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【発明の名称】 冷却用ヘッドギア
【発明者】 【氏名】熊谷 定蔵

【要約】 【課題】患者の頭部に良好にフィットし、ヘッドギア各部で冷却温度が均一な冷却用ヘッドギアを提供する。

【解決手段】頭部の額側より後頭部にかけての形状に対応する形状で、かつ冷却水が通過するための中空部を有する冷却嚢41...を複数組み合わせることによってヘッドギア状としたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前頭部より後頭部にかけての形状に対応する形状で、かつ冷却水が通過するための中空部を有する冷却嚢を複数組み合わせることによってヘッドギア状としたことを特徴とするものである冷却用ヘッドギア。
【請求項2】前記冷却嚢の後頭部側端部に前記複数の冷却嚢に連通する供給嚢を設け、一方前頭部側に前記複数の冷却嚢に連通する排水嚢を設けたことを特徴とする請求項1記載の冷却用ヘッドギア。
【請求項3】前記冷却嚢は、上布と下布を有し、さらにこの上布と下布を接続する接続糸を有する立体織布をホース状体に形成し、そのホース状体内面及び接続糸内面にポリマー層を形成して構成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の冷却用ヘッドギア。
【請求項4】前記ホース状体の外面にポリマー層が設けられていることを特徴とする請求項3記載の冷却用ヘッドギア。
【請求項5】前記接続糸表面に前記ポリマー層が形成されてなる支柱は、前頭部より後頭部にかけての湾曲した形状を有する湾曲部の曲率の中心方向に立設されていることを特徴とする請求項3又は4記載の冷却用ヘッドギア。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷却用ヘッドギア、さらに詳細には頭部の手術を行うに際し、使用される冷却用ヘッドギアに関する。
【0002】
【従来技術及び問題点】近年になって、頭部の手術を行う場合に、頭部、特に患部を冷却してメスを入れることが行われるようになっている。このように頭部を冷却する冷却装置としては、図6に示すような冷却用ヘッドギアが使用される。このような冷却用ヘッドギアは、凸部11が形成された平板状のゴム板1を上下に貼り合わせて、密閉された中空部2を形成した中空部材3をヘッドギア形状に成形した構成を有している。このヘッドギア形状の下部(患者の首付近)31より2℃前後の水を前記中空部2に供給し、上端部32より排出することによって、患者の頭部を冷却するようになっている。
【0003】このような冷却用ヘッドギアによれば、平板状の中空部材3をヘッドギア形状の成形するため、歪がかかり、患者の頭部に良好にフィットしにくいという欠点がある。さらに、前記中空部2は基本的に1個の部屋を構成しているため、冷却水が均一に供給されにくく、ヘッドギアの各部で冷却温度が不均一になるという欠点があった。
【0004】本発明は上述の問題点に鑑みなされたものであり、患者の頭部に良好にフィットし、ヘッドギア各部で冷却温度が均一な冷却用ヘッドギアを提供することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】上記問題点を解決するため、本発明による冷却用ヘッドギアは、頭部の額側より後頭部にかけての形状に対応する形状で、かつ冷却水が通過するための中空部を有する冷却嚢を複数組み合わせることによってヘッドギア状としたことを特徴とするものである。
【0006】本発明によれば、頭部の額側より後頭部にかけての形状に対応する形状の冷却嚢を複数組み合わせることによって、ヘッドギア状としたため、患者の頭部へ良好にフィットするという利点がある。さらに冷却嚢が複数であるため、冷却水が冷却嚢の中空部を均一に流れやすくなり、したがってヘッドギア各部における温度が均一になるという利点がある。
【0007】
【実施例】図1は本発明による冷却用ヘッドギアの斜視図であり、図2は、冷却嚢の組み合わせを示した図、図3は断面図である。図2より明らかなように、本発明による冷却用ヘッドギアは、頭部の額側から頭頂部を経て後頭部にかける形状と対応する形状の冷却嚢41を有している。そして、前記冷却嚢41に隣接して頭部の額側から頭頂部サイドを経て後頭部に至る形状に対応する形状の冷却嚢42が両側に並べられている。このように冷却嚢43、44、45を順次並べることによって、ヘッドギア形状が構成されるようになっている。
【0008】これらの冷却嚢は、この実施例においては、鉤状であり、後頭部にフィットする側の先端部には、上記複数の冷却嚢41,42,43,44,45と連通する冷却水の供給用の供給嚢46が設けられており、ホース47よりこの供給嚢46に冷却水を供給することによって各冷却嚢41,42,43,44,45に冷却水が供給可能になっている。一方額側先端部には、同様に冷却嚢41,42,43,44,45と連通する排水嚢48が設けられており、前記冷却嚢41,42,43,44,45を通過した冷却水をホース49を介して排水することができるようになっている。
【0009】このような冷却嚢は、図4および図5に断面図を示すように、上布51と下布52を有し、この上布51と下布52を接続する接続糸53を有する立体織布5の上布51と下布52の端部辺を相互に縫製して、額側より後頭部にかけての形状に対応する形状に湾曲のあるホース状体Hとし、前記上布51及び下布52の両面(端武辺を含む)および接続糸53の表面にポリマー層6を設けた構造になっている。
【0010】このような構成になっているため、表面にポリマー層6が形成された接続糸53(以下支柱Sという)はホース状体Hの上下面(上布51と下布52)を相互に連結することになるため、前記冷却嚢の形状を保持することが可能になり、また強度の保持を行う作用がある(図4及び図5参照)。
【0011】このようなポリマー層6としては、たとえば、溶媒を飛散させることによって凝固するタイプの熱可塑性樹脂を使用することができる。たとえばポリ塩化ビニル(PVC)のメチルエチルケトン(MEK)溶液(PVC/MEK)などを使用することができる。この場合、ホース状体Hに前記熱可塑性樹脂溶液を注入し、ホース状体H内面および接続糸53表面に十分に熱可塑性樹脂溶液を付着させた後、前記余剰の熱可塑性樹脂溶液を排出し、溶媒を飛散させることによって、ホース状体H内面及び接続糸53表面にポリマー層6を形成することができる。
【0012】また、ラテックスを使用して製造することも可能である。この場合ラテックス溶液を凝固させるための凝固剤溶液をホース状体H内部に注入し、ホース状体H内面および接続糸表面に十分に凝固剤溶液を付着させた後、前記余剰の凝固剤溶液を排出し、次いで、ラテックス溶液をホース状体H内部に注入することによって、ホース状体H内面及び接続糸表面にポリマー層(ラテックス層)6を形成することができる。このような前記ラテックスは基本的にいかなるものでもよい。たとえば天然ゴム、クロロプレンゴム、SBRなどであることができる。また前記凝固剤も基本的に上述のようなラテックスを凝固可能なものであればいかなるものでもよく、典型的には多価金属塩、たとえば硝酸カルシウムなどを使用することができる。
【0013】この場合、凝固剤のゾル溶液を使用して冷却嚢を製造することができる。上述のホース状体H内部に、凝固剤溶液の変わりに凝固剤を含むゾル溶液を注入し、冷却などしてゲル層を形成し、余剰のゾル溶液を排出し、同様にポリマー層6を形成した後、前記ゲル層を洗い流すことによって柔軟性のあるポリマー層6を形成することができる。このような凝固剤のゾル溶液は、たとえばポリビニルアルコールに凝固剤を添加してゾル化したものを使用することができる。このようなゾル溶液の溶媒となるものは上述のポリビニルアルコールのほか、たとえばカルボキシメチルセルロースなどを使用することができる。このような溶媒は好ましくは水溶性であるものがよい。後の工程において水で洗い流すことが可能であるからである。
【0014】また、二液性ポリマーを使用して、冷却嚢を製造することも可能である。この場合、一方のポリマー形成溶液をホース状体H内部に注入し、ホース状体H内面および接続糸表面に十分にポリマー形成液を付着させた後、前記余剰のポリマー形成液を排出し、乾燥などさせた後、次いで、他方のポリマー形成液をホース状体H内部に注入し、熱硬化等によって硬化させることによって、ホース状体H内面及び接続糸表面にポリマー層6を形成することができる。このような二液性ポリマーは基本的に限定されるものではない。二つのポリマー形成液の反応によってポリマーを形成するものであれば基本的にいかなるものでもよい。典型的にはポリマー形成液であるジイソシアネートとグリコールより形成される二液性ポリウレタンをあげることができ、他に水とシアノアクリレートを挙げることができる。
【0015】上述のようにホース状体H内面及び接続糸53の表面にポリマー層6を形成するが、ホース状体H外面は、一般に使用されている浸漬等の方法で容易に形成させることができる。またホース状体Hの内面及び接続糸表面のポリマー層6とホース状体Hの外面のポリマー層6は同じポリマー層であってもよく、異なるポリマー層であってもよい。
【0016】このように形成された接続糸53の表面にポリマー層6が形成された支柱Sは、特に前頭部より後頭部を覆う湾曲部7においては、図3に示すように前記湾曲の曲率の中心方向に立設された構造になっている。このように湾曲の曲率の中心方向に直線的に立設することによって、ホース状体Hの湾曲した形状が良好に保持できる。
【0017】冷却嚢の平面形状は、図5に模式的に示すように、端部より中央部にかけて徐々に拡巾した形状になっている。これは前頭部より後頭部を覆う湾曲部7を形成し、各冷却嚢41,42,43,44,45を並べたとき、冷却嚢間に隙間が形成されないようにするためである。
【0018】このような冷却用ヘッドギアを使用するに際しては、患者に前記冷却用ヘッドギアを被せる。このとき冷却嚢41,42,43,44,45は前頭部から後頭部の形状に対応する形状となっているため、前記冷却嚢41,42,43,44,45は患者の頭部に良好にフィットする。このような状態で前記ホース47を介して前記供給嚢46に冷却水を供給すると、前記供給嚢46と各冷却嚢41,42,43,44,45は連通しているので、冷却水は各冷却嚢41,42,43,44,45を流れて、排水嚢48に到達する。この排水嚢8には排水嚢のホース49が設けられているため、排水嚢48に流入した冷却水は前記ホース49を介して排水される。
【0019】このように患者の頭部を冷却するものであるが、冷却嚢が複数であり、各冷却嚢は寸法的に、供給より排水までほぼ同一の距離であるため、均一に患者の頭部を冷却することができる。さらに冷却水供給部(ホース46)と排水部(ホース49)を供給嚢46及び排水嚢49に対角線になるように(図1参照)設ければ、各冷却嚢41,42,43,44,45を流れる冷却水の流路の距離はほぼ同一になるため、さらに患者の頭部を均一に冷却することが可能になる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、頭部の額側より後頭部にかけての形状に対応する形状の冷却嚢を複数組み合わせることによって、ヘッドギア状としたため、患者の頭部へ良好にフィットするという利点がある。さらに冷却嚢が複数であるため、冷却水が冷却嚢の中空部を均一に流れやすくなり、したがってヘッドギア各部における温度が均一になるという利点がある。
【出願人】 【識別番号】000005175
【氏名又は名称】藤倉ゴム工業株式会社
【出願日】 平成12年3月9日(2000.3.9)
【代理人】 【識別番号】100082717
【弁理士】
【氏名又は名称】雨宮 正季
【公開番号】 特開2001−252299(P2001−252299A)
【公開日】 平成13年9月18日(2001.9.18)
【出願番号】 特願2000−64599(P2000−64599)