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【発明の名称】 患者の身体に向けて流体を供給する温熱カバー部材
【発明者】 【氏名】ケリー トミック エドガー

【氏名】ゴードン ワイ. シゲザワ

【氏名】アンソニー ヴイ. ベラン

【要約】 【課題】患者の身体の部分ごと、あるいは身体の特徴に応じた体温調節が実現でき、また、流体の温度や流体が患者の体に及ぼす効果/影響を視覚的に確認できる温熱カバー部材を提供する。

【解決手段】温熱カバー部材2は、圧力を加えられた流体を受け入れるための入口ポート12を備えたおり、複数のセル16が、全体にわたって配置され、その下に流体用の空間が形成される。各セル16は膨張しない天蓋18を有し、この天蓋の周辺部には流体の通り道である多岐導管8からセル16に通じる流体の放出口があり、ここから流体用空間に流体が放出される。セル16内の流体用空間の寸法は、患者の身体の解剖学的な構成に応じて決定することができ、また、カバー部材2上には流体用空間ごとに温度を示す熱色差インジケータを設けることができる。そして、天蓋18は、患者の身体が見えるように透明にしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 患者の身体に向けて流体を供給する温熱カバー部材であって、圧力を加えられた流体を受け入れるための入口ポートを有する中空のハウジング部材と、前記ハウジング部材の周囲に配置された複数のセルとを有し、各々のセルは、密閉された形で前記ハウジングに接続された切れ目のない周辺部を有する膨張しない天蓋を有しており、前記ハウジング部材は各々セルに通じる複数の出口ポートから流体を放出して各セル内、各天蓋の下に流体用空間を形成すること、を特徴とする温熱カバー部材。
【請求項2】 セル内の流体用空間は、患者の身体の解剖学的構造に適合するように寸法が決められること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項3】 前記カバー部材上に温度を示すための熱色差インジケータが設けられていること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項4】 前記熱色差インジケータは、熱色差素材で覆われた天蓋の一部分を含むこと、を特徴とする請求項3に記載の温熱カバー部材。
【請求項5】 複数の熱色差インジケータが複数の天蓋上に配置され、対応する流体用空間について温度を示すこと、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項6】 前記熱色差素材は、前記流体用空間が所定の温度に達した際に所望の温度レベルを示す指標を提供するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の温熱カバー部材。
【請求項7】 前記セル天蓋の表面積の合計が、前記中空のハウジング部材および前記セル天蓋の合計面積の30%を越える値であること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項8】 前記熱色差インジケータは、天蓋の一部分に、温度に応じて色を変える液晶材を保持させる構成を有すること、を特徴とする請求項3に記載の温熱カバー部材。
【請求項9】 前記中空のハウジング部材はほぼ平坦であるが、圧力を加えられた流体を受け入れると直ちに膨張して、各セルに流体を供給するための流体用多岐管を形成すること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項10】 前記中空のハウジング部材は、セル同士の間にある内部流体チャネルに比べて断面積が大きい周辺部流体チャネルを有すること、を特徴とする請求項9に記載の温熱カバー部材。
【請求項11】 前記中空のハウジング部材の全体にわたって最小でも10個のセルが配置されていること、を特徴とする請求項9に記載の温熱カバー部材。
【請求項12】 各セルの天蓋の面積は最小でも40平方インチであること、を特徴とする請求項11に記載の温熱カバー部材。
【請求項13】 複数のセルは、前記カバー部材の一部分が患者の附属肢を横切って配置されるように配列されており、前記ハウジング部材において前記のように配列されたセルの間に位置する中間部は、サイズが小さくされているとともに前記附属肢に適応するよう構成されて、相対的な動きを最小限に抑えること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項14】 天蓋の周辺部の周りを囲む囲み中空ハウジング部材は、流体を透過する性質があり、天蓋を含む面にほぼ平行な方向に流体を向けること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項15】 前記中空のハウジング部材は第1のフレキシブル部材および、第1のフレキシブル部材に接続されて多岐管を形成する第2のフレキシブル部材から成り、前記第1のフレキシブル部材および前記第2のフレキシブル部材は膨張して、各天蓋の周りの周辺接続部および切れ目のないシーム接続部から外れた位置において、互いの間に間隔が開くこと、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項16】 前記天蓋は、前記第2のフレキシブル部材に重なる前記第1のフレキシブル部材によって形成されること、を特徴とする請求項15に記載の温熱カバー部材。
【請求項17】 天蓋の周辺部を囲む中空のハウジング部材が複数のパーフォレーションを有することを特徴とする請求項16に記載の温熱カバー部材。
【請求項18】 1の天蓋の周辺部を囲む複数のパーフォレーションは、もう1つの天蓋の周辺部を囲む複数のパーフォレーションに比べてサイズがより大きい開口部を有すること、を特徴とする請求項17に記載の温熱カバー部材。
【請求項19】 少なくとも1つの天蓋は開口部を有して、これに対応するセルの流体用空間から流体が放出されるようにすることで、当該セルに流れ込む流体の量を増加させること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項20】 前記第1のフレキシブル部材および前記第2のフレキシブル部材は、少なくともプラスチックシートとプラスチックコーティングとの2枚量ね構造であり、前記2つのフレキシブル部材は熱接合されて、各天蓋の周りに切れ目のないシーム接合部を形成すること、を特徴とする請求項15に記載の温熱カバー部材。
【請求項21】 少なくとも1つの天蓋は透明であり、当該天蓋の下の患者の身体が見えること、を特徴とする請求項1に記載の温熱カバー部材。
【請求項22】 患者の身体に向けて流体を供給するカバー部材であって、流体用の導管と、前記導管に接続された複数のセルとを有し、前記導管から流体を放出させることで患者の身体の上の各セル内に流体用空間を作り出すフレキシブル本体部材から成ること、を特徴とするカバー部材。
【請求項23】 前記導管は、少なくとも1を上回る数のセルを囲み、当該セルの周辺部の周りにおいては流体を透過する性質があること、を特徴とする請求項22に記載のカバー部材。
【請求項24】 セルは、前記導管によって境界が規定される周辺部に延びるシート部材で形成されること、を特徴とする請求項23に記載のカバー部材。
【請求項25】 前記導管は圧力を受けて供給される流体によって膨張させられ、前記シート部材を患者の身体の上に維持し、前記シート部材の下に流体用空間を形成すること、を特徴とする請求項24に記載のカバー部材。
【請求項26】 前記シート部材は実質的に平らであること、を特徴とする請求項25に記載のカバー部材。
【請求項27】 セルが透明で、患者の身体が見えるようになっていること、を特徴とする請求項22に記載のカバー部材。
【請求項28】 患者に流体を行き渡らせるカバー部材であり、第1のフレキシブル部材と、前記第1のフレキシブル部材に接合されて流体を行き渡らせるための導管を実現する第2のフレキシブル部材とを有するフレキシブル本体部材と、前記フレキシブル本体部材内に形成される複数のセルとから成り、各セルは、前記導管が患者に接触する際に患者の上に流体用空間を形成して、前記導管は更に流体用空間の各々に流体を放出させること、を特徴とするのカバー部材。
【請求項29】 患者に流体を行き渡らせるカバー部材であり、流体用の多岐管と、前記多岐管に接続された複数のセルとを有し、前記多岐管から流体を放出させることで、患者の身体の上の各セル内に流体用空間を形成するフレキシブル本体部材と、供給される流体の動作温度範囲において視覚的かつ可逆的なメタクロマジーを実現し、前記フレキシブル本体部材の上に置かれて流体の温度が監視できるようにする熱色差物質、とから成ること、を特徴とするカバー部材。
【請求項30】 前記導管は、少なくとも1を上回る数のセルを囲み、当該セルの周辺部の周りにおいては流体を透過する性質があること、を特徴とする請求項29に記載のカバー部材。
【請求項31】 セルは、前記導管によって境界が規定される周辺部に延びるシート部材で形成されること、を特徴とする請求項30に記載のカバー部材。
【請求項32】 熱色差素材は2以上のセルシート部材上に配置され、それぞれに対応する流体空間の温度を監視すること、を特徴とする請求項31に記載のカバー部材。
【請求項33】 前記導管は圧力を受けて供給される流体によって膨張させられ、前記シート部材を患者の身体の上に維持し、前記シート部材の下に流体用空間を形成すること、を特徴とする請求項32に記載のカバー部材。
【請求項34】 患者に流体を行き渡らせるカバー部材であり、第1のフレキシブル部材と、前記第1のフレキシブル部材に接合されて流体を行き渡らせるための導管を形成する第2のフレキシブル部材とを有し、一方のフレキシブル部材の一部には患者に向けて流体が放出できるよう穴が開けられている、というフレキシブル本体部材と、前記カバー部材に動作可能に接続されて、流体の温度を視覚的に示すインジケータとして働く熱色差検知器、とから成ること、を特徴とするカバー部材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、空気などの流体を患者の身体に供給する温熱カバー部材を対象とし、その中でも特に、患者の身体を覆う流体用空間を形成する複数のセルを備え、流体用空間の下の温度と患者の肌に表れる反応とを視覚的に監視できるようなものに関する。
【0002】
【従来の技術】ずっと以前から、人の身体に向けて流体を対流させながら供給することで、人の身体を温めたり冷やしたりすることの必要性が認識されている。様々な供給システムが実用化されており、その中には、圧力を加えて流体を供給する供給源に、多孔性のマットレスおよび膨張性のブランケットを接続する形のものがある。例えば、米国特許公報No.2,093,834には、複数の層が縫い合わされて形成された構造的素材が開示されている。これによれば、温度調整された空気がこれらの層を通って放散され人の体に接触することになる。また、当該文献では、ボディスーツの用例や、加熱および冷却された空気に圧力を加えて弾力性のあるエンクロージャに供給するという応用例についても述べられている。また、米国特許公報No.2,601,189では、プラスチック材を熱接着して形成される空気ベッドカバーについて述べられている。
【0003】さらに、米国特許公報No.3,757,366では、利用者の身体の下に置かれるクッション装置を介して加熱された空気が提供される場合が説明されている。また、米国特許公報No.3,778,851は、手術後の患者や重い火傷から回復中の患者を治療するのに用いることのできるマットレスの一例を示す。マットレスは、接合されたシームの連なりによって、周辺部の多岐管に接続されたリブ導管に分割される。リブ内のアパーチャーからは空気が放出され、リブおよび多岐管内には弾性気泡プラスチックの補助材が配置される。
【0004】米国特許公報No.3,881,477には、矩形の中空管状構造が開示されている。これは、患者の上に置かれて上下方向に空気の流れや空気のカーテンを供給し、外科の患者の身体の周囲に大気圧を上回る圧力の区域を形成する。そして、それによって、患者の身体は外気および空気中に浮かぶ異物の粒子から隔離される。
【0005】米国特許公報No.3,908,655には、患者の頭部と首とを囲む形の手術後冷却装置が開示されている。以下に示す特許にも、様々な構成の温熱ブランケットを実現しようとする試みが示されている。すなわち、米国特許公報No.5,324,320、米国特許公報No.5,300,102、米国特許公報No.4,572,188、米国特許公報No.4,777,802、米国特許公報No.5,350,417、米国特許公報No.5,125,238、米国特許公報No.5,405,271などである。
【0006】また、医学の専門家が、以前から、手術後の患者の多くに現れる術後の体温低下という問題を認識している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この分野では、今なお、こうした問題に対応できることに加えて、患者の身体に供給される流体の温度を監視できるような、比較的安価で使い捨て可能な装置の改良の努力が続けられている。本発明は上記課題に鑑み、患者の体温調整に用いられる温熱カバー部材であって、患者の身体の部分ごとに、あるいは患者の身体の特徴に応じた体温調節が実現でき、また、流体の温度や流体が患者の体に及ぼす効果/影響を視覚的に確認できるようなものを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明の温熱カバー部材は、患者の身体に向けて流体を供給する温熱カバー部材であって、圧力を加えられた流体を受け入れるための入口ポートを有する中空のハウジング部材と、前記ハウジング部材の周囲に配置された複数のセルとを有し、各々のセルは、密閉された形で前記ハウジングに接続された切れ目のない周辺部を有する膨張しない天蓋を有しており、前記ハウジング部材は各々セルに通じる複数の出口ポートから流体を放出して各セル内、各天蓋の下に流体用空間を形成すること、を特徴とする。
【0009】また、セル内の流体用空間は、患者の身体の解剖学的構造に適合するように寸法が決められること、を特徴としてもよい。そして、複数の熱色差インジケータが複数の天蓋上に配置され、対応する流体用空間について温度を示すこと、を特徴としてもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の温熱カバー部材に関する実施の形態を、図面を参照しながら説明する。以下の記述は、あらゆる当業者が本発明を製造、使用することができるようにする目的で提供されるものであり、発明実行の様態として、発明者が熟考の結果最適と判断したものについて解説してある。しかしながら、ここでは、本発明の基本的な原理を、特に患者の身体の特定部位に対する流体の供給を制御する温熱カバー部材を提供すること、と限定して説明しているので、当業者が読めば、様々な変形が可能であることは容易に見て取れるであろう。
【0011】図1に示すのは、本発明の温熱カバー部材2が、手術後の患者の身体を覆っている状態である。カバー部材2は、フレキシブル導管6でカバー部材2に接続された空気加熱器4から供給される加熱空気などの流体による圧力を受けて膨張した状態で図示されている。空気加熱器としては、米国特許公報No.5,785,723に開示されたものなどを使用することができる。図示しているのは空気加熱器4であるが、他の流体(例えば、火傷患者に使われる酸素の豊富なガス)の供給源として、空気冷却器、および/または、本発明と同じカバー部材と共に患者の特殊な治療に使われる空気消毒装置を使うことも可能である。さらには、薬用の気化物質を流体に混ぜることも考えられる。患者に対し体温低下を防ぐための治療を施す際、温度範囲が36〜42℃の熱せられた空気の流れがカバー部材2に供給される。カバー部材2を膨らませる空気は、1分当たり60立方フィートの送出レートで供給され、その圧力は、1.5センチ・水(centimeters of water)である。入口ポート12を、従来の方法によって、フレキシブル導管6のノズルに取り外し可能な形で接続すれば、圧力を加えられた空気が供給される。
【0012】温熱カバー部材2は、中空のハウジング部材あるいは多岐導管8を有する。多岐導管8の一部分は、周辺部多岐導管10として、中空のハウジング部材の周囲を取り巻くか、あるいは取り囲む。中間部多岐導管は、周辺部多岐導管10の間を縦横に広がっており、患者の身体の上に温度域を規定するのに役立つ。図1に示す実施の形態では、カバーフラップ14が、温熱カバー部材2の下側の端から延びて、患者の足を覆っている。カバーフラップ14は、温熱カバー部材2の膨らまない部分を延長したものとも言える。温熱カバー部材2の端の、患者の頭の近くのところには、適当な刻みを入れて、ここに患者の首と頭とが収まるようにしてある。
【0013】図1および3を見て分かる通り、ハウジング部材の全体に渡ってあちこちに、大きさの異なるセル16が格子状に配置されている。セル16は、各々が、膨張しない天蓋18を有し、この天蓋は、ハウジング部材または多岐導管8と密閉した状態で接続される、切れ目のないシーム周辺部を備えている。個々の天蓋とこれに対応するセルとの構成および大きさについては、患者の身体の解剖学的特徴に合わせて、適当と思われるものに変更すればよい。例えば、女性の患者には乳房があるので、それに合わせてセルを配置し、熱せられた空気が患者の胸のところにある当該セルの天蓋の下の流体用空間に供給されるようにする。各セルの周辺部は、さらに多岐導管8の内壁によっても形作られるとともに、天蓋の下の流体用空間の各々に流体が放出されるように、流体を透過する性質を有する。図2および3に示すように、一連のパーフォレーションあるいは穴20が、切れ目なくシーム密閉された周辺部22を囲むこととしてもよい。穴は、内壁の底ではなく側面に設けられており、流体をほぼ並行な流れとして天蓋の方向に向かわせ、セルの中で交じり合わせる。穴を底でなく側面に設けることによって、穴が患者の身体に接触してふさがれてしまうことを防止できる。このようにすれば、背圧はより制御され、流体は均等に行き渡るであろう。
【0014】カバー部材はフレキシブル本体部材を有し、これは第1フレキシブル部材24と第2フレキシブル部材26から形成される。フレキシブル本体部材は、流体の圧力を受けない状態では、平らなシートが2枚重ねとなった形に似ている。第1のフレキシブル部材24および第2のフレキシブル部材26は、厚さ0.5ミルの低濃度ポリエチレンでコーティングされた、とじ合わせのポリプロピレンシートで作ることができる。このシートは耐水性であって、1平方ヤード当たりの重さはおよそ1オンスである。第1フレキシブル部材24および第2フレキシブル部材26はそれぞれ、ポリエチレンでコーティングされた方の面が、互いに重なるような位置に置かれ、製造過程においては、プラテン(図示せず)による熱が加えられて、中空のハウジング部材における外側の切れ目のない密閉シーム周辺部が規定され、また内部では、ハウジング部材全体に配置された大きさの異なる複数のセルについて切れ目のない密閉シーム周辺部が規定される。各セル16が、熱接合された切れ目のない密閉周辺部シームを有することとなる。下側にある第2のフレキシブル部材26のパーフォレーションは、図3に示すように、切れ目のない密閉シーム周辺部22に隣接しており、圧力を加えられてセルに流れ込む流体が放出されるようにする。パーフォレーション20のサイズ(もしパーフォレーションが円形であれば、直径)を変えることによって、セルに流れ込む流体の量を制御することができる。他の材料(紙やプラスチックなど)を用いて、別な形態とすることもできる。図6に示す本発明の1つの実施の形態では、プラスチック製の透明なシートを用いて、患者の皮膚の状態が観察できるようになっている。
【0015】図2に示すのは、ふくらまされた状態の温熱カバー部材2の断面図である。第1フレキシブル部材24および第2フレキシブル部材26はそれぞれ、圧力を加えられた流体によって膨張しており、その結果、周辺多岐導管10および中央縦導管28、30も広げられている。各セル16の頂上を形成する天蓋18は膨張していないが、これは、各セル16を取り巻く切れ目のない密閉周辺部22によって天蓋18は隔絶されているため、導管の間の位置では平坦あるいは比較的平らな状態のままになるからである。これらの天蓋18が透明であれば、患者の身体の状態を目で見て監視し続けることも容易である。天蓋のために中間位置を設けることで、製造は容易になるが、しかし、流体用空間を所望の容積とすることで天蓋の位置を上げたり下げたりすることができる。個々のセル16は、各セルの下の空洞に流体用空間を形成する。そして、流体用空間の境界は、密閉された切れ目のない接合周辺部22、天蓋18によって形成される。また、セル16が中空ハウジング部材のマトリックスのどこに位置するかによって、流体用空間の境界は、周辺導管10と縦導管とによって決まったり、1組の縦導管によって決まったりする。一方、セルの他の2つの面は、導管34などの横導管によって形成される。縦導管、横導管、そして周辺導管が集合して多岐導管を形作り、これによって、各セル16の周辺部全体に形成されたパーフォレーション20の各々に対し流体が供給される。好適な実施の形態において、パーフォレーション20は、各導管の中に置かれ、セルの密閉された切れ目のないシーム周辺部に隣接している。それによって、空気などの流体は、中に向かって天蓋18の下面にほぼ平行に送り出される。図3に示すように、パーフォレーションは、流体用空間の一部を形成する導管の壁の四面全ての周りに延びている。なお、推察される通り、空洞空間に流体が適切に提供されるのであれば、4つの側面全てにパーフォレーションを設ける必要はない。また、図2を見て分かるように、3つの空洞空間の部分は患者の身体を横切るように置かれている。また、容易に理解できる通り、身体は多岐導管8の下側の面とだけ接触している。
【0016】図1に示す本発明の実施の形態で身体全体を覆う部材において、天蓋を含む多岐導管の全表面積は、例えば2,265平方インチとすることができ、一方、天蓋の表面積は872平方インチとなる。これらの面積の値は、カバーのうち膨らんでいない平らな部分14を含んでいない。そのため、流体用空間の面積を規定する天蓋の面積は、表面積の30%を超え、少くとも38%の部分がその患者の身体を支えて流体を提供していることを示す。図1の実施の形態に示す天蓋が規定する12の流体用空間の凡その表面積は、50平方インチから144平方インチまでの間で変化する。
【0017】言うまでもなく、寸法については変更が可能であり、温熱カバー部材のサイズを変えることで、成人、子供、さらには幼児用と使い分けることもできる。例えば、他の実施の形態として、先ず患者の上半身および両腕だけを覆う、というものを考えることができる。さらに、公知の通り、粘着テープを使って患者の身体に固定することとしてもよい。
【0018】図3に示すように、天蓋18に穴32を設けてもよい。これは、温熱カバー部材の製造中、あるいはそれ以降に開けることとしてもよいが、特定のセルに流れ込む流体の量を増加するのを助け、それによって、流体用空間が流体流量を増大させ、結果として、患者の身体の所望の部分により多くの熱を送ることができる。圧力を加えられた流体は、パーフォレーションを通じてあるセルに届いた時点で、抵抗による背圧を受けることになる。そこで、開口部あるいは穴22を天蓋に設けておくと、空気などの流体は流体用空間から放出されることになり、その結果、背圧は下がり、セルに流れ込む空気の流量は増加する。
【0019】図4は、図1に示す温熱カバー部材2の下平面図を示す。この温熱カバー部材2は、成人の全身を覆うためのブランケットであって、大きさはおよそ、縦80インチ、横40インチである。この寸法には、縦およそ15インチのフラップカバー14が含まれている。周辺導管10は、集合して多岐導管8を形成している縦導管および横導管に比べサイズあるいは直径がいくぶん大きくなっている。図を見て分かる通り、熱密閉された切れ目のない周辺部シーム36が、多岐導管8の外周辺部を規定している。格子状に並ぶセル16は、内側に切れ目のない周辺部シームを有し、これが、膨張しない天蓋18各々の外周辺部を規定している。
【0020】図5は、本発明に関する温熱カバー部材のもう一つの実施の形態を示す下平面図である。この実施の形態は、成人の上半身を覆うカバー部材38であり、8つのセルは、腕を広げた患者の腕および胸を覆うように設計されている。この上半身用温熱カバー38は、外周辺部切れ目のないシーム40と一列に並べられたセル42とを有し、各セルは内部に切れ目のない熱接合シーム44を有する。各セルの周辺部の周りには、天蓋48に隣接し、切れ目のないシームの下の位置に、適当にパーフォレーション46が設けられている。さらに患者の附属肢の状態(この場合は、ひろげられた患者の両腕)に合わせて、各セルの間を延びる縦導管は、腕の解剖学的構造にさらに順応できる構成とする。そうして、図5に示すように、切れ目のない熱接合シーム44は、凹形部分50、52を有することとしてもよく、これは、多岐管の位置を高くし、それによって、附属肢への対応がより容易になるようにするためのものである。推察される通り、温熱カバーの用途や患者の身体のどの部分に流体を供給するのかに応じて、セルの構成をさらに変形することも可能である。
【0021】図6に示す、本発明の変形例のカバー部材54は、可視温度インジケータ56を備えており、これは、中空のハウジング部材上に置かれて各セルの温度を示すものである。こうした熱色差インジケータ56は、例えば天蓋に設置すればよく、また、材料として液晶ダイオード材料などの、温度感応性部材を含む。これは、色を変えることで、通常の使用環境の温度範囲において特定の温度を測定する能力がある。
【0022】その他に、インジケータの形成に用いられる熱色差材料については、印刷インキ、熱色差塗料、熱色差シートおよびカプセル化熱色差材料といったタイプの各種ポリマー合成物から選んでもよい。この種の熱色差材料に関する予備知識については、米国特許公報No.4,028,118を参照のこととする。基本的に、こうした熱色差材料に求められる条件は、毒性がないこと、温熱カバーの動作温度の範囲内のある特定の温度において、鋭い、可逆的なメタクロマジーを示すものであること、である。また、温度感応性の熱色差材料に隣接して目盛りや表示器を設け、目盛りによって特定の温度であることが分かるようにすることも可能である。例えば、目盛りまたは参照ストリップ58は、色をコード化して温度目盛りを付けたものとし、天蓋上で熱色差インジケータ60の隣に印刷することとしてもよい。熱色差インジケータ60が感知した温度によって、これに応じた色の変化が生じると、監視者はこの色の変化を目盛り58に照会して温度を知ることができる。
【0023】推察される通り、セルを形作る天蓋の各々にこのような受動的熱色差インジケータを設けることによって、監視役の医療要員は患者の身体の特定の部位に流れる熱量を知ることができる。なぜなら、セル内に形成された流体用空間に流れ込む流体はその天蓋の温度に影響を及ぼし、それによって、熱色差インジケータ56の温度にも影響を与えるからである。さらに、図6に示すように、天蓋に開口部を設ける(例えば、医療要員が天蓋にポート32を切り開く)ことで、特定のセルへの熱の流れが大きくなり、それをインジケータ60によって監視することもできる。
【0024】最後に、図6に示すように、各セルの上にある天蓋は、透明にすることで身体を目で見て監視することが可能となる。この透明な天蓋を形成するには、上側のフレキシブル部材を透明なものにしておき、下側のフレキシブル部材を切り抜いてから両部材を熱接合処理すればよい。また、その他にも、上側、下側両方のフレキシブル部材を切り抜いた後、その穴を透明なプラスチックの天蓋で密閉することとしてもよい。
【0025】当業者には容易に理解できるであろうが、上述した好適な実施の形態については、本発明の範囲および思想から逸脱しない形で様々な改変や変形を施すことが可能である。したがって、添付の特許請求の範囲から外れることなく、特にここで説明したのとは異なる形で、本発明を実施することも可能であることは、言うまでもない。
【0026】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の温熱カバー部材は、加熱あるいは冷却された空気などの流体を患者の身体に向けて供給する温熱カバー部材を提供するものである。このカバー部材は、流体に圧力を加えて供給する供給源(加熱器など)に接続されるインレットを備えた中空のハウジング部材を有する。中空のハウジング部材は第1のフレキシブル部材および第2のフレキシブル部材を有する。これらはつなぎ合わされて多岐管を形成し、ハウジング部材の周りには複数のセルが配置されており、流体用の空間または区域を形成する。多岐管は、流体からの圧力を受けて膨張する。各セルは膨張しない天蓋を有し、この天蓋は、密閉された形でハウジング部材または多岐管に接続された切れ目のない周辺部を備える。ハウジング部材はセルに通じる複数の出口ポートを有し、出口ポートからは流体が放出される。これによって、各セルの天蓋の下に流体用空間が形成されて、それぞれの流体用空間に対応する患者の身体の一部が流体に浸され体温調整がなされる。
【0027】セルの寸法については調整可能とし、それによって、個々の患者の身長や性別などよる解剖学的な特徴に対応することができる。また、上記の効果をえるためには、セルの周辺部側壁上の出口ポートは多岐管の一部を成し、放出される流体を流体用空間内に向けて送り出し、患者の身体に対して温度調整域を形成する。第1のフレキシブル部材および第2のフレキシブル部材は素材としてプラスチックを有し、熱接合で一つにされ、各天蓋の周りにはシーム密閉された切れ目のない接合部を形成する、という形が望ましい。
【0028】また、天蓋上には、各セルの流体用空間の温度を目に見える形で示す熱色差インジケータを設けることとしてもよく、および/または、透明な窓を設けて患者の肌を目で見て監視できるようにしてもよい。これによって、セル単位で流体温度および流体による身体への影響を視覚的に確認ができる。また、好ましい形として、患者に対して流体を供給するカバー部材を、使い捨て可能のフレキシブルな本体部材とし、これが膨張することで患者に流体を供給するための多岐管が形成されるとしても効果的である。
【0029】そして、熱色差検知器をカバー部材に動作可能に接続することで、流体の温度を目に見える形で示すインジケータを設けることとしてもセル単位で流体温度および流体による身体への影響を視覚的に確認できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】598006325
【氏名又は名称】レスピラトリー サポート プロダクツ インコーポレーテッド
【出願日】 平成12年8月28日(2000.8.28)
【代理人】 【識別番号】100090446
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 司朗
【公開番号】 特開2001−87300(P2001−87300A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願2000−257781(P2000−257781)