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【発明の名称】 体液吸収用物品の表面材
【発明者】 【氏名】井下 喜好

【氏名】ロバート デール

【氏名】ウイリアム カーゼズ

【要約】 【課題】表面シートと着用者の皮膚との接触時のこすれを低減するために、着用者の肌に最も近接して位置する表面シートの摩擦抵抗を低減させることを課題とする。このために、本発明者らは種々の原料を添加剤として検討した結果、化粧品原料、特にスキンケア材料から選択された添加剤を配合した樹脂フィルム又は不織布が最も優れていることを見いだした。添加剤としてのスキンケア材料は、皮膚に対するスムースな感触をもたらし、且皮膚に対して刺激が少なく、更に樹脂への良好な混合成分であることが要求される。

【解決手段】表面シートとバックシートとの間に吸収体を配置した体液吸収用物品において、表面シートを構成する表面材を化粧品原料から選択された添加剤を配合した樹脂フィルム若しくは不織布で形成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】表面シートとバックシートとの間に吸収体を配置した体液吸収用物品において、表面シートを構成する表面材を化粧料原料から選択された添加剤を配合した樹脂材料で形成したことを特徴とする体液吸収用物品の表面材。
【請求項2】樹脂材料が、体液を表面から吸収体側に移行させ得る小さな孔を多数形成した穴あきフィルム構造であることを特徴とする請求項1記載の表面材。
【請求項3】樹脂フィルムが、単層構造であることを特徴とする請求項2記載の表面材。
【請求項4】単層構造の樹脂フィルムが、ポリエチレンから成ることを特徴とする請求項3記載の表面材。
【請求項5】樹脂フィルムが、二層構造であり、表面側のフィルム層に添加剤が配合され、吸収体側のフィルム層に親水剤が配合されていることを特徴とする請求項2記載の表面材。
【請求項6】表面側のフィルム層が、ポリエチレンからなり、吸収体側のフィルム層が、ポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体の混合体からなることを特徴とする請求項5記載の表面材。
【請求項7】樹脂材料が、繊維構造であることを特徴とする請求項1記載の体液吸収用物品の表面材。
【請求項8】繊維構造の樹脂材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレン/ポリプロピレン複合体であることを特徴とする請求項7記載の表面材。
【請求項9】添加剤が、アロエエキス、ヨモギエキス、キトサン、シルクパウダーから選択されたものであることを特徴とする請求項1、7又は8記載の表面材。
【請求項10】添加剤が、マカデミアンナッツ油コレステリン誘導体、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ジ(コレステリル、オクチルドデシル)N−ラウロイル−L−グルタミン酸エステル等の保湿剤であることを特徴とする請求項1乃至8記載の表面材。
【請求項11】添加剤が、酸化亜鉛、炭酸カルシウムとのパウダー原料であることを特徴とする請求項1乃至8記載の表面材。
【請求項12】樹脂材料に、0.1〜10重量%の酸化亜鉛を配合したことを特徴とする請求項1乃至8記載の表面材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】この発明は、生理用物品、失禁シート、紙おむつ等の体液吸収用物品、特に表面材とのこすれによる肌トラブルの発生を防止する体液吸収用物品の表面材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生理経血、尿等の体液を吸収するための物品として、透過可能な表面シートと体液不透過性のバックシートとの間に破砕パルプ等からなる吸収体を内包してなる生理用ナプキン、失禁シート、紙おむつ、おりものシート等の体液吸収用物品は公知である。かかる体液吸収用物品の問題点として、物品の使用時に発生する肌トラブルが指摘されている。本出願人の調査によると、生理用ナプキンの使用において、約60%の着用者が肌トラブルを経験しており、肌トラブルの主な症状としては、かゆみ、赤み、ただれ並びに張り付き等が報告されている。かかる肌トラブルの要因は、表面のべたつき、表面シートによる肌のこすれ、表面シートの肌への張り付き、装着時のムレ、細菌等による炎症等が挙げられる。本発明者らは体液吸収用物品の使用に際してみられる肌トラブルの一つの要因である表面シートによる肌のこすれに着目し、肌にやさしい表面シートのための表面材の開発を行った。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、表面シートと着用者の皮膚との接触時のこすれを低減するために、着用者の肌に最も近接して位置する表面シートの摩擦抵抗を低減させることを課題とする。このために、本発明者らは種々の原料を添加剤として検討した結果、化粧品原料、特にスキンケア材料から選択された添加剤を配合した樹脂フィルム又は不織布が最も優れていることを見いだした。添加剤としてのスキンケア材料は、皮膚に対するスムースな感触をもたらし、且皮膚に対して刺激が少なく、更に樹脂への良好な混合成分であることが要求される。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、表面シートとバックシートとの間に吸収体を配置した体液吸収用物品において、表面シートを構成する表面材を化粧品原料から選択された添加剤を配合した樹脂フィルム若しくは不織布で形成したことを特徴とする。化粧料は直接人体の肌に適用される商品であるために、その品質は製品そのものが変質しないこと、使用者に害がないことが要求される。化粧品メーカーは、化粧品の原料について厳密な安全性と耐久性の試験、研究を行っていると共に、通常各国の行政官庁でも化粧品原料として使用することの出来る基準が定められている。本発明ではかかる化粧品原料から選択されているが、更に化粧品原料と同様の試験、研究がなされ且政府の基準が定められている医薬部外品の原料中からも本発明において使用可能な原料が選択される。従って、本明細書において化粧料原料なる用語は、化粧品原料の他に医薬部外品の原料も含んだ言葉として使用される。
【0005】樹脂フィルムは、表面に流出してきた体液を吸収体側に移動させ得る小さな孔を多数形成した穴あきフィルムで形成されており、好ましくは2層構造であり、肌側のフィルム層をポリエチレンで、吸収体側のフィルム層をポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体で形成し、少なくとも肌側に位置するフィルム層に添加剤が配合されていることを特徴とする。しかしながら、ポリエチレンからなる単層構造であっても良い。
【0006】不織布は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレン/ポリプロピレン複合体からなり、繊維の表面に添加剤がコーティングされていることを特徴とする。
【0007】添加剤は、アロエエキス、ヨモギエキス、キトサン、シルクパウダー、マカデミアンナッツ油コレステリン誘導体、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ジ(コレステリル、オクチルドデシル)N−ラウロイル−L−グルタミン酸エステル等の保湿剤若しくは炭酸カルシュシウム、酸化亜鉛等のパウダー原料の一つ又は複数から選択され、樹脂に練り混み或はコーティングの手段により適用される。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。尚、以下の説明は生理用ナプキンの実施形態についてなされているが、この発明は生理用ナプキンに限られるものではなく、使い捨ておしめ、失禁シート、おりものシート等の体液を吸収するための種々の物品に同様に適用することが出来る。生理用ナプキンは、体液を透過し得る表面シートと体液の透過を阻止するバックシートとの間に破砕パルプ等の吸収体を内包した従来周知の構造を有しており、表面シート、バックシート及び吸収体の材質、形状、厚み、吸収力等は特に限定されるものではない。吸収体は、破砕パルプに体液を吸収する高分子粒子を混合したものであっても良い。
【0009】表面シートは、樹脂フィルム若しくは不織布からなる表面材で形成される。樹脂フィルムは、単層若しくは二層の構造体からなり、体液を表面側から吸収体側に良好に移行させるために小さな孔が多数形成された穴あきフィルムの構造を有する。単層のフィルム樹脂は、フィルムへの成形性、機械的強度、柔軟性等の点からポリエチレンが好適であり、二層の場合には肌側のフィルム層をポリエチレンで、吸収体側のフィルム層をポリエチレンとエチレン酢酸ビニル共重合体の混合体が最も適しているが、これに限られないことは勿論である。化粧品原料から選択された添加剤が、フィルム樹脂に配合される。二層構造のフィルムは、肌側に位置するフィルム層に添加剤が配合される。エチレン酢酸ビニル共重合体の配合は、フィルムに柔軟性をもたらすと共に、ヒートシール性を向上させ低い温度でのヒートシールが可能となるため、吸収性物品への製造時に熱による他の素材への影響を防止することが可能となる。樹脂フィルムへの添加剤の配合は、練り混みの手段により適用される。穴あきフィルムは、孔の径が小さく液のスムースな移行を困難とするため、親水剤を配合して移行性の向上を図ることが好ましい。配合する親水剤としては、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等を挙げることが出来る。不織布は、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレン/ポリプロピレン複合体からなり、繊維の表面に添加剤がコーティングの手段により適用される。
【0010】添加剤は、化粧品原料、特にスキンケア材料として化粧品に配合される配合剤が好適である。かかる配合剤としては、先ずマカデミアンナッツ油コレステリル誘導体、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ジ(コレステリル、オクチルドデシル)N−ラウロイル−L−グルタミン酸エステル等の保湿剤、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等のパウダー類が挙げられる。更にアロエエキス、ヨモギエキス、キトサン、シルクパウダー等の原料も使用することが出来る。マカデミアンナッツ油コレステリル誘導体、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、ジ(コレステリル、オクチルドデシル)N−ラウロイル−L−グルタミン酸エステル等の保湿剤、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等のパウダー類は、耐熱性があるために約230℃の高温で押出成形される樹脂フィルムの添加剤として好適であり、特に酸化亜鉛、炭酸カルシウム等のパウダー類が優れている。添加剤は、樹脂フィルムの上層(肌側層)への練り込みで充分であり、下層(吸収体側層)への練り混みは特に必要としない。樹脂フィルムへの添加剤の配合量は、フィルムの上層(肌側層)の重量に対して0.1〜10%、好ましくは0.5〜5%、最も好ましくは1.0%である。
【0011】アロエエキス、ヨモギエキス、キトサン、シルクパウダー等の原料は、耐熱性が小さいため、押出成形される樹脂フィルムの添加剤としては不適当であるが、不織布を形成するための前記樹脂繊維にコーティング手段により適用する添加剤として使用することが出来る。しかしながら、コーティングにより繊維の表面に適用した場合、剥離してくるおそれがあり、安全性及び効果の持続性に問題があると共に、加工工程が複雑化してくるおそれがある。尚、シリコンオイル、シリコンパウダー、アミド系スリップ剤等のシリコン系材料は、フィルム成形時に上層(肌側層)から下層(吸収体側層)に材料が移動し下層(吸収体側)に配合された親水剤の効果を削減し、シリコンによる撥水性が強く現れて体液の下方(吸収体への)移動を阻害するために、添加剤としては不適当であった。
【0012】
【実施例】肌側層の樹脂原料として、酸化チタンを配合した直鎖状低密度ポリエチレンに添加剤を配合し樹脂材料とした。吸収体側層の樹脂原料として、エチレン酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、親油型モノオレフィン酸グリセリン並びにモノラウリン酸ソルビタンを配合したものを用いた。各樹脂原料を溶融し押出成形で穴あきフィルムを製造した。添加剤としては、マカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリル、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリコンオイル、並びにシリコンオイルにマカデミアンナッツ油脂肪酸フィトステリルを混合したものを個別に配合して試料フィルムを製造した。各添加剤の配合率と通液性及び評価は表1の通りである。比較対象品は、添加剤が配合されていない二層構造の穴あきフィルムである。評価は、試料フィルム上にシリコンゴム製の人工皮膚を乗せて乾燥時と、模擬経血で湿らせたときの状態での試料フィルムの表面摩擦抵抗を測定して評価した。比較品と同程度のものを評価○とし、これより優れているものを評価◎とした。表1から明らかなように、本発明の添加剤を配合した試料フィルム■、■、■は吸収性物品の表面材として優れている。
【0013】
【表1】

【0014】
【発明の効果】この発明によれば、体液の排出側に最も近接して位置する表面シートを化粧料原料、特にスキンケア材料から選択された材料を添加剤として添加した表面材で構成し、表面シートによる肌のこすれを防止し、肌にやさしい表面シートを提供することが出来るので、体液吸収物品の着用時に発生する着用者の肌のトラブルを低減することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社資生堂
【識別番号】500419838
【氏名又は名称】ポリマー グループ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Polymer Group, Inc.
【住所又は居所原語表記】4838 Jenkins Avenue, North Charleston, South Carolina 29405, U.S.A.
【出願日】 平成12年9月7日(2000.9.7)
【代理人】 【識別番号】100067644
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 裕
【公開番号】 特開2001−137285(P2001−137285A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願2000−271881(P2000−271881)