| 【発明の名称】 |
体液吸収体 |
| 【発明者】 |
【氏名】大 村 勲
【氏名】井 上 修
【氏名】小 関 智 樹
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】本発明の体液吸収体は、体液を吸収する吸水性層と該吸水性層の裏面に配置され吸水性層に吸水された体液の漏出を防止する防水体層とを少なくとも有する体液吸収体であって、該体液吸収体の表面が、上記不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されていることを特徴としている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 体液を吸収する吸水性層と該吸水性層の裏面に配置され吸水性層に吸水された体液の漏出を防止する防水体層とを少なくとも有する体液吸収体であって、該体液吸収体の表面が、上記不織布を形成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の捲縮弾性率を100%としたときに、200%の水分含有時の湿潤捲縮弾性率が、乾燥時の捲縮弾性率に対して20%〜75%の範囲内にある水解性繊維の集合に多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されていることを特徴とする体液吸収体。 【請求項2】 該体液吸収体の表面が、上記不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項3】 上記体液吸収体が人体と接触する面に上記不織布が配置されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項4】上記体液吸収体の吸水性層が、上記不織布と該不織布で囲繞された吸水性単繊維からなることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項5】 上記不織布の平均厚さが0.1〜1.0mmの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項6】 上記不織布の目付が2〜80g/m2の範囲内にあることを特徴とする請求項第1項または第4項記載の体液吸収体。 【請求項7】 上記不織布の乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度が0.3〜10kgfの範囲内にあり、かつ200重量%の水分を含有したときの該不織布のMD方向の平均引っ張り強度が0.2〜6kgfの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項8】 上記不織布が、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されていることを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項9】 上記不織布を構成する水解性繊維の平均長さが20mm以上であって、該不織布を該不織布の重量に対して100000重量%以上の水に投入にして、30秒間以上振盪することにより該不織布が繊維状に解繊して該繊維が水に分散することを特徴とする請求項第1項記載の体液吸収体。 【請求項10】 上記不織布に水解性繊維が15重量%以上の量で含有されていることを特徴とする請求項第1項乃至第9項記載の体液吸収体。 【請求項11】 上記不織布を形成する上記水解性繊維以外の繊維が、繊維長さ20mm未満の短繊維であることを特徴とする請求項第10項記載の体液吸収体。 【請求項12】 上記不織布が、水解性を有することを特徴とする請求項1項記載の体液吸収体。 【請求項13】 上記体液吸収体が、紙おむつであることを特徴とする請求項第1項乃至第12項のいずれかの項記載の体液吸収体。 【請求項14】 上記体液吸収体である紙おむつに横漏れ防止手段が形成されていることを特徴とする請求項第13記載の体液吸収体。 【請求項15】 上記体液吸収体である紙おむつの防水体層の裏面に、ずれ防止用粘着剤層が塗設されていることを特徴とする請求項第13項記載の紙おむつ。 【請求項16】 上記体液吸収体が、尿取りパットであることを特徴とする請求項第1項乃至第12項のいずれかの項記載の体液吸収体。 【請求項17】 上記体液吸収体である尿取りパットの吸水性層が、上記不織布と、必要により短繊維パルプで形成されていることを特徴とする請求項第16項記載の体液吸収体。 【請求項18】 上記体液吸収体である尿取りパットの防水体層の裏面に、ずれ防止用粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項第16項記載の体液吸収体。 【請求項19】 上記体液吸収体が、生理用ナプキンであることを特徴とする請求項第1項乃至第12項のいずれかの項記載の体液吸収体。 【請求項20】 上記体液吸収体である生理用ナプキンに横漏れ防止手段が形成されていることを特徴とする請求項第19項記載の体液吸収体。 【請求項21】 上記体液吸収体である生理用ナプキンの吸水性層が、上記不織布と、必要により吸水性短繊維で形成されていることを特徴とする請求項第19項記載の体液吸収体。 【請求項22】 上記体液吸収体である生理用ナプキンの防水体層の裏面に、ずれ防止用粘着剤層が塗設されていることを特徴とする請求項第19項記載の体液吸収体。 【請求項23】 上記体液吸収体が、おりものシートであることを特徴とする請求項第1項乃至第12項のいずれかの項記載の体液吸収体。 【請求項24】 上記体液吸収体であるおりものシートの吸水性層が、上記不織布で形成されていることを特徴とする請求項第23項記載の体液吸収体。 【請求項25】 上記体液吸収体であるおりものシートの防水体層の裏面に、ずれ防止用粘着剤層が設けられていることを特徴とする請求項第23項記載の体液吸収体。 【請求項26】 上記体液吸収体である母乳パットの少なくとも表面層が、上記不織布で形成されていることを特徴とする請求項第1項乃至第12項のいずれかの項記載の体液吸収体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の技術分野】本発明は、湿潤時にも充分な強度を有する水解性の不織布を用いた体液吸収体関する。さらに詳しくは本発明は、排出された体液を含んだ湿潤時に崩壊することなく、水洗トイレ等の多量の水では解繊する水解性を有する不織布を用いた、紙おむつ、尿取りパット、生理用ナプキン、おりものシート、母乳パットなどの体液吸収体吸収体に関する。 【0002】 【発明の技術的背景】従来、介護用品、尿取りパット、生理用ナプキン、おむつ、清拭布など(以下これらを総称して、「衛生用品」と記載することもある。)には布等が使用されていたが、近時、布等に代わって紙、不織布が使用されることが多くなってきている。こうした紙、不織布からなる上記衛生用品は一回使い切りで衛生的であり、非常に便利であることから、今後益々その需要の増大が予想される。 【0003】こうした衛生用品は、例えば尿等の水分を良好に吸収する必要がある。このため、こうした衛生用品として使用される紙、不織布類は、吸水性が高く、水分を含有しても形態を維持することが必要である。このため実際にこうした衛生用品を形成する紙、不織布類は、耐水性を有し、水中でも開繊せず水に分散しないため、これらを使用したのちに水洗トイレなどに流して処理することはできず、一般ゴミとして処理されていた。 【0004】しかしながら、一度使用された衛生用品は体液等の汚物を含んでおり、使用後はできるだけ速やかに処理することが望まれる。こうした使用後の衛生用品を処理する方法として、水洗トイレに流して処理することができれば非常に好適である。このように衛生用品を使用後に水洗トイレに流して処理するためには、衛生用品が水中で解繊する水解性を有することが肝要である。 【0005】ところが、上述のように衛生用品は使用する段階では耐水性が必要であることから、使用された後の衛生用品にも当然優れた耐水性があり、こうした優れた耐水性を有する衛生用品を水洗トイレに流して処理することはできなかった。このように、衛生用品において、使用時に必要となる耐水性と使用後に必要となる水解性とは、相反する特性であり、両特性を有する衛生用品の製造は非常に困難であるとされていた。 【0006】これに対して、特開平4−216889号公報には、上水及び体液などに対して溶解しにくく、下水に対して溶解しやすい、水崩壊性の不織布及びバインダーが開示されている。この公報には、具体的に以下のような組成のバインダーが開示されている。エチレン性不飽和カルボン酸あるいはその無水物と、架橋性単量体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを必須成分とする平均分子量5000〜10000の共重合体であって、カルボキシル基を一価のアルカリで中和したバインダー。ここで架橋性不飽和単量体は、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはそのエーテル化合物であることが示されている。 【0007】しかしながら、このバインダーは、カルボキシル基が一価のアルカリで中和されているために、含水するとこの一価のアルカリ成分が解離し、この解離した一価のアルカリ成分は皮膚に対する刺激性を有しており、特に皮膚に直接長時間触れる衛生用品である紙おむつに使用するには問題があった。また、下水に対して崩壊可能にするためには、上記の重合体の塩を用いる場合には、形成される架橋構造の量および構造が極めて重要な要素となり、こうした樹脂の溶解性を制御するための架橋構造の形成は著しく難しい。 【0008】 【発明の目的】本発明は、吸収対象となる少量の水分である体液を含んだ際には充分な強度を有し、大過剰の水が存在する環境下では水解する不織布を用いた体液吸収体を提供することを目的とする。さらに詳しくは本発明は、上記のような特性を有する、紙おむつ、尿取りパット、生理用ナプキン、おりものシートなどの体液吸収体を提供することを目的としている。 【0009】 【発明の概要】本発明の体液吸収体は、体液を吸収する吸水性層と該吸水性層の裏面に配置され吸水性層に吸水された体液の漏出を防止する防水体層とを少なくとも有する体液吸収体であって、該体液吸収体の表面が、上記不織布を形成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の捲縮弾性率を100%としたときに、200%の水分含有時の湿潤捲縮弾性率が、乾燥時の捲縮弾性率に対して20%〜75%の範囲内にある水解性繊維の集合に多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されていることを特徴としている。 【0010】そして、この体液吸収体において、体液吸収体の表面が、上記不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されていることが好ましい。 【0011】本発明の体液吸収体の表面が、乾燥時における繊維の平均伸び率を100%としたとき、該繊維が200重量%の水分を含有時の該繊維の平均伸び率が、乾燥時の平均伸び率に対して100〜300%の範囲内にあり、かつ、乾燥時における繊維の平均引張り強度を100%としたとき、200重量%の水分を含有時の該繊維の平均引張り強度が乾燥時の平均引張り強度に対して25〜200%の範囲内にある水解性繊維の集合に、多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されていることが好ましい。 【0012】そして、この体液吸収体において、体液吸収体が人体と接触する面に上記不織布が配置されていることが好ましい。さらに、この体液吸収体の吸水性層が、上記不織布と、この不織布で囲繞された吸水性単繊維からなることが好ましい。本発明で体液吸収体を構成する不織布の平均厚さは、0.1〜1.0mmの範囲内にあることが好ましく、また、この不織布の目付は、2〜80g/m2の範囲内にあることが好ましい。 【0013】さらに、ここで使用される不織布は、乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度が0.3〜10kgfの範囲内にあり、かつ200重量%の水分を含有したときの該不織布のMD方向の平均引っ張り強度が0.2〜6kgfの範囲内にあることが好ましい。また、このような不織布を構成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗を100%としたとき、200重量%水分含有時の該繊維の平均引き抜き摩擦抵抗が、乾燥時の平均引き抜き摩擦抵抗に対して、50%以上300%未満の範囲内にあり、この不織布は、水解性繊維の平均長さが20mm以上であって、該不織布を、該不織布の重量に対して100000重量%以上の水に投入にして、30秒間以上振盪することにより該不織布が繊維状に解繊して該繊維が水に分散するものであることが好ましい。 【0014】ここで使用される不織布には、水解性繊維が15重量%以上の量で含有されていることが好ましく、この場合に、水解性繊維以外の繊維の繊維長さは、20mm未満であることが好ましい。本発明の体液吸収体には、紙おむつ、尿取りパット、生理用ナプキン、おりものシート、母乳パットなどがある。このような体液吸収体を形成する不織布は水解性を有している。 【0015】従って、本発明の体液吸収体は、上記特定の不織布を使用しており、防水体層からこの不織布を剥離することにより、最も体液によって汚染されているこの不織布は大過剰の水と接触すると水解して処理することができるという特性を有している。従って、本発明の体液吸収体は、この不織布部分を取り外して水解処理することができ、他方、防水体層は、一般のごみとして処理することができ、非常に衛生的である。 【0016】 【発明の具体的説明】次に、本発明の体液吸収体について図面を参照しながら具体的に説明する。本出願人は、特願平8−345226号明細書において、水溶解分散性を有する不織布の繊維を特定のバインダー樹脂で接合することによって、含水時に一価のアルカリ成分が解離せず、通常は耐水性を示すがアルカリ領域では解繊する不織布を得ており、従来の不織布用バインダーに起因する問題点を解決し、アルカリ水中での処理を可能にしている。しかしながら、不織布を中性領域の水洗トイレに直接流して処理したいという更なる要望があった。 【0017】本発明で体液吸収体に使用される不織布は、こうした要望に基づいて案出されたものであり、衛生用品として使用する際の湿潤時にも充分な強度を有し、かつ、多量の水には水解性を有するという特性を有している。本発明の体液吸収体では、上記のような特定の不織布を使用することにより、使用後の体液吸収体を水洗処理可能にしている。 【0018】以下本発明の体液吸収体について図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の体液吸収体である紙おむつの一例を示す斜視図であり、図3は図2のA−A断面図である。図4は、尿取りパットの中央部の一例を示す断面図である。図5は、生理用ナプキンの中央部の一例を示す断面図である。図6は、おりものシートの中央部の一例を示す断面図である。 【0019】本発明の体液吸収体は、体液を吸収する吸水性層と該吸水性層の裏面に配置され吸水性層に吸水された体液の漏出を防止する防水体層とを有する。そして、この体液吸水性層の表面に特定の不織布が配置されている。本発明において不織布とは、規則的な糸の交差を形成せず、多数の繊維が相互に不規則に係合することにより形成された布状物である。また、不織布を形成する繊維は、一種類であっても、多種の繊維から構成されていてもよい。 【0020】本発明の体液吸収体を構成する不織布は水解性を有する。ここでいう水解性とは、不織布が水中で開繊し、水に分散することが可能な性質をいう。不織布の水解性が低すぎる場合には、水中に不織布を投入した際に解繊に長時間を要したり、部分的に解繊しないことがあるため、不織布を水洗トイレなどの下水に流して処理する際に、管がつまるなどの問題を生じる虞がある。また、不織布の水解性が高すぎる場合には、使用されるまでの間に不織布の形態が損なわれる虞がある。以下、水解性を有する不織布について説明する。 【0021】本発明で使用される不織布は、乾燥時と200重量%湿潤時(繊維に対して200重量%の水分を含有した時)との捲縮弾性率、平均伸び率の比、平均引張り強度の比および好適には引抜摩擦抵抗値の比が特定の範囲内にある水解性繊維を用いて形成されている。即ち、本発明の体液吸収体の表面材である不織布を形成する水解性繊維について測定した乾燥時における該繊維の捲縮弾性率を100%としたときに、200%の水分含有時の湿潤捲縮弾性率が、乾燥時の捲縮弾性率に対して20%〜75%の範囲内にある水解性繊維の集合に多数の水解可能な交絡がランダムに形成されてなる不織布から形成されている。 【0022】また、本発明で使用される不織布を形成する水解性繊維について乾燥時における平均伸び率を100%としたとき、この水解性繊維として、200重量%の水分を含有した時の平均伸び率が、100〜300%の範囲内にあり、好ましくは150〜200%の範囲内にある繊維を使用する。即ち、この不織布を形成する乾燥した繊維について予めその長さを測定し、この繊維に荷重をかけて破断に至る直前の長さを測定してこの繊維の乾燥時における伸び率を測定すると、この繊維の乾燥時における平均伸び率は、その繊維太さによっても異なるが、通常は5〜30%、好ましくは10〜20%の範囲内になる。次いで、不織布を形成する繊維の重量に対して200重量%の水分を含有させて同様にして測定した200重量%含水時における平均伸び率は、乾燥時に対して100〜300%、好ましくは150〜200%の範囲内の値を示すのである。200重量%含水時における平均伸び率が上記のような値を示すことにより、このような繊維を用いて製造された不織布は、体液などの少量の水分と接触しても形態の変化が少ない。 【0023】さらに、この不織布を形成する繊維について乾燥時における引張り強度を100%としたときに、200重量%の水分を含有した時の平均引張り強度を測定すると、この乾燥時における平均引張り強度に対して25〜200%、好ましくは25〜100%、特に好ましくは30〜50%の範囲内の値を示す。即ち、この不織布を形成する繊維について乾燥時における平均引張り強度を測定すると、その繊維太さによっても異なるが、通常は1.0〜3.0g/d、好ましくは1.5〜2.0g/dの引張り強度を有している。この平均引張り強度を100%としたときに、繊維重量に対して200重量%の水分を含有させてこの繊維の平均引張り強度を測定すると20〜200%、好ましくは25〜100%、特に好ましくは30〜50%上記範囲内になる。このような200重量%含水時の平均引張り強度を有する繊維を用いて不織布を形成することにより、例えば200重量%程度の体液を吸収した場合であっても、良好な形態保持性(不織布としての形態保持性)を有すると共に、この不織布を引き剥がして大過剰の水(200重量%を遥かに超える水)と接触させ、好ましくは攪拌、水流などによって外的に応力が加えられることにより、この不織布が解繊して大過剰の水に単繊維として分散する。即ち、この体液吸収体のうち、少なくとも不織布で形成した部分は水洗処理することが可能になる。 【0024】ここでいう乾燥時とは、繊維あるいは不織布に120℃の温風を当てて、この繊維あるいは不織布に含有されている水分を実質的に全量除去することにより乾燥させた状態を指す。このように不織布を形成する繊維は、乾燥時の繊維重量を100%としたとき、この乾燥時の繊維重量に対して200重量%の水分を含有した場合であっても充分な引っ張り強度を示す。しかしながら、200重量%をはるかに超える多量の水、特に流動する水と接触すると、湿潤時において上記のような引張り強度を有する繊維は、水流などの物理的な応力によって解繊し、従って、この繊維から製造された不織布は例えば水流中に投入することにより、良好な解繊性を示すようになる。 【0025】このような不織布の水解性は、繊維の湿潤時における引抜摩擦抵抗値を調整することによりさらに良好になる。即ち、本発明で使用する不織布を形成する繊維は、乾燥時における滑り抵抗を100%としたとき、200重量%の水分を含有した時の平均引抜摩擦抵抗(湿潤時滑り抵抗)は、この乾燥時における平均引抜摩擦抵抗に対して、通常50%以上300%未満の範囲内にある。さらに、この湿潤時平均摩擦抵抗が、乾燥時の平均引抜摩擦抵抗に対して、75〜240%の範囲内にあることが好ましい。このような乾燥時平均引抜摩擦抵抗に対して湿潤時平均引抜摩擦抵抗の値を上記範囲内にすることにより、この不織布が多量の水と接触した際に、この不織布が解繊しやすくなる。 【0026】このようにして測定した不織布を形成する繊維の乾燥時における平均引抜摩擦抵抗値は、繊維太さによっても異なるが1.5〜3デニールの繊維を用いて測定すると、通常は0.3〜1.5g、好ましくは0.5〜1.0gの範囲内にある。なお、本発明において、不織布を形成する繊維の引抜摩擦抵抗は、図1に示すような繊維相互間の引抜摩擦抵抗測定装置を用いて測定した値である。 【0027】即ち、ここで使用される引抜摩擦抵抗測定装置1は、上部固定基台10と、この上部固定基台10に対して移動可能な下部移動基台20とを有している。そしてこの上部固定基台10の下端部にはクリップ12が設けられており、試験される繊維(上糸)40の両端部を挟持して繊維のループ42を形成することができるようにされている。他方、下部移動基台20は、上部固定基台10に対して下方に移動可能に形成されており、この下部移動基台20の上端部には、試験される繊維(下糸)50の一端部を挟持することができるようにクリップ32が設けられている。この滑り抵抗を測定するに際しては、2本の繊維(同一種類)を用意する。 【0028】そして、1本の繊維(上糸)40の両端部を上記上部固定基台10にクリップ12に挟持してループ42を形成し、他の一本の繊維(下糸)50の一端部を下移動基台20のクリップ32に挟持させて固定すると共に、この下糸50の他端を、上記上糸40によって形成されているループ42に通し、さらにこの他端部に200mgの重り55をくくりつける。 【0029】乾燥時の滑り抵抗を測定する場合には、上記のように上糸40と下糸50とをセットし、下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸40と下糸50との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定し、この抵抗値を滑り抵抗とする。一方、この装置には、上記上糸40および下糸50をセットした後、これらの上糸40と下糸50とを含浸することができる浴槽60が設けられており、この浴槽60に水あるいはアルカリ水などの液体62を充填して上糸40と下糸50とを液に5分間含浸させた後、浴槽60を取り外し、余剰の液体を除去した後、上記と同様にして下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸40と下糸50との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定ことにより、湿潤時における繊維の滑り抵抗とする。 【0030】なお、上記のようにして測定した湿潤時の繊維について、その重量を測定すると、この繊維の水分含有率は乾燥繊維重量に対して200重量%でほぼ一定する。本発明の不織布を形成する繊維は、さらに、通常は20〜50mm以上、好ましくは35〜45mmの平均単繊維長を有している。不織布を形成する繊維の単繊維長が上記範囲内であると、不織布を形成する用途に用いる場合に特に好適である。即ち、不織布の製造が容易になると共に、大過剰の水が存在した場合に、各単繊維が多数の交絡を有する不織布の形態から単繊維の形態になって水に分散しやすくなる。 【0031】さらにまた、この不織布を形成する繊維の平均繊維径は、通常1.0〜5デニール、好ましくは1.5〜5デニール、特に好ましくは1.6〜5デニール、さらに好ましくは2〜5デニールである。この不織布を形成する繊維は、上述した伸び率および引っ張り強度を持つ繊維を使用することができ、例えば、再生セルロース、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ(メタ)アクリル酸などを原料とすることができる。 【0032】この不織布を形成する繊維は、例えば、上記のような原料繊維となる樹脂に例えばカチオン基およびアニオン基などの極性基を導入し、必要により他の樹脂を添加して紡糸することにより製造することができる。例えば、従来から知られているレーヨンなどの水分を吸収する繊維は200重量%吸水時における乾燥繊維との比較における伸び率が上記のような範囲内になく、また引張り強度も上記範囲内にはない。また、ポリオレフィン繊維のような繊維は、200重量%の吸水性を有していない。 【0033】そして、特に湿潤繊維の引き抜き抵抗が上記の範囲内にある繊維を用いて不織布を形成することにより、この不織布を大過剰の水に投入すると短時間で解繊して水洗処理が可能となる。しかもこのように水洗処理しても水洗トイレなどの配管が詰まることがない。例えば、本発明で使用される不織布50×50mmを大過剰の水、例えば300mlの水に投入して、これをストローク40mm、260rpmで10秒以上、好適には30秒間以上振盪して、脚の部分の内径が10mm、脚長さが130mmのロートに水と共に流し込むと、このような繊維からなる不織布は15秒以内にこの脚部を通過する。即ち、上述のような特性を有する繊維を用いて形成された不織布を大過剰の水に投入することにより、この不織布は、水洗処理可能な程度まで解繊するため、水洗処理によって繊維のつまりは生じない。即ち、上述のような繊維を用いて製造された不織布は、例えば水洗トイレに投入して処理することが可能であり、その際水洗トイレの管詰まりは生じない。 【0034】上記のような特性を有する水解性繊維を用いて形成された不織布は、大過剰の水と接触し、好ましくは攪拌あるいは水流などの外的応力を付与しながら大過剰の水と接触することにより、良好に解繊すると共に、少量の水が共存する環境においては、不織布の形態を長期間維持することができる程度の形態保持性を有している。即ち、本発明の体液吸収体を形成する不織布は、湿潤時には、充分な強度を有しており、使用中の吸湿では不織布が解繊して崩壊することはないが、流水下などの大過剰の水中で容易に水解する。従来から市販されている水解性不織布は、繊維長さを調整することによって水に対して分散可能にされていたが、上記詳述のように本発明で使用される不織布は、繊維の特性を選定することにより、少量の水が存在する環境において良好な形態保持性を確保すると共に、大過剰の水の存在下で解繊するという特性を有するようにしている。 【0035】上記のような繊維で形成された不織布の厚さは、通常0.1〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.6、特に好ましくは0.3〜0.6mmである。また、この不織布の目付けは、通常は20〜80g/m2、好ましくは20〜40g/m2の範囲内にある。厚さおよび目付が上記範囲にある不織布は、良好な吸水性を示すと共に、大過剰の水と接触した場合に解繊しやすい。 【0036】本発明で使用される不織布は、不織布を製造するための従来の方法を利用して製造することができるが、特に本発明では、例えばウォータージェットパンチ法(water jet punch)、特に好適にはスパンレース法(spun lace)などを採用して製造した不織布を使用することが望ましい。このような方法で製造された不織布は、MD方向とCD方向とで強度が異なり、不織布の乾燥時におけるMD方向の平均引張り強度は、通常は0.3〜10kgf、好ましくは1〜5kgfの範囲内にあり、そして、不織布重量に対して200重量%の水を含有した時のMD方向の平均引張り強度は通常は0.2〜6kgf、好ましくは0.5〜2.5kgfの範囲内にある。さらに、CD方向の引張り強度は、乾燥時および湿潤時共に、MD方向の引張り強度よりも小さく、通常は、MD方向の引張り強度の90〜5%程度、好ましくは50〜10%程度になる。乾燥時および湿潤時におけるMD方向およびCD方向の引張り強度に上記のような差のある不織布は、少量の水が存在しても充分な強度を有すると共に、多量の水が存在する状況下では短時間に解繊する。また、MD方向に強度が上記範囲内にあることにより、製造時に不織布が切れにくく、効率よく不織布を製造することができる。 【0037】本発明で使用される不織布は、上記詳述した水解性繊維を用いてウエブを形成し、この水解性繊維を含むウエブに高圧水(例えば、5〜100kg/cm2、好ましくは10〜50kg/cm2程度の高圧水)を用いて交絡を形成することにより製造することができる。特にスパンレース(spun lace)方式で製造された不織布は、柔らかで強く、しかも毛羽が少なく、高い吸水性を有している。 【0038】本発明で使用される不織布は、上記のような水解性繊維から形成されているが、この不織布の特性を損なわない範囲内で他の繊維と共に不織布を形成していてもよい。この場合、上記水解性繊維の含有率は通常は15重量%以上、好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%である。ここで上記水解性繊維と共に使用することができる他の繊維の例としては、パルプ繊維、再生セルロース繊維(例:ビスコースレーヨン、ポリノジックレーヨン、キュブラ、鹸化アセテート)、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維。ポリウレタン繊維、ポリオレフィン繊維などの合成繊維、天然繊維および再生繊維を挙げることができる。このような繊維の中でも再生セルロース繊維を使用することが好ましい。再生セルロース繊維を使用することにより、不織布の風合いおよび肌触りが著しく改善される。また、これらの繊維の平均繊維長さは、通常は80mm以下、好ましくは40mm以下、さらに好ましくは20mm以下であり、さらにこのような繊維は通常は0.1mm以上、好ましくは0.5mm以上の平均繊維長を有している。このような平均繊維長さを有する繊維を併用することにより、不織布の水解性が著しく低下することがなく、また、不織布の製造に問題を生ずることもない。 【0039】次に本発明の体液吸収体の具体的な物品である紙おむつ、尿取りパット、生理用ナプキン、おりものシートなどについて順をおって説明する。これらの物品は本発明の体液吸収体の好適な具体例であって、本発明の体液吸収体が他の物品であってもよい。本発明の体液吸収体である紙おむつ101は、図2および図3に示すように、便等に含まれる水分を吸収する吸水性層110と、この吸水性層110に吸収された水分の漏出を防止するための防水体層118とを有している。 【0040】吸水性層110は、通常は短繊維からなる吸収体本体116とこの吸収体本体116の表面に配置された上記特定の不織布114と有している。この吸収体本体116は、パルプ、再生セルロース、レーヨンなどの吸水性のよい吸水性短繊維から形成されている。特に本発明の紙おむつ101では、この吸収体本体116が不織布114によって囲繞されていることが好ましい。ここで吸収体本体116を形成する吸水性短繊維の繊維長は、この吸収体本体116を含めて水解処理する場合には、通常は4mm以下、好ましくは2mm未満に設定される。このような短繊維を用いて吸収体本体116を形成することにより、使用後に、この吸収体本体116および不織布114を防水体層118から引き剥がして水解処理することが可能となる。ただし、水解処理に際しては、便などが付着している不織布114だけを剥離して処理することも可能であり、このような使用態様においては、吸収体本体116を形成する繊維として上記のような短繊維を使用することを特に必要とするものではない。 【0041】防水体層118は、上記吸水性層110に吸収された尿、便に含まれる水分などの体液がこの紙おむつから漏出するのを防止する層であり、こうした防水体層118は種々の素材で形成することができるが、例えば、非透水性樹脂の薄層フィルムあるいはこうした非透水性の樹脂で防水コートされた水不透過性積層体、プラスチックでラミネートした紙などで形成されている。また、この防水体層118には、上記吸水層110で吸収し切れなかった水分を吸収するための高吸水層120を配置することができる。この高吸水層120は、例えば高吸水性アクリルポリマーなどを含有する層である。このような高吸水性ポリマーな大量の水を吸収するとゲル化して水に対して不溶性になるので、高吸水層120は、例えば、上記のようにして吸水性層110を防水体層118から剥離して水解処理する場合に、吸水性層110と共に防水体層118から剥離されると、水解処理の際に水洗トイレなどの管詰まりの原因となる。したがって、この高吸水層120は、防水体層118の表面にこの防水体層118と一体に形成されていることが好ましい。 【0042】また、このような紙おむつには、必要により横漏れ防止手段122を設けることができる。図2および図3には、防水体層118の長さ方向の両縁部近傍にギャザーが形成されるように、弾性部材122が防水体層118に貼着されており、この弾性部材122によってギャザーが形成され、股の部分にこの紙おむつ101がフィットして、横漏れを防止する態様が示されている。ここで横漏れ防止に使用される弾性部材122は、ゴムなどであり、水に対する水解性を示さないことから、水解処理されない防水体層118の表面に貼着することが好ましい。また、この横漏れ防止手段には、図示していないが、防水体層118の側縁部を紙おむつ101の内側に回りこませてここに弾性部材を配置するなど種々の方法が知られており、本発明では、こうした既に知れられている種々の方法を採用することができる。 【0043】また、こうした紙おむつは、通常はオムツカバーの内側に配置されて使用されることから、オムツカバーからずれないように、防水体層118がオムツカバー接触する面に、粘着剤(図示なし)を設けることもできる。このような紙おむつは、通常はオムツカバーに好適には粘着剤で固定して乳幼児などの紙おむつを必要としている人に装着する。 【0044】使用後、この紙おむつを取り外して、防水体層118と吸収体本体110とを分離して、防水体層118は通常のごみとして処理し、分離された吸収体本体110は、例えば、水洗トイレなどに投入して水解させて処理する。なお、上記のように本発明の紙おむつは、通常はオムツカバーと共に使用されるが、この紙おむつをパンツ型にすることもでき、この場合には通常はオムツカバーを使用する必要はない。このようなパンツ型の紙おむつは、たち歩きし始めた乳幼児、老人などに好適に使用することができる。 【0045】また、本発明の紙おむつは、吸収体本体の表面に上記特定の不織布からなるライナーを配置して使用することもできる。このようにして使用されるライナーには水分の逆戻り防止加工を施すことが好ましい。このような逆戻り防止加工を施したライナーを介して本発明の紙おむつを装着することにより、紙おむつが吸水した場合であっても、使用者は湿潤感が少なく、湿潤による不快感が低減される。 【0046】このようなライナーは、上記詳述した特定の不織布に部分的撥水性を付与する方法、裏面を起毛する方法など種種の方法により形成することができる。次に本発明の体液吸収体の一態様である尿取りパットについて説明する。尿取りパットは、例えば老人性の失禁などによる少量の尿漏れを吸収するために主として使用されるものであり、基本的には、図4に示すように、この尿取りパット130は、防水体層148と吸水性層138との積層体である。 【0047】この防水体層148は上記紙おむつにおける防水体層と同様の素材で形成されている。そして、吸水性層138は、この尿取りパット130が、比較的少量の尿を吸収するものであることから、上記特定の不織布134から形成されていてもよいし、また図4に示すように、パルプなどの単繊維からなる綿状吸収体136と上記特定の不織布から形成されていてもよい。また、この吸水性層138を形成する不織布は、単層であってもよいし、複数枚の不織布が積層されたものであってもよい。 【0048】さらに、この尿取りパット130は、ずれ防止のために、下着に貼着できるように、防水体層148の下着に対峙する面に粘着剤層146を形成することが好ましい。図4には、粘着剤層146が形成された態様が示されているが、使用前には、この粘着剤層146の表面は、剥離紙(図示なし)貼着されており、使用時にこの剥離紙を剥がして、この尿取りパット130を下着に貼着して使用する。 【0049】このような構成を有する尿取りパット130は、使用後、不織布134と防水体層148とを剥離して、不織布134を水洗トイレなどで水解させて処理し、防水体層148は一般ごみとして処理する。この際、綿状吸収体136は、短繊維(例えば、平均繊維長4mm以下、好ましくは2mm未満)で形成されている場合には、不織布134と共に水解処理することが可能である。 【0050】本発明の体液吸収体である生理用ナプキン150は、基本的には、図5に示すように、防水体層と158と吸水性層168との積層体である。ここで防水体層158は、紙おむつにおける防水体層と同等の素材で形成されている。こうした防水体層158に積層される吸水性層168は、上述した特定の不織布166とから形成されている。この吸水性層168を形成する不織布は、単層であってもよいし、複数枚の不織布が積層されたものであってもよい。また、この防水体層168は、上記の不織布166と綿状吸収体165から形成されていてもよい。即ち、吸収される体液量が少ない場合に使用する生理用ナプキンは、上記不織布166を単層であるいは複数積層して使用することができる。また吸収される体液吸収量の多い場合あるいは長時間着用している場合にはこの生理用ナプキンの体液吸収許容量を多くする必要があり、こうした場合には、図5に示すように、綿状吸収体165を配置することが好ましい。本発明において綿状吸収体165を形成し、この綿状吸収体165を不織布166と共に水解処理する場合には、この綿状吸収体165を形成する繊維の繊維長さが短いことが好ましく、通常は4mm以下、好ましくは2mm未満とすることにより、この綿状吸収体165を不織布166と共に水解処理することが可能になる。 【0051】また、このような生理用ナプキン150には、必要により長手方向の側縁部近傍に横漏れ防止手段164を設けることが好ましい。この横漏れ防止手段164は、例えば図5に示すように、不織布166の横縁部を防水体層164に接着せずに自由端にして、生理用ナプキンの長手方向の中心線に向かって折り曲げることにより形成することができる。また、図示していないが、横漏れ防止手段は、防水体層158などの水解性を有していない素材に弾性部材を貼着して配置することによりギャザー状に形成してもよい。 【0052】また、本発明の生理用ナプキンには、下着などと接触する防水体層158面に、装着する生理用ナプキンの装着ずれを防止するために、粘着剤層156を形成することが好ましい。なお、この粘着剤層156の表面には、剥離紙(図示なし)が貼着されており、本発明の生理用ナプキンは、使用直前にこの剥離紙を撤去して使用される。 【0053】このような生理用ナプキン150は、使用後に、防水体層158と吸水性層168とを分離して、吸水性層168を水洗トイレなどで水解処理する一方、防水体層158は一般ごみとして処理する。また、上記と同様に、綿状吸収体165が水解可能な短繊維で形成されている場合には、不織布166と共にこの綿状吸収体165も水解処理することができる。 【0054】本発明の体液吸収体であるおりものシート180は、図6に示すように、基本的には、防水体層188と吸水性層198との積層体である。ここで防水体層188は、紙おむつにおける防水体層と同等の素材で形成されている。こうした防水体層188に積層される吸水性層198は、上述した特定の不織布196から形成されている。この吸水性層198を形成する不織布196は、単層であってもよいし、複数枚の不織布が積層されたものであってもよい。 【0055】また、本発明のおりものシート180には、が下着などと接触する防水体層188面に、装着するおりものシート180の装着ずれを防止するために、粘着剤層186を形成することが好ましい。なお、この粘着剤層156の表面には、剥離紙(図示なし)が貼着されており、本発明のおりものシート180は、使用直前にこの剥離紙を撤去して使用される。 【0056】このようなおりものシート180は、使用後に、防水体層188と吸水性層198とを分離して、吸水性層198を水洗トイレなどで水解処理する一方、防水体層188は一般ごみとして処理する。本発明の母乳パットは、少なくとも表面層が、上記不織布で形成されている。この母乳パットは、肌と接触する表面が上記不織布で形成されており、この母乳パットの肌と接触する表面と反対の表面には通常は防水性シートが配置されている。また、この不織布と防水シートの間には、通常はパルプなどからなる吸収体が形成されている。この吸収体が上記不織布で形成されていてもよい。 【0057】以上本発明の体液吸収体について、紙おむつ、尿取りパット、生理用ナプキン、おりものシート、母乳パットを例にして詳細に説明したが、本発明の体液吸収体は、上記説明した以外に種々改変することができる。例えば、水解処理する不織布を、防水体層から分離しやすいように、不織布に長手方向に易分離手段としてミシン線を形成することもできる。 【0058】また、本発明の体液吸収体としては、上記例示して示した紙おむつ、尿取りパット、生理用ナプキン、おりものシート以外にも、これと同等の構成を有し、不織布を水解して処理する用途に使用することができる。 【0059】 【発明の効果】本発明の体液吸収体は、上述した特定の不織布を有しており、この不織布は、少量の水分を含有した湿潤時においては充分な強度を有しており、他方、大過剰の水と接触すると解繊して崩壊する。従って、本発明の体液吸収体は、使用後にこの不織布からなる吸水性層を、水解性を有していない防水体層から分離し、水に投入することにより水解させて速やかに処理することができる。 【0060】 【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例等で体液吸収体を形成するために作成された繊維および不織布の各物性は、以下の方法によって測定あるいは評価を行った。 【0061】なお、本発明において、捲縮弾性率、伸び率、引張り強度、引抜摩擦抵抗などの数値の平均値は、特に限定しない限り、サンプル数5の平均値である。 [捲縮弾性率]JIS-L-1015の7.12の記載の基づいて、表面が滑らかな紙に空間距離25mmの区分線をつくり、これに損なわれていない部分から採取した試料を1本づつ区分内のはり付表に対して25±5%の緩みを持たせて両端を接着剤ではりつけ固定して25mm当たりの捲縮数を測定する。この試料を1本づつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重をかけた時のつかみ間の距離(空間距離)(mm)を読みとり初荷重をかけた時の長さaとした。次に1デニール当たり50mgの荷重をかけた時の長さをもとめてbとした。次に荷重を除き、2分間放置後初荷重をかけて長さを読み取り、この値をcとした。次に記載する式から捲縮弾性率(%)を求めた。 【0062】 捲縮弾性率(%)=[(b−c)/(b−a)]×100200%含水時(湿潤時)の捲縮弾性率は上記のような試料に筆で水分を充分に付着させて、上記と同様にして測定した。 〔伸び率〕試験片とする繊維の長さを測定し、次いでこの繊維の両端部を伸び率測定装置にセットして通常の条件に従って20mm/分間の速度で引っ張り破断に至るまでの長さを測定し、下記式(1)に基づいて伸び率を測定した。 【0063】 【数1】
【0064】〔引張り強度〕試験片とする繊維を、市販の引張り強度測定装置にセットして、この繊維に過重をかけてこの繊維に順次荷重加えていって、この繊維が破断に至ったときの最大荷重を測定して引張り強度とした。 〔引抜摩擦抵抗〕図1に示す繊維の引抜摩擦抵抗測定装置1を用いて下記のようにして得られた繊維の滑り抵抗値を求めた。この引抜摩擦抵抗測定装置1は、上部固定基台10と、この上部固定基台10に対して移動可能な下部移動基台20とを有している。そしてこの上部固定基台10の下端部にはクリップ12が設けられており、試験される繊維(上糸)40の両端部を挟持して繊維のループを形成することができるようにされている。他方、下部移動基台20は、上部固定基台10に対して下方に移動可能に形成されており、この下部移動基台20の上端部には、試験される繊維(下糸)50の一端部を挟持することができるようにクリップ32が設けられている。この滑り抵抗を測定するに際しては、2本の繊維(同一種類)を用意する。 【0065】そして、1本の繊維(上糸)40の両端部を上記上部固定基台にクリップ12に挟持してループ42を形成し、他の一本の繊維(下糸)50の一端部を下移動基台のクリップ32に挟持させて固定すると共に、この下糸50の他端を、上記上糸40によって形成されているループ42に通し、さらにこの他端部に200mgの重りをくくりつける。 【0066】乾燥時の滑り抵抗を測定する場合には、上記のように上糸40と下糸50とをセットし、下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸と下糸との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定し、この抵抗値を滑り抵抗とする。一方、この装置1には、上記上糸40および下糸50をセットした後、これらの上糸40と下糸50とを含浸することができる浴槽60が設けられており、この浴槽60に水などの液体62を充填して上糸40と下糸50とを液体に5分間含浸させた後、浴槽60を取り外し、余剰の液体62を除去した後、上記と同様にして下部移動基台20を20mm/分の速度で下方に移動させ、このとき生ずる上糸40と下糸50との間に生ずる引き抜き抵抗値を測定ことにより、湿潤時における繊維の滑り抵抗とした。 【0067】なお、上記のようにして測定した湿潤時の繊維について、その重量を測定すると、この繊維の水分含有率は乾燥繊維重量に対して200重量%でほぼ一定する。 〔繊維径〕レンチング社製、商品名:バイブロスコプを用いて、振動法により単繊維の径(デニール)を求めた。 〔厚さ〕アスカー中型測厚器を用いて、不織布10枚重ねの厚さを測定し、1枚分の厚さを算出した。 〔繊維の平均長さ〕不織布を構成する繊維10本の長さを測定し、平均値を求めた。 〔水解性〕容量1リットルの分液ロートに水道水300ミリリットルを入れ、さらに、この分液ロートに100×100mmの不織布を入れ、すばやく振盪機(イワキ社製KMシェイカーV-S)にセットし、ストローク40mm260rpmにて30秒間振盪して、不織布を解繊させた。 【0068】これとは別に、上部の直径が145mm、斜面の長さが130mm、脚部の内径が10mm、長さが130mmの三角ロートを用意し、上記のようにして振盪させることにより解繊した不織布を水道水と共に、上記三角ロートに移し、10秒以内に水道水が解繊した不織布と共に三角ロートの脚部を通過してものを「水解性良好」とし、水道水のみが脚部から排出され、繊維が三角ロート内に残ったものを「水解性不十分」とした。水解性繊維としては、「水解性良好」であることが好ましいが、実際の水洗トイレによる処理ではトイレのつまりは殆ど生じない。 【0069】 【実施例1】カチオン化セルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムとを1:1の重量比で混合したイオン性樹脂30重量部とレーヨン70重量部とをビスコース溶液中で均一に混合した。次いで、この混合物を凝固浴中に加圧下に押し出して紡糸することにより、極性基を有する高分子が30重量%練り込まれたレーヨン繊維を製造した。この繊維の平均繊維径は3.0デニールであり、平均繊維長は38mmであった。 【0070】この繊維について、乾燥時、繊維重量に対して200重量%の水分を含有した時の平均伸び率および平均引張り強度を測定した。こうして得られた繊維について測定した乾燥時の捲縮数は22個/インチであった。この繊維について乾燥時に測定した捲縮弾性率は78.3%であり、湿潤時の捲縮弾性率は56.4%であり、乾燥時の捲縮弾性率を100%とすると、湿潤時の捲縮弾性率は、72.0%に相当する。 【0071】また、この繊維について測定した乾燥時の平均引張り強度は2.11g/dであり、200重量%の水分を含有した時の平均引張り強度は0.92g/dであった。この結果から、200重量%水分含有時の平均引張り強度は、乾燥時の平均引張り強度の44%であった。また、この繊維の乾燥時の平均伸び率は原糸に対して17%であるのに対して200重量%の水分を含有した時の平均伸び率は原糸に対して24%であった。この結果から、200重量%水分含有時の平均伸び率は、乾燥時の平均伸び率に対して140%に相当する。 【0072】さらに、この繊維について、図1に示す引抜摩擦抵抗測定装置を用いて測定したところ、平均引剥摩擦抵抗(引き抜きに要する力)は0.44gであった。また、この繊維に200重量%の水分を含有させて上記と同様にして測定した平均引抜摩擦抵抗は1.09gであった。この200重量%含水時の繊維の平均引抜摩擦抵抗は、乾燥時の平均引抜摩擦抵抗100%に対して250%であった。 【0073】上記のようにして得られた繊維を用いてウエブを形成し、スパンレース方式により不織布を製造した。このときの水圧を25kg/cm2に設定して、平均厚さ0.5mm、目付40g/m2の不織布を製造した。この不織布の乾燥時のMD方向の引張り強度は、3.19kgfであり、CD方向の引張り強度は1.07kgfであった。また、この不織布の200重量%水分含有時のMD方向の引張り強度は、2.78kgfであり、CD方向の引張り強度は0.84kgfであった。 【0074】上記の不織布から100×100mmの試験片を切り出し、上記の上記の方法で水解性を測定したところ、この不織布の水解性は、「水解性良好」であった。別に平均繊維長さ2mmのパルプ10gを用意して、このパルプを上記のようにして製造した不織布(100×100mm,重量0.4g)で囲繞して吸水体を形成した。このようにして製造された吸水体を、中央部にアクリル系吸水剤を含有する高吸水性吸水層が形成されたプラスチックラミネート紙製防水体層に貼着した。また、この防水体層の吸水性層が貼着されていない側に、両面粘着テープを貼着した。 【0075】こうして製造された紙おむつに擬似尿を20ミリリットル(不織布とパルプの重量の190重量%)含浸させて2時間放置したが、不織布の解繊は見られなかった。2時間経過後、上記擬似尿を含有する紙おむつから吸水性層を剥ぎ取り、300ミリリットルの水に投入してガラス棒でゆっくり攪拌することにより、解繊した。 【0076】また、上記と同様にして製造した紙おむつに擬似尿を含浸させた後、吸水性層を剥ぎ取り、水洗トイレに流す操作を繰り返し行ったが、水洗トイレの管つまりは発生しなかった。 【0077】 【実施例2】カチオン化セルロースと、ポリアクリル酸ナトリウムの1:1の複合系50部とレーヨン50部とを実施例1と同様の方法で練り込みし、水分解性高分子50重量%練り込みレーヨンを得た。これを用いて、実施例1と同様の方法で繊維を得た。この繊維の平均繊維径は3.0デニール、平均繊維長は38mmであった。 【0078】こうして得られた繊維について乾燥時および湿潤時の捲縮弾性率を測定し、乾燥時の捲縮弾性率を100%としたときの湿潤時の捲縮弾性率は乾燥時の捲縮弾性率の28.0%であった。また、この繊維について測定した乾燥時の平均引張り強度は1.46g/dであり、200重量%の水分を含有した時の平均引張り強度は0.49g/dであった。この結果から、200重量%水分含有時の平均引張り強度は、乾燥時の引張り強度の34%であった。 【0079】また、この繊維の乾燥時の平均伸び率は原糸に対して14%であるのに対して200重量%の水分を含有した時の平均伸び率は原糸に対して18%であった。この結果から、200重量%水分含有時の平均伸び率は、乾燥時の平均伸び率に対して130%に相当する。さらに、この繊維について、図1に示す引抜摩擦抵抗測定装置を用いて測定したところ、平均引抜摩擦抵抗(引き抜きに要する力)は1.35gであった。また、この繊維に200重量%の水分を含有させて上記と同様にして測定した平均引抜摩擦抵抗は1.14gであった。この200重量%含水時の繊維の平均引抜摩擦抵抗は、乾燥時に平均引抜摩擦抵抗100%に対して118%であった。 【0080】この繊維を用いて実施例1と同様にして不織布を製造した。この不織布の乾燥時のMD方向の引張り強度は、5.07kgfであり、CD方向の引張り強度は0.83kgfであった。また、この不織布の200重量%水分含有時のMD方向の引張り強度は、2.07kgfであり、CD方向の引張り強度は0.18kgfであった。 【0081】上記の不織布から100×100mmの試験片を切り出し、上記の上記の方法で水解性を測定したところ、この不織布の水解性は、「水解性良好」であった。別に平均繊維長さ2mmのパルプ10gを用意して、このパルプを上記のようにして製造した不織布(100×100mm,重量0.4g)で囲繞して吸水体を形成した。このようにして製造された吸水体をプラスチックラミネート紙製防水体層に貼着した。また、この防水体層の吸水性層が貼着されていない側に、両面粘着テープを貼着して生理用ナプキンを製造した。 【0082】こうして製造された生理用ナプキンに擬似血液を10ミリリットル(不織布とパルプの重量の96重量%)含浸させて2時間放置したが、不織布の解繊は見られなかった。2時間経過後、上記擬似血液を含有する生理用ナプキンから吸水性層を剥ぎ取り、300ミリリットルの水に投入してガラス棒でゆっくり攪拌することにより解繊した。 【0083】また、上記と同様にして製造した紙おむつに擬似血液を含浸させた後、吸水性層を剥ぎ取り、水洗トイレに流す操作を繰り返し行ったが、水洗トイレの管つまりは発生しなかった。 【0084】 【実施例3〜4】実施例1で製造した不織布を用いて、図4に示す構成の尿取りパットおよび図6に示す構成のおりものシートを製造した。これらに少量の擬似尿あるいは擬似血液を含浸させたが、不織布の解繊は見られなかった。また、これらの吸水性層を剥離して水洗トイレに流したが、水洗トイレの管詰まりは発生しなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000112288 【氏名又は名称】ピジョン株式会社 【識別番号】000003090 【氏名又は名称】東邦レーヨン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月12日(1999.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081994 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−137283(P2001−137283A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月22日(2001.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−323310 |
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