| 【発明の名称】 |
眼内レンズ及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 和孝
|
| 【要約】 |
【課題】軟質材料からなる光学部と硬質材料からなる支持部とから構成される眼内レンズの製造方法にして、支持部を光学部に対して強固に固定することが出来ると共に、そのような支持部の固定作業を、光学部や支持部の損傷等の問題を生ぜしめることなく、簡便に行ない得る方法を提供する。
【解決手段】光学部12の周辺部16に、支持部14の直径よりも小さな穴径を有する取付穴22を形成した後、該取付穴22内に、支持部14の取付側部位18を強制的に挿入、配置する一方、その取付穴22内に挿入された支持部14部位を、光学部12を溶融させることなく、局部的に加熱し、溶融せしめ、更にかかる支持部14の加熱・溶融部位を取付穴22内において移動せしめることにより、支持部14の取付穴内22に位置する部位に、支持部14の直径よりも大なる外径を有する膨大部を生成させて、支持部14を光学部12に機械的に係止せしめた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軟質材料からなる光学部と硬質材料からなる支持部とから構成される眼内レンズの製造方法にして、前記光学部の周辺部の所定位置に、前記支持部の直径よりも小さな穴径を有する取付穴を形成する工程と、該光学部に形成した取付穴内に、前記支持部の取付側部位を強制的に挿入、配置せしめる工程と、前記光学部を溶融させることなく、該光学部の取付穴内に挿入された支持部部位を局部的に加熱し、溶融せしめる工程と、該光学部の取付穴内に挿入された支持部の加熱・溶融部位を該取付穴内において移動せしめることにより、該支持部の該取付穴内に位置する部位に、該支持部の直径よりも大なる外径を有する膨大部を生成させ、該支持部を該光学部に機械的に係止せしめる工程と、を有することを特徴とする眼内レンズの製造方法。 【請求項2】 前記支持部の加熱・溶融部位が、該支持部の挿入先端側から前記取付穴の入口側に漸次移動せしめられる請求項1に記載の眼内レンズの製造方法。 【請求項3】 前記支持部が0.10〜0.20mmの直径を有する一方、かかる直径よりも0.01〜0.05mm小さな穴径において、前記取付穴が形成される請求項1又は請求項2に記載の眼内レンズの製造方法。 【請求項4】 前記支持部を加熱、溶融するための加熱手段が、該支持部の局部的な溶融を可能ならしめる状態において、該支持部に対して相対的に移動せしめられる請求項1乃至請求項3の何れかに記載の眼内レンズの製造方法。 【請求項5】 前記支持部の加熱が、該支持部及び前記光学部に接触することのない加熱手段を用いて実施される請求項1乃至請求項4の何れかに記載の眼内レンズの製造方法。 【請求項6】 前記加熱手段が、レーザー光、ハロゲンランプ光、キセノンランプ光、又は加熱針である請求項4又は請求項5に記載の眼内レンズの製造方法。 【請求項7】 軟質材料からなる光学部に硬質材料からなる支持部を取り付けてなる眼内レンズにして、該光学部の周辺部に形成した、前記支持部の直径よりも小さな穴径の取付穴に対して、該支持部が挿入せしめられている一方、該取付穴内における該支持部の溶融部位の移動によって、該支持部の直径よりも大なる外径を有する膨大部が該支持部の前記取付穴挿入部位に形成されて、該支持部が前記光学部に機械的に係止せしめられていることを特徴とする眼内レンズ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【技術分野】本発明は、光学部と支持部とから構成される眼内レンズ及びその製造方法に係り、特に、軟質材料からなる光学部に対して、硬質材料からなる支持部を強固に固定することの出来る技術に関するものである。 【0002】 【背景技術】従来より、白内障の手術等では、角膜(鞏膜)や水晶体前嚢部分等の眼組織に設けた切開部を通じて、嚢内の水晶体を摘出、除去せしめた後、その水晶体に代替する眼内レンズを、前記切開部より眼内に挿入して、嚢内や嚢外に位置固定せしめる手法が、広く用いられてきている。 【0003】そして、このような白内障手術等において用いられる眼内レンズとしては、眼内への挿入状態下において、所望の視力を提供するレンズ本体となる円形の光学部と、該光学部を所定の眼組織に支持、固定して、眼内に保持せしめるための線状の支持部とから構成されるものが、一般によく知られており、また、かかる構成の眼内レンズにおいて、光学部と支持部とは、互いに同じ種類の材料を用いて若しくはそれぞれ異なる種類の材料にて、一体的に形成されたり、或いは別個に形成されたりしてきているのであるが、近年、そのような眼内レンズの一種として、光学部及び支持部を、それぞれ軟質材料及び硬質材料にて形成してなるものが提案され、注目されている。 【0004】すなわち、前述の白内障手術等においては、眼組織に設ける切開部を可能な限り小ならしめることが、術後の回復が早く、また術後乱視が効果的に軽減され得る等の理由から、強く求められているのであるが、眼内レンズの光学部が、柔軟性や弾性を備える軟質材料にて与えられることにより、そのような光学部の挿入に際して、それを折り畳みや巻き上げ等により容易にコンパクト化することが出来、しかもそのようなコンパクトな状態から、光学部が元の形状に容易に戻り得るものとなるところから、そういった小さな切開部からでも眼内レンズの挿入が可能となると共に、その挿入後において、所期のレンズ形状が有利に実現され得るという利点が得られるのである。一方、光学部と同様に、支持部を軟質材料にて形成すると、それの形状が線状であるが故に、剛性が著しく低下してしまい、結果的に、眼内における光学部の支持機能が充分に奏され得なくなるといった問題が生じるところから、支持部の形成材料としては、硬質材料を用いることが望まれているのである。 【0005】ところで、このような軟質材料からなる光学部(軟質性光学部)と硬質材料からなる支持部(硬質性支持部)とにて構成される眼内レンズは、例えば、予め所望の形状をもって形成した支持部を光学部の所定部位に固定せしめることによって形成することが出来、そして、そのような支持部の固定に際しては、従来の眼内レンズを有利に製造するために開発された各種の固定手法を利用することが、これまでに種々検討されてきているのであるが、それら何れの手法の採用にあっても、好ましいと言えるものではなかったのである。 【0006】例えば、一般的な固定手法の一つとして、支持部とは別に形成、準備した光学部の周辺部において、互いに交差する2つの穴を設けて、その一方の穴に支持部を挿入した後、他方の穴に、所定の温度に加熱した針(加熱針乃至は溶着針)を差し込んで、該加熱針の先端を、前記一方の穴に挿入された支持部に接近乃至は接触させることにより、支持部の一部を溶融せしめて、その溶融物を前記他方の穴に流し込み、更に冷却、固化させることで、光学部に対して支持部を機械的に係合せしめる方法が、知られている。而して、このような方法を採用する場合においては、支持部を挿入する穴の内径を支持部の直径以上の大きさに設定すると、溶け出した支持部材料が、前記一方の穴の内周面と支持部における未溶融部分の外周面との間隙に流れ込み、それによって、前記他方の穴への流入量が減少するようになるために、得られる眼内レンズにおいて、目的とする支持部の固定強度が充分に確保され得ず、その結果として、支持部が、引張力の作用等により光学部から容易に抜けてしまうようなことがあったのである。加えて、光学部の周辺部において、小さな穴の2つを互いに交差するように穿設せしめる作業は、著しく困難を伴うものであり、また、小なる穴に対して、光学部への影響を考慮しつつ加熱針を挿通する作業は、熟練した技術を要するところから、作業性、ひいては眼内レンズの生産性の点で望ましくないという問題もあった。 【0007】また、米国特許第4104339号明細書には、先ず、光学部及び支持部をそれぞれ個別に形成し、次いで、得られた光学部の所定位置に空孔を穿設して、該空孔に支持部を内挿、配置せしめた後、かかる光学部に対して所定温度の加熱針を押し当てて、光学部材料を溶かしつつ、該加熱針の先端を支持部の挿入先端部位にまで到達せしめることにより、その溶融した材料を前記支持部における挿入先端部位の周辺に導入せしめて、それら光学部と支持部とを互いに溶着固定する手法が提案されているのであるが、この手法にあっては、光学部を溶融するものであるために、該光学部の光学的特性の劣化を惹起する重大な問題を内在しており、それ故、有効な方法と呼べるものではなかったのである。 【0008】さらに、特開平4−246351号公報、特表平7−503148号公報、特表平11−501230号公報、特開平9−234213号公報等においては、予め、支持部とは別個に形成された光学部において、その所定の位置に設けられた取付穴に支持部を挿入せしめた後、該取付穴内における支持部の所定部分に、レーザー光やキセノンランプ光等の光を照射して、かかる照射部分を加熱、溶融せしめることにより、その溶融した材料の冷却・固化後において、光学部に対する支持部の取付・固定状態を得る手法が提案されているのであるが、このような光照射を利用した各種手法に従って形成される眼内レンズにあっては、それらの何れにおいても、引張力に対する支持部の固定強度を、ある程度においては確保し得るものの、それは、実用の上で充分であるとは到底言い難く、前記と同様、光学部からの支持部の抜脱という問題を内在するものであった。 【0009】このため、特開昭62−14847号公報や特開平9−234213号公報には、前記取付穴の内壁に凹部やネジ山を設けたり、光学部において取付穴に交差する形態の穴を更に形成したりして、光照射により溶融せしめられた支持部材料が、それら凹部やネジ山、乃至は穴内に導入されるように為すことにより、また、特表平10−501991号公報には、光学部において前記取付穴に交差して設けた穴内に、適当な線状部材を挿入した状態下において、該線状部材と支持部との交差箇所にレーザー光を照射して、それら線状部材と支持部とを溶着せしめることにより、光学部と支持部とを機械的な係止形態において接合し、以て支持部の固定強度の向上を図ることが明らかにされているのであるが、これらの場合には、凹部やネジ山、又は取付穴に交差する穴の形成作業が余分に必要となる上、その作業は、それら凹部等が非常に小さなものであることに起因して、困難を極めたものとなるところから、眼内レンズの生産性が著しく悪化する等の問題があった。 【0010】この他、特開昭62−152450号公報や特表平6−503248号公報には、光学部を与える重合組成物を適当な成形型内において重合せしめて、光学部を型成形するに際し、該成形型の所定位置に、前もって用意した支持部を配置せしめ、そしてその状態下において、前記重合組成物の重合操作を実施することによって、支持部の周囲に光学部を一体的に形成せしめる技術が明らかにされている。而して、かかる手法にあっては、支持部の固定強度に優れた眼内レンズを得ることが出来るという利点があるものの、小さな支持部を成形型の所望の箇所に位置決めせしめたまま、光学部の重合成形を行なうには、そういった支持部の位置決め操作等、煩雑且つ面倒な操作が必要となるのであり、更にはまた、得られた眼内レンズを脱型する際に、支持部の破損を招来する恐れがある等の問題をも内在しているところから、余り好ましいものではなかったのである。 【0011】 【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、軟質材料からなる光学部と硬質材料からなる支持部とから構成される眼内レンズの製造方法にして、かかる支持部を光学部に対して強固に固定することが出来ると共に、そのような支持部の固定作業を、光学部や支持部の損傷等といった問題を何等生ぜしめることなく、簡便に行なうことの出来る方法を提供することにあり、また、他の解決課題とするところは、軟質材料からなる光学部に対して、硬質材料からなる支持部が強固に取り付けられ、固定されてなる眼内レンズを提供することにある。 【0012】 【解決手段】そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、軟質材料からなる光学部と硬質材料からなる支持部とから構成される眼内レンズの製造方法にして、A)前記光学部の周辺部の所定位置に、前記支持部の直径よりも小さな穴径を有する取付穴を形成する工程と、B)該光学部に形成した取付穴内に、前記支持部の取付側部位を強制的に挿入、配置せしめる工程と、C)前記光学部を溶融させることなく、該光学部の取付穴内に挿入された支持部部位を局部的に加熱し、溶融せしめる工程と、D)該光学部の取付穴内に挿入された支持部の加熱・溶融部位を該取付穴内において移動せしめることにより、該支持部の該取付穴内に位置する部位に、該支持部の直径よりも大なる外径を有する膨大部を生成させ、該支持部を該光学部に機械的に係止せしめる工程とを有することを特徴とする眼内レンズの製造方法を、その要旨とするものである。 【0013】要するに、このような本発明に従う眼内レンズの製造方法にあっては、先ず、軟質材料からなる光学部において、その周辺部の所定位置に、特徴的な取付穴、具体的には、硬質材料からなる支持部の直径よりも小なる穴径を有する取付穴が形成され、そして、かかる取付穴に対して、前記支持部の取付側の端部が強制的に挿入せしめられるのであるが、その際、柔軟性及び弾性を備えた軟質性の材料にて内壁が形成される前記取付穴にあっては、それの開口部より、硬質性の支持部が押し入れられることによって、容易に拡開せしめられることとなるのであり、従って、かくして取付穴内に挿入、配置された支持部には、光学部における取付穴内壁部分での拡開変形に基づく拡開反力(形状復元力)が、作用せしめられるようになるのである。 【0014】次いで、上記の如くして光学部の取付穴内に挿入せしめられた支持部部位が、光学部の溶融を何等招来することなく、局部的に加熱され、そして溶融せしめられることとなるのであるが、本発明にあっては、従来の加熱針や光照射を利用した方法とは異なり、かかる支持部における加熱・溶融部位を、更に取付穴内で移動せしめるようにしたのである。 【0015】すなわち、本発明者の検討によれば、取付穴内における支持部の加熱・溶融部位が移動せしめられることによって、移動前の加熱・溶融部位における支持部材料は、徐々に冷えて、固化することとなるのであるが、前述の如く取付穴を押し拡げつつ支持部を挿入したことによって生ぜしめられた拡開反力の作用により、そのような冷却・固化過程にある半溶融状態の支持部材料が押圧力を受けて、移動後の加熱・溶融部位側に向かって流動せしめられるようになると推測されているのであり、それによって、かかる移動後の加熱・溶融部位にあっては、その径方向で膨らむようになると考えられているのである。勿論、本発明は、このような推測に何等拘束されるものではないが、そういった現象を伴う支持部の加熱・溶融部位の移動が、取付穴内において所定距離だけ実行されることによって、移動の最後に加熱、溶融せしめられる支持部部位には、その移動量に応じた大きさの膨らみが生じ、以て、それの冷却・固化後において、支持部本来の直径よりも大きな外径を有する膨大部が生成せしめられることとなるのである。 【0016】従って、このようにして本発明に従って得られる眼内レンズにおいては、前記支持部の取付穴内に位置する部位に形成された膨大部によって、光学部に対する支持部の機械的係止機能が有効に発揮され得るようになるところから、光学部に対して支持部が極めて強固に固定せしめられ得て、引張力の作用等による支持部の抜脱が有利に阻止乃至は回避され得るのである。 【0017】しかも、そのような優れた支持部の固定状態を達成し得る本発明手法にあっては、前記せる如きA)〜D)の各工程に従って、光学部に設けた所定の取付穴内に支持部を挿入せしめた後、かかる支持部の局部的な加熱を、当該加熱・溶融部位を移動させつつ実施するという比較的簡単な操作を行なうだけで、目的とする眼内レンズを容易に得ることが出来るのであり、また、それは、光学部や支持部の損傷を何等惹起することもないという利点をも有しているのである。 【0018】なお、かくの如き本発明に従う眼内レンズの製造方法において、有利には、前記支持部の加熱・溶融部位を、該支持部の挿入先端側から前記取付穴の入口側に漸次移動せしめるようにすることが好ましく、これによって、前記膨大部が一層有利な大きさにおいて生成せしめられ得て、光学部への支持部の固定強度が効果的に増強せしめられると共に、支持部自体の強度も、また、有利に高められ得ることとなる。 【0019】また、本発明の製造方法における好ましい態様の一つによれば、前記支持部は0.10〜0.20mmの直径を有する一方、かかる直径よりも0.01〜0.05mm小さな穴径において、前記取付穴が形成されることとなる。このような態様に従う手法を採用することによって、取付穴への支持部の挿入作業性を良好に確保しつつ、光学部に対して支持部をより一層強固に固定することが可能となる他、かかる手法を用いて形成される眼内レンズにあっては、眼内において、支持部による光学部の支持機能、ひいては光学部におけるレンズ機能を有効に奏し得る等の利点がある。 【0020】さらに、本発明手法における別の好ましい態様の一つによれば、前記支持部を加熱、溶融するための加熱手段を、該支持部の局部的な溶融を可能ならしめる状態において、該支持部に対して相対的に移動せしめることが、望ましい。かくの如く、適当な加熱手段を用いて支持部の加熱を行なうことによって、前述せる如き本発明の一特徴たる支持部の加熱操作を、有利に実現することが出来るのである。 【0021】更にまた、本発明に係る眼内レンズの製造手法の望ましい態様の一つによれば、前記支持部の加熱を、該支持部及び前記光学部に接触することのない加熱手段を用いて実施することによって、支持部表面若しくは光学部表面における材料劣化が良好に防止乃至は回避され得ることとなる。 【0022】なお、本発明において、前記加熱手段としては、レーザー光、ハロゲンランプ光、キセノンランプ光、又は加熱針が有利に用いられ、それにより、支持部の効果的な加熱が可能となる。 【0023】そして、本発明にあっては、軟質材料からなる光学部に硬質材料からなる支持部を取り付けてなる眼内レンズにして、該光学部の周辺部に形成した、前記支持部の直径よりも小さな穴径の取付穴に対して、該支持部が挿入せしめられている一方、該取付穴内における該支持部の溶融部位の移動によって、該支持部の直径よりも大なる外径を有する膨大部が該支持部の前記取付穴挿入部位に形成されて、該支持部が前記光学部に機械的に係止せしめられていることを特徴とする眼内レンズも、また、その要旨とするものである。 【0024】すなわち、この本発明に従う眼内レンズは、軟質材料にて形成された光学部に対して、硬質材料にて形成された所定の支持部が取り付けられ、固定せしめられることにより、構成されるものであるが、本発明にあっては、特に、光学部の周辺部において、支持部の直径よりも小さな穴径において設けた取付穴に対して、支持部を内挿せしめた後、その取付穴内において、加熱による支持部の溶融部位を所定だけ移動せしめる操作を実施することによって、支持部の取付穴挿入部位に、支持部の直径よりも大きな外径を有する膨大部が形成せしめられ、以て、かかる膨大部による機械的な係止作用に基づいて、支持部が光学部に対して固定せしめられていることから、支持部の固定強度、特に引張力に対する固定強度において、著しく優れたものと為し得たのである。 【0025】 【発明の実施の形態】以下、本発明をより明らかにするために、本発明の具体例について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。 【0026】先ず、図1には、上述の如き本発明に従う眼内レンズの一具体例として、所謂ループ型眼内レンズが、平面図(a)及び側面図(b)において示されている。そして、そこにおいて、ループ型眼内レンズ10は、レンズ本体となる円盤形の光学部12と、該光学部12を眼内の所定位置に支持、固定する線状乃至はフィラメント状の支持部14の一対とから構成されており、また、かかる一対の支持部14,14が、光学部12の平面方向に対して、何れも該光学部12の一方の面側〔図1(b)中、上面側〕に傾斜する状態で、且つ光学部12の光軸(幾何的中心軸)の回りで互いに180度の回転対称となる状態において、光学部12の周辺部16に位置する二箇所から、それぞれ、光学部12の外方に向かって延び出され、更に該光学部12の周方向でループ状に湾曲せしめられた構造とされている。 【0027】ところで、かくの如き本発明に係るループ型眼内レンズ10において、光学部12は、所定の軟質材料にて形成されており、その平面形態において円形形状を呈すると共に、側面視において、所定厚さの平板の両面(レンズ面)が外側に向かって凸となる凸レンズ形状を呈して構成されている。 【0028】ここにおいて、かかる光学部12を形成する軟質材料とは、その特性として、柔軟性に富み、なお且つ適度な弾性を備える軟質性の材料を意図するものであって、従来から軟質性光学部の形成材料として用いられている、所定の重合組成物を重合して得られる各種の高分子材料の中から、上記の如き特性を有利に実現し得ると共に、後述する支持部14の加熱操作において、溶融乃至は分解され得ないものが適宜に選定されて、使用されることとなる。 【0029】なお、前記光学部12の形成材料たる軟質材料を与える重合組成物としては、従来と同様、例えば、その構成モノマー成分として、アクリル酸エステル乃至はメタクリル酸エステル、具体的には、エチル(メタ)アクリレート等の直鎖状又は分岐鎖状乃至は環状のアルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート類;トリメチルシロキシジメチルシリルメチル(メタ)アクリレート等のシリコン含有(メタ)アクリレート類等のうちの1種乃至は2種以上の混合物の他に、更に必要に応じて、(メタ)アクリルアミド,N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルラクタム類、スチレン又はその誘導体、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の架橋性モノマー等の1種若しくは複数を含有するもの、或いはそのようなモノマー成分に加えて、熱乃至は光重合開始剤、紫外線吸収剤、色素等の公知の各種の添加剤を適宜に含有せしめてなるもの等が用いられる。なお、上記において、「・・・(メタ)アクリレート」とは、「・・・アクリレート」並びに「・・・メタクリレート」の2つの化合物を総称するものであり、また、その他の(メタ)アクリル誘導体についても、同様である。 【0030】一方、このような光学部12と共に、ループ型眼内レンズ10を構成する支持部14は、眼内における前記光学部12の有利な保持を可能にする所定の硬質材料にて、該光学部12とは別体に形成され、それにより、円形断面において円弧状に延びる湾曲線形状(ループ形状)を、全体として呈する一方、その一方の端部部位が所定長さに亘って直線化されてなる取付部18を有して、構成されているものである。 【0031】そして、そこにおいて、支持部14を与える前記硬質材料としては、従来より硬質性支持部の形成に用いられている硬質性の高分子材料の各種のものが、有利に採用され得、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやポリアミド等を挙げることが出来る。なお、このような硬質材料にて形成される支持部14には、更に必要に応じて、色素等の着色剤といった公知の各種の添加剤が適宜に含有せしめられ得ることは、言うまでもないところである。 【0032】また、そのような硬質材料よりなる線状の支持部14は、通常の眼内レンズにおいて設けられる支持部の場合と同様に、使用する硬質材料の種類等に応じた適宜な太さにおいて形成されることとなるが、一般に、その直径としては、光学部12の支持・固定に必要な強度及び剛性が良好に確保され得るように、0.10〜0.20mm程度の大きさが採用される。 【0033】而して、このような支持部14,14が、それぞれの取付部18,18において、前記光学部12の周辺部16における側面部位20の、互いに180°対向して位置する二箇所に取り付けられ、固定せしめられることによって、上記せる如き構造を持つループ型眼内レンズ10が形成されるのであるが、本発明にあっては、その光学部12に対する支持部14の取付・固定作業を、特定の方法を用いて行なうようにしたのである。 【0034】すなわち、本発明に従って、光学部12に支持部14を取り付け、固定するに際しては、先ず、光学部12の周辺部16を形成する側面部位20において、その前記所定の二箇所に、支持部14,14の各取付部18,18がそれぞれ挿入されて取り付けられる所定の取付ホール22,22が設けられることとなるが、本発明においては、そのような取付ホール22を、支持部14の直径よりも小さな穴径(内径)において形成せしめることが必要とされるのであり、また、特に好ましくは、支持部14の直径よりも0.01〜0.05mm小さな穴径を有する取付ホール22の形成が、推奨されるのである。尤も、そのような支持部14の直径と取付ホール22の穴径との差〔(支持部14の直径)−(取付ホール22の穴径)〕が0.01mmよりも小さくなると、目的とするループ型眼内レンズ10において、光学部12に対する支持部14の固定強度が充分に確保され得なくなり、特にその差がマイナスとなる、要するに、取付ホール22の穴径が支持部14の直径よりも大きくなると、本発明の効果が全く得られなくなるのである。また逆に、かかる支持部14の直径と取付ホール22の穴径との差が0.05mmを超えるような場合には、後に詳述するような取付ホール22への支持部14の挿入作業が困難なものとなる等の不具合が惹起される恐れがある。 【0035】なお、そのような特定の穴径を持つ取付ホール22の深さ(即ち、支持部14の挿入深さ)は、特に限定されるものではなく、通常、光学部12や支持部14の形状寸法、要求される支持部14の固定強度の程度等を考慮して、適宜に設定されることとなるが、一般に、0.3〜1.2mm程度の深さとされる。 【0036】また、このような取付ホール22の形成方法としては、例えば、柔軟な光学部12を冷凍し、硬化せしめた状態下において、ドリル等の適当な穿孔加工装置を用いて、該光学部12の所定位置に取付ホール22を穿設せしめる手法の他、光学部12をモールド成形手法にて形成するような場合には、そのモールド成形と同時に取付ホール22を形成する方法等が、有利に採用される。 【0037】次いで、かくの如くして光学部12に設けられた取付ホール22,22に対して、支持部14,14が、各々の取付部18,18において、それぞれ挿入せしめられて、該取付ホール22,22内に配置されるのである。 【0038】ところで、本発明にあっては、取付ホール22として、前述の如き特定の穴径を有するものが採用されるところから、かかる取付ホール22に支持部14を挿入するには、支持部14の取付部18と取付ホール22とを心合わせせしめた状態において、該取付部18の先端を、取付ホール22の開口部より強制的に押し込む(圧入せしめる)こととなるのであるが、本発明では、光学部12及び支持部14の材質として、それぞれ前記したような軟質材料及び硬質材料が適用されることから、そのような支持部14の押入によって、柔軟な光学部12における取付ホール22の内壁部分が、硬い支持部14(取付部18)の外周面にて、取付ホール22の径方向外方に押圧され、以て取付ホール22が拡開せしめられるようになるのであり、これにより、支持部14の挿入が比較的スムーズに行なわれ得るという利点を享受することが出来るのである。なお、このようにして取付ホール22内に支持部14が挿入されて、配置された状況下においては、拡開変形された前記取付ホール22の内壁部分に発生する、光学部12の弾性に基づくところの形状復元力が、拡開反力として、支持部14の外周面に働くこととなるのである。 【0039】そして、本発明にあっては、更に、このようにして光学部12の取付ホール22内に位置せしめられた支持部14部分が、その取付ホール22内に位置する部分の全長ではなく、その一部の長さ部分において加熱、換言すれば局部的に加熱されて、溶融せしめられるのであるが、そのような支持部14の加熱は、光学部12の溶融を伴うことなく実施される必要があると共に、本発明では、特に、そのような支持部14における局部的な加熱・溶融部位が、取付ホール22内において、所定の方向に移動せしめられるのである。 【0040】ここにおいて、上記せる如き支持部14の加熱操作を、光学部12を溶融させることなく行なう必要性があるのは、そのような光学部12の溶融によって、光学部12におけるレンズ特性が低下してしまい、本発明の目的が充分に達成され得なくなるからである。 【0041】また、取付ホール22内における支持部14の加熱・溶融部位を、従来のように唯一つの箇所に留めるのではなく、先述せるように、所定方向に移動させる本発明においては、かかる移動前の加熱・溶融部位に当たる支持部材料が、その冷却・固化に伴い、光学部12から取付ホール22内の支持部14に向かって働く前記拡開反力(形状復元力)によって、取付ホール22の径方向内方に圧縮されて、移動後の加熱・溶融部位における支持部材料内に流入せしめられることとなるのであり、これによって、該移動後の加熱・溶融部位にあっては、その熱膨張力と上記支持部材料の流入等によって生じた内部圧力の上昇分に対応する力が、前記した拡開反力に打ち勝つことにより、その径方向で膨出するようになるのである。 【0042】なお、このような移動後の加熱・溶融部位における膨らみの発生メカニズムについては、本発明者の鋭意検討によるところの推論に基づくものではあるが、支持部14の加熱・溶融部位が取付ホール22内で所定距離だけ移動せしめられることによって、かかる膨らみが、加熱・溶融部位の移動距離に対応した大きさにおいて生ぜしめられ、以て、例えば図2に示される如く、移動の最後における加熱・溶融部位が冷却、固化されてなる支持部部分24において、元々の支持部14の直径(d0 )よりも大きな外径(de )となる膨大部26が形成せしめられることは、本発明者の検討によって見出された厳然たる事実であり、その結果として、支持部14が、かかる膨大部26を介して光学部12に機械的に係止せしめられて、強固に接合、固定され得ることとなったのである。 【0043】そして、上記のような効果をもたらす上記支持部14の加熱は、取付ホール22内にある支持部14の所定の一箇所を起点として、支持部14(取付部18)の延びる方向の何れか一方に、加熱・溶融部位が移動せしめられるように実施されるものであれば良く、また、かかる加熱・溶融部位を移動させる距離にあっても、求められる支持部14の固定強度に応じた所望の大きさの膨大部26が有利に得られるように、適宜設定されることとなるが、本発明において、好適には、支持部14における加熱・溶融部位が、支持部14の挿入先端側から取付ホール22の入口たる開口部側に向かう方向で漸次移動せしめられるように、支持部14を加熱することが望ましく、また、そのような支持部14の加熱において、特に好ましくは、加熱・溶融部位が、支持部14の挿入先端から取付ホール22の開口部近傍に亘って移動せしめられるように為すことが推奨されるのである。 【0044】かくの如き加熱・溶融部位を前記特定方向で移動させる方法を採用することによって、支持部14において、より大きな膨大部26が有利に生成せしめられ得て、支持部14の光学部12に対する接合・固定状態が一層優れたものとなるばかりでなく、先述せるように、本発明では、溶融した支持部材料がその冷却過程において圧縮されると考えられるところから、支持部14の膨大部26より挿入先端側にあっては、その直径が元の支持部14の直径よりも僅かに小さくなる一方、膨大部26から取付ホール22の開口部側では、支持部14の元々の直径が確実に保持され得るようになるため、取付ホール22の開口部近傍において、支持部14の折損が発生するようなことが有利に防止され得るのである。因みに、図2は、加熱・溶融部位を、支持部14の挿入先端から移動させて、取付ホール22の開口部の直ぐ内側まで到達せしめることにより、膨大部26を形成した例を示すものである。 【0045】また、このような支持部14の加熱・溶融操作は、支持部14の所定部位をピンポイント的に熱することの出来る公知の各種の加熱・溶融装置、具体的には、レーザー装置、ハロゲンランプ、キセノンランプ、若しくは加熱針等の加熱手段を用いて、それを、支持部14の局部的な溶融状態が常に維持され得るように、支持部14に対して相対移動せしめるようにした装置を利用することによって、有利に実現され得る。なお、このような加熱・溶融装置を用いた支持部14の加熱に際しては、例えば、取付ホール22内に支持部14が挿入されてなる光学部12を、適当なテーブル上に載置した後、加熱手段による支持部14の加熱を開始し、次いで、該支持部14の溶融を顕微鏡等にて確認した後、位置固定した加熱手段に対してテーブルを移動させる、又は位置固定したテーブルに対して加熱手段を移動させる、或いはテーブル及び加熱手段の両方を動かす手法等が適宜に採用される。 【0046】さらに、そういった加熱・溶融装置を利用して、光学部12を溶融させることなく、支持部14を効果的に加熱、溶融せしめるためには、例えば、加熱手段として、レーザー装置やハロゲンランプ、キセノンランプを用いる場合では、光学部12の材質として、それら加熱手段より照射される所定の光が吸収されない色(具体的には、透明等)の軟質材料を採用する一方、支持部14中に、かかる光を有利に吸収し得る着色剤を含有せしめることで、支持部14にのみ、光のエネルギーが付与されて、加熱、溶融せしめられるようにしたり、或いはまた、加熱針を使用する場合においては、加熱針の加熱温度を、支持部14の融点以上であり、なお且つ光学部12が溶融乃至は分解されない温度に設定したりすることが、望ましい。また、上例した加熱・溶融装置の何れを用いる場合にあっても、有利には、加熱手段を光学部12や支持部14に直接に接触させない状態下において、支持部14の加熱を実施することが好ましく、それによって、光学部12乃至は支持部14の外表面におけるダメージが、有利に回避され得るのである。 【0047】なお、図3には、本発明において用いられる加熱・溶融装置の一例が示されており、そこにおいて、かかる加熱・溶融装置50は、所定方向に移動可能とされたテーブルたる可動ステージ52上に、光学部12の取付ホール22内に支持部14が挿入、配置されてなるレンズ組付体54を、その光学部12の一方のレンズ面を上に向けた状態で載置せしめた後、加熱手段としての加熱針56を、電気ヒータ58にて所定の温度に熱する一方、かかる加熱針56と可動ステージ52とを適宜動かして、加熱針56の先端を、光学部12の上面側から支持部14の目的とする部位に近接せしめることによって、当該支持部14部位を加熱して、溶融することが出来るように構成されている。そして、そのような加熱・溶融装置50等を用いた支持部14の加熱・溶融操作にあっては、求められる支持部14の固定強度に応じて、前記レンズ組付体54を構成する光学部12の一方のレンズ面側から、若しくはそれぞれの面側から交互に実施されることとなるが、特に、図1に示される如きループ型眼内レンズ10を与える、図3に示されたレンズ組付体54のように、支持部14の取付ホール22内への挿入部位が、光学部12の内部において、一方のレンズ面側に偏って位置するような場合等には、該一方のレンズ面側から支持部14の加熱を行なうことが、該支持部14の溶融時間が有利に短縮され得る点で、望ましい。 【0048】そして、かくの如き加熱・溶融操作に従って、取付ホール22内にある支持部14の所定部分24に前記特定の外径を有する膨大部26を形成することによって、かかる支持部14を光学部12に対して係合、固定せしめて得られるループ型眼内レンズ10にあっては、それら支持部14と光学部12との接合強度が極めて高いことから、引張力の作用等によっても、支持部14が著しく抜け難いという利点を発揮し得るのである。 【0049】このように、本発明に従ってループ型眼内レンズ10を製造すれば、光学部12や支持部14を劣化させたり、破損させたりすることなく、しかも比較的簡便に、光学部12に対する支持部14の固定強度に優れるループ型眼内レンズ10を得ることが出来るのである。 【0050】なお、以上においては、本発明の一例としてのループ型眼内レンズ10の構成及び形成方法について詳述してきたが、本発明にあっては、そのような例示のもののみに限定されるものでは決してなく、種々なる形態をもって実施され得るものであることが、理解されるべきである。 【0051】例えば、本発明は、軟質材料からなる円形の光学部に対して、硬質材料からなる線状の支持部が固定され、以てそれら光学部と支持部とにて構成される眼内レンズの何れのものにも適用され得るものであって、上記に例示したループ型眼内レンズ以外の眼内レンズにあっても、かかる構成を有する限りにおいて、本発明の対象となり得るものであることは、言うまでもないところである。 【0052】また、そのような眼内レンズを構成する光学部及び支持部は、それぞれ、軟質材料及び硬質材料にて形成される以外には、その具体的構成において、種々の変更が加えられ得るものである。例えば、光学部としては、例示の両面凸タイプのものの他にも、その一方の面のみが凸面とされてなるもの、換言すれば、その他方の面が平面とされた形態のものを採用することが出来、また、支持部の本数として、2本以外の数を採用することも、勿論、可能である。 【0053】さらに、光学部に対する支持部の固定位置は、光学部の有するレンズ機能に影響を与えない光学部の周辺部であれば、何等問題はなく、光学部の形状等に応じて、上記例示の如き光学部周辺部の側面部位や、該周辺部のレンズ面上等が、適宜に採用されることとなる。 【0054】 【実施例】以下に、本発明の代表的な実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。 【0055】本発明に従う眼内レンズにおける、光学部に対する支持部の固定強度を調べるために、図1及び図2に示される如き形状構造を有する試験レンズ(10)を形成した。具体的には、先ず、下記表1に示される割合の重合成分を用いて、光学部(12)を与える重合組成物を調製、準備した。なお、かかる光学部形成用の重合組成物を調製するに際しては、重合成分として、2−フェノキシエチルアクリレート(POEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エチルアクリレート(EA)、及び架橋性モノマーたるブタンジオールジアクリレート(BDDA)を用いた。また、熱重合開始剤としては、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を使用した。 【0056】
【0057】次いで、かかる光学部形成用重合組成物を用いて、それを所定のモールド成形型内において、常法に従って熱重合操作を実施することにより、アクリル系軟質重合体からなり、且つ直径:6mmの円盤形を呈する両面凸タイプの光学部(12)を、モールド成形した。 【0058】一方、支持部(14)として、硬質のポリフッ化ビニリデンからなると共に、全体として、直径:0.13mmの円形断面において略1/3周の円弧状に延びる湾曲線形状を呈し、且つ一方の端部部位に直線状の取付部(18)を与える形状の線状物を準備した。 【0059】さらに、このようにして得られた光学部(12)及び支持部(14)を用いて、ループ型眼内レンズたるNo.1〜3の試験レンズ(10)の複数を、それぞれ作製した。 【0060】具体的には、先ず、光学部(12)を冷凍、硬化せしめた後、市販のドリルを用いて、かかる光学部(12)の周辺部(16)における側面部位(20)の、互いに180°対向する所定の二箇所に、内径:0.1mmの取付ホール(22,22)を、下記表2に示される如き深さにおいて形成せしめ、更に、常温下に戻した光学部(12)において、かくして形成された取付ホール(22,22)のそれぞれに支持部(14,14)を挿入せしめることにより、図3に示される如きレンズ組付体(54)を得た。 【0061】次に、図3に示される構成の加熱・溶融装置50を用いて、その可動ステージ52上に、上記で得られたレンズ組付体(54)を、光学部(12)の一方のレンズ面が上を向くようにして載置せしめた後、その状態下において、該加熱・溶融装置50に備えられた加熱針56を、電気ヒータ58にて400℃の温度に昇温せしめる一方、図3に示されるように、かかる加熱針56の先端を、レンズ組付体(54)における光学部(12)の上側から、該光学部(12)の上面に接触させることなく、支持部(14)の挿入先端に近接せしめて、その支持部(14)の挿入先端が溶け出したことを顕微鏡(図示せず)にて確認した後、可動ステージ52を所定方向〔図3中、(I)方向〕で動かしつつ、加熱針56の先端位置を上下方向〔図3(a)中、(II)方向〕で調整することによって、支持部(14)の局部的な溶融状態を維持せしめつつ、かかる溶融部位を、取付ホール(22)の開口部の直ぐ内側に位置する部分まで順次移動せしめた。そして、このような加熱・溶融装置50を用いた支持部(14)の加熱・溶融操作を、2つの支持部(14,14)の各々について、光学部(12)の両面側からそれぞれ一回ずつ実施することにより、目的とする試験レンズ(10)を形成した。なお、何れの試験レンズ(10)の形成においても、光学部(12)の溶融や支持部(14)の破損は、一切認められなかった。 【0062】そして、以上のようにして得られた各種試験レンズ(10)を用いる一方、公知の引張機を使用して、各支持部(14)の接合強度(固定強度)を測定した。即ち、先ず、それら各試験レンズ(10)における光学部(12)を、該引張機に位置固定的に設けた固定治具に取り付ける一方、支持部(14,14)のうちの一方を、前記固定治具に対して接近・隔離移動可能とされた可動治具に取り付けた後、常温下において、かかる可動治具を駆動させることにより、該一方の支持部(14)を、それの光学部(12)からの延出方向、要するに直線状の取付部(18)が延びる方向で、且つ5mm/分の速度において、引張せしめた。なお、かかる引張操作は、支持部(14)が光学部(12)より離脱するまで行ない、その際に可動治具に加えられた荷重の大きさの最大値を測定した。そして、このような測定を、各試験レンズ(10)毎に、それぞれ下記表2に示す測定回数だけ行なって、それより、測定値の平均値を求めた。その結果を、光学部(12)に対する支持部(14)の接合強度として、下記表2に併せ示す。 【0063】
【0064】かかる表2の結果から明らかなように、本発明に従って形成されたNo.1〜3の各試験レンズは、何れも、光学部に対する支持部の接合強度において優れたものであることが認識されるのである。 【0065】 【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明にあっては、軟質材料からなる円形の光学部に対して、硬質材料からなる線状の支持部が極めて強固に接合、固定されてなる眼内レンズを、有利に実現し得るものであって、しかも、そのような光学部への支持部の取り付け、固定作業が、それら光学部や支持部に悪影響を及ぼすことなく、比較的容易に且つ簡便に行なわれ得るといった利点をも、奏し得るものなのである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000138082 【氏名又は名称】株式会社メニコン
|
| 【出願日】 |
平成12年2月28日(2000.2.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100078190 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 三千雄 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−238899(P2001−238899A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月4日(2001.9.4) |
| 【出願番号】 |
特願2000−50773(P2000−50773) |
|