トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 セメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケット及びこれを備えた人工関節
【発明者】 【氏名】尹 用山

【要約】 【課題】人工関節のステムが骨に対してスライディングされることができるように骨体腔には固定され、ステムの表面には覆われるように構成することにより、人工関節の寿命に有害な剪断応力を大きく減少させ、骨とステムとの間隙形成を抑制することにより、磨耗粒子の浸透による骨の融解を最小化するセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットを提供することにその目的がある。

【解決手段】人体の骨体腔に形成された孔に長さ方向に挿入されるセメント非使用の人工関節ステム31の少なくとも一部分を覆うことができるようにプラスチックとして構成されており、骨41が多孔質のプラスチックジャケット表面に内成長しながら前記プラスチックジャケットと噛み合うように多孔質、或は粗い表面を有するセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体の骨体腔に形成された穴中に長さ方向に挿入されるセメント非使用の人工関節ステムの少なくとも一部分を覆うことができるように構成されており、骨が多孔質プラスチックジャケット表面に内成長してジャケットに噛み合うように多孔質、或は粗い表面を有することを特徴とするセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケット。
【請求項2】 人体の骨体腔の一部分をリーミングして穴中に挿入されることができるように上部から頭部、頸部及びステムが一体に形成されている人工関節において、前記ステムの少なくとも一部分を覆うことができるようにプラスチックとして構成されており、前記骨が成長して容易く固着され得るように多孔質、或は粗い表面を有することを特徴とするセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットを備えた人工関節。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットに関し、特に、人工関節のステムが骨に対してスライディングされ得るように骨には固定され、ステムの表面には覆われるように構成されたセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットに関するものである。また、本発明は上記のように構成されたセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットがステムに覆われた人工関節に関するものでもある。
【0002】
【従来の技術】一般的に、例えば、人工股関節は髀臼(acetabulum)部分と大腿骨(femur )部分とに区分されており、大腿骨及び髀臼部分はそれぞれ金属、セラミック、或はプラスチック材となっている。
【0003】そして、人体の大腿骨は骨幹端部の軟らかい海綿骨及び骨幹部の固い皮質骨から形成されている。従って、人工関節を人体内に挿入しようとしたら、隣接部位にある骨体腔をリーミングし、人工関節のステム(stem)を挿入した後、セメント(cement)で固着させたり、表面に多孔質、或は粗い表面層が形成されたステムを挿入して骨が成長しながら粗い表面層に生理学的に噛み合うことができるようにするセメント非使用方法を使用している。
【0004】上記のような方法のうち、セメントを使用する人工関節に対する技術は、本出願人が出願して権利を獲得した大韓民国特許公告第85−1814号(発明の名称:捩じれ防止の人工股関節)に記述されている。
【0005】図1を参照して、その記述内容を簡単に窺ってみると次の通りである。人工関節1は上部から頭部2、頸部3、衿4及びステム5が一体に形成されている。ここで、衿4の先端部は大腿骨の皮質骨の内側上端に密着されるように湾曲されており、ステム5はその上部断面を円形断面に近い楕円形断面にして下部へ行きながら円形断面をなすようになっている。このようにステム5を形成することは、関節の垂直上部から加えられる圧縮力とヘッドから関節のステムに垂直方向に加えられる横力に対する回転を防止するためである。
【0006】そして、このようなステム5の上部外側面には手術後、任意の方向に回転トルクが発生しても関節が大腿骨内において回転することを防止できるように適当な厚さの羽根7が長さ方向に突設されており、このような羽根7の中央には固定孔8が形成されている。
【0007】また、羽根7の内側には多数の鉄線孔がステム5の長さ方向に適当な間隔をおいてそれぞれ形成されており、このような鉄線孔には鎖型鉄線9が挟んで巻かれている。このように鎖型鉄線9が巻かれた部分を含んだステム5の表面にはセメント6が適当な厚さでコーティング処理されている。このようにセメント6を予めコーティング処理することは、手術時に使用されるセメントとの接合を容易にし、セメントの使用を減らして養生時に発生する熱量を減らすためである。
【0008】このように構成された人工関節を人体の腸骨内に挿入するためには、まず、人工関節1のステム5が挿入され得るように骨体腔でリーミングが行われ、ここにセメントを適当量注入する。そうした後、セメントが注入された部位にステム5を挿入させると、ステム5の表面に予めコーティングされたセメント6層と接合されてステム5が大腿骨の内部に一体に堅固に固着される。
【0009】しかし、先に説明したセメント使用の人工関節は大腿骨と骨体腔間との結合がセメントによる結合であるため、その結合部分が脆弱するという短所がある。このような問題点を補完するために、大腿骨とステムとの間の結合において、骨がステムの多孔の表面に内成長、または接触成長しながらステムに生理学的に噛み合うことができるように構成した。
【0010】即ち、図2に図示されているように、表面に多孔質(porous)が形成されたプラスチックを金属ステム31の表面にコーティングし、このように金属ステム31の表面に多孔質プラスチック12が結合されたステムを先に説明したように骨体腔に挿入して施術した。そうすると、大腿骨が漸進的に内成長し、その骨が多孔質プラスチック12の表面層に生理学的に噛み合ってステムが骨に固着される。
【0011】上記のように、生理学的な方法でステムを骨に固着するセメント非使用の人工関節使用しているうちに、ステムの頭に作用する軸力が骨−ステムの界面に剪断力で作用して大腿骨と多孔質プラスチック12との間に微細なスライディング運動が発生し、骨と多孔質プラスチック12の一部の接合部位において応力集中現象が生じる。
【0012】このような応力集中現象によりステムの表面に付着された多孔質プラスチック12が骨から分離されて大腿骨とステムとの間に間隙が形成され、この間隙にプラスチック関節ソケットから発生した磨耗粒子が浸透されて骨の融解(osteolysis)を促進させる短所がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は先に説明したような従来の技術の問題点を解決するために案出されたものであって、人工関節のステムが骨に対してスライディングされ得るように骨には固定され、ステムの表面には覆われるように構成することにより、人工関節の寿命に有害な剪断応力を大きく減少させ、骨とステムとの間隙形成を抑制することにより、磨耗粒子の浸透による骨の融解を最小化するセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットを提供することにその目的がある。
【0014】また、本発明は上記のように構成されたセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットがステムに覆われた人工関節を提供することに他の目的がある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するための本発明によれば、人体の骨の端部から長さ方向にリーミングして穴中に挿入されるセメント非使用の人工関節ステムの少なくとも一部分を覆うことができるようにプラスチックとして構成されており、骨が多孔質表面に内成長して噛み合うように粗い表面を有することを特徴とするセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットが提供される。
【0016】また、上記のような目的を達成するための本発明によれば、人体の骨頭及び骨体腔の一部分をリーミングして穴中に挿入されることができるように上部から頭部、頸部及びステムが一体に形成されている人工関節において、前記プラスチックジャケットは前記ステムの少なくとも一部分を覆うことができるようにプラスチックとして構成されており、骨がプラスチックジャケットの多孔質表面に容易く噛み合うことができるように多孔質表面を有し、前記ジャケットの端部はステムが下方にスライディングするように余剰の空間を囲むことを特徴とするセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットを備えた人工関節が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】下記に、本発明によるセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケット及びこれを備えた人工関節の望ましい実施例を、添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0018】図面で、図3は本発明の一実施例によるセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットの構成要素などを説明するための斜視図であって、図4は図3に図示されたジャケットが人工関節ステムに挿入されている状態を示した図面であり、図5は図4に図示された人工関節を人体の骨内に挿入した状態を示した断面図である。
【0019】図3に示すように、本発明のセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケット20は人工関節ステムを挿入する場合、ステムを囲んでいる形態、即ち、袋形態として形成されている。そして、ステムの外径を整合するように直径内に挿入されて容積を占める時、ステムがジャケットの下方に垂直にスライディングして上記のジャケット20が形成される。
【0020】また、ジャケット20はステムを挿入する場合、ステムの下端部がジャケット20の下端部に触れないようにステムの長さ方向の長さより少し長く形成されており、ステムの下端部とジャケット20の下端部との間に所定の空間が形成されるように構成されている。このように所定の空間を形成するように構成することは、ステムが下部へ沈下する時、ジャケット20が破損されることを事前に予防するためである。
【0021】そして、ジャケット20は通常、プラスチックとして製作されるが、このようなジャケット20の外表面は多孔質であるとか、粗く形成されている。このように多孔質、或は粗い表面を有するプラスチックジャケット20を用いるのは、骨が内成長しながらジャケットの表面に噛み合うようにするためである。
【0022】下記には、先に説明したように構成された本発明のプラスチックジャケット20を使用して人工関節を人体に挿入する過程を説明する。図4に示すように、本発明によって従来の人工関節30のステム表面が研磨されており、前記ステム31がプラスチックジャケット20に挿入される。そうすると、ステム31の下端部とプラスチックジャケット20の下端部との間には所定の空間が形成され、ステム31はプラスチックジャケット20を基準として上下にスライディングできるようになる。
【0023】その後、このようにステム31にプラスチックジャケット20が挿入された人工関節30を人体の骨体腔に挿入するが、そうするためには図5に示されたように、まず、人工関節30のステム31が挿入されたプラスチックジャケット20が挿入され得るように骨体腔をリーミングして穴を形成し、そこにプラスチックジャケット20が挿入された人工関節30を挿入する。そうすると、骨41が多孔質プラスチックジャケット表面に内成長して多孔質、或は粗い表面を有するプラスチックジャケット20が骨41と生理学的に噛み合う。即ち、骨41とプラスチックジャケット20とは堅固に結合され、ステム31はプラスチックジャケット20に対して下方にスライディングできるようになる。
【0024】先に説明した本発明のプラスチックジャケットはあらゆる種類の人工関節(股関節、膝関節、肩関節など)に使用されることができる。
【0025】
【発明の効果】上記から詳細に説明したように、本発明のセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットを備えた人工関節を使用する場合には、剪断応力が劇的に減少し、却って骨と前記ジャケットとの間の界面での適切な量の圧縮応力を十分に確保し、その境界面でのスライディング運動を予防してプラスチック及び骨共に有害な剪断応力を大きく縮小すると共に、圧縮力によって骨とジャケットとによる間隙の生成を抑制して磨耗粒子の浸透による大腿骨の融解を最小化する効果がある。
【0026】そして、本発明のセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットを備えた人工関節を使用する場合には、垂直負荷が部分的にたが応力(hoop stress )に変換されて大腿骨の上端部(proximal region of bone )でも生理学的に骨の活性化(Wolfe's law )を起こすのに十分な圧縮力を引き起こして応力遮断現象を大幅緩和できる。
【0027】また、本発明のセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケットは骨と生理学的に容易に噛み合うように多孔質、或は粗い表面を有し、一方、骨と結合される部分がプラスチックとして製造されており、これを除去しようとする場合、骨から容易く分離されるように、必要であれば再手術時、骨の損傷を最小化することができる。
【0028】以上から本発明のセメント非使用の人工関節ステム用プラスチックジャケット及びこれを備えた人工関節に対する技術思想を添付図面と共に叙述したが、これは本発明の一番望ましい実施例を例示的に説明したものであり、本発明を限定するものではない。
【0029】また、この技術分野の通常の知識を持つ者であれば誰でも、本発明の技術思想の範疇を離脱しない範囲内で多様な変形及び模倣が可能なことは明白な事実である。
【出願人】 【識別番号】592127149
【氏名又は名称】韓国科学技術院
【出願日】 平成13年2月15日(2001.2.15)
【代理人】 【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
【公開番号】 特開2001−245911(P2001−245911A)
【公開日】 平成13年9月11日(2001.9.11)
【出願番号】 特願2001−39035(P2001−39035)