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【発明の名称】 いびき治療用埋め込み物及び方法
【発明者】 【氏名】コンラド, ティモシー アール.

【氏名】クヌドゥソン, マーク ビー.

【氏名】グリフィン, ジェリー シー.

【要約】 【課題】従来治療法の不具合を解決したいびきの治療に使用される装置、方法を提供する。

【解決手段】いびきの大半は前後に羽ばたく軟口蓋SPによって引き起こされる。ある質量の個々のユニット10(球や他の形状の埋め込み物のような埋込み可能なモジュラ・デバイス)が後緑TEの近くで軟口蓋SPに埋め込まれる。これによって空気流に対する動的応答を変え、移動や加速に対する抵抗力を与える。ある質量のユニット10の追加は軟口蓋の重心の位置を変え、動的応答を変える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 いびきの治療に使用される装置であって、生体親和性材料の埋め込み物を含み、前記埋め込み物の寸法及び形状が、患者の軟口蓋に埋め込み可能になされており、前記埋め込み物が、前記軟口蓋に挿入されたときに、空気流に対する前記軟口蓋の動的応答を変えることができるように構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】 前記埋め込み物が、空気流に対する前記軟口蓋の動的応答を変えるに十分な質量を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】 前記埋め込み物が前記軟口蓋を硬くするために選択された硬さであり、それによって空気流に対する軟口蓋の動的応答を変えることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】 前記硬さが調節可能であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】 前記埋め込み物は袋状体であり、該袋状体の硬さを変えるために選択された量の流体を収容するための内容積を有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】 前記埋め込み物は流体を収容する内容積を有する袋状体であり、前記流体は該流体に注入される硬化剤に応じて前記袋状体の硬さを調節可能であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項7】 前記埋め込み物は、一方向に対する曲げ抵抗が反対方向に対する曲げ抵抗よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】 前記埋め込み物が前記口蓋を硬くするように選択されたばね定数を有していることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】 前記埋め込み物が、硬さまたは質量を変化させるための複数の挿入物の内の選択された一つを収容するための内部空間を有するハウジングを含んでいることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】 前記埋め込み物が、硬さ及び/又は質量を制御するために複数の挿入物の内から選択された複数個を収容するための内部空間を有するハウジングを含んでいることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】 前記埋め込み物が、前記軟口蓋に埋め込まれたときに、前記軟口蓋の外形が空気流に対する流体力学的応答特性を変えるに十分な量だけ拡張されるように選択された寸法および形状を有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】 前記埋め込み物が、埋め込み後に前記軟口蓋内で拡張するように形成されていることを特徴とする請求項11に記載の装置。
【請求項13】 前記埋め込み物が、形状記憶合金から形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】 前記埋め込み物が、前記軟口蓋の繊維形成硬化を誘起するのに十分な量の繊維形成誘起物を含むことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】 前記誘起物が繊維形成を誘起する材料であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】 前記材料が前記軟口蓋とともに拡張可能であることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】 前記材料がポリエステルであることを特徴とする請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】 前記誘起物が繊維形成誘起化学薬品であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】 前記誘起物が繊維形成誘起加熱を生成できることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】 前記埋め込み物が第一および第二の構成部品を含み、前記第一の構成部品が前記軟口蓋の最初の硬化に適したものであり、前記第二の構成部品が前記第一の構成部品による硬化の開始後に前記軟口蓋を硬化できるように選択されていることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】 前記第一の構成部品が埋め込みのほぼ直後に前記軟口蓋を硬化でき、前記第二の構成部品が前記軟口蓋の繊維形成硬化を誘起するのに十分な量の繊維形成誘起物を含むことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】 前記第二の構成部品が埋め込み後の時間経過につれて増加する硬化をもたらすことができることを特徴とする請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】 前記第二の構成部品が、少なくとも手術後直ちに増加する繊維形成反応を誘起することにより硬化をもたらすことができることを特徴とする請求項20乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】 前記第二の構成部品が非劣化繊維であることを特徴とする請求項20乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】 前記第一の構成部品が埋め込み後の経過時間につれて弱まる硬化をもたらすことができることを特徴とする請求項20乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】 前記第一の構成部品が前記動的応答を変えるのに十分な硬さを有する生体吸収性部材を含むことを特徴とする請求項20乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】 前記第一の構成部品が生体吸収性繊維のメッシュであることを特徴とする請求項20乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】 前記第二の構成部品が、埋め込み後の時間経過につれて増加する硬化をもたらすことができることを特徴とする請求項20乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】 前記第一および第二の構成部品が、前記第一の構成部品の硬化が減るにつれて増加する硬化を前記第二の構成部品が提供するようになされていることを特徴とする請求項20乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】 前記埋め込み物が、前記口蓋に異なる硬化をもたらす異なる材料の複数の繊維を含むことを特徴とする請求項1乃至29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】 前記繊維が少なくとも生体吸収性繊維と生体非吸収繊維を含んでいることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項32】 前記繊維が生体非吸収繊維であることを特徴とする請求項30に記載の装置。
【請求項33】 前記繊維が前記埋め込み物の長さ方向に沿って互いに捻られており、前記繊維が前記埋め込み物の両端に端部を有していることを特徴とする請求項30乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】 前記埋め込み物が複数の繊維を含むことを特徴とする請求項30乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】 前記繊維が互いに編まれていることを特徴とする請求項30乃至34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】 前記軟口蓋内に埋め込まれるサイズで、長手方向寸法とそれより狭い横方向寸法を有し、前記長手方向の寸法が略前記患者の前方から前記患者の後方への経路で延びた状態で埋め込むことに適した埋め込み物を含むことを特徴とする請求項1乃至35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】 生体非吸収材料の撚り合せを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】 生体非吸収材料の中実体を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】 前記中実体が細長い形状であることを特徴とする請求項38に記載の装置。
【請求項40】 前記埋め込み物を軟口蓋に埋め込むための針と請求項1乃至39のいずれか一項に記載の装置とを含むことを特徴とする埋め込みデバイス。
【請求項41】 前記埋め込み物が配置される室を前記針が規定し、前記針が前記軟口蓋へ挿入されるときに、前記針への組織の進入を防ぐために前記針の遠隔端部に配置されたブロック部材をさらに含むことを特徴とする請求項40に記載の埋め込みデバイス。
【請求項42】 前記ブロック部材は、前記埋め込み物が前記軟口蓋に埋め込まれるときに、前記針から排出できることを特徴とする請求項41に記載の埋め込みデバイス。
【請求項43】 前記ブロック部材が生体吸収性材料からなることを特徴とする請求項41又は42に記載の埋め込みデバイス。
【請求項44】 前記針が前記埋め込み物を受け入れる孔を規定しており、前記埋め込みデバイスが、前記孔から前記埋め込み物を押すために前記孔内に配置されたロッドを含んでいることを特徴とする請求項40に記載の埋め込みデバイス。
【請求項45】 前記針は、前記針の遠隔端部に隣接した前記針の側壁を通して孔があけられていることを特徴とする請求項40に記載の埋め込みデバイス。
【請求項46】 前記針が前記埋め込み物を受け入れる孔を規定しており、前記孔が前記針内に前記埋め込み物を半径方向に押し込めるサイズであることを特徴とする請求項40に記載の埋め込みデバイス。
【請求項47】 前記埋め込み物が無菌であることを特徴とする請求項1乃至39のいずれか一項に記載の装置又は請求項40から46のいずれか一項に記載の埋め込みデバイス。
【請求項48】 請求項49乃至79のいずれか一項で規定される方法で前記装置を使用する使用説明書をさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の装置または埋め込みデバイスを含むパック。
【請求項49】 軟口蓋を通る空気流に対する、患者の前記軟口蓋の動的応答を変えるための埋め込み物を用意するステップと、前記動的応答を変えるために前記軟口蓋に前記埋め込み物を埋め込むステップとを含むことを特徴とする患者のいびきを治療する方法。
【請求項50】 嚥下中に患者の咽頭から前記患者の鼻通路を閉鎖する前記軟口蓋の機能をほとんど損なわずに、前記埋め込み後に前記動的応答を変えるのに十分な質量を有するように前記埋め込み物を用意するステップを含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】 嚥下中に患者の咽頭から前記患者の鼻通路を閉鎖する前記軟口蓋の機能をほとんど損なわずに、前記埋め込み後に前記動的応答を減衰するように前記埋め込み物を用意するステップを含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】 嚥下中に患者の咽頭から前記患者の鼻通路を閉鎖する前記軟口蓋の機能をほとんど損なわずに、前記埋め込み後に前記動的応答を変えるために前記軟口蓋を硬くするように前記埋め込み物を用意するステップを含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項53】 前記軟口蓋内に埋め込まれるサイズで、長手方向寸法とそれより狭い横方向寸法を有する埋め込み物を用意するステップと、概ね患者の前方から前記患者の後方へ向かう経路で前記長手方向寸法が延びる状態で、前記軟口蓋内に前記埋め込み物を埋め込むステップとを含むことを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項54】 前記埋め込み物が、嚥下中に患者の咽頭から前記患者の鼻通路を閉鎖する前記軟口蓋の機能をほとんど損なわずに、前記埋め込み後に前記動的応答を変えるために前記軟口蓋を硬くするように選択された硬さを持っていることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項55】 前記硬さが調節可能であることを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】 前記埋め込み物が、硬さを変える複数の挿入物の内の選択された一つを収容するための内部空間を有するハウジングを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】 前記埋め込み物が、複数の挿入物の内の選択された複数個を収容する内部空間を有するハウジングを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項58】 前記埋め込み物は袋状体であり、該袋状体の硬さを変えるために選択された量の流体を収容するための内容積を有することを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項59】 前記埋め込み物は流体を収容する内容積を有する袋状体であり、前記流体は該流体に注入される硬化剤に応じて前記袋状体の硬さを調節可能であることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項60】 前記埋め込み物は、一方向に対する曲げ抵抗が反対方向に対する曲げ抵抗よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項61】 前記埋め込み物が前記口蓋を硬くするように選択されたばね定数を有していることを特徴とする請求項53に記載の方法。
【請求項62】 前記埋め込み物が、前記軟口蓋上の空気流に対する流体力学的応答を変えるのに十分な量だけ前記軟口蓋の形状を拡張するための寸法になされていることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項63】 前記埋め込み物の第一の構成部品により前記軟口蓋を最初に硬くし、その後に前記埋め込み物の第二の構成部品により前記軟口蓋を硬くすることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項64】 前記第二の構成部品が、埋め込みの後の時間経過につれて強まる硬化をもたらすことを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項65】 前記第二の構成部品が、少なくとも手術後直ちに増える繊維形成反応を誘起することによって硬化をもたらすことを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】 前記第二の構成部品が非劣化性繊維であることを特徴とする請求項65に記載の方法。
【請求項67】 前記第一の構成部品が埋め込み後の時間経過につれて弱まる硬化をもたらすことを特徴とする請求項63に記載の方法。
【請求項68】 前記第一の構成部品が前記動的応答を変えるのに十分な硬さを有する生体吸収性部材を含んでいることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】 前記第一の構成部品が生体吸収性繊維のメッシュであることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】 前記第二の構成部品が埋め込み後の時間経過につれて強まる硬化をもたらすことを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項71】 前記第一の構成部品の硬化が弱まるにつれて強まる硬化を、前記第二の構成部品がもたらすことを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項72】 前記埋め込み物が、針内に前記埋め込み物を配置し、前記針が前記軟口蓋を通って前進することによって前記軟口蓋に埋め込まれることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項73】 前記針が前進するにつれて前記針への組織の進入を防止するために、前記針が遠隔端部に部材を含んでいることを特徴とする請求項72に記載の方法。
【請求項74】 前記部材が前記針から排出されるプラグであることを特徴とする請求項73に記載の方法。
【請求項75】 前記プラグが生体吸収性材料であることを特徴とする請求項74に記載の方法。
【請求項76】 前記埋め込み物が、前記口蓋に異なる硬化をもたらすために、異なる材料の複数の繊維を含んでいることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項77】 前記複数の繊維が、生体吸収性繊維と非吸収繊維を含んでいることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項78】 前記複数の繊維が生体非吸収繊維であることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項79】 前記複数の繊維が前記埋め込み物の長さ方向に沿って互いに捻られており、前記繊維が前記埋め込み物の両端に端部を有していることを特徴とする請求項76に記載の方法。
【請求項80】 患者の軟口蓋の動きに帰因するいびきを治療する方法であって、前記軟口蓋を通る空気流に対する前記軟口蓋の動的応答を直ちに変えるために前記軟口蓋に第一硬化物を供給するステップと、前記軟口蓋を通る空気流に対する前記軟口蓋の動的応答を後で変えるために前記軟口蓋の繊維形成硬化を誘起するのに十分な面積および量で、前記軟口蓋に繊維形成誘起物を供給するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項81】 前記材料が前記軟口蓋とともに拡張できることを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項82】 前記材料がポリエステルであることを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項83】 前記誘起物が繊維形成誘起化学薬品であることを特徴とする請求項80に記載の方法。
【請求項84】 患者の軟口蓋の動きに帰因するいびきを治療する方法であって、前記軟口蓋を通る空気流に対する前記軟口蓋の動的応答を変えるために前記軟口蓋の繊維形成硬化を誘起するのに十分な面積及び量で、前記軟口蓋に繊維形成誘起物を供給するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項85】 前記誘起物が繊維形成を誘起する材料であることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項86】 前記材料が前記軟口蓋とともに拡張可能であることを特徴とする請求項85に記載の方法。
【請求項87】 前記材料がポリエステルであることを特徴とする請求項85に記載の方法。
【請求項88】 前記誘起物が繊維形成誘起化学薬品であることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【請求項89】 前記誘起物が繊維形成誘起加熱を生成できることを特徴とする請求項84に記載の方法。
【発明の詳細な説明】【0001】関連出願に関するクロスリファレンス本出願は2000年2月25日に出願された米国特許出願第09/513432号および第09/513039号の一部継続出願であり、これは両者とも共同発明者ティモシ・R・コンラッド(Timothy R.Conrad)、マーク・B・ナッドソン(Mark B.Knudson)およびジェリ・C・グリフィン(Jerry C.Griffin)の名前で1999年9月17日に出願された米国特許出願第09/398991号の一部継続出願である、1999年11月5日出願の米国特許出願第09/434653号の一部継続出願である。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明はいびきを治療する方法および装置に関するものである。
【0003】
【従来の技術】いびきは科学的および学術的に高い注目を受けている。一つの刊行物は大人の人口の20%までがいびきを習慣としていると予想している。例えば、フアング(Huang)他の「いびきの生科学」エンデバ(Endeavour),96〜100ページ、第19巻、第3号(1995年)がある。いびきは夫婦の不和の深刻な原因となることがある。さらに、いびきは、いびきをかく人にとって深刻な健康の危機をもたらすことがある。習慣的にいびきをかく人の10%において、睡眠中の空気路のつぶれが閉塞性睡眠無呼吸症候群に結び付く。同上の刊行物。
【0004】いびきを対象とした幾多の努力にもかかわらず、いびきの効果的な治療法はなかった。従来のこのような治療は口ガードや、睡眠中にいびきをかく人が着用する別の器具を含んでいる。しかし、患者にはこのような器具が不快であり、使用をしばしば中断してしまう(夫婦間のストレスを増加させると思われる)。
【0005】軟口蓋の電気刺激が、いびきや、閉塞性睡眠無呼吸の治療法として提案されている。例えば、シュワルツ(Schwartz)他の「いびきにおける軟口蓋に対する電気刺激の効果および閉塞性睡眠無呼吸」補綴歯科学会誌、273〜281ページ(1996年)参照。このような刺激を加えるデバイスは米国特許第5284161号および同第5792067号で説明されている。このようなデバイスは使用の摂生を患者が順守することならびに睡眠中の不具合を患者が受けることを必要とする器具である。睡眠無呼吸を治療する電気刺激はウィルファング(Wiltfang)他、「閉塞性睡眠無呼吸症候群における夜間下咽頭のつぶれを防ぐ上舌骨筋肉の昼間下顎電気刺激における第一結果」口腔および顎顔面外科の国際誌、21〜25ページ(1999年)で論じられている。
【0006】外科治療も以前より採用されている。このような治療の一つは咽喉形成である。この処置において、いわゆるレーザ切断が軟口蓋の後縁の約2cmを除去するのに使用され、これにより舌と喉の咽頭壁の間での軟口蓋の振動能力を減らす。この処置はいびきを和らげるのにしばしば効果的なものであるが、苦痛であり、望ましくない副作用をしばしばもたらす。すなわち、軟口蓋の後縁の除去は嚥下中や話している間に鼻の通路を密閉する軟口蓋の能力を含む。咽喉形成患者の予測される25%において、液体が飲用中に口から鼻へ逃出する。同書99ページにおいてファング他は述べている。咽喉形成(UPPP)についてはハリース(Harries)他「いびきの外科治療」、咽頭科学および耳科学誌、1105〜1106ページ(1996年)でも説明されており、これは軟口蓋の1.5cmまでの除去を説明している。いびき治療の評価についてはコール(Cole)他「いびき:検討と再評価」、耳鼻咽喉科誌、303〜306ページ(1995年)で論じられている。
【0007】同書でファング他は軟口蓋と、軟口蓋上の空気流に応答する揺動システムとしての口蓋いびきを論じている。結果として生じる軟口蓋(迅速に開閉する空気通路)の振動はいびきに関連した音を生じる動的応答である。ファング他は咽喉形成の別の方法も提案している。この提案は軟口蓋の表面に傷組織を形成するために外科レーザを使用することを含んでいる。傷は口蓋振動を減らすために軟口蓋の可撓性を減らすものである。ファング他はいびきを完全にあるいは略完全に減らし、且つ副作用を減らす最初の結果を報告している。
【0008】咽喉形成やファング他が提案したものなどの外科処置は問題を有している。外科治療(すなわち、口蓋組織の除去や口蓋組織への傷付け)の面積は患者の状態を治療する必要以上のものである。外科レーザは高価である。提案された処置は長引いたり、不快な治癒期間があったりして苦痛である。処置は複雑であり、副作用や効能の違いをもたらす(例えば、ファング他は患者の75%に有望な結果を報告しており、患者の1/4全体が苦痛のある手術後に効果的に治療されないことを示唆している)。処置は永続する不具合を含んでいることもある。例えば、軟口蓋の傷組織は患者に継続した刺激をもたらすことがある。重要なのは、これらが起こった場合に、元に戻せないことであり、手術の利益により妥当化されない悪い副作用をもたらすことである。
【0009】発明の要約本発明の一態様によれば、患者のいびきを治療する方法および装置が開示される。本発明は軟口蓋内に埋め込まれるサイズの生体親和性材料の埋め込み物を含んでいる。挿入された時、埋め込み物は、軟口蓋を通る空気流に対する軟口蓋の動的応答を変えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の理解を容易とするために、いびきの力学について図1〜図4を参照して説明する。硬口蓋HPは舌Tに重なり、口Mの蓋を形成する。硬口蓋HPは骨サポートBを含んでおり、呼吸中に実質的に変形しない。軟口蓋SPは柔らかく、粘液膜、繊維および硬口蓋HPから後方へ延びる筋肉組織から構成されている。軟口蓋SPの先端LEは硬口蓋HPの後縁につながっている。軟口蓋SPの後縁TEは固定されていない。軟口蓋SPが構造的に骨または硬い軟骨によってサポートされていないため、軟口蓋SPは弛緩状態では弧状形状で硬口蓋HPの面から垂れ下がる。
【0011】咽頭空気路は口Mおよび鼻通路Nから気管TRへ空気を送る。軟口蓋SPの上面と喉壁の対向する面の間で規定される咽頭空気路の部分は鼻咽腔NPである。
【0012】正常な呼吸中に、軟口蓋SPは図1に示す弛緩状態であり、鼻咽腔NPは妨害されず、空気は口Mと小鼻Nの両方から気管TRへ自由に流れる。
【0013】嚥下中に、軟口蓋SPは曲がり、かつ延びて(図2に示すように)鼻咽腔NPを閉じ、これによって口Mから小鼻通路Nへの流体の流れを阻止する。同時に、喉頭蓋EPは気管TRを閉じ、食物と飲料が食道ESへだけ通り、気管TRへは通らない。軟口蓋SPは鼻Nへの食物の逆流を阻害する弁である。軟口蓋SPは会話中に鼻Nへの空気流も調整する。軟口蓋SPがこのような重要な機能を果たすので、軟口蓋SPを外科的に変える従来技術はこれらの機能に悪影響を及ぼす。
【0014】いびきの大半は前後に羽ばたく軟口蓋SPによって引き起こされる。呼吸が口を閉じて鼻Nを通してだけのものである場合には、軟口蓋SPの後縁TEは鼻咽腔空間NPに吸い込まれて空気路を妨害し、その後反復サイクルで空気路が開放する。口を開いた時、空気は軟口蓋SPの上下面を流れ、軟口蓋を上下に振動させ、口と鼻の通路M、Nの閉塞状態を交替する。いびきの音は空気路の素早い妨害と開放によって引き起こされるインパルスによって生じる。ファング他はいびきの間1秒に50回起こる空気通路の開閉を述べている。ファング他はばね質量モデル(図5)を利用して、空気流に対する軟口蓋の揺動を示している(ただし、軟口蓋は固定アンカAからばねSで垂れ下がるある質量を持つボールBである)。
【0015】ファング他は軟口蓋の振動が起こる臨界空気流速度を効果的に上げるものとして咽喉形成に軟口蓋SPの短縮を類推している。図3の影の付いた部分SAは手順中に除去される軟口蓋SPの後縁TEの部分を示す。ファング他が提案する別の処置は、臨界空気流速度に影響を与える表面の傷によって軟口蓋SPの可撓性を減らすものである。図4の影の付いた部分SA'はこの処置によって傷付けられる部分を示す。図4において、破線Lは軟口蓋と硬口蓋の間の境界を示す。
【0016】軟口蓋SPの便利なモデルとして図5のばね質量モデルを使用すると、本発明はモデルの要素を変え、これによって空気流に対する軟口蓋SPの動的応答を変える軟口蓋SPへの外科埋め込み物に向けられている。埋め込み物はモデル(図5のボールB)の質量、ばねSのばね定数、ばねSの減衰、またはこれらの要素の任意の組合せを変えることができる。従来技術の外科技法と異なり、説明する埋め込み物は小さい切れ目に挿入しやすいものであり、患者の苦痛を緩和することができ、患者の刺激物として(ファング(Huang)他の表面の傷などのように)口の内部に露出されない。また、説明するように、動的再モデル化の度合いは細かく調整でき、過剰な解剖変更の必要性を回避し、悪い結果が起こった場合に、元に戻せる。
【0017】図6〜図7は本発明の第一実施形態を示し、ある質量の個々のユニット10(球や他の形状の埋め込み物のような埋め込み可能なモジュラ・デバイス)が後縁TEの近くで軟口蓋SPに埋め込まれる。図5のモデルを参照すると、球はある質量を質量ばねシステムに追加することになり、これによって空気流に対する動的応答を変え、移動や加速に対する抵抗力を与える。ある質量のユニット10の追加は軟口蓋の重心の位置も変え、モデルと動的応答を変える。
【0018】図6〜図10の実施形態は、特別の患者に対して調整できるもので、複数のモジュール10を埋め込むことができる(図7に示す)。これにより、変更された動的応答が、いびきを誘発する振動を正常な空気流で発生させなくなるように、外科医が植込みモジュール10の数を徐々に増やすことを可能とする。個々のモジュール10は、ファング他が提案する咽喉形成のための荒い解剖破壊面積や表面の大きい傷面積よりもはるかに小さい縫合された個々の傷を介して軟口蓋SPに埋め込まれる。
【0019】好ましくは、ある質量を持つこのようなモジュール10は放射線不透過性(または、ラジオマーク(radio−marked)されたものであり、磁気共鳴画像化(MRI)と互換性のある生体親和性材料の球のような中実モジュールである。チタンはこのような材料である。非限定的な例によれば、ある質量を持つモジュール10は直径約2mm〜4mmである。純粋な非焼結チタンの場合、それぞれのこのような球10は0.15〜1.22gmの質量を軟口蓋SPの後縁TEに追加し、軟口蓋SPの質量分布の再モデル化に寄与する。別材料の例は任意の生体親和性セラミックである。
【0020】図9に示すように、球(図8のバージョン10と区別するため10'の符号が付けられている)は全体的に焼結されるか、その外面に生体組織成長を誘発する材料12を備えている。このような材料は焼結した外面か、ポリエステル繊維ジャケットのような被覆、またはカバーである。このような材料により生体組織の成長を可能とし、促進して、埋め込み物10'を定置する。また、埋め込み物10または10'の埋め込みは、軟口蓋SPを硬くするように作用する繊維形成反応を誘起する(また移動および加速に対する動的応答と抵抗をさらに変える)。焼結または被覆された球10'は繊維形成反応とその結果として生じる硬化を強化する。
【0021】成長する生体組織および強化された繊維形成反応は上述の利益を有している一方、このような実施形態は逆に取り除くことが望まれる場合には埋め込み物10'を取り除きにくくする。したがって、別の方法として図10に示すように、球(埋め込み物10、10'と区別するため10"の符号が付けられている)は滑らかな被覆14(パリレンまたはPTFEなど)で覆われ、繊維形成を軽減する。
【0022】図6〜図10の実施形態は、動的応答を再モデル化するために、図5のばね質量システムに質量を追加するか、質量の再配置をする。質量の量は動的応答を変化させるように選択されるが、嚥下中に鼻通路Nを閉塞するために軟口蓋SPが移動されることを妨げないように選択される。繊維形成反応と切れ目治療により、モデルのばねSが硬化する。
【0023】ばね質量システムの質量配置を修正することに加えて、図5のばね構成部品Sを修正し、(単独で、または質量修正と組み合せて)動的応答を変えることができる。図11〜図16は軟口蓋に配置される可撓性のストリップの形での埋め込み物20を示している。本明細書で「ストリップ」という言葉を使うことは長くて、細い埋め込み物に限定する意図ではなく、軟口蓋SPの動的モデルを変えるために埋め込まれるプレートその他の形状を含むものである。細長いストリップが埋め込みを容易とするための好ましい形状と現在推測されている。
【0024】ストリップ20は長手方向寸法よりも短い横方向寸法を有する。非限定的な例によれば、ストリップは約20mm〜30mmの長さLS、約2mm〜4mmの厚さTSと5mm〜10mmの幅WSを有する。図11に示すように、ストリップ20は軟口蓋SPに埋め込まれ、長手方向寸法LSは硬口蓋HPの隣接部から軟口蓋SPの後縁TEへ延びている。図12に示すように、複数のストリップ20が後方へ真っ直ぐ延びるか、後方へ延びつつ傾いて軟口蓋SPに埋め込まれる。ストリップ20は真っ直ぐ(図14)に形成されるか、軟口蓋の側断面形状に近似する自然形状を弛緩状態で有するように予め形が整えられている(図15)。
【0025】ストリップ20は任意の可撓性、生体親和性材料であり、放射線不透過性または放射能マークされたものおよびMRI互換材料であることが好ましい。ストリップ20は弾性を必要とせず、これらをこれらの元の形状に偏倚する材料ばね定数を有する必要はない。このようなストリップ20は可撓性なだけでよく、軟口蓋SPを補強し、空気流による変形に対する抵抗力を補助するために軟口蓋SPよりも硬い可塑的に変形可能なストリップである。軟口蓋SPのこのような硬化は図5のばね質量システムのばねSを硬くし、減衰し、軟口蓋SPの動的応答を変える。ストリップ20はばね定数を有するばねで、軟口蓋SPの変形にさらに抵抗し、軟口蓋SPを図5の弛緩状態に偏倚する物であってもよい。ストリップ20の硬さ、ストリップ20のばね定数、およびストリップ20の数は嚥下中に軟口蓋SPが閉じるのを防げることを回避するように選択される。適する材料の例はチタンおよびニチノールを含んでいる(周知のニッケル・チタン合金)。図9および図10のように、ストリップ20は生体組織成長表面が備えられたり、必要に応じ、被覆されたりする。また、ストリップを構造的に修正し、その可撓性を制御できる。図16において、ストリップ20の底部22(配置後舌に面する)に横方向切れ込み24を備え、配置した後にストリップ20の上方への曲がりやすさよりも下方への曲がりやすさを強化する。
【0026】図17は図13のストリップ20の別の形態を提供する。図17において、ストリップ20'はアクセス開口30を持つ内部空間28を有するハウジング26を含んでいる。内部空間28はハウジング26の長手方向に延びている。ストリップ20'はアクセス開口30を通り、空間28へ挿入されるサイズにされた長手方向挿入物32をさらに含んでいる。非限定的な例によれば、ハウジング26はシリコーン・ゴム(位置を示す放射能マーカ(図示せず)付き)であり、挿入物32はチタン・ロッドまたはその他の可撓性部材である。図17の実施形態では、ハウジング26(挿入物がない)は軟口蓋SPに埋め込まれる。ハウジング26は硬化ストリップとして独立に作用し、軟口蓋SPに硬さを追加し、軟口蓋の動的応答を変える。さらに硬化が必要であったり、ばね作用が必要な場合は、最初の手術時またはその後の処置で空間28に挿入物32を挿入することによって、患者特有の動的モデルに対して埋め込み物20'を選択的に調整することができる。図17の実施形態により、空間28に挿入されるべき希望する特性(例えば、硬さおよびばね作用)の挿入物32が選択できるように、且つ希望するような動的応答に変えるように、挿入物32を広い範囲の材料および構造から選択することが可能となる。図17の実施形態は挿入物32の後での除去、および軟口蓋の動的応答の術後修正のため別特性の別な挿入物32との交換も可能としている。
【0027】図18の実施形態は図17のものと類似している。ハウジング26'は複数の、平行に配置された内部空間28'とアクセス開口30'を備える。図17の実施形態の機能と利益の他に、挿入物32の数を変更し、軟口蓋SPの動的応答を変えたり、調節できたりする。
【0028】図19はストリップ埋め込み物のさらに他の実施形態を示す。図19において、ストリップ20'''は内部空間28"により規定される可撓性合成材料の完全に寸法の決められた密封体の形でのハウジング26"を有する袋状のものである。袋状体26"は針により内部に液体が注入された後に自己密閉することが好ましい。液体がハウジング26"中に射出され(例えば、皮下注射針40からの射出によって)、ストリップ20'''を硬くする。流体を追加するとストリップ20'''をさらに硬くし、軟口蓋SPの動的応答をさらに変える。流体の除去は可撓性を増やす。図17の実施形態(挿入物32が手術後に切れ目を介して最も効果的に交換され、軟口蓋SPの可撓性を変える)とは異なり、図19の実施形態により針による注射によって軟口蓋SPの可撓性を選択的に変更できる。図19の別の方法は、空間28"にいわゆる位相変更ポリマを充填し、空間28"に硬化剤を射出して、ポリマの可撓性を変える。
【0029】図20〜図23は本発明のさらに他の実施形態を示す。上述の実施形態において、図5のばね質量システムは軟口蓋SPの質量を変えるか、軟口蓋SPのばね特性を変えることによって変えられる。動的応答は、ばね質量システムに作用する力を変えることによっても変えることができる。すなわち、軟口蓋SPに作用する力は軟口蓋の表面上の空気流によって生じる。軟口蓋はこのような空気流に応じて揚力を生じる翼として作用する。軟口蓋SPの長手方向(すなわち、前方から後方への)断面形状を修正することにより、流体力学的応答、したがって、動的応答が変えられる。
【0030】図20〜図23の実施形態において、埋め込み物30は切れ目により軟口蓋SPに挿入される。埋め込み物30は楕円形を有しており、軟口蓋SPの形状の変形を引き起こす。埋め込み前に、埋め込み物30の挿入を容易とするため(図20および図22)平らな楕円形に形成されるのが好ましい。埋め込み後、埋め込み物30は楕円形に拡張される(図21および図23)。このような拡張が機械的に(すなわち、バルーン拡張により)達成される一方、埋め込み物30が身体の暖かさに応じて拡張される形状記憶合金(ニチノールのような)として形成されることも好ましい。軟口蓋SPの流体力学特性を変更する他に、埋め込み物30を希望に応じた質量および硬さで構成し、図5のばね質量システムのばねおよび質量構成を変えることができる。
【0031】図24〜図32は拡張可能な装置50と、小さい切れ目を介して軟口蓋SPに埋め込み物50を挿入するための挿入ツール60を示している。図24および図25において、埋め込み物50は、例えば、ポリエステル繊維54などの可撓性材料の形で繊維形成誘起物を備えた可撓性リム52として最も良く示されている。リム52はチタンその他の材料であり、完全に拡張された状態で幅Wと長さLを有する図24の楕円として示される自然形状に弾性的に偏倚されている。楕円が好ましい形状として図示されているが、他の形状でもよい。形状は軟口蓋SPの形を変えるよう選択された形状を含んでいてもよい。ポリエステル繊維54(Dacron(R)など)は繊維形成および組織統合のための隙間空間を含んでおり、軟口蓋SPを硬くする。
【0032】軟口蓋SPが図29〜図32に略示されており、口蓋筋肉PMが硬口蓋の骨Bから延びており、軟口蓋SPの柔らかい組織STに覆われている。埋め込み物50は埋め込み物50をリム52の偏倚に抗して長さLのコンパクトなシリンダ状の形に圧縮し、圧縮された埋め込み物50はシリンダ状の挿入ツール60の遠隔端部に配置される。ツール60の遠隔端部62は切れ目に従った鈍い傾斜端部であり、チップ62が前進するにつれて、組織を分離する。ロッド64は埋め込み物50に近接して配置される。遠隔端部62は、プッシュ・ロッド64が埋め込み物50を遠隔端部62から押し出すように切断可能である。挿入ツール60から押し出された時、埋め込み物50はバネ性により楕円形状に戻る。
【0033】埋め込み物50は軟口蓋に小さい切れ目70を形成することによって挿入される。図29において、切れ目は軟口蓋の下面に形成される。この処置は軟口蓋の上面から行うこともできる。切れ目は拡張された埋め込み物50の全幅Wよりもかなり小さいツール60の遠隔端部62を通すサイズである。
【0034】適切な鈍い切断ツールを切れ目70に挿入し、拡張された埋め込み物50を受け入れるのに十分な量だけ口蓋筋肉PMから柔らかい組織STを分離する。遠隔端部62は切れ目70を介して挿入され、遠隔端部62が柔らかい組織STと口蓋筋肉PMを分離しつつ軟口蓋SPに沿って前進する(図30)。ツール60はツール60の位置を医者の触診により、あるいは任意の視覚化技法(例えば、遠隔端部62の内視鏡)によって確認することにより前進させることができる。遠隔端部62が完全に前進した時、ツール60の外筒66が引っ込められ、代わりのホールド・ロッド64が埋め込み物50を遠隔端部62から排出させる。埋め込み物50が完全に排出されると、ツール60が切れ目70から除去される。解放された埋め込み物50は次いで楕円形に拡張され、口蓋筋肉PMと柔らかい組織STの間に位置する(図31および図32)。
【0035】埋め込み物50の繊維54は軟口蓋SPの繊維形成および硬化を促進する。小さい切れ目70から潰れた埋め込み物50を挿入することにより、大表面積の繊維形成(および大きい硬化)を最小の切れ目70で達成できる(患者の苦痛を軽減する)。また、埋め込み物50が弾性的に拡張可能なものとして示されているが、埋め込み物50は形状記憶合金(例えば、ニチノール)、スマート・ポリマ、バルーン拡張材および可塑的に変形可能な金属などの他の要因に応じて拡張するか、膨張するものでもよい。
【0036】上述の別の方法として、カテーテル(図示せず)を切れ目70を介して、軟口蓋SPに沿って通すことができる。挿入ツール60はカテーテルを通ることができる。必要に応じ、芯ツール(図示せず)をカテーテルによって通し、埋め込み物50(または、先の実施形態の装置)の配置前に軟口蓋SPから組織を除去する。また、小さい埋め込み物の場合、埋め込み物は、ニードルポークを通して軟口蓋に挿入された短い筒を通して挿入することができるが、予備切開を行う必要はない。
【0037】図33〜図36を参照すると、本発明のさらに他の実施形態が説明されている。図33〜図36において、シリンダ状の形を有する埋め込み物80が示されている。形は例示的なものに過ぎない。埋め込み物80は前に説明したように挿入ツール60によって挿入される。
【0038】埋め込み物80は二つの硬化構成部品を含んでいる。第一の構成部品82は編まれたシリンダ状の形に形成された生体吸収性構造のような生体吸収性材料のベースである。このような材料は柔らかい組織よりも硬さが大きく、時間がたつと身体に吸収される。このような材料の例はエチコン社がPDSIIの商標で販売しているポリジオクサノン縫合糸のような合成吸収可能縫合糸である。別材料は吸収可能生化学接着剤を含んでいる。説明した第一の構成部品は直ちに術後硬化を提供し、軟口蓋への埋め込み物80の埋め込み直後にいびきを軽減したり、なくしたりする。
【0039】第二の構成部品84は第一の構成部品82と組み合わされた任意の繊維形成誘起材料である。非限定的な例によれば、第二の構成部品は第一の構成部品82の隙間空間に織り込まれたポリエステルまたはポリエステル繊維(Dacron(R)のような)のフィラメントである。軟口蓋SPの柔らかい組織における第二の構成部品84の存在は軟口蓋を硬化する繊維形成を誘起し、いびきを軽減したり、なくしたりする。この硬化は埋め込み後の時間とともに増加し、繊維形成反応が定常状態になるまで増加する。ポリエステルの第二の構成部品84は恒久的なものであり、生体吸収性ではない。したがって、繊維形成効果(それ故、いびき軽減効果)は、埋め込まれて第一の構成部品82が完全に吸収された後も恒久的に続く。
【0040】第一の構成部品82と第二の構成部品84は埋め込み物80として協働し、術後直後およびその後長く効果的な硬化をもたらす。第一の構成部品は埋め込み時に軟口蓋SPを硬化する硬い材料である。しかし、時間がたつと、第一の構成部品は吸収され、硬化効果が減ったり、なくなったりする。第二の構成部品84は埋め込み物10の埋め込み時に直ちには軟口蓋をほとんど硬化しない極めて可撓性の材料で形成されている。しかし、時間によって、第二の構成部品84の材料によって誘起される繊維形成は軟口蓋を硬くする。この現象は横軸が時間を表し、縦軸が埋め込み物10によって提供される硬化を表す図36のグラフに示されている。線Aは第一の構成部品82による硬化(これは第一の構成部品が吸収された時に、ゼロに減衰する)である。線Bは第二の構成部品による硬化(これは埋め込み時にほぼゼロであり、繊維形成の定常状態レベルを表す最大値まで増加する)を表す。線Cは線Aと線Bの硬化の合計である軟口蓋SPの硬化を表す。
【0041】したがって、埋め込み物80の実施形態の場合、術後硬化(およびいびきの消滅)が直ちに達成される。長期にわたる硬化が、恒久的な繊維形成反応によって提供される。第二の構成部品84の繊維形成が増えるにつれて、第一の構成部品82が吸収されるので、総硬化が制御される。
【0042】図37〜図39は軟口蓋SPに装置を挿入する別の挿入システム100を示す。図37〜図39はシリンダ状の埋め込み物102(図34の埋め込み物80または装置など)の新規な挿入システム100の使い方を示す。しかし、図37〜図39を参照して説明する方法および装置は他の形状(例えば、図7の球形埋め込み物または図13の矩形断面埋め込み物)および図24の埋め込み物50のような拡張可能埋め込み物にも使用できる。
【0043】軟口蓋の組織に突き刺すための地表傾斜遠隔端部61'を有する針66'を備えている。針66'は中空であり、スライドする閉ざされた隙間で埋め込み物102を搬送する。ロッド64'が、針66’内で埋め込み物102に近接してスライド自在に配置されている。図26〜図32を参照して上述したように、埋め込み物102は軟口蓋内の希望する埋め込み位置まで針66'によって担持される。希望する位置において、埋め込み物102はロッド64'を定置保持しつつ針66'を引っ込めることによって挿入される。ロッド64'と針66'の間の相対運動により、ロッド64'が軟口蓋に対して埋め込み物102を動かす必要なしに針66'から埋め込み物102を排出する。
【0044】軟口蓋を通して針66'を前進させるにつれて、組織と体液は針66'に入る傾向があり、後で針66'からの埋め込み物102の排出を妨害する。図26〜図27の実施形態は針66の遠隔端部にフラップ62を使用することによって針60への組織および流体のこのような進入を回避する。図38〜図39の実施形態は針66'への組織の進入を阻止する別技法を提供する。
【0045】図38〜図39において、針66'には針の遠隔端部61'にプラグ104が備えられている。好ましくは、プラグ104は生体吸収性材料(図34の埋め込み物80における第一の構成部品82の材料のような)である。針66'の遠隔端部61'にプラグ104を配置した後、遠隔端部61'を研磨し、図38〜図39に示す遠隔端部61’の形状の最終傾斜となるようにする。
【0046】排出中に、ロッド64’(針66'の引っ込みによる)は針66'からプラグ104および埋め込み物102の両方を押し出す。プラグ104が生体吸収性であるため、時間がたつと患者の身体に吸収される。埋め込み物102は軟口蓋の動的応答を変えることに関してすでに述べた治療効果を提供する。
【0047】プラグ104が針66'の近傍から内方に押し込まれるのを回避するために、針66'はロッド64'および埋め込み物102の直径に近い第一孔66a'と遠隔端部61'における第二孔66b'を含んでいる。第二孔66b'は第一孔66a'と同軸で、第一孔66a’よりも大きく、環状の保持縁部65'が、針66'内に規定されている。プラグ104は保持縁部65'に衝合し、針66'が軟口蓋の組織を通して前進した時に、針66'内へ押し込まれないようにする。
【0048】針66'は61'の遠隔端部において多孔であってもよく、装填された埋め込み物102を有する針が殺菌のため浸漬されるようにしてもよい。図43〜図44は多孔とするために透孔69'を有する多孔針端部の埋め込み物を示す。プラグ(プラグ104のような)は図43〜図44に示されておらず、針66'がプラグありでもなしでも使用できることを示す(この場合、針66'は一定直径の孔67'を有する)。多孔針の場合、組み立てるときに埋め込み物102を針の遠隔端部に予め装填できる。これは針に埋め込み物を装填するという面倒な仕事から医者を解放する。口蓋に埋め込み時に、あるいは定置埋め込みの少し前に、医者は抗生物質(周知の抗生物質ゲンタマイシンまたはベータデンのような)の溶液に針遠隔端部を浸漬してもよい。流体抗生物質は針の孔69'を通って流れ、埋め込み物102を浸漬する。結果として、抗生物質を予め取り扱えることと、針を埋め込み物の挿入の後に廃棄できることの組み合わせにより、組み合わせた針と埋め込み物を経済的に作成できる。装填中に、埋め込み物を針孔67'よりも大きなサイズにできる。したがって、埋め込み物は排出された後に拡張する。
【0049】図40〜図41は捻られるか又は編まれた繊維103a、103bで形成された埋め込み物102'を示す。単一タイプの繊維も使用できる一方、この実施形態は、互いに編まれるか、捻られるかした二つの異なる繊維103a、103bで形成されるのが好ましい。一方の繊維103aは、繊維形成反応を促進するためのものであってもよい。このような繊維103aはポリエステルまたは絹縫合材料である(この場合、個々の繊維103aは編まれるか、捻られた要素で形成されていてもよい)。他の繊維103bは図33におけるように生体吸収性のファイバである(例えば、コラーゲンのような天然材料又は前述のPDS縫合材料のような合成材料を含む生体吸収性縫合材料)。あるいは、第二繊維103bはポリプロピレン縫合材料などの非吸収性材料であり、埋め込み物に追加硬さを与えるものであってもよい。繊維103a、103bは埋め込み物102'の軸方向に沿って一緒に結合され、追加硬さを与える。
【0050】図42を参照し、図37の埋め込み物102を例にあげると、埋め込み物102の遠隔端部102a(すなわち、針66'から排出される埋め込み物102の第一の端部)は切れ込みを備えるか、針66'から排出された後に外方へ広がるアンカ103を備える。このような広がりは、成長する組織が成熟する際に、埋め込み物102を定位置に固定するのを助ける。このような広がりは、針の中に畳み込まれ、針の引き込み中に針66'に沿って埋め込み物が移動するときに、埋め込み物102上で放射状に広がる繊維によっても提供される。
【0051】図40〜図41を参照して説明した撚り合せ(捻り又は編みこみ)作業は高い設計融通性を提供する。このような撚り合せは各種の機能に対応して多くの異なるタイプの繊維を合体させることができる。例えば、放射線不透過性の繊維は、撚り合せ物に、蛍光透視法下の埋め込み物の視覚化を可能にする機能を与える。このような撚り合わされた埋め込み物の構造(および可撓性)は、コア材料を追加するか、撚り合せの硬さを変えることによって変更できる。図40および図41ではコアまたは中央繊維105を示している。中央繊維105は繊維103a、103bのいずれかと同じ材料であってもよく、あるいは硬さまたは他の機械的特性を追加するため別の材料であってよい。例えば、繊維103a、103bが非吸収性材料であり、一方、コア105は生体吸収性材料であってもよい。コア105は、硬さを追加するか、放射線不透過性の金属材料であってもよい。コア105はコイルであるか、ばね形のコアであってもよい。撚り合わされた埋め込み物102'の構造において、全ての繊維103a、103bおよびコア105は埋め込み物102'と同じ位置に終端を持つことが好ましい。言い換えると、繊維103a、103bおよびコア105の端部は埋め込み物102'の軸方向端部に一致する。端部は熱処理されるか接着され、撚り合わされた埋め込み物102'がほぐれるのを阻止する。
【0052】埋め込み物が殺菌されなければならないことが理解されたい。埋め込み物および/または埋め込みデバイスは予め殺菌されて殺菌パックに収容された形で供給されるか、挿入前に適切な殺菌処理にさらされる。さらに、本明細書で開示される方法にしたがい本明細書で開示される埋め込み物を使用するための使用説明書をパックに含めることもできる。
【0053】上記の説明は、軟口蓋の動的応答を変える軟口蓋用の埋め込み物の発明の各種実施形態である。本発明は従来の外科治療よりも遥かに苦痛が少ないものである。さらに、本発明では、手術中および術後において選択的に調節する処置を行うことができるとともに、操作を逆にすることを可能とする。本発明を説明したが、他の変形例および実施形態を当業者は思い付くであろう。例えば、図13のストリップは、さらに硬くするためにタイトにできるコイルばねに納められていてもよい。このようなストリップは蝶番止めされたセグメントであってもよい。また、本発明は軟口蓋を硬くするため軟口蓋に配置される任意の繊維形成誘起物をカバーできる(例えば、熱処理あるいはエチル・アルコールなどの化学薬品塗布などを行うか又はそのままのポリエステル繊維、または軟口蓋に恒久的な傷を作り出す態様でのこのような塗布)。例えば、このような化学品が切れ目70を介して挿入されるか、又は熱源が切れ目70を介して挿入されてもよい。硬化が恒久的なものであるから、効力を持続するために本発明を繰り返す必要はない。このような変形および同等物は首記特許請求の範囲の範囲内である。
【出願人】 【識別番号】500436466
【氏名又は名称】ピーアイ メディカル, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PI MEDICAL, INC.
【住所又は居所原語表記】2800 Patton Road, St.Paul, Minnesota 55113 U. S. A.
【出願日】 平成12年9月18日(2000.9.18)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳 (外2名)
【公開番号】 特開2001−145646(P2001−145646A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願2000−282615(P2000−282615)