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【発明の名称】 体液吸収材
【発明者】 【氏名】河崎 美保子

【氏名】吉田 郁代

【氏名】木村 真紀子

【要約】 【課題】吸水性だけでなく他の有用な機能を効果的に発揮し得る体液吸収材を提供すること、消臭性に優れた体液吸収材を提供すること、消臭性とともに吸湿性が改善され、サラッとした着用感に優れた体液吸収材を提供すること。

【解決手段】酸化亜鉛と機能性粒子を組み合わせて顆粒化させた機能性顆粒を有する体液吸収材。機能性粒子が消臭性物質であることを特徴とする体液吸収材。機能性顆粒が低密度な多孔質シートに付着してなる体液吸収材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸化亜鉛と機能性粒子を組み合わせて顆粒化させた機能性顆粒を有する体液吸収材。
【請求項2】機能性粒子が少なくとも消臭機能を有するものであることを特徴とする請求項1記載の体液吸収材。
【請求項3】機能性粒子が少なくとも吸湿機能を有するものであることを特徴とする請求項1記載の体液吸収材。
【請求項4】機能性粒子が少なくとも抗菌性機能を有するものであることを特徴とする請求項1記載の体液吸収材。
【請求項5】機能性顆粒が低密度な繊維構造物に付着してなる請求項1乃至4のいずれかに記載の体液吸収材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消臭性やドライ感等のより改善された機能を備えた体液吸収材、特に生理用ナプキン及びパンティーライナーに関する。より詳細には、本発明は消臭効果と吸水・吸湿効果を兼ね備え、しかも人に対して毒性を持たずに安全性に優れた消臭性体液吸収材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、おりもの、経血、汗あるいは尿その他の体液を吸収させるため、体液吸収材が用いられている。
【0003】これら体液吸収材の課題として、今まで主として吸水性や吸水保持性及び通気性の向上乃至は改善が掲げられてきたが、使用時及び使用後に体液吸収材内から発生する臭気の抑制については未だ十分改善されていない。体液吸収材から生じる臭気の原因としては、汗、尿、経血、おりものといった体内から排泄された体液自体に含まれる臭気成分だけでなく、該体液が分解して生じる臭気成分を挙げることができる。これらの臭気成分には、脂肪酸、アンモニア、アミン、硫黄含有化合物、ケトン及びアルデヒド、並びにこれらの多数の誘導体が含まれる。
【0004】ところで、各種の繊維構造物に対して消臭性を付与する技術ついては従来から多くの提案がなされており、例えば、合成繊維の製糸段階で消臭性物質を内部に練り込んだ繊維から構成された消臭性繊維構造物(例えば、特開昭63-135512号など)、及び後加工の段階で消臭性物質を樹脂剤と共に繊維表面にコーティングして得た繊維から構成された消臭性繊維構造物(例えば、特開平2-289148号など)が知られている。しかしながら、これらの方法では、消臭性物質の表面が合成樹脂や樹脂剤で被覆されてしまうため、消臭効率が低下し、期待できる消臭効果が得られないという問題がある。
【0005】その一方、二酸化ケイ素、ゼオライト、活性炭、アルミナなどといった一般に脱臭や吸湿機能を有する多孔性無機粒子はそれら単独では繊維への接着性に乏しく、脱臭等の各種の機能を発揮する量を繊維構造物の繊維間に残留・保持させることが難しいという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、第一に、吸水性だけでなく他の有用な機能を効果的に発揮し得る体液吸収材を提供することを目的とするものである。また本発明は、第二に、消臭性に優れた体液吸収材を提供することを目的とするものである。さらに本発明は、第三に消臭性とともに吸湿性が改善され、サラッとした着用感に優れた体液吸収材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく、二酸化ケイ素やゼオライト等の多孔性無機粒子をその消臭機能や吸湿機能などを損なうことなく吸水シート(繊維構造物)に担持させる方法について日夜研究を重ねていたところ、これらの無機粒子(機能性粒子)を酸化亜鉛と併用することにより、とくにバインダーなどを用いなくても繊維間に比較的強く付着若しくは担持させることができることを見出した。本発明者らはその理由を解明すべく更に検討を重ねたところ、上記機能性粒子と酸化亜鉛とを併用することにより、酸化亜鉛が機能性粒子を付着若しくは抱き込んで凝集・顆粒化し、その結果、ソフト感や風合いといった良好な肌触り感の発揮に有用なポーラスで低密度な繊維構造物(シート)に対しても歩留りがよく少量の機能性粒子の使用で所望の機能を効果的に発揮する高品質な体液吸収材が製造できること、また体液が触れても粒子が脱落しないため、体液吸収材の表面に露出して肌を刺激する等といった問題も生じず、安全性に優れることなどを確認した。
【0008】さらに本発明者らは、酸化亜鉛とこれら機能性粒子、特に二酸化ケイ素等の消臭性・吸湿性粒子を配合した体液吸収材によれば、該吸収材に吸収された体液の臭いや湿気が効率よく吸着されるため、使用に際して不快臭が発生しないとともに常時サラっと乾燥しており、着用感に優れた体液吸収材が調製できることを確認した。本発明はかかる知見に基づいて開発されたものである。
【0009】即ち、本発明は、下記のいずれかの態様からなる体液吸水材である。
(1)酸化亜鉛と機能性粒子を組み合わせて顆粒化させた機能性顆粒を有する体液吸収材。
(2)機能性粒子が少なくとも消臭機能を有するものであることを特徴とする1記載の体液吸収材。
(3)機能性粒子が少なくとも吸湿機能を有するものであることを特徴とする1記載の体液吸収材。
(4)機能性粒子が少なくとも抗菌性機能を有するものであることを特徴とする1記載の体液吸収材。
(5)機能性顆粒が低密度な繊維構造物に付着してなる1乃至4のいずれかに記載の体液吸収材。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は酸化亜鉛と機能性粒子を顆粒状に凝集混在させた状態で体液吸収材の基材(繊維構造物)に付着乃至は担持させてなることを特徴とする体液吸収材である。
【0011】本発明で用いられる酸化亜鉛は粒子形状物、特に微粒子形状物であることが好ましい。特にその粒子径は制限されないが、好ましくは平均粒子径として10μm以下、具体的には0.01〜10μm、より好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下のものを挙げることができる。なお、酸化亜鉛そのものは、日本薬局方、化粧品原料基準に収載されているものであり、人体への安全性が極めて高いものである。
【0012】かかる酸化亜鉛は、それを担持させる基材シート(繊維構造物)を構成する繊維全体に対して好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%の割合で担持されるように用いられるのが望ましい。
【0013】また本発明で用いられる機能性粒子としては、吸水性、吸湿性、抗菌性又は消臭性などの、一般に体液吸収材に求められる所望の機能を発揮するものであれば特に制限されない。好ましくは無機質粒子であり、具体的にはシリカ、シリカゲル、ソディウム・テトラシリケート、炭化ケイ素等のケイ素類;塩化アルミニウムなどのアルミニウム類;塩化カリウム、塩素化石灰、塩化カルシウムなどの塩素化合物;ヤシガラ炭などの活性炭;酸化マグネシウム、酸化チタン、亜鉛華、カルシウムオキサイド等の金属酸化物;塩化亜鉛などの亜鉛化合物;窒素ホウ素、ホウ酸及びホウ砂等のホウ素化合物;炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;トウモロコシデンプンなどの澱粉類;セルロースパウダー;シルクパウダー、ゼオライト、モレキュラーシーブ等を例示することができる。これらの中で、少なくとも消臭機能を有するものとしては、活性炭、シリカゲルや二酸化ケイ素などのケイ素類、塩化アルミニウムなどの塩素化合物、カルシウムオキサイドなどの金属酸化物、塩化アルミニウムなどのアルミニウム類、塩化亜鉛などの亜鉛化合物、ホウ酸等のホウ素化合物等を例示することができる。好ましくはシリカなどの二酸化ケイ素である。また、少なくとも吸湿性を有するものとしてはトウモロコシデンプンなどの澱粉類;セルロースパウダー;シルクパウダー、ゼオライト、活性炭、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;シリカ、シリカゲル等の二酸化ケイ素類を例示することができる。また、抗菌性を有するものとしては、ゼオライト、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカゲル等を挙げることができる。
【0014】なお、これらの機能性粒子は一種単独で使用しても、また二種以上を任意に組み合わせて使用することもできる。
【0015】本発明においては、かかる機能性粒子は、破砕状、粉末状、顆粒状、微粉末状のいずれの形状を有するものであってもよいが、好ましくは平均粒子径として0.01〜1000μm、より好ましくは1〜100μmの範囲にあるものをあげることができる。
【0016】かかる機能性粒子は、それを担持させる基材シート(繊維構造物)を構成する繊維全体に対して0.05〜40重量%、好ましくは0.05〜20重量%、より好ましくは0.05〜10重量%の割合で担持されるように用いられるのが望ましい。
【0017】また機能性粒子と上記の酸化亜鉛との混合割合は、機能性粒子の種類や適用する体液吸収材の種類に応じて異なり、一概に規定することはできないが、酸化亜鉛100重量部に対する機能性粒子の混合割合として通常0.5〜80重量部、好ましくは0.5〜40重量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲を例示することができる。
【0018】本発明の体液吸収材は、上記酸化亜鉛と機能性粒子を顆粒状に凝集混在させた状態で体液吸収材の基材に付着乃至は担持させてなることを特徴とするものである。なお、酸化亜鉛と機能性粒子から形成される顆粒の大きさは特に制限されないが、通常平均粒子径とし0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上を挙げることができる。
【0019】ここで基材としては、特に制限されないが、例えば体液吸収材の吸水性のコアとなる吸水性繊維構造物を挙げることができる。本発明で用いられる繊維構造物は、吸水性を有するものであれば特に制限はないが、織物、編物、不織布(非収束状のフィラメント群や短繊維群から構成される不織布を含む。)又は紙等のパルプ製品等から構成される、フィルム状もしくはシート状成形物が含まれる。
【0020】かかる繊維構造物を構成する繊維としては、特に制限はなく任意の繊維を用いることができるが、具体的には例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル複合繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維等の合成繊維、綿、羊毛、麻などの天然繊維、或いはレーヨン繊維、アセテート繊維等の半合成繊維、及び各種繊維の混紡品、混繊品を挙げることができる。好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、エチレン酢酸ビニル等の合成繊維若しくはそれらの複合繊維が例示され、具体的には、ポリエチレン/ポリエステル(ポリエチレンテレフタレートを包含する。)複合繊維、ポリエチレン/ポリプロピレン複合繊維、エチレン酢酸ビニル/ポリプロピレン複合繊維等である。
【0021】尚、これらの合成繊維は、その断面構造等によって特に制限されず、異形断面繊維、多孔性繊維、多孔吸水繊維等で代表されるような各種構造を有するものであってもよい。
【0022】本発明で用いられる繊維構造物は、上記各種繊維から構成される単層シートであっても、各々任意の異なる成分からなるシートの複層体であってもよい。
【0023】本発明で吸収材(繊維構造物)として用いられる上記基材は、特に制限されないが、目付が10〜200g/m2、好ましくは10〜100g/m2、より好ましくは20〜50g/m2の範囲で低密度のポーラス状であることが望ましく、さらには0.075〜1.5mm、好ましくは0.1〜0.5mmの厚さを備えていることが望ましい。
【0024】かかる基材の使用によれば、ソフトで風合いがよく、肌触りが優しく、肌への物理的刺激が少なく、柔軟性に富み、体の動きに追従してなじみやすく、また通気性のよい体液吸収材を調製できるという利点があるが、本発明によれば、さらに機能性粒子を酸化亜鉛と併用することによって顆粒化し粒径の増大化が図られるため、上記基材を構成する各繊維間に該機能性顆粒を脱落させることなく担持、保持させることができるという利点がある。このように機能性顆粒の脱落が有意に抑制されることは、本発明の体液吸収材によれば、酸化亜鉛及び機能性粒子が有する所望の機能を持続的に発揮することができることを意味し、また体液吸収材の表面からの酸化亜鉛や機能性粒子の脱落によって生じる皮膚への刺激化が有意に防止でき、安全性の高い体液吸収材が提供できることを意味する。
【0025】また、上記機能性顆粒は、乾燥状態では基材内に酸化亜鉛が機能性粒子を付着若しくは抱き込んで両者が凝集顆粒か状態で存在するが、通常pH4〜5の弱酸性の体液が接触すると両者の凝集が崩壊して機能性粒子が表出することにより該粒子の表面積が大きくなる現象が見られる。ゆえにかかる現象が体液吸収材の使用時の消臭効果や吸湿効果等に大きく寄与しているものと考えられる。
【0026】基材への機能性顆粒の付着ないし担持は、あらかじめシート状に調製した繊維構造物を酸化亜鉛と機能性粒子を顆粒状態で含む水性分散液で含浸、パディング、コーティング(塗布、噴霧等)、印刷又はスプレーする方法、または繊維構造物を構成する繊維、酸化亜鉛及び機能性粒子を含む水性分散液を用いて湿式抄紙技術で不織布を抄造する方法等によって行うことができる。
【0027】上記方法によれば、特に結合剤や接着剤等のバインダーを必要とすることなく、酸化亜鉛と機能性粒子が繊維構造物の各繊維間(間隙)及び表面に固定化される。これは、上記方法において、酸化亜鉛粒子が一緒に配合した機能性粒子を水中で抱き込んで若しくは付着して凝集し、顆粒状として分散していることが観察されることから、凝集・造粒化による粒度の増大及び酸化亜鉛自身の付着性(吸着性)が一つの要因として考えられる。
【0028】このように本発明によれば、吸水シートの製造に際して、特にバインダーを必須の成分としないことから、バインダーによって酸化亜鉛や機能性粒子の表面が被覆されず、かかる成分の機能を十分発揮することができる。
【0029】しかしながら、酸化亜鉛と機能性粒子との凝集を抑制するものでない限り、本発明はバインダーの使用を制限するものではなく、例えば湿式抄紙技術を用いる場合は、例えばアクリルアミド・ポリビニルアルコール共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウム、酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどのバインダーを使用することもできる。なお、これらのバインダーは水やアルコールなどの溶媒に溶解されて、上記水性分散液の一成分として用いられる。
【0030】酸化亜鉛及び機能性粒子を配合した水性分散液は、両者が凝集してなる機能性顆粒の分散性をより均一にするために、ボールミル、アトライタ、サンドグライダ、三本ロール、高速インペラーミル、ジェットミル、ニーダ、ホモジナイザー、ペイントシーカ、超音波分散機などを使用して調製されることが好ましい。
【0031】本発明の体液吸収材は、おりもの、経血、血、汗、尿を吸収するためのものであれば特に限定されず、具体的にはおしめ、おりものシート、生理用ナプキン、汗とりパット、絆創膏、おねしょシート、失禁パット等が例示される。
【0032】本発明の体液吸収材は、上記の構成を一部に備えるものであれば特に制限されることなく、他の部分は従来公知の構造を採用することができる。具体的には本発明の体液吸収材には、前述する機能性顆粒を有する基材シート(繊維構造物)を中心として、その表面に少なくとも透液性表面シート、及び液が裏抜けしない不透液性シートがそれぞれ積層してなる体液吸収材を包含することができる。なお、本発明の体液吸収材は、かかる積層構造において各層の間又は不透液性シートの下面に更に他の成分を含有していてもよく、例えば、不透液性シートの下面(換言すれば、下着等への接着面)に粘着層を有し、さらにこれに剥離紙を有していても良い。
【0033】なお、液が裏抜けしない不透液性シートとしては、少なくとも水に対して一定のバリア性を有するシート状、好ましくはフィルム状のものであれば特に制限されないが、透湿性を有するものであることが好ましい。不透液性シートの素材も上記性質を有するものであれば特に制限されず、通常使用されるものが広く採用される。一例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン等もしくはこれらの多層フィルムが例示される。
【0034】フィルムの厚さも特に制限されないが、通常0.1〜500μm、好ましくは0.1〜100μmの範囲から適宜選択されて用いられる。
【0035】また、透液性表面シートとしては、上に載付した体液がそれを通過して下層の吸水層(吸水シート)に浸透する透液性であるものを例示することができる。その限りにおいて、形状などを特に制限するものではないが、例えば体液が下層の吸水材に浸透するのを容易にするべくメッシュ状等の多孔構造を有していてもよいし、皮膚への接触感を良好にするために浮きだし模様(エンボス模様)等の形状を呈していても良い。
【0036】なお、本発明には、下記の態様が含まれる:(1) 目付10〜200g/m2の繊維構造物に酸化亜鉛及び機能性粒子からなる顆粒が担持された体液吸収材。
(2) 機能性粒子が二酸化ケイ素である(1)記載の体液吸収材。
(3) 酸化亜鉛が平均粒子径0.01〜10μm、好ましくは0.3μm以下、より好ましくは0.1μm以下の微細粉末物であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の体液吸収材。
(4) 機能性粒子が平均粒子径0.01〜1000μm、好ましくは1〜100μmの微細粉末物であることを特徴とする(1)乃至(3)に記載の体液吸収材。
(5) 酸化亜鉛及び機能性粒子からなる顆粒を担持した繊維構造物が湿式抄紙法によって調製されるものである、(1)乃至(4)のいずれかに記載の体液吸収材。
(6) 少なくとも透液性表面シート、(1)乃至(5)のいずれかに記載の繊維構造物及び液が裏抜けしない不透液性シートから形成される積層構造を有する体液吸収材。
【0037】
【発明の効果】本発明の体液吸収材は、シート基材(繊維構造物)を構成する各繊維の間隙に酸化亜鉛及び機能性粒子が、酸化亜鉛粒子に機能性粒子が付着乃至は担持された凝集状態(顆粒)で存在乃至は付着してなり、このため繊維間を体液が通過しても脱落することなく、消臭効果や吸湿効果などの効果の持続性があるとともに、使用に際して皮膚への刺激がなく安全性の高いものである。また、本発明において製造される体液吸収材は、酸化亜鉛が有する優れた消臭性や抗菌性に加えて、各種の機能性粒子が有する機能に基づいて消臭性、吸湿性及び抗菌性等を持たせることができ、このため、おしめ、おりものシート、生理用ナプキン、汗とりパット、絆創膏、おねしょシート及び失禁パット等、用途に応じて多様な体液吸収材として調製することができる。
【0038】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明は当該実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1〜3撹拌機に水60重量%、酸化亜鉛(平均粒径0.6μm以下、比表面積4m2/g)30重量%、シリカパウダー(平均粒径12μm、比表面積500m2/g、細孔容積2ml/g)10重量%を入れてよく撹拌し、酸化亜鉛とシリカパウダーを含有する水性分散液(表1)を調製した。
【0039】実施例1及び2においては、この分散液と繊維原料であるパルプ及びポリエステルを含む不織布原料液を混合し、抄紙装置により不織布基材を調製した。また、実施例3においては予めパルプ及びポリエステルを用いて作成した不織布に、上記水性分散液(表1)を含浸させて不織布基材を調製した。一方、比較例1として、水性分散液として、キサンタンガムと界面活性剤を配合することによって酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝集顆粒化を抑制させた分散液(表1)を用いて実施例3と同様に不織布に含浸させて基材を調製した。
【0040】顕微鏡観察により、実施例1〜3の基材の繊維間隙には酸化亜鉛とシリカパウダーが凝集した状態で付着存在していることが観察されたが、比較例1の基材には酸化亜鉛とシリカパウダーが凝集せずに、個々に分散状態で付着存在していることが観察された。
【0041】次いで、これらの不織布基材を水の入った容器に入れて水中で振盪し、酸化亜鉛粉末及びシリカパウダーの脱落率を調べた。結果を表1に併せて示す。
【0042】
【表1】

【0043】また、実施例1〜3の不織布基材をおりものシートとして10名のモニターに使用してもらい、使用後のシートを回収して酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝集顆粒の様子を顕微鏡で観察した。その結果、体液が触れて浸潤した部分は顆粒の凝集がほどけて、酸化亜鉛とシルクパウダーがばらばらに分散しているのが観察された。このことから体液による浸潤によって酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝集顆粒が再粒子化し、全体として粒子(機能性粒子)の表面積が広がってより高い機能(消臭、吸湿、乾燥、抗菌)の発現に寄与することが示唆された。
【0044】試験例1 消臭試験不織布(2×5cm)布片2枚の間に酸化亜鉛とシリカパウダーとの顆粒凝集体を挟んで消臭試験体1を調製した。また酸化亜鉛とシリカパウダーとの顆粒凝集体に代えて同量の酸化亜鉛とシリカパウダーを凝集させることなく分散混合したものを用いて、同様に消臭試験体2を調製した。次いで、これらの試験体の消臭効果を比較して、顆粒凝集体と粒子体との消臭効果を評価した。具体的には、消臭試験体1及び消臭試験体2のそれぞれに不快臭成分である酪酸10μLをしみ込ませて、これをバイアル瓶にいれて密封して60分間加熱した後、シリンジでバイアル瓶中の空気を1mL採取し、当該不快臭をガスクロマトグラフィーで測定した。その結果、不織布間に酸化亜鉛とシリカパウダーが顆粒状態で存在する消臭試験体1の消臭率は50%であったのに対し、各成分が凝集することなく粒子状態で分散して存在する消臭試験体2の消臭率は79%と、高い結果が得られた。なお、未加工布の消臭率は0%であった。このことから酸化亜鉛とシリカパウダーは、粒子状態となることによって消臭効果が増強することがわかった。
【0045】以上の実施例及び試験例から、本発明の体液吸収材は、顆粒化した酸化亜鉛とシリカパウダーが、バインダーを特に要しなくても、低密度な繊維構造物から殆ど脱落することなく強く担持されており、また体液による浸潤によって酸化亜鉛とシリカパウダーとの凝集がほどけて再粒子化し、これによってより消臭効果が向上することがわかる。
【出願人】 【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
【出願日】 平成12年1月19日(2000.1.19)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二 (外8名)
【公開番号】 特開2001−198154(P2001−198154A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−10781(P2000−10781)