| 【発明の名称】 |
超音波治療装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】迫 陽一
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| 【要約】 |
【課題】治療用超音波のエネルギ分布を立体表示して超音波治療のガイドや治療進捗情報を表示可能な超音波治療装置を提供する。
【解決手段】超音波プローブ32にて治療対象部位の超音波断層像を得て超音波断層像表示部24にて表示する。この超音波断層像に治療用超音波の照射時間、強度、生体組織のパラメータ等に基づいて超音波エネルギ分布の状態を3次元情報表示部23にて立体表示する。また、治療対象部位の温度分布をエネルギ分布演算部21にて演算し3次元情報表示部23にて立体表示する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 治療用超音波を発生させるための超音波発生源を備えた超音波アプリケータを有する超音波治療装置において、前記超音波発生源を用いて被検体内に投入される超音波エネルギの3次元空間における分布を求め投入エネルギ分布として記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された投入エネルギ分布を表示する表示手段とを備えることを特徴とする超音波治療装置。 【請求項2】 前記投入エネルギ分布は、超音波の周波数、強度分布、照射時間、照射対象部位の超音波減衰率、照射対象部位の深さの各パラメータのうち少なくとも一つ以上に基づいた演算により求めることを特徴とする請求項1記載の超音波治療装置。 【請求項3】 前記表示手段は、前記超音波の被検体内へ照射された投入エネルギ分布情報を逐次に表示することにより照射対象を案内する照射ガイド手段となることを特徴とする請求項1または2のいずれか一方に記載の超音波治療装置。 【請求項4】 前記超音波アプリケータは、前記超音波の照射対象を観察するための超音波断層像を得る超音波プローブを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超音波治療装置。 【請求項5】 前記表示手段は、前記超音波プローブにより描出された超音波断層像に対し前記投入エネルギ分布情報を重ねて表示可能なことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波治療装置。 【請求項6】 前記表示手段は、前記超音波が集束する焦点領域の超音波強度分布を表示して超音波照射領域を示すマーカとして表示可能なマーカ表示手段となること特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の超音波治療装置。 【請求項7】 前記表示手段は、外部から入力された外部入力画像データと前記超音波の投入エネルギ分布とを重ねて表示可能なことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の超音波治療装置。 【請求項8】 前記記憶手段は、前記投入エネルギ分布情報に基づいて被検体内における温度分布を演算により求めて温度分布情報として記憶する温度分布情報記憶手段と、前記温度分布情報記憶手段に記憶された前記温度分布情報を表示する温度分布表示手段とを備える請求項1〜7のいずれか1つに記載の超音波治療装置。 【請求項9】 前記温度分布表示手段は、前記超音波プローブで得た超音波断層像と前記温度分布情報とを重ねて表示可能なことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の超音波治療装置。 【請求項10】 前記投入エネルギ分布情報、前記温度分布情報、前記超音波断層像、前記外部入力画像データのうちの少なくとも2つ以上の情報を、それぞれが有する座標情報を互いに対応付けしてそれぞれ記憶する座標情報記憶手段と、前記座標情報記憶手段に記憶された少なくとも2つ以上の情報を互いに組み合わせて表示可能な組み合わせ表示手段とを備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の超音波治療装置。 【請求項11】 一時中断された超音波の照射を再開して残りの治療を行う際において、中断前までに記憶された前記エネルギ分布情報に基づいて照射再開後に必要な照射エネルギ量を演算する残りエネルギ量演算手段と、この残りエネルギ量演算手段の結果に応じて残りの治療に応じた照射の制御を行う残り照射制御手段とからなる照射再開手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の超音波治療装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、治療対象部位に超音波を照射して治療を行う超音波治療装置に関する。 【0002】 【従来の技術】集束した超音波(治療用超音波)を患者の体内に存在する癌等の患部に照射して、この患部を加熱して治療を行う装置として、超音波治療装置が提案されている。超音波治療装置では、集束超音波を体内の患部領域に照射することにより、その領域を80℃以上に加熱し、癌細胞の蛋白質変性により壊死させて治療を行う。 【0003】このとき、目的領域に投入される治療用超音波の超音波エネルギが少ない場合は、十分な加熱が行われず、十分な治療効果が得られない可能性が生じる。また、この超音波エネルギが意図した以上に多すぎる場合、患部周辺の正常細胞まで加熱してしまったり過剰な加熱をしてしまい、意図した以外の影響を及ぼす可能性もある。 【0004】このため、従来においては超音波治療の精度を向上するために、照射した治療用超音波のエネルギ分布や温度分布を把握することが非常に重要となる。特に、治療対象となる患部が一回あたりの超音波の照射で焼灼できるサイズより大きく、複数回の照射を行う際には投入した総エネルギ分布や治療用超音波の照射によって生じた温度分布を把握することは重要となる。例えば、複数回の照射を行う際には、初めの照射による温度分布が次の照射に影響を与えるため、この照射により生じる温度分布は、単純に一回あたりの照射によって生じる温度分布の足し合わせとはならない。 【0005】超音波の集束領域に対して治療用超音波が入射してくる経路に存在する正常細胞組織では、繰り返しの照射により複数回にわたり治療用超音波が照射される領域が存在する。一回のみの照射では、この正常細胞組織の領域における温度上昇は極わずかなため、細胞に与える影響は少ないと考えられる。しかし複数回の照射においては、繰り返し治療用超音波が投入されるため、これらの正常細胞組織の領域も徐々に温度が上昇してゆく。 【0006】従来では、これらの問題を排除するために温度分布を正確に把握して、治療用の超音波の照射を正確に制御する方法が考案されている。 【0007】例えば、このような超音波による加熱治療を行う際の体内の温度分布を把握する方法として、平成6年第300910号公報ではMRIやX線CTを用いて超音波照射領域の温度分布を計測しながら治療を行う方法が述べられている。また、昭和63年第55334号公報では超音波画像診断装置を適用して加温後の生体内の温度分布を計測する方法が提案されている。 【0008】また正確な照射を行う方法として、平成7年第47079号公報では治療前にMRIやX線CTで患部周辺領域の3次元画像(ボリューム像)を撮影し、そのデータ上で治療用超音波の照射シュミレーションを行い、超音波治療効果(変性領域)をその3次元画像上に合成表示して確認する方法が提案されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上述のような超音波治療装置を用いて超音波治療を行うには以下のような解決すべき課題がある。 【0010】例えば、X線CTではリアルタイムに被検体の患部組織部分の温度分布を測定することが可能であるが、その一方で患者や術者の被曝に対する対策を講じなければならない。また、MRIを用いた場合には比較的長い撮影時間が必要なため、瞬時に患部組織部分の温度が上昇するような治療用超音波の照射法を用いる場合には、患部の温度変化をリアルタイムで表示することができないため適さない。 【0011】さらに、これらX線CT装置やMRI装置は大型であるため、超音波焼灼治療を行うための部屋、例えば手術室などへ導入するのは困難であり、また、設置した場合にも患者がそれら装置のガントリに入っているため、超音波焼灼治療に要する作業性が非常に悪いといった問題がある。 【0012】また、超音波診断装置を用いた温度計測法に関しては、現在のところ空間分解能が十分ではなく集束超音波を用いた加熱治療に適用するのは困難である。 【0013】また、予期される蛋白質変性領域を表示して超音波照射の際のガイドとしても、繰り返し治療用超音波が投入された領域への影響を予測することは困難である。 【0014】また、患部周辺領域の3次元断層データに基づいて、超音波治療前に照射シュミレーションを行った後に治療を開始する方法においては、治療用超音波の発生源が機械式のアームなどで固定されている場合には、シュミレーションとほぼ対応した治療結果が得られる、と考えられる。しかしながら、治療用超音波の発生源を術者の手で保持する方式の超音波治療装置では、シュミレーションと実際の治療では超音波の照射位置が変わった場合にはシュミレーションで想定した治療効果を期待した通りに得られない可能性がある。 【0015】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明の請求項1においては、治療用超音波を発生させるための超音波発生源を備えた超音波アプリケータを有する超音波治療装置において、前記超音波発生源を用いて被検体内に投入される超音波エネルギの3次元空間における分布を求め投入エネルギ分布として記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された投入エネルギ分布を表示する表示手段とを備えることを特徴とする超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0016】また、請求項2に記載の本発明によれば、前記投入エネルギ分布は、超音波の周波数、強度分布、照射時間、照射対象部位の超音波減衰率、照射対象部位の深さの各パラメータのうち少なくとも一つ以上に基づいた演算により求めることを特徴とする請求項1記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0017】また、請求項3に記載の本発明によれば、前記表示手段は、前記超音波の被検体内へ照射された投入エネルギ分布情報を逐次に表示することにより照射対象を案内する照射ガイド手段となることを特徴とする請求項1または2のいずれか一方に記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0018】また、請求項4に記載の本発明によれば、前記超音波アプリケータは、前記超音波の照射対象を観察するための超音波断層像を得る超音波プローブを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0019】また、請求項5に記載の本発明によれば、前記表示手段は、前記超音波プローブにより描出された超音波断層像に対し前記投入エネルギ分布情報を重ねて表示可能なことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0020】また、請求項6に記載の本発明によれば、前記表示手段は、前記超音波が集束する焦点領域の超音波強度分布を表示して超音波照射領域を示すマーカとして表示可能なマーカ表示手段となること特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0021】また、請求項7に記載の本発明によれば、前記表示手段は、外部から入力された外部入力画像データと前記超音波の投入エネルギ分布とを重ねて表示可能なことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0022】また、請求項8に記載の本発明によれば、前記記憶手段は、前記投入エネルギ分布情報に基づいて被検体内における温度分布を演算により求めて温度分布情報として記憶する温度分布情報記憶手段と、前記温度分布情報記憶手段に記憶された前記温度分布情報を表示する温度分布表示手段とを備える請求項1〜7のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0023】また、請求項9に記載の本発明によれば、前記温度分布表示手段は、前記超音波プローブで得た超音波断層像と前記温度分布情報とを重ねて表示可能なことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0024】また、請求項10に記載の本発明によれば、前記投入エネルギ分布情報、前記温度分布情報、前記超音波断層像、前記外部入力画像データのうちの少なくとも2つ以上の情報を、それぞれが有する座標情報を互いに対応付けしてそれぞれ記憶する座標情報記憶手段と、前記座標情報記憶手段に記憶された少なくとも2つ以上の情報を互いに組み合わせて表示可能な組み合わせ表示手段とを備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0025】また、請求項11に記載の本発明によれば、一時中断された超音波の照射を再開して残りの治療を行う際において、中断前までに記憶された前記エネルギ分布情報に基づいて照射再開後に必要な照射エネルギ量を演算する残りエネルギ量演算手段と、この残りエネルギ量演算手段の結果に応じて残りの治療に応じた照射の制御を行う残り照射制御手段とからなる照射再開手段を備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の超音波治療装置をもって解決手段とする。 【0026】 【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態について以下に図を用いて説明する。なお、以下の説明で用いる「3次元」は「立体空間」を意味する。 【0027】図1は、本発明の第1の実施の形態による超音波治療装置の構成を説明するための概略図を示す。また図2は、本発明の第1の実施の形態による超音波アプリケータを説明するための概略構成図である。 【0028】まず、図1に示される超音波治療装置1の構成は、治療用超音波の照射を行う超音波アプリケータ11と、超音波アプリケータ11に脱気水を循環させる水回路12と、超音波アプリケータ11の内部に備わる図示しない超音波発生源にエネルギを供給する駆動波形供給部13と、患者データや治療用超音波の照射条件などの入力を行うデータ入力部14と、治療用超音波の照射制御等に必要な装置の操作を行う操作部15と、超音波の照射情報を記憶する照射情報記憶部16と、治療領域の画像情報を得るための超音波画像診断部18と、超音波治療装置全体を統括し制御するシステム制御部17と、超音波アプリケータ11の傾きを含む3次元空間的な位置を検出する3次元位置検出部20と、投入エネルギ分布や温度分布データの計算を行うエネルギ分布演算部21と、3次元ボリューム画像と治療用超音波の投入エネルギ分布状態とを合成する画像合成部22と、患部周辺の超音波断層像や治療用超音波のエネルギ分布の3次元空間的位置情報を表示する3次元情報表示部23と、主に2次元の超音波断層像を表示する超音波画像表示部24と、画像情報や総投入エネルギ分布および治療記録などを記憶するデータ記憶部25と、各種データの読み込みや記憶等を行う外部記憶装置26と、外部ネットワークを用いてデータの転送を行うデータ転送部27とからなる。 【0029】また、図2に示される超音波アプリケータ11の構成は、治療用超音波の発生源である超音波振動子31と、超音波断層像を描出するための超音波プローブ32と、超音波振動子31から照射された治療用超音波を生体組織に伝搬するためのカップリング部33と、超音波アプリケータ11の傾きを含む3次元位置情報を信号として出力する3次元位置センサ34と、超音波振動子31とカップリング部33との間に満たされて治療用超音波を伝播する脱気水30とからなる。 【0030】まず、第1の実施の形態による超音波治療装置を用いる超音波治療において、この超音波治療を行う前に超音波アプリケータ11に内蔵された超音波プローブ32により患部の診断を行う。この際、治療用超音波の照射による超音波エネルギ分布を表示するための3次元空間上の原点を決める。超音波断層像36には集束超音波の集束点領域に図3に示されるような焦点マーカ35が表示されている。この焦点マーカ35は超音波の強度分布より想定される1回あたりの照射で焼灼される領域を模擬的にあらわしている。 【0031】この焦点マーカ35の中心部を3次元空間の原点を決めるための位置計測点の基準とする。患部の診断を行い焼灼対象である例えば腫瘍の中心部が含まれる断面に超音波断層像を合わせる。そして、焦点マーカ35の中心点を腫瘍中心部に合わせる。この状態で3次元空間の原点設定を行う。 【0032】ここで図4に参照されるように、このときの超音波断層像の断面がYZ平面、焦点マーカの中心点が原点に設定される。原点設定が行われた後は、超音波断層像は3次元位置センサ34が検出した超音波アプリケータの傾き、方向、位置をもとに図4のように表現され、3次元画像表示部23に表示される。超音波画像表示部24では図3のように通常の超音波断層像が表示される。 【0033】次に、3次元空間上で焼灼対象である腫瘍サイズを計測する。はじめに、図4を参照してYZ平面上にほぼ対応する位置に超音波断層像を合わせる。そして、図5のように腫瘍37のサイズを超音波断層像36上で操作部15を介してマーキング38を入力し、腫瘍36の大まかな形状を入力する。この際、横方向と縦方向以外にも腫瘍の輪郭に沿ってさらにマーキング38を追加することにより、より正確な腫瘍サイズの計測が行われる。 【0034】次に、図5のYZ平面と直交したXZ平面に対して、ほぼ対応する位置に超音波断層像36を合わせて、同様にマーキング38を配置することにより腫瘍サイズの計測を行う。直交2断面により腫瘍サイズの計測を行い、その計測データに基づいて画像表示を行うと、3次元画像上で腫瘍を模擬的にあらわすことができる。この際、計測された腫瘍サイズから腫瘍形状を模擬的に球形や楕円球形の腫瘍モデルで表すことで腫瘍の大まかな形状を捉えることができ、例えば図6に示す腫瘍輪郭39のように表示する。 【0035】また、腫瘍サイズの計測をより多くの断面で行い、さらに、その断面上で腫瘍形状のマーキング38をより細かく多く配置することにより、3次元画像上に表される腫瘍モデルの形状をより正確なものとすることができる。腫瘍サイズの計測は、治療対象部位および必要性に応じて術者が選択、追加を行うことができる。また、超音波画像上の腫瘍が画像処理により抽出可能なものである場合には、患部付近の超音波断層像を連続的に撮り、その結果から腫瘍サイズを自動抽出して腫瘍モデルとして3次元画像上に表現しても良い。 【0036】以上の操作を経て診断が終了すると、実際に治療用超音波を照射する治療に入る。治療モードでも診断モードと同様に超音波断層像が3次元空間上に表示される。この際、腫瘍モデルは超音波断層像上において腫瘍輪郭39として表示される。 【0037】なお、焦点マーカとしては、術者の好みや目的によりマーカの表示形式を選択できるようにしても良い。例えば、図7(a)のように1回の照射で焼灼される領域の輪郭45のみをあらわしたものや、あるいは図7(b)のように計測目盛46を同時に表示することも可能である。あるいは図7(c)のように治療用超音波の強度分布40を表示して、またこの強度分布40を所定の閾値に基づいて段階的に表示することもできる。この段階的な表示は、例えば色分けや色の濃さなどで識別可能に表示され、高強度部分40a、中強度部分40b、低強度部分40cといったような識別表示が可能である。操作者はこれらの表示形式の中から必要に応じて選択することができ、もちろん複数種類の表示形式を同時に表示しても良い。 【0038】このような図7に示すような表示は超音波の照射強度、照射時間、照射対象深さ、照射組織等の条件に応じて変えることができる。 【0039】次に、治療用超音波の照射位置の決定を行うが、本発明の第1の実施の形態では、対象とする腫瘍中心部より焼灼を始める場合を一つの例として説明する。治療用超音波の照射は、その治療目的や対象部位に応じて焼灼手順を任意に変更することもできる。 【0040】まず、超音波断層像と焦点マーカを腫瘍中心部に合わせる。次に、治療用超音波の照射スイッチを操作することにより治療用超音波の照射が開始される。治療用超音波の照射が開始されると、投入されている治療用超音波のエネルギ分布がリアルタイムに表示される。ここで、治療用超音波のエネルギとは治療用超音波の強度と、照射時間の積で表される。具体的には3次元情報表示部23及び超音波画像表示部24において、それぞれ図8(a)、図8(b)のようにエネルギ分布が示される。 【0041】ここで、エネルギ分布は3次元空間データとして記憶されるので、例えば超音波断層像の断面位置を図9に示すように任意の方向に移動させると、立体表示された治療用超音波のエネルギ分布の立体的な形状を観察することができる。このように、3次元情報表示部23には3次元空間上の超音波断層像上に対して、こうして計測した腫瘍の輪郭及び投入された治療用超音波のエネルギ分布が重ね合わされて立体表示される。ここで、エネルギ分布は色の違いにより表したり、等高線などを用いて表示され、これらのデータは任意に切り替え、選択して表示することができる。 【0042】例えば、図8(a)、図8(b)に示されるように、超音波断層像36とエネルギ分布41のみを示すこともできるし、超音波断層像36と計測した腫瘍の腫瘍輪郭39のみを示すこともできる。また、超音波断層像36を一時的に消して、腫瘍輪郭39と投入したエネルギ分布41のみを示すこともできる。さらに、エネルギ分布41はある閥値を設定して、その閾値以上にエネルギが投入された部分のみを示すこともでき、その輪郭のみを超音波断層像36に重ねて表示しても良い。表示するデータの切り替えや任意の表示選択が可能なことから、術者は必要な情報に基づいて超音波治療の進捗を確認でき、あるいは次の超音波照射位置や照射強度ならびに照射時間を検討することができる。 【0043】また、3次元情報表示部23に表示されるXYZ座標空間は、任意の方向に回転させることが可能であり、エネルギー分布と患部の位置関係を任意の方向から把握することが可能である。 【0044】このようにして1回目の照射が終わると、2回目の照射に入る。1回目の照射における治療用超音波のエネルギ分布39の立体表示をガイドとして、2回目における治療用超音波の照射位置、照射強度、照射時間を決定した後に、治療用超音波の照射を行う。ここで、再び、治療用超音波の照射と同時に投入された治療用超音波のエネルギ分布がリアルタイムに画面上に立体表示されていく。このとき、2回目のエネルギ分布の立体表示は1回目のエネルギ分布の立体表示に加えて表示される。すなわち、1回目の照射においても2回目の照射においても治療用超音波が投入される領域ではそれらの超音波エネルギの和がエネルギ分布として表示される。 【0045】治療用超音波の照射位置は焦点マーカやエネルギ分布表示で確認できるが、焦点マーカの中心点の位置は座標として、常に表示しても良い。表示方法としてはリアルタイムに表示する部分と、照射開始時の位置を表示する部分とに別けてもよい。繰り返し照射を行う際に、照射開始時の位置を履歴情報として表示しておくことにより、新たな照射を行う前に前回の照射開始の位置が座標として示されるため、次の照射位置を決める目安となる。また、その照射を行う前の照射開始位置と現在の焦点マーカ中心部の位置との距離を表示できるので、照射位置の決定がより容易に行うことができる。以降、腫瘍領域を完全に焼灼するまで照射を同様に繰り返し行っていく。 【0046】このようにして治療用超音波の照射を繰り返すが、治療中に患者の体動や呼吸性移動により照射対象の患部領域が移動してしまう恐れのある場合は、図10に示されるように被検体54において、患部52の近傍の体表53に少なくとも1個以上の3次元位置センサ50を取り付けて、患部52の移動を検出する。この検出された移動を3次元位置情報に反映させることにより、原点として設定された部分が常に3次元空間上の原点となるように補正することが可能となる。これにより、治療過程において患部52の移動が生じても超音波アプリケータ51と患部との正確な位置関係を把握することができ、正確な治療が可能となる。 【0047】また、患部領域の腫瘍焼灼の目安としては、計測した腫瘍の輪郭が、十分に蛋白質変性を生じ得るエネルギ量の表示領域内に完全に含まれていることが一つの目安になる。例えば、図11のような状態が、腫瘍全体において観察されれば、治療が完了したと見なすことができる。図11は、39が腫瘍輪郭、41がある閾値以上にエネルギが投入された領域、41cが低エネルギ領域、41bが中エネルギ領域、41aが高エネルギ領域を示す。 【0048】ここまでで、一連の超音波治療の流れを説明したが、以上の構成に加えて次のような警告機能を持たせることもできる。この構成では総投入エネルギ分布を常に計算して表示しているので、ある治療用超音波の照射対象領域に許容値以上の超音波エネルギが投入されたときに警告を発したり、あるいは治療用超音波の強度を低下させたり、また照射を中止することもできる。 【0049】例えば一部の領域に超音波エネルギを照射しつづけると、その領域の温度が100℃を超えて上昇してしまうため、水分が突沸する場合がある。そのため、警告機能を設けることにより、そのような許容値以上のエネルギの投入を未然に防ぐことができ、より正確で安全な治療を行うことができる。 【0050】本実施の形態では、投入したエネルギ分布を3次元データとして記憶し、表示したが、エネルギ分布のデータに基づいて温度分布を演算により求めることも可能である。治療用超音波を照射している組織の超音波吸収率、熱伝導率が分かれば、治療用超音波の照射深さと投入されたエネルギが3次元空間上のエネルギ分布情報から知り得るので、生体熱輸送方程式等を用いることにより3次元空間上の温度分布を計算することができる。 【0051】本実施の形態による超音波治療装置では、エネルギ分布の和を記録しているので、3次元空間における所定の単位時間ごとに投入された超音波エネルギを求める。この超音波エネルギの値により単位時間ごとの温度変化を演算して求めることができ、この演算結果に基づいて温度分布をリアルタイムに表示することができる。生体組織の超音波吸収率や熱伝導率といった演算に必要なパラメータ値はデータ入力部14を介して入力し設定できる。また予めデータ記憶部25に予期し得る治療対象となる各組織ごとにパラメータ値を予め記憶し、演算に用いることもできる。また、超音波断層像の画像データより例えば濃淡値の変化をパラメータ値として用いて演算を行っても良い。 【0052】また、治療対象部位の超音波吸収率や組織の熱伝導率は、一般に温度が上昇し蛋白質変性が進むに連れて変化していくが、この温度上昇に対応してパラメータ値として入力したり、あるいは予め記憶させておいたパラメータ値から温度変化に応じて読み込んで演算することができる。このようにして、3次元空間上の温度分布を表示することにより、患部の変性状態に関するより正確な情報を提供することができ、治療精度を向上することができる。温度分布を表示する際は温度によって色を変えても良いし、等温線等で表示しても良い。また、ある閥値を設定してその温度以上の領域の輪郭を表示しても良い。エネルギ分布、温度分布の表示は任意に切り替えおよび選択ができる。 【0053】治療終了時には3次元空間上のエネルギ分布、温度分布、腫瘍輪郭情報、超音波断層像情報を治療記録としてデータ記憶部25に保存することができる。この際、エネルギ分布、温度分布、腫瘍輪郭情報、画像データは空間位置情報を伴って記憶され、互いに空間座標上での対応がつくようになっている。これにより、術後に患部の診察を行い診断する際に、投入エネルギと患部との状態の対応を明確に行え、診断や治療効果判定が確実に行われる。また、治療効果を治療データとして正確に記録することができるので、その後の治療にも参考データとして役立てることができる。記録した治療データは外部記憶装置26を用いて、フロッピーディスクやMO、CD−Rなどのメディアに転送して保存することができる。また、データ転送部27を用いて外部データベースに転送して保存することができる。逆にデータ転送部27より外部データベースにアクセスして過去の治療データを読み込み、治療前に参照することもできる。 【0054】本発明の第1の実施の形態では、腫瘍の大きさを計測して患部の診察を終了した後に治療に入ったが、治療前に超音波照射のシュミレーションを行うこともできる。その際、超音波断層像より事前に抽出した腫瘍に相当する焼灼部分の輪郭(腫瘍モデル)を用いる。そして、実際には治療用超音波の照射は行わないが、その腫瘍モデルに対して3次元画像上で仮想的に治療用超音波照射を行った場合の演算を行う。 【0055】仮想的な照射は操作部15の図示しないマウスなどの外部入力装置により条件設定やパラメータ値を入力して演算を行っても良いし、あるいは実際の操作手技を模擬して超音波アプリケータを超音波用ファントムに押し当てながら行っても良い。または、実際には照射は行わないが、治療対象患部そのものにアプリケータを押し当てながら行っても良い。この場合も、実際の照射と同じようにエネルギ分布の総和が3次元画像上に表示されていく。そして治療の場合と同様に、腫瘍モデルに疑似照射を繰り返していく。このシュミレーションを行うことによって、どのような位置から何回ぐらい照射を行えば治療が完了するのかを治療の前に知ることができる。このシュミレーション結果により確度の高い治療を行うことが可能となる。また、シュミレーションにおいても温度分布を計算して表示することができる。 【0056】次に本発明の第2実施例について説明する。 【0057】図12には、本発明の第2の実施の形態による超音波治療装置を説明するための概略構成を示す。この構成は第1の実施の形態の図1で示された構成に対して、3次元画像データの比較・識別を行う画像識別部28を追加したものである。 【0058】まずはじめに、治療前にX線CTやMRIにより患部周辺の3次元画像データを取得する。次に、取得した3次元画像データは外部記憶装置26またはデータ転送部27を用いてデータ記憶部25に読み込まれる。外部記憶装置27を用いる際にはMOなどのメディアからデータを読み込み、あるいはデータ転送部27を利用する場合は画像情報データを記憶している外部データベース等からデータを読み込む。 【0059】次に、超音波アプリケータ11に備えられた画像診断用の超音波プローブを用いて患部の診断を行う。超音波アプリケータ11には3次元位置センサ34(図2参照。)が内蔵されているので、3次元位置検出部20で超音波断層像の位置を検出・記憶できる。このため、患部周辺の超音波断層像を連続的に撮影すると、位置情報を基に超音波断層像のデータを3次元空間上の座標位置に対応付けて記憶することができる。 【0060】次に、第1の実施の形態と同様に3次元空間上で原点を決定する。例えば、腫瘍中心部を原点とする場合には、焦点マーカの中心部を腫瘍中心部に合わせて、図示しない原点設定ボタンを押す。これによって、3次元空間上で原点が設定される。この原点が設定された3次元空間上の超音波診断データとデータ記憶部25に記憶されたX線CTやMRIで撮影した3次元画像データとの位置合わせを画像識別部28により行う。 【0061】この画像識別部28では、これらの3次元画像データの特徴部位、例えば、血管、臓器の輪郭、患部の形状等を比較することにより、それぞれの3次元画像データ同士の原点を原点設定された同一の3次元空間上で位置合わせをする。また、X線CT、MRIなどの画像データ撮影時と超音波データ撮影時に同じ部位に両者の診断装置で撮影可能な物理的マーカを配置して撮影を行い、その位置を基準にして位置合わせを行っても良い。また、これらの画像間の位置合わせは術者が手動で行うこともできる。 【0062】このようにすることで、共通の3次元空間上においてX線CTやMRIなどで撮影された画像データを参照することができるようになる。すなわち、X線CTやMRIなどで撮影された画像データ上で治療用超音波の焦点を表示することが可能となる。また、超音波プローブ32による超音波断層像に対応する3次元画像データの断面が3次元情報表示部23に示される。また、X線CT、MRIなどの画像データと超音波断層像を超音波画像表示部24に並べて表示することもできる。 【0063】3次元画像表示部23に表示される画像は、超音波断層像とX線CTやMRIで撮影された3次元画像データとを任意に切り替えて表示することができる。これにより、超音波断層像だけでは十分に患部の位置確認を行うことができない症例においても、治療を行うことが可能となる。 【0064】次に、腫瘍部等の治療対象領域の大きさを設定して、治療に入る。治療対象部位の設定手順は第1の実施の形態と同様とする。ただし、この場合も、超音波断層像とX線CT、MRIの画像データを任意に選択して表示することにより、治療対象部位の輪郭にマーキングを配置することができる。また、治療も第1の実施の形態と同様に進める。この際も、超音波断層像とX線CT、MRIの画像データを任意に選択して表示することができ、また、投入された治療用超音波のエネルギ分布や温度分布も任意に選択して表示することができる。その他、治療の手順や患部の移動に対する対策も第1の実施の形態と同様とする。 【0065】また、第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様に治療前にシュミレーションを行うことができる。治療データの記憶も第1の実施の形態と同様に行う。この際、超音波診断データとX線CT、MRIによる3次元画像データ、エネルギ分布データ、温度分布データ、焼灼対象輪郭である腫瘍モデルデータも位置情報を伴って保存され、術後にも治療時の状態が再現できるようにする。本第2の実施の形態では、画像データを患部の性質や状態によって使い分けることができ、確度の高い治療を行うことができる。 【0066】なお、超音波治療を行う場合に数回に分けて治療が進行されることもあり、このそれぞれの治療の時間的な間隔は数分、数時間や数日、数ヶ月といったものになる。このように時間的な間隔が開いてくると、前回の続きの超音波治療を行うためには、この前回の超音波治療により得た治療対象部位のデータが重要になる。この前回の超音波照射により得られた治療データに基づいて、新たな治療用超音波の照射時間や強度、照射部位などを決定することができ、時間的な間隔を空けなければならない超音波治療において無駄の無い正確な治療を完了することができる。 【0067】例えば、図13に示すように、本発明の第2の実施の形態による超音波治療装置において、データベース・ファイリングシステム60をデータ転送部27に接続する。このデータベース・ファイリングシステム60には一時中断するまでの治療用超音波照射に関する3次元データがすべて記憶されており、また2次元の超音波断層像や、あるいは他の外部から入力された3次元画像データ、患者固有の履歴データなどが互いに関連付けされて記憶されている。 【0068】一時的に治療を中断しても、患者固有のデータや治療用超音波の照射による治療対象部位の蛋白質変性などの進捗状況に関するデータは保存されているので、次回の治療再開時においても前回のデータを基にして無駄のない正確な超音波治療を行うことができる。 【0069】以上説明した本発明の第1および第2の実施の形態によれば、複数回の治療用超音波の照射において投入された超音波エネルギの総和の分布状態を把握しながら、治療用超音波の照射位置、照射強度、投入エネルギを決定して治療を進めることができるので、精度の高い超音波焼灼治療を行うことができる。 【0070】また、何らかの原因により治療を中断した場合でも、それまでの超音波エネルギの投入量が3次元位置座標を伴って記録されているため、その情報を参照することで超音波治療を再開することができる。 【0071】また、患部周辺の3次元画像データと超音波エネルギ分布が3次元情報として記録できるため、術後に投入エネルギと患部の状態の対応がとれ、超音波が生体に与える影響を正確に分析することができる。 【0072】なお、以上説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施の形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。 【0073】 【発明の効果】本発明によれば、複数回の治療用超音波の照射において投入された超音波エネルギの総和の分布状態を把握しながら、治療用超音波の照射位置、照射強度、投入エネルギを決定して治療を進めることができるので、精度の高い超音波焼灼治療を行うことができ、また、何らかの原因により治療を中断した場合でも、それまでの超音波エネルギの投入量が3次元位置座標を伴って記録されているため、その情報を参照することで超音波治療を再開することができ、また、患部周辺の3次元画像データと超音波エネルギ分布が3次元情報として記録できるため、術後に投入エネルギと患部の状態の対応がとれ、超音波が生体に与える影響を正確に分析することができる超音波治療装置を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−190587(P2001−190587A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−1100(P2000−1100) |
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