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【発明の名称】 粘着テープ体
【発明者】 【氏名】高津 久夫

【要約】 【課題】筋肉(筋膜)と皮膚間の圧力の分散、ならびに筋肉が引き延ばされる事によつて起こる筋肉(筋膜)と皮膚の伸張化防止を可能とする。

【解決手段】横線状テープ2に、所定間隔を置いて複数の縦線状テープ1を交差状に接着した交差テープ3と、この交差テープ3に重ね合わせて接着されると共に、一対のテープを略X状に配置した中央放射状テープ4,4とを備え、前記各テープ1,2,4が非伸縮性粘着テープである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 横線状テープに、所定間隔を置いて複数の縦線状テープを交差状に接着した交差テープと、この交差テープに重ね合わせて接着されると共に、一対のテープを略X状に配置した中央放射状テープとを備え、前記各テープが非伸縮性粘着テープであることを特徴とする粘着テープ体。
【請求項2】 前記横線状テープを所定間隔を置いて複数設け、外側の前記横線状テープと外側の前記縦線状テープとの交点に前記放射状テープが重ね合わされていることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ体。
【請求項3】 前記横線状テープと前記縦線状テープとの交点を中心とした縦長放射状テープをそれぞれ設け、これら縦長放射状テープと前記中央放射状テープとを重ね合わせて接着したことを特徴とする請求項1記載の粘着テープ体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、皮膚に貼付して疾患部を治療する粘着テープに係り、特に、運動痛の原因が筋肉にある疾患や、それ以外の原因によって引き起こされる疾患を治療するために、皮膚上に被覆貼付する絆創膏に関し、絆創膏の形状を放射状と交差状からなる粘着テープを利用貼付し、従来の絆創膏を工夫して治療効果の向上を図ったものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、運動痛の原因が筋肉・腱・靭帯・関節等にある疾患に対して用いる粘着テープがあり、伸縮性粘着テープを患部全体に被覆するよう貼付したり、比較的伸縮率の低い粘着テープを局所的に貼付したり、特開平5−285169号公報や特開平9−70423号公報のように縦・横に格子状に組み合わせて出来た正方形の有孔部を有する粘着テープを疾患部や東洋医学的なツボ等に貼付して治療を行う治療技術が知られている。
【0003】しかし、前記伸縮性粘着テープでは、筋肉や疾患部を全体的に被覆貼付するため、皮膚の過敏症状を引き起こしやすく、また伸縮するため充分な保護・支持・一部分固定が困難であった。
【0004】一方、上記特開平5−285169号公報や特開平9−70423号公報の粘着テープでは、(1)疾患部に用いるのは良いとしても、ツボと言った東洋医学的観点から用いられる範囲であり西洋医学的にはツボは実証されておらず、西洋医学的に使用するには問題がある。(2)粘着テープを貼付する時に貼付する方向があり、このため貼付前にテストを行っているが、その方向を決定する方法に、確実性に乏しい面がある。(3)例えば、縦・横に3本と4本の格子状に組み合わせて出来ているため、形が長方形に近くなり貼付する方向を間違う結果を招きやすい。(4)従来の絆創膏や、格子状に組み合わせた正方形の有孔部を有する粘着テープは、貼付した絆創膏の外縁と皮膚との間に皮膚ズレが生じやすく、また、その部分は負担がかかり、皮膚過敏症状や疼痛を生じ、ひいては関節運動の妨げとなる。そして、それら従来の粘着テープでは、その原因と発想は疾患部やツボ等の局所に対する被覆が目的であって、筋肉や関節の動作に対応するための工夫が不充分であった。
【0005】また、上記従来の絆創膏において伸縮性を有するものは保持力が弱く、また、格子状に組み合わされた伸縮率が低い粘着テープは、東洋医学で言うツボは点であり、長方形に近い格子状テープは皮膚を面としてとらえており矛盾がある。以上の点から従来の絆創膏は疾患部やツボと言った局所を被覆貼付するものである。
【0006】以上、従来の絆創膏や縦・横に格子状につくられた粘着テープの問題と課題から本発明が行われた。すなわち、本発明は、筋肉痛の原因を鑑別し、テーピングによる疼痛緩和機序を明らかにし、原因部位のみならず、筋肉に最も負担のかかる部位をつきとめ、この部位に対して粘着テープによる圧迫・保護・補強・一部部分固定を行い、筋・腱器管(筋・腱紡錘)に対して働きを抑制したり促通したりして筋肉痛の疾患の治療を行い、人体が本来持っている自然治癒能力を助け、治癒期間を短縮する目的で使用する非伸縮性粘着テープを提供する事を課題とした。
【0007】そこで、本発明は、従来の疾患部に貼付する絆創膏やツボ等の局所に貼付する格子状粘着テープと異なり、筋肉の特性を考慮して、筋の収縮に伴い、筋肉の容積の増大と膨隆によって引き起こされる筋膜の伸張に対する適度な圧迫刺激と、筋肉が引き延ばさせる時に起こる過度な伸張運動を防ぎ、かつ関節運動に見られる対角線や螺旋方向の運動に対しても、いづれの方向からの運動負荷にも対応でき、筋肉、特に筋膜に加わる力を分散したり、適度な圧迫刺激を加える事で筋肉の運動方向を変えてやる事ができる粘着性テープ体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、横線状テープに、所定間隔を置いて複数の縦線状テープを交差状に接着した交差テープと、この交差テープに重ね合わせて接着されると共に、一対のテープを略X状に配置した中央放射状テープとを備え、前記各テープが非伸縮性粘着テープである。
【0009】前記請求項1の構成によれば、横線状テープ及び縦線状テープからなる交差テープに加えて、これらを補強する放射状テープとを備えるから、連続圧迫作用と筋収縮によって起こる筋肉と皮膚間の圧力の分散、並びに筋肉が引き伸ばされることによって起こる筋肉と皮膚の伸張化防止を行うことができ、生理学的に優れた効果が得られる。
【0010】請求項2の発明は、前記横線状テープを所定間隔を置いて複数設け、外側の前記横線状テープと外側の前記縦線状テープとの交点に前記放射状テープが重ね合わされているものである。
【0011】前記請求項2の構成によれば、局所使用に適し、貼付方向に左右されることなく、所定の効果が得られる。
【0012】また、請求項3の発明は、前記横線状テープと前記縦線状テープとの交点を中心とした縦長放射状テープをそれぞれ設け、これら縦長放射状テープと前記中央放射状テープとを重ね合わせて接着したものである。
【0013】前記請求項3の構成によれば、縦長放射状テープを備えるから、広範囲に貼付するに適したものとなる。
【0014】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。まず、本発明では、皮膚の過敏症状が少なく、人体に与える影響が少ない材質を用いた粘着テープ体を製作した。また、貼付しやすいようにテープ幅が3mm5mm7mmにカツトされているロール状粘着テープを用いた。さらに、貼付時間を短縮するために、局所と比較的広い範囲に貼付する放射状と交差状テープを合体した粘着テープ体を剥離紙にあらかじめ作製貼付しておき、必要に応じてすぐ剥離紙から剥がして使用できるようにした。また、価格も安価でかつ治療効果もあり、また持ち運びもし易くすることも目的とした。さらに、テープの粘着剤が隣り合つたカツト部分からはみ出し、テープの表面に残存したり、付着したりするのを防ぐテープを作製した。また、カツトされたテープ幅が常に一定である粘着テープを使用した。
【0015】以下に、本発明の粘着テープ体の製造方法の一例を説明すると、図4に示すように、あらかじめ幅3mm5mm7mmとカツトされた伸縮率の低い粘着テープのロール1を作製した。このようにあらかじめ粘着テープを所定幅にカットすることにより粘着剤のはみ出しを防止し、テープ幅を一定に保つ事ができた。前記テープの基材は綿製布などからなる。次に局所と比較的広い範囲に貼付するテープを一本づつ貼っていたが、時間がかかり過ぎるので剥離紙の上に貼付し、完成したテープをハサミでカツトして剥離して使用した。局所に貼付するものは大きさから4種類となり、使用テープ幅が3mm・5mmの各2種類を使用し、比較的広い範囲に用いるテープは大きさから3種類となり、放射状テープを補強する度合いによって、補強が弱いテープを貼った種類が3種類、補強が強いテープを貼つた種類が3種類の計6種類を用いた。最初は局所に用いるものは1本づつ貼付していたが、時間がかかり過ぎる事と局所に貼るテープは円形に近い放射状が良いが、剥離紙に貼りカツトする時に円形にするのがむずかしく、時間もかかるので正方形に近い放射状であれば、カットも簡単で時間も短縮でき、かつ効果もあったので、図1に示すものを実施した。比較的広い範囲に貼付する放射状テープは貼る順序はなく、ただ筋肉痛が引き起こされる運動方向に伸張されるのを防ぐ目的で筋肉の大きさと幅に応じて、図2に示すように、筋線維の走行と平行に一本貼付し、その上から対角線状にX字状に貼付し、さらにその上から直角に横断するように数本貼つていた。しかし、運動時に負荷のかかる上肢・下肢・体幹の大きな筋においては筋肉の縦・横・対角線・螺線方向のいずれにも対応できるよう、図3に示すように、筋肉の長軸方向(筋線維の走行と同一)と対角線方向への粘着テープを貼付し、その上から補強するために筋肉の幅に応して、最初に貼付した長軸方向テープと直角に交差するテープと、さらにその上から対角線状にX字状になるテープを貼付し、筋肉にかかる負担の軽減を図った。このテープも剥離紙にあらかじめ貼り完成させたものをカットして使用した。剥離紙に貼る湯合は、テープの型と大きさを剥離紙の裏面に描いておくか、別の紙に描いておいた台紙を剥離紙の下に置き、剥離紙に透き通って見える形にそって貼付して行き、貼付後はハサミでカツトして剥離紙を剥がして用いる。そして、剥離紙には、透明又は半透明のものを用いた。
【0016】次に、本発明に用いる粘着テープ体の製法の一例につき説明すると、まず、図1に示す第1実施例は、局所に貼付する粘着テープ体の製造順序を示し、図1(A)に示すように、剥離紙の上に幅3mm又は幅5mmの縦線状テープ1,1,1を3本平行に貼る。これら縦線状テープ1,1の間隔は幅3mmの場合は3mm、幅5mmの場合は5mmの間隔をあけて貼付しその上に横線状テープ2,2,2を3本平行に貼付し、間隔は縦線状テープ1と同様に行い、横線状テープ2とこれにほぼ直交する方向の縦線状テープ1とからなる交差テープ3を形成する。そして、図1(B)に示すように、縦と横に交差したそれら縦線状テープ1,1,1と横線状テープ2,2,2によって中央側に4個の正方形の孔H,H,Hが形成される。次にその上から対角線状にX字状になるように左上から右下へ対角線状に1本貼付し、その上から右上から左下へ対角線状に貼付し、これにより一対のテープを略X字状に配置した中央放射状テープ4,4を重ね合わせて接着する。最初に造られた4個の正方形の孔H,H,H,Hには、対角線状に交差した中央放射状テープ4,4により8個の三角形の孔hが形成され、中央部5において、前記放射状テープ4,4は放射状に交差した型となり、図1(C)に示したものがこの例の粘着テープ体11であり、左右にほぼ対称である。尚、いずれの実施例でも、縦線状テープ,横線状テープ及び各放射状テープは同一幅のものを用いることが好ましい。
【0017】貼付したテープ1,2,4の周囲の四つの辺には3個の凸部(縦線状テープ1又は横線状テープ2の端部)と2個の凹部が形成される。なお、縦線状テープ1と横線状テープ2の貼付順序は、縦3本を貼付後に横3本を貼付しても良いし、縦1本貼付後横1本貼付し次に縦1本貼付と交互に貼付しても良い。放射状テープ4,4も調布順序は決まっていない。
【0018】図2に示す第2実施例は、広範囲に貼付する粘着テープ体11Aの製造順序を示し、後述する第3実施例のものに比べて放射状テープによる補強が弱いタイプを示している。まず、図2(A)に示すように、剥離紙の上にテープ幅が3mm・5mm・7mmのいづれかの横線状テープ2を1本貼付し、図2(B)(C)に示すように、その上から横線状テープ2の中央を交差するように中央放射状テープ4,4を約15°から30°の傾斜角度θを持って略X字状に貼る。次に、横線状テープ2と中央放射状テープ4,4の交点である中央部5と両端側に、図2(D)に示すように、横線状テープ2とほぼ直角に交差する縦線状テープ1をそれぞれ貼り、さらに、図2(E)に示すように、それら縦線状テープ1,1の間に、横線状テープ2とほぼ直角に交差する縦線状テープ1を貼り、合計5本の縦線状テープ1を貼った粘着テープ体11Aを形成した。尚、この例では、粘着テープ体11Aは横方向に長いから、前記中央放射状テープ4は横長になる。
【0019】図3に示す第3実施例は、広範囲に貼付する粘着テープ体11Bであって、放射状テープによる補強が強いものの製造順序を示している。図3(A)〜(E)までの手順は、上述した図2(A)〜(E)と同一であり、図3(E)に示す粘着テープ体11Aを、さらに補強するために縦線状テープ1の上から最初に貼付した横線状テープ2と交差する5箇所の交点に、図2(F)(G)に示すように、縦長放射状テープ7,7をX字状に貼付し、合計10本貼り、粘着テープ体11Bを形成する。
【0020】次に、前記構成につき、その作用,効果を説明する。本発明の粘着テープ体11,11A,11Bは、いずれも非伸縮性粘着テープを放射状に貼付した縦線状テープ1及び横線状テープ2と、これらを補強する放射状テープ4,4,7,7よりなる。そして、放射状テープ4,4は筋肉の収縮に伴い容積を増大し外側へ膨張する際に筋膜・皮膚が伸張されるのを防ぐ。また収縮した状態から弛緩し元に戻る際に長軸方向(縦方向)へ伸張されるのを予防する。この事は運動力学の運動の第3法則(作用・反作用の法則)で説明できる。「ある物体Aが別の物体Bに力を作用させるとき、同時に物体Bも物体Aに力を加えている。この二つの力は同一線上で力の大きさが等しく、向きが反対である。」が運動力学の運動の第3法則である。そして、筋肉が収縮したときや、疾患部が腫脹して来ると貼付した放射状テープ4,4に圧が加わる。この圧を放射状テープ4,4の交差した中央部5から放射状に圧を分散する事ができる。従来の絆創膏は疾患部や筋に全体に貼付していたので、疾患部の腫脹や筋収縮の圧が絆創膏の内面と外縁に集中するために、皮膚ズレの原因となったり、圧力が一箇所に集中するために疼痛を引き起こす原因となつていた。
【0021】放射状テープ4,4と交差する縦線状テープ1及び横線状テープ2の構造は、物理学・運動力学に基づいて作製されている。その理論を図5ないし図7によって説明する。
【0022】図5に本発明の構造による作用をベクトルで表す。ベクトルOPは、ベクトルOAとベクトルOBの合成量で現される。図6に示すように、多数のベクトルの合成では、ベクトルOPは、ベクトルOAとベクトルOBとベクトルOCとベクトルODの合成量で現される。一方、ベクトルの分解では、図7に示すベクトルOPは、図中X,Y方向において、ベクトルOAとベクトルOBに分解された成分である。そして、ベクトルは大きさを持つ量であり、量には、変位・速度・加速度・力・運動量などが含まれる。以上の解析により放射状テープは、一方向からの力が加えられても運動量を合成したり、分解する事ができる。この原理に基づいて作製されたものである。
【0023】図8に示すように、筋11が収縮する場合、この部位に張った粘着テープ体において、縦線状及び横線状テープ1,2と放射状テープ4,4を有するものでは、収縮に伴う圧力を分散することができる。すなわち、図9(A)に示すように、圧力方向のみのテープでは、圧力はそのまま加わるが、図9(B)のようにテープの端部が2つに分かれると、圧力は2分の1に、図9(C)のようにテープの端部が3つに分かれると、圧力は3分の1となる。
【0024】図9は図8とは逆に、筋11が伸張する場合であり、部位に張った粘着テープ体において、縦線状及び横線状テープ1,2と放射状テープ4,4を有するものでは、伸張に伴う伸張力を分散することができる。すなわち、図10(A)に示すように、伸張方向のみのテープでは、伸張力はそのまま加わるが、図10(B)のようにテープの端部が2つに分かれると、伸張力は2分の1に、図10(C)のようにテープの端部が3つに分かれると、伸張力は3分の1となる。これにより、従来の直交方向のテープを組合せたものに比べて、本願発明では、連続圧迫作用と筋収縮によって起こる筋肉と皮膚間の圧力の分散、並びに筋肉が引き伸ばされることによって起こる筋肉と皮膚の伸張化防止効果に優れることが理解される。
【0025】ところで、テーピングの効果については一般的に関門制御説(ゲート・コントロール)、皮膚筋反射・自律神経反射理論等がある。筋肉痛の原因については(ア)筋自体損傷(打撲肉離れ捻挫)、(イ)反射的要因(外傷骨折等による筋肉以外の組織損傷)、(ウ)心理的要因(不安情動緊張抑鬱精神病)が上げられるが、本発明の粘着テープ体は(ア)(イ)に適用可能である。
【0026】本発明による疼痛緩和機序理論として以下の事項が上げられる。
(1)皮膚・筋膜・筋線維・腱の伸張化防止効果には、次の(ア)(イ)があり(ア)筋紡錘(筋器官)の活動抑制効果については筋紡錘は筋腹部にあるが、筋肉が伸張されるとその刺激を中枢に送り、反射的にその筋を収縮させるよう作用する。そのため筋紡錘のある筋腹中央郁の伸張を防ぐ必要がある。(イ)腱紡錘の活動促通効果については、筋が収縮すると筋紡錘は働かないが、腱紡錘は逆に伸張されて働き、筋肉が過度に伸張された時に収縮が起きると筋肉の断裂を来たす事があるので逆に筋収縮を抑制して断裂を防ぐ作用がある。これら(ア)(イ)については生理学的に実証されている。
(2)圧刺激(連続圧迫刺激)の効果においては、皮膚に圧刺激を加えると痛覚が最初に消失する事が生理学的に実証されている。
【0027】以上の事から、疾患部や筋・腱器官の圧迫や、筋肉の伸張を予防するテーピングを実施する事で良い治療効果を上げる事ができた。
【0028】比較試験例本発明の製品として、上述した図1(C)の粘着テープ体11で、テープ1,2,3の幅が3mm、縦×横が3×3cmのものを使用した。一方、比較例としては、図12に示すように、縦線状テープ1が3本,横線状テープ2が4本で、それらテープ1,2の幅が3mm、縦が2.5cmで横が1.5cmの格子状テープ21を使用した。テープ貼付部位は、図13(A)に示す■前腕前面中央部,■手関節前面中央部,図13(B)に示す前腕後面中央部とした。
【0029】まず、テープ貼付前に、それぞれ左,右の握力を測定した後、前記格子状テープ21を貼付し、左,右の握力を測定した。次に、格子状テープ21を取り除き、本発明の粘着テープ体11を貼付し、左,右の握力を測定した。尚、測定間隔は略1分とした。この結果を下記の表1及び表2に示す。表1は試験者が男性で、表2は試験者が女性で、「格子状」の列は格子状テープ21を貼付した状態での握力の測定値(kg)、「本発明」の列は本発明の粘着テープ体11を貼付した状態での握力の測定値(kg)を示している。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】上記の表から、本発明の粘着テープ体11の貼付後の測定値は、格子状テープ21の測定値より高い数値を表している。粘着テープ体11貼付後の測定順位は3番目であり、筋の疲労も一番強いはずであるが、逆に数値は貼付前と格子状テープ21貼付後の測定と比較しても、高い数値を表しており、強い力を発揮させることが可能であり、疲労も少ないことが実証された。すなわち、表1を検討すると、全16ケースのうちで、「本発明」が「格子状」より大きな値となったのが10ケースであり、同じ値が5ケース、小さい値となったのが1ケースのみであるから、本発明の粘着テープ体の効果がこの比較試験例から十分実証されたことが分かる。
【0033】次に、本発明の各例とその効果を示す。
【0034】実施例1試験者は、左五十肩(左肩関節周囲炎)の48歳女性である。
【0035】過去にカマボコ製造の機械により左手を受傷し、この左手をかばいながら仕事をしているうちに左肩痛を出現し、さらに、挙手・外転困難となり夜間痛を訴えるようになった。発病後24日目に治療が開始された。
【0036】テープの使用前では、左肩関節屈曲70°制限あり、疼痛+(この時の痛みを100%とした)。
【0037】図14に示すように、左上腕二頭筋長頭腱の付着部から筋腹中央部(左肩前面から左上肩前面中央部)にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。この結果、左肩関節屈曲90°に改善し、痛みも50%に削減した。
【0038】尚、疼痛が残存しているため、図15のように、追加貼付した。図15(A)に示すように、左僧帽筋の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11Bを添付し、図15(B)に示すように、左肩甲挙筋、左棘上筋、左棘下筋、左肩甲下筋、左広背筋に本発明の粘着テープ体11を貼付した。この結果、左肩関節屈曲110°に改善し、痛みが消失した。以後3日に1回張り替えを行い、3回目で夜間痛が消失し、左肩関節屈曲制限も改善された。
【0039】実施例2試験者は、脳梗塞右片麻痺後の右肩関節痛を有する60歳の男性である。
【0040】過去に自動車運転中に脳梗塞発作をおこし、ハンドル操作不能となってガードレールに衝突し、入院した。発病後67日目に治療が開始された。
【0041】テープ使用前では、右肩関節屈曲120°、外転70°制限があり、疼痛+(この時の痛みを100%とした)。
【0042】1回目の治療では、図16(A)に示すように、右僧帽筋上部筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、右三角筋中部近位付着部から筋腹部・遠位付着部まで、本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。また、図16(B)に示すように、右上腕二頭筋長頭部の近位付着部から筋腹中央部にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。この結果、右肩関節屈曲140°、外転80°に改善し、疼痛も50%に減少した。
【0043】2回目の治療は、1回目の治療開始後、6日目に、図17のように、追加貼付して行われた。図17(A)に示すように、右僧帽筋上部に1回目と同様に本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、右三角筋中部に1回目と同様に本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、さらに、右三角筋後部の近位付着部から筋腹部・遠位付着部にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。また、図17(B)に示すように、右上腕二頭筋長頭に1回目と同様に本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。また、図17(C)に示すように、右大円筋の近位付着部から筋腹部・遠位付着部にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、右広背筋の近位・遠位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付した。この結果、右肩関節屈曲160°、外転90°に改善し、疼痛が消失した。
【0044】実施例3試験者は、左膝蓋骨骨折後の臀部・大腿後側部痛を有する64歳の男性である。
【0045】過去に台所で転倒し受傷し、入院した。受傷後27日目に治療が開始された。
【0046】歩行約20mで左臀部、左大腿後側部に放散通が出現し、この時の痛みを100%とした。
【0047】1回目の治療では、図18に示すように、左大臀筋の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、両側仙棘筋の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、両側腰方形筋の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、両側広背筋の近位筋腱部(腰方形筋と同部位)と筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左大腿二頭筋の近位・遠位付着部から筋腹部中央部にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。この結果では、特に顕著な変化は認められなかった。
【0048】2回目の治療は、1回目の治療開始後、6日目に、1回目と同様にして行われ、この結果でも、特に顕著な変化は認められなかった。
【0049】3回目の治療は、1回目の治療開始後、8日目に、図19のように、追加貼付して行われた。1回目の貼付に追加して、図19(A)に示すように、右大臀筋の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、右大腿二頭筋の近位・遠位筋腱部と筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を添付し、右大腿筋膜張筋の近位付着部から筋腹中央部にかけて本発明の粘着テープ体11Aを貼付した。この結果、疼痛が喪失し、歩行時痛がなくなった。
【0050】実施例4試験者は、右大腿前・内側部帯状疱疹後の疼痛及び神経麻痺の74歳男性である。
【0051】右大腿前・内側部に発疹出現し、神経ブロック治療を目的に入院した。発病後75日目に治療が開始された。
【0052】右大腿前・内側を触診すると軽度の痛みあり。右下肢伸展挙上不可能で、運動痛があり、この痛みを100%とした。
【0053】1回目の治療で、図20に示すように、右大腿直筋近位付着部から筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、右大内転筋近付着部から筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、右大腿筋膜張筋近位・遠位付着部から筋腹中央部にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付した。この結果、右下肢伸展挙上が可能となり、運動痛が消失した。
【0054】実施例5試験者は、左鎖骨骨折、腸骨骨移植術後の頸部・左肩関節痛の33歳男性である。
【0055】歩行中に乗用車に接触して受傷、病院に運ばれ、鎖骨固定帯にて固定後入院した。後日、左鎖骨骨折に対して腸骨骨移植術施行、術後、左母指基筋・末筋骨関節の屈曲不能に気づいた。術後53日目に治療が開始された。
【0056】テープ使用前では、頸部右側屈と回旋痛があり、可動域制限なし。左肩関節屈曲90°・外転90°以上で疼痛+、可動域制限なし(いずれもこの時の痛みを100%とした)。
【0057】1回目の治療では、図21に示すように、左胸鎖乳突筋の近位・遠位筋腱部から筋腹中央部にかけて本発明の粘着テープ体11を貼付し、左中斜角筋の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左鎖骨下筋の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左大胸筋胸骨部の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左上腕二頭筋長頭腱の近位付着部から筋腹中央部にかけて本発明の粘着テープ体11Bを貼付し、左僧帽筋上部の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左三角筋中部の近位・遠位筋腱部と筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付した。この結果、頸部痛が消失し、左肩関節痛が30%減少した。
【0058】2回目の治療は、1回目の治療開始後、11日目に行われ、この段階で、頸部痛なし、左肩関節屈曲痛あり(初回治療時より50%減少)であった。図22に示すように、左胸鎖乳突筋の近位・遠位筋腱部と筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左鎖骨骨折手術創部(鎖骨下筋)に本発明の粘着テープ体11Aを貼付し、左中斜角筋の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左後斜角筋の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、両側僧帽筋の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左肩甲挙筋の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、右棘下筋の近位・遠位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左三角筋前部の近位・遠位筋腱部と筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左三角筋中部の近位筋腱部に本発明の粘着テープ体11を貼付し、左上腕二頭筋の近位筋腱移行部と筋腹中央部内・外側に本発明の粘着テープ体11を貼付した。この結果、治療直後著変なし、但し2回目治療後3日目(初回治療後14日目)に左肩関節痛が消失した。
【0059】尚、3回目の治療は、頸部痛・左肩関節痛が消失した状態で、2回目の治療と同様に貼付し、加えて、図23に示すように、左大胸筋の筋腹中央部に本発明の粘着テープ体11を貼付して終了した。
【0060】このように本実施例では、請求項1に対応して、横線状テープ2に、所定間隔を置いて複数の縦線状テープ1を交差状に接着した交差テープ3と、この交差テープ3に重ね合わせて接着されると共に、一対のテープを略X状に配置した中央放射状テープ4,4とを備え、前記各テープ1,2,4が非伸縮性粘着テープであるから、横線状テープ2及び縦線状テープ1からなる交差テープ3に加えて、これらと鋭角的に交差して補強する放射状テープ4,4とを備えるため、連続圧迫作用と筋収縮によって起こる筋肉と皮膚間の圧力の分散、並びに筋肉が引き伸ばされることによって起こる筋肉と皮膚の伸張化防止を行うことができ、生理学的に優れた効果を得ることができる。
【0061】また、このように本実施例では、請求項2に対応して、横線状テープ2を所定間隔を置いて複数設け、外側の横線状テープ2と外側の縦線状テープ1との交点に放射状テープ4,4が重ね合わされているから、局所使用に適し、貼付方向に左右されることなく、貼付効果が得られる。
【0062】また、このように本実施例では、請求項3に対応して、横線状テープ2と縦線状テープ1との交点6を中心とした縦長放射状テープ7,7をそれぞれ設け、これら縦長放射状テープ7,7と中央放射状テープ4,4とを重ね合わせて接着したものであるから、縦長放射状テープ7,7を備えるから、広範囲に貼付するに適したものとなる。
【0063】また、実施例上の効果として、粘着テープ体11A,11Bにおいて、横線状テープ2の中央を交差するように中央放射状テープ4,4を約15°から30°の傾斜角度θを持って略X字状に貼ることにより、横方向に長い粘着テープ体11A,11Bの横線状テープ2のほぼ長さ方向に加わる力を、前記中央放射状テープ4,4が分散して効果的に補強することができる。
【0064】そして、本発明では、従来の絆創膏と異なり、非伸縮性粘着テープを運動学・力学的な理論に基づいて構成と作製を行い、筋肉の作用を運動生理学と機能解剖学的な観点から評価と分析を行い、筋肉痛の疼痛機序(メカニズム)を明らかにした上で、本発明の放射状粘着テープとそれを補強する交差状粘着テープからなるテープを使用し治療を行つた。
【0065】この結果、本発明テープは連続圧迫作用と筋収縮によつて起こる筋肉(筋膜)と皮膚間の圧力の分散、ならびに筋肉が引き延ばされる事によつて起こる筋肉(筋膜)と皮膚の伸張化防止の3作用を一つのテープで行う事ができた。
【0066】尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、縦線状テープの本数等は適宜選定可能であり、また、平行に設けるテープの間隔も適宜選定できる。また、縦長放射状テープと中央放射状テープとは直接重ね合わさなくてもよい。
【0067】
【発明の効果】請求項1の発明は、横線状テープに、所定間隔を置いて複数の縦線状テープを交差状に接着した交差テープと、この交差テープに重ね合わせて接着されると共に、一対のテープを略X状に配置した中央放射状テープとを備え、前記各テープが非伸縮性粘着テープであり、筋肉の特性を考慮して、筋の収縮に伴い、筋肉の容積の増大と膨隆によって引き起こされる筋膜の伸張に対する適度な圧迫刺激と、筋肉が引き延ばさせる時に起こる過度な伸張運動を防ぎ、かつ関節運動に見られる対角線や螺旋方向の運動に対しても、いづれの方向からの運動負荷にも対応でき、筋肉、特に筋膜に加わる力を分散したり、適度な圧迫刺激を加える事で筋肉の運動方向を変えてやる事ができる粘着性テープを提供することができる。
【0068】請求項2の発明は、前記横線状テープを所定間隔を置いて複数設け、外側の前記横線状テープと外側の前記縦線状テープとの交点に前記放射状テープが重ね合わされているものであり、筋肉の特性を考慮して、筋の収縮に伴い、筋肉の容積の増大と膨隆によって引き起こされる筋膜の伸張に対する適度な圧迫刺激と、筋肉が引き延ばさせる時に起こる過度な伸張運動を防ぎ、かつ関節運動に見られる対角線や螺旋方向の運動に対しても、いづれの方向からの運動負荷にも対応でき、筋肉、特に筋膜に加わる力を分散したり、適度な圧迫刺激を加える事で筋肉の運動方向を変えてやる事ができる粘着性テープを提供することができる。
【0069】また、請求項3の発明は、前記横線状テープと前記縦線状テープとの交点を中心とした縦長放射状テープをそれぞれ設け、これら縦長放射状テープと前記中央放射状テープとを重ね合わせて接着したものであり、筋肉の特性を考慮して、筋の収縮に伴い、筋肉の容積の増大と膨隆によって引き起こされる筋膜の伸張に対する適度な圧迫刺激と、筋肉が引き延ばさせる時に起こる過度な伸張運動を防ぎ、かつ関節運動に見られる対角線や螺旋方向の運動に対しても、いづれの方向からの運動負荷にも対応でき、筋肉、特に筋膜に加わる力を分散したり、適度な圧迫刺激を加える事で筋肉の運動方向を変えてやる事ができる粘着性テープを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】398064774
【氏名又は名称】高津 久夫
【出願日】 平成11年11月2日(1999.11.2)
【代理人】 【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
【公開番号】 特開2001−129015(P2001−129015A)
【公開日】 平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願番号】 特願平11−313069