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【発明の名称】 情報誘導案内システム
【発明者】 【氏名】藤田 真澄美

【要約】 【課題】杖を必要としない高齢者や身体障害者等にも適し、携行性に優れた情報誘導案内システムを提供する。

【解決手段】特定周波数帯域の電波を受信すると電磁誘導により特定の識別信号を発信し、この識別信号を電波により送信するIDタグ2と、IDタグ2に特定周波数帯域の電波を送信するとともに、IDタグ2が発信する識別信号を識別する回路を備え、この識別信号に基づいて特定のコードを電波により送信するIDリーダ3と、IDリーダ3から送信された特定のコードを案内情報として音声により出力する音声出力装置4とを備え、移動者は音声出力装置4と、IDタグ2又はIDリーダ3のいずれか一方を携行する構成からなる情報誘導案内システム1を構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 特定周波数帯域の電波を受信すると電磁誘導により特定の識別信号を発信し、この識別信号を電波により送信するIDタグと、前記IDタグに特定周波数帯域の電波を送信するとともに、前記IDタグが発信する識別信号を識別する回路を備え、この識別信号に基づいて特定のコードを電波により送信するIDリーダと、前記IDリーダから送信された特定のコードを案内情報として音声により出力する音声出力装置とを備え、移動者は前記音声出力装置と、前記IDタグ又は前記IDリーダのいずれか一方を携行する構成からなることを特徴とする情報誘導案内システム。
【請求項2】 前記IDリーダを所定の通路に埋設し、前記IDタグを移動者の靴に布設する構成を特徴とする請求項1に記載の情報誘導案内システム。
【請求項3】 前記音声出力装置を無線電話機とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報誘導案内システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物内外の所定の通路上において、主に高齢者、視覚障害者等の歩行者や車椅子を利用した人に音声による案内情報を提供する情報誘導案内システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】視覚障害者や弱視者の歩行の誘導方法としては、表面が凹凸状を呈し、黄色などで床との色分けがなされたいわゆる「点字ブロック」を通路の所定箇所に敷設し、視覚障害者においては杖にてこの凹凸パターンを認識させることにより、また弱視者においては色の識別と凹凸パターンを靴底での触覚で認識させることにより、自分の位置や方向性、或いは危険な箇所であるか等の情報を知らせるという誘導方式が従来より採用されている。
【0003】しかし、このような点字ブロックを杖や靴底の触覚にて認識させる方式では、凹凸パターンを間違って認識する可能性もあり、また、凹凸パターンの種類を多く設定すると混乱を招くことにもなるので、自ずとその情報内容は限られることとなる。そこで、近年では、所定箇所に視覚障害者が近づくと音声にてその場所における情報を提供する方式が提案されている。その一例としては、通路に送受信用のコイルアンテナを埋設するとともに、視覚障害者が保持する杖の先端部に誘導コイルを内蔵させるというものであり、杖がコイルアンテナに近づくと、誘導コイルに電磁誘導による電力が発生し、杖に内蔵したスピーカ又は杖に取り付けた有線式のイヤホンなどから音声情報が得られるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように対象者が近づいたことの検知方法として杖を利用する方式では、対象者が視覚障害者に特定されることとなり、必ずしも杖を必要としない弱視者(軽度の視覚障害者)や高齢者、又は車椅子を利用した人などには不向きなシステムとなる。また、杖を使用する視覚障害者にしても、スピーカを内蔵する分、杖が大型化して便宜性に欠け、また有線式のイヤホンの場合には線が煩わしいなどの問題もある。
【0005】本発明はこのような問題を解消するために創作されたものであり、杖を必要としない弱視者や高齢者、身体障害者等にも適し、携行性に優れた情報誘導案内システムを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達成するため、特定周波数帯域の電波を受信すると電磁誘導により特定の識別信号を発信し、この識別信号を電波により送信するIDタグと、前記IDタグに特定周波数帯域の電波を送信するとともに、前記IDタグが発信する識別信号を識別する回路を備え、この識別信号に基づいて特定のコードを電波により送信するIDリーダと、前記IDリーダから送信された特定のコードを案内情報として音声により出力する音声出力装置とを備え、移動者は前記音声出力装置と、前記IDタグ又は前記IDリーダのいずれか一方を携行する構成からなる情報誘導案内システムとした。
【0007】また、IDリーダを所定の通路に埋設し、前記IDタグを移動者の靴に布設する構成とした。さらに、音声出力装置を無線電話機とする構成とした。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係る情報誘導案内システムについて図面を参照しながら説明する。図1は情報誘導案内システムの概略を示す説明図、図2は情報誘導案内システムの構成図、図3は移動者が音声出力装置とIDリーダを携行する場合の作用説明図、図4は移動者が音声出力装置とIDタグを携行する場合の作用説明図、図5はIDタグ又はIDリーダを車椅子に取り付けた場合の説明図であり、図5(a)は側面図、図5(b)は背面図である。
【0009】図1に示すように、情報誘導案内システム1は、特定周波数帯域の電波を受信すると電磁誘導により特定の識別信号を発信し、この識別信号を電波により送信するIDタグ2と、IDタグ2に特定周波数帯域の電波を送信するとともに、IDタグ2が発信する識別信号を識別する回路を備え、この識別信号に基づいて特定のコードを電波により送信するIDリーダ3と、IDリーダ3から送信された特定のコードを案内情報として音声により出力する音声出力装置4とを備え、移動者が音声出力装置4と、IDタグ2又はIDリーダ3のいずれか一方を携行する構成からなるものである。
【0010】図2に示すように、IDタグ2は、電波の送受信を行うアンテナ5とIC6を備える。アンテナ5は例えば銅線等を平面状に渦巻き形成させたコイルアンテナからなる。IC6は制御回路部8を有しており、アンテナ5が特定周波数帯域の電波を受信した際、アンテナ5が電磁誘導により励振すると制御回路部8に電力が供給される。制御回路部8には予め固有の識別コードが記憶されており、制御回路部8は電力が供給されるとこの識別コードを特定の識別信号としてアンテナ5から電波により送信させる。つまり、IDタグ2は受信した電波のエネルギを電力として作動するものであり、電池等の電源が不要な構成となっている。
【0011】IDリーダ3は、送信アンテナ9、受信アンテナ10、制御部11、コード記憶部12及び電源13を備える。送信アンテナ9及び受信アンテナ10は、例えば銅線等を平面状に渦巻き形成させたコイルアンテナからなり、送信アンテナ9は制御部11により特定周波数の電波(特定周波数帯域の電波であっても良い)を送信するものである。受信アンテナ10は、前記したIDタグ2から送信される特定の識別信号を受信するものであり、制御部11は受信した識別信号に基づいて特定のコードを電波により送信させる。
【0012】特定のコードは例えばROM等のコード記憶部12に記憶されている。また、この特定のコードの送信用のアンテナとしては、例えば前記送信アンテナ9を利用しても良く、この場合、受信アンテナ10でIDタグ2から送信される特定の識別信号を受信した際に、制御部11が送信アンテナ9からの電波送信を、IDタグ2への特定周波数の電波の送信から特定の案内情報の電波の送信に切り換えるようにする。勿論、この特定の案内情報の送信用のアンテナは別途設けても良い。
【0013】また、送信アンテナ9と受信アンテナ10を一つのアンテナで兼用させる構成としても良く、その場合、制御部11にて送信と受信を一定周期で切り換えるようにする。制御部11及びコード記憶部12に電力を供給する電源13は、AC電源や電池、ソーラバッテリ等のDC電源からなる。
【0014】音声出力装置4は、図2に示すようにコード変換部7を備え、IDリーダ3から送信された特定のコードをコード変換部7にて特定の案内情報に変換し、音声として出力するものである。音声出力装置4は、音声として出力可能なものであればいかなる形態であっても良いが、衣服に装着できたり、ポケットに挿入可能な小型で軽量なものが望ましく、無線式のイヤホン等でも良い。このように無線式の音声出力装置4とすることにより、携行性が向上し、移動者にとって煩わしさが解消されることになる。また、この音声出力装置4を携帯電話やPHS等の無線電話機14とすることにより、経済的な情報誘導案内システムとすることができる。
【0015】さて、前記したように、情報誘導案内システム1は、移動者が音声出力装置4と、IDタグ2又はIDリーダ3のいずれか一方を携行する構成となっている。そこで、以下に、構成■:移動者が音声出力装置4とIDリーダ3を携行する場合、構成■:移動者が音声出力装置4とIDタグ2を携行する場合についてそれぞれ説明する。
【0016】「構成■」図2及び図3に示すように、IDタグ2は所定の通路の床面、例えば建物内や駅構内においてはエレベータやエスカレータ、トイレの入口部や電車ホームの所定箇所、建物外においては横断歩道の部位などに埋設される。本図面では視覚障害者用の点字ブロック15に埋設した場合を示す。IDタグ2は、平面状に渦巻き形成されたアンテナ5とIC6から構成されているため、薄型のシート形状とすることができ、両面テープや接着剤等により床部16と点字ブロック15との間に埋設することができる。
【0017】一方、IDリーダ3は移動者の靴に布設される。IDリーダ3においても、平面状に渦巻き形成された送信アンテナ9及び受信アンテナ10と、制御部11やコード記憶部12等のICやROM等から構成されるため、電源13として薄型の小型電池を利用することにより、全体を薄型のシート形状とすることができ、例えばIDリーダ3を靴の中敷き17に内蔵させることが可能となる他、靴の底ゴム部に埋設したり、また、靴の外側にピン留めにより取り付けるようにすることもできる。
【0018】構成■の場合における作用について説明する。IDリーダ3を取り付けた靴を履いた移動者がIDタグ2の埋設された箇所に近づくと、IDタグ2のアンテナ5がIDリーダ3から送信される特定周波数帯域の電波を受信し、電磁誘導により励振してIC6の制御回路部8に電力が供給される。そして、予め記憶された識別コードが識別信号として電波によりアンテナ5からIDリーダ3に送信される。IDリーダ3はこの識別信号を受信すると、コード記憶部12に記憶させた複数のコードのうち、この識別信号に対応するコードを選択して、電波により音声出力装置4に送信する。
【0019】つまり、IDリーダ3のコード記憶部12には、例えば案内情報1.「ここは横断歩道です。ご注意下さい。」、案内情報2.「ここより階段となります。ご注意下さい。」、案内情報3.「真っ直ぐ進むと総合案内所があります。」、案内情報4.「ホームの停止位置です。ご注意下さい。」などの案内情報に対応するコードが予め複数記憶されており、IDタグ2が横断歩道の箇所に埋設されている場合には、このIDタグ2は横断歩道である旨の識別信号を送信し、IDリーダ3はこの識別信号を解析して複数のコードの中から前記案内情報1に対応するコードを選択して音声出力装置4に送信する。そして、音声出力装置4のコード変換部7において、このコードが前記案内情報1に変換され、音声として出力される。同様に、IDタグ2がホームの階段下に埋設されている場合には、このIDタグ2はホームの階段下である旨の識別信号を送信し、IDリーダ3はこの識別信号を解析して複数のコードの中から前記案内情報2に対応するコードを選択して音声出力装置4に送信する。そして、音声出力装置4のコード変換部7において、このコードが前記案内情報2に変換され、音声として出力される。
【0020】当該構成は、通路側に電源を供給できない場合において有効な構成となり、また、通路における電源のメンテナンスフリーも実現されることになる。また、IDリーダ3を靴に布設することで、必ずしも杖を必要としない弱視者や高齢者、身体障害者等にも適するシステムとなり、特に視覚障害者においてはそのまま身軽な状態での歩行が可能となり有効である。
【0021】「構成■」図2及び図4に示すように、前記構成■の場合と逆にIDリーダ3が所定の通路の床面に埋設される。本図面においても視覚障害者用の点字ブロック15に埋設した場合を示す。前記したようにIDリーダ3はその電源13として薄型の電池を利用することにより、全体を薄型のシート形状とすることができ、両面テープや接着剤等により床部16と点字ブロック15との間に埋設することができる。勿論、構成■の場合には電源13を大型化・大容量化しても良く、ソーラバッテリシステム、太陽電池やAC電源を利用しても良い。一方、IDタグ2は移動者の靴に布設され、例えば靴の中敷き17に内蔵させることが可能となる他、靴の底ゴム部に埋設したり、また、靴の外側にピン留めにより取り付けるようにすることもできる。
【0022】構成■の場合における作用について説明する。IDタグ2を取り付けた靴を履いた移動者がIDリーダ3の埋設された箇所に近づくと、IDタグ2のアンテナ5がIDリーダ3から送信される特定周波数帯域の電波を受信して、IC6の制御回路部8に電力が供給される。そして、予め記憶された識別コードが識別信号として電波によりアンテナ5からIDリーダ3に送信される。IDリーダ3は識別信号を受信すると、コード記憶部12に記憶させたコードを電波により音声出力装置4に送信する。構成■の場合にはIDリーダ3のコード記憶部12には複数のコードを記憶させておく必要はなく、IDリーダ3が横断歩道の箇所に埋設されている場合には、コード記憶部12には前記した案内情報1.「ここは横断歩道です。ご注意下さい。」に対応するコードのみを記憶させておけば事足りる。そして、音声出力装置4のコード変換部7において、このコードが前記案内情報1に変換され、音声として出力される。
【0023】当該構成は、移動者が携行するIDタグ2に電池等の電源が不要となるため、例えば、電池切れに気づかず、案内情報が得られなくなるといった事態を防ぐことができる。また、IDタグ2を靴に布設することで、必ずしも杖を必要としない高齢者や身体障害者等にも適するシステムとなり、特に視覚障害者においてはそのまま身軽な状態での歩行が可能となり有効である。また、将来的に新たな案内情報が追加された場合、構成■の場合には、各移動者からIDリーダ3を回収してコード記憶部12にその新たなコードの書き込みをしなければならないが、構成■の場合にはその必要もなく、長期的使用に適したシステムとなる。
【0024】なお、以上の説明では移動者を歩行する人として説明したが、本発明は車椅子等を利用した人にも適応可能なシステムであり、その場合、音声出力装置4やIDタグ2又はIDリーダ3を車椅子に固設させることもでき、図5に示すようにIDタグ2又はIDリーダ3を車椅子21の座部22の底面や足置部23の底面に取り付けるようにすれば、通路に埋設されたIDタグ2又はIDリーダ3との電波の送受も可能となる。このように本発明でいう「携行」とは、移動者が身につけて持ち歩く場合に限らず、車椅子や運搬車などに取り付けた場合も含むものである。
【0025】以上、本発明に係る情報誘導案内システムについて好適な実施形態を説明した。説明した形態は、IDタグ2又はIDリーダ3を点字ブロック15の下部に埋設した場合であったが、IDタグ2又はIDリーダ3を点字ブロック15の脇の床部に埋設或いは敷設する構造としても良く、この場合、敷設された既存の点字ブロックを改修する必要もなくなることから、コスト的に優れた情報誘導案内システムとすることができる。また、各構成部材のレイアウトや形状等は図面に記載したものに限られず、適宜な設計変更が可能である。
【0026】
【発明の効果】(1)IDタグとIDリーダと音声出力装置とを備え、移動者が音声出力装置と、IDタグ又はIDリーダのいずれか一方を携行する構成とすることにより、移動者にとって携行性が向上する情報誘導案内システムとすることができる。
(2)IDリーダを所定の通路に埋設し、IDタグを移動者の靴に布設する構成とすれば、IDタグ側には電池等の電源が不要であることから、例えば、移動者が電池切れに気づかず、案内情報が得られなくなるといった事態を防ぐことができる。また、IDタグを靴に布設することで、必ずしも杖を必要としない高齢者や身体障害者等にも適するシステムとなり、特に視覚障害者においてはそのまま身軽な状態での歩行が可能となる。
(3)音声出力装置を携帯電話やPHS等の無線電話機とすることにより、経済的な情報誘導案内システムを構築できる。
【出願人】 【識別番号】592058234
【氏名又は名称】株式会社エム・アンド・エフ
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
【公開番号】 特開2001−190589(P2001−190589A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−4812(P2000−4812)