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【発明の名称】 使い捨て紙おむつ
【発明者】 【氏名】伊東 一憲

【氏名】家守 啓

【要約】 【課題】フロントターゲットテープを不要とし、ファスニングテープ止着時の煩わしさを解消する。

【解決手段】紙おむつの背側両側端部に、側方に突出して取り付けられたファスニングテープ6,6を有し、前記ファスニングテープ6,6を紙おむつの腹側表面に止着することによって紙おむつを身体に装着するようにした紙おむつにおいて、前記ファスニングテープ6の止着面を面ファスナー12とするとともに、前記紙おむつの外面シートを不織布1とし、紙おむつの装着に当たり、前記ファスニングテープ6を紙おむつ腹側表面の任意箇所に係合させるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】紙おむつの背側両側端部に、側方に突出して取り付けられたファスニングテープを有し、前記ファスニングテープを紙おむつの腹側表面に止着することによって紙おむつを身体に装着するようにした紙おむつにおいて、前記ファスニングテープの止着面を面ファスナーとするとともに、前記紙おむつの外面シートを不織布とし、紙おむつの装着に当たり、前記ファスニングテープを紙おむつ腹側表面の任意箇所に係合可能としたことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
【請求項2】前記紙おむつ外面シートを構成する不織布として、1.8デニール以下であって且つ米坪量20g/m以下のものを用いてある請求項1記載の使い捨て紙おむつ。
【請求項3】JIS-Z-0237による試験の下で、初回係合力の平均値が少なくとも75g以上となるとともに、繰り返し係合力の5回目の平均値が60kg以上となるように、使用する不織布物性および面ファスナー係合片の形状および寸法を決定してある請求項1,2いずれかに記載の使い捨て紙おむつ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、紙おむつの腹側表面においてファスニングテープを止め付けるためのフロントターゲットテープを不要とした紙おむつの止着構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より市場に提供されているテープ式紙おむつは、図8に示されるように、装着のために紙おむつの後身頃の両側に、止着面に粘着層を形成したファスニングテープ50,50を備えるもので、使用に際しては紙おむつの前身頃および後身頃をそれぞれ着用者の身体に当てがった後、前記ファスニングテープ50,50を腹側に持ち込み、紙おむつ外面の不透液性バックシート1Aの表面に貼着されているポリエチレン等のプラスチック材料よりなるフロントターゲットテープ51に止着して紙おむつの固定を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一回の止着できっちりと紙おむつを装着するのは困難で、実際には何回かの止着直しを行いながら紙おむつの装着を行っていた。前記止着直しの原因の一つとしては、対の一方のファスニングテープについてはフロントターゲットテープに止着できたが、他方のファスニングテープが前記フロントターゲットテープに届かなかったりした場合を挙げることができ、装着に当たってファスニングテープの貼り付け位置に限定があること自体に煩わしさを感じることがあった。
【0004】また、止着直しを何回か行っている間に前記フロントターゲットテープが破けてしまうことがあった。もちろん、フロントターゲットテープの厚みを厚くすれば、フロントターゲットテープの破れは防止できるが、フロントターゲットテープの剛性が増すとゴワ付き感が大きくなり装着性が損なわれることになるため、極限まで薄くすることによって対処しているのが現状である。
【0005】そこで本発明の主たる課題は、腹側表面に貼設されるポリエチレン等のフロントターゲットテープを不要とし、ファスニングテープ止着時の煩わしさを解消するとともに、装着感の向上を図るようにすること、さらには前記フロントターゲットテープを無くすことにより生産性の向上、コスト縮減を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための本発明は、紙おむつの背側両側端部に、側方に突出して取り付けられたファスニングテープを有し、前記ファスニングテープを紙おむつの腹側表面に止着することによって紙おむつを身体に装着するようにした紙おむつにおいて、前記ファスニングテープの止着面を面ファスナーとするとともに、前記紙おむつの外面シートを不織布とし、紙おむつの装着に当たり、前記ファスニングテープを紙おむつ腹側表面の任意箇所に係合可能としたことを特徴とするものである。
【0007】この場合において、前記紙おむつ外面シートを構成する不織布としては、面ファスナーが係合し易いように繊維径および米坪量を抑えた不織布を用いるとよい。具体的には、1.8デニール以下であって且つ米坪量20g/m以下の不織布が好適に用いられる。
【0008】前記面ファスナーによって紙おむつの止着を行うようにするには、紙おむつを固定するのに十分な係合力を確保する必要がある。係合力を決定する因子としては、面ファスナーの係止片の形状、寸法と、不織布の繊維径、米坪量との2因子となるため、一義的に決定することは困難であるが、少なくとも装着時の固定力という観点から、JIS-Z-0237による試験の下で、初回係合力の平均値が少なくとも75g以上となるとともに、繰り返し係合力の5回目の平均値が60kg以上となるように、使用する不織布物性および面ファスナー係合片の形状および寸法を決定することが望ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。図1は本発明に係る紙おむつの一部破断展開図であり、図2はその要部拡大展開図である。
【0010】図1において、使い捨て紙おむつは、有孔または無孔の不織布や孔開きプラスチックシート等からなり使用面側を覆う透液性トップシート2と、不織布からなり紙おむつの外面側を覆うとともに、おむつ両側部では後述の立体ギャザー不織布4と共にサイドフラップ部SFを構成するバックシート不織布1と、前記透液性トップシート2とバックシート不織布1との間に介在された、綿状パルプ等からなる、たとえば砂時計形状(または長方形状等)のある程度の剛性を有する吸収体3と、前記吸収体3とバックシート不織布1との間に少なくとも吸収体3の全面積を覆うように配設されたポリエチレン等からなる防水フィルム9と、紙おむつの両側部に表面側に起立する立体ギャザーBSを形成するとともに、おむつ両側部では前記バックシート不織布1と共にサイドフラップ部SFを構成するための立体ギャザー不織布4と、背側両側部に設けられた紙おむつ装着のためのファスニングテープ6,6とから主に構成されている。
【0011】また、紙おむつの腹部および背側では、前記バックシート不織布1、防水フィルム9および透液性トップシート2が共に延在し、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成され、該エンドフラップ部EFに対し、前記防水フィルム9と透液性トップシート2との間に、発泡ウレタンなどからなり通気性を有する弾性伸縮テープ8,8が介在され、ウエストギャザーEFが形成されている。
【0012】本発明では、通常、おむつ外面を覆うために用いられているポリエチレン等による不透液性バックシート1Aに代えて、不織布からなるバックシートが用いられ、かつ吸収体3とバックシート不織布1との間にポリエチレン等からなる防水フィルム9が介在されている。
【0013】前記防水フィルム9は、吸収体3と同じく砂時計形状を成し、両側縁部は吸収体3側縁よりも若干側方に延在して形成され(この部分を側方延在部分Kという。)、この側方延在部分Kにおいて透液性トップシート2とホットメルト接着剤などにより固着されている。また、前記バックシート不織布1は、前記防水フィルム9の外面側に積層され、紙おむつの外形線を成す位置まで延在され、後述の立体ギャザー不織布4とともにサイドフラップ部SFを形成している。
【0014】前記防水フィルム9としては、近年、ムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に遠心することにより得られる微多孔性シートであり、仮にシート厚が同じであれば無孔シートよりも剛性が低下するため、柔軟性の点で勝るものとなる。
【0015】一方、立体ギャザー不織布4は、前記側方延在部分Kから吸収体3側縁に跨る領域において幅方向中間部が紙おむつの略長手方向に沿って固着され、この固着部よりも側方に延在する不織布シート部分が前記バックシート不織布1と共にサイドフラップSFを構成している。このサイドフラップ部SFにおいては、前記立体ギャザー不織布4とバックシート不織布1との間に紙おむつ長手方向に複数本、図示の例では3本の弾性伸縮部材7,7…が配設され、平面ギャザーGKが形成されている。この平面ギャザーGKは、着用した際に紙おむつをきっちりと脚周りにて保持することにより、フィット性を向上させ紙おむつがずれるのを防止する。また、紙おむつがきっちりと保持されることにより前記立体ギャザーBSが裏返ったりすることなく脚周りに沿って起立した状態で装着されるようになる。
【0016】他方、前記立体ギャザー不織布4の前記固着部よりも内方側の不織布シート部分によって表面側に起立する立体ギャザーBSが形成されている。この立体ギャザーBSは、吸収体3の側縁近傍位置に起立端を有し、その先端が紙おむつ長手方向に沿って二重に折り返され、この折り返し部の内方に1本の弾性伸縮ゴム5を、または必要により複数本の弾性伸縮ゴムを配設することにより、その伸縮力を利用して立体ギャザーBSを起立させるようになっている。前記弾性伸縮ゴム5としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。なお、前記立体ギャザー不織布4の固着領域は側方延在部分Kのみとすることでもよい。
【0017】前述のバックシート不織布1、透液性トップシート2および立体ギャザー不織布4を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にサイドフラップ部SFを構成する前記立体ギャザー不織布4およびバックシート不織布1としては、ゴワ付き感を無くすとともに、ムレを防止するために、米坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。
【0018】本使い捨て紙おむつでは、サイドフラップ部SFを不織布により構成しているため該部分が透液性を有するようになるが、極力透液性を低下させ体液の透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0019】一方、紙おむつを身体に固定するための前記ファスニングテープ6は、詳細には図3および図4に示されるように、ファスニングテープ基材10の内端側を紙おむつのバックシート不織布1に接着するとともに、前記ファスニングテープ基材10の接着部位に対応して透液性トップシート2面側に補強テープ11を貼着し、この補強テープ11の外端側をファスニングテープ基材10に接着させ補強した構造のファスニングテープであり、ファスニングテープ基材10の外端側の内面には面ファスナー12が接着されている。
【0020】紙おむつの装着に当たっては、紙おむつを身体にあてがい、図5に示されるように、背側両端部に設けられた前記ファスニングテープ6を紙おむつの腹側表面(バックシート不織布1)部分の任意箇所に係合させるようにする。
【0021】
【実施例】本実施例では、ファスニングテープ6のバックシート不織布1に対する係合力を、前記面ファスナー式ファスニングテープ6が止着されるバックシート不織布1の物性値と面ファスナー12の係止片の寸法との関係において検証するために係合力試験を行った。
【0022】面ファスナーの係合片の形状としては、レ字状、J字状、マッシュルーム状等のものが存在するが、レ字状およびJ字状の係合片の場合には、不織布の繊維に対する係合力が強いため止着直しがしづらいことが判明したため、マッシュルーム状のものに限定して試験を行った。試験に用いた3種類(タイプA〜C)の係合片は住友スリーエム株式会社製の品番CS-200(2500ピン)のものを使用した。これらの内、係合片の相対寸法はタイプAは標準の大きさとし、タイプBはこれよりも大きめのものとし、タイプCは小さめのものとしている。
【0023】一方、不織布は4種類の物性値、■0.5デニール(米坪量10g/m■1.0デニール(米坪量16g/m■1.8デニール(米坪量20g/m■3.0デニール(米坪量35g/m)のものについて試験を行った。なお、前記不織布■は、紙おむつで一般的に使用されている不織布である。
【0024】他方、目標係合力は着用時に無理な運動をしてもファスニングテープ6が剥離しない係合力ということで、初回係合力を75g以上、繰り返し係合力(5回目)を60g以上と設定した。
【0025】また試験は、JIS-Z-0237に規定される試験とした、この試験方法は、不織布を幅50mm×50mmに切り取り、幅25mm×63mmの試験片(MFT)を2kgのゴムローラーで50mm/秒の速度で一往復し圧着し(接着面積は25mm×25mm)、次いでJIS鋼板に両面テープで不織布裏面を貼り付けてスロトグラフチャックの下部に設置し、そして前記試験片を上部のチャックに挟み、300mm/秒の速度で引っ張り、係合力を計測する試験方法である。
【0026】図6は初回係合力試験の結果をグラフ化したものであり、図7は繰り返し係合力の試験結果をグラフ化したものである。上記図6より定性的には、不織布の繊維径が細いほど係合力が高くなる傾向があることが判る。また、面ファスナーの係合片形状との関係では、一部傾向が逆転しているところも見られるが、係合片の径が小さいほど係合力が高くなっていることが判る。
【0027】一方、繰り返し係合力は、不織布の繊維径が異なっても全体的に勾配が緩くなってフラットな曲線形状になっていることが判る。
【0028】以上のような係合力試験を行い、目標とする初回係合力と繰り返し係合力を上回るように、デニール、米坪量等の不織布物性と、面ファスナーの係合片形状および寸法を決定するようにすればよい。好適には、不織布としては、1.8デニール以下であって且つ米坪量20g/m以下の不織布が好適に用いられる。また、初回係合力の平均値が少なくとも75g以上となるとともに、繰り返し係合力の5回目の平均値が60kg以上となるように、使用する不織布物性および面ファスナー係合片の形状および寸法を決定するようにすればよい。
【0029】
【発明の効果】以上詳説のとおり本発明によれば、腹側表面に貼設されるポリエチレン等のフロントターゲットテープを不要と出来るため、ファスニングテープ止着時の煩わしさを解消できるようになるとともに、装着感が向上するようになる。また、同時に前記フロントターゲットテープを無くすことにより生産性の向上、コスト縮減を図ることが出来るようになる。
【出願人】 【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
【識別番号】593070192
【氏名又は名称】ダイオーペーパーコンバーティング株式会社
【出願日】 平成11年9月28日(1999.9.28)
【代理人】 【識別番号】100104927
【弁理士】
【氏名又は名称】和泉 久志
【公開番号】 特開2001−87309(P2001−87309A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−273799