する部分を、多孔質アパタイトで形成するも好ましい。また、腱固定部材で固定する腱が、アキレス腱であってもよい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明の腱固定部材を詳説する。
【0010】図1は、本発明の実施の一形態を示す腱固定部材の断面図で、符号1で示される腱固定部材は、アパタイトから成り、断裂した腱2を骨3に固定するためのものであり、軸心方向に形成された孔5の内面に、腱2を係止させるための逆戻り防止機構4が設けられている。
【0011】その逆戻り防止機構4は、貫通状の孔5の内面形状をもって形成されており、具体的にはその内面形状は截頭円錐型空間41状に形成されている。すなわち、入口側Aから奥部側Bへ縮径する截頭円錐型の孔5に腱2を挿通して、その孔5の縮径端6に、腱2の端部21を係止させることにより、腱2の逆戻り方向への抜けを防止できるように構成している。
【0012】その逆戻り防止機構4を形成する孔5の内面は、緻密質アパタイトから成り、腱2を安定に係止できるだけの充分な強度を確保できるようにし、また、腱固定部材1の骨3と接触する部分、すなわち、側面7及び腱2を挿入する側の端面8は、多孔質アパタイトで形成し、骨との置換が速やかにおこなわれるようにするのが好ましい。
【0013】ところで、本発明に於て、アパタイトとは、広義でのリン酸カルシウム系焼結体を言うものと定義する。なお、その中、ハイドロキシアパタイトが強度的に優れ、最も好ましい素材である。その緻密質体(緻密質アパタイト)は、気孔率が0〜20%のものであり、多孔質体(多孔質アパタイト)は、気孔率が60〜80%である。
【0014】緻密質体の気孔率が20%を越えると、強度の低下が甚だしくなるため好ましくない。また、多孔質体の気孔率が60%未満になると、骨に置換される時間が長くかかり過ぎる。気孔率が80%を越えると、強度が低下するため、損壊する虞がある。
【0015】図1に示す施術の例では、まず、腱2を固定したい部分の骨3に、腱2を挿通させることができるだけの小孔11をあける。次いで、その小孔11のまわりに所定の厚みの有る係止壁部12を残して、その反対側から、腱固定部材1を挿入するための挿入孔13をあける。
【0016】次に、腱固定部材1を挿入孔13内に挿入して、小孔11から腱2を腱固定部材1の孔5内に引き込み、腱2の端部21を、縮径端6から引き出して逆戻りを防止した状態で係止固定する。なお、その孔5が(奥部側Bへ縮径する)テーパー状に形成されているので、腱2の挿入が容易である。
【0017】その縮径端6から引き出された腱2の端部21は、そのままでも係止されるが、必要に応じて、鋲等を打ってさらに抜けにくくしてもよい。なお、逆戻り防止機構4の気孔率は0〜20%が好ましいが、特に、強度が必要な場合には、その気孔率を0%近くに設定すればよい。
【0018】以上のように構成される腱固定部材1は、アパタイトから成るため、生体組織との親和性が良好であり、内部で違和感がなく、骨3と接触する側面7と端面8とで骨置換が速やかにおこなわれ、終には、骨と一体化されるため、腱2を長期間にわたり安定に係止させておくことができる。
【0019】また、金属ボルトや針金等の金属材料を使用しないため、劣化や毒性(金属イオンの溶出が骨細胞毒として作用する)を懸念するに及ばず、耐久性が良好であり、しかも、再手術の必要もない。
【0020】図2及び図3は、他の実施の形態を示し、この場合、逆戻り防止機構4を構成する孔5の内面形状が、複数の截頭円錐型空間41,42,43,44…が、順次、小さくなりつつ、連続するように形成され、その逆戻り防止機構4を形成した内筒15が、外筒16内に嵌着されて、腱固定部材1を構成している。言い換えると、入口側Aの截頭円錐型空間41の径が最も大きく、奥部側Bに近づく程径が小さくなるように構成している。
【0021】このように、複数の截頭円錐型空間41,42,43,44…により多段階式に腱2を係止させる構造としたことにより、腱の逆戻り防止効果をより一層向上させることができる。また、軸心方向の長さ(厚さ)Lを大きく設定できるので、大きな負荷が作用する場合等に好適(長さL方向に係止力が分散されて)となる。なお、この場合に於ても、腱の端部は、縮径端6から、その一部が出てくる程度まで挿入するのが好ましい。
【0022】このような内筒15と外筒16とから成る二重構造とした場合には、逆戻り防止機構4が形成されている内筒15の全体を緻密質アパタイトで形成し、骨と接触する外筒16の全体を多孔質アパタイトで形成するのが好ましく、その製作を容易にすることができ、コスト安に提供することができる。
【0023】図4及び図5は別の実施の形態を示し、腱2を挿通させるために腱固定部材1に形成した孔(テーパー状ではない)5の内面形状は、一対の楔状の係止突部23,24を有する。その両係止突部23,24に、図示省略の腱の端部を係止させるようにして、逆戻り防止機構4を構成している。
【0024】その係止突部23,24は、腱2の挿入方向Sに沿って緩い傾斜角度で立ち上がる傾斜部231, 241と、その傾斜部231, 241の先端から孔5の軸心に対して直交する方向に立ち下がる係止壁232, 242と、から成る。
【0025】そして、一方の係止突部23を、他方の係止突部24に対して、軸心方向に少し変位(dで示す距離)した位置に設けることにより、矢印S方向への腱2の挿入を容易とし、かつ、確実な抜け止め効果が得られるようにするのが好ましい。
【0026】その変位dと孔5の内径Dとの間には、D/2<d< 1.5・Dなる関係式が成立するのが好ましい。なお、dがD/2以下では、腱2の挿入がしにくくなり、dが 1.5D以上では、抜け止め効果が低下する。
【0027】また、図示は省略するが、その係止突部23,24は、軸心に沿う方向に各々2つ以上形成されてもよく、また、例えば、図6に示すように、周方向に位相を異ならせて3つ(またはそれ以上)の係止突部23,24,25を、鼎立状態に対向させて配設してもよい。さらに、図示は省略するが、このような係止突部23…を、図1乃至図3に示す逆戻り防止機構4と組み合わせてもよい。
【0028】
【発明の効果】(請求項1によれば)逆戻り防止機構4によって、腱2を逆戻りさせることなく、強固に固定することができる。しかも、孔5の内面形状によって容易に、かつ、簡素な構造で製作できる。また、生体組織との親和性が良好であり、内部で違和感がない。
【0029】(請求項2によれば)逆戻り防止機構4を、截頭円錐型空間41状に形成したので、腱2を挿入しやすく、かつ、良好な抜け止め効果が得られる。
【0030】(請求項3によれば)逆戻り防止機構4を、複数の截頭円錐型空間41…が連続するように形成したので、腱2を一層確実な抜け止め状態に係止させることができる。
【0031】(請求項4によれば)逆戻り防止機構4を、孔5の内面に形成された楔状の係止突部23,24としたので、腱2を確実な抜け止め状態に係止させることができる。
【0032】(請求項5によれば)骨3と接触する部分7,8が、多孔質アパタイトから成るので、骨置換が速やかに達成され、腱2の固定が確実となる。
【0033】(請求項6によれば)逆戻り防止機構4により、腱2の強い引っ張り力に耐えるので、腱2がアキレス腱である場合にも好適である。
【出願人】 【識別番号】500097119
【氏名又は名称】株式会社エム・エム・ティー
【識別番号】500103720
【氏名又は名称】越智 隆弘
【識別番号】500103823
【氏名又は名称】吉川 秀樹
【出願日】 平成12年4月7日(2000.4.7)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
【公開番号】 特開2001−286492(P2001−286492A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−105822(P2000−105822)