トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 おむつカバー及びこれを用いる排泄物の処理方法
【発明者】 【氏名】生田 宗博

【氏名】平松 伸康

【要約】 【課題】洗濯して繰返し使用可能なおむつカバーに関し、快適な着用感を得られると共に、排泄物の処理も比較的容易なおむつカバーを提供する。

【解決手段】通気性を備えた布帛からなる内側シートと、不透水性ないし難透水性のシート材からなる外側シートと、良好な透水性及び通気性を備えた3次元組織からなるマット状の透水性コアとの3層を備え、臀部下方中央から股下前方に当接する部分にかけて、前記透水性コアを除去ないし薄肉にすることによっておむつ収容凹所が形成されている。おむつ収容凹所に水溶性紙シートからなる大便用おむつと吸水かつ水溶性紙パルプからなる厚肉の小水用おむつとを挿入して装着する。排泄物はおむつと共に水洗便器に流下し、おむつカバーは適時水洗して繰返し使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 臀部から股下を通して下腹部を覆うように装着される不透水性ないし難透水性の外表面を備えたおむつカバーにおいて、通気性を備えた布帛からなる内側シート(7)と、不透水性ないし難透水性のシート材からなる外側シート(8)と、良好な透水性及び通気性を備えた3次元組織からなるマット状の透水性コア(9)との3層を少なくとも備え、臀部下方中央から股下前方に当接する部分にかけて、前記透水性コア(9)を除去ないし薄肉にすることによっておむつ収容凹所(11)が形成されていることを特徴とする、おむつカバー。
【請求項2】 透水性コア(9)が合成繊維の3次元網目構造体であり、内側シート(7)が吸湿性及びクッション性を備えた布帛である、請求項1記載のおむつカバー。
【請求項3】 透水性コア(9)が合成繊維の網目構造の編織物を複数枚積重してなる3次元網目構造体であり、臀部及び下腹部を覆う部分の周縁部において前記編織物の積重枚数を減ずることにより透水性コアが薄肉とされていることを特徴とする、請求項2記載のおむつカバー。
【請求項4】 おむつ収容凹所(11)が臀部中央下方に当接する部分に形成された比較的大面積の第1の凹所部分(11a)とそれから前方に樋状に延びる第2の凹所部分(11b)とを備えていることを特徴とする、請求項1、2または3記載のおむつカバー【請求項5】 第1の凹所部分(11a)と第2の凹所部分(11b)との間に両者を区画する隔壁(13)を備えていることを特徴とする、請求項4記載のおむつカバー。
【請求項6】 請求項1ないし3記載のおむつカバーのおむつ収容凹所(11)に水溶性紙シートからなるおむつ(14)を当該凹所の内壁に沿わせるように挿入し、おむつ(14)に排出された排泄物は、当該おむつと共に水洗便器などから洗浄水と共に下水に流下し、おむつカバーは適時水洗して繰返し使用することを特徴とする、排泄物の処理方法。
【請求項7】 請求項4または5記載のおむつカバーの第1の凹所部分(11a)に水溶性紙シートからなる大便用おむつ(14)を当該凹所の内壁に沿わせるように挿入し、第2の凹所部分(11b)に水溶性紙パルプからなる厚肉の小水用おむつ(15)を収容し、おむつ(14,15)に排出された排泄物は、当該おむつと共に水洗便器などから洗浄水と共に下水に流下し、おむつカバーは適時水洗して繰返し使用することを特徴とする、排泄物の処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、洗濯して繰返し使用可能なおむつカバーと、これを用いた人の排泄物の処理方法に関するもので、特に成人の要介護者が使用するのに特に適したおむつカバーと排泄物の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】乳幼児や自分で便器を使用することができない要介護者の排泄物を処理するのに、おむつやおむつカバーが使用される。これらはできるだけ快適な着用感を備えたものが望ましい。一方、介護者にとっては、着衣や手を汚さずに排泄物の処理をできるだけ簡便にできることが望ましい。
【0003】使い捨ておむつが出現するまでは、おむつは木綿などの吸水性に優れた布で作られ、おむつから染み出したり、はみ出したりする排泄物を遮断するために、不透水性の布地で作られたおむつカバーをおむつの上から着用するのが一般的であった。この場合のおむつやおむつカバーは、洗濯により繰返し使用されるが、着用感や排泄物の処理作業の点では、あまり満足すべきものではなかった。
【0004】そこで、排泄物の処理を容易にするために、使い捨ておむつが提供され、その素材として吸水性ポリマーが使用されるようになって着用感が大幅に向上し、更におむつをある程度の厚さとした上で、その内側に大便受けとなる凹所を形成した使い捨ておむつ(例えば実開平2−30326号、実開平7−7620号、特開平8−191857号など)が提供されて、着用感の向上と排泄物処理作業の容易化とが図られている。
【0005】この種のおむつは、透水性の内面シートと不透水性の外面シートとの間に、マット状の吸水性コアを入れ、着用者の臀部下方に当接する部分に吸水性コアを凹ませるか、または周縁を高くすることによって、便受けとなる凹所を形成している。着用者が排泄した小水は、吸水性コアに吸収され、大便は凹所となった便受けで受け取られて、更に大便中の水分は、吸水性コアに吸収されるので、排泄後の着用感の悪化がある程度回避でき、おむつを交換する際の作業性もよく、汚れたおむつはそのまま捨ててしまうので、排泄物の処理作業も簡単である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、着用感と作業性を向上させるための上述したような使い捨ておむつの改良は、他方において、廃棄物の増大という問題を引き起こしている。それは吸水性コアを用いることにより、おむつが嵩だかになること、小水と大便との排出のバランスにより、例えば大便を排泄したために、吸水性コアの吸水能力が十分に残っているにもかかわらず、おむつを交換しなければならないという無駄が生ずるからである。
【0007】この問題を解決する手段として、上記のような構造のおむつを洗濯可能な素材で製作するということが考えられる。すなわち、木綿やポリエステル製の布帛の内側シートと、防水処理をした合成繊維の布帛の外側シートとの間に吸水性ポリマーのマットを封入した構造である。素材を洗濯可能なものとすれば、繰返し使用が可能になるから、廃棄物の増大は防止できる。
【0008】しかし、吸水性ポリマーのコアなどを用いた従来の使い捨ておむつを洗濯可能な素材で製作すると、次のような問題が起る。第1に排泄物が直接付着したおむつを洗濯機などで洗濯しなければならないので不衛生であること。第2に吸水性ポリマーは吸水した水分をなかなか放出しようとしないので、洗濯しても吸水した汚水の完全な洗浄が困難で、しかも洗濯後の乾燥に非常に時間がかかるということである。そのため予備のおむつを大量に準備しなければならず、洗濯や乾燥の困難性に伴うエネルギーコストの増大を招く。
【0009】この発明は、上述した従来技術の問題点に鑑み、廃棄物や資源の消費を最小限にし、しかも快適な着用感を得られると共に、排泄物の処理も比較的容易に行うことが可能な、排泄物の処理方法及びそれに使用するおむつカバーを提供することを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明のおむつカバーは、臀部から股下を通して下腹部を覆うように装着される不透水性ないし難透水性の外表面を備えたおむつカバーにおいて、通気性を備えた布帛からなる内側シート7と、不透水性ないし難透水性のシート材からなる外側シート8と、良好な透水性及び通気性を備えた3次元組織からなるマット状の透水性コア9との3層を少なくとも備え、臀部下方中央から股下前方に当接する部分にかけて、前記透水性コア9を除去ないし薄肉にすることによっておむつ収容凹所11が形成されていることを特徴とするものである。
【0011】透水性コア9としては、合成繊維の3次元網目構造体を用いることができ、特に、合成繊維の網目構造の編織物を複数枚積重してなる3次元網目構造体を用いるのが、透水性、通気性、洗濯性、乾燥性の点で良好な実用性が得られ、コア厚さを部分的ないし全体的に調整することも容易になる。この場合、内側シート7として厚地の布帛などのクッション性を備えた布帛を用いることにより、肌ざわりが改善される。吸湿性を備えた布帛を用いるのが更に好ましい。積重構造の透水性コアを備えたおむつカバーにおいて、臀部及び下腹部を覆う部分の周縁部でコア材の積重枚数を段階的に減ずることにより透水性コアを薄肉とすれば、より快適な装着性を備えたおむつカバーを得ることができる。
【0012】おむつ収容凹所11は、臀部中央下方に当接する部分に形成された比較的大面積の第1の凹所部分11aとそれから前方に樋状に延びる第2の凹所部分11bとを備えた構造とすることが、この発明のおむつカバーの使用のために特に好ましい。この場合に、第1の凹所部分11aと第2の凹所部分11bとの間に、両者を区画する隔壁13を設けることもできる。
【0013】この発明のおむつカバーは、おむつ収容凹所11に水溶性紙シートからなるおむつ14を当該凹所の内壁に沿わせるように挿入して装着する。おむつ14に排出された排泄物は、当該おむつと共に水洗便器などから洗浄水と共に下水に流下し、おむつカバーは適時水洗して繰返し使用する。
【0014】凹所11には、水溶性紙シートからなる大便用おむつ14と吸水かつ水溶性紙パルプからなる厚肉の小水用おむつ15とを収容するのがより好ましい。特に連続する又は区画された第1の凹所11aと第2の凹所11bとを設けたときは、第1の凹所部分11aに水溶性紙シートからなる大便用おむつ14を当該凹所の内壁に沿わせるように挿入し、第2の凹所部分11bに吸水かつ水溶性紙パルプからなる厚肉の小水用おむつ15を収容して装着する。
【0015】
【発明の実施の形態】図1ないし図3は、この発明のおむつカバーの第1実施例を示した図である。おむつカバーとしての平面形状は、従来のおむつカバーや使い捨ておむつの形状と異なるものとする必要はなく、従来使用されているものと同様な種々の形状が可能である。図1の第1実施例のものでは、装着者の臀部を覆う後身頃1と下腹部を覆う前身頃2とを細幅にした股下部3で一体に連結し、後身頃1の上端に左右に延びる帯紐4を取付けた構造で、帯紐4の先端には前身頃上縁両側に設けた面ファスナー(図示せず)に止着する面ファスナー5が取付けられている。
【0016】後身頃1、股下部3及び前身頃2からなるおむつカバー本体6は、図2の断面図に示すように、内側シート7、外側シート8及び透水性コア9の3層構造となっている。透水性コア9は、図3に示すような合成樹脂のモノフィラメントで織成された網目構造の3次元織物10の積重体である。この3次元織物10は後身頃1と前身頃2の中央部及び股下部3では、3ないし4枚重ねにしてコア9を厚肉とし、後身頃1と前身頃2の周縁部、特に上縁部分では、積重枚数を順次減らすことにより薄肉としてある。
【0017】後身頃1の股下部3に近い中央部には、この部分のコア9を除去し、当該除去した部分に入り込むように内側シート7を成形ないし縫製することにより、第1の凹所部分11aが形成されている。この第1の凹所部分11aに連接して、股下部3から前身頃2の股下部に連接する部分にかけて、前記と同様にコア9を除去して内側シート7を成形ないし縫製することにより、溝状の第2の凹所部分11bが形成されている。第1の凹所部分11aと第2の凹所部分11bとは一体となった平面しゃもじ状の凹所11を形成する。
【0018】この発明のおむつカバーは、通常の方法で水洗可能で、かつ通常の方法で脱水及び乾燥が可能な素材を用いて製作される。内側シート7は、装着者の肌に直接接するシートであり、木綿、アクリル、ポリエステル等の布帛で、通気性と吸湿性とを備えた下着に用いられていると同様な素材を用いて製作するのが好ましい。寝た姿勢で長く使用されることを考慮すると、良好な通気性と吸湿性とを備えたものとすることが、特に考慮されなければならない。
【0019】外側シート8は、不透水性と通気性とを兼ね備えたものが最もよいが、両者を完全に兼ね備え、かつ十分な耐洗濯性を備えることは困難である。不透水性を重視するか、通気性を重視するかにより、使用する素材に若干の相違を生ずる。実用的には、合成繊維の布帛に防水処理を施すか、撥水処理を施して使用するのが適当である。外側シート全体を同一素材とする必要は必ずしもなく、例えば合成繊維の布帛に後身頃の下方から前身頃の下方にかけての部分にゴム引きなどの防水コーティングを施し、後身頃の上方部分は撥水処理をし、前身頃の上方部分は防水ないし撥水処理をしないで、通気性を最大限に保証するという構造も実用的には好ましい構造である。
【0020】透水性コア9は、厚み方向にある程度の支持力とクッション性とを備えた通水性及び通気性の良好な3次元組織体を用いる。天然物であれば、例えばスポンジやへちまのようなものであるが、耐久性の点を考慮すれば、発泡合成樹脂ないし合成繊維製とするのが実際的である。
【0021】透水性コア9は、従来の紙おむつなどに用いられている吸水性コアとは水分に対する機能を全く異にする。透水性コア9は、それを構成する繊維の間や微細気孔にある程度の水分が保持されることがあっても、それ自体は高い吸水性を備えておらず、少なくとも良好な通気性を備えることにより、速やかに乾燥が可能な素材によって形成される。最も好ましい素材の一例は、合成樹脂のモノフィラメントで形成された空間の大きな網目構造で、織成または編成した3次元構造の編織物である。この種の編織物では、繋ぎ糸、すなわち厚さ方向に延在する糸が厚み方向の支持力とクッション性とを負担している。
【0022】図4及び5は、この発明のおむつカバーの第2実施例を示す図である。この第2実施例のおむつカバーは、古くから用いられている乳幼児用のおむつカバーと同様な平面形状をしている。すなわち後身頃1が幅広く両側に延びており、その端部に前身頃の両側部分と止着する面ファスナー5が取付けられている。前身頃2も第1実施例のものより左右に幅広く形成され、装着したときに後身頃と前身頃の下縁部分12、12で脚の付根が囲まれる形状である。おむつカバー本体の断面構造は第1実施例と同様であるが、後身頃の両側の体側に巻かれる部分にはコア9が配置されていない。
【0023】この第2実施例は、凹所11の構造が第1実施例のものと異なる。すなわち第1の凹所部分11aと第2の凹所部分11bの部分との間に、両者を区画する隔壁13が存在している。すなわちこの第2実施例のものでは、第1の凹所部分11aと第2の凹所部分11bとの間に隔壁13を形成するコア9が残っており、凹所11は互いに独立した第1の凹所部分11aと第2の凹所部分11bとで形成されている。
【0024】また、この第2実施例の凹所11は、第1の凹所部分11aの平面形状が台形状で、第2の凹所部分11bの幅は、前身頃側が若干幅広くなっているが、この第1実施例との平面形状の相違は、隔壁13が設けられたことと無関係であって、凹所11の形状として種々の形状が採用可能であることの一例として示したものである。
【0025】上記構造のおむつカバーは、図6に示すように、第1の凹所部分11aに、その凹所の内壁に沿わせるように水溶性で、かつ好ましくは吸水性の紙シートからなるシート状おむつ14を沿わせるように装填し、第2の凹所部分11bに水溶性の紙粉を水溶性の紙シートで包んだ肉厚のパッド状おむつ15を装填して使用する。
【0026】排泄物のうち、小水はパッド状おむつ15に吸水され、大便はシート状おむつ14で受け取られて、主に凹所11内に収容された状態となるから、これらの排泄物をシート状おむつ14やパッド状おむつ15とともに、水洗便器内に捨てて、洗浄水とともに下水に流下させる。シート状おむつ14及びパッド状おむつ15は、水溶性の紙繊維であり、しかも体積自体が小さいから、下水の処理負担を増大させることがない。
【0027】おむつカバーは排泄物を取り除いた際に、または適時従来の布性のおむつカバーと同様に繰返し洗濯して再使用する。おむつカバーには大便が直接付着することがなく、シート状おむつやパッド状おむつから染み出した汚水が付着するだけであるから、洗濯が困難になったり、極端に不衛生になったりすることがない。そしておむつカバーの内側シート、外側シート及びコアが上述した素材で形成されているので、短時間で洗浄できるとともに、乾燥も速やかである。
【0028】また、おむつカバーの装着者にとって、排泄物からの吸水性が従来の使い捨て紙おむつに比べて若干劣ることがあっても、コアが良好な通気性を備えているため、快適な着用感が得られる。また、股下部及びその前後の外側シートを完全な防水シートとした場合においても、前身頃上部の外側シートに十分な通気性を持たせておけば、コア部分での自然対流によって局部的な蒸れ感が生ずるのも回避できる。
【出願人】 【識別番号】392017624
【氏名又は名称】平松産業株式会社
【識別番号】599034000
【氏名又は名称】生田 宗博
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100078673
【弁理士】
【氏名又は名称】西 孝雄
【公開番号】 特開2001−170095(P2001−170095A)
【公開日】 平成13年6月26日(2001.6.26)
【出願番号】 特願平11−361115