| 【発明の名称】 |
表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラントおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】薛 文景
【氏名】林 智一
【氏名】林 聖富
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| 【要約】 |
【課題】表面に孔構造を持つ整形外科用インプラントを提供する。
【解決手段】表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラントであって、前記多孔構造の少なくとも一部分は複式孔構造であり、前記複式孔構造の少なくとも一部分の第一段階孔の孔口サイズが10〜800μmであることを特徴とする整形外科用インプラント、およびその製造方法である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラントであって、前記多孔構造の少なくとも一部分は複式孔構造であり、前記複式孔構造の少なくとも一部分の第一段階孔の孔口サイズが10〜800μmであることを特徴とする、整形外科用インプラント。 【請求項2】 前記複式孔の少なくとも30%以上が高段階の複式孔構造であり、その第二段階孔以上の段階孔の孔口サイズは10〜500μmである、請求項1に記載の整形外科用インプラント。 【請求項3】 前記複式孔の少なくとも50%以上が高段階の複式孔構造であり、その第一段階孔の孔口サイズは50〜600μmであり、その第二段階孔以上の段階孔の孔口サイズは50〜400μmである、請求項1または2に記載の整形外科用インプラント。 【請求項4】 前記第一段階孔の孔口サイズは100〜500μmであり、その第二段階孔以上の段階孔の孔口サイズは50〜300μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の整形外科用インプラント。 【請求項5】 整形外科用インプラントの表面の少なくとも一部分に複数の初孔を形成し、中電流密度電解法によって前記複式孔構造を前記初孔上に形成する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラントの製造方法。 【請求項6】 前記初孔の孔口サイズは0.2〜500μmである、請求項5に記載の製造方法。 【請求項7】 前記初孔の孔口サイズは1〜100μmである、請求項6に記載の製造方法。 【請求項8】 前記初孔は高電流密度電解法によって形成される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項9】 前記高電流密度電解法において、電流密度は0.2A/cm2以上であり、電解時間は30秒〜5分である、請求項8に記載の製造方法。 【請求項10】 前記高電流密度電解法において、電解溶液は2〜5質量%の塩化ナトリウムを含み、電流密度は0.3A/cm2以上であり、電解時間は1〜3分である、請求項9に記載の製造方法。 【請求項11】 前記中電流密度電解法において、電流密度は0.1〜0.8A/cm2であり、電解時間は3〜30分である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の製造方法。 【請求項12】 前記中電流密度電解法において、電流密度は0.2〜0.7A/cm2であり、電解時間は5〜20分である、請求項5〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラント、およびそれらの製造方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】整形外科用インプラントの表面に約10〜500μmの多孔構造が存在すると、骨組織がその多孔構造中で増殖し、骨組織が整形外科用インプラントに結合して一体化する。従って、整形外科用インプラントの表面に複式孔構造を形成することは重要な技術である。公知の方法として、プラズマスプレー法、焼結法及び拡散結合法がある。しかし、プラズマスプレー法では、例えば図1に示すAおよびBの孔のように、孔が表面に通じていない中空孔を形成する。そのために骨組織が孔中で増殖せず、却ってインプラントの多孔構造と骨組織との境界(界面)が断裂する主な原因となる。同様に焼結法では、前述の中空孔を形成するだけでなく、形成されるインプラントの疲労強度を低下させるという欠点がある。従って、プラズマスプレー法、焼結法(焼結ビーズまたは焼結繊維状金属を問わず)はいずれも整形外科用インプラントの主体構造を形成するには不適当である(Richard J.Friedman等、“Current Conceptsin Orthopaedic Biomaterials and Implant Fixation”、The Journal of Born and Joint Surgery、vol.75−A、No.7、1993年6月)。 【0003】一方で拡散結合法、例えば蒸気沈着技術による多孔タンタル構造は、良好な多層空洞構造が得られ、前述の中空孔による欠点が避けられる(J.DennisBobyn、Michael TanzerおよびE.Millerの“Fundamental Principles of Biologic Fixation”、Morrey BF(編集)の“ReconstructiveSurgery of The Joints”、Churchil Livingstone、1996年、第75〜94頁)、しかしこのような構造は曲げ強度が劣るため、湾曲力により構造は変形、破壊されやすい。また同じ方法では多孔チタン構造が得られず、さらに製造コストが高いという問題がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、本発明の主な目的は、多孔構造表面を有する整形外科用インプラントを提供することである。 【0005】また本発明の他の目的は、表面に多孔構造を有する整形外科用インプラントの製造方法を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】すなわち本発明の前記目的は、表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラントであって、前記多孔構造の少なくとも一部分は複式孔構造であり、前記複式孔構造の少なくとも一部分の第一段階孔の孔口サイズが10〜800μmであることを特徴とする、整形外科用インプラントによって達成される。 【0007】さらに本発明は、前記複式孔の少なくとも30%以上が高段階の複式孔構造であり、その第二段階孔以上の段階孔の孔口サイズは10〜500μmである、前記整形外科用インプラントである。 【0008】さらに本発明は、前記複式孔の少なくとも50%以上が高段階の複式孔構造であり、その第一段階孔の孔口サイズは50〜600μmであり、その第二段階孔以上の段階孔の孔口サイズは50〜400μmである、前記整形外科用インプラントである。 【0009】さらに本発明は、前記第一段階孔の孔口サイズは100〜500μmであり、その第二段階孔以上の段階孔の孔口サイズは50〜300μmである、前記整形外科用インプラントである。 【0010】また本発明の前記他の目的は、整形外科用インプラントの表面の少なくとも一部分に複数の初孔を形成し、中電流密度電解法によって前記複式孔構造を前記初孔上に形成する、前記表面に多孔構造を持つ整形外科用インプラントの製造方法によって達成される。 【0011】さらに本発明は、前記初孔の孔口サイズは0.2〜500μmである、前記製造方法である。 【0012】さらに本発明は、前記初孔の孔口サイズは1〜100μmである、前記製造方法である。 【0013】さらに本発明は、前記初孔は高電流密度電解法によって形成される、前記製造方法である。 【0014】さらに本発明は、前記高電流密度電解法において、電流密度は0.2A/cm2以上であり、電解時間は30秒〜5分である、前記製造方法である。 【0015】さらに本発明は、前記高電流密度電解法において、電解溶液は2〜5質量%の塩化ナトリウムを含み、電流密度は0.3A/cm2以上であり、電解時間は1〜3分である、前記製造方法である。 【0016】さらに本発明は、前記中電流密度電解法において、電流密度は0.1〜0.8A/cm2であり、電解時間は3〜30分である、前記製造方法である。 【0017】さらに本発明は、前記中電流密度電解法において、電流密度は0.2〜0.7A/cm2であり、電解時間は5〜20分である、前記製造方法である。 【0018】 【発明の実施の形態】本発明の整形外科用インプラントに用いられる材料として、従来使用されている任意の生物適合性金属材料または非金属材料を使用することができ、例えばケイ素、チタン、ジルコニウム、錫、アルミニウム、インジウム、ガリウム、金、タンタル、ビスマス、パラジウム、白金等の単一金属、Fe−Ni−Cr系合金(さらに、Mo、WやC等が添加されていてもよい)、多孔質チタン合金、鋳造用チタン合金(例えば、Ti−Pd、Ti−Mo、Ti−Pd−Mo、Ti−Zr、Ti−Al−Va、Ti−Ni、Ti−Ni−Mo等)、Ni−Ta系合金、ステンレス鋼(例えば、SUS316やSUS316L)等の合金、または、前記単一金属もしくは前記合金による単一金属層または多層金属層で被覆された前記単一金属もしくはセラミック等の非金属等が挙げられる。前記非金属としては、リン酸カルシウム塩・アパタイト[Ca10(PO4)6(OH)2]等のセラミックス、高密度ポリエチレン(HDP)およびポリメタクリル酸メチル(PMMA)等が挙げられる。さらに、アルミナ(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、窒化チタン(TiN)、ジルコニア(ZrO2)等の金属化合物、カーボン(C:pyloliteカーボン等)、バイオグラス(SiO2−Na2O−CaO−P2O5)、ウォラストナイト(CaO−SiO2)、ガラスセラミックス(SiO2−Na2O−CaO−Ca3(PO4)−MgO−K2O)、ceravital(Na2O−K2O−MgO−CaO−SiO2−P2O5)、A−W結晶化ガラス(MgO−CaO−SiO2−P2O5)等も使用可能である。これらのうち、チタンおよびTi系合金が好ましく使用される。 【0019】本発明の整形外科用インプラントは、骨組織を形成させたい部位の少なくとも一部分に多孔構造を持ち、その多孔構造の少なくとも一部分は本発明による複式孔構造であることを特徴とする。 【0020】ここで複式孔構造とは、はじめにインプラント表面に形成された孔(第一段階孔という)の少なくとも一部分の孔中に、さらに孔(第二段階孔という)が形成され、その孔口が第一段階孔に開口しており、同様に第二段階孔の中に第三段階孔、第三段階孔の中に第四段階孔(以降同様)のようにさらに高段階の孔構造をとることができる、任意の第二段階以上の孔を有する構造をいう。 【0021】本発明の複式孔構造は、異なる段階の複式孔構造を任意に組み合わせた構造を持つこともできる。例えば、第一段階孔の中に第二段階孔だけを含むもの、第一段階孔の中に第二段階孔および第三段階孔を含むもの、前記一段階孔の中に第二段階孔、第三段階孔および第四段階孔を含むもの等が挙げられる。また、例えば同じ第一段階孔の中に一つまたはそれ以上の第二段階孔を含むもの、同じ第二段階孔の中に一つまたはそれ以上の第三段階孔(以降、さらに高段階の場合も同様である)を含むもの等も挙げられる。 【0022】前記複式孔構造において、非高段階孔構造、すなわち第一段階孔中に任意の高段階孔(第二段階孔以上の段階孔)を含まない第一段階孔は、全第一段階孔数(非高段階の第一段階孔数および高段階孔を含む第一段階孔数を合計した数)の70%未満、好ましくは50%未満、特に好ましくは40%未満である。すなわち、このような複式孔構造において、少なくとも30%以上、好ましくは50%以上が高段階の複式孔構造である。ここで高段階の複式孔構造が30%未満の場合、インプラントと骨組織の同一化を困難にするため好ましくない。 【0023】本発明による孔の形状は、特に制限されないが、具体的には球状、円柱状、楕円状等の規則的な幾何学形状または不規則な形状でも良い。 【0024】本発明で用いられている孔口とは、特に指定されない場合、基質から外界方向に開いている孔の口のことを言う。このような孔口が円形または類円形のような形である場合、その孔口サイズはその円の直径として表される。また孔口が不規則な形状を持つ場合、その孔口サイズは孔口の最大値と最小値の平均で表される。 【0025】前記第一段階孔の少なくとも一部分の孔口サイズは、実質的に10〜800μmであり、好ましくは50〜600μmであり、特に好ましくは100〜500μmである。ここで前記サイズが10μm未満の場合、それ以降形成されうる第二段階以降の段階孔のサイズが小さくなりすぎ、高次の複式孔構造を形成することができない。一方で800μmを超過する場合、インプラントと骨組織の同一化を困難にするため好ましくない。 【0026】ここで実質的に10〜800μmサイズの孔口である持つ第一段階孔は、複式孔中の第一段階孔総数の30%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは80%以上の割合で存在する。ここで前記総数が30%未満の場合、インプラントと骨組織の同一化を困難にするため好ましくない。 【0027】また、前記複式孔構造の高段階の孔の少なくとも一部分の孔口サイズは、実質的に10〜500μmであり、好ましくは50〜400μmであり、特に好ましくは50〜300μmである。ここで前記サイズが10μm未満の場合、それ以降形成されうる段階孔のサイズが小さくなりすぎ、高次の複式孔構造を形成することができない。一方で500μmを超過する場合、インプラントと骨組織の同一化を困難にするため好ましくない。 【0028】ここで実質的に10〜500μmのサイズの孔口である第二段階孔以上の段階孔は、第二段階孔以上の段階孔総数の20%以上、好ましくは40%以上、特に好ましくは70%以上の割合で存在する。ここで前記総数が20%未満の場合、インプラントと骨組織の同一化を困難にするため好ましくない。 【0029】もちろんこれらの孔は、第一段階孔または高次孔構造に関わらず、いずれも互いに重なって存在してもよく、例えば多くの第一段階孔が部分的に重なり、重なった所に第二段階孔が形成される、または第一段階孔内に二個または多くの第二段階孔が重なり、最も重なった所にまた第三段階孔が形成されていてもよい。各高次孔構造についても同様である。 【0030】本発明の整形外科用インプラントは、骨組織を形成させたいインプラント表面の少なくとも一部分に複式孔構造があってもよいし、またはインプラントの全表面に複式孔構造があってもよい。もちろん複式孔構造でない部分のインプラントの表面の全部または部分に一般的な多孔構造があってもよいし、または全く多孔構造がなくてもよい。 【0031】ここで第二段階孔以上の段階孔を持つ第一段階孔からなる高次の複式孔構造は、インプラント表面の多孔構造の少なくとも30%以上、好ましくは50%以上である。ここで30%未満の場合、前記複式孔の総数が少なくなり、従ってインプラントと骨組織の同一化を困難にするため好ましくない。 【0032】次に、本発明の複式孔構造を持つ整形外科用インプラントの製造方法について説明する。 【0033】本発明による複式孔構造は、任意の従来法を用いて材料表面の任意の部分に、選択的に形成することができる。例えば、複式孔構造を形成したくない表面部位に、抗孔形成層または孔形成速度を大幅に減少させうる物質を被膜する、もしくはテフロン(登録商標)漏れ止めテープ(Teflon sealing tape)等を貼付し、孔形成後これらを除去することによって、選択的に孔構造を形成することができる。 【0034】本発明の複式孔構造は、本発明の整形外科用インプラントの表面の少なくとも一部分に複数の初孔を形成し、さらに孔口サイズが10〜800μmの上述の複式孔構造を初孔上に形成することによって製造される。その特徴は、まず高電流密度電解法を用いて初孔を形成し、次に中電流密度電解法を用いて複式孔構造をその初孔上に重ねて形成することである。ここで初孔とは、前述の第一段階孔の形成に先だって形成される孔である。また初孔中に、一つまたは複数の複式孔構造が形成されてもよい。ここで使用しうる前記整形外科用インプラント材料、複式孔構造の孔口サイズの範囲は、上記と同様のものが使用されうる。 【0035】初孔の孔口サイズは実質的に0.2〜500μm、好ましくは0.5〜200μm、特に好ましくは1〜100μmである。ここで孔口サイズが0.2μm未満の場合、または500μmを超過する場合、いずれもその後の形成される前記複式孔構造の形成に適しておらず、好ましくない。 【0036】上記の整形外科用インプラントに本発明による孔を形成する方法は任意の公知の方法でよい。例えばレーザードリル、高圧水ドリル、化学孔形成法、電解法等の方法が挙げられる。特に初孔を形成する方法として、電気化学孔形成法、特に高電流密度電解法が好ましい。高電流密度電解法とは、整形外科用インプラントを電解溶液に浸し、表面積に対して0.2A/cm2以上の電流密度で電解を行い孔を形成する方法である。電解は任意の公知の方法が用いられ、例えば三電極式定電圧電解法、二電極式制御電圧電解法等の給電電圧を制御した電解法、パルス式電圧電解法、または定電流電解法等が挙げられる。 【0037】前記電解溶液は適当な支持電解質を含む溶液でよいが、孔形成効果がある電解質を含む溶液が好ましい。孔食効果がある電解質とは、任意の公知の孔食電解質であり、例えば塩化水素、塩化ナトリウム等の塩化物、フッ化ナトリウム、フッ化水素等のフッ化物等が挙げられる。特に塩化ナトリウムを1〜8質量%、好ましくは2〜5質量%で含む溶液が好ましい。 【0038】前記高電流密度電解法において、電解質濃度、電解温度、電解時間、電解電圧等の電解条件を制御することにより初孔を形成する。前記電解電圧は、三電極式定電圧電解法を採用した場合は参照電極と作用電極との間の電圧を指し、二電極式制御電圧電解法を採用した場合は陽極と陰極との間の供給電圧を指す。これらの条件は、電解しようとする整形外科用インプラント材料により異なるが、いずれも材料表面積に対して0.2A/cm2以上、好ましくは0.3A/cm2以上、特に好ましくは0.5A/cm2以上の電流密度に達することを目標とする。ここで0.2A/cm2未満の場合、電解時間を長くしなければならず、好ましくない。 【0039】一般的に、0.2A/cm2以上の電流密度に達するためには、電解溶液の電導度を10Sより大きく、好ましくは20S以上である。各種の異なる電解質の濃度と電導度との関係は、一般的な化学/化学工学系の資料より調べられる。 【0040】高電流密度での電解を容易にするために、電解溶液の温度(ここでは電解温度とみなす)は低すぎない方が好ましい。しかしながら一般的に、温度が高いと、高電流密度電解法に有利であるが、その反面過剰に反応してしまう。これを避けるため、溶液温度は80℃を超過しないことが好ましい。すなわち反応時の雰囲気の温度は60℃、好ましくは50℃である。 【0041】高電流密度の電解時間は、初孔の空洞口のサイズを0.1〜500μmにすることを原則とし、一般的に電解時間は30秒〜5分、好ましくは1〜4分、特に好ましくは1〜3分である。 【0042】次に、前記複式孔構造を形成する方法として、中電流密度電解法が好ましい。これは前記の高電流密度電解法と類似の方法であり、電流密度が0.05〜1A/cm2、好ましくは0.1〜0.8A/cm2、特に好ましくは0.2〜0.7A/cm2である。電解時間は3〜30分、好ましくは5〜20分である。これらの工程条件の数値範囲は、上述した本発明の好ましい複式孔を形成できるように選択されたものである。 【0043】整形外科用インプラントに初孔を形成する方法に高電流密度電解法を採用した場合、その後の中電流密度電解法の工程は、高電流密度電解法の工程と同じまたは異なる電解法(例えば前者は定電圧電解法を採用し、後者は二電極式制御電圧電解法を採用する)、同じまたは異なる電解溶液、同じまたは異なる電解温度を採用することができる。製造工程を簡素化するためには、両者に同じ電解法、例えばいずれも定電圧電解法を採用することが好ましい。同様に、中電流密度の電解工程の電解溶液及び電解温度は、高電流密度の電解工程の電解溶液及び電解温度を続けて用いることが好ましい。もちろん高電流密度の電解工程後の電解溶液温度が高すぎる場合、適切な温度、すなわち好ましくは80℃以下に、すなわち雰囲気温度が60℃、さらに好ましくは50℃まで冷却してから中電流密度の電解工程を行う。 【0044】上述したような本発明による整形外科用インプラントは、例えば坐骨関節、股関節、膝関節、肘関節、指関節および肩関節等に用いられるクギ、固定棒、固定フック、または椎間融合装置等の全ての整形外科の手術および治療に使われるインプラントとして使用することができる。 【0045】 【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明する。 【0046】全実施例において、電解の際に用いられる作用電極(すなわち本発明によるインプラント材料)は陽極で材質はチタンであり、対電極は陰極であり、対電極の材質はSUS316ステンレスを用いた。且つ対電極の表面積は作用電極の電解面積より大きくして電解を行った。 【0047】<実施例1>チタンを材料とし、外形は長方体で電解表面積は約3.5cm2である椎間融合体(rectangular cage)を、室温下で3.5質量%の塩化ナトリウム電解液に浸し、2.0Aの電流で定電流電解を2分間行った。その後、1.0Aの電流に変え、同電解液中で定電流電解を5分間行った。その結果を図2、図3Aに示す。図3Bは本実施例のSEM図であり、AはBの標示図である。図2より、椎間融合体表面上には確かに複式孔構造が形成され、対照の図3のA及び図3のBにおいて、P1〜P6はいずれも第一段階孔であり、その孔口サイズはそれぞれ約450μm、500μm、320μm、350μm、320μm、800μmであり、P11、P21、P51はそれぞれ第一段階孔P1、P2、P5の第二段階孔であり、その孔口サイズはそれぞれ約150μmであり、P61〜P65はそれぞれ第一段階孔P6の第二段階孔であり、その孔口サイズはそれぞれ約225μm、225μm、180μm、225μm、270μmであり、P641、P651は第二段階孔P64、P65の第三段階孔であり、その孔口サイズは共に約200μmであり、P6511、P6512、P6513はそれぞれ第三段階孔P651の第四段階孔であり、その孔口サイズはそれぞれ約100μm、100μm、90μmであった。 【0048】<実施例2>実施例1と同じ方法により、高電流密度および中電流密度電解法を用いて、チタンを材料とする固定棒を電解処理した。電流密度と電解時間は、高電流密度電解において0.65A/cm2(30秒)、中電流密度電解において0.20A/cm2(6分間)であった。 【0049】結果を図4、図5に示す。図4は固定棒の中心軸と垂直の方向から撮影したSEM図であり、固定棒の表面は確かに複式孔構造が見られる。図5は固定棒表面のSEM図であり、その孔の分布とサイズは共に均一であり、第一段階孔間の重なり程度は深刻ではなかった。 【0050】<実施例3〜12>チタンを材料とする表面積が約3.14cm2の固定棒を、室温下で、3.5質量%の塩化ナトリウム電解液にて、それぞれ2.0Aの電流で定電流電解を1分間行った(高電流密度電解法)。その後、固定棒を同電解液中にて、表1に示す条件で定電流電解を行った(中電流密度電解法)。 【0051】測定は、走査式電子顕微鏡(SEM)(日本日立製作所製のS-4100)で行い、操作条件は23℃、1197〜1330Paであった。加速電圧と拡大倍率はSEM図に標示したものを採用した。 【0052】結果を図6〜15に示す。各図Bは実際の固定棒の電解表面の態様を示し、各図AはそのSEM図である。実施例3〜12の結果を表1に示す。その際の評価を、孔分布均一性および孔密度については、SEM写真より肉眼で、×:不良、△:良、○:優、◎:極めて優のように評価した。孔口サイズについては、上述の範囲に適合した孔の形成率を×:不良、△:良、○:優、◎:極めて優のように評価した。高次孔構造の形成については、例えば“1〜2”とは、複式孔構造のほとんどが第一段階孔および第二段階孔のみを含む第一段階孔からなる場合を表し、“1〜3”とは、複式孔構造のほとんどが前述の1〜2の複式孔ならびに第二および第三段階孔を含む第一段階公からなる場合を表し、“2〜3”とは、複式孔構造のほとんどが第二段階孔を含む第一段階孔ならびに第二段階孔および第三段階孔を含む第一段階孔からなる場合を表し、“2〜4”とは、複式孔構造のほとんどが前述の2〜3の複式孔ならびに第二、第三および第四段階孔を含む第一段階孔からなる場合を表す。 【0053】 【表1】
【0054】 【発明の効果】本発明の整形外科用インプラントはその表面に、外に通じている複式孔構造をもつ多孔構造を持つため骨組織が容易に孔構造内で増殖することができる。かつこのような多孔構造部分は金属本体の一部であるため、インプラントと組織の境の断裂、疲労強度低下及び/或は曲げ強度が劣る等の問題がなく、インプラントとしての使用安全性、信頼性を高めている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500340772 【氏名又は名称】薛 文景 【識別番号】596047229 【氏名又は名称】林 智一 【識別番号】500337370 【氏名又は名称】林 聖富
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| 【出願日】 |
平成12年7月19日(2000.7.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100072349 【弁理士】 【氏名又は名称】八田 幹雄 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−170091(P2001−170091A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月26日(2001.6.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−219754(P2000−219754) |
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