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【発明の名称】 吸収シート
【発明者】 【氏名】田中 雅仁

【氏名】濱島 美次

【氏名】長原 進介

【氏名】中西 稔

【要約】 【課題】制臭効果が高く、吸収性能を阻害することがなく、しかも、制臭剤と吸水ポリマーの脱落がほとんどない吸収シートを提供すること。

【解決手段】少なくとも制臭剤20、吸水ポリマー30を含む吸収シートである。制臭剤20と繊維21とが混合された制臭層2と、制臭層2に一部の吸水ポリマーが接合されている吸水ポリマー層3とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも制臭剤、吸水ポリマーを含む吸収シートであり、制臭剤と繊維とが混合された制臭層と、該制臭層に一部の吸水ポリマーが接合されている吸水ポリマー層とを有している吸収シート。
【請求項2】 前記吸収シートは、繊維集合体からなる支持層を有し、該支持層が、前記吸水ポリマー層中の吸水ポリマーの膨潤状態において発現される粘着性により前記制臭層と接合されていることを特徴とする請求項1記載の吸収シート。
【請求項3】 前記吸水ポリマー層に、更に制臭剤を含むことを特徴とする請求項1記載の吸収シート。
【請求項4】 前記吸水ポリマー層中の制臭剤が、前記吸水ポリマーを介して前記制臭層に接着固定されていることを特徴とする請求項3記載の吸収シート。
【請求項5】 前記吸水ポリマー層中の制臭剤が、前記制臭層中の制臭剤とは異種であることを特徴とする請求項3記載の吸収シート。
【請求項6】 請求項2記載の吸収シートの製造方法であって、制臭剤と繊維とを液体中で分散混合した混合スラリー状物を湿式抄造して前記制臭層を得る工程、湿式抄造して前記支持層を得る工程、該制臭層または該支持層を湿潤させてその一面側に吸水ポリマーを散布して膨潤させ、該吸水ポリマーが膨潤した状態において該一面側に前記支持層または該制臭層を当接させ、乾燥させて、前記制臭層と前記下層を接合させる接合工程を具備する吸収シートの製造方法。
【請求項7】 液透過性の表面層、液不透過性の防漏層および両層に介在された液保持性の吸収層を有し、該吸収層は請求項1記載の吸収シートを有している吸収性物品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体、ペット用トイレの下敷きシート、食料品のドリップシート等として有用な制臭性の吸収シート、該吸収シートを有した吸収性物品及びその製造方法並びに該吸収シートを吸収層に有する吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】例えば、特開平3ー121068号公報には、制臭剤の層と吸水ポリマーの層をパルプ層により離間させた吸水性シートが提案されている。また、特開昭57−142256号公報に記載の、吸水ポリマーを含むパルプ層と、活性炭を含む吸収紙とを隣接して配置した生理用ナプキン吸収体や、特開平8−281042号公報記載の、ホットメルト粘着剤を塗工した紙の間に活性炭を散布し一体化して得られた制臭シートも知られている。特開平5−503647号公報では吸収性物品において、吸水ポリマーと制臭剤を付着させることが提案されている。
【0003】用いられる制臭剤として効果的であるのは、活性炭、ゼオライト、セピオライト、ベントナイト等の制臭剤で粒径が小さく比表面積が大きいものを多量に配合することであるが、特に粒径が250μm以下の粒子は、粉塵として舞い散りやすい上に、粒子同士が凝集しやすいため、散布適性が悪く、通常の散布法で配合することは困難である。また、これらの粒子は液体の影響を受けやすく、粒子表面に液体の皮膜が出来て制臭能力が低下し易いものである。また、従来提案されている上記公報の吸収性シートでは、常に制臭剤が濡れた状態に置かれたり、制臭剤に効率よく臭い成分が接触出来なかったり、また、制臭剤が吸水ポリマーの周囲を覆い吸水ポリマーの吸収性能を阻害したりして、制臭性能と吸収性能の両方を満足させることが不十分であった。また、制臭剤と吸水ポリマーが脱落しやすいという問題があった。
【0004】従って、本発明の目的は、制臭効果が高く、吸収性能を阻害することがなく、しかも、制臭剤と吸水ポリマーの脱落がほとんどない吸収シート及びその製造方法並びに該吸収シートを吸収層に有する吸収性物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも制臭剤、吸水ポリマーを含む吸収シートであり、制臭剤と繊維とが混合された制臭層と、該制臭層に一部の吸水ポリマーが接合されている吸水ポリマー層とを有している吸収シートを提供することにより前記目的を達成したものである。また、本発明は、請求項2記載の吸収シートの製造方法であって、制臭剤と繊維とを液体中で分散混合した混合スラリー状物を湿式抄造して前記制臭層を得る工程、湿式抄造して前記支持層を得る工程、該制臭層または該支持層を湿潤させてその一面側に吸水ポリマーを散布して膨潤させ、該吸水ポリマーが膨潤した状態において該一面側に前記支持層または該制臭層を当接させ、乾燥させて、前記制臭層と前記下層を接合させる接合工程を具備する吸収シートの製造方法を提供することにより、前記目的を達成したものである。また、本発明は、液透過性の表面層、液不透過性の防漏層および両層に介在された液保持性の吸収層を有し、該吸収層は請求項1記載の吸収シートを有している吸収性物品を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい一実施形態について説明する。図1は、本発明の吸収シートの第1実施形態を模式的に示したものである。同図において、符合1は吸収シートを示している。同図に示すように、制臭剤20が繊維21と混合された制臭層2と、制臭層2に一部の吸水ポリマー30が接合されている吸水ポリマー層3と、吸水ポリマー層3中の吸水ポリマー30の膨潤状態において発現される粘着性により制臭層2と接合されている支持層4とを有する三層構造の吸収シートである。
【0007】以下、更に詳細に説明する。本発明の吸収シートにおいて、制臭層を構成する繊維は、気流中で積繊されたフラッフパルプのほか、該パルプを種々のバインダーで固めた乾式パルプシート、湿式抄紙された紙や各種製法で形成された不織布を用いることが出来る。
【0008】制臭層に用いられる繊維には、通常のパルプ繊維を用いることが可能であり、水に膨潤しない親水性繊維、あるいは水の平衡吸収膨潤後の遠心保持量が0.7g/g以下である親水性繊維が好ましい。後者では吸収した液を繊維内に保持すること無く、すばやくシート内に広げ、制臭剤と接触させることが可能である。かかるシートにおいて、水に対する1分後のクレム吸収速度が、40mm以上であることが好ましい。
【0009】前記水に膨潤しない親水性繊維の構成材料としては、自身が膨潤しない樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、及びこれらの2種以上の複合体等の合成樹脂が挙げられる。これらの合成樹脂は、その表面が疎水性なので親水化処理をすることが必要である。親水化処理の方法としては、前記合成樹脂からなる繊維を成形後、界面活性剤の溶液を噴霧・塗工し、その表面に付着させるか、又は、予め親水性の界面活性剤を前記合成樹脂に練り込み、その後、繊維を成形し、その表面に界面活性剤をブリードさせる方法等がある。
【0010】親水化処理に用いられる界面活性剤としては、親油基と親水基を持つ親水性の界面活性剤であれば何れでも良いが、アニオン系界面活性剤、及びエチレンオキサイド系の付加モル数の高いノニオン系界面活性剤が好ましい。具体的には、スルホコハク酸エステル、アルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステルなどがある。これらの界面活性剤は、単独で又は混合物で使用できる。これらの界面活性剤のうち、前記合成樹脂に対する割合が0.05〜3重量%程度で十分な親水性を付与できるものが好ましい。
【0011】水に膨潤しない親水性繊維の構成材料の別の例としては、親水化処理する必要のない材料、即ち自身が親水性表面を有する材料が挙げられる。具体的にはセルロース、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂からなる繊維及び発泡体、例えばレーヨン繊維、ポリビニルアルコール繊維等が挙げられる。
【0012】前記水の平衡吸収膨潤後の遠心保持量が0.7g/g以下である親水性繊維の例としては、セルロースの分子内又は分子間を適当な架橋剤によって架橋させた架橋セルロース繊維や、セルロースの結晶化度を向上させたポリノジックレーヨン繊維等が挙げられる。製造経費の面からは架橋セルロース繊維が好ましい。遠心保持量が0.7g/g超の親水性繊維を用いると、液が繊維中に吸収保持され悪臭の発生源となったり、繊維が液を吸収することでその弾性率が低下し、繊維空間中に液が残留し易くなって、やはり悪臭の発生源となる。尚、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の化学パルプは、その遠心保持量が通常1〜2g/g程度である。遠心保持量の測定方法は後述する実施例において詳述する。
【0013】前記架橋剤としては、ジメチロールエチレン尿素及びジメチロールヒドロキシエチレン尿素等のN−メチロール化合物、クエン酸トリカルバリル酸及びブタンテラカルボン酸等のポリカルボン酸、ポリグリシジルエーテル系化合物、並びにジアルデヒド系化合物等が好ましく用いられる。
【0014】制臭層を構成する繊維の坪量は、液体を一時的に保持し、且つ吸水ポリマーに速やかに液体を移行させる観点から、5〜150g/m2 とするのが好ましく、10〜60g/m2 とするのが更に好ましい。原料繊維としては、例えば木材パルプや綿等の天然セルロース、レーヨンやキュプラ等の再生セルロース等のセルロース系繊維を用いることができる。また、熱可塑性繊維のフィラメントやステープルファイバー等を用いることもできる。コストの点からは、木材パルプを用いることが好ましく、特に針葉樹クラフトパルプ(NBKP)が好ましく用いられる。特に、液の通過および拡散を高め得ることから、嵩高性の繊維、とりわけ嵩高性のセルロース繊維を主体として用いることが好ましい。本明細書において「嵩高性の繊維」とは、繊維形状が、捻れ構造、クリンプ構造、屈曲及び/又は分岐構造等の立体構造をとるか、又は繊維断面が極太(例えば繊維粗度が0.3mg/m以上)である繊維をいう。
【0015】嵩高性の繊維として好ましいものの例として、繊維粗度が0.3mg/m以上、特に0.3〜2mg/mであるセルロース繊維が挙げられる。また繊維粗度が0.3mg/m以上であることに加えて繊維断面の真円度が0.5〜1であるセルロース繊維も好ましい。更に、嵩高性の繊維として、セルロース繊維の分子内及び分子間を架橋して得られる架橋セルロース繊維を用いることも好ましい。尚、繊維粗度とは、木材パルプのように、繊維の太さが不均一な繊維において、繊維の太さを表す尺度として用いられるものであり、例えば、繊維粗度計(FS−200、KAJANNI ELECTRONICS LTD.社製)を用いて測定することができる。
【0016】セルロース系繊維を用いる場合、更に熱溶融性接着繊維を用いることが好ましい。かかる繊維を用いることにより繊維集合体の湿潤強度を高めることができる。熱溶融性接着繊維は原料繊維全重量の1〜50重量%、特に3〜30重量%用いられることが好ましい。熱溶融性接着繊維としては、加熱により溶融し相互に接着する繊維を用いることができ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリビニルアルコール等のポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリエチレン−ポリエステル等の複合繊維等を挙げることができ、特にポリビニルアルコール、ポリエステル等が好ましく用いられる。上記熱溶融性接着繊維は一般にその繊維長が2〜60mmであり、繊維径は0.5〜3デニールである。
【0017】本発明において、制臭層に分散させる制臭剤とは、悪臭を吸収する消臭剤及び脱臭剤、悪臭の発生を防止する防臭剤、悪臭を他の臭いでマスキングする芳香剤等の悪臭を抑制する物質一般を意味する。
【0018】例えば、防臭剤としては、銀、亜鉛、銅などの金属イオンを含むキレート剤、及びこれらの金属イオンを担持する物質(例えば金属イオン含浸ゼオライト)などが挙げられる。
【0019】消臭剤及び脱臭剤としては、(1) 中性活性炭、繊維化炭素吸着剤、ゼオライト、アモルファスシリカ、ベントナイト等の粘土鉱物、活性アルミナ及び酸性白土等の物理吸着脱臭剤、(2) 酸性剤、アルカリ性剤、酸化剤及び還元剤等の化学脱臭剤、(3) アルカリ性または酸性添着活性炭、植物性精油を吸着させたゼオライト等の物理・化学脱臭剤、並びに(4) 鉄フタロシアニン誘導体、酸化亜鉛等の脱硫作用を有する塩、鉄(II)化合物をL−アスコルビン酸とミョウバンとの混合物などが挙げられる。
【0020】芳香剤としては、(1) アルコール系香料、単糖類、オリゴ糖類及び多糖類からなる配糖体等の香料の配糖体、(2) グリセリンとカルボン酸系香料(安息香酸、桂皮酸など)とのモノグリセライド、ジグリセライド及びトリグリセライド等のグリセリド、(3) アルコール系香料、カルボン酸系香料又はアミン系香料(インドール、スカトールなど)のアミノ酸誘導体又はペプチド誘導体などが挙げられる。
【0021】制臭層における制臭剤の含有量は、5〜80重量%、特に20〜70重量%であることが、効果的な制臭能力を発揮できる点、及び制臭剤の脱落を防ぎ、制臭層の強度を十分に維持できる点から好ましい。
【0022】繊維と混合する制臭剤は、特に制限なく用いることが可能であるが、制臭層を混抄シートとして製造する場合には、水不溶性であること、繊維と容易に混合分散する形状および大きさであることが好ましい。また、制臭剤の形態は、繊維と容易に混合分散させる上で、繊維状が好ましく、又は繊維間隙に取り込まれやすくする上で微粒子であることが好ましい。これらの好ましい制臭剤としては、活性炭繊維、セピオライト等の繊維状制臭剤、活性炭粉末等の各種制臭剤を用いることが可能である。特に、繊維及び水と均一なスラリーを形成し、高い割合で配合してもムラや孔のないシートを形成可能である点、及び粒子が白く、配合時の外観が良好である点から、ゼオライト粉末、シリカゲル粉末、活性アルミナ、酸性白土などの表面親水性の高い粉末状の制臭剤が好ましい。また、制臭剤の大きさは、繊維間隙に入って固定する上で、平均粒径200μm以下であることが好ましく、更にムラのない混合を得る上では、150μm以下とすることが好ましい。制臭剤のうち、活性炭粉末のように表面が疎水性の制臭剤は、疎水性相互作用によって粉末が集塊してムラになるのを防ぐ点で、平均粒径10〜150μmのものが好ましく、30〜80μmのものがより一層好ましい。一方ゼオライト粉末、シリカゲル粉末、活性アルミナ、酸性白土など、表面親水性の高い粉末状の制臭剤は、微粉の方が水中に懸濁しやすく、かつ高い制臭性能( 比表面積が大きいため) が得られる点で、平均粒径60μm以下のものが好ましく、平均粒径30μm以下のものが更に好ましく、平均粒径10μm以下のものが最も好ましい。
【0023】制臭剤の配合量は、制臭機能を高めるためには多いほど好ましいが、配合量が増えるほど吸収シートの強度が低下したり、制臭剤が制臭層から脱落しやすくなり、かつ制臭剤によっては吸収シートの色調が悪くなるなどの問題を生じる。従って、これらの観点から好適に用いられる制臭剤の配合量は、吸収シート全体の重量に対して、活性炭粉末では5〜30%が好ましく、10〜20%が更に好ましい。また、同様にゼオライト粉末、シリカゲル粉末、活性アルミナ、酸性白土等の表面親水性の高い粉末状の制臭剤の配合量は、吸収シート全体の重量に対して、5〜70%が好ましく、20〜60%が更に好ましい。特に、制臭能力強化と、吸収機能発現に必要な制臭層の坪量、並びにポリマー坪量は、前者は15〜100g/m2 、好ましくは20〜50g/m2 、後者は5〜100g/m2 、好ましくは10〜50g/m2 である。
【0024】制臭層の強度を高めたり、或いは制臭剤の制臭層への固定性を高めるために、制臭層に結合剤を含有させてもよい。結合剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエステル等の合成繊維、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合繊維並びにポリエチレンとポリエステルとの複合繊維等の熱溶融性接着繊維;熱水で溶解するポリビニルアルコール繊維等の接着性繊維;カルボキシメチルセルロース、カイメン及びジアルデヒドデンプン等の抄紙用助剤などが挙げられる。結合剤は、制臭層に0.1〜30重量%、特に0.5〜10重量%含有されることが好ましい。
【0025】吸水ポリマー層3は、粒子状の吸水ポリマー30を多数分散させて形成された層であって、本実施形態においては、更に、別の制臭剤31が混合されている。吸水ポリマー層中の吸水ポリマーは、散布のしやすさと支持層を突き抜けて破らない大きさとのバランスの点より、平均粒径が80〜400μmのものが好ましく、150〜350μmのものが更に好ましい。
【0026】吸水ポリマーとしては、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るものが好ましい。具体的には、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。
【0027】前記支持層の構成材料は、上記制臭層の構成材料である繊維集合体に用いる繊維を好ましく用いることができる。前記支持層の坪量は、吸水ポリマーを制臭層との間に介在させ、且つ液体の滞留を防ぐ観点から、10〜40g/m2 とするのが好ましく、15〜30g/m2 とするのが更に好ましい。
【0028】次に、本発明の吸収シートを、その好ましい実施形態としての上記第1実施形態の吸収シート1の製造方法に基づいて説明する。
【0029】<制臭層の製造方法>制臭層は、制臭剤を繊維とともに流体搬送して混合させてシート状に成形し、制臭剤を繊維間に分散させて製造する方法が好ましく、特に、周囲への飛散なく均一に分散可能な点から、制臭剤を各種繊維とともに水中に混合分散して混合スラリー状物を作製し、この混合スラリー状物を湿式抄造し、乾燥させて混抄シートとして製造することが好ましい。上記の方法のほか、親水化剤を内添した溶融樹脂を用いて不織布をメルトブロー形成する際に、気流中に制臭剤を散布する製造方法、親水化剤を内添した溶融樹脂を用いたメルトブロー不織布に制臭剤粉末を分散混合させて製造する方法も用いることが可能である。また、このほかに、例えば、パルプの積繊時に均一混合して繊維の集合体全体に配合しても良く、更に制臭剤を含まないフラッフパルプを積層しても良い。
<支持層の製造方法>支持層は、支持層を構成する繊維を水等の液体中で湿式抄造し、乾燥させて製造する。
<吸水ポリマー層の製造方法>吸水ポリマー層は、上記制臭層又は上記支持層の一面を湿潤状態とし、その湿潤状態の一面に吸水ポリマーを散布してこれを湿潤状態とし、この吸水ポリマーの湿潤状態において発現する粘着力で当該一面に接着させて製造する。
<制臭層と支持層との接合>吸水ポリマー層の製造する一方において、該吸水ポリマーが膨潤した状態において吸水ポリマーを接着させた前記制臭層又は前記支持層に、支持層又は制臭層を当接させて圧着し、吸水ポリマーの湿潤状態において発現する粘着力により、これらを接合する。そして、乾燥させて、前記制臭層と前記支持層とを接合させる。
【0030】また、吸水ポリマーを制臭層に接合するためには、濡れた制臭層に吸水ポリマーを散布して制臭層を重ね、乾燥工程で密着一体化すると、吸水ポリマーが制臭層近接位置にしっかり固定され液移行しやすく最も効率的である。特に、上記湿式抄紙により制臭層を製造し、その湿潤状態において吸水ポリマーを散布して直ちに乾燥することによって最もシンプル且つ効率的に吸収シートを製造することができるが、湿式抄造工程で支持層を形成してサクションボックス等で適宜脱水して含水率を調整した上で、直ちに吸水ポリマーを散布し、更に予め湿式抄造した制臭層を、支持層に散布された吸水ポリマーに面するように重ね合わせて乾燥一体化する方法が最も好ましい。
【0031】本実施形態の吸収シートは、制臭剤や吸水ポリマーの脱落がほとんどなく、しかも制臭効果が高く、従来のように、吸収性能を阻害することがない。特に、前記制臭剤を含む繊維シートである制臭層に吸水ポリマーを隣接して配し接合させることによって、制臭層に滞留する液を、速やかに吸水ポリマーに移行し、制臭剤の周辺から液を引き抜くため、制臭剤の制臭能力を発揮し易くなる。本発明では、吸水ポリマーが集中的に存在する領域と制臭剤が集中的に存在する領域が隣接し、結合している構造が、制臭剤から液体を引き離す駆動力を生むので、より効果的である。また、液が吸水ポリマーに速やかに保持される結果、細菌による液の分解が抑えられ、悪臭の増大を防止する。尚、吸水ポリマーは、それ自体が塩基性臭に対する制臭剤として機能するため、制臭能力を強化することが出来る。(かかる構成の如く、制臭剤を含む層とポリマーが完全に分離した層とならず隣接一体化することによって、吸収した液のうち水分が効果的にポリマーに引き抜かれて固定する結果、制臭剤が濡れた状態になり難く、かつ制臭剤が臭い成分と接触しやすい吸収体を形成することが可能となる。)また、吸水ポリマーを介在する前記制臭層と支持層が、吸水ポリマーの膨潤による粘着性によって結合した場合には、制臭剤周辺に滞留するフリーな液を吸水ポリマーと支持層とが安定的に吸収保持して、高い制臭効果を維持することができる。また、本実施形態の吸収シートの製造方法によれば、吸水ポリマーの湿潤状態において発現する粘着力を制臭層及び支持層の接合に用いることで上記吸収シートを効率よく製造することができる。
【0032】図2は本発明の吸収シートの第2実施形態を模式的に示したものである。なお、同図においては、上記第1実施形態と共通する部分については、同一符合を付し、その説明は省略する。また、同図においては、異なる粒径の吸水ポリマーと制臭剤とが整然と分散された記載となっているが、これらの分散配置はあくまでもこれらを説明する上での便宜上の記載であり、これらの粒径及び分散配置は、同図のものに限られない。同図に示すように、本実施形態の吸収シートは、制臭剤20が繊維21に混合された制臭層2と、制臭層2に一部の吸水ポリマー30が接合されている吸水ポリマー層3と、吸水ポリマー層3中の吸水ポリマー30の膨潤状態において発現される粘着性により制臭層2と接合されている支持層4とを有し、さらに、吸水ポリマー層3に制臭剤31を含ませた構造の吸収シートである。
【0033】本発明においては、吸収ポリマー層に、制臭層の制臭剤と合わせて多量の制臭剤をシートに配合し、吸水ポリマー同士を制臭剤の粒子が離間することによってゲルブロッキングを効果的に防ぐとともに、より高い制臭性能を得る等の観点から、制臭層の繊維に混合した制臭剤に加えて、吸水ポリマー層に制臭剤を混合することが好ましい。この場合、制臭剤は、制臭剤の制臭性能および脱落防止の点で、吸水ポリマーを介して制臭層に接着固定されていることが好ましい。吸水ポリマー層に混合するの制臭剤は、その粒径が吸水ポリマーと同程度の中粒径のもの、具体的には粒径100〜600μmのものが好ましく、粒径200〜400μmの水不溶性の粒子状のものがより好ましい。吸水ポリマー層に混合する制臭剤の配合量は、吸水ポリマーへの固定性の観点から、吸水ポリマー1に対する比率( 重量比) で5以下とすることが好ましく、2以下とすることがより好ましい。また、吸水ポリマー層に混合する制臭剤は、制臭層に混合する制臭剤と同種・異種いずれでもよいが、制臭機能を高めたり、色調改善等の観点から、制臭層の制臭剤とは異種のものであることが好ましい。以下に制臭機能を高める観点で、好ましい組み合わせを例示する。制臭層に含有される制臭層の制臭剤は、制臭性能の観点で、比較的細かい粒子が望ましい。
<例示1>制臭層の制臭剤に比表面積の大きな微粉を、吸水ポリマー層の制臭剤に中粒径の粒子をそれぞれ用いることによって、微粉ですばやく悪臭を吸収し、更に粒子が後まで効果を発現し、初期から長い装着期間を通じて高い効果を維持する。
<例示2>制臭層の制臭剤に酸/アルカリ臭に効果的なゼオライト粉末等、吸水ポリマー層の制臭剤に中性臭に効果的な粒状活性炭等を用いることにより、あらゆる種類の臭いに効果的な制臭シートを形成できる。制臭層( ゼオライト) は酸性臭( 低級脂肪酸など) 、塩基性臭( アミン類、アンモニアなど) に特に有効であり、活性炭は中性( ケトン、メルカプタン、アルコール、エステルなど) に特に有効である結果、排泄される多種高濃度の悪臭成分全てに対応可能である。
<例示3>制臭層の制臭剤にシリカ、活性アルミナ、酸性白土、ゼオライト、活性炭などの制臭剤粉末、吸水ポリマー層の制臭剤に銀、銅、亜鉛複合セラミックなどの抗菌性の制臭剤粒子を配することによって、排泄物に当初から含まれる悪臭をすばやく制臭し、かつ微生物由来の悪臭の増大を長時間に亘って防止する制臭シートも形成可能である。
<例示4>制臭層の制臭剤にシリカ、活性アルミナ、酸性白土、ゼオライト、活性炭などの制臭剤粉末、吸水ポリマー層の制臭剤に香料包摂型の芳香性の粒子を配することによって、悪臭を制臭しながら快い香りを放つ制臭シートも形成可能である。
【0034】また、色調改善の観点から、制臭層に含有される制臭層の制臭剤は、白色系のものが望ましい。制臭層の制臭剤はシリカ、活性アルミナ、酸性白土などの白色系制臭剤粒子、吸水ポリマー層の制臭剤は粒状活性炭などの黒色もしくは有色系の制臭剤粒子を用いることで、後者の色調を制臭層の制臭剤を含むシートの白色系の色彩でマスキングしながら高い制臭能力を発現させることが可能である。
【0035】吸水ポリマー層の制臭剤は、制臭剤の制臭性能および脱落防止の点から、吸水ポリマーを介して制臭層に接着固定されていることが好ましい。
【0036】次に、本第2実施形態の吸収シートの製造方法について説明する。上記第1実施形態の吸収シートの製造方法におけると同様に、制臭層及び支持層を製造する。そして、吸水ポリマーが湿潤状態において発現する粘着性を生かし、吸水ポリマーを散布する制臭層又は支持層の湿潤状態の一面へ吸水ポリマーを散布すると同時か又はその前後に、制臭剤を散布し、吸水ポリマー層に含ませて製造する。
【0037】この吸水ポリマー層に分散混合させる制臭剤は、吸水ポリマーと混合して同時に散布するか、或いは吸水ポリマーの散布と前後して同様に散布することによって容易に吸水ポリマーと混合することができ、更に、当該吸水ポリマーによって制臭剤を最終的に吸収シート内に効率的に固定することが出来る。制臭層と支持層との接合は、上記実施形態におけると同様の方法で行う。
【0038】本実施形態の吸収シートは、上記第1実施形態の吸収シートにおける効果のほか、、制臭層の制臭剤と合わせて吸水ポリマー層に制臭剤を含ませることで多量の制臭剤をシートに配合し、吸水ポリマー同士を制臭剤の粒子が離間させることによってゲルブロッキングを効果的に防ぐとともに、より高い制臭性能を得ることができる。さらに、制臭層と吸水ポリマー層に含ませる制臭剤を異種にすることにより、制臭機能を高めたり、色調改善を容易に行うことができる。
【0039】本発明の吸収シートは、生理用ナプキンや使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体として特に好ましく用いられる他、ペット用トイレの下敷シート、冷凍食品保存/解凍時に用いられるいわゆる食料品のドリップシート、制臭便座カバー、制臭性シーツ/フトンカバー用芯材や制臭性壁紙としても好ましく用いられる。
【0040】なお、本発明の吸収シートは、上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、制臭効果の高める上で、制臭層に更に別の制臭剤を含む制臭層を重ねることもできる。例えば、活性炭を制臭剤として用いた制臭層にさらにゼオライト入りシートを抄き合わせてることで、外観を白くすると共に制臭効果を高めることもできる。制臭層には吸水ポリマーが直接散布され一体的に結合することが最も効果的であるが、例えば、制臭層を補強して複数の制臭層を備えた構成とする場合には複数の層からなる場合(更に外側に抄き合わせ層を持っている)でもよい。
【0041】また、本発明の吸収シートは、制臭剤の脱落防止、また、シートの色調改善の観点から、上記制臭層に、さらに、制臭剤を含まない不織布や紙等からなる被覆層を積層することができる。当該被覆層は制臭層のみに積層してもよく、制臭層及び支持層の両方に積層してもよい。前記被覆層の積層方法は、湿式工程で予め抄紙した紙を重ね合わせて乾燥一体化して積層する方法、単に積層する方法等の方法を用いることができる。具体的には、例えば、湿式抄造により繊維に活性炭を混抄した混抄シートからなる制臭層に、パルプ100%の紙を抄き合わせて一体に乾燥し、表面に制臭層が見えない被覆層を形成することができる。特に、前記被覆層は、制臭層と吸水ポリマー層の間に介在する場合、高親水性または繊維間隔が狭い等で、毛管力が制臭層の毛管力より大きいと、制臭層に滞留する液を積極的に吸水ポリマーへ引きぬく駆動力となるため有利である。前記被覆層の坪量は、上記の効果を十分に得る上で、30g/m2 以下とすることが好ましく、20g/m2 以下とすることが特に好ましい。
【0042】次に、本発明の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図3は、本発明の吸収性物品の一実施形態としての生理用ナプキンの幅方向断面を示したものである。
【0043】同図に示すように、この生理用ナプキン100は、実質的に縦長の形状をしており、液透過性の表面層としてのトップシート200、液不透過性の防漏層としてのバックシート300、及び両シート間に介在された液保持性層の吸収層として上記第1実施形態の吸収シート1を備えている。詳細には、吸収体1は、その裏面が防漏シート600に当接するように該防漏シート600上に載置される。吸収シート1と防漏シート600とは、ホットメルト粘着剤500によって接合固定されている。そして吸収シート1の幅方向両側部から延出する防漏シート600が、吸収シート1の上面側に巻き上げられ、吸収シート1の上面側の幅方向両側部を覆っている。更にこの上をトップシート200が覆っている。吸収シート1の幅方向両側部から延出するトップシート200は、吸収シートの裏面側に折り込まれ、吸収シート1の裏面側を覆う防漏シート600と、ホットメルト粘着剤500によって接合固定されている。吸収シート1の裏面側を覆う防漏シート600の外側の面にはホットメルト粘着剤500がスパイラル状に塗布されている。吸収シート1の裏面側に折り込まれたトップシート200の外側の面にもホットメルト粘着剤500が塗布されている。これらのホットメルト粘着剤塗布面上にバックシート300が接着固定されている。バックシート300の外側の面にはナプキン100を着用者の着衣に固定するための粘着剤700が帯状に2箇所塗布されている。粘着剤700は剥離紙800によって保護されている。また、吸収シート1の前後端から延出するトップシート200、バックシート300及び防漏シート600が、ヒートシールによって互いに接合固定されている(図示せず)。
【0044】本発明の吸収性物品を構成する上記表面層としてのトップシート、防漏層としてバックシート、防漏シート、粘着剤、剥離紙等は、吸収性物品において通常用いられているものを制限なく使用することができる。
【0045】本発明の吸収性物品は、吸液して湿潤した状態における制臭特性(以下、湿式制臭能という)が以下の通りのものであることが好ましい。所定濃度の溶液を所定の順に吸収性物品の同じ部位に予め吸収させた直後に900mLのガラス容器に入れ、直ちに該ガラス容器を密封し25℃で所定時間保存した後に下記ガス濃度を有する。29wt%アンモニア水溶液60μL及び整理食塩水5mLを、この順に吸収性物品の同じ部位に吸収させたときのアンモニアガスの濃度が、30分後に20ppm以下。3時間後に10ppm以下。メチルメルカプタン(1μg/μLベンゼン溶液)100μL及び生理食塩水5mLをこの順に吸収性物品の同じ部位に吸収させ、前記と同様にして30分間及び3時間保存した後のメチルメルカプタンガスの濃度が以下の通りである。30分後10ppm以下。3時間後2ppm以下。
【0046】前記湿式制臭能は、本発明の吸収性物品が吸液して湿潤しても制臭する能力を意味し、詳細には吸収性物品に吸収された液から発生する臭いを、外に漏らさず閉じこめておく能力である。即ち、臭い成分は、経血等の体液に溶け込んで、液として体外に排泄されるものが圧倒的に多い。従って、体液が一旦吸収性物品に吸収された後、吸収性物品から臭いがガスとして分離して吸収性物品の外に出てくることがないように確実にトラップすることが出来れば、臭い抑制効果が極めて高いといえる。これが前記湿式制臭能である。湿式制臭能は、少なくとも短期(30分後)の臭いの濃度が重要となる。即ち、湿式制臭能では、液の注入及び密封直後からしばらくの間は臭いが吸収性物品の外に発散するため、一旦臭い濃度が急速に増大し、濃度のピーク値をとった後に減少していく複雑な過程を取り、30分後には単調減少に移行している。従って、0〜30分の間に臭いの濃度のピークが存在し、このピーク濃度を十分に低減しないと臭いが周囲の人に認知されてしまう。
【0047】前記ピーク濃度は液の性状や分布状態等で振れが大きく、ピーク濃度をもって湿式制臭能を規定するのは困難である。一方で、濃度が安定する30分後の臭い濃度を十分に下げられる吸収性物品ならば、該ピーク濃度も著しく高くはならないため有効な制臭性能が発揮される。そこでこの30分後の臭い濃度を湿式制臭能の尺度としている。湿式制臭能に関し、アンモニアガス及びメルカプタンガスの30分後の濃度が前述の通りであることによって、液からの臭いの発散に起因する臭いの濃度の急速な増大が抑制され、最低限認知され難い水準に留めおくことが可能となる。更に3時間後のアンモニアガス及びメチルメルカプタンガスの濃度が前述の通りであることによって、生理用品の平均的な装着時間(2〜3時間)の間ほぼ完全に制臭される。
【0048】〔制臭性能評価(吸収性物品)〕前記湿式制臭能は、以下の方法で、25℃、50〜60%RHの環境において測定される。吸収性物品の略中央部に前記液を注入する。次いで直ちに、密栓可能な900mLのガラス容器内にこの吸収性物品を入れ密栓する。アンモニア水溶液は、29重量%水溶液〔関東化学(株)製〕60μLをマイクロシリンジにて注入する。生理食塩水は5mLをメスピペット又はホールピペットにて注入する。またメチルメルカプタンは、1μg/μLベンゼン溶液(和光純薬製)100μLをマイクロシリンジで注入する。
【0049】各々のガス濃度測定は、具体的には以下のように行う。
(1) ガス吸引装置何れも共通で、ガステックGV−100Sを使用し、一回の吸引で100mLのガス吸引を行う。吸引保持時間は、用法に従い1分とした。
(2) アンモニア濃度高濃度(30ppm以上)の場合は検知管にガステックNo.3Laを、低濃度(30ppm未満)の場合は検知管にガステックNo.3L を、それぞれ使用して、検知管が変色した範囲からアンモニア濃度を求める。
(3) メチルメルカプタン濃度高濃度(5ppm以上)の場合は検知管にガステックNo.70 を、低濃度(4ppm以下のの場合は検知管にガステックNo.70Lを、それぞれ使用して、検知管が変色した範囲からメチルメルカプタン濃度を求める。変色が検知管の目盛りの中間で止まった時には、上下の目盛りの値を利用して比例計算で濃度を求める。測定はそれぞれ3回行い、その平均値を算出する。何れの測定においても1回の測定で容器内のガス100mLを吸引消費する為、誤差の発生の原因となる繰り返し測定は行わない。従って、同じガス濃度測定に対し30分後の測定と3時間後の測定は別々の検体を用意してそれぞれ実施する。
【0050】従来の吸収性物品では、前記湿式制臭能に関し、吸収性物品に吸収された液から発生する悪臭を十分に閉じこめることができず、十分な制臭効果が発生しなかった。これに対し、本発明の吸収性物品は、前述の構成を有しているので、吸収性物品に吸収された液から発生する悪臭の閉じこめ効果に優れる。
【0051】
【実施例】<実施例1>(吸収シートAの製造)
遠心保持量0.3g/ gの架橋パルプ(ウエアーハウザー(株)、商品名HBA)70部、平均粒径10μmの粉末活性炭21( 二村化学製、商品名SA−1000) 27部、及び結合材として太さ1デニール、長さ3mmのポリビニルアルコール繊維(三昌株製、商品名フィブリボンド、)3部を水中に分散混合し、所定濃度の抄紙原料を得た。この抄紙原料を湿式抄紙機の抄紙部に供給し、乾燥坪量が30g/m2 になるように抄紙して、制臭層を形成した。ついで、該制臭層をサクションボックスにより脱水し、その水分率を60%にした上で、予め抄紙した坪量20g/m2 のシート( 前記架橋パルプ97部、前記ポリビニルアルコール繊維3部より形成) を重ねあわせ、ヤンキードライヤーにて130℃で乾燥一体化して、制臭層を含む層を得た。同様に、前記架橋処理パルプ97部、前記ポリビニルアルコール繊維3部を水中に分散混合し、所定濃度の抄紙原料を得た。この抄紙原料を湿式抄紙機の抄紙部に供給し、乾燥坪量が30g/m2 になるように抄紙し、支持層3を形成した。ついで、前記支持層3をサクションボックスにより脱水してその水分率を60%に調整し、該支持層3の上に、吸水ポリマー4(日本触媒(株)、商品名アクアリック)を散布坪量30g/m2 で略均一に散布した。これら吸水ポリマー4の上に、前記層2を、制臭層が吸水ポリマーに面するように重ね合わせ、これらの重ね合わせ体をヤンキードライヤーにて130℃で乾燥一体化する事により、紙中にポリマー及び活性炭が混合埋没された制臭性の吸収シートを得、これを吸収シートAとした。このシートの坪量は、110g/m2 である。
【0052】<実施例2>(吸収シートBの製造)
遠心保持量1.3g/gの針葉樹化学パルプ(スキーナセルロース社製、商品名スキーナプライム)47部、平均粒径2 μmのゼオライト粉末 (東ソー( 株) 製、商品名ゼオラム) 50部、及び結合材として前記ポリビニルアルコール繊維3部を水中に分散混合し、所定濃度の抄紙原料を得た。この抄紙原料を湿式抄紙機の抄紙部に供給し、乾燥坪量が35g/m2 になるように抄紙して制臭層を形成し、ヤンキードライヤーで130℃にて乾燥一体化して上層を得た。同様に、前記針葉樹化学パルプ97部、該ポリビニルアルコール繊維3部を水中に分散混合し、湿式抄紙機の抄紙部に供給し、乾燥坪量が30g/m2 になるように、支持層を形成した。ついで、前記支持層をサクションボックスにより脱水し、その水分率を60%に調整し、該支持層の上に、実施例1と同じ高吸水ポリマーを散布坪量30g/m2 で略均一に散布し、同時に別の散布機で粒状活性炭42( 二村化学(株)製、CW480B) を散布坪量30g/m2 にて散布した。これらの粒子は散布機のノズルをほぼ同位置とすることによって、略均一に混合される様に設定した。この吸水ポリマーと制臭剤の混合層の上に、前記被覆層を積層し、これらの積層体をヤンキードライヤーに導入し、130℃にて乾燥一体化させる事により、繊維集合体中に吸水ポリマー及び活性炭が混合埋没された制臭性の吸収シートを得、これを吸収シートBとした。このシートの坪量は125g/m2 である。
【0053】<比較例1>(吸収シートCの製造)
実施例2の針葉樹化学パルプ90部と繊維状活性炭( 東邦ベスロン製、ファインガードB) 10部を水中に分散し、坪量40g/m2 の吸収シートを得、これを吸収シートCとした。
【0054】<比較例2>(吸収シートDの製造)
遠心保持量1.2g/gの化学パルプ(ウエアーハウザー社製、商品名NB420)を、空気中で坪量50g/m2 に積繊し、このパルプ上に実施例1と同じ高吸水ポリマーを散布坪量10g/m2 、制臭剤として実施例2の粒状活性炭を坪量10g/m2 で略均一に散布した。更に前記化学パルプを坪量50g/m2で積繊し重ねあわせた後、圧縮して吸収シートDを得た。このシートの坪量は、120g/m2 である。
【0055】上記のごとく得られた吸収シートA〜Dについて、以下のごとく制臭性能、吸収性能及び脱落試験を行った。各測定環境は、25℃、50〜60%RHである。結果を表1に示す。
【0056】〔制臭性能評価(吸収シート)〕吸収シートA〜Dをそれぞれ長さ170mm、幅70mmにカットし、同時注入する生理食塩水の量を3mLとする以外は、上記湿式制臭性能と同様の評価方法で評価した。
【0057】〔吸収性能評価〕吸収シートA〜Dを前記制臭性能評価と同様の形状にカットしてサンプルとし、250メッシュのナイロンネットで作製した長さ130mm、幅100mmの袋に各吸収シートを二つ折りに入れ、この袋ごと生理食塩水を満たしたバッドに投入して10分間放置する。その後直ちに遠心分離器にて2000rpmで遠心分離した後に重量を測定する。そして、予め測定した初期のサンプル重量と袋の重量を差し引いて吸収後のサンプル重量とし、吸水後のサンプル重量を初期のサンプル重量で割った値を飽和吸水量とした。そしてこの飽和吸水量から、吸収シート吸水性能を評価した。
【0058】〔脱落試験〕
<消臭剤およびポリマーの脱落率>吸収シートA〜Dを長さ170mm、幅70mmに切り出してサンプルとし、各サンプルの重量を測定した後、これを長さ280mm、幅200mmのメカニカルファスナー付きのポリ袋に入れ、この状態で50回手で振りながら振動を与えた。試験終了後、各サンプルの重量を測定し、(試験前の重量−試験後の重量)の値を制臭剤および吸水ポリマーの脱落量とした。この時、目視評価を同時に行い、以下の様に評価した。
○;制臭剤/吸水ポリマーの脱落が殆ど認められない(50mg以下)。
△;制臭剤/吸水ポリマーの脱落が多少認められる(50mg超150mg未満)。
×;制臭剤/吸水ポリマーの脱落がかなり認められる(150mg以上)。
【0059】
【表1】

【0060】表1に示したように、実施例1,2では、前述したようなシートの構造を有するため、優れた湿式制臭能を示し且つ脱落も少ない。比較例1は、単純な混抄紙のため、脱落量は少ないものの、十分な制臭能を有していない。比較例2は、制臭剤が有効に機能しないため、制臭能が低く、制臭剤、ポリマーの固定も弱いので脱落も多くなっている。
【0061】<実施例3> 生理用ナプキン100の製造図3に示す吸収性物品としての生理用ナプキン100を製造した。幅150mm、長さ175mmの吸収シートAをCホールドして吸収層1とした。その吸収層1を、幅100mm、長さ205mmのポリエチレンフィルムからなる防漏層300で包み、幅120mm、長さ205mmのポリエチレン開孔フィルムからなる液透過性表面層200で更に包み、さらにポリエチレンフィルムからなる防漏シート600を重ね合わせ、前後をヒートシールで接着した。また、生理用ナプキンの非肌当接面側に、ズレ止め用ホットメルト粘着剤700及び、剥離紙800を設けた。このようにして、長さ205mm、幅75mmの生理用ナプキン100を得た。尚、図3中の500は接着剤(ホットメルト接着剤)である。
【0062】<実施例4> 生理用ナプキン110の製造実施例3の吸収シートAに変えて、吸収シートBを使う以外は、実施例3と同様にして製造し、生理用ナプキンを得た。
【0063】<比較例3>図4に示すように、化学パルプ(商品名;NB420、ウエアーハウザー社製)を、空気中で坪量300g/m2 に幅70mm、長さ175mmに積繊し、積層体900を形成した。、この下層に吸水ポリマー14(日本触媒(株)、商品名アクアリック)30g/m2 を散布し、更に幅70mm、長さ175mmの前記吸収シートC(図中12)を重ね合わせ、更に全体を遠心保持量1.2g/gの化学パルプ(ウエアーハウザー社製、商品名NB420)100%からなる幅160mm、長さ175mm、坪量18g/m2 の吸収紙13で包んで吸収層400とした。そして、その吸収層400を、幅100mm、長さ205mmのポリエチレンフィルムからなる防漏層300で包み、幅120mm、長さ205mmのポリエチレン開孔フィルムからなる液透過性表面層200で更に包み、さらにポリエチレンフィルムからなる防漏シート600で重ね合わせ、前後をヒートシールで接着した。また、生理用ナプキンの非肌当接面側に、ズレ止め用ホットメルト粘着剤700及び、剥離紙800を設けた。このようにして、長さ205mm、幅75mmの生理用ナプキン110を得た。なお、図4中の500は接着剤(ホットメルト接着剤)である。
【0064】<比較例4>実施例5の吸収シートAに変えて、吸収シートDを使う以外は、実施例5と同様にして製造し、生理用ナプキンを得た。
【0065】<比較例5>市販の生理用ナプキン(花王製、商品名ロリエ やわらかメッシュレギュラー)を、比較例5とした。
【0066】〔吸収性物品の制臭性能評価〕実施例3,4及び比較例3〜5で得られた吸収性物品である生理用ナプキンの制臭性能を、以下の制臭性能評価、官能評価、使用テストにより評価した。なお、官能評価及び使用テストの評価環境は約25℃、50〜60%RHであった。結果を表2に示した。
【0067】〔制臭性能評価〕制臭性能評価は、前記吸収性物品の制臭性能評価に基づき評価した。
【0068】〔官能性能評価〕実施例1〜4及び比較例1〜5の生理用ナプキンを、生理用ショーツを用いて可動式人体モデルに装着させた。次いで可動式人体モデルを、100歩/分(50m/分)の歩行速度で歩行させた。その後歩行させながら、生理食塩水5mL中にジエチルアミン100μLを入れた溶液をナプキン中に5mL注入し、同じ速度で30分間歩行させた。その後ナプキンを取り出し、試験サンプルとした。そして、無作為に選定した25名のモニターに試験サンプルの表面側より約10cmの距離に鼻を近づけて臭いを嗅いでもらい、下記基準で評価してもらった。結果は、計25名の平均点で表した。点数は、その値が小さければ小さい程、臭いが吸収されており、制臭効果が高いことを意味する。
【0069】評価基準1点・・・臭いがしない。
2点・・・わずかに臭いがするが気にならない。
3点・・・やや不快な臭いがする。
4点・・・不快な臭いがする。
【0070】〔使用テスト〕予め意識調査にて選抜した生理時のに臭いに敏感な女性25人をモニターとして、各モニターに実施例3,4及び比較例3〜5の生理用ナプキンを、各4枚ずつ渡してナプキンを1枚当り2時間以上装着した際に、下記の臭いをどう感じたかを調査した。
1. ある程度時間が経ってから( 1時間後以降) の使用中の臭い2. 外すときの臭い結果は計25名の平均点で表わした。点数はその値が小さければ小さいほど臭いが吸収されており、制臭効果が高いことを意味する。
●評価指数臭いがしない …… 1点わずかに臭いがするが気にならない …… 2点やや不快な臭いがする …… 3点不快な臭いがする …… 4点【0071】
【表2】

【0072】表2に示す如く、本発明品(実施例3,4)は、比較例3〜5に対していずれも制臭効果が高く、臭いがしないか、臭いが気にならないレベルまで制臭できることが確認された。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば以下の効果を奏する。本発明の吸収シートは、制臭効果が高く、また、制臭剤と吸水ポリマーの脱落がほとんどなく、従来のように吸収性能を阻害することがない。特に、前記制臭剤を含む繊維シートである制臭層に吸水ポリマーを隣接して配し接合させることによって、制臭層に滞留する液を、速やかに吸水ポリマーに移行し、制臭剤の周辺から液を引き抜くため、制臭剤の制臭能力を発揮し易くなる。本発明では、吸水ポリマーが集中的に存在する領域と制臭剤が集中的に存在する領域が隣接する構造が、制臭剤から液体を引き離す駆動力を生むので、より効果的である。また、液が吸水ポリマーに速やかに保持される結果、細菌による液の分解が抑えられ、悪臭の増大を招くおそれがほとんどない。尚、吸水ポリマーは、それ自体が塩基性臭に対する制臭剤として機能するため、制臭能力を強化することが出来る。また、吸水ポリマーを介在する前記制臭層と支持層が、吸水ポリマーの膨潤による粘着性によって結合した場合には、制臭剤周辺に滞留するフリーな液を吸水ポリマーと支持層とが安定的に吸収保持して、高い制臭効果を維持することができる。また、制臭層の制臭剤と合わせて吸水ポリマー層にも制臭剤を含ませることで、多量の制臭剤をシートに配合し、吸水ポリマー同士を制臭剤の粒子が離間することによってゲルブロッキングを効果的に防ぐとともに、より高い制臭性能を得ることができる。さらに、制臭機能を高めたり、色調改善を容易に行うことができる。本発明の吸収シートの製造方法によれば、吸水ポリマーの湿潤状態において発現する粘着力を制臭層及び支持層の接合に用いることで上記効果を奏する吸収シートを効率よく製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成12年1月21日(2000.1.21)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【公開番号】 特開2001−198155(P2001−198155A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−13557(P2000−13557)