| 【発明の名称】 |
人工血管およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】前田 重雄
【氏名】江刺 正喜
【氏名】芳賀 洋一
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| 【要約】 |
【課題】屈曲時の折れ現象や座屈を抑制でき、さらに細径化の容易な人口血管およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】最初に、コイル1の外側にチューブ2を被せ、チューブ2の少なくとも内側およびコイル1を樹脂3で被覆し、更に、チューブ2を除去して樹脂3で管壁4が形成された可撓管10を形成する。次に、可撓管10の管壁4の外面に生体適合材料6を被覆して人口血管11とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コイルの外側にチューブを被せる工程と、チューブの少なくとも内側およびコイルを樹脂で被覆する工程と、チューブを除去して該樹脂で管壁が形成された可撓管を形成する工程と、該可撓管の管壁の外面に生体適合材料を被覆する工程とを少なくとも有することを特徴とする人工血管の製造方法。 【請求項2】 上記樹脂による被覆が蒸着によって行われている請求項1記載の製造方法。 【請求項3】 上記生体適合材料がポリウレタン樹脂であり、該生体適合材料の被覆がディップコートによって行われている請求項1記載の製造方法。 【請求項4】 樹脂で形成された管壁内にコイルが埋設された構造の可撓管を有し、可撓管は、管壁の内面のみにコイルに沿って形成された螺旋状の凸部を有しており、且つ、管壁の外面に生体適合材料で形成された被覆層を有していることを特徴とする人工血管。 【請求項5】 上記可撓管の外径がコイルの外径+(0μm〜25μm)となっている請求項4記載の人工血管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、人工血管およびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、我が国の生活様式は欧米化が進んでおり、動脈硬化による疾患が増加している。このため、人工血管に対するニーズは年々増加している。一般に、人工血管材料には、生体内における物理的・化学的安定性、安全性、適度な抗血栓性、耐疲労強度、生体類似の弾性伸展性などを備えたものが要求される。また、人工血管は、生体内に埋め込まれたときにその内面に血管壁類似の組織が再生されるものである。従って、人工血管材料は速やかに内皮細胞が形成され、血管組織が再構築される足場として有効なことが望ましい。 【0003】現在、臨床応用されている人工血管としては、ポリエステル人工血管や、テフロン系人工血管が挙げられる。このうち、ポリエステル人工血管は、ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸して得られられる合成繊維をチューブ状に編繊して作製される。また、テフロン系人工血管はポリ四弗化エチレンのチューブを一定の条件で延伸して管壁構造をフィプリル化(微小繊維化)して作製される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の血管には、屈曲時に折れ現象(キンキング)が生じてしまうという問題や、座屈が生じやすいという問題がある。また、この問題は今後人工血管が大動脈以外の細径の血管の代替として用いられた場合に、特に顕著になると予想される。 【0005】本発明の課題は、屈曲時の折れ現象や座屈を抑制でき、さらに細径化の容易な人工血管およびその製造方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の人工血管の製造方法は次の特徴を有するものである。 (1) コイルの外側にチューブを被せる工程と、チューブの少なくとも内側およびコイルを樹脂で被覆する工程と、チューブを除去して該樹脂で管壁が形成された可撓管を形成する工程と、該可撓管の管壁の外面に生体適合材料を被覆する工程とを少なくとも有することを特徴とする人工血管の製造方法。 【0007】(2) 上記樹脂による被覆が蒸着によって行われている上記(1)記載の製造方法。 【0008】(3) 上記生体適合材料がポリウレタン樹脂であり、該生体適合材料の被覆がディップコートによって行われている上記(1)記載の製造方法。 【0009】また、本発明の人工血管は次の特徴を有するものである。 (4) 樹脂で形成された管壁内にコイルが埋設された構造の可撓管を有し、可撓管は、管壁の内面のみにコイルに沿って形成された螺旋状の凸部を有しており且つ、管壁の外面に生体適合材料で形成された被覆層を有していることを特徴とする人工血管。 【0010】(5) 上記可撓管の外径がコイルの外径+(0μm〜25μm)となっている上記(4)記載の人工血管。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。図1(a)〜(e)は、本発明の人工血管およびその製造方法の一例を示す図であり、断面で示している。 【0012】最初に、図1(a)に示すようにコイル1の外側にチューブ2を被せる工程が行われる。図1(a)の例では、チューブ2の内径とコイル1の外径とは同一に設定されている。但し、本発明においてはチューブ2の内径とコイル1の外径とが同一である場合に限定されるものではない。本発明においてコイル1としては、ステンレススチール等の金属やポリイミド等のポリマーで形成されたものが好ましく用いられる。コイル1の外径、全長、線径、ピッチ等といった仕様は、作製される人工血管の用途に応じて適宜設定すれば良い。 【0013】例えば、用途が大動脈の場合であれば、外径が20mm〜30mm、全長が0.2m〜0.7m、線径が0.1mm〜2mm、ピッチが0.2mm〜4mmのものが好ましく用いられる。用途が冠動脈の場合であれば、外径が5mm〜8mm、全長が20mm〜60mm、線径が0.05mm〜0.2mm、ピッチが0.1mm〜0.4mmのものが好ましく用いられる。用途が細動脈の場合であれば、外径が0.1mm〜3mm、全長が10mm〜200mm、線径が0.01mm〜0.1mm、ピッチが0.02mm〜0.2mmのものが好ましく用いられる。 【0014】また、チューブ2としては、シリコーンチューブといった各種のゴム材料で形成されたチューブ、樹脂材料で形成されたチューブ等が挙げられるが、このうち、伸縮性や柔軟性に優れ、更にエッチングにより容易に除去できる点からシリコーンチューブが好ましく用いられる。チューブの内径や長さはコイルの外径や長さに応じて適宜設定すれば良い。但し、チューブ2の肉厚は、チューブの除去にかかる時間の短縮化等を図る必要があるため、0.01mm〜0.5mm程度、特には0.1mm〜0.15mm程度とするのが好ましい。また、チューブ2の内径とコイル1の外径との差は、得られる人工血管の肉厚の薄肉化を図るため、0μm〜500μm、好ましくは0μm〜50μmとするのが良い。 【0015】次に、図1(b)に示すように、チューブ2の少なくとも内側およびコイル1を樹脂3で被覆する工程が行われる。本発明における被覆の方法としては、真空蒸着法といった蒸着法や流動浸漬法等が挙げられる。このうち、複雑な形状に対しても均一な薄膜を形成でき、薄膜の厚みを精密に制御可能な点から、真空蒸着法が好ましく用いられる。なお、同図(b)の例では、被覆を真空蒸着法により行っているため、チューブ2の外側にも樹脂3による被覆層が形成されている。本発明はこの例に限定されるものではない。 【0016】被覆は樹脂による層の厚みTが1μm〜25μm、特には2μm〜10μmとなるように行うのが好ましい。厚みTが1μm未満であると、人工血管が強度不足となるからである。厚みTが25μmを越えると、人工血管の柔軟性が損なわれるからである。被覆する樹脂の具体例としては、ポリパラキシリレン、ポリイミド、ポリウレタン等が挙げられるが、このうち試料を加熱する必要がなく、室温でのコーティングが可能で、殆どの溶剤に対して耐性を有する点からポリパラキシリレンが好ましく用いられる。 【0017】次に、図1(c)に示すように、チューブ2を除去して可撓管10を形成する工程が行われる。可撓管10は管壁4によって構成されており、管壁4は、図1(b)において被覆が行われた樹脂3で形成されている。可撓管10は、樹脂3で形成された管壁4内にコイル1が埋設された構造を有している。可撓管10において、管壁4の外面は平坦に形成されているが、管壁4の内面のみには螺旋状の凸部5がコイル1に沿って形成されている。 【0018】また、同図の例では、チューブ2の内面に接触していたコイル1の表面部分は樹脂3による被覆層から露出している。この場合、可撓管10の外径はコイル1の外径と等しくなっている。但し、本発明では、例えば、コイル1の外径よりも大きい内径を持つチューブ2を用いたり、樹脂の再蒸着などにより、コイルが露出しないようにしても良い。本発明において可撓管10の外径は、コイルの外径+(0μm〜25μm)とするのが好ましく、特にはコイルの外径+(1μm〜10μm)とするのが好ましい。 【0019】チューブ2を除去する方法としては、研磨、ウエットエッチングやプラズマによるドライエッチングといったエッチング、これらの組み合わせ等が挙げられるが、チューブのみを完全に除去できる点からはウエットエッチングが好ましい。但し、同図(c)の例では、チューブの外側の樹脂3がエッチングに対して耐性を有しているため、研磨とエッチングとの組み合わせによって除去が行われている。 【0020】次に、図1(d)、(e)の例に示すように、可撓管10の管壁4の外面に生体適合材料6を被覆する工程が行われ、本発明の人工血管11が得られる。図1(d)の例では、ディップコートによって被覆が行われている。具体的には、可撓管10の両端の開口を封止材7によって封止し、この封止された可撓管10を、生体適合材料6を溶かした溶剤の中に浸漬することによって被覆層が形成されている。なお、封止材7としては、エポキシ樹脂、シリコ─ン樹脂等を用いることがでる。図1(e)の例では、最終仕上として封止材7で封止された可撓管10の端部の切断が行われている。 【0021】本発明において生体適合材料6としては、ポリウレタン、シリコーン、ポリパラキシリレン(パリレン)等が挙げられる。このうち、伸縮性、強度(耐疲労性)、血液適合性(特にセグメント化ポリウレタンは抗血栓性に優れている)に優れており、デップコートが可能な点からポリウレタンが好ましく用いられる。 【0022】また、生体適合材料6で形成された被覆層の厚みは、+0μm〜2000μm、特には1μm〜100μmとするのが好ましい。厚みが1μm未満であると強度の低下という問題が生じ、厚みが1000μmを越えると伸縮性(人工血管の弾性及び柔らかさ)の低下という問題が生じるからである。 【0023】本発明において、生体適合材料6を管壁4の外面に被覆する方法は特に限定されるものではなく、ディップコート、スプレーコーティング、ハケ塗り等の方法を用いることができる。但し、生体適合材料がポリウレタンのような樹脂の場合は、溶剤で希釈できる点から、図1(d)の例に示すように、ディップコートによるのが好ましい。 【0024】このように本発明の人工血管11は、管壁4にコイル1が埋設された構造の可撓管10を有しているので、細径化を行なった場合においても、屈曲時の折れ現象や座屈を抑制できる。さらに、本発明の人工血管を生体に適用した場合、可撓管10の管壁4の内面に形成された螺旋状の凸部5が、血管組織を再構築するための足場として有効なものとなるため、速やかに内皮細胞が形成される。 【0025】また、本発明の製造方法を用いれば、コイルの外径とチューブの外径とを適宜設定することによって、可撓管の外径を容易に制御できるので、所望の外径の人工血管、特に細径の人工血管を容易に作製することができる。更に、人工血管の管壁(可撓管の管壁4と生体適合材料6の被覆層とを積層したもの)の薄肉化や厚みの均一化を図ることもできる。 【0026】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に示す。実際に、図1に示す本発明の製造方法に従って本発明の人工血管の作製を行なった。 【0027】実施例1最初に図1(a)に示すように、ステンレススチールで形成されたコイル(外径1.3mm、全長12.2mm、線径0.1mm、ピッチ0.65mm)を、シリコ─ンチューブ(内径0.14mm、肉厚0.05mm、全長15mm)内に挿入する。次に、図1(b)に示すように、樹脂としてポリパラキシリレン(スリーボンド社製、商品名「パリレン」)を用い、これを蒸着法によってコイルの表面及びチューブの内外面に層の厚みTが0.5μmとなるように被覆した。なお、蒸着は蒸着源加熱温度を75℃、加熱時間を30分、分解炉加熱温度を680℃、ガス状のポリパラキシリレンの分圧を0.1Torr〜0.2Torr(好ましくは0.1Torr)以下に設定して行なった。次に、図1(c)に示すようにチューブの外面を被覆する樹脂層を研磨により除去し、更にチューブをエッチングにより除去して可撓管を得た。 【0028】さらに、図1(d)に示すように、可撓管の両端の開口をエポキシ樹脂により封止し、ポリウレタン(ダウケミカル社製、商品名「ペレセン」)をディップコートして被覆層を形成した。具体的には、ポリウレタンを溶かしたジメチルホルムアミド(温度:40℃、配合比:ジメチルホルムアミド100重量%に対してポリウレタン4重量%)に可撓管を30分間浸漬する工程と、取り出した可撓管を加熱乾燥する工程とを交互にそれぞれ10回行なって、被覆層を形成した。最後に、図1(e)に示すように、外面にポリウレタンが被覆されたものの両端を切断し、本発明の人工血管を得た。 【0029】上記で得られた人工血管について大きさの測定を行なった。結果、人工血管の外径は1.3mm〜1.4mm、内径は1.0mm〜1.1mmであった。次に、この得られた人工血管を曲げてみたところ、曲げ半径が2.25mmの場合でも座屈は確認出来なかった。また、折れ現象も確認できなかった。 【0030】 【発明の効果】このように本発明の人工血管を用いれば、屈曲時の折れ現象や座屈を抑制できる。また、本発明の製造方法によって人工血管を作製すれば、特に細径の人工血管を容易に作製できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003263 【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社 【識別番号】000167989 【氏名又は名称】江刺 正喜 【識別番号】597086128 【氏名又は名称】芳賀 洋一
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| 【出願日】 |
平成11年11月8日(1999.11.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080791 【弁理士】 【氏名又は名称】高島 一
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| 【公開番号】 |
特開2001−129000(P2001−129000A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月15日(2001.5.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−316972 |
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