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【発明の名称】 発熱袋及びその使用方法
【発明者】 【氏名】大塚 健二

【氏名】松本 喜基

【氏名】矢田 浩一

【氏名】越智 幸史

【要約】 【課題】皮膚と下着のあいだに装着して使用する発熱袋であって、発熱袋の熱を効率よく身体に伝達することができ、安定した発熱特性を保持することができると共に、発熱袋を貼り付けた直後の冷たさ、発熱袋を剥すときの痛み、及び貼り付けた部位にかゆみやかぶれを生じることがなく、発汗した場合にも発熱袋が装着部から脱落することがなく、発汗による不快感を生じることもない発熱袋を開発すること、及びその使用方法を提供することである。

【解決手段】発熱袋の片面は通気性を有するとともに粘着部を有し、他の片面は粘着部を有しない構造とし、該通気性を有するとともに粘着部を有する面を下着の内側に貼りつけ、粘着部を有しない面を皮膚に接触させる構成とした発熱袋とする。また、この構成の発熱袋を、皮膚と下着の間で、通気性と粘着性を有する面を下着の内側に貼りつけ、他の片面を皮膚に接触させて用いる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物又はシート状発熱体が偏平状袋に収納された、人体を暖めるための発熱袋であって、該発熱袋の片面(通気性粘着面)は通気性を有するとともに粘着部を有し、他の片面(非粘着面)は粘着部を有しない構造とし、下着と皮膚との間において、該発熱袋の通気性粘着面を下着の内側に貼り付けて下着に固定することによって該通気性粘着面を人体の外側に向けることで安定した通気性状態に保持し、非粘着面を皮膚に接触させて人体を直接暖める機能を有することを特徴とする発熱袋。
【請求項2】 発熱組成物が、少なくとも被酸化性金属粉、活性炭、無機電解質及び水を含む混合物である請求項1に記載の発熱袋。
【請求項3】 シート状発熱体が、多数の空隙を有する不織布または抄紙により成形されたシート状物に少なくとも被酸化性金属粉、活性炭、無機電解質及び水を保持させたものである請求項1に記載の発熱袋。
【請求項4】 粘着部が、通気性粘着面の表面に均一に分散して設けられている請求項1に記載の発熱袋。
【請求項5】 粘着部の面積割合が、通気性粘着面の面積全体の5〜95%である請求項1に記載の発熱袋。
【請求項6】 粘着部の面積割合が、通気性粘着面の面積全体の20〜70%である請求項1に記載の発熱袋。
【請求項7】 通気性粘着面の通気性が、20℃、相対湿度65%、大気圧の条件下において、該包装材の片面を大気に曝し、該包装材の反対側の面に酸素を含まないキャリヤーガス(窒素)を該包装材の単位面積当たり0.193Nl/cm/hの流量で該包装材の表面を掃気するようにして流して測定した時の酸素拡散量で450〜1500Nl/m/24hである請求項1に記載の発熱袋。
【請求項8】 非粘着面が非通気性である請求項1に記載の発熱袋。
【請求項9】 非粘着面の包装材が、公定水分率2.0以上の吸水性の繊維を主成分とする不織布または織布を用いた包装材である請求項1に記載の発熱袋。
【請求項10】 公定水分率2.0以上の吸水性の繊維が、綿、絹、麻、ウール、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、アセテート繊維、トリアセテート繊維、及び再生繊維から選ばれる一種以上である請求項9に記載の発熱袋。
【請求項11】 非粘着面が高吸水性の包装材である請求項1に記載の発熱袋。
【請求項12】 高吸水性の包装材が、高吸水性樹脂粉末、ゼオライト、シリカゲル、または珪藻土を保持させた不織布を用いた包装材である請求項11に記載の発熱袋。
【請求項13】 高吸水性の包装材が、高吸水性樹脂で被覆された繊維を含む不織布、中空状で表面に多数の微細孔を有する繊維を含む不織布、又は断面形状が多数の襞若しくは復層状である繊維を含む不織布を用いた包装材である請求項11に記載の発熱袋。
【請求項14】 発熱袋の大きさが、該発熱袋の片面の面積で10〜70cmである請求項1に記載の発熱袋。
【請求項15】 空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物又はシート状発熱体が偏平状袋に収納された発熱袋を下着と皮膚の間に保持させて人体を暖める方法であって、該発熱袋の片面(通気性粘着面)は通気性を有するとともに粘着部を有し、他の片面(非粘着面)は粘着部を有しない構造であり、該発熱袋の通気性粘着面を下着の内側に貼りつけ、非粘着面を皮膚に接触させて用いることを特徴とする発熱袋の使用方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発熱袋及びその使用方法に関する。更に詳しくは、本発明は空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物またはシート状発熱体が通気性の袋に収納されてなり、皮膚に直接接触させて人体を暖めるための発熱袋及びその使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から鉄粉等の被酸化性金属粉、活性炭、無機電解質、水を主成分とし、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物を通気性の袋に収納した発熱袋がかいろ等として広く利用されている。これらの発熱袋の一般的な構造としては、空気中の酸素と接触して発熱する、被酸化性金属粉、活性炭、無機電解質、水等を混合した湿った粉末状の発熱組成物が、通気性の偏平状袋に収納されて発熱袋とされている。また、粉末状発熱組成物に替えて多数の空隙を有する不織布などのシート状物に前記発熱組成物を保持させたシート状発熱体を偏平状袋に収納して発熱袋とされたものもある。これらの発熱袋は、使用される迄の期間中、外部の空気と遮断し、かつ水分が外部へ逸散することを防ぐために、さらに非通気性の外袋に密封保存される。これらの発熱袋は、使用の際、下着の間などに挟むか、あるいは袋を有する保持具等に入れて装着されている。
【0003】一方、発熱袋の装着を容易にするために、偏平状発熱袋の片面に通気性を持たせ、他の片面のほぼ全面にわたってベタ若しくは適宜模様状に非転着性の粘着剤層(粘着部と同じ意味)を設け、この粘着剤層を有する面を下着の上から貼り付ける構成とした発熱袋が提案されている(実公昭56−34735号公報)。また、通気性包材の通気量を制限し発熱持続時間を長くする目的で通気性面に粘着剤層を部分的に設けた発熱袋も提案されている(実開平3−96816号公報)。このほか、発熱袋の周辺部分に接着テープを帯状に貼着した発熱袋(実開昭62−119914号公報)、あるいは両面接着テープを貼り付けるようにした発熱袋(実用新案登録第1686986号公報)なども提案されている。
【0004】上記の提案されている発熱袋は、いずれも下着の上(下着の外側)から貼り付けて使用する構成の発熱袋である。これらの技術を適用した発熱袋が多数市販されている。そして、それらの発熱袋の使用方法あるいは使用上の注意書には、「下着の上から貼って・・・・」「衣類の上から貼って・・・・」などの表示が記載されており、いずれも発熱袋の粘着剤面を下着の上から(下着の外側)から体の方に向けて貼る構成であることが示唆されている。これらの発熱袋は、貼るタイプの発熱袋(以下、貼るタイプと記す)と称されて広く使用されている。
【0005】さらに貼るタイプ発熱袋における発熱袋から身体への熱伝達性を向上させ、発熱袋の軽量化、薄型化をはかった発熱袋として、偏平状袋の片面に通気性を持たせ、他の片面に粘着部を設け、粘着部の面を皮膚に直接貼るようにした発熱袋も開発されている。また、皮膚に直接貼りつけている時の皮膚のかゆみやかぶれ発生の防止などの目的で粘着剤層の面積を30〜70%とすることも提案(特開平9−557号公報)されている。このほか粘着部に替えて水分含有ゲル層を皮膚に貼る面とした発熱袋も開発されている。これらの発熱袋はいずれも皮膚に直接貼ることから直貼りタイプの発熱袋(以下、直貼りタイプと記す)と称されている。
【0006】これらの貼るタイプの発熱袋、直貼りタイプの発熱袋は、寒冷等に対して暖を採る目的の発熱袋のほか、夏場の冷房による冷え過ぎの防止、生理痛、神経痛、筋肉痛等の緩解、疲労回復などを目的とした医療用具としても利用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこれら貼るタイプ及び直貼りタイプの発熱袋には次のような問題点があった。すなわち、貼るタイプの発熱袋は下着の上から装着することから身体へ効率よく熱伝達されないという不都合があった。また、このことから所望の温かさ、所望の持続時間を得るためには発熱組成物の量を多く必要とする結果、発熱袋が重く、嵩高となるほか、着衣が薄着の場合などでは発熱袋を装着している状態が外部から見え易いという不都合もあった。
【0008】さらに貼るタイプ発熱袋のうち、通気性面に粘着剤層を部分的に設けた発熱袋の場合には、装着中の体位の変化などによる身体と発熱袋の密着度によって通気性が変化するために、ぬるくなったり、あつすぎるなど一定した温かさが得られないという欠点があった。また、接着テープを帯び状に貼った発熱袋、あるいは両面粘着テープを貼りつけるようにした発熱袋は、製造工程が複雑となるほか、使用する際に繁雑さがあることや、粘着力不足となることから、市場から消え去っている状況である。
【0009】一方、直貼りタイプの発熱袋は、皮膚面に直接貼り付けることから、発熱特性の変化が直ちに装着部分の皮膚面に伝わり、やけどを生じさせ易くなる虞があり、やけどの虞を避けるために発熱特性を所望の発熱特性よりも低めに設定せざるを得ないという不都合があった。
【0010】さらに、発熱袋を貼る時に冷たさを感じること、はがす時には痛みを感じること、貼りつけている皮膚部分にかゆみ、あるいはかぶれを生じる場合があるという不都合があった。さらに、使用中に発汗した場合には、汗により粘着部が剥がれるために発熱体が脱落すること、及び汗により不快感を生じるという不都合もあった。
【0011】また、皮膚に貼る面の粘着部の面積を少なくした場合においても、貼りつけている皮膚部分のかゆみやかぶれの発生を防止することができなかった。一方、粘着部に替えて、水−ゲル層を用いた場合においては使用する際の冷たさを解消することができなかった。このほか発熱袋が皮膚に直に貼り付けられているために、皮膚の伸縮が妨げられたことによる、引きつり感などの違和感を伴うという不都合もあった。
【0012】以上のことから、本発明の課題は、発熱袋の装着が容易であるとともに、発熱袋の熱を効率よく身体に伝えることができ、安定した発熱特性を保持することができ、発熱袋を貼り付けた直後の冷たさ、発熱袋を剥すときの痛み、及び貼り付けた部位にかゆみやかぶれが生じることがなく、発汗した場合にも発熱袋が装着部から脱落することがなく、発汗による不快感を生じることがなく、装着中に違和感の生じることのない発熱袋を開発すること、及びその使用方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、粉体状の発熱組成物又はシート状発熱体を収納した偏平状袋の片面を通気性を有するとともに粘着部を有し、他の片面は粘着部を有しない構造とし、該通気性を有するとともに粘着部を有する面を下着の内側に貼りつけて装着し、粘着部を有しない面を皮膚に接触させる構造とした発熱袋にすることにより、これらの問題点を解消し得ることを見出した。また、この構造の発熱袋を、皮膚と下着の間で、通気性と粘着性を有する面を下着の内側に貼りつけ、他の片面を皮膚に接触させて用いることによりこれらの問題点が解消し得ることを見出し本発明に到達した。
【0014】すなわち本発明は、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物又はシート状発熱体が偏平状袋に収納された、人体を暖めるための発熱袋であって、該発熱袋の片面(通気性粘着面)は通気性を有するとともに粘着部を有し、他の片面(非粘着面)は粘着部を有しない構造とし、下着と皮膚との間において、該発熱袋の通気性粘着面を下着の内側に貼り付けて下着に固定することによって該通気性粘着面を人体の外側に向けることで安定した通気性状態に保持し、非粘着面を皮膚に接触させて人体を直接暖める機能を有することを特徴とする発熱袋である。
【0015】また本発明は、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物又はシート状発熱体が偏平状袋に収納された発熱袋を下着と皮膚の間に保持させて人体を暖める方法であって、該発熱袋の片面(通気性粘着面)は通気性を有するとともに粘着部を有し、他の片面(非粘着面)は粘着部を有しない構造であり、該発熱袋の通気性粘着面を下着の内側に貼りつけ、非粘着面を皮膚に接触させて用いることを特徴とする発熱袋の使用方法である。
【0016】本発明において下着とは、人体に直に纏う衣類を意味するものであり、通常下着と称される衣類のほか、ワイシャツ、ブラウス、ポロシャツなどを直に身に纏っている場合には、それらも下着に含められる。
【0017】本発明の発熱袋は、発熱袋の片面(通気性粘着面)には通気性を持たせると共に粘着部を設け、他の片面(非粘着面)には粘着部を設けない構造にし、そしてこの発熱袋を下着と皮膚の間で通気性粘着面を下着の内側に貼り付けて装着する構成としたものである。このことにより、発熱袋の粘着部が皮膚に接触することがなくなり、装着時の冷たさや、剥がす際の痛みを感じることもなく、装着中の皮膚面にかゆみやかぶれを生じることがなくなり、貼りつけに伴う違和感等も解消することができるようになった。
【0018】さらに本発明は、発熱袋の通気性面が下着の内側に貼り付けられること、つまり通気性面が人体の外側に向いており、皮膚面など密着した際に通気性を阻害するような面に接触していないことから、装着中の姿勢や動き等に影響されることなしに所望の発熱特性を保持することができるようになったものである。このほか皮膚に直接貼ることなしに身体に発熱袋の熱を効率良く伝えることができることから、発熱袋の発熱組成物の量を低減させることができ、軽量で、薄く、しかも所望の持続時間を得ることができる。
【0019】さらに、本発明の発熱袋において、発熱袋の皮膚に接触する面の包装材は、粘着部を有しないことから比較的任意に設定することができ、例えば肌触りなどの感触、熱伝達性、吸水性などを考慮して任意の素材、任意の形態にすることが可能になり、使用中の違和感を解消することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、下着と皮膚の間に装着して人体を暖める発熱袋及びその発熱袋の使用方法に適用される。本発明の発熱袋は、粉体状発熱組成物又はシート状発熱体が偏平状袋に収納されており、発熱袋の片面(通気性粘着面)が通気性を有すると共に粘着部を有し、他の片面(非粘着面)が粘着部を有せず、この通気性粘着面を下着の内側に貼り付け、非粘着面を皮膚に接触させて用いるように構成した発熱袋である。
【0021】本発明の発熱袋において、偏平状袋の通気性粘着面には、通気性を有すると共に粘着部を有する包装材が用いられる。通常は通気性包装材の外表面に部分的に粘着剤を塗布若しくは印刷することなどによって粘着部を設け、通気性と粘着性を一つの面に保持させることが行われる。
【0022】通気性の包装材として通常は、不織布、織布、紙等の単独包装材のほか、微細な貫通孔を有する多孔質フィルムの単独包装材、不織布または織布にポリエチレンフィルム等がラミネートされた非通気性の包装材に微細な孔を開けて通気性を持たせた包装材、不織布と多孔質フィルムを貼り合せた包装材、あるいは繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布より成る包装材等を例示することができる。
【0023】ここで、多孔質フィルムとは、メタノールバブリング法による最大孔径が0.001〜20μm程度の微細な貫通孔を有するフィルムであり、例えば合成樹脂フィルムを二軸延伸することによって貫通孔を設けたもの、あるいは溶融したポリエチレン、ポリプロピレンなどに炭酸カルシウムなどの無機系微細粉末を分散させた後、フィルム状に押出し、得られたフィルムをさらに延伸させて、貫通孔を設けたもの等である。これら多孔質フィルムの市販品としては、例えば(株)トクヤマ製のポーラム及びNFシート、積水化学工業(株)製のセルポア、日東電工(株)製のブレスロン等がある。また、繊維が積層され熱圧着されて通気性を制御された不織布よりなる包装材には、デュポン(株)製のタイベック等がある。
【0024】本発明の発熱袋において、上記のように通気性粘着面には通気性を有すると共に粘着部が設けられる。粘着部に用いられる粘着剤は、所望の粘着力を有し、下着へ転着を生じることがなく、人体や環境に悪影響を及ぼすことがなく、かつ発熱袋として使用されるまでの長期保存中に変質することがないものであればいかなるものでも用いることができる。例えばその構成成分としてアクリル酸系ポリマー、ゴム系ポリマー、酢酸ビニル系ポリマーなどが用いられる。また、粘着部の表面は、通常は使用されるまでの期間、他の物に粘着しないように、剥離紙などにより被覆される。
【0025】粘着部が設けられる位置に特に制限はないが、少ない面積で効率よく下着に貼り付けるために、通気性粘着面に均一に分散して設けることが好ましい。通気性粘着面は、例えば、通気性の包装材に予め粘着剤を部分的に印刷したり、非通気性包装材のほぼ全面に粘着剤を塗布した後針孔を開けて通気性にする等の方法により得ることもできる。
【0026】粘着部の面積割合は、通常は通気性粘着面の面積全体の5〜95%であり、好ましくは20〜70%である。粘着部の面積割合が5%以下の場合は、発熱袋が下着から剥がれやすくなり、一方95%以上の場合は粘着部の占有面積が多くなるために、通気孔の設定が難しくなる不都合がある。
【0027】本発明の発熱袋において、通気性粘着面に粘着部を設ける際の、粘着部の形状に関しては、粘着部を水玉模様状、斑点状、亀甲状、ストライプ状、あるいは格子状に設けることもでき、その形状に特に制限されるものではない。さらに、単位面積当たり塗布される粘着剤の量についても特に限定されるものではない。粘着剤の塗布分布に関しても特に制限されるものではないが、発熱特性の均一化をはかるために、袋全体にほぼ均一な通気性状態に設定することが好ましく、その点から、粘着剤の塗布分布もほぼ均一な分布を有するものが好都合である。しかし、通気性包装材の通気孔の分布と粘着剤塗布パターンを適宜調整することによって、比較的任意な分布で本発明の目的を達成することもできる。
【0028】本発明の発熱袋において、通気性粘着面の通気性とは、粘着剤が塗布された状態での通気性を意味するものである。その通気性をJIS P8117に規定する気体透過度、JIS L1018に規定する通気性、あるいはJIS Z0208で規定する透湿度で表すこともできる。しかし、それらの試験方法は通気孔の孔径、測定時の包装材表裏面の圧力差、包装材の吸湿性などによって、測定値と発熱特性との相関性が変動する不都合がある。このため、本発明においては、先に本出願人らが提案した酸素拡散量(特開平11−30579号公報)で通気性を規定することとする。酸素拡散量の概念を以下に説明する。
【0029】ここで言う酸素拡散量とは、20℃、相対湿度65%、大気圧の条件下において、通気性包装材の片面を大気に曝し、一方、反対側の面には酸素を含まないキャリヤーガス(窒素)を包装材単位面積当たり0.193Nl/cm/h(ノルマルリットル/平方センチメートル/時間)の流量で包装材の面を掃気するように流して測定した時の、大気側からキャリヤーガス側に拡散する酸素の量で通気性を表現する方法である。この測定方法は、大気側と、キャリヤーガス側との圧力差をほぼ零に保った状態で測定することから、通気孔の大小による測定値変動の影響を受けにくいこと、片面が大気に曝されており、他の片面がキャリヤーガス側の酸素濃度が大気中に比べて著しく低い状態、すなわち発熱袋の使用中における発熱袋内の酸素濃度に近い状態に保たれた条件下で測定されることから、通気性の測定値と発熱特性との間に高い相関性を有する優れた特徴がある。
【0030】本発明の発熱袋の通気性は、通常は酸素拡散量で450〜1500Nl/m/24h(ノルマルリットル/平方メートル/24時間)、好ましくは600〜1200Nl/m/24hである。酸素拡散量が450Nl/m/24h以下では発熱温度が低すぎ、1500Nl/m/24h以上ではあつくなりすぎる不都合がある。このほか、本発明の発熱袋は、皮膚と下着の間に装着するものであり、発熱袋が皮膚に接触した状態で熱が皮膚に伝わるものであることから発熱袋全体がほぼ均一な発熱特性を有するように設計することが好ましい。
【0031】本発明の発熱袋において、皮膚と接触する非粘着面は粘着部を設けない構成とされる。従ってその素材は、肌触り、熱伝導性、汗などに対する吸水性など、所望する特性に応じて適宜設定することができる。例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の非通気性フィルムの単独包装材、あるいは不織布または織布にポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等を貼り合せた包装材、更にこれらの表面に起毛処理した包装材等を挙げることができる。
【0032】また、本発明の発熱袋において、発汗した場合には汗が吸収されるように、非粘着面の包装材を、公定水分率が2.0以上の吸水性の繊維を主成分とする不織布または織布を用いた包装材で構成されることが好ましい。公定水分率が2.0以上の吸水性の繊維としては、綿、絹、麻、ウール、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリアミド系合成繊維、ポリビニルアルコール系合成繊維、アセテート繊維、トリアセテート繊維、再生繊維等を例示することができる。さらに、吸水性が優れた不織布として、高吸水性ポリマーを不織布に保持させた不織布等を用いることもできる。なお、これらの繊維を主成分とする不織布または織布は、皮膚に対して感触が比較的良好なものでもある。
【0033】さらに、非粘着面の包装材に、汗の吸収性の高い高吸水性の包装材を用いることもできる。例えば、表面が高吸水性樹脂で被覆された繊維を含む不織布、中空状で表面に多数の微細孔を有する繊維を含む不織布、断面形状が多数の襞もしくは複層状等を形成することによって毛細管作用を持たせた繊維を含む不織布などが用いられる。
【0034】このほか、非粘着面の包装材に、吸水性無機化合物を保持させた不織布、あるいはフイルムを用いることもできる。例えば、不織布に珪藻土、ゼオライト、シリカゲルなどの粉末を保持させた不織布、シリカ、アルミナ等の粉末をポリエチレンなどの合成樹脂に比較的多量に保持させたフイルム等も用いることができる。
【0035】さらに、非粘着面の包装材に、所望により抗菌性を付与することもできる。本発明に用いることができる抗菌剤としては、人体の生理機能に影響を及ぼさず安全性が高いこと、および廃棄された場合においても有害物質を生じないものである。このような抗菌剤の種類としては、無機系、第四アンモニウム系、グアニジン系、フェノール系、脂肪酸エステル系、および天然物系など各種のものがある。抗菌剤を包装材に含有させる方法に特に制限はないが、例えば、抗菌剤を、不織布、織布、フィルム、紙、その他の包装材にグラビヤロール方式、ディップロール方式等により塗布、含浸したり、散布、あるいは印刷等の方法によって付着させることもできる。
【0036】本発明の発熱袋において、非粘着面にも通気性を持たせた場合には、その面が皮膚に密着したときに通気性が阻害されるために、体位の変化などの使用状態によって発熱特性に変動を生じることから、発熱袋の通気性を通常は通気性粘着面のみとされる。
【0037】しかしながら本発明の発熱袋は、発熱袋の非粘着面の包装材に通気性を持たせることを排除するものではない。すなわち、非粘着面の包装材を皮膚に密着した場合においても通気性が確保し得るような包装材が選択された場合、あるいは下着の通気性が特異な性質を持つような場合を考慮して、非粘着面に通気性を持たせることもできる。さらに発熱特性に若干の変動を許容するような場合には非粘着面に通気性を持たせることができる。
【0038】しかし、それらの場合においても発熱袋の通気性粘着面に通気性の主体を持たせることが好ましく、非粘着面の通気性は、通気性粘着面の通気性の通常は1/2以下、好ましくは1/3以下とされる。このように、非粘着面の包装材にも通気性を持たせた場合には、通常はその通気量の大きさに対応して通気性粘着面の通気性が適宜調製される。
【0039】本発明の発熱袋において、空気中の酸素と接触して発熱する発熱組成物とは、被酸化性金属粉、活性炭、無機電解質、及び水を含む混合物であり、このほか保水剤等が加えられる場合もあり、湿った粉体状物である。これらは、従来から公知のものが使用される。被酸化性金属粉としては鉄粉、アルミニウム粉などであるが、通常は鉄粉が用いられ、還元鉄粉、アトマイズド鉄粉、電解鉄粉等が利用される。活性炭は反応助剤の他、保水剤としても使用され、通常は椰子殻炭、木粉炭、ピート炭等が用いられる。
【0040】無機電解質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、重金属の塩化物、及び硫酸塩等が好ましく、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸ナトリウム等が用いられる。
【0041】保水剤としては、保水性の高いものであるとともに、発熱袋の長期保存中に変質を生じないものであれば特に限定されず、例えば真珠岩粉末、バーミキュライト、木粉、高分子吸水剤等が用いられる。
【0042】発熱組成物の組成割合は、目的とする発熱性能などによって異なり、一概には特定できないが、例えば被酸化性金属粉100重量部に対し、活性炭2.0〜35重量部、無機電解質0.5〜8.5重量部、水20〜50重量部、保水剤0.1〜20重量部である。その他、所望により、固結防止剤等を加えることもできる。
【0043】また、本発明の発熱袋において、前記の粉体状の発熱組成物に替えて、不織布などの多数の空隙を有するシート状物に、被酸化性金属粉、活性炭、無機電解質、及び水を保持させたシート状発熱体を偏平状の通気性袋に収納した構成とすることもできる。このシート状発熱体の構造及び製造方法については特に制限されることがなく公知のものを用いることができる。
【0044】例えば、■繊維が不規則に積層され、内部に多数の空隙を有するシート状の支持体に被酸化性金属粉を分散、保持させた後、これに活性炭を懸濁した無機電解質水溶液を含浸させたシート状発熱体(特開平3−152894号公報)、あるいは■多数の空隙を有する不織布aの下面に不織布bを接着剤を用いて重ね合わせ、この不織布aの上面に発熱組成物粉体を散布して空隙に保持させ、次いで該不織布aの上面に不織布cを重ね合わせ、型圧縮機で加熱圧縮したのち、水または無機電解質水溶液を含浸させたシート状発熱体(特開平8−112303号公報)などを挙げることができる。このほか、抄紙により調製されたシート状物に発熱組成物を保持させたシート状発熱体、あるいは抄紙の際に発熱組成物を抄き混んでシート状とした発熱体を用いることもできる。
【0045】本発明の発熱袋は、使用される迄の期間中、非通気性の外袋に密封保存される。発熱袋の大きさは、発熱袋の装着部位によっても異なり、一概には特定できないが、通常は発熱袋の片面の面積として10〜700cm、好ましくは20〜400cm程度である。また発熱袋の形状としては、矩形状に限らず、円形状、楕円形状、動物あるいは植物をかたどった形状のものとすることもできる。
【0046】本発明の発熱袋の使用方法は、通気性の偏平状袋に発熱組成物が収納されて発熱袋とされており、該発熱袋の通気性粘着面は通気性を有するとともに粘着部を有し、非粘着面が粘着部を有せず、該通気性粘着面を下着の内側に貼り付け、該非粘着面を皮膚に直接接触させて用いる発熱袋の使用方法である。すなわち、本発明の発熱袋の使用方法は、以上に述べてきた本発明の発熱袋を、通気性粘着面を下着の内側に貼り付け、非粘着面を皮膚に直接接触させる使用方法である。
【0047】以下、本発明を、図1及び図2に基づいて詳細に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。図1は本発明の発熱袋の一例を示す断面図であり、粉体状の発熱組成物が偏平状の袋に収納されている。図2はシート状発熱体が偏平状の袋に収納された発熱袋の一例を示す断面図である。図1及び図2において、通気性粘着面2が下着の内側に貼りつけられる面である。また、非粘着面の包装材1は皮膚に接触する面である。なお、通気性粘着面2は、通常は使用されるまでのあいだ剥離紙などにより被覆されている。さらに、本発明の発熱袋は、使用される迄の期間中、非通気性の外袋に密封保存される。
【0048】本発明の発熱袋を用いる際には、通気性粘着面2が下着の内側に貼り付けられ、非粘着面1が皮膚に直接接触するように装着される。このような方法で発熱袋を下着と皮膚の間に装着することによって、安定した発熱特性が得られると共に、その熱を効率よく身体に伝えることができる。本発明において、発熱袋の非粘着面1は、粘着部を有せず、吸水性のある包装材或いは皮膚に対して感触の良好な包装材とすることができるので、従来の直貼タイプ発熱袋のような貼り付けた直後の冷たさ、発熱袋を剥すときの痛み、及び貼り付けた部位のかゆみ、かぶれ等を生じることがなく、また発汗に伴う不快感、発汗により発熱袋の脱落することもなく極めて良好な使用感が得られる。このほか、皮膚に直接貼らずに下着の内側に貼って使用することから、常時完全な密着状態に保持されてはいないこと、及び使用中その装着部位を比較的容易にずらすことが可能なことから、やけどの虞を解消することができるとともに、比較的広範囲な部分を暖めることができる。
【0049】
【実施例】次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明がこれらにより限定されるものではない。
【0050】(実施例1)ナイロン不織布と多孔質ポリエチレンフィルムを貼り合せた通気性包装材(日東電工(株)社製、ブレスロン)のナイロン不織布表面に、縦方向及び横方向に10mmの間隔となるように径が6mmの円形の粘着部を設け、偏平状袋の下着の内側に貼り付ける通気性粘着面の包装材とした(粘着部の面積:28%)。なお、この粘着部を設けた後の包装材の通気性を、20℃、相対湿度65%の下で、包装材の片面を大気に曝し、片面に窒素を0.193Nl/cm/hで掃気するようにして流して測定した時の酸素拡散量が810Nl/m/24hであった。この粘着性面に離型紙を重ね合わせ下着に貼りつける面の包装材とした。一方、坪量45g/mナイロン不織布と厚さ30μのポリエチレンフィルムを重ね合せた包装材を偏平状袋の非粘着面の包装材とした。
【0051】これらの包装材を長さ130mm、幅100mmに切断し、ポリエチレンフィルム面が互いに内側となるようにして重ね合せ、3方の周辺部を加熱融着することにより貼り合せて袋状に成形し偏平状袋を作成した。なお、貼り合せ部の幅は5mmとした。次に、鉄粉10g、活性炭2g、木粉1g、バーミキュライト0.5g、高分子吸水剤0.5g、塩化ナトリウム0.8g、水6gを窒素雰囲気下で混合し発熱組成物を調製した。この発熱組成物を前記の偏平状袋に収納した後、残る1辺を加熱融着することにより貼り合せて発熱袋とした。さらに、この発熱袋を非通気性の外袋に密封した。なお、発熱袋は5袋製作した。この発熱袋を温度20℃、相対湿度65%の試験室に約1週間放置した。
【0052】以上のように製作した発熱袋5袋について、外袋から発熱袋を取り出し、温度10℃、相対湿度50%の試験室で成人男性5人が通常の被服状態で腰部に相当する下着の内側に、発熱袋の通気性粘着面を貼り付けて、5時間にわたり使用感覚を調べた。また、この間発熱袋に接触する皮膚表面の中心部と、皮膚に接触する発熱袋の中心部に温度センサーを取り付けて温度の変化を測定した。さらに、発熱袋を取り外した直後にサーモグラフ(日本アビオニクス(株)製、TVS2000)によって発熱袋を装着していた部分の皮膚表面温度を測定した。
【0053】その結果、使用中、体位の変化などに係わりなく快適な温度感覚が得られた。また、図3に示すように発熱袋を装着しているときの皮膚表面温度は、発熱袋の温度に接近しており、身体に対して効率よく熱が伝えられていることが認められた。さらに、発熱袋を取り外した直後のサーモグラフによる装着周辺部の温度測定から、広い範囲にわたり温度が上昇していることが認められた。このほか発熱袋を取り外した後も暖かさが持続した。なお、図3の温度は5人中の平均的な値の例を示した。
【0054】(実施例2)木材パルプ製坪量40g/m、長さ120mm、幅90mmの不織布の上に、同じ形状の木材パルプ製坪量60g/mの下面を水で湿らせた不織布を重ね合わせ、この上に鉄粉12g、活性炭2g、高分子吸水剤0.5g、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂粉末0.2gの混合物を散布しバイブレーターで振動を与えて不織布の空隙に保持させた。さらにこの上に同じ形状の木材パルプ製坪量40g/mの不織布を重ね合わせた。次に、これを200℃に加熱されたエンボスロールに通すことによりシート状に成形した。このシート状物に塩化ナトリウム10%を含む水溶液7gを散布し、シート状発熱体を得た。
【0055】次に、前記のシート状発熱体を、実施例1と同様にして製作した偏平状袋に収納し、発熱袋を得た。さらにこの発熱袋を非通気性の外袋に密封して、温度20℃、相対湿度65%の試験室に約1週間放置した。このように製作した発熱袋5袋について、実施例1と同様に、成人男性5名による体感試験を行なった。
【0056】その結果、使用中、体位の変化などに係わりなく快適な温度が持続した。また、図4に示すように発熱袋を装着しているときの皮膚表面温度は、発熱袋の温度に接近しており、身体に対して効率よく熱が伝えられていることが認められた。さらに、発熱袋を取り外した直後のサーモグラフによる装着周辺部の温度測定から、広い範囲にわたり温度が上昇していることが認められた。このほか発熱袋を取り外した後も暖かさが持続した。なお、図4の温度は5人中の平均的な値の例を示す。
【0057】(比較例1)ナイロン不織布と多孔質ポリエチレンフィルムを貼り合せた通気性包装材(日東電工(株)社製、ブレスロン)のナイロン不織布表面に、縦方向及び横方向に10mmの間隔となるように径が6mmの円形にホットメルト樹脂を塗布し非通気性部を設けた。この状態での包装材の通気性を実施例1と同様にして測定したところ、酸素拡散量で825Nl/m/24hであった。これを通気性面の包装材とした。一方、ナイロン不織布とポリエチレンフィルムを重ね合せた包装材のナイロン不織布表面に縦方向及び横方向に10mmの間隔となるように径が6mmの円形に粘着部を設け、さらに離型紙を重ねあわせ偏平状袋の粘着剤側の包装材とした。
【0058】これらの包装材を130×100mmの大きさに切断し、ポリエチレン面が互いに接するようにして重ね合わせ、周辺部の三方を溶着して袋状物を製作した。次に、実施例1で用いた発熱組成物と同様の組成からなる発熱組成物を窒素雰囲気下で調製し、実施例1と同様にして前記の偏平状袋に収納し発熱袋とした。さらにこの発熱袋を非通気性の外袋に密封して、温度20℃、相対湿度65%の試験室に約1週間放置した。
【0059】この発熱袋5袋について、外袋から発熱袋を取り出し、温度10℃、相対湿度50%の試験室で成人男性5人が通常の被服状態で腰部に相当する下着の内側に、発熱袋の粘着部を有する面を貼り付け、通気性を有する面が皮膚に接触するようにして装着し、5時間にわたり使用感覚を調べた。また、この間発熱袋の接触する皮膚表面の中心部と、皮膚に接触する面の発熱袋の中心部に温度センサーを取り付けて温度変化を測定した。さらに、発熱袋を取り外した直後にサーモグラフ(日本アビオニクス(株)製、TVS2000)によって発熱袋を装着していた部分の皮膚表面温度を測定した。
【0060】その結果、使用中、ぬるく感じられたほか、椅子(布張り製)にもたれかかったような時には、あたかみが感じられなくなるなど、体位の状態によって温かさが著しく変化し、快適な温度感覚は得られなかった。また、図5に示すように発熱袋を装着しているときの皮膚表面温度は、発熱袋の温度に接近しており、身体に対して効率よく熱が伝えられていることが認められたものの、発熱量の著しく少ない時のあることが認められた。さらに、発熱袋を取り外した直後に、サーモグラフによる装着周辺部の温度測定から、ほとんど暖まっていないことが認められた。図5の温度は5人中の平均的な値の1例を示すものである。このことは、このような構成の発熱袋(従来の直貼りタイプと同様の構成)を下着の内側に貼り付けて使用した場合には、通気性面が皮膚に密着することによって通気性が阻害されることから、発熱不良を生じたものと考えられる。
【0061】(比較例2)市販品で大きさ130×95mmの直貼りタイプ発熱袋を、実施例1と同様に、温度10℃、相対湿度50%の試験室で成人男性5人が通常の被服状態で腰部の皮膚面に直接貼って、5時間にわたり使用感覚を調べた。また、この間実施例1と同様に発熱袋及び皮膚面の温度を測定した。
【0062】その結果、貼り付ける際に、5人全員が冷たさを感じた。また使用中、全員が貼り付けた皮膚面に引きつるような違和感を感じていた。このほか5人中3人が貼っている皮膚面に次第にかゆみを感じるようになった。さらに、貼りつけている部分での発汗により1名が3時間後に発熱袋が脱落し、他の1名は4時間後に発熱袋が発汗により臀部にずれてしまった。
【0063】また、図6に発熱袋と皮膚温度について、5人中の平均的な値の1例を示した。図6から、発熱袋から身体に対して効率よく熱が伝えられていることは認められたが、発熱体が脱落したため、実験を中断した。
【0064】(比較例3)ナイロン不織布と多孔質ポリエチレンフィルムを貼り合せた通気性包装材(日東電工(株)社製、ブレスロン)を20℃、相対湿度65%の下で、包装材の片面を大気に曝し、片面に窒素を0.193Nl/cm/hで掃気するようにして流して測定した時の酸素拡散量が1010Nl/m/24hであった。この包装材を通気性の包装材とした。一方、坪量45g/mナイロン不織布と厚さ30μのポリエチレンフィルムを重ね合せた包装材のナイロン不織布表面に縦方向及び横方向に10mmの間隔となるように径が6mmの円形に粘着部を設け、さらに離型紙を重ねあわせ偏平状袋の粘着剤側の包装材とした。
【0065】これらの包装材を長さ130mm、幅100mmに切断し、ポリエチレンフィルム面が互いに内側となるようにして重ね合せ、3方の周辺部を加熱融着することにより貼り合せて袋状に成形し偏平状袋を作成した。なお、貼り合せ部の幅は5mmとした。次に、鉄粉16g、活性炭3.2g、木粉1.6g、バーミキュライト0.85g、高分子吸水剤0.8g、塩化ナトリウム1.3g、水9.6gを窒素雰囲気下で混合し発熱組成物を調製した。この発熱組成物を前記の偏平状袋に収納した後、残る1辺を加熱融着することにより貼り合せて発熱袋とした。この発熱袋は通常「貼るタイプの発熱袋」と称されている構造のものである。さらに、この発熱袋を非通気性の外袋に密封した。なお、発熱袋は5袋製作した。この発熱袋を温度20℃、相対湿度65%の試験室に約1週間放置した。
【0066】以上のように製作した発熱袋5袋について、外袋から発熱袋を取り出し、温度10℃、相対湿度50%の試験室で成人男性5人が通常の被服状態で腰部に相当する下着の外側に、発熱袋の粘着面を貼り付けて、5時間にわたり使用感覚を調べた。また、この間発熱袋に接触する皮膚表面の中心部と、皮膚に接触する発熱袋の中心部に温度センサーを取り付けて温度の変化を測定した。さらに、発熱袋を取り外した直後にサーモグラフ(日本アビオニクス(株)製、TVS2000)によって発熱袋を装着していた部分の皮膚表面温度を測定した。
【0067】その結果、使用中、体位の変化などに係わりなくほぼ一定の温度感覚が得られたが、若干温度的に低く感じられた。また、図7に示すように、発熱袋を装着しているときの発熱袋の温度と皮膚表面温度に大きな温度差があり、身体に対して熱の伝わりの悪いことが認められた。なお、図3の温度は5人中の平均的な値の例を示した。
【0068】
【発明の効果】本発明の発熱袋及びその使用方法により、発熱袋を皮膚に貼ることなしに皮膚に直接接触させて人体を暖めることができるようになったことから、従来の直貼り発熱袋の不具合点であった、発熱袋を貼り付けた直後の冷たさ、貼り付けた部位のかゆみやかぶれの発生、発熱袋を剥すときの痛み、及び発汗した場合に発熱袋が脱落したり汗が吸収されず不快感を生じるなどの問題点が全て解消された。また、使用中の体位の変化などに係わりなく安定した発熱特性を保持することができるようになった。さらに、発熱袋の熱を効率よく皮膚に伝達できることから、発熱袋を軽量で、薄い物とすることができ、装着時の違和感なしに、所望の持続時間を得ることができるようになった。このため、寒さをしのぐための暖を採る発熱袋のほか、夏の冷房による体調不良の防止、生理痛、神経痛、筋肉痛等の緩解、疲労回復等を目的とした医療用具としても優れた効果を得ることができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000229601
【氏名又は名称】日本パイオニクス株式会社
【出願日】 平成12年1月19日(2000.1.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−198150(P2001−198150A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−10884(P2000−10884)