| 【発明の名称】 |
義足用エアシリンダ装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中矢 賀章
【氏名】富樫 勤
【氏名】奥田 正彦
【氏名】白石 律夫
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| 【要約】 |
【課題】歩行速度の広い範囲にわたって圧力特性を有効に調整することができる義足用エアシリンダ装置の提供。
【解決手段】ピストン113が区画する第2室82は、ひざの屈曲に応じてエアが封じ込められ、圧力が高まる。そうした第2室82に対し、常時絞り弁140によってエアの流出を制限するだけでなく、さらに、ひざの屈曲角が増大するに応じて第2室82を複数の室821,822に分割し、分割された各室を各室に対応した絞り弁824により各室からのエアの流出を制限する。室の分割は、ピストン側の凸部1140bがシリンダ本体のボトム部の凹部1127にはまり合うことによりなされる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ひざの屈曲および伸展を補助するための義足用エアシリンダ装置において、筒型であり、一方の端部がヘッド部によって閉じられ、他方の端部がボトム部によって閉じられたシリンダ本体と、そのシリンダ本体の内部にあって、その内部をヘッド側の第1室、ボトム側の第2室に区画するピストンと、一端がそのピストンと一体であり、他端側が、義足と接続するために前記シリンダ本体のヘッド側から外部へ延びるピストンロッドと、前記第1室と前記第2室との間を連絡する通路であり、前記第1室から前記第2室へ向かう流れを許す第1の逆止弁を含む第1の通路と、前記第1室と前記第2室との間を連絡する別の通路であり、前記第2室から前記第1室へ向かう流れを常時制限する常時絞り弁を含む第2の通路とを備え、さらに、ひざが屈曲するときに前記第2室の内部の圧力を高めるために、次の構成を備えることを特徴とする義足用エアシリンダ装置。 A.前記シリンダ本体のボトム部およびそのボトム部に対向する前記ピストンの一面に、互いにはまり合う凹部あるいは凸部があり、ひざの屈曲角が増大するに応じて、前記ボトム側の第2室を、前記常時絞り弁に連絡するための開口に臨む所定の室を含めて、複数の室に分割する分割手段。 B.前記分割手段によって分割された複数の室のうち、前記所定の室を除く各室をそれぞれ絞り弁を通して前記第1室に連絡する補助通路。 【請求項2】 前記補助通路の絞り弁は、前記所定の室および前記常時絞り弁を通して前記第1室に連絡する、請求項1のエアシリンダ装置。 【請求項3】 前記分割手段は、前記互いにはまり合う凹部あるいは凸部の部分をシールするためのシール部材を含む、請求項1のエアシリンダ装置。 【請求項4】 前記第2の通路が、前記分割された複数の室を前記第1室の側に連絡する共通の通路となる、請求項2のエアシリンダ装置。 【請求項5】 前記第2の通路は、前記常時絞り弁に加えて、前記第2室から前記第1室へ向かう流れを許す第2の逆止弁をさらに含む、請求項1あるいは2のエアシリンダ装置。 【請求項6】 前記常時絞り弁および前記絞り弁は、絞り量が一定の固定の絞り弁である、請求項1あるいは2のエアシリンダ装置。 【請求項7】 前記第2の通路が前記シリンダ本体に設けられる、請求項1のエアシリンダ装置。 【請求項8】 前記第1の通路が、前記ピストンあるいは前記シリンダ本体のいずれか一方に設けられる、請求項7のエアシリンダ装置。 【請求項9】 前記所定の室の体積は、分割された複数の室の残りの室の体積に比べて小さい、請求項1あるいは2のエアシリンダ装置。 【請求項10】 前記分割された複数の室は、前記ピストンの中心軸周りに同心的に配置される、請求項1あるいは2のエアシリンダ装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ひざの屈曲および伸展を補助するための義足用エアシリンダ装置に関し、特に、義足が床等の接地面から離れる遊脚相にある時に、ひざの屈曲に応じて適切な抵抗力を生じるようにした技術に関する。 【0002】 【発明の背景】ひざの屈曲および伸展を伴う義足は、大腿部と下腿部とが相対的に揺動する義足である。こうした義足の中に、自然の歩行に似た歩行形態(つまり、歩容)を得るため、ひざの屈曲および伸展を補助するための装置を備えたものがある。補助装置としては、油圧シリンダ装置とエアシリンダ装置とが良く知られている。補助装置としての両者を比較すると、油圧シリンダ装置の作動流体であるオイルにはほとんど圧縮性がないのに対し、エアシリンダ装置の作動流体であるエアは圧縮性をもつため、エアシリンダ装置によれば、エアの圧縮による圧縮エネルギーによって、ひざが最大に屈曲した後における反発力を得ることができる。 【0003】特公昭52−47638号の明細書やUSP5,405,407号のFIG.2およびFIG.3が、義足用エアシリンダ装置の第1の技術を示している。その技術では、ピストンの内部に逆止弁、また、ピストンロッドの中に絞り弁であるニードル弁を備える。それらの弁は、ひざが屈曲するときにエアシリンダの内部の室を圧縮し、その室のエアの流出を絞り弁により制限する。しかし、エアの流れを制限する絞り弁は、一つであり、歩行中その開度も一定である。そのため、ひざの屈曲を歩行速度に応じて適切に制御することはできず、この第1の技術は、ゆっくりした歩き、通常の歩き、早歩き、小走りといった広い歩行速度範囲のすべてに応じることはできない。 【0004】それに対し、特許第2501346号やそれを基礎にしたUSP5,344,446号は、エアの流れを制限する絞り弁の開度を、歩行速度に応じてコンピュータにより調整する技術を明らかにしている。この第2の技術によれば、ひざの屈曲を歩行速度に応じて適切に制御することができ、義足の装着者は、歩行速度の広い範囲で自然な歩容を得ることができる。しかし、この第2の技術では、絞り弁を自動的に調整するために、制御および駆動の各手段が必要であり、義足の構造が複雑となり、そのコストが高価となっていた。 【0005】義足のコストが高価になることを抑えつつ、歩行速度の広い範囲で自然な歩容を得るためには、コンピュータを利用した制御を伴わずに、いわば純機械的な構造によって対応することが考えられる。エアシリンダ装置とはタイプの異なる油圧シリンダ装置における技術ではあるが、特表平8−511190(WO95/26171に対応)やUSP5,092,902号が示す第3の技術をエアシリンダ装置に適用することができる。第3の技術は、絞り弁の絞り孔を複数にし、それらをピストンの移動方向に配置し、ピストンの移動により複数の絞り孔を順次閉じるという技術である。この技術によれば、ひざの屈曲が大きくなることに応じて、絞り弁による絞り作用を強めて流れ抵抗を大きくすることができる。しかし、ピストンの移動に応じて絞り面積がデジタル的あるいは段階的に減少するため、シリンダの圧力特性もステップ状に段階的に変化することとなり、義足装着者の歩行フィーリングを悪化させてしまう。また、この種の義足用のシリンダにおいては、義足装着者ごとにシリンダの圧力特性を調整することが必要であるが、圧縮室が単一の場合、そうした装着者ごとの個別の調整に応えることも困難である。 【0006】 【発明の解決すべき課題】この発明は、歩行速度の広い範囲にわたって圧力特性を有効に調整することができる義足用エアシリンダ装置を提供することを第1の目的とする。また、この発明は、歩行フィーリングを悪化させることなく、歩行速度の広い範囲で自然な歩容を得ることができる義足用エアシリンダ装置を提供することを第2の目的とする。さらに、この発明は、絞り弁の部分を安定した構造とし、歩行速度に応じた圧力制御を確実に得ることができる義足用エアシリンダ装置を提供することを第3の目的とする。 【0007】 【発明の考え方および手段】この発明でも、基本的に、シリンダ本体の内部はピストンによって二つの室に区画される。区画される室は、ヘッド側の第1室とボトム側の第2室である。それら第1室と第2室とは、二つの通路によって連絡される。第1の通路は、第1室から第2室へ向かう流れを許す第1の逆止弁を含む通路である。この第1の通路は、第1室から第2室へ向かう流れを許すことによって、ひざの屈曲を可能とし、しかも、第1の逆止弁が第2室に入り込んだエアを第2室に閉じ込める。もう一つの連絡通路は第2の通路であり、第2の通路は、第2室から第1室へ向かう流れを常時制限する常時絞り弁を含む通路である。常時絞り弁は、ひざの屈曲状態が変化したとしても常に第2室の側から第1室の側へと向かう流れを制限する働きをする。 【0008】この発明の義足用エアシリンダ装置は、ひざが屈曲するときに第2室の内部の圧力を高めるために、次の構成をさらに備える。 A.シリンダ本体のボトム部およびそのボトム部に対向するピストンの一面に、互いにはまり合う凹部あるいは凸部があり、ひざの屈曲角が増大するに応じて、ボトム側の第2室を、常時絞り弁に連絡するための開口に臨む所定の室を含めて、複数の室に分割する分割手段。 B.分割手段によって分割された複数の室のうち、所定の室を除く各室をそれぞれ絞り弁を通して第1室に連絡する補助通路。すなわち、この発明の義足用エアシリンダ装置では、ひざの屈曲に応じてエアが封じ込められ、圧力が高まる第2室に対し、常時絞り弁によってエアの流出を制限するだけでなく、さらに、ひざの屈曲角が増大するに応じて第2室を複数の室に分割し、分割された各室を各室に対応した絞り弁により各室からのエアの流出を制限するようにしている。分割される複数の室には、常時絞り弁に連絡するための開口に臨む所定の室のほか、それと同心の他の室を含む。歩行速度のより広い範囲にわたって圧力特性を細かく制御するためには、分割の数を多くすることが好ましいが、実際的な分割の数は2〜5、通常は2〜3が適当である。第2室を複数の室に分割する時点は、分割の数に応じて適宜変えるようにする。分割の数が2の場合には、通常の歩行時のひざの屈曲角である40°〜60°の段階、たとえば50°を越える時点を分割時点とし、また、分割の数が3の場合には、そうした50°を越える時点のほか、それより小さい屈曲角、たとえば30°の時点をそれぞれ分割時点とする。各時点において、ピストンとシリンダ本体のボトム部とは凹凸結合し、第2室の中に新たな室を区画する。区画する室を密閉するため、互いにはまり合う凹部あるいは凸部には、リップ型のシールリングなどのシール部材を設ける。より大きな歩行速度において、第2室の側に高い圧力を生じさせるため、第2の通路に、常時絞り弁に加えて、第2室から第1室へ向かう流れを許し逆の方向の流れを禁止する第2の逆止弁を設けるようにすると良い。 【0009】最も好ましくは、補助通路の絞り弁を前記した所定の室および常時絞り弁を通して第1室に連絡するようにするのが良い。そうすれば、第2室の分割により新たに区画される室に対する絞り弁が、所定の室と分割により新たに区画される室との間に介在することになる。所定の室には、常時絞り弁の作用により分割時点前から圧力が発生しているため、新たに区画される室の圧力は急激には上昇しない。その結果、エアシリンダ装置の特性上、急激な反発力は生じず、なだらかな特性となる。それにより、義足を装着する者は、義足に違和感を感じることなく、自然な歩行フィーリングで歩行することができる。 【0010】この発明で用いる常時絞り弁および絞り弁としては、各種の絞り弁を適用することもできるが、ねじ込み式のニードル弁が最も好ましい。ねじ込み式のニードル弁はねじの回転によって(つまり、回転運動を直線運動に変換することによって)適宜その開度を調節し、絞り量が一定の固定の絞り弁として用いることができる。固定の絞り弁は、可動の弁体やばねを用いない構造であるため、動きのある義足の中で安定した制御を行なうことができる。 【0011】 【義足とエアシリンダ装置との関係】この発明の実施例を説明するに際し、図1〜図6を参照しながら、まず、義足とエアシリンダ装置との関係を明らかにする。図示する義足はひざのない人のための大腿義足であり、図1〜図3が多軸のひざ関節を備える義足であり、図4〜図6が単軸のひざ関節を備える義足である。それらの図において、図1および図4は、ひざが伸展し屈曲角がゼロの状態を示し、図2および図5は、ひざが少し屈曲した状態を示し、さらに、図3および図6は、ひざが最大に屈曲した状態を示す。この発明のエアシリンダ装置10,10’は、多軸、単軸のひざ関節を備える義足のいずれへも適用することができる。また、エアシリンダ装置に対し、説明の便宜上、符号10,10’を付けているが、それらのエアシリンダ装置として、後で述べる第1から第4の各実施例を適用することができる。多軸のひざ関節は、リンク機構があるためにひざ関節の部分にスペース的な余裕がないので、エアシリンダ装置のストロークの長いものには適用しにくい。それに対し、単軸のひざ関節は、単軸周りに荷重ブレーキがあるが、多軸のものに比べてスペース的な余裕があり、エアシリンダ装置のストロークの長いものにも有効に適用することができる。 【0012】いずれの義足も、上部にアルミニューム合金からなる大腿部材20を備える。大腿部材20は、ひざの形をしており、その一部に図示しないソケットを連結するための連結部20aを一体的に含む。ソケットは、義足を装着する者の断端を受け入れて、大腿部材20の側に装着者の荷重を伝達する。一方、大腿部材20の下部には、下腿部材30がある。下腿部材30の主体は、ひざの部分から足の部分に向かって延びる内部中空のフレーム31である。下腿部材30と大腿部材20とは、ひざ関節によって屈曲および伸展可能である。図1〜図3に示す多軸のひざ関節は、ひざの前側に位置する前方リンク40およびひざの後ろ側に位置する後方リンク50の2つのリンクを含む。これらの各リンク40,50は、ひざが伸びた状態でひざの上下方向に伸び、上方の端部40a,50aが大腿部材20にそれぞれ回転可能に連結されている。また、これら前方リンク40および後方リンク50の下方側の端部40b,50bは、下腿部材30の側にそれぞれ回転可能に連結されている。それによって、大腿部材20、前方リンク40、後方リンク50および下腿部材30は、一定の動きだけが可能な限定連鎖を構成している。他方、図4〜図6に示す単軸のひざ関節を備える義足では、大腿部材20と下腿部材30とをひざの部分のひざ軸60が回転可能に連結する。ひざ軸60の回りには、装着者の荷重がかかることに応じてブレーキ力を生じる荷重ブレーキ70がある。荷重ブレーキ70は、USP3,863,274号(特公昭52−46432号に対応)が示す公知のものと同様のものであり、装着者の荷重がかかることに応じてブレーキブロックに設けた貫通孔の径を減じ、ブレーキ力を生じるタイプである。 【0013】こうした義足に対し、エアシリンダ装置10,10’は、シリンダ本体12のシリンダボトム側がピン結合によってフレーム31に支持される一方、シリンダ本体12のシリンダヘッド側から外部へ延びるピストンロッド14の端部が大腿部材20に回転可能に連結される。エアシリンダ装置10,10’は、ひざの屈曲の度合いにかかわらず、中空なフレーム31の内部に入ったままである。エアシリンダ装置10,10’は、ひざの屈曲および伸展を補助することにより、義足の装着者の歩行を自然な姿にする。エアシリンダ装置10,10’による補助機能としては、ひざの屈曲時に屈曲に対して抵抗力を与える第1機能、ひざが屈曲した後で下腿部を前方に加速的に振り出す第2機能、伸展の最終段階にクッション力を与える第3機能などがある。この発明によれば、特に、エアシリンダ装置10,10’による第1の機能および第2の機能を歩行速度に応じて適正化することができる。 【0014】 【第1の実施例】図7〜図9が、この発明の第1の実施例であるエアシリンダ装置110を示す。これらの図においても、各図は、前記した図1〜図3あるいは図4〜図6と同様、その中の一つの図である図7が、ひざが伸展し屈曲角がゼロの状態を示し、もう一つの図である図8が、ひざが少し屈曲した状態を示し、残りの図である図9が、ひざが最大に屈曲した状態を示す。後で示す他の実施例についても、それら3つの各状態ごとに図に示す。 【0015】エアシリンダ装置110は、アルミニューム合金あるいは合成樹脂からなる筒型のシリンダ本体112を備える。シリンダ本体112は、内部の径が一様なシリンダチューブ112cと、シリンダチューブ112cの各端部に位置し、それらの各端部を閉じるヘッド部112hおよびボトム部112bとを含む。シリンダ本体112の内部にピストン等の部品を組み込むため、ヘッド部112hおよびボトム部112bの少なくとも一方、一般には、ヘッド部112hが、シリンダチューブ112cから分離可能になっている。ヘッド部112hは、通常、シリンダチューブ112cに対してねじ結合される。 【0016】そのようなシリンダ本体112の内部を、ピストン113がヘッド側の第1室81とボトム側の第2室82とに区画する。ピストン113は、シリンダチューブ112cの中にシリンダチューブ112cの軸線方向に移動可能にはまり合っている。ピストン113はピストンロッド114に一体に支持されている。ピストン113と一体のピストンロッド114は、ピストン113を支持する大径な部分1140と、その大径なピストン支持部1140の一端から延び、ヘッド部112hを貫通する小径ロッド部1141とからなる。シリンダ本体112のヘッド部112hから外部へ延びる小径ロッド部1141の外側の端部には、義足の大腿部材に連結するためのラグ1142がある。大径なピストン支持部1140は、ピストン113を貫いてピストン113の前後に延びている。ピストン支持部1140は、ピストン113からヘッド側およびボトム側に延びる2つの凸部1140hおよび1140bを含む。それら2つの凸部1140hおよび1140bの外径は同じであり、その高さもほぼ同じである。 【0017】次に、シリンダ本体112のヘッド部112hおよびボトム部112bに注目されたい。ヘッド部112hには、ヘッド部112hの軸線方向に沿って、互いに径の異なる3つの孔がある。第1の孔は、シリンダチューブ112cの内部の孔1120に臨む開口部に位置する大径孔1121であり、その大径孔1121に隣り合う第2の孔は、大径孔1121よりも径が小さく、大径孔1121との間に段部を作る中径孔1122であり、さらに、中径孔1122に続く第3の孔は、外部に開口する小径孔1123である。これらの小径孔1123、中径孔1122および大径孔1121は、軸線を同一にしつつ全体としてヘッド部112hを貫通する貫通孔となっている。 【0018】小径孔1123の部分には、ピストンロッド114の小径ロッド部1141の外周をシールするための第1のシール部材151がある。また、中径孔1122と大径孔1121との間の段部上には、ピストンロッド114の凸部1140hの外周をシールするための第2のシール部材152がある。第2のシール部材152は、ひざの伸展の終わり段階で、中径孔1122に入り込む凸部1140hの外周をシールすることによって、ピストン113に近接する凸部1140h周りの室811をクッション室として機能させる。クッション室811の内部のエアは、ヘッド部112hに設けた絞り通路813を通してのみ第2室82側に流れるようになっている。絞り通路813には、外部から絞り開度を調整可能なクッション調整ねじ814がある。また、第1室81側から第2室82側へ向かうエアの流れを許すため、ピストンロッド114の内部には、第1の逆止弁91を含む第1の通路101がある。第1の通路101は、ピストンロッド114の大径なピストン支持部1140の中心を貫き、その一端はピストン支持部1140の端面から第2室82に開口し、他端は小径ロッド部1141を径方向に横断するようにしてピストン支持部1140の他方の端面近くに開口している。第1の逆止弁91が、弁体としてのボール91a、ボール91aに閉じ力を与える弁ばね91b、および弁ばね91bの一端を支持するねじ部材91cを含むことは勿論である。このようなクッション室811に関係する構成自体は、前記したUSP5,405,407号が示す公知のものと同様である。 【0019】第1室81側から第2室82側にエアを流すための第1の通路101に対し、その逆のエアの流れ、つまり、第2室82側から第1室81側に向かうエアの流れを許すための別の通路がある。第1の通路101がピストンロッド114に配置されているのに対し、別の通路である第2の通路102は、シリンダ本体112に配置されている。第2の通路102は、部分的に肉厚となったシリンダチューブ112cの側壁の中を、ヘッド側からボトム側へとシリンダ本体112の軸線と平行に延びている。その第2の通路102は、ヘッド側ではヘッド部112hの端面近くの開口102aを通して第1室81に連絡し、ボトム側では、ボトム部112bに収納した第2の逆止弁92および常時絞り弁140を通して第2室82側に連絡している。 【0020】第2の通路102に対する第2の逆止弁92は、第2の通路102に対して直交するように設けた孔の内部にあり、第1の逆止弁91と同様、弁体としてのボール92a、ボール92aに閉じ力を与える弁ばね92b、および弁ばね92bの一端を支持するねじ部材92cを備える。また、ねじ部材92cは、通路としての機能を得るために内部に断面形状がT字型の孔92d、また、第2の逆止弁92の組付けのために外部に臨む頭の部分にドライバ溝92eをそれぞれ含む。他方、常時絞り弁140は、第2の通路102上、第2の逆止弁92と直列に接続されている。常時絞り弁140は、シリンダ本体112のボトム部112bの下部に設けた段付き孔145の内部に位置する。段付き孔145は、弁座を含む小径孔145aと小径孔145aに比べて大径な孔145bとからなる。大径な孔145bの側部は、第2の逆止弁92を内蔵する孔に連絡し、また、小径孔145aの一端は、シリンダ本体112の内部の第2室82に連絡する開口となっている。常時絞り弁140は、一方の端部にテーパ部141a、他方の端部に筒状のガイド部141bをもつ弁体141と、弁体141のガイド部141bの外周にねじ結合するねじリング142と、弁体141のガイド部141bにはまり合いつつ、弁体141およびねじリング142の外側を被うキャップ143と、キャップ143−ねじリング142およびねじリング142−ボトム部112bの各接合面をシールするためのO−リング144a,144bとを備える。このような常時絞り弁140は、ねじリング142と弁体141のガイド部141bとのねじ結合を利用し、回転運動−直線運動の変換を行うことにより、弁体141による絞り度合いあるいは開度を調整することができる。この常時絞り弁140は、第2の通路102上にあって、その弁体141が第2室82に通じる開口に臨んでいるため、第2室82から第1室81に向かう流れを常時制限することになる。この常時絞り弁140の開口面積は、たとえば0.008〜0.009mm2に設定される。 【0021】さて、この発明の第1の実施例であるエアシリンダ装置110では、常時絞り弁140に面する第2室82の内部構造を第1室81の側と同様にしている。ボトム部112bには、シリンダチューブ112cの内部の孔1120に隣接し互いに連絡する形態で、ボトム部112bの軸線方向に沿って、互いに径の異なる2つの孔がある。第1の孔は、シリンダチューブ112cの内部の孔1120に臨む開口部に位置する大径孔1125であり、その大径孔1125に隣り合う第2の孔は、大径孔1125よりも径が小さく、大径孔1125との間に段部を作る中径孔1127である。中径孔1127および大径孔1125は、シリンダチューブ112cの内部の孔1120と軸線を一にしている。中径孔1127と大径孔1125との間の段部上には、ピストンロッド114の凸部1140bの外周をシールするためのリップ型のシール部材155がある。シール部材155は、ひざの屈曲角が所定の大きさを越える段階で、ピストン支持部1140の凸部1140bの外周をシールするためのものである。シール部材155が凸部1140bの外周をシールする時点は、ひざの屈曲が大きくなり、凸部1140bが凹部である中径孔1127の部分に入り込む時点である。その時点は、ひざの屈曲角が50°(この角度は、通常の歩行速度における最大の屈曲角度である。)を越える段階に相当する。こうした時点については、ピストン支持部1140の凸部1140bの長さあるいはシール部材155の配置位置を変えることにより、容易に設定することができる。 【0022】別の観点からすると、シール部材155が凸部1140bの外周をシールすることは、ボトム側の第2室82を二つの室に分割することを意味している。分割に伴う一つの室は、シリンダチューブ112cの内部にあって、ピストン113とシール部材155とによって区画される室821であり、もう一つの室は、中径孔1127の内部に区画される室822である。中径孔1127の底部には、常時絞り弁140に連絡する開口があり、室822は、常時絞り弁140に連絡するための開口に臨む所定の室である。ボトム部112bには、分割に伴う二つの室821と822とを連絡するため、補助通路である絞り通路823がある。絞り通路823は、シール部材155よりも径方向外側で室821に開口し、中径孔1127の側面で中径孔1127に開口している。絞り通路823の途中に、絞り弁であるねじ込み式のニードル弁824がある。その絞り弁824の開口面積は、通常、常時絞り弁140に比べて小さく、たとえば0.003〜0.004mm2に設定される。ひざの屈曲が小さく、第2室82が分割される前の段階では、常時絞り弁140が第2室82側の圧力を高め必要なトルクを生じる。それに対し、ひざの屈曲が大きくなり、第2室82が分割された段階では、常時絞り弁140が室822の内部の圧力を高め、また、絞り弁824が室821の圧力を高めるように機能する。図10は、エアシリンダ装置110における圧力特性の一例であり、横軸にひざの屈曲角度、縦軸に第2室82側に発生する圧力あるいはそれに伴うトルクをそれぞれ示している。その図10の特性線図が示すように、エアシリンダ装置110は、非常になめらかな特性を示す。 【0023】 【第2の実施例】図11〜図13が、この発明の第2の実施例であるエアシリンダ装置2110を示す。エアシリンダ装置2110では、シリンダ本体2112のピストン2113側に凹部2127を設け、その凹部2127にはまり合う凸部2140をシリンダ本体2112のボトム部2112b側に設けるようにしている。それに応じて、第1室81から第2室82へ向かう流れを許す第1の逆止弁91を含む第1の通路2101をもう一つの連絡通路である第2の通路2102と同様、シリンダチューブ2112cの側壁の中に設けるようにしている。第2の実施例のエアシリンダ装置2110でも、第1の実施例の場合と同様、ひざの屈曲角度が小さい段階では、常時絞り弁140が第2室82側の圧力を高めているが、所定の段階になったとき、第2室82側が、二つの室2821と2822に分離される結果、室2821は常時絞り弁140によって、もう一つの室2822は絞り弁824によって、それぞれ圧力が高まる。それにより得る圧力特性は、前記した図10と同様である。エアシリンダ装置2110の別の特徴といえば、ヘッド側の中径孔1122に入り込むピストン2113に同心に凹部2127を設けているため、シリンダストロークを大きくすることができること、さらに、分離に伴って新たに区画される室2822の容量を大きくとることができるので、より十分な圧力上昇を図ることができることである。 【0024】 【第3の実施例】図14〜図16が、この発明の第3の実施例であるエアシリンダ装置3110を示す。エアシリンダ装置3110は、ピストン3113側の凹部3127とシリンダ本体3112のボトム部3112b側の凸部3140が互いにはまり合うこと、第1の通路3101と第2の通路3102とがシリンダチューブ3112cの側壁の中にあること、の点で第2の実施例の場合と共通している。第2の実施例と異なる点は、分離により区画される室が逆であり、分離により新たに区画される室3822は、ピストン3113の凹部3127の内部に位置する。したがって、その新たに区画される室3822が絞り弁824によって、また、凸部3140の側周の室3821が常時絞り弁140によって、それぞれ圧力が高まる。なお、分離により区画される室が逆であるため、凸部3140の外周をシールするシール部材155のリップが、第2の実施例とは方向が逆になっている。 【0025】 【第4の実施例】図17〜図19が、この発明の第4の実施例であるエアシリンダ装置4110を示す。エアシリンダ装置4110では、絞り機能を3段階にわたって変化させるようにしている。設計の基本的な考え方は、第1の実施例の場合と同様である。ただ3段階の変化を可能にするため、ここでは、ピストン支持部4140のボトム側に延びる凸部を小径な部分4140bと大径な部分4140Bとの二つにし、それに応じて、シリンダ本体4112のボトム部4112bに小径な凹部4127aと大径な凹部4127bとの二つを設けるようにしている。ひざの屈曲がある程度進むと、まず、小径な凸部4140bが小径な凹部4127aに入り込み、ピストン支持部4140の凸部の側周に新たな室4822aが区画される。ついで、ひざがさらに大きく屈曲すると、大径な凸部4140Bの側周にも新たな室4822bが区画される。屈曲の当初の第2室82に対する絞りは常時絞り弁140であり、屈曲が進んだ段階で新たに区画される室4822a,4822bに対する絞りは、各室に応じて設けた各絞り弁4824aおよび4824bである。それらの絞り弁4824a,4824bについては、常時絞り弁140に比べて開口面積を小さく設定するが、両絞り弁同士の開口面積については、同等にすることもできるし、一方を他方に比べて大きくすることもできる。図20がエアシリンダ装置4110における圧力特性の一例である。その図20の特性線図が示すように、エアシリンダ装置4110は、さらに広い歩行速度範囲に対し、なめらかな特性を提供する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004019 【氏名又は名称】株式会社ナブコ
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| 【出願日】 |
平成11年11月15日(1999.11.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088029 【弁理士】 【氏名又は名称】保科 敏夫
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| 【公開番号】 |
特開2001−137268(P2001−137268A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月22日(2001.5.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−324614 |
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