| 【発明の名称】 |
温熱保温用器具 |
| 【発明者】 |
【氏名】石黒 守
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| 【要約】 |
【課題】簡便に加熱が可能で、冬場や寒冷地の電源のない屋外においても適度の温熱が長時間持続する温熱保温用器具を提供する。
【解決手段】融点が30〜70℃で融解熱量が20kcal/kg以上の蓄熱材を内包するマイクロカプセルの充填物と発熱体とを組み合わせる。更に、この温熱保温用器具の周りを断熱性のある素材で覆うことにより表面の温度は人体にとって適温に且つ長時間維持されることが可能となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 融点が30〜70℃の化合物で融解熱量が20kcal/kg以上の蓄熱材を内包するマイクロカプセルの充填物と発熱体とが接触して組み合わされてなる温熱保温用器具。 【請求項2】 蓄熱材を内包するマイクロカプセルの充填物及と発熱体及び断熱材とが接触して組み合わされてなる請求項1記載の温熱保温用器具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は適温が長時間持続する保温用器具に関するものであり、カイロ、衣料品、寝具、電気カーペット、医療器具などとして用いられる。本発明の温熱保温用器具は、予め発熱体を用いて蓄熱材を内包するマイクロカプセルに蓄熱を施すことにより、発熱体の電源を解除した後も適度の暖かさが長時間持続する温熱保温用器具としても用いられる。 【0002】 【従来の技術】携帯用の保温器具としてカイロが挙げられるが、燃料を用いた燃焼式のカイロに替わり、最近は鉄粉の酸化反応による発熱を応用した使い捨て型のカイロが主流となっている。この使い捨て型のカイロは比較的安価に市販されており、形態も手のひらに収まるサイズから座布団大のものまで目的に応じて様々な形態のものが市販されており、発熱の開始操作として酸素に曝すだけで長時間高温を持続する温熱具として広く利用されている。しかしながら、この種の使い捨てカイロは充分な温度に暖まる迄に長時間を有したり、保持される場所の環境によっては発熱温度が高すぎたりして適温を長時間持続させることは調節困難であり、また繰り返し何度も使用することはできない。 【0003】蓄熱材を内包するマイクロカプセルを用いた保温具としては、先に本発明者が蓄熱材を内包するマイクロカプセル分散液の加熱方法として、特開平8−19564号公報中で電磁波による加熱方法を提案し、簡便で短時間で加熱することを可能にした。しかしながら、加熱しすぎて包材内のマイクロカプセル分散液が沸騰し、稀に包材が破裂する危険性があるため加熱方法としては充分安全な手法とは言い難い面があった。 【0004】また最近、慢性の神経痛や筋肉痛、胃腸の働きを良くするために温熱治療器具が市販されている。温熱療法は血液循環を促して組織の新陳代謝を盛んにして筋肉の緊張を和らげ神経の鎮痛、鎮静をはかる目的で行われる。具体的には約45〜55℃の範囲の適温を長時間持続することと、その温度を簡便に且つ安全に発熱し得る構造であることが必要であり、電気ヒーターを具備した毛布状の治療器具や赤外線ヒーターによる加温装置が市販されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、簡便に加熱が可能で、冬場や寒冷地の電源のない屋外においても適度の温熱が長時間持続する温熱保温用器具、及び電源を解除した後にも長時間暖かさを持続する温熱具を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の温熱保温用器具は、融点が30〜70℃で融解熱量が20kcal/kg以上の蓄熱材を内包するマイクロカプセルの充填物と発熱体とを組み合わせることにより得られる。更に、この温熱保温用器具の周りを断熱性のある素材で覆うことにより表面の温度は人体にとって適温に且つ長時間維持されることが可能となった。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明で用いられるマイクロカプセルは、蓄熱材を内包した微小な容器であり製法としては、複合エマルジョン法によるカプセル化法(特開昭62−1452号公報)、蓄熱材粒子の表面に熱可塑性樹脂を噴霧する方法(同62−45680号公報)、蓄熱材粒子の表面に液中で熱可塑性樹脂を形成する方法(同62−149334号公報)、蓄熱材粒子の表面でモノマーを重合させ被覆する方法(同62−225241号公報)、界面重縮合反応によるポリアミド皮膜マイクロカプセルの製法(特開平2−258052号公報)等に記載されている方法を用いることができる。 【0008】カプセル膜材としては、界面重合法、インサイチュー法等の手法で得られる、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリアクリルアミド、エチルセルロース、ポリウレタン、アミノプラスト樹脂、またゼラチンとカルボキシメチルセルロース若しくはアラビアゴムとのコアセルベーション法を利用した合成あるいは天然の樹脂が用いられるが、物理的、化学的に安定なインサイチュー法によるメラミンホルマリン樹脂皮膜を用いたマイクロカプセルが特に好ましい。 【0009】本発明で使用できる蓄熱材としては、融点が約30〜70℃の融点を有し、融解熱量が20kcal/kg以上の化合物が好ましく、具体的には炭素数が約18以上のn-パラフィン類や、無機系共晶物及び無機系水和物、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪酸類、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール等のアルコール類、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ステアリル等のエステル類等の化合物が挙げられる。特に温熱療法として最も効果的な温度域としては融点が40〜60℃で融解熱量が30kcal/kg以上のものが好ましい。これらは混合して用いても良いし、必要に応じ過冷却防止材、比重調節材、劣化防止剤等を添加することができる。 【0010】本発明に係るマイクロカプセルの粒子経は、物理的圧力による破壊を防止するために20μm以下が好ましい。マイクロカプセルの粒子径は、乳化剤の種類と濃度、乳化時の乳化液の温度、乳化比(水相と油相の体積比率)、乳化機、分散機等と称される微粒化装置の運転条件(攪拌回転数、時間等)等を適宜調節して所望の粒子径に設定する。この粒子径以上になるとマイクロカプセルが外圧で容易に壊れやすくなったり、蓄熱材の比重が分散媒のそれと大きく差がある場合など、浮遊したり沈降したりし易くなるので好ましくない。 【0011】上記手法によるマイクロカプセルは通常水に分散された状態で得られ、内包された蓄熱材の凝固、融解に関わらず常に液体として取り扱うことが可能である。一方マイクロカプセルの周りの水を蒸発または脱水することにより蓄熱材の形態に関わらず常に固体として取り扱うことが可能である。本発明で用いられる蓄熱材マイクロカプセルは液体、固体の何れの形態においても使用可能であるが、発熱体からの熱を充填物全体に均一に伝導させるためにはマイクロカプセルが水に分散された液体の方が好ましい。分散液中のマイクロカプセルの固形分濃度は蓄熱容量が増すため極力高い方が好ましいが、流動性を維持できる濃度範囲として70%(w/w)以下に留めることが好ましい。 【0012】マイクロカプセルを固体状態で充填する場合、脱水又は乾燥処理を施す必要がある。固形化又は粉体化する方法としては、スプレードライ法、フリーズドライ法、ドラムドライ法等が挙げられ、1μm〜100mm、好ましく20μm〜50mmの粒径に粉体化される。粉体はそのまま使用しても良いし、単独又は適当なバインダーと混合して造粒処理を施しても良い。 【0013】マイクロカプセルを充填する包材は蓄熱と放熱の性能を阻害しないように極力薄く、熱伝導性に優れ、しかも高強度の素材が好ましい。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル等の合成樹脂素材の他、金属フィルムやフィルムに金属蒸着処理した素材も使用できる。マイクロカプセルの充填物の形状や大きさは使用される目的により適宜調節され、シート状、円柱状、直方体、立方体等を基本とし、手袋型、靴下型、座布団型、湯たんぽ型等如何なる形状にも加工し得る。 【0014】本発明で用いられる発熱体とは電気によるエネルギーで30℃以上の高温を安定に発生することができる熱源を意味し、本発明における蓄熱材を内包するマイクロカプセルの充填物と接触させて加熱を施す為に用いられる。発熱体はニクロム線等の抵抗金属を使用したものや導電性カーボンを用いたものなどが市販されており、何れの発熱体でも使用可能である。形状や大きさも使用目的により選択されるが、シーズヒーター、アルミフラットヒーター、面状ヒーター、セラミックヒーターなどが使用可能である。これらのヒーターには過度の加熱を防止するためにサーモスタット機能を付与することが望ましい。 【0015】本発明の温熱用保温器具は、人体に対し適温を長時間且つ火傷がないような構造にする必要があるため、保温器具の周囲には適当な断熱材を具備させることが望ましい。断熱材としては、発泡性のポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレンやガラスウール、綿、羊毛等の繊維類をシート状に加工したもの等、熱遮断性効果の高いものであれば使用可能である。断熱材は必ずしも保温器具周囲全面を覆う必要はなく、使用目的に応じ必要な箇所に部分的に貼り付けることが可能である。 【0016】かくして得られた温熱用保温器具は、蓄熱材を内包するマイクロカプセルと発熱体を接触した状態で加熱が施されるが、マイクロカプセルの充填物と発熱体を切り離し可能な構造にしておき、蓄熱が完了した後は発熱体を脱却して使用しても良い。また、発熱体本体と電源コード間に脱着可能なプラグを設け適宜切り離し可能な構造にすることも可能である。 【0017】 【実施例】以下に本発明の実施例を示す。融点及び融解熱は示差熱熱量計(米国パーキンエルマー社製、DSC−7型)を用いて測定した。 【0018】実施例1蓄熱材マイクロカプセルの製法メラミン粉末12重量部に37%ホルムアルデヒド水溶液15.4重量部と水40重量部を加え、pHを8に調整した後、約70℃まで加熱してメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液を得た。pHを4.5に調整した10%スチレン−無水マレイン酸共重合体のナトリウム塩水溶液100重量部中に、蓄熱材として、融点50℃ のパラフィンワックス(融解熱量、38kcal/kg)80重量部を激しく撹拌しながら添加し、粒子径が5.0μmになるまで乳化を行なった。 【0019】得られた乳化液に、上記メラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液全量を添加し70℃で2時間撹拌を施した後、pHを9まで上げて蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。このマイクロカプセル分散液300gをA−4大の平板のナイロン製パウチシートに充填したものを2ケ作成し、図1に示すような構成に発熱体と断熱材を配置して温熱治療用保温器具を得た。発熱体はA−4大のニクロム線・線状発熱方式のラバーヒーターで、最高温度が80℃以上に上がらないようにサーモスタット機能を備えたヒーターを用いた。また、断熱材は厚み約8mmのキルティング地を用いた。この保温用器具を予め1時間加熱しておいた後、ラバーヒーターを取り外し、20℃の雰囲気下で保温具表面の温度を測定したところ、45〜55℃の温度が約2時間持続した。同様に蓄熱材を内包するマイクロカプセルの替わりに水を用いたところ同温度範囲を30分しか維持しなかった。 【0020】実施例2実施例1で蓄熱材として用いたパラフィンワックスの代わりに、ステアリン酸メチル(融点36℃、融解熱量42kcal/kg)を用いて同様にして蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。このマイクロカプセル分散液を噴霧乾燥機を用いて直径約20μmの粉体に加工した。この粉体1kgを30cm四方のシート状のポリエチレン製包材に充填し、図2に示すような構成に発熱体と断熱材を配置して保温座布団を得た。発熱体は発熱温度が47℃に設定されたコンセントと発熱体とが切り離し可能な構造のカーボン面状発熱体を用いた。また、断熱材はポリエチレンシートで覆った厚み約5mmの発泡ポリウレタンシートを用いた。この保温用シートを屋外へも移動可能なので犬猫などのペット用の器具として使用できる。 【0021】実施例3実施例1で蓄熱材として用いたパラフィンワックスの代わりに、ステアリルアルコール(融点58℃、融解熱量52kcal/kg)を用いて同様にして蓄熱材マイクロカプセル分散液を得た。このマイクロカプセル分散液100gを10cm四方の平板のナイロン製パウチシートに充填したものを2ケ作成し、図1に示すような構成に発熱体と断熱材を配置して温熱治療用保温器具を得た。発熱体はA−4大のニクロム線・線状発熱方式のラバーヒーターで、最高温度が80℃以上に上がらないようにサーモスタット機能を備えたヒーターを用いた。また、断熱材は厚み約8mmのキルティング地を用いた。この保温用器具を予め1時間加熱しておいた後、ラバーヒーターを取り外し、冬場にカイロとして用いたところ適度の暖かさが1時間以上持続した。 【0022】 【発明の効果】実施例からも明らかなように、本発明による温熱用保温器具は予め発熱体を利用して蓄熱材を内包するマイクロカプセルが充填された包装物を加熱しておくことにより、発熱体の電源又は発熱体そのものを取り外しても適度の温熱が長時間持続する保温器具が得られる。利用法としては、カイロやペット用の保温具の他に、衣料品、寝具、電気カーペットや床暖房器具、及び温熱治療用の保温器具としても利用できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005980 【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月9日(1999.11.9) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−129013(P2001−129013A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−317659 |
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