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【発明の名称】 水解性の吸収性物品
【発明者】 【氏名】倉田 信弘

【氏名】和田 充弘

【氏名】宮崎 由佳

【要約】 【課題】従来の水解性の吸収性物品では、水解性を重視すると使用時の耐久性が悪くなるという問題があった。

【解決手段】水解性の裏面層12と、水解性の表面層10と、裏面層12と表面層10の間に挟まれる水解性の吸収層11とを有する水解性の吸収性物品1である。吸収性物品1の周縁1eから所定幅の領域を外周領域1b、この外周領域1bよりも内側の領域を中間領域1aとしたとき、中間領域1aで、表面層10と吸収層11と裏面層12とが接着剤13a、13bで接合され、また、外周領域1bでは熱圧着されてラウンドシール部2が形成されている。乾燥時と湿潤時において、接着剤13a、13bで接合されている層間の接合強度が、外周領域1bでの層間の接合強度よりも大きい。この吸収性物品1は使用時における耐久性が高く、また使用後にトイレに流し捨てられると、容易に水解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水解性の裏面層と、水解性で且つ液透過性の表面層と、前記裏面層と表面層の間に挟まれる水解性の吸収層とを有する水解性の吸収性物品において、吸収性物品の周縁から所定幅の領域を外周領域、この外周領域よりも内側の領域を中間領域としたときに、前記中間領域で、前記吸収層と前記裏面層、及び/または前記吸収層と前記表面層とが水溶性または水膨潤性の接着剤で接合されており、乾燥時と湿潤時において、前記接着剤で接合されている前記中間領域での層間の接合強度が、前記外周領域での層間の接合強度よりも大きいことを特徴とする水解性の吸収性物品。
【請求項2】 湿潤時での層間の剥離速度は、前記中間領域よりも前記外周領域の方が速い請求項1記載の水解性の吸収性物品。
【請求項3】 前記外周領域は、吸収性物品の周縁から内側へ2〜25mm幅の範囲内である請求項1または2記載の水解性の吸収性物品。
【請求項4】 前記外周領域では、層間が水溶性接着剤により接着されており、前記中間領域での前記接着剤が、前記外周領域の接着剤よりも水溶性が劣る接着剤である請求項1〜3のいずれかに記載の水解性の吸収性物品。
【請求項5】 前記外周領域では水溶性接着剤で層間が接合されており、前記水溶性接着剤の単位面積当たりの塗工量が、前記外周領域よりも前記中間領域の方が多い請求項1〜4のいずれかに記載の水解性の吸収性物品。
【請求項6】 前記中間領域及び外周領域に塗布される接着剤はポリビニルアルコールであり、この接着剤の塗工量は、前記外周領域で10〜30g/m2であり、前記中間領域で30〜200g/m2である請求項5記載の水解性の吸収性物品。
【請求項7】 前記外周領域では、各層が接着剤を介在することなく加圧により圧着されている請求項1〜3のいずれかに記載の水解性の吸収性物品。
【請求項8】 前記外周領域では、各層が水素結合されている請求項7記載の水解性の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、尿取りパッド、おむつなどとして用いられる水解性の吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生理用ナプキンやパンティライナーや尿取りパッド、おむつなどの吸収性物品として、水洗トイレに流し捨てることができる吸収性物品が開発されている。水解性の吸収性物品としては、例えば特開平8−38547号公報や、特開平8−19571号公報に開示されており、水解性の吸収層と、それを挟む水解性の表面層と裏面層とから構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これら水解性の吸収性物品では、使用中の縒れや破れを防止して製品形状を保持するため、吸収性物品を構成する前記各層が比較的強く接合されている。しかし、接着強度が高い接着剤を使用して各層を接合すると、使用後にトイレに流し捨てたときに吸収性物品が容易に水解しなくなる。これは、各層間が容易に分離しないので、各層の間に抱かれている空気の存在で浄化槽や下水道中で表面に浮いてしまい、各層が水中へ分散されなくなってしまうためである。一方、水解性を重視して各層間の接合強度を弱くしてしまうと、使用中に縒れ等が発生し、吸収性物品の形状が維持できない。
【0004】本発明の目的は、上記従来の課題を解決するものであり、使用中にその形状が確実に保持され、且つ使用後にトイレに流し捨てられたときに、容易に水解する水解性の吸収性物品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記従来の課題及び目的は、水解性の裏面層と、水解性で且つ液透過性の表面層と、前記裏面層と表面層の間に挟まれる水解性の吸収層とを有する水解性の吸収性物品において、吸収性物品の周縁から所定幅の領域を外周領域、この外周領域よりも内側の領域を中間領域としたときに、前記中間領域で、前記吸収層と前記裏面層、及び/または前記吸収層と前記表面層とが水溶性または水膨潤性の接着剤で接合されており、乾燥時と湿潤時において、前記接着剤で接合されている前記中間領域での層間の接合強度が、前記外周領域での層間の接合強度よりも大きいことを特徴とする水解性の吸収性物品によって達成される。
【0006】また、湿潤時での層間の剥離速度は、前記中間領域よりも前記外周領域の方が速いものとなる。
【0007】本発明の吸収性物品では、乾燥時と湿潤時の双方において、外周領域よりも中間領域の方が各層の接合強度が高くなっている。このような構造にすると、使用中における吸収性物品の乾燥時及び湿潤時において各層が互いに離れにくく、縒れが発生しにくい。したがって、吸収性物品は形状保持力が高く、耐久性に優れたものとなる。また湿潤時における外周領域での層間の接合力を弱く、剥離速度も外周領域で中間領域よりも速くしておくことにより、使用後に水洗トイレへ流し捨てられたとき、外周領域から容易に各層が分離する。その結果、中間領域の内部の空気が外周領域から抜け出て浄化槽での浮きを防止できる。また中間領域での接合強度が高く湿潤時での層間の剥離が遅くても、浄化槽内で沈んだときに外周領域での層間の剥がれをきっかけとして、中間領域での各層の剥がれを促進できるようになる。その結果、吸収性物品がスムーズに分解される。
【0008】なお、前記外周領域とは、例えば吸収性物品の周縁から2〜25mm幅の範囲内である。また中間領域とは、前記外周領域以外の部分を意味しており、この中間領域の少なくとも一部分に接着剤が塗布される。
【0009】また、前記外周領域では、層間が水溶性接着剤により接着されており、前記中間領域での前記接着剤が、前記外周領域の接着剤よりも水溶性が劣る接着剤であることが好ましい。
【0010】または、前記外周領域では水溶性の接着剤で層間が接合されており、前記水溶性接着剤の単位面積当たりの塗工量が、前記外周領域よりも前記中間領域の方が多くしてもよい。
【0011】この場合、好ましくは前記接着剤はポリビニルアルコールであり、この接着剤の塗工量は、前記外周領域で10〜30g/m2であり、前記中間領域で30〜200g/m2である。
【0012】また本発明において、前記外周領域では、各層が接着剤を介在することなく加圧により圧着されていてもよい。例えば、前記外周領域では、各層が水素結合されているものであってもよい。
【0013】あるいは外周領域で、各層が加圧されてなく、何等シールが形成されていなくてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1は、吸収性物品を表側(装着者に対面する側)から見た斜視図、図2は図1に示す吸収性物品を表側から見た平面図、図3は図1及び図2に示した吸収性物品のIII−III線の断面図である。なお、吸収性物品の長手方向をY方向とし、Y方向とほぼ直交する幅方向をX方向とする。
【0015】図1及び図2に示す吸収性物品はパンティライナーまたは生理用ナプキンとして使用される本発明の水解性の吸収性物品である。この吸収性物品1は、図3に示すように装着者側に向けられる水解性で且つ液透過性の表面層10と、水解性の裏面層12と、表面層10と裏面層12との間に挟まれる水解性の吸収層11とで構成されている。また、裏面層12の吸収層11側には、熱可塑性樹脂層12rが塗工されている。
【0016】吸収性物品1の周縁1eから所定幅間隔をあけた境界線3までの領域である外周領域1bでは、表面層10と裏面層12とのみが積層している。この外周領域1bにおいて吸収層11を取り囲むようにして加熱加圧処理が施され、表面層10と裏面層12との間に位置する水溶性の熱可塑性樹脂層12rが溶融し、表面層10と裏面層12とを接合するラウンドシール部2が形成されている。
【0017】さらに、前記外周領域1bより内側に位置する中間領域1aでは、表面層10と吸収層11とが、水溶性または水膨潤性の接着剤13aによって、また裏面層12と吸収層11とが、同じく水溶性または水膨潤性の接着剤13bによって互いに接合されている。中間領域1aでは、前記接着剤13aと13bがスパイラル状に塗布され、または点在するように塗布されて、表面層10と吸収層11および裏面層12と吸収層11とが部分的に接着接合されている。
【0018】ここで、中間領域1aにおける表面層10と吸収層11との接合強度、および吸収層11と裏面層12との接合強度は、外周領域1bにおけるラウンドシール部2による表面層10と裏面層12との接合強度よりも強くなっている。このため、吸収性物品1の使用時において、中間領域1aの層間の剥離が生じにくくなり、中間領域1aの形状が保持され、縒れや破れが発生しにくくなる。また湿潤時においても中間領域1aにおける層間の接合強度が、外周領域1bでの層間の接合強度よりも強いため、体液が表面層10を透過して吸収層11に与えられたときも、中間領域1aでの層間の剥離が生じにくくなり、形状を保持しやすくなる。
【0019】ただし、外周領域1bでは層間の接合力が弱く、また湿潤時で層間の剥離速度が、前記中間領域1aよりも前記外周領域1bの方で速いために、吸収性物品1の使用後にトイレに流し捨てられ、浄化槽に入ったときに多量の水により外周領域1bにおける各層の接合が容易に且つ迅速に外れる。そのため、これをきっかけとして、中間領域1aでの表面層10と吸収層11との間へ、且つ吸収層11と裏面層12との間へ水が急速に侵入し、空気が排出されて浄化槽内に沈みやすくなる。浄化槽内へ沈むと中間領域1aに多量の水が与えられることになり、中間領域の接着剤13a,13bの水溶性が劣っていても、この多量の水により層間の剥離が促進され、吸収性物品1が水で分解されやすくなる。
【0020】このとき、外周領域1b、すなわち周縁1eから境界線3までの間隔は2〜25mmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは8〜20mmである。前記上限より大きいと、中間領域1aにおける層間の接合強度が必要量得られず、吸収性物品1の形状保持力が低下してしまう。また、前記下限より小さいと、すなわち各層間の接合強度が高い中間領域1aが周縁1eに接近していると、吸収性物品1の水解性が低下し、また吸収性物品1が肌に当たったときの感触が悪くなってしまう。
【0021】前記ラウンドシール部2は、前記外周領域1bの幅の全域に渡って形成されていてもよく、または図2に示すようにラウンドシール部2が、前記外周領域1b内において、外周領域1bの幅寸法よりも小さい幅で形成されていてもよい。またラウンドシール部2は、吸収性物品の全周を囲むように形成されていてもよいし、X方向の両側の側部にのみ形成されていてもよい。前記ラウンドシール部2の幅は、例えば1〜4mm程度である。あるいは、ラウンドシール部は吸収性物品の外周に沿って間隔を開けて形成されていてもよい。
【0022】また中間領域1aにおいて、接着剤13a、13bが、スパイラル状または水玉模様状に、互いに間隔を開けて各層間の全域に分散して設けられていると、浄化槽内などで外周領域1bの層間が剥離したときに、表面層10と吸収層11との間および吸収層11と裏面層12との間への水の侵入が容易となり、中間領域1aにおいてさらに水解が進み易いものとなる。
【0023】外周領域1bでのラウンドシール部2の接着強度を弱く且つ湿潤時の層間の剥離速度を速くし、中間領域1aでの接着強度をラウンドシール部2よりも高くし、且つ湿潤時の層間の剥離速度をラウンドシール部2よりも遅くするためには、ラウンドシール部2において接着力を発揮する水溶性の熱可塑性樹脂層12rと、中間領域1aに塗工される水溶性または水膨潤性の接着剤13a,13bとで異なるものを使用することが好ましい。
【0024】例えば、前記ラウンドシール部2を形成する為に、裏面層12の吸収層側に設けられている熱可塑性樹脂層12rは、水溶性のポリビニルアルコールフィルムであり、裏面層12を形成する水解性の不織布または紙に、前記ポリビニールアルコールのフィルムがラミネートされたものが使用される。また中間領域1aに塗工される接着剤13a,13bは、水溶性または水膨潤性であり、例えばポリビニールアルコールのホットメルトが使用される。
【0025】外周領域1bにおいて水溶性のポリビニールアルコールでラウンドシール部2が形成されていると、浄化槽内などで外周領域1bでのラウンドシール部2の層間剥離が急速に行われ、その結果外周領域1bから中間領域1aへ水が浸入し、吸収性物品が浄化槽内に沈みやすくなる。浄化槽内に沈んで多量の水が与えられると、中間領域1aにおいて、表面層10、吸収層11および裏面層12が水で分散され、その結果接着剤13a,13bが水膨潤性でありあるいは水溶速度の遅いものであっても、各層の水解によりやがて吸収性部品が分解される。
【0026】この場合、接着剤13a、13bのケン化度や重合度を変えることにより、前記ラウンドシール部2での接着剤である水溶性のポリビニールアルコールフィルムよりも接着力が高く且つ水溶性が劣るように調整することができる。接着剤13a,13bの接着力を高くし且つ水溶性を低下させておくことにより、着用時に体液が中間領域1aに与えられたときに、接着剤13a,13bが溶解しにくく、形状の保持が可能である。そして浄化槽内などでは外周領域1bから浸入する水により中間領域1aでの層間の剥離も促進される。接着剤13a,13bとして使用可能な水溶性接着剤は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アルギン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エーテル、ポリビニルピロリドン、イソブチレンと無水マレイン酸との共重合体のような水溶性高分子、デンプン、デキストリンなどをあげることができる。この中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
【0027】また、ラウンドシール部2に用いられる接着剤と、中間領域1aに塗布される接着剤13a,13bを、ほぼ同等の水溶性を呈する接着剤とし、その塗工量を変え、ラウンドシール部2での塗工量よりも中間領域1aでの塗工量を多くして、外周領域1bと中間領域1aとで接着強度を変化させてもよい。
【0028】この場合、接着剤13aや13bとして用いられる水溶性のポリビニールアルコールの塗工量(接着部の実目付)は、30〜200g/m2であることが好ましい。この場合、吸収性物品1の使用時に形状を保持させるのに充分な接合強度を発揮する。また、ラウンドシール部2における表面層10と裏面層11との間に塗工されるポリビニルアルコールは10〜30g/m2塗工されていることが好ましい。この塗工量であると、水洗トイレや浄化槽内で、外周領域1bでのラウンドシール部2での層間の剥離が急速に行えるようになる。
【0029】裏面層12は、水洗トイレに流したときにその水流によって、あるいは浄化槽内で容易に分散されるものであり、水分散性繊維を含む水解紙や、水解性不織布等で形成できる。例えば、(1)原料としてパルプを用い、パルプ繊維どうしの水素結合でシート状に形成した水解紙、(2)原料としてパルプやレーヨンなどの水分散性繊維を用い、繊維を結合させる水溶性のバインダーを含有させてシート状に形成した水解紙、(3)水分散性繊維を交絡させてシート状に形成した水解紙、(4)比較的短い繊維長をもつ水分散性繊維をウォータージェット処理により交絡させた水解性の不織布などをあげることができる。なお、裏面層12の外側(外部装着体に対面する側)には、ポリビニルアルコールや不飽和カルボン酸からなる共重合体などの水溶性樹脂を塗工して、不透液性となるように処理することが好ましい。
【0030】吸収層11は、例えば水解紙やパルプや不織布から形成できる。例えば、エアレイドパルプなどを目付50〜70g/m2程度を用いて形成できる。水解紙で形成する場合、比較的厚みの薄い水解紙を複数枚重ねて形成すると水解性が良好であり好ましい。例えば、目付が10〜20g/m2である水解紙を4〜8枚程度重ねて吸収層11を形成する。また、ポリビニルアルコールなどの水膨潤性樹脂を塗布した水解紙を積層させて形成してもよい。
【0031】表面層10は、例えば水解性のスパンレース不織布である。または、水解性の不織布に複数枚の水解紙を積層させて形成しても良い。この場合、不織布及び水解紙は水素結合やニードリング処理によって一体化させても良い。また、表面層10は排泄液を表面層10の下の吸収層11へと導くため、図1に示すように複数の開孔部が全面的に設けられることが好ましい。
【0032】図4は、本発明の他の実施の形態を示す断面図である。図4に示す吸収性物品1Aは、裏面層12に熱可塑性樹脂層12r(例えば水溶性のポリビニールアルコールフィルムのラミネート)が設けられていない点で、図3に示す吸収性物品1と異なる。図4に示す吸収性物品1Aでは、樹脂層12rが設けられていないため、外周領域1bのラウンドシール部2において表面層10と裏面層12とが、少量の水分を含んだ状態で加熱加圧処理され、互いに繊維間の水素結合によって接合されている。
【0033】水素結合は、接着剤による接合強度より弱い。したがって、吸収性物品1Aにおいても、中間領域1aの表面層10と吸収層11との接着剤13aによる接合強度が、外周領域1bにおける接合強度より高いものとなっている。接合強度の弱い水素結合によるラウンドシール部2は、吸収性物品の外周領域、すなわち周縁1eから2〜25mmの幅の範囲、さらに好ましくは8〜20mmの幅の範囲内に形成されているが、この領域は装着時に体の動きによって縒れが発生しにくい部分であるため、中間領域1aにおいて前記のように接着剤13a,13bが形成されていることにより、吸収性物品全体としての形状の保持性がよく、着用時に縒れや層間の剥離や破れが生じにくい。
【0034】またこの水素結合は、吸収性物品1Aが水中に廃棄された瞬間に外れるので、外周領域1bから急速に水が侵入し、結果、吸収性物品が急速に且つ確実に水解される。なお、本発明では、外周領域において表面層11と裏面層12とを加圧したり加熱せず、ラウンドシール部を形成しなくてもよい。この場合も中間領域1aの接着剤13a,13bにより形状の保持が可能である。
【0035】図5は、本発明のさらに他の実施の形態を示す平面図である。本発明ではラウンドシール部2を吸収性物品の全周に設ける必要はなく、図5に示す吸収性物品1Bのように、吸収性物品のX方向の両側部のみに設けるものであってもよい。この場合、吸収性物品1Bが水中に廃棄されると、Y方向における端部より水が吸収性物品1Bの内部へと急速に浸透するため、吸収性物品1Bが容易に水解される。その他、ラウンドシール部2は間欠線状に設けてもよい。
【0036】なお本発明においては、好ましくは吸収性物品の本体の裏側、すなわち裏面層12の裏面(外部装着体に対面する側)には、その全面に粘着部が設けられ、さらに粘着部の粘着力を使用直前まで保護する離型紙が設けられる。この剥離紙は水解性であることが好ましい。さらには、吸収性物品の包装袋なども水解性であることが好ましい。
【0037】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0038】本発明の実施例として、図3または図4に示す吸収性物品としてパンティライナーを作成した。このパンティライナーの長手寸法は140mm、幅寸法は55mmである。このとき、表面層10は目付45g/m2の湿式スパンレース不織布、吸収層11は目付60g/m2のエアレイドパルプを用いた。
【0039】実施例2での裏面層12は、目付45g/m2の湿式スパンレース不織布に目付30g/m2で、水溶性のポリビニルアルコールフィルムがラミネートされたもの(図3に示す樹脂層12rが設けられた裏面層12)である。
【0040】実施例1での裏面層12は、目付45g/m2の湿式スパンレース不織(図4に示す裏面層12)で前記水溶性のポリビニールアルコールフィルムがラミネートされていないものを使用した。
【0041】また、実施例1と実施例2での接着剤は、水溶性のポリビニルアルコールホットメルト接着剤を用い、塗工量は7g/m2で、径18mmのスパイラル状に塗工した。また、塗工した範囲は、中間領域における18×100mmの領域のみである。
【0042】さらに、ラウンドシール部2は、パンティライナーの周縁から3mmの位置から中間領域側へ幅5mmで熱圧着させた。このときの熱圧着の条件は、120℃、3秒間、3922kPaである。実施例2では前記の熱圧着を行い、実施例1では熱圧着を行わず、ラウンドシール部を形成しなかった。
【0043】比較例は、各層が前記実施例と同じであり、比較例1は中間領域に接着剤を塗布せず、ポリビニールアルコールフィルムを用いたラウンドシール部のみを形成した。比較例2では、ラウンドシール部を形成せず、中間領域1aにおいて非水溶性のホットメルト型接着剤で各層を接着した。
【0044】得られた実施例と比較例のパンティライナーについて、それぞれ着用テスト、浄化槽テスト、水解性テストの測定を行なった。結果を表1に示す。また、比較例についても実施例同様に試験を行なった。
【0045】(着用テスト) サンプルをパネラー10人に使用してもらう。使用後、サンプルの状態を目視にて観察する。評価方法は次のとおりである。○:破れなし。×:破れ発生。
【0046】(浄化槽テスト) サンプルを便器から浄化槽へ流し入れ、その後のサンプルの挙動を目視にて観察した。評価方法は次のとおりである。○:浄化槽へ入った瞬間に各層がバラバラになる。×:各層間が分離しない。
【0047】(水解性テスト) JIS P 4501の水解性試験方法に準じて測定した。詳細を述べると、サンプルを縦10cm横10cmに切断したものを、イオン交換水300mlが入った容量300mlのビーカーに投入して、回転子を用いて撹拌を行った。回転数は600rpmである。この時のサンプルの分散状態を経時的に観察し、分散されるまでの時間を測定した。評価方法は次の通りである。○:100秒以内に水解。×:水解しない。
【0048】
【表1】

【0049】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の水解性の吸収性物品においては、吸収性物品を構成する各層が分離しにくいので、使用時における形状保持性が高く、耐久性が高い。また、水洗トイレに流し捨てたときは、各層が外周領域から容易に分離する為、容易に且つ確実に水解する。
【出願人】 【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
【出願日】 平成12年1月6日(2000.1.6)
【代理人】 【識別番号】100085453
【弁理士】
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
【公開番号】 特開2001−190590(P2001−190590A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−576(P2000−576)