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【発明の名称】 皮膚適用発熱シート
【発明者】 【氏名】堤 信夫

【氏名】水島 紀恭

【要約】 【課題】優れた温熱効果を達成することができると共に、皮膚に直接貼付して長時間使用した場合であっても貼付部における発赤や疼痛等の発生が十分に防止される皮膚適用発熱シートを提供すること。

【解決手段】通気性フィルム及び不織布を含む第1の複合フィルムと非通気性又は通気性フィルム及び不織布を含む第2の複合フィルムとから構成されたシート状袋と、前記シート状袋の内部に収容された発熱剤と、前記第2の複合フィルム上に形成された粘着剤層とを備えた皮膚適用発熱シートであって、前記発熱剤が、30〜50重量%の鉄粉、9〜22重量%の活性炭、10〜25重量%のバーミキュライトおよび/または木粉、3.5〜6重量%のカリウム塩および/またはカルシウム塩、及び20〜24重量%の水を含むものであり、かつ前記発熱剤における前記鉄粉と前記バーミキュライトおよび/または木粉の重量比が2:1〜3:1であることを特徴とする皮膚適用発熱シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気性フィルム及び不織布を含む第1の複合フィルムと非通気性又は通気性フィルム及び不織布を含む第2の複合フィルムとから構成されたシート状袋と、前記シート状袋の内部に収容された発熱剤と、前記第2の複合フィルム上に形成された粘着剤層とを備えた皮膚適用発熱シートであって、前記発熱剤が、30〜50重量%の鉄粉、9〜22重量%の活性炭、10〜25重量%のバーミキュライトおよび/または木粉、3.5〜6重量%のカリウム塩および/またはカルシウム塩、及び20〜24重量%の水を含むものであり、かつ前記発熱剤における前記鉄粉と前記バーミキュライトおよび/または木粉の重量比が2:1〜3:1であることを特徴とする皮膚適用発熱シート。
【請求項2】 前記第1の複合フィルムが、JIS K7129(A法)に規定する試験方法で測定された透気度が120g/m・day〜400g/m・dayのものであることを特徴とする、請求項1記載の皮膚適用発熱シート。
【請求項3】 前記鉄粉が、還元鉄粉および/またはアトマイズ鉄粉と、鋳鉄粉の混合物からなり、その混合重量比が5:1〜1:5であることを特徴とする皮膚適用発熱シート。
【請求項4】 前記粘着剤層が、前記第2の複合フィルムの不織布上にストライプ状又はドット状に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3記載の皮膚適用発熱シート。
【請求項5】 前記ストライプ状又はドット状に形成された粘着剤層において、前記粘着剤層間の溝部の幅が該粘着剤層の少なくとも一方向の配列において3.5〜10mmとなっていることを特徴とする、請求項4記載の皮膚適用発熱シート。
【請求項6】 前記粘着剤層の幅と前記溝部の幅の比が1:1〜2.5:1となっていることを特徴とする、請求項5記載の皮膚適用発熱シート。
【請求項7】 最高発熱温度が38℃〜42℃であり、発熱持続時間が5時間〜9時間であることを特徴とする、請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の皮膚適用発熱シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は皮膚適用発熱シートに関し、より詳しくは、発熱剤を内包したシート状袋上に粘着剤層を形成した、皮膚に直接貼付して使用するための発熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】発熱シートは、空気の存在下で発熱する組成物、例えば鉄粉、無機塩、活性炭、水等からなる発熱剤を、例えば不織布と通気孔を有する通気性樹脂フィルムとをラミネートした上被層と、不織布と無孔の非通気性樹脂フィルムとをラミネートした下被層とからなるシート状袋内に収容したものであり、通常は前記下被層と上被層を重ね合わせ、その間に発熱剤を配置した状態でその外周を熱融着することにより製造される。
【0003】そして、かかる発熱シートは、保存中は空気との接触を避けるために非通気性樹脂フィルムで作られた外袋中に密封されており、使用時に外袋から取り出して空気と接触させることにより発熱剤が空気と反応して発熱するものである。
【0004】このような発熱シートは、肩こり、神経痛、筋肉痛等の温熱治療器具として用いられ、衣服を介して患部上に配置しておくだけで血行が促進されて筋肉痛等が緩和されるという効果を有する。そのため、簡易な血行促進器具としてこのような発熱シートは広く用いられており、特開昭58−92752号には鉄粉、活性炭、食塩、水及びバーミキュライトからなる発熱剤を用いた発熱シートが開示されている。
【0005】一方、より温熱効果に優れた発熱シートとして、発熱剤を内包したシート状袋上に粘着剤層が更に形成されていて皮膚に直接貼付して使用するタイプの発熱シート、すなわち皮膚適用発熱シートも近年になって開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特開昭58−92752号に記載されているような従来の発熱シートを皮膚適用発熱シートに適用した場合、かかる発熱シートが粘着剤を介して直接皮膚に貼付されるため、就寝時等に長時間連続使用したりあるいは剥がし忘れた際に発熱シートの熱によって貼付部に発赤や疼痛等を生じる可能性があるという課題があった。
【0007】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れた温熱効果を達成することができると共に、皮膚に直接貼付して長時間使用した場合であっても貼付部における発赤や疼痛等の発生が十分に防止される皮膚適用発熱シートを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、鉄粉、活性炭、バーミキュライトおよび/または木粉、カリウム塩および/またはカルシウム塩、及び水をそれぞれ所定範囲内の量で含有する発熱剤を使用すると共に、バーミキュライトおよび/または木粉の含量に対する鉄粉の含量の比率を従来より低くすることにより、優れた温熱効果の達成と発赤や疼痛等の発生防止とを両立した皮膚適用発熱シートが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の皮膚適用発熱シートは、通気性フィルム及び不織布を含む第1の複合フィルムと非通気性又は通気性フィルム及び不織布を含む第2の複合フィルムとから構成されたシート状袋と、前記シート状袋の内部に収容された発熱剤と、前記第2の複合フィルム上に形成された粘着剤層とを備えており、前記発熱剤が、30〜50重量%の鉄粉、9〜22重量%の活性炭、10〜25重量%のバーミキュライトおよび/または木粉、3.5〜6重量%のカリウム塩および/またはカルシウム塩、及び20〜24重量%の水を含むものであり、かつ前記発熱剤における前記鉄粉と前記バーミキュライトおよび/または木粉の重量比が2:1〜3:1であることを特徴とするものである。
【0010】上記本発明の皮膚適用発熱シートにおいては、前記第1の複合フィルムが、JIS K7129(A法)に規定する試験方法で測定された透気度が120g/m・day〜400g/m・dayのものであることが好ましい。
【0011】また、上記鉄粉が、還元鉄粉および/またはアトマイズ鉄粉と、鋳鉄粉の混合物からなり、その混合重量比が5:1〜1:5であることが好ましい。
【0012】本発明の皮膚適用発熱シートにおいては、前記粘着剤層が前記第2の複合フィルムの不織布上にストライプ状又はドット状に形成されていることが好ましい。この場合、前記ストライプ状又はドット状に形成された粘着剤層間の溝部の幅が、粘着剤層の少なくとも一方向の配列において3.5〜10mmとなっていることが好ましく、前記粘着剤層の幅と前記溝部の幅の比が1:1〜2.5:1となっていることがより好ましい。
【0013】上記本発明の皮膚適用発熱シートにあっては、38℃〜42℃の最高発熱温度で5時間〜9時間の発熱持続時間を達成することが可能であり、優れた温熱効果と共に発赤や疼痛等の発生を防止できる点で好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の皮膚適用発熱シートについて更に詳細に説明する。
【0015】先ず、本発明の皮膚適用発熱シートに使用する発熱剤について説明する。本発明にかかる発熱剤は、30〜50重量%の鉄粉、9〜22重量%の活性炭、10〜25重量%のバーミキュライトおよび/または木粉、3.5〜6重量%のカリウム塩および/またはカルシウム塩、及び20〜24重量%の水を含むものであり、しかも鉄粉とバーミキュライトおよび/または木粉の重量比が2:1〜3:1の範囲内にあることが必要である。
【0016】本発明にかかる発熱剤において、鉄粉は、水と空気中の酸素により酸化して酸化熱を出す発熱原料である。かかる発熱剤中の反応は以下のようなものであると本発明者らは認識している。すなわち、空気中の酸素は直接的に鉄と化合せず、一度酸素が水に溶けた後に鉄と化合するいわゆる腐食反応により反応が進む。カリウム塩は触媒として働き、鉄の酸化を促進させる。また、活性炭は陰極剤として作用し、鉄粉表面の水素集積を防止して反応を円滑に進めるとともに、鉄粉中の不純物(砒素、燐、硫黄等)から発生する悪臭を吸着除去する。さらに、バーミキュライトおよび/または木粉は、水分を十分に含有し空隙を均一に保持するため、空気の流通接触を良くして酸素を水に溶けやすくして、酸化反応を円滑に進める作用と、鉄粉や活性炭を均一に付着させて各成分のばらつきをなくす働きを有する。
【0017】本発明者らは、上記発熱剤の各成分の特性を十分に熟知した上で前述の目的を達成すべく鋭意研究した結果、皮膚に直接貼付して使用する皮膚適用発熱シートにおいて優れた温熱効果の達成と発赤や疼痛等の発生防止とを両立するためには発熱温度(最高発熱温度)を38℃〜42℃という非常に狭い範囲に維持することが重要であり、しかもその発熱持続時間(38℃以上の温度を維持する時間)を5〜9時間程度にすることが有効であって、本発明にかかる発熱剤組成によってこのような厳しい条件を満たすことが可能であることを見出した。すなわち、発熱剤の組成が前述の本発明にかかる組成の範囲外であると、38℃〜42℃という発熱温度と5〜9時間程度という発熱持続時間を達成する使用感の良い皮膚適用発熱シートを得ることができない。
【0018】具体的には、鉄粉の含量が30重量%未満であると十分な発熱温度が得られない。他方、鉄粉の含量が50重量%を超えると、発熱温度が後述する皮膚の臨界温度を超えてしまい、また、発熱シートの重量が重くなって貼付部に対するフィット感も悪くなる。なお、鉄粉の種類は特に制限されないが、中でも、鉱石等を還元して製造される還元鉄粉、溶液から噴霧して製造されるアトマイズ鉄粉、鋳鉄素材を原料として破砕して製造される鋳鉄粉が好ましく、さらには還元鉄粉またはアトマイズ鉄粉と鋳鉄粉の混合物が所望する発熱の立ち上がりが早く好ましい。特に本発明の組成物の構成においては、還元鉄粉および/またはアトマイズ鉄粉と、鋳鉄粉の混合物の重量比が5:1〜1:5であれば、所望の温度に達する時間(立ち上がり時間)が10分以内であり、非常に好ましい。
【0019】活性炭の含量は、上記鉄粉を反応させるために9重量%以上であることが必要である。他方、活性炭の含量が22重量%を超えると貼付部に対するフィット感が悪くなり、また、原料コストの面からも実用性に乏しくなる。
【0020】バーミキュライトおよび/または木粉の含量が10重量%未満では発熱の持続性が十分ではなく、他方、25重量%を超えると発熱の持続時間が長くなり過ぎて就寝時や剥がし忘れた際の発赤、疼痛等の発生原因となる。
【0021】カリウム塩および/またはカルシウム塩の含量は、3.5重量%未満では十分な発熱が得られるまで時間がかかり、他方、6重量%を超えると発熱反応が早く進み、発熱が5時間以内に終了してしまう傾向にある。さらに、カリウム塩またはカルシウム塩を使用すると、従来より発熱剤の組成物として頻繁に用いられる塩化ナトリウムとは異なり、使用済みの発熱剤を肥料として用いることも可能となり、地球環境に優しい皮膚適用発熱シートの提供が可能となる。カリウム塩としては、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、ケイ酸カリウム、重炭酸カリウム等のうちから一種または二種以上選択され、好ましくは塩化カリウムが選択される。またカルシウム塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム等のうちから一種または二種以上選択され、好ましくは塩化カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウムの混合物が選択される。
【0022】また、水の含量は、20重量%未満では発熱の持続性が十分ではなくなり、他方、24重量%を超えると鉄が濡れすぎて反応が却って阻害される。
【0023】本発明にかかる発熱剤においては、上記の諸成分が上記組成範囲内にあることに加えて、発熱剤中の鉄粉含量とバーミキュライトおよび/または木粉含量の比率(重量比)が2:1〜3:1であることが必要である。この比率(鉄粉の含量対バーミキュライトおよび/または木粉の含量)が2/1より小さいと得られる発熱シートにおいて38℃以上の発熱温度が達成されず、他方、3/1より大きいと得られる発熱シートにおける発熱温度が42℃を超え、しかも発熱持続時間が9時間を超えることとなる。
【0024】次に、上記発熱剤を備えた本発明の皮膚適用発熱シートについて説明する。すなわち、本発明の皮膚適用発熱シートは、通気性フィルム及び不織布を含む第1の複合フィルムと非通気性又は通気性フィルム及び不織布を含む第2の複合フィルムとから構成されたシート状袋と、前記第2の複合フィルム上に形成された粘着剤層とを備えている。そして、上述の発熱剤を前記シート状袋の内部に収容することによって、38℃〜42℃という発熱温度と5〜9時間程度という発熱持続時間とを達成することが可能となる。
【0025】なお、通常、発熱シートを用いた温熱治療は熱を患部に供給して温めることにより、血行を促進させ、肩こり、筋肉痛等を緩和するという温熱効果が奏される。しかしながら、皮膚表面の温度が臨界温度(42℃〜43℃程度)を超えると逆に血液が流れにくくなり、血液流による冷却効果が低下し、発熱シートの貼付による蓄熱が増進する結果、貼付部に発赤や疼痛等が発生する。
【0026】本発明の皮膚適用発熱シートにあっては、上述の構成によって発熱温度が38℃〜42℃という狭い温度範囲に維持されるため、皮膚に直接又は薄目の服地の上から貼付しても、適度な温かさによって十分な温熱効果が奏されると共に、貼付部の温度が上記臨界温度を超えることがない。そのため、本発明の皮膚適用発熱シートによれば、優れた温熱効果の達成と発赤や疼痛等の発生防止とが両立して得られる。
【0027】また、本発明の皮膚適用発熱シートによれば、上記構成により発熱持続時間を5〜9時間程度にすることが可能となる。したがって、発熱持続時間の不足に起因する温熱効果の低減は防止され、他方、就寝時や剥がし忘れた場合であっても9時間程度で発熱が自動的に終了するため過度の発熱持続時間に起因する発赤、疼痛等の発生や発汗によるかぶれの発生がより確実に防止される。
【0028】なお、ここでいう「発熱温度」とは発熱シート表面の最高発熱温度を意味し、「発熱持続時間」とは発熱シート表面の温度が38℃以上となってから38℃未満になるまでの時間を意味し、「立ち上がり時間」とは発熱シート表面の温度が38℃に達するまでの時間を意味する。
【0029】次に、本発明の皮膚適用発熱シートの好適な実施形態を図面を参照して説明する。
【0030】図1は、本発明の皮膚適用発熱シートの一実施形態を示す模式断面図である。同図に示す皮膚適用発熱シート1においては、前述の発熱剤10が通気性フィルム20と非通気性フィルム30とで挟持されており、通気性フィルム20と非通気性フィルム30との周縁部40がシール(例えばヒートシール)されている。そして、通気性フィルム20の外面には不織布21が接着剤22を介して積層されており、これらにより第1の複合フィルム23が構成されている。また、非通気性フィルム30の外面には不織布31が接着剤32を介して積層されており、これらにより第2の複合フィルム33が構成されている。そして、第1の複合フィルム23と第2の複合フィルム33とによりシート状袋50が構成されており、更に、第2の複合フィルム33の不織布31の外面(接着されていない側の表面)には発熱シート1を皮膚に貼付するための粘着剤層60が形成されている。第1の複合フィルム23における不織布21の材質は特に限定されず、親水性でも疎水性でもよいが、ポリアミド(ナイロン系)、ポリオレフィン、ポリエステル等の合成繊維製不織布や天然繊維製不織布が好ましく使用され、特に好ましくはナイロン系の不織布が使用される。このような不織布21としては、厚さが50μm〜1mm程度のものが好適に用いられる。
【0031】また、第1の複合フィルム23における通気性フィルム20としては樹脂製の多孔質フィルムが好適に使用され、その材質は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が好ましく使用される。このような通気性フィルム20としては、厚さが20μm〜0.5mm程度のものが好適に用いられる。
【0032】更に、通気性フィルム20と不織布21は接着剤22により貼り合わされていることが本発明の皮膚適用発熱シートを製造する上で好ましく、特にオレフィン系樹脂と無機充填剤とを含む接着剤又はアクリル系接着剤により部分的に貼り合わされていることが下記透気度を得る上で好ましい。
【0033】このような第1の複合フィルム23の厚みは、70μm〜1.5mmであることが好ましく、風合い及び使用感の面から0.1mm〜0.5mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.4mmであることが特に好ましい。
【0034】また、第1の複合フィルム23は、JIS K7129(A法)に規定する試験方法で測定(全自動水蒸気透過度テスター L80−4000型(スイス・リッシー社製)を使用)した透気度が120g/m・day〜400g/m・dayであることが好ましく、150g/m・day〜380g/m・dayであることがより好ましい。透気度が120g/m・day未満では発熱シートを形成した際に38℃以上の発熱温度が得られにくくなる傾向にあり、他方、400g/m・dayを超えると発熱温度が42℃を超え易くなる傾向にある。
【0035】一方、第2の複合フィルム33における非通気性フィルム30としては実質的に酸素を透過しないフィルムであればよく、その材質は特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリスルフォン、ポリアミド等が好ましく使用される。このような非通気性フィルム30としては、厚さが20μm〜0.5mm程度のものが好適に用いられる。
【0036】また、第2の複合フィルム33における不織布31としては親水性不織布が好適に使用され、その材質は特に制限されないが、レーヨン、綿、パルプ等の親水性繊維やこれらの繊維を混合・組み合わせてなる不織布が好ましく使用される。このように親水性不織布を使用すれば、親水性不織布が貼付時に発せられる汗を吸収して蒸気として外部に放出する働きを有する。したがって、親水性不織布を使用することによって、蓄熱防止効果が向上すると共に水分による蒸れも防止され、同時に粘着剤層と皮膚の間に汗がたまってシートが剥がれやすくなることが防止される傾向にある。このような不織布31としては、厚さが50μm〜1mm程度のものが好適に用いられる。
【0037】更に、非通気性フィルム30と不織布31は接着剤32により貼り合わされていることが本発明の皮膚適用発熱シートを製造する上で好ましく、特にオレフィン系樹脂と無機充填剤とを含む接着剤又はウレタン系接着剤により部分的に貼り合わされていることが好ましい。
【0038】このような第2の複合フィルム33の厚みも、70μm〜1.5mmであることが好ましく、風合い及び使用感の面から0.1mm〜0.5mmであることがより好ましく、0.2mm〜0.4mmであることが特に好ましい。
【0039】また、第2の複合フィルム33の不織布31の外面(接着されていない側の表面)に形成される粘着剤層60を構成する粘着剤の材質は特に制限されないが、アクリル系、ウレタン系、ゴム系、シリコン系、ポリイソプレン系、ポリイソブチレン系、スチレン−イソブチレン−スチレン(SIS)系、スチレン−イソプレン系、ポリアクリル酸系などの水溶性高分子等の粘着剤が好ましく使用され、ホットメルト加工処理できるアクリル系又はSIS系の粘着剤が特に好適に用いられる。
【0040】かかる粘着剤層60は第2の複合フィルム33の外面全体に形成されてもよいが、第2の複合フィルム33の外面の50〜85%(面積比)に形成されることが好ましく、50〜70%(面積比)に形成されることがより好ましい。このように粘着剤層60を第2の複合フィルム33の外面に部分的に形成することによって、蓄熱がより確実に抑制され、発赤、疼痛等が一層効果的に防止される傾向にある。
【0041】したがって、本実施形態においては、粘着剤層60は図2に示すようにストライプ状に形成されている。この場合、粘着剤層60と粘着剤層60との間の溝部61の幅(w)を3.5〜10mmとすることが好ましく、さらに粘着剤層60の幅(w)と溝部61の幅(w)の比を1:1〜2.5:1とすることが好ましい。粘着剤層60をこのような構成にすることによって、蓄熱防止効果が一層向上すると共に、貼着部で発生した汗が溝部(空気層部)61を通って不織布31に吸収され易くなるため蒸れやシートの剥がれも一層防止される傾向にある。
【0042】そして、以上のように粘着剤層60間の溝部61の幅(w)を3.5〜10mmとすることにより、発熱シート1と皮膚との間において熱循環(対流)回路が形成され、以下の改善が図られると考えられる。すなわち、熱循環回路の形成に伴って、発熱シート1の非貼付部である溝部61により発生した汗の揮散が効率よく調整され、しかも発汗や蒸れを抑制することができるので発赤のみならずかぶれの発生もより確実に防止される傾向にある。また、皮膚に直接貼付される部分(粘着剤層60)と粘着されない部分(溝部61)とが形成されるため、熱対流作用と共に、複数ヶ所の部分的なツボ刺激的な要素が備わり、より心地よく温熱効果が得られる傾向にある。さらに、粘着剤層60を一定の間隔で設けているため、皮膚に対する粘着力も十分得られ、容易に剥がれることがない。
【0043】一方、溝部61の幅(w)を3mm未満にすると熱循環が十分進まず、発赤や蒸れが起こり易くなる傾向にあると共に、ツボ刺激的効果も減少する。また、溝部61の幅(w)が10mmを超えると、皮膚に対する粘着力が不十分となり、剥がれ易くなって実用性が乏しくなる傾向にあると共に、ツボ刺激的効果も低下する。
【0044】また、粘着剤層60の幅(w)と溝部61の幅(w)の比を1:1〜2.5:1の範囲とすることで、粘着剤層60を全面に形成した場合と同様の温熱効果が得られるとともに、装着性が十分であり、発赤等が一層効果的に防止される傾向にある。すなわち、この比が1:1以上であれば、接着力及び温熱効果がより向上する傾向にある。また、この比が2.5:1以下であれば、蓄熱の抑制と発赤等の防止効果がより一層向上し、汗の滞留も抑えられる結果、蒸れやシートの剥がれがより効果的に防止される傾向にある。なお、粘着剤層60の幅(w)と溝部61の幅(w)の比が1:1〜2.5:1の範囲であっても、粘着剤層60の幅(w)は15mm以下であることが好ましい。この幅(w)が15mm以下であれば、シートの剥がれが抑制されると共に装着性が一層向上する傾向にある。
【0045】さらに、粘着剤層60を、第2の複合フィルム33の外面の全体又は一部を囲むことがないように形成することが好ましい。粘着剤層60で囲まれた部分では熱い蒸気等が外部に放出され難くなるため、蓄熱が起こり易くなる傾向にある。
【0046】上記粘着剤層60の厚みは、60〜250μmの範囲とすることが好ましく、60〜100μmの範囲とすることが更に好ましい。粘着剤層60の厚みをこの範囲とすることによって、発赤や疼痛等の抑制効果がさらに改善される傾向にある。
【0047】また、粘着剤層60を構成する粘着剤の一部は不織布31内に入り込むが、その粘着剤が非通気性フィルム30の表面までは到達しないようにして、不織布31中に粘着剤が入り込んでいない部分を残しておくことが好ましい。このような構成とすることで、第2の複合フィルム33の全面で通気が起こり易くなり、余剰の熱がこの部分を通って外部に放出されるため、発赤等の抑制効果がより一層向上する傾向にある。
【0048】なお、本発明の皮膚適用発熱シート1において、第1の複合フィルム23と第2の複合フィルム33とから構成されたシート状袋50の内部に収容される発熱剤10の量は特に制限されないが、0.1〜0.3g/cm程度の量の発熱剤10を充填することが一般的である。
【0049】以上、本発明の皮膚適用発熱シートの好適な一実施形態について説明したが、本発明の皮膚適用発熱シートは上述のものに制限されるものではない。すなわち、上記実施形態においては粘着剤層がストライプ状に形成されていたが、図3に示すように粘着剤層60はドット状に形成されていてもよい。この場合、ドット状に形成された粘着剤層60の2次元配列の少なくとも一方向の配列において、粘着剤層60と粘着剤層60との間の溝部61の幅(w)を3.5〜10mmとすることが好ましく、さらに粘着剤層60の幅(w)と溝部61の幅(w)の比を1:1〜2.5:1とすることが好ましい。粘着剤層60の幅(w)と溝部61の幅(w)が上記条件を満たすようにすることによって、前述のストライプ状に形成された粘着剤層の場合と同様に蓄熱防止効果が一層向上し、蒸れやシートの剥がれがより確実に防止される傾向にある。
【0050】なお、ドット状の配列された粘着剤層は、2方向に規則的に配列していても、千鳥状に配列していてもよい。また、ドット状に形成された粘着剤層の形状は、長方形状に限定されず、ドット状に配列可能な形状であれば何れの形状でもよく、半球状、円形状、正方形状、菱形状、星形状等が挙げられる。
【0051】また、本発明の皮膚適用発熱シートにおいては、ストライプ状やドット状に形成された粘着剤層の全ての間隔を同一寸法とする必要はなく、用途に応じて種々の形状・配置とすることができる。例えば、特に大型の皮膚適用発熱シート(大きさが150mm×150mm程度以上の発熱シート)の場合は、溝部の幅が3.5〜10mm、粘着剤層の幅と溝部の幅の比が1:1〜2.5:1の範囲内となるようにしつつ、シートの外周部よりも中心部の方が粘着剤層の密度が粗くなるようにして粘着剤層を形成することが好ましい。
【0052】さらに、上記実施形態においては第2の複合フィルム33を構成するフィルム30として非通気性フィルムを使用していたが、かかるフィルム30は通気性フィルムであってもよい。この場合、通気性フィルム30としては前述の通気性フィルム20と同様のものを使用することが可能である。
【0053】また、上記実施形態において使用されていた接着剤22、32は必ずしも必要ではなく、フィルム20と不織布21、フィルム30と不織布31とをそれぞれ熱圧着してもよく、あるいは他の材料からなる層を介して積層してもよい。
【0054】
【実施例】以下、実施例及び比較例を参照しつつ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0055】実験例1〜7び比較例1〜5図1に示す構造の皮膚適用発熱シート(95mm×130mm)を以下のようにして作製した。
【0056】すなわち、ポリエチレン製多孔質フィルム(100μm厚)に疎水性ナイロン製不織布(200μm厚)を接着剤(アクリル系接着剤)を介して積層した表1に示す透気度を有する第1の複合フィルムと、非通気性ポリエチレン製フィルム(100μm厚)に親水性レーヨン製不織布(200μm厚)を接着剤(ウレタン系接着剤)を介して積層した第2の複合フィルムとを、不織布が外側になるようにして重ね合わせ、その周縁部の3辺を5mm幅でヒートシールしてシート状袋を得た。
【0057】そして、このようにして得られた複数のシート状袋の内部に表1及び表2に示す組成を有する発熱剤(25g)をそれぞれ充填し、残りの一辺をヒートシールした。次いで、第2の複合フィルムの親水性レーヨン製不織布の外面全体に疎水性のSIS系粘着剤(日本フーラー製JM6043)を展延して厚さ80μmの粘着剤層を形成し、各皮膚適用発熱シートを得た。
【0058】得られた皮膚適用発熱シートはそれぞれ、粘着剤層を剥離処理したフィルムで覆った後に非通気性の外袋の中に密封し、以下の試験に使用するまで保管した。なお、使用した第1の複合フィルムの透気度をJIS K7129(A法)に規定する試験方法で測定し、得られた結果を表1及び表2に示す。
【0059】以上のようにして作製された表1及び表2に示す皮膚適用発熱シートそれぞれについて、以下の方法にしたがって立ち上がり時間、最高発熱温度、発熱持続時間、発赤・疼痛の起こり易さ、温熱効果を評価した結果を表1及び表2に示す。
【0060】(最高発熱温度、発熱持続時間、立ち上がり時間の測定)発熱シート表面の温度が38℃に到達するまでの時間(立ち上がり温度)、38℃以上となってから38℃未満になるまでの時間(発熱持続時間)と、その間の発熱シート表面の最高温度(最高発熱温度)とを以下のようにして測定した。
【0061】すなわち、材質が厚さ5mmの塩化ビニル板で縦410mm、横610mm、幅60mmの箱形の温熱器の内部に、38℃±1℃の温水を循環式恒温水槽によって8〜9リットル毎分の流水速度で循環させ、温熱器の表面温度が34℃±1℃となるようにした。
【0062】そして、温熱器の一表面に下敷材(日本薬局方で規定するタイプ1のガーゼ)1枚を敷き、その上を被覆材(木綿100%、100番双糸のネル)1枚で覆った。次いで、粘着剤層側の一部に表面温度測定用センサーを取り付けた発熱シートを、被覆材と下敷材との間に下敷材に貼付するようにして設置し、発熱持続時間と発熱最高温度とを測定した。
【0063】(発赤及び疼痛の発生率確認試験)被験者20名の各々の腰部の同一部位に皮膚適用発熱シートを直接貼付し、発熱が終了するまで貼付し続けた。その後、発熱シートを剥離し、剥離から30分後における皮膚表面の状態を観察し、発赤の程度等を評価した。表1及び表2に、発熱シートを剥離してから30分後でも皮膚の赤みが残っているヒトの人数を示した。
【0064】(温熱効果確認試験)慢性的に腰痛のある被験者10名の各々の腰部に皮膚適用発熱シートを2時間貼っていてもらい、腰痛の緩和効果について以下の基準にしたがって評価した。
○:腰痛が緩和したと感じた人数が7人以上、△:腰痛が緩和したと感じた人数が4〜6人、×:腰痛が緩和したと感じた人数が3人以下。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】表1及び表2に示した結果から明らかなように、本発明の皮膚適用発熱シート(実施例1〜7)にあっては、立ち上がり時間が15分以内、最高発熱温度が38℃〜42℃という狭い温度範囲に維持されており、また発熱持続時間は5〜9時間の範囲内であった。そのため、発熱が完了するまで皮膚に直接貼付していたにも拘わらず発赤や疼痛等の発生が十分に防止されており、同時に優れた温熱効果も奏されるものであった。
【0068】これに対して、使用した発熱剤が本発明において規定する組成条件を満たしていない皮膚適用発熱シート(比較例1〜5)にあっては、38℃〜42℃という最高発熱温度は達成されず、温熱効果あるいは発赤・疼痛等の発生防止のいずれかが劣るものであった。
【0069】実施例8〜16粘着剤層の形状をストライプ状とし、粘着剤層の幅と粘着剤層間の溝部の幅とを表3に示す寸法にした以外は実施例1と同様にして各皮膚適用発熱シートを得た。
【0070】以上のようにして作製された表3に示す皮膚適用発熱シートそれぞれについて、前述の方法にしたがって発赤・疼痛の起こり易さ及び温熱効果を評価し、更に以下の方法にしたがって発熱シートの装着性を評価した。得られた結果を表3に示す。
【0071】(発熱シートの装着性試験)被験者10名に皮膚適用発熱シートを使用してもらい、発熱シートの装着性について以下の基準にしたがって評価した。なお、回答が最も多かったものをその発熱シートの評価とした。
○:シートのずれ、剥がれが無く、違和感を感じない、△:貼付部を大きく動かすとシートが剥がれ、若干違和感がある、×:すぐにシートが剥がれる、またはシートが浮く。
【0072】
【表3】

【0073】表3に示した結果から明らかなように、ストライプ状に形成された粘着剤層を有する本発明の皮膚適用発熱シートはいずれも温熱効果及び装着性が良好でありかつ発赤・疼痛の発生が十分に防止されるものであったが、粘着剤層間の溝部の幅が3.5〜10mm、粘着剤層の幅と溝部の幅の比が1:1〜2.5:1となっている場合は温熱効果及び装着性が特に良好であることが確認された。
【0074】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の皮膚適用発熱シートによれば、優れた温熱効果を達成することができると共に、皮膚に直接貼付して長時間使用した場合であっても貼付部における発赤や疼痛等の発生が十分に防止される。
【出願人】 【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
【識別番号】594035998
【氏名又は名称】三宝化学株式会社
【出願日】 平成11年11月11日(1999.11.11)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−137275(P2001−137275A)
【公開日】 平成13年5月22日(2001.5.22)
【出願番号】 特願平11−359614