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【発明の名称】 発熱体及びその製造方法
【発明者】 【氏名】臼井 昭男

【要約】 【課題】粘稠で流動性を有する発熱組成物を用い、この発熱組成物を包材に転写後、揮発性液体及び水の一部を蒸散させて発熱組成物を多孔質にした発熱体及びその製造方法を提供する。

【解決手段】発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び/又は金属の塩化物と、水及び揮発性液体を必須成分とし、全体として粘稠で流動性を有する発熱組成物2がその揮発性液体の蒸散によって多孔質化された状態でシート状包材内に積層、封入されてなり、この包材1の一部が通気性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び/又は金属の塩化物と、水及び揮発性液体を必須成分とし、全体として粘稠で流動性を有する発熱組成物がその揮発性液体及び水分の一部の蒸散によって多孔質化された状態でシート状包材内に積層、封入されてなり、この包材の少なくとも一部が通気性を有することを特徴とする発熱体。
【請求項2】 揮発性液体は水より蒸発速度が高いアルコール類、ケトン類、エーテル類又は液状脂肪族炭化水素から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】 粘稠で流動性を有する発熱組成物には、無機系或いは有機系の保水剤、pH調整剤、界面活性剤及び消泡剤から選ばれた少なくとも1種が配合されており、しかも揮発性液体の蒸散によって発熱組成物が多孔質化されている請求項1又は2に記載の発熱体。
【請求項4】 シート状包材が、フィルム状ないしシート状の基材とフィルム状ないしシート状の被覆材とからなり、このシート状包材の側方、或いは基材と被覆材のうち少なくとも一方或いは一部が、通気性を有するものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発熱体。
【請求項5】 発熱組成物の周囲部において、基材と被覆材とが全周或いは部分的に粘着又は熱接着若しくは熱融着によって封着されている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発熱体。
【請求項6】 基材及び被覆材が伸長性の素材で形成されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載の発熱体。
【請求項7】 基材又は被覆材において、そのいずれか一方の露出面の少なくとも一部に粘着剤層が積層されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発熱体。
【請求項8】 粘着剤層が、湿布剤を含有する湿布層、或いは経皮吸収性薬物を含有又は担持している薬物含有層である請求項7に記載の発熱体。
【請求項9】 水及び揮発性液体を用いて粘稠で流動性を有する発熱組成物を形成した後、この粘稠で流動性を有する発熱組成物を、フィルム状ないしシート状の基材上面における少なくとも一箇所の所定領域に積層し、次いで、この粘稠で流動性を有する発熱組成物から揮発性液体を蒸散させて多孔質の発熱組成物を形成した後、この多孔質の発熱組成物を覆うようにフィルム状ないしシート状の被覆材を被せ、しかも前記の基材と被覆材のうち少なくとも一方或いは一部が通気性を有するものであることを特徴とする発熱体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水及び揮発性液体を用いて粘稠で流動性を有する発熱組成物を形成し、この粘稠で流動性を有する発熱組成物を包材に転写後、揮発性液体及び水分の一部の蒸散により発熱組成物を多孔質化することによって薄型の発熱体を製造できる上、発熱組成物を袋体内に任意の形状で均一な厚さに積層させることができるのであり、又、発熱組成物の一部又は全部を袋体内に固定してその移動を防止し、薄く、柔軟で使用感が著しく優れた発熱体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、いわゆる、使い捨て型かいろとして、通気性又は気密性を有するフィルム状ないしシート状の基材と、通気性を有するフィルム状ないしシート状の被覆材とからなる偏平な袋体内に発熱組成物を封入した発熱体が広く利用されている。
【0003】又、この袋体の片面に粘着剤層を形成して、下着や生体表面に直接に貼りつけることができるようにした発熱体も利用されており、更に、この粘着剤層に湿布剤を含有又は担持させて温湿布に利用したり、経皮吸収性薬物を含有又は担持させて、いわゆる薬物の経皮吸収剤として利用することも提案されている(特開平2−149272号公報参照)。
【0004】この発熱体の製造方法としては、一般に、基材の所定領域に発熱組成物を投下した後、通気性を有する被覆材を被せ、更にこの後、基材と被覆材の周縁部とを全周にわたってヒートシール、ホットメルト系接着剤などによって封着する方法が採用されている。
【0005】そして、このようにして製造された発熱体は使用時までの発熱反応を抑止するために、気密性の外袋内に密封され、保存されたり、流通に供される。
【0006】従来の発熱組成物としては、発熱反応に必須である金属粉及び水の他に発熱を促進するためのカーボンや活性炭などの炭素成分、金属粉の表面の酸化膜を破壊し、発熱反応を連続的に発生させる金属の塩化物更に木粉などの保水剤などを配合した粉末状のものが用いられている。
【0007】従来のように、発熱組成物が粉末状に形成されている場合、特開平9−75388号公報に記載されているような種々の問題がある。具体的には、例えば粉末状の発熱組成物は、発熱反応、つまり酸化反応が発生し易い最適の状態で配合されており、しかも粉末状で多孔質体で、表面積が広く、空気との接触が極めて良好である上、空気と接触すると直ちに酸化反応が生じるのである。
【0008】従って、発熱組成物を適正な配合比で配合している間、及び発熱組成物を製造し、これを基材上に投下し被覆材で被覆して発熱体を製造するまでの間に空気との酸化反応、つまり発熱反応が起こり、発熱組成物の発熱反応によるロスが生じると共に発熱組成物の品質が低下する上、発熱反応によって生成した生成物が凝固して種々の弊害が発生する。具体的には、例えば、凝固物除去による歩留りの低下、取り扱いの困難性、製造装置のメンテナンスの煩雑性、製造装置の稼働時間ないし作業者の就業時間に対する制約、凝固物処理の困難性などの弊害を招来する。
【0009】そこで、本発明者は、これらの問題を一挙に解決するため、特開平9−75388号公報に開示されているように、インキ状ないしクリーム状の発熱組成物及びこれを用いた発熱体並びにこの発熱体の製造方法を提案した。
【0010】即ち、本発明者は、このインキ状ないしクリーム状の発熱組成物、つまり粘稠で流動性を有する発熱組成物を提案し、これによって、発熱体製造時の粉塵の発生を防止し、又、発熱組成物の発熱反応を抑制して、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下及び発熱組成物の凝固を防止するのであり、またスクリーン印刷やコーティングなどの印刷、転写法を採用しているから、発熱組成物を任意の形状で均一な積層を可能にし、しかも発熱組成物の厚さや分布の精度が高く製品の品質の向上を図る上、高速で超薄形の発熱体を簡便に製造できるのであり、更に、発熱組成物を、吸水性の基材や被覆材、或いはこれらの上に形成された吸水層上に転写、積層することによって、発熱組成物を袋材に均等に分布、固定させることができる結果、発熱組成物の移動、片寄りを防止するのであり、加えて、発熱体の薄型化によって発熱組成物の過剰な発熱反応を極力避けるインキ状ないしクリーム状の発熱組成物及びこれを用いた発熱体並びにこの発熱体の製造方法を提供するとの目的を達成することに成功した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、インキ状ないしクリーム状の発熱組成物、つまり粘稠で流動性を有する発熱組成物を用いた発熱体は、その粘性及び流動性を利用して印刷技術やその他の転写技術などにより当該発熱組成物を基材上に均一に積層することができるため、発熱組成物の厚みが均一で、しかも輸送時にも均一性が維持される結果、温度分布、持続時間のバラツキが少なく安全性に至極優れるが、発熱組成物に粘性や流動性を付与するために過剰の遊離水を必要とする。
【0012】そして、この過剰の遊離水がバリヤー層となって発熱物質と空気との接触を妨げる結果、粘稠で流動性を有する発熱組成物は空気中での安定性が向上するが、包材中で発熱反応を抑制するため、基材及び被覆材の少なくとも一方に過剰の遊離水を吸収させてバリヤー層を除去するための吸水層を必要としていた。
【0013】この過剰の遊離水を吸収する包材の吸水層は、レーヨン、コットン、パルプなどで形成された親水性の不織布や紙等であるが、これらはヒートシール性が著しく乏しいため、包材の周縁部を完全に密封(ヒートシール)することが困難であった。その為、毛細管現象により鉄イオンを含んだ水分が、不織布、紙層を通してシール部に滲み出る危険があり、包材を茶褐色に染め、見栄えを悪くして商品価値を低下させるなどの問題があった。
【0014】つまり、この包材の吸水層はコストが高く、しかもヒートシール強度が低いうえ、発熱体の発熱時にヒートシール部からの水分(蒸気)が放散し易く、発熱時間の延長を図るなどの観点からもヒートシールによるシール部の完全シール性が望まれていた。
【0015】そこで、本発明者は、粘稠な発熱組成物の粘性及び流動性による転写性を維持しつつ、粉末状の発熱組成物のように、包材内において、表面積が広く、空気との接触が極めて良好で、空気と接触すると直ちに酸化反応が生じる発熱組成物について鋭意検討を重ねた結果、発熱組成物中の発熱反応のバリヤー層となる過剰水及び増粘剤(バインダー)をできるだけ少なくし、水分を包材に吸収させることなく、発熱反応を円滑に開始できる上、包材に吸水層を必要とすることがなく、従って、ヒートシールが可能な包材を使用できる粘稠で流動性を有する発熱組成物を完成したものである。
【0016】即ち、本発明は、水及び揮発性液体を用いて粘稠で流動性を有する発熱組成物を形成し、この粘稠で流動性を有する発熱組成物を包材に転写後、揮発性液体及び水分の一部の蒸散により発熱組成物を多孔質にし、表面積が広く、空気との接触が極めて良好で、空気と接触すると直ちに酸化反応が生じる上、発熱組成物中の発熱反応のバリヤー層となる過剰水及び増粘剤(バインダー)をできるだけ少なくし、水分を包材に吸収させることなく、発熱反応を円滑に開始できる上、包材に吸水層を必要とすることがなく、従って、ヒートシールが可能な包材を使用できる粘稠で流動性を有する発熱組成物を用いた発熱体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0017】また、本発明は、粘稠で流動性を有する発熱組成物を用いることによって、発熱体製造時の粉塵の発生を防止し、又、当該発熱組成物の発熱反応を抑制して、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下及び発熱組成物の凝固を防止するのであり、またスクリーン印刷やコーティングなどの印刷、転写法を採用しているから、発熱組成物の均一な積層を可能にし、しかも発熱組成物の厚さや分布の精度が高く製品の品質の向上を図る上、高速で超薄形の発熱体を簡便に製造できるのであり、更に、粘稠で流動性を有する発熱組成物を、基材上に転写、積層することによって、発熱組成物を袋材に均等に分布、固定させることができる結果、発熱組成物の移動、片寄りを防止するのであり、加えて、発熱体の薄型化によって発熱組成物の過剰な発熱反応を極力避けることができるのであり、特に、粉体の転写工程がなくなり将来の医療用具や医薬品製造におけるGMP基準を満たして工場管理が簡単に可能になる発熱体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係る発熱体(以下、本発明発熱体という)は、前記の目的を達成するために、発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び/又は金属の塩化物と、水及び揮発性液体を必須成分とし、全体として粘稠で流動性を有する発熱組成物がその揮発性液体及び水分の一部の蒸散によって多孔質化された状態でシート状包材内に積層、封入されてなり、この包材の少なくとも一部が通気性を有することを特徴とするものである。
【0019】本発明に係る発熱体の製造方法(以下、本発明方法という)は、前記目的を達成するため、水及び揮発性液体を用いて粘稠で流動性を有する発熱組成物を形成した後、この粘稠で流動性を有する発熱組成物を、フィルム状ないしシート状の基材上面における少なくとも一箇所の所定領域に積層し、次いで、この粘稠で流動性を有する発熱組成物から揮発性液体を蒸散させて多孔質の発熱組成物を形成した後、この多孔質の発熱組成物を覆うようにフィルム状ないしシート状の被覆材を被せ、しかも前記の基材と被覆材のうち少なくとも一方或いは一部が通気性を有するものであることを特徴とする。
【0020】以下、本発明発熱体及び本発明方法について詳細に説明するが、両発明に関連することは単に本発明と称する。本発明発熱体においては、従来のように粉末状の発熱組成物を用いるのではなく、水及び揮発性液体を用いて粘稠で流動性を有する発熱組成物がその揮発性液体及び水分の一部の蒸散によって多孔質化された状態でシート状包材内に積層、封入されてなり、この包材の少なくとも一部が通気性を有する点、に特徴を有するものである。
【0021】そして、本発明で用いられる粘稠で流動性を有する発熱組成物としては、空気中の酸素と反応して発熱反応を起こす成分からなり、しかも外力を加えると流動する性質を有するものであって、水分及び揮発性液体や吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、他の成分との配合割合を調整することによって得られるものであれば特に限定されるものではない。
【0022】本発明で用いられる発熱組成物は粘稠で流動性を有する状態に形成されているから、以下に述べる種々のメリットが発生するのである。
【0023】即ち、発熱組成物は粘稠で流動性を有する状態に形成されているから、例えば厚塗印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、吹き付けなどの公知の印刷技術を用いて印刷したり、ヘッドコーター、ローラー、アプリケーター等により塗工やコーティングによって、至極容易に転写、積層できる上、高速で超薄型の発熱体を製造できるのであり、しかも袋材内に均等に分布させることができる。
【0024】又、粘稠で流動性を有する発熱組成物を、発泡フィルム・シート、不織布、織布又は多孔質フィルム・シートの上に転写、積層すると、この発熱組成物は、水及び揮発性液体によって粘稠で流動性を有する状態に形成されているから、浸透・投錨性が高く、これらのフィルムないしシートの細孔に食い込み、その移動、偏りが阻止されるのであり、しかも空気との接触面積が著しく小さく、空気の供給量が減少して直ちに酸化反応が殆ど生じないが、前記の揮発性液体及び水分の一部が速やかに蒸散して多孔質となる結果、空気との接触が良くなるのである。
【0025】従って、特にフィルムないしシート(基材及び被覆材)は吸水性が無くても良く、このフィルムないしシート(基材及び被覆材)としては発熱体の生産性や封着箇所の信頼性更に安全性等の観点から、ヒートシール性を有するものが望ましい。
【0026】又、スクリーン印刷やコーティングなどによる積層法によると、この発熱体を至極薄くすることができるのであり、又、発熱体が薄いと、使用に際し違和感が無く使用感が良好であり、しかも発熱組成物の過剰な発熱反応が阻止されるが、発熱組成物が粘稠で、しかも層厚が薄いから、当該発熱組成物の移動、偏りが阻止されるのである。
【0027】加えて、粘稠で流動性を有する発熱組成物を、発泡フィルム・シート、不織布、織布又は多孔質フィルム・シートなどのフィルム状ないしシート状の包材に、スクリーン印刷やコーティング等で転写、積層すれば粉体の投入工程がなくなり将来の医療用具や医薬品製造におけるGMP基準を満たす工場管理が簡単に可能になるのである。
【0028】又、発熱組成物は、この発熱組成物中の水及び揮発性液体の配合率、更に吸水性ポリマー及び/又は増粘剤を配合、調整して粘稠で流動性を有するように形成されているから、印刷やコーティングなどによる転写、積層が至極容易で、且つ高速で超薄形の発熱体を製造できるのであり、しかも発熱組成物が粘稠で流動性を有する状態であれば、水及び揮発性液体がバリヤー層となるので、空気の供給量が減少して発熱反応を実質的に停止する結果、一層空気中で安定し、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下及び発熱組成物の凝固が一層防止されるので望ましい。
【0029】即ち、従来の粉末状発熱組成物においては、前述の種々の重大な弊害が発生するが、発熱組成物を粘稠で流動性を有する状態に形成すると、スクリーン印刷やコーティング等による転写、積層が容易で、且つ高速で超薄形の発熱体を製造できるのであり、しかもこの水及び揮発性液体或いはこれらを含むゲルがバリヤー層となるので、空気の供給量が減少して発熱反応が殆ど生じないのである。
【0030】この場合において、発熱組成物中の揮発性液体及び水分の一部が蒸散すると、バリヤー層が喪失して多孔質になる結果、空気との接触が良好になり、発熱特性が良好な本発明発熱体が得られるのである。
【0031】本発明で用いられる粘稠で流動性を有する発熱組成物においては、発熱物質と、吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、炭素成分及び/又は金属の塩化物と水及び揮発性液体とを必須成分とし、全体として粘稠で流動性を有する状態に形成されたものが挙げられるのであり、その配合割合は発熱物質100重量部に対し、吸水性ポリマー0.1〜5重量部の範囲及び/又は増粘剤0.1〜5重量部の範囲と、炭素成分3〜50重量部の範囲及び/又は金属の塩化物1〜10重量部の範囲とを必須成分とし、且つ発熱物質100重量部に対し、水及び揮発性液体の混合物が20〜60重量部の範囲で配合されて、全体として粘稠で流動性を有する状態に形成されたものが挙げられる。
【0032】そして、特に、本発明においては、発熱組成物の固形成分に水及び揮発性液体を配合して、全体として粘稠で流動性を有する状態に形成されるが、この水と揮発性液体との配合割合は、水100重量部に対し、揮発性液体が5〜50重量部の範囲とするのが望ましく、水100重量部に対し、揮発性液体が5重量部未満になると、揮発性液体が少な過ぎて所要の多孔質化を実現することができず、従って、空気との接触性が低下して所要の発熱特性が得られない恐れが有り、一方、50重量部を超えると、発熱組成物の安定性に問題が生じるだけでなく、揮発性液体に起因する障害が生じる恐れが有るので望ましくなく、これらの観点から、水100重量部に対し、揮発性液体が、好ましくは7.5〜35重量部の範囲、特に好ましくは10〜25重量部の範囲とするのが望ましい。
【0033】本発明で用いられる揮発性液体としては水より蒸発速度が高い有機物質であれば特に限定されるものではないが、具体的には、アルコール類、ケトン類、エーテル類又は液状脂肪族炭化水素から選ばれた少なくとも1種が挙げられるのであり、これらのうち、取り扱い性や安全性更に蒸散速度等の観点から、特にアルコール類が望ましく、このアルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール又はイソプロピルアルコール等の低級アルコールが挙げられる。
【0034】また、本発明においては、水よりも蒸発速度が大きい揮発性液体を添加するにあたり、発熱組成物を包材に転写する際、当該包材に遊離水を吸収させなくても発熱する状態まで適正水分に調整し得るのである。この場合において、粘稠な発熱組成物をフィルム状ないしシート状の基材上に転写し、フィルム状ないしシート状の被覆材で被覆する間に揮発性液体が蒸散するが、このとき、水分の一部も蒸発させるのである。
【0035】本発明で用いられる粘稠な発熱組成物を製造するにあたり、まず、金属粉を除く固形成分を均一に混合した後、これに水及び揮発性液体を加えて混練りして粘稠で流動性を有する状態にしてから金属粉を加える方法が混練り中の発熱防止の観点から望ましい。
【0036】これらの成分の混合装置としては、水及び揮発性液体を加えて均一且つ粘稠で流動性を有する発熱組成物を製造できる装置であれば特に限定されるものではないが、高粘稠な発熱組成物を製造する場合には、ニーダーやミキサー等の混練装置が均一な混合物が容易に得られるので望ましい。
【0037】そして、本発明で用いられる発熱組成物は、前述のように、粘稠で流動性を有するように形成されているのであり、その粘度(温度20℃)は、粘稠で、印刷等の転写手段で転写できる範囲であれば特に限定されるものではないが、以下の方法で、一般に、100,000〜9,500,000cpsの範囲とするのが望ましく、発熱組成物の粘度が100,000cps未満と低すぎると、発熱組成物の印刷やコーティングなどによる転写性が悪くなったり、水及び揮発性液体が至極過剰になり過ぎて他の成分の転写量が不足し、発熱時間が短くなるおそれがあるので好ましくなく、一方、9,500,000cpsを超えると転写性が悪くなって転写量にバラツキが生じる場合が有るから好ましくない。
【0038】この粘度とは、2,000,000cps未満の場合には、TOKIMECINC.製(VISCOMETER BH型粘度計)で、しかも#7のローターを用い、回転数2rpmとし、ビーカー内径(85φmm)のビーカーを用いて測定温度20℃で測定した値であり、又、2,000,000cpsを超える場合には、東機産業(株)社製(R110型粘度計、RE110Uシステム、検出ヘッドRE100U、コントローラRC100A)で、しかもSPPローターを用い、回転数0.2rpm(D=0.4(1/S))とし、測定温度20℃で測定した値である。尚、この粘度は転写、積層時の値である。
【0039】本発明で用いられる粘稠な発熱組成物においては、水分及び揮発性液体や吸水性ポリマー及び/又は増粘剤と、他の成分、つまり発熱反応に必須である発熱物質の他に、発熱を促進するためのカーボンや活性炭などの炭素成分、及び/又は、金属粉の表面の酸化皮膜を破壊し、発熱反応を連続的に発生させる金属の塩化物を必須成分とするものであり、所望により、無機系或いは有機系の保水剤、pH調整剤、分散性を高める界面活性剤、消泡剤などが配合され、全体として粘稠に形成されたものも有益である。
【0040】即ち、本発明で用いられる粘稠な発熱組成物においてその配合割合は発熱物質100重量部に対し、吸水性ポリマー0.1〜5重量部の範囲及び/又は増粘剤0.1〜5重量部の範囲と、炭素成分3〜50重量部の範囲及び/又は金属の塩化物1〜10重量部の範囲からなり、この混合物には、更に発熱物質100重量部に対し、無機系或いは有機系の保水剤0.5〜10重量部、pH調整剤0.1〜5重量部、分散性を高める界面活性剤0.1〜5重量部及び消泡剤0.1〜5重量部から選ばれた少なくとも1種が配合され、特に、この混合物には発熱物質100重量部に対し、水及び揮発性液体の混合物が20〜60重量部の範囲で配合されて、全体として粘稠で流動性を有する状態に形成されたものが挙げられる。そして、この場合、水と揮発性液体との配合割合は、前述の理由より、水100重量部に対し、揮発性液体が、5〜50重量部の範囲、好ましくは7.5〜35重量部の範囲、特に好ましくは10〜25重量部の範囲とするのが望ましい。この揮発性液体としては前述のものが挙げられる。
【0041】本発明で用いられる、吸水性ポリマーとしては、主として、水を大量に吸収する高分子材料が挙げられるのであり、具体的には、例えば特開平9−75388号公報に開示されているものがその例として挙げられる。
【0042】これら市販の吸水性ポリマーの中では、水や金属の塩化物水溶液を迅速に吸収し、しかもそれらの吸収量が高い、三洋化成社製のサンフレッシュST−30MPS、サンフレッシュST−100MPS、サンフレッシュST−500MPSなどが特に好ましい。
【0043】本発明において、増粘剤としては、主として、水や金属の塩化物水溶液を吸収し、稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する物質が挙げられるのであり、ベントナイト、ステアリン酸塩、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸塩、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、トラガカントゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、アラビアガム、アルギン酸ソーダ等のアルギン酸塩、ペクチン、カルボキシビニルボリマー、デキストリン、α化澱粉、加工用澱粉などの澱粉系吸水剤、カラギーナン、寒天などの多糖類系増粘剤、CMC、酢酸エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体系増粘剤、ポリエチレングリコールやグリセリン等の多価アルコール、アクリルスルホン酸系高分子物質(例えば、日本触媒株式会社製、商品名:CS−6HS)、水溶性セルロースエーテル又はポリーN−ビニルアセトアミド等から選ばれた1種又は2種以上の混合物が挙げられるのであり、更に、これらを界面活性剤で処理したり、これらにと界面活性剤を組み合せて親水性を向上しても良いのである。これらの増粘剤は、主として、水や金属の塩化物水溶液を吸収し、稠度を増大させるか、チキソトロピー性を付与する機能を有するものである。
【0044】本発明で用いられるその他の増粘剤、あるいは増粘剤の増粘開始温度を調整する添加物としては、例えば特開平9−75388号公報に記載されているものが挙げられる。
【0045】本発明で用いられる発熱物質としては金属粉、例えば鉄粉、亜鉛粉、アルミニウム粉又はマグネシウム粉或いはこれらの2種以上の金属からなる合金の粉末、更に、これらのうちの2種以上を混合した混合金属粉などが用いられるが、特に、これらの金属粉の中では、安全性、取扱性、コスト、保存性及び安定性などの観点を総合して最も優れている鉄粉をもいることが望ましい。
【0046】炭素成分としてはカーボンブラック、黒鉛又は活性炭などがその例として挙げられるのであり、金属の塩化物としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなどのアルカリ金属の塩化物、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ土金属の塩化物などをその例として挙げることができる。
【0047】前記無機系或いは有機系の保水剤としては、水を保水し、発熱組成物中の水分が不足し、発熱反応が鈍化すると水を放出するだけでなく、発熱組成物中の空隙率を向上させて空気と発熱組成物との接触を良好にするものである。
【0048】具体的には、例えばパーライト、クリストバライト、バーミキュライト、シリカ系多孔質物質、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、ケイ石、ケイソウ土、アルミナ等の礬土、マイカ粉やクレー等の礬土ケイ酸質、タルク等の苦土ケイ酸質、シリカ粉又は木粉やパルプ粉等が挙げられる。
【0049】又、前記pH調整剤や界面活性剤更に消泡剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)又はポリリン酸ナトリウム等の通常のpH調整剤の他、この分野で用いられるものが挙げられる。
【0050】そして、本発明発熱体の特徴は、前記の粘稠で流動性を有する発熱組成物がその揮発性液体及び水分の一部の蒸散によって多孔質化された状態でシート状包材内に積層、封入されてなり、この包材の少なくとも一部が通気性を有する点、にある。
【0051】このフィルム状ないしシート状の基材上に粘稠な発熱組成物を転写し、この上からフィルム状ないしシート状の被覆材で被覆し、発熱組成物の周縁部をシールするまでの間に、熱風工程で、揮発性液体及び水分の一部が蒸発し、その結果、発熱組成物が多孔質になって空気との接触が良好になるので、包材(基材及び被覆材)が吸水性を有する必要がなく、従って、ヒートシール性の包材を用いることができるのである。
【0052】本発明発熱体において、シート状包材が、フィルム状ないしシート状の基材とフィルム状ないしシート状の被覆材とからなり、この基材と被覆材としてはヒートシール性の有るものが、廉価であり、しかも本発明発熱体の生産性やシール部の確実性更に包材中の発熱組成物の漏れが無く安全であるなどの観点から望ましい。
【0053】本発明発熱体においては、例えば基材及び/又は被覆材における少なくとも粘稠で流動性を有する発熱組成物との接触箇所においてその表面に物理的に凹凸を形成し、これによって、基材及び/又は被覆材における粘稠で流動性を有する発熱組成物との接触箇所に凹凸を形成し発熱組成物との結合性を高めてその移動、片寄りを防止するのが望ましい。
【0054】ところで、フィルム状ないしシート状の基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写し、この上からフィルム状ないしシート状の被覆材で被覆し、発熱組成物の周縁部をシールするまでの間に揮発性液体及び水分の一部を強制的に蒸発させることにより、発熱組成物が多孔質になって空気との接触が良好になるので、前記の基材及び被覆材は吸水性を有する必要が全くないのである。
【0055】前記の基材や被覆材において、ヒートシール性を有するフィルムないしシートとしては、ヒートシール性を有する合成樹脂で形成された無孔或いは多孔質のフィルムないしシート、発泡フィルム・シート、不織布や織布、或いはこれらのフィルムないしシートを少なくともヒートシール面に有するフィルムないしシートが挙げられる。
【0056】本発明発熱体においては、用いられる基材や被覆材としては、必ずしも、ヒートシール性を有するものに限定されるものではなく、包材における発熱組成物の周縁部において、基材と被覆材とを接着剤又は粘着剤によって封着するように構成しても良いのである。
【0057】前記の基材及び/又は被覆材としては、高分子材料からなる不織布に高分子材料をラミネートしたフィルムないしシートが粘稠で流動性を有する発熱組成物を食い込ませてその移動、片寄りを一層防止できるので望ましく、ヒートシール性、染み出し防止の観点から、不織布は疎水性のものが望ましい。
【0058】この高分子材料の不織布としては、例えばポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル/ポリエチレンES繊維の不織布、ポリエステル・ポリエチレンの複合不織布、接着性ポリウレタン不織布等が挙げられる。
【0059】この通気性を有するフィルムないしシートとしては、多孔質フィルム・シートや非通気性フィルムに穿孔したフィルム、通気性フィルムの内側に不織布を張り合わせたものなどを用いることができる。これによって、多孔質のフィルムないしシートや穿孔フィルム等の通気性のフィルムないしシートが得られる。
【0060】本発明発熱体においては、粘稠で通気性を有する発熱組成物においてその中の揮発性液体及び水分の一部が蒸散することによって多孔質化された状態でシート状包材内に積層、封入されてなり、この多孔質の発熱組成物は包材内で移動することが防止されるので、発熱組成物が偏って発熱温度がばらついたり異常に高い温度に発熱することを阻止できる。
【0061】前述のように、本発明発熱体で用いられる基材及び/又は被覆材は、空気との接触により発熱する発熱組成物を用いている結果、基材と被覆材で形成された包材の少なくとも一部、つまり基材と被覆材で形成された包材の少なくとも一方、或いは基材と被覆材の一部や基材と被覆材との間の僅かな隙間(側方)、が通気性を有するものであることを要するが、この基材及び/又は被覆材としては、単一層のものと、厚み方向に複数層を積層したものとが含まれる。
【0062】この場合において、積層とはヒートセット、接着、粘着、ラミネーションなどによって層どうしが全面的に或いは部分的に接合されていたり、或いは各層が単に重ね合わされ、例えば周縁部や中央部などの局部で層どうしがヒートシール、ホットメルト系接着剤或は粘着剤などで接合されていることをいう。このヒートシール性が良好な積層フィルム・シートとしては、例えばポリエステル不織布/ポリエチレンの積層体やポリプロピレン不織布/ポリエチレンの積層体が挙げられる。
【0063】前記基材及び/又は被覆材は引っ張り強度などの必要な機械的強度を有することが必要であり、しかも、体表面へのなじみ性を高めるために、全体として柔軟で伸長性の有ることが好ましい。
【0064】つまり、本発明発熱体においては、人体における湾曲部や伸縮部更に屈伸部に一層好適に適用され、しかもこの伸縮部更に屈伸部に一層追従し易くするために、基材及び被覆材が、つまり発熱体の包材が、伸長性のフィルム或いはシート、特に、伸縮性のフィルム或いはシートで形成されたものが望ましい。
【0065】即ち、シート状包材が伸長性の素材、特に伸縮性の素材で形成されたものが、至極伸縮し易く、肘や膝等の関節部更に肩や腕等の人体における湾曲部や伸縮部更に屈伸部に一層追従して優れた密着性を有し、しかも使用中に突っ張り感や違和感がないので、一層使用感が良好である上、使用中の剥離が確実に防止されるので、一層優れた温熱効果を発現させるので望ましい。
【0066】この伸長性の基材及び被覆材としては、例えば特開平9−75388号公報に開示されているものが挙げられる。
【0067】又、前記の基材及び被覆材の厚さとしては、用途によって大きく異なり、特に限定されるものではない。具体的には、足用の場合、10〜5000μm、人体に直接張り付けて使用する場合、10〜500μm程度、特に12〜250μmとすることが更に好ましく、一般には、10〜2500μm、特に、12〜1000μmとするのが望ましい。
【0068】基材及び被覆材の膜厚が10μm未満の場合には、必要な機械的強度を得られなくなる上、膜厚を均一にすることが困難になるおそれがあるので好ましくない。
【0069】一方、基材の膜厚が5000μmを超える場合にはスポンジ等の発泡体であっても柔軟性が低下して体表面へのなじみ性が著しく低下すると共に、体表面の変形や移動に対する追従性が低下する上、ごわごわして風合が悪くなり、又、発熱体全体の厚さが厚くなるので好ましくない。
【0070】従って、特に基材及び被覆材の厚さを10〜2500μmの範囲、特に12〜1000μmの範囲とすれば、所要の機械的強度が得られると共に、所要の柔軟性が得られるので望ましい。
【0071】本発明発熱体においては、包材において、その側方或いは基材と被覆材のうち少なくとも一方又は一部が通気性を有することが必要である。
【0072】この通気性を高精度に管理するにあたり、多孔質フィルムないしシートは透湿度で、穿孔フィルムないしシートは通気度で管理することが好ましく、具体的には、透湿度がリッシー法(Lyssy法 L80−4000H型)で50〜10,000g/m2 ・24hrの範囲内にすべきであり、特に200〜6,000g/m2 ・24hrの範囲内にすることが好ましい。又、通気度はガーレー法で1〜100秒/100mlの範囲とするのが好ましい。
【0073】ところで、基材及び/又は被覆材が複数層の多孔質のフィルムないしシートからなる場合には、全体としての透湿度をリッシー法(Lyssy法)で50〜10,000g/m2 ・24hrの範囲にすることが好ましく、また基材及び/又は被覆材が複数層の穿孔フィルムないしシートからなる場合には、全体としての通気度をガーレー法で1〜100秒/100mlの範囲とするのが好ましい。
【0074】この透湿度が、50g/m2 ・24hr未満では発熱量が少なくなり、十分な温熱効果が得られないので好ましくなく、一方、10,000g/m2 ・24hrを超えると発熱温度が高くなって安全性に問題が生じたり、発熱時間が短くなる虞れが生じるので好ましくない。従って、通気性フィルムの透湿度を100〜1,000g/m2 ・24hrの範囲にすることによって、安全で十分な温熱効果を長時間にわたって得られるので、特に好ましい。又、同様の理由により、通気度をガーレー法で1〜100秒/100mlの範囲とするのが好ましい。
【0075】ところで、リッシー法(Lyssy法)とは世界各国の工業規格に準拠した方法であり、例えばJIS Z0208では、温度40℃、相対湿度差90%RHに保つように定められているので、本装置では、100%相対湿度の状態にある下部チャンバーと、高感度の湿度センサーを設置した上部チャンバーの境界面に測定サンプルが挿入され、湿度センサーのある上部チャンバーの相対湿度を10%RH(100%−90%)に保つようにし、これを中心にして、約±1%の幅(△RH)即ち約9%から約11%に湿度が増加するのに必要な時間(数秒)を測定し、予め透過度既知の標準サンプルを用いて同じ条件で行ったキャリブレーションの結果と比較することにより透過度を求める方式である。
【0076】本発明発熱体に用いられる発熱組成物は、粘稠で流動性を有する状態に形成されているので、印刷やコーティング等の転写によって高速に積層できるのであり、基材上における少なくとも1箇所の所定領域に印刷、離型処理した版の深いグラビア印刷、吹き付け又はコーティング等の転写によって積層することによって、例えば0.02〜2mm程度の薄い膜厚に、しかも、厚みを均一にして積層させることが可能になる。
【0077】この場合において、処理の高速化、付着領域制御の高精度化、薄肉化及び膜厚の均一化を図るために、ロールフィルム状又はロールシート状の基材を一定速度、例えば毎分30〜50m/分程度の高速で送りながら、その基材上に粘稠な発熱組成物を積層し、更にその上からロールフィルム状又はロールシート状被覆材を被せれば良いのである。この際、基材上に粘稠な発熱組成物を積層した後、被覆材で被覆し、発熱組成物の周縁部をヒートシール等によって封着する間に揮発性液体及び水分の一部が蒸散し、これによって、発熱組成物が多孔質になるのである。
【0078】本発明発熱体においては、気密性の外袋材に封入するまでの任意の時点で、基材又は被覆材において、そのいずれか一方の露出面の少なくとも一部に粘着剤層が形成されているのが好ましく、この場合、そのいずれか他方が通気性を有するものが、直接に体表面や着衣に該発熱体を貼着、固定できるので望ましい。
【0079】この粘着剤層としては外皮に粘着可能な層であれば特に限定されるものではなく、具体的には、例えば湿布剤又は粘着剤で形成された層が挙げられる。
【0080】前記粘着剤層及びその厚さとしては、従来公知のもの、具体的には、例えば特開平9−75388号公報に開示されているものが挙げられる。
【0081】この粘着剤層は、直接に基材又は被覆材のいずれか一方の露出面に粘着剤層を形成させることができるが、この場合には粘着剤層の基材又は被覆材への結合力を高めるために、基材又は被覆材の露出面を粗荒化したり、基材又は被覆材の露出面を紙、織布、編布、不織布、発泡フィルムなどの表面が粗荒なフィルム又はシートで構成するのが好ましい。
【0082】本発明発熱体においては、基材及び/又は被覆材の露出面における粘着剤層が、湿布剤を含有する湿布層、或いは経皮吸収性薬物を含有又は担持している薬物含有層であるものが、温熱効果に加えて、湿布効果や薬物による治療ないし薬理効果が得られるので望ましい。
【0083】本発明発熱体においては、粘着剤層に経皮吸収性の薬物を配合することにより、局所治療効果を向上させたり、全身治療効果を向上させたり、温熱効果によって循環が活発になった血液などに薬物を吸収させて一層効果的に生体内の各部に薬物を循環させることができるので、各部位の投与効果を一層高める上で至極好ましい。
【0084】前記経皮吸収性薬物としては、経皮吸収性のものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えば皮膚刺激剤、鎮痛消炎剤、中枢神経作用剤(睡眠鎮静剤、抗てんかん剤、精神神経用剤)、利尿剤、血圧降下剤、冠血管拡張剤、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤、不整脈用剤、強心剤、副腎皮質ホルモン剤、局所麻酔剤等が挙げられる。これら薬物は、一種又は必要に応じて二種以上配合されて用いられる。
【0085】この薬物の含有量としては薬効を期待できる範囲であれば特に限定されるものではないが、薬理効果や経済性更に粘着力等の観点より、経皮吸収性の薬物の含有量が粘着剤100重量部に対し0.01〜25重量部、特に0.5〜15重量部の範囲で適宜決定される。
【0086】本発明発熱体においては、所望により、磁気効果及び/又は遠赤外線効果を発現させるうえで、発熱組成物中及び/又は発熱体における粘着剤層側に、磁石や遠赤外線を放射するセラミックスの粉末或いは成形体を設けるのが望ましい。
【0087】本発明発熱体の製造において、経皮吸収性薬物を用いる場合には、上述した発熱体、或いは磁石及び/又は遠赤外線を放射するセラミックスなどを併用し、磁気効果及び/又は遠赤外線に基づく温熱効果により血行などの全身作用を高めることにより、磁気効果や遠赤外線に基づく温熱効果と共に、薬物の経皮吸収性を高めた全身治療効果や局所治療効果を一層高めることができる。
【0088】このようにして得られた発熱体は、冬期において、単に、人体に温熱を供給して寒さを凌ぎ、快適に過ごすことができるだけでなく、局所のこり、疼痛及び冷え等を伴う症状、例えば肩こり、筋肉痛、筋肉のこり、腰痛、手足の冷え、神経痛、リューマチ、打ち身、捻挫等の疾患に使用され、温熱による治療効果を充分に期待できるのである。
【0089】次に、本発明方法について詳細に説明する。本発明方法においては、まず、粘稠な発熱組成物を製造する工程(A)を実施する。
【0090】この粘稠な発熱組成物としては前述のものと同様のものが挙げられる。ところで、粘稠で流動性を有する発熱組成物を製造するにあたり、金属粉を除く固形成分(粉体)を均一に混合した後、水及び揮発性液体を加え混練りして粘稠な状態にし、次いで、金属粉を加える方法が、混練り中の発熱防止や品質の安定性などの観点から望ましい。
【0091】本発明方法で用いられる混練機としては粘稠で流動性を有する発熱組成物を構成する成分を均一に混合するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、例えばスパルタンミキサー、スクリューブレンダー、ロールミキサー、バンバリーミキサー又はニーダー等が挙げられるが、これらのうち、高速回転するものが短時間に粘稠で流動性を有する状態に形成できるため発熱量が少なく品質が安定するので望ましい。
【0092】本発明方法においては、工程(A)で得られた粘稠で流動性を有する発熱組成物を、フィルム状ないしシート状の基材上面における少なくとも一箇所の所定領域に転写、積層する工程(B)を実施する。
【0093】ここで用いられる基材としては本発明発熱体で説明したものと同様であるから、重複説明を避けるために省略する。
【0094】又、この工程(B)においては、基材上面にスクリーン印刷等の印刷やコーティングによって粘稠で流動性を有する発熱組成物が任意の形状で転写、積層されるが、この発熱組成物は、基材上面における幅方向において一箇所或いは二箇所以上積層したり、基材の長手方向において千鳥足状に積層しても良いのである。
【0095】本発明においては、この発熱組成物を覆うようにフィルム状ないしシート状の被覆材を被せる工程(C)を実施する。
【0096】ここで用いられる被覆材としては本発明発熱体で説明したものと同様であるから、重複説明を避けるために省略する。
【0097】この場合、フィルム状ないしシート状の基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写し、この上からフィルム状ないしシート状の被覆材で被覆し、この発熱組成物の周縁部をシールするまでの間に揮発性液体及び水分の一部を蒸発させ、その結果、発熱組成物が多孔質になって空気との接触が良好になるので、前記の基材及び被覆材は吸水性を有する必要が全くないのである。
【0098】従って、この基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写し、この上から被覆材で被覆し、この発熱組成物の周縁部をヒートシール、粘着あるいは熱接着によって封着されるが、生産性の向上、さらに品質や信頼性を一層向上するために、基材や被覆材としてヒートシール性を有するものを用い、発熱組成物の周縁部をヒートシールによって封着するように構成するのが望ましい。
【0099】そして、本発明方法においては、空気との接触によって発熱する本発明発熱体を得るものであるから、前記の基材と被覆材のうち少なくとも一方あるいは一部が通気性を有するのである。
【0100】本発明方法においては、発熱組成物が粘稠で流動性を有する状態に形成されているから、以下に述べる種々のメリットが発生するのである。
【0101】即ち、このように、本発明方法においては、粘稠で流動性を有する発熱組成物を用いると、スクリーン印刷等の印刷やコーティング等の転写による積層が至極容易で、且つ高速で超薄型の発熱体を製造できるのであり、しかもこの発熱組成物は袋材に均一に積層させることができる上、この粘稠で流動性を有する発熱組成物は基材への侵入・投錨性が高く、基材に食い込み、その上から被覆材で覆い、発熱組成物の周縁部において基材と被覆材とを封着すると、その移動や偏りが阻止される。
【0102】又、印刷やコーティングなどによる積層法によると、この発熱体を至極薄くすることができるのであり、又、発熱体が薄いと、発熱組成物の過剰な発熱反応が阻止される上、柔軟で外皮の伸縮に追従し易く、使用感が良好になる。
【0103】加えて、本発明方法においては、基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物をスクリーン印刷やコーティング等で転写、積層すれば粉体の投入工程がなくなり将来の医療用具や医薬品製造におけるGMP基準を満たす工場管理が簡単に可能になるのである。
【0104】又、本発明方法においては、発熱組成物は粘稠で流動性を有する状態に形成されているから、前述のような種々のメリットがあるが、特に、粘稠で流動性を有する発熱組成物は、印刷やコーティングなどによる転写、積層が至極容易で、且つ高速で超薄形の発熱体を製造できるだけでなく、粉末状の発熱組成物と比較して、表面積が著しく小さく、空気の供給量が減少して発熱反応を実質的に停止する結果、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下及び発熱組成物の凝固が防止されるのである。
【0105】ところで、本発明方法においては、フィルム状ないしシート状の基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写し、この上からフィルム状ないしシート状の被覆材で被覆し、この発熱組成物の周縁部をシールするまでの間に揮発性液体及び水分の一部を蒸発させる結果、発熱組成物が多孔質になって空気との接触が良好になるので、前記の基材及び被覆材は吸水性を有する必要が全くないのであり、ヒートシール性を有する基材や被覆材を用いることができるのである。
【0106】ところで、本発明方法において、本発明発熱体のいずれか一方の露出面の全面又は一部に粘着剤層が形成されており、且つそのいずれか他方の少なくとも一部が通気性を有するものが望ましい。
【0107】この粘着剤層としては湿布剤を含有する湿布層、或いは経皮吸収性薬物を含有又は担持させた薬物含有層でも良いが、これらは本発明発熱体の場合と同様なので重複説明を避けるために省略する。
【0108】この粘着剤層には、遠赤外線放射体或いは磁気体のうちの少なくとも1種が含有又は担持されても良いのである。
【0109】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0110】実施例1本発明の第1実施例に係る本発明発熱体は、図1の断面模式図に示すように、縦130mm、横95mmの長方形の偏平な包材1内に多孔質の発熱組成物2を封入したものであり、前記袋体1は、この場合、非通気性を有する基材3と、通気性を有する被覆材4とからなり、しかも、前記基材3の露出面には厚さ100μmの粘着剤層5が形成されている。なお、図中、6は前記粘着剤層5表面を保護する剥離シートである。
【0111】前記基材3としては、吸水性がなくヒートシール性を有し、又、十分な柔軟性が得られるように、厚さ30μmの非通気性ポリエチレンフィルム3bにおいて、その片面に、坪量30重量部/m2のポリエステル製不織布3aをラミネートしたものを用いた。
【0112】そして、前記基材3上には、後述する粘稠で流動性を有する発熱組成物をスクリーン印刷で厚さ230μm、転写寸法は、7cm×10cmの長方形で、転写重量は、1個当たり5g(714g/m2)としたところ転写性は良好であった。
【0113】ところで、前記基材3上に転写された粘稠で流動性を有する発熱組成物中のイソプロピルアルコール及び水分の一部は当該発熱組成物を転写後、10m/分の早さで、粘着剤層5を形成する際のホットメルトカーテンスプレー塗布工程を通過する際、ホットメルトガンから出される200℃の熱風により蒸発する。
【0114】又、前記被覆材4としては、ヒートシール性を有し、しかも機械的強度を高めると共に十分な柔軟性が得られるようにするため、この実施例では、日東電工株式会社製、銘柄 ブレスロンBRN−2360を用いている。なお、この被覆材4はその透湿度が360重量部/m2 ・24hrのものである。
【0115】更に、前記粘着剤層5は外皮に貼着するためのものであり、この粘着剤層5はスチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体系の粘着剤で形成されている。
【0116】前記粘稠で流動性を有する発熱組成物は、以下の方法で製造したものである。即ち、混練機(ダルトン社製 万能混合撹拌機 型式5DMr)に、鉄粉を除く粉体である、CMC(第一工業製薬社製株式会社 銘柄セロゲン4H)10重量部、PH調整剤としてCa(OH)2 2重量部、活性炭(ノリット社製 銘柄SA−SUPER)80重量部、食塩30重量部を投入し、回転数63rpmで1分間混合した後、ポリエチレングリコール(第一工業製薬社製株式会社製銘柄PEG400)3重量部を溶解したイソプロピルアルコール30重量部、水230重量部を加えて混合し、回転数126rpmで5分間混練後、更に、還元鉄粉(同和鉄粉株式会社製 銘柄 DKP)300重量部と、微粉鉄粉(パウダーテック株式会社製 銘柄 10A−10)700重量部を加えて、更に回転数126rpmで5分混練して粘稠で流動性を有する発熱組成物2を製造した。
【0117】比較例実施例1において、発熱組成物2を粘稠で流動性を有する状態に形成するにあたり、イソプロピルアルコール30重量部と水230重量部を加えて行うのに代えて、発熱組成物を粘稠で流動性を有する状態に形成するにあたり、水260重量部を加え、しかも吸水性を有する基材及び被覆材として以下のものを用い、また、発熱組成物の周縁部において基材と被覆材とをホットメルト系の接着剤で熱接着した以外は、実施例1と同形状の発熱体を製造した。
【0118】比較例用の基材としては、十分な柔軟性が得られるように、厚さ40μmの非通気性ポリエチレンフィルムにおいて、その片面に、吸水性ポリマー含有ポリエステル不織布(厚さ210μm 三洋化成社製サンウェトIM−5000MPS10g/m2)を、又、その他面に、レーヨン繊維含有量60重量%のレーヨン・ポリエステル混合不織布(厚さ140μm)を積層したものを用いた。
【0119】又、比較例用の被覆材としては、機械的強度を高めると共に十分な柔軟性が得られるようにするため、例えば厚さ100μmのポリエチレン製多孔質フィルムの片面に厚さ150μmのナイロン製不織布を積層したものを用いた。なお、この被覆材の透湿度は透湿量がリッシー法で400g/m2・24hrとなるように調整してある。
【0120】この発熱組成物は粘稠で表面積が小さく、空気との接触面積が制限されている結果、基材上にこの発熱組成物を転写後、その上からフイルム状ないしシート状の被覆材で積層され、発熱体が得られるまでの間の酸化反応が殆ど阻止されるのである。
【0121】このように本発明で用いられる発熱組成物は粘稠で流動性を有する状態に形成されており、この発熱組成物をスクリーン印刷することによって、基材3におけるポリエステル製不織布3a上面に積層される結果、積層領域の制御を高精度に行えると共に、膜厚を非常に薄く、しかも均一に制御できるようになり、発熱体を超薄形に形成できるのである。
【0122】この実施例では、幅130mmのロールフィルム状の基材3を水平に送りながら、その上面に前記粘稠な発熱組成物をスクリーン印刷で厚さ230μmで転写し、この転写後に被覆材4を被せ、引き続いてその印刷領域の周囲をヒートシールによって封着し、幅方向のヒートシール領域の中央で次々に裁断することにより、各発熱体の周囲のシール幅Lが7mmで、しかも超薄形の本発明発熱体を製造した。
【0123】なお、裁断された各本発明発熱体は、引き続いて包装工程に送り込まれ、図示しない気密性を有する外袋内に封入される。
【0124】本発明で用いられる発熱組成物は粘稠で流動性を有する状態に形成されており、致密で空気との接触面積が著しく小さく、従って、空気と接触しても、製造工程において、この発熱組成物の発熱反応が起こる恐れは殆どなく、発熱反応によるロスや、発熱組成物の品質低下が生じる恐れは全くない。又、本発明で用いられる発熱組成物は粘稠で流動性を有する状態に形成されているから、混練機−原料タンクからスクリーン印刷機等のヘッドまでの間を配管して、配管内を定量ポンプにより、粘稠で流動性を有する発熱組成物を圧送することが可能であり、製造工程において、当該発熱組成物が発熱、乾燥、凝固が全く起こらず、操業の中断、操業時間に対する制約、操業後の製造装置の洗浄の必要性がなくなり、発熱組成物の歩留りの向上、操業終了後のメンテナンスが容易である等、種々の弊害を防止できる。
【0125】そして、この実施例1では、この場合、前記基材3の露出面に厚さ100μmのスチレンーイソプレンースチレンブロック共重合体系の粘着剤層5が形成されている。
【0126】又、この本発明発熱体1を製造した直後に非通気性の外袋に封入した後、1時間経過してから外袋を破って人の体表面に粘着させ、通常の使用したところ、開封5分後に発熱温度が約38℃まで昇温し、以後38〜41℃で8時間以上にわたって発熱した。この使用中、多孔質の発熱組成物2は全く袋体1内で移動することはなく、全面にわたって平均した発熱が認められた。
【0127】一方、比較例品を製造した直後に非通気性の外袋に封入した後、1時間経過してから外袋を破って人の体表面に粘着させ、通常の使用したところ、開封60分後に発熱温度が約38℃まで昇温し、以後37〜40℃で6時間以上にわたって発熱した。この使用中、多孔質の発熱組成物2は全く袋体1内で移動することはなかった。
【0128】このように、比較例品の初期温度立ち上がり時間が長く、しかも全体の温度が低いのは、バリヤー層を形成している水分の包材への吸収が不充分で、バリヤー層が残損している結果、空気との接触が悪いためと解される。
【0129】ところで、本発明においては、このように印刷等によって任意の形状に基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写できるので、種々の厚さや形状の本発明発熱体1が得られるのである。
【0130】実施例2ところで、図2は肩を暖める本発明発熱体1の一例を示す斜視図であり、この本発明発熱体1は、基材3上に粘稠で流動性を有する発熱組成物をスクリーン印刷で平面視瓢箪形状に印刷、転写し、次いで、その上から被覆材4を被せて発熱組成物2の周縁部をヒートシール(シール幅7mm)した後、平面視瓢箪形状に打ち抜くという手段で製造されたものである。
【0131】そして、前記本発明発熱体1の適用に際し、この発熱体が超薄型に形成されているので、全体として柔軟になる結果、肩への感触が柔和になったり、肩の動きに非常に良く追従して変形したり、適用部位に対する密着性が良好であり、又、本発明発熱体1が使用中に適用部位から剥がれることがなく、優れた採暖効果が得られ、効果的に肩部を温めることが認められた。
【0132】更に、この使用に際し、多孔質の発熱組成物2の移動がなく、本発明発熱体の発熱温度分布が均一で、低温火傷もなく、安全性が高いことが認められた。
【0133】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明発熱体において用いられる発熱組成物は、水及び揮発性液体で粘稠で流動性を有する状態に形成されているので、この発熱組成物を印刷やコーティングなどによって基材に転写、積層させることができるのであり、しかも積層領域を高精度に制御し、又、非常に薄い膜厚で、且つ均一に粘稠で流動性を有する発熱組成物を基材上に積層できる結果、超薄形の本発明発熱体を製造できる効果が得られる。
【0134】また本発明発熱体においては、水及び揮発性液体によって粘稠で流動性を有する発熱組成物を用いているので、印刷やコーティング等によって当該発熱組成物を超薄型で、しかも均一に積層できるのであり、その結果、発熱体が超薄型で、柔軟性が高く、肩等の湾曲部や屈曲部への追従性が極めて良好であり、使用感が優れる効果を有するのである。
【0135】ところで、本発明発熱体においては、基材上に、水及び揮発性液体によって粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写し、この上から被覆材で被覆するものであるが、このように基材上に、当該発熱組成物を転写した後、その上から被覆材で被覆して発熱組成物の周縁部をシールするまでの間に揮発性液体及び水分の一部が蒸発し、その結果、発熱組成物が多孔質になって空気との接触が良好になって円滑に発熱反応が進行するので、包材(基材及び被覆材)が吸水性を有する必要がなく、従って、ヒートシール性の包材を用いることができるのである。
【0136】そして、本発明発熱体において、シート状包材が、フィルム状ないしシート状の基材とフィルム状ないしシート状の被覆材とからなり、この基材と被覆材がヒートシール性の有るもので形成されていると、包材が廉価になり、しかも本発明発熱体の生産性やシール部の確実性更に包材中の発熱組成物の漏れが無く安全であるなどの効果を奏するのである。
【0137】また、本発明発熱体においては、水及び揮発性液体によって粘稠で流動性を有する発熱組成物を用いているから、緻密で、しかも水や揮発性液体がバリヤー層となって、製造時に粘稠で流動性を有する発熱組成物が発熱反応を生じるのが著しく少なくなり、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下や凝固が防止される一方、基材上に、この粘稠で流動性を有する発熱組成物を転写した後、その上から被覆材で被覆し、当該発熱組成物の周縁部を封着するまでの間に熱風工程等、強制的に揮発性液体及び水分の一部を蒸発させて、発熱組成物が多孔質になって空気との接触が良好になり、その結果、使用時に所望の発熱温度を得ることができる等、品質がしごく高く、信頼性が著しく高い効果を有する。
【0138】しかも、本発明発熱体においては、包材と発熱組成物との結合力によって当該発熱組成物の袋材内での移動を確実に防止できるから、温度のバラツキを無くしたり、袋材内で発熱組成物が片寄って部分的に高温の発熱箇所が発生することを確実に防止できるのであり、その結果、低温火傷の発生を確実に防止し、安全性が高められる効果も得られる。
【0139】本発明発熱体において、基材及び被覆材が伸長性、特に伸縮性を有する場合には、至極伸縮し易く、肘や膝等の関節部更に肩や腕等の人体における湾曲部や伸縮部更に屈伸部に一層追従して優れた密着性を有し、しかも使用中に突っ張り感や違和感がないので、一層使用感が良好である上、使用中の発熱体の剥離ないし適用部位からの浮き上がりが確実に防止され、生体との密着性が良好になるので、一層優れた温熱効果を発現させて、優れた採暖効果や血行促進効果が得られる効果を有するのである。
【0140】本発明発熱体において、粘着剤層に遠赤外線放射体、磁気体又は経皮吸収性薬物のうちの少なくとも1種が含有又は担持させていると、遠赤外線加熱効果、遠赤外線治療効果、磁気治療効果、薬物による治療効果などが得られることはもとより、これらの効果が発熱体の発熱による血行促進などの全身作用や局部作用と相乗的に促進して一層その効果が高められる、という効果が得られる。
【0141】本発明方法においては、水及び揮発性液体で粘稠で流動性を有する発熱組成物を形成し、この発熱組成物を転写や印刷などによって基材に積層させることができるのであり、積層領域を高精度に制御し、又、非常に薄い膜厚で、且つ均一に発熱組成物を基材に積層できる結果、超薄形の本発明発熱体を製造できる効果が得られる。
【0142】また、本発明方法においては、発熱組成物が粘稠で流動性を有する状態に形成され、緻密で空気との接触が殆ど無いので、製造時に粘稠で流動性を有する発熱組成物の発熱反応が殆ど無く、製造時の発熱反応によるロス、発熱組成物の品質低下や凝固が防止できる上、包材中において発熱組成物が多孔質で、空気との接触が良好な状態になっており、信頼性の高い本発明発熱体が得られる効果を奏するのである。
【0143】又、本発明方法においては、用いられる発熱組成物が粘稠で流動性を有する状態に形成されており、基材上における所定の範囲に無駄なく正確に積層できるから、加温が必要な任意の部位を効果的に加温する本発明発熱体が得られるのであり、その結果、優れた採暖効果や血行促進が効果的に得られる上、従来のように周囲への発熱組成物の粉塵の放散がなく、将来の医療用具や医薬品製造におけるGNP基準を完全に満たす工場管理ができる、という効果が得られるのである。
【0144】又、本発明方法においては、基材上に粘稠で流動性を有する発熱組成物を印刷やコーティングによって転写、積層し、その上から被覆材を被せて本発明発熱体が製造されるが、本発明発熱体の製造中に粘稠で流動性を有する発熱組成物の品質低下や凝固などを完全に防止できる結果、歩留りの低下、取り扱いの困難性、製造装置のメンテナンスの煩雑性、製造装置の稼働時間ないし作業者の就業時間に対する制約、凝固物処理の困難性などの種々の弊害を無くすることができるのであり、このため高品質で信頼性の高い本発明発熱体を一層安価に得られる、という効果が得られるのである。
【出願人】 【識別番号】395023565
【氏名又は名称】株式会社元知研究所
【出願日】 平成11年9月27日(1999.9.27)
【代理人】 【識別番号】100084630
【弁理士】
【氏名又は名称】澤 喜代治
【公開番号】 特開2001−87302(P2001−87302A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−272238