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【発明の名称】 骨折予防装具及び骨折予防用衝撃吸収板
【発明者】 【氏名】山本 孝之

【氏名】岡田 秀親

【氏名】湯川 治敏

【氏名】井川 襄

【氏名】菊池 伸

【要約】 【課題】装着した時に装着感に優れた骨折予防装具を提供する。

【解決手段】衝撃吸収部材10の人体への装着側の面に蒸れ防止用の溝18a、18bを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体側の面に蒸れ防止用の溝が形成された衝撃吸収部材を有する骨折予防装具。
【請求項2】 前記衝撃吸収部材が可撓性を有し、かつ、衝撃吸収部材に形成される蒸れ防止用の溝の方向及び/又は間隔が、前記骨折予防装具を装着する部位の運動態様に応じて決められている請求項1記載の骨折予防装具。
【請求項3】 人体側の面に蒸れ防止用の溝が形成されている骨折予防用衝撃吸収部材。
【請求項4】 複数の板状の衝撃吸収部材と、その複数の板状の衝撃吸収部材を重ね合わせた状態で収納する収納部とを有し、前記各衝撃吸収部材が互いに接着されずに前記収納部内でずれ動くことができる骨折予防装具。
【請求項5】 前記複数の衝撃吸収部材の内、最も内側の衝撃吸収部材の人体側の面に、蒸れ防止用の溝が形成されている請求項4記載の骨折予防装具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は転倒等により骨折する危険性のある部位を保護するための骨折予防技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高齢化社会の到来により老齢人口が増加し、それに伴って老人等の転倒に伴って骨折するケースが増加している。特に、老人の骨折は治癒にかなりの時間と医療ケアを必要とされ、また、場合によっては寝たきり老人になる原因にもなっている。そのため、従来から転倒等により骨折する危険性のある部位に装着され、骨折を予防するための骨折予防装具が開発されている。このような骨折予防装具の一例として、米国特許第4,573,216号に記載されたものが知られている。この骨折予防装具は、部分架橋シリコンゴムからなり、人体の表面に当接する内層と、その内層の外側に形成される外層とを備えた2層構造となっていた。この骨折予防装具は、骨折を予防する箇所(例えば、大腿骨)に内層側が当接するように装着し、転倒等による衝撃を骨折予防装具により吸収し、骨に過大な衝撃力が作用しないようになっていた。しかしながら、この骨折予防装具では、内層側全体が皮膚に当接するため、皮膚から出る汗等により蒸れて、装着者に不快感を与えるという問題があった。また、特表平9−508824号には、人体のヒップ部分(大腿骨)に取り付けられる、剛性の発泡プラスチック材料で形成されたドーム形の形状を有する骨折予防装具が開示されている。特表平9−508824号に記載された骨折予防装具は、ドーム形の形状を有しその周縁でのみ皮膚に当接するため、ある程度は蒸れを防止することができたが十分ではなかった。また、この骨折予防装具は硬質のプラスチック材料で形成されているため柔軟性が無く、装着者に違和感を与えるという問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した従来の骨折予防装具の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は装着した時に装着感に優れた骨折予防装具を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段及び効果】本発明は上述した課題を解決するためになされたものであり、下記に示す種々の態様の骨折予防装具、及び骨折予防用衝撃吸収部材が得られる。
(1)本発明の一つの態様に係る骨折予防装具は、人体側の面に蒸れ防止用の溝が形成された衝撃吸収部材を有する(請求項1)。なお、本明細書において「蒸れ防止用の溝」とは、人体から出た汗等を、その溝を介して衝撃吸収部材の側面より排出する機能を有するものをいい、溝の形状等は問わない。この骨折予防装具によれば、人体から出た汗等の物質は衝撃吸収部材表面に形成された蒸れ防止用の溝を通って衝撃吸収部材の側面から排出される。したがって、装着時の蒸れが防止されるため装着感を良好にすることができる。
【0005】(2)また、(1)項に記載した骨折予防装具において好ましいものは、前記衝撃吸収部材が可撓性を有し、かつ、衝撃吸収部材に形成される蒸れ防止用の溝の方向及び/又は間隔が、前記骨折予防装具を装着する部位の運動態様に応じて決められている骨折予防装具である(請求項2)。一般に骨折予防装具に使用される衝撃吸収部材は、所定の衝撃吸収率を得るためある程度の厚さを有している。このため変形しにくく、装着時に違和感が生じ易い。上述した骨折予防装具では、前記衝撃吸収部材が可撓性を有し、かつ、溝の方向及び/又は間隔が骨折予防装具を装着する部位の運動態様に応じて決められているため、装着部位の運動に応じて変形し易くなり、装着時の違和感を抑えることができる。なお、人体のどのような部位に装着しても良好な装着感を得るためには、例えば格子状に溝を形成する等のように、溝を形成する方向は互いに交差する2方向以上であることが好ましい。また、溝の数は、衝撃吸収率を低下させない範囲内で多いほうが好ましい。
【0006】(3)本発明の他の態様による骨折吸収部材は、人体側の面に蒸れ防止用の溝が形成された骨折予防用衝撃吸収部材である(請求項3)。この衝撃吸収部材によれば、衝撃吸収部材を衣類(下着等)に固定(縫い付ける等)することにより骨折する危険性のある箇所を保護することができる。この際、人体側の面に蒸れ防止用の溝が形成されているため、蒸れを防止でき装着時の装着感を良好とすることができる。
【0007】(4)また、本発明の他の態様に係る骨折予防装具は、複数の板状の衝撃吸収部材と、その複数の板状の衝撃吸収部材を重ね合わせた状態で収納する収納部とを有し、前記各衝撃吸収部材が互いに接着されずに前記収納部内でずれ動くことができる骨折予防装具である(請求項4)。この骨折予防装具によれば、例えば板状に成形された複数の衝撃吸収部材は重ね合わせて多層構造とされ、収納部内に収納される。そして、この複数の衝撃吸収部材は互いに接着されないため収納部の中で自由にずれ動くことができる。したがって、人体に装着された際に、人体の動きに追従して衝撃吸収部材がずれ動くため人体へのフィット感が向上し、装着時の装着感を良好にすることができる。
【0008】(5)さらに、(4)項に記載した骨折予防装具において好ましい態様としては、前記複数の衝撃吸収部材の内、最も内側の衝撃吸収部材の人体側の面に、蒸れ防止用の溝が形成されている(請求項5)。複数の板状の衝撃吸収部材を重ね合わせて使用する場合には、装着側の表面から反対側の面に貫通する貫通孔を設けても、各衝撃吸収部材の位置がずれ動いたときに貫通孔がずれて汗等を逃がすことができない。したがって、人体に装着される側の衝撃吸収部材の表面に蒸れ防止用の溝を形成し、汗等を衝撃吸収部材の側面に逃す方法が有効となる。この骨折予防装具によれば、蒸れ防止と人体へのフィット感が向上し、装着時の装着感を良好にすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の骨折予防用衝撃吸収部材、及び骨折予防装具は、好ましくは以下のように作製され、以下のように使用され得る。本発明の骨折予防装具の衝撃吸収部材には、一般的に使用されている全ての緩衝部材を適宜用いることができる。緩衝部材には、硬質な素材から形成される外力拡散型の緩衝部材や、比較的柔らかい素材から形成される外力吸収型の緩衝部材が使用できる。特に、柔らかい素材から形成される外力吸収型の緩衝部材を衝撃吸収部材として使用した場合は、人体の動きにあわせて変形することができるため、装着時の違和感を抑えることができる点で好ましい。このような緩衝部材としては、例えば熱可塑性エラストマー発泡体、アクリル系重合体の発泡体等の発泡体や、ポリウレタン系ゴム等の弾性体を使用することができる。熱可塑性エラストマー発泡体としては、オレフィン系、ウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエチレン等の発泡体がある。発泡方法については、発泡材等を用いる化学的発泡方法、ガス注入等の物理的発泡方法等のどのような方法を用いても良い。アクリル系重合体の発泡体としては、アクリルモノマーを含む重合体であって、例えば、アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとからなるものがある。アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸メチルアクリル酸2−エチルヘキシル等がある。他のモノマーとしては、共重合体の柔軟性や耐候性を向上させるためにアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミド等のモノマーが用いられる。
【0010】本発明の衝撃吸収部材として好適なものは、その厚さが2〜12mm程度であることが好ましく、より好ましくは厚さ7〜10mm程度である。衝撃吸収部材の厚みが12mm以上となると装着時の違和感が大きくなり、厚みが2mm以下となると衝撃を充分に吸収できないためである。厚さが7〜10mm程度であれば、衝撃吸収率を高い値としながら、装着時の違和感を抑えることができる。
【0011】本発明の衝撃吸収部材の表面に形成される蒸れ防止用の溝は、衝撃吸収率を低下させない程度により深く、より多く設けることが好ましい。これにより、蒸れを防止する効果と、装着部位へのフィット性を高めることができるからである。衝撃吸収部材に形成される溝の深さとしては1〜3mm程度が好ましい。これは1mm以下では蒸れ防止の効果が低く、また、3mm以上となると衝撃吸収部材の衝撃吸収率を低下させてしまうためである。また、衝撃吸収部材に形成される溝は1方向のみに設けられるのではなく、例えば格子状に設ける等、複数の方向に設けられることが好ましい。これにより衝撃吸収部材が変形し易くなり、装着部位へのフィット性を高めることができる。なお、衝撃吸収部材に形成される溝はどのような方法により形成しても良く、例えば、原材料から衝撃吸収部材を製造するときに、溝を形成したモールドを使用して一体成形しても良く、また、板状の衝撃吸収部材を成形した後に溝を機械加工等の物理的手段により形成しても良い【0012】また、このような衝撃吸収部材は、複数の衝撃吸収部材を重ね合わせて多層構造とすることが好ましい。この際、各衝撃吸収部材間は接着せず、自由にずれ動くようにすることが好ましい。これにより、各衝撃吸収部材がずれ動くことにより装着部位へのフィット性が高まり、快適に装着することができる。
【0013】このようにして製作された衝撃吸収部材は、衣類、特に下着等に取り付けられて使用することが好ましい。より好ましくは下着等の衣類に衝撃吸収部材を収納するための収納部を設け、その収納部に衝撃吸収部材を収納することが好ましい。このような収納部を衣類に設けることにより衣類から衝撃吸収部材を取り外し、衣類のみを洗濯等することができるためである。このような衣類に設けられる収納部の形は、衝撃吸収部材の形状に倣い、かつ衝撃吸収部材より若干大きめの略同一形状を有することが好ましい。これは、余り大きいと衝撃吸収部材が収納部内で動きすぎて、保護すべき箇所(骨折予防箇所)からずれてしまう可能性が高くなるためである。また、収納部の開口部は、一般の衣類の開口部に使用される全ての構造を採用することができる。なお、衝撃吸収部材に可撓性を有するものを使用した場合には、収納部の開口部を衝撃吸収部材の横幅等よりも小さくすることが好ましい。これにより容易に収納部から衝撃吸収部材を取り外すことができないため、痴呆症、向精神薬服用者等の装着者が勝手に衝撃吸収部材を取り外してしまうことを防止することができる。また、収納部の開口部を横幅よりも狭くしても、衝撃吸収部材は可撓性を有するため折り曲げた状態で開口部を通し、収納部内で広げれば良いため問題が無い。
【0014】なお、本発明の骨折予防装具は、骨折の危険性のあるあらゆる箇所に装着することができる。例えば、老人の4大骨折である撓骨骨折、大腿骨骨折、椎体圧迫骨折、上腕骨外科頚骨折の予防用に使用することができる。また、スポーツにおける骨折予防用プロテクタに使用することもできる。
【0015】
【実施例】以下に、本発明を大腿骨の骨折予防用の骨折予防装具及び骨折予防用衝撃吸収部材として実施した具体例について説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。まず、骨折予防用衝撃吸収部材について説明する。図1は本実施例の衝撃吸収部材の斜視図を、図2は本実施例の衝撃吸収部材の平面図を、図3は本実施例の衝撃吸収部材の側面図を示す。図1、図3に示すように、衝撃吸収部材10は、第1衝撃吸収板12と、第1衝撃吸収板12に重ね合される第2衝撃吸収板14と、第2衝撃吸収板14に重ね合される第3衝撃吸収板16とから構成した。第1衝撃吸収板12、第2衝撃吸収板14、及び第3衝撃吸収板16は、図2に示すように、3枚とも略正方形の同一形状を有するように製作した。また、第3衝撃吸収板16の表面の全体に、図1に示すように格子状に縦溝18a及び横溝18bを形成した。なお、図1では表面に形成された第3衝撃吸収板16に形成された溝18a、18bの一部のみを詳細に図示している。
【0016】ここで、第1衝撃吸収板12等の素材等は、市販されているゴム板、スポンジ板、化繊ネット等のいくつかの衝撃吸収材の衝撃吸収能力を実測し決定した。そのプロセスを以下に、詳細に説明する。実験は以下の手順で行った。すなわち、図5に示すように、鉄板36の上に衝撃吸収材34をセットし、衝撃吸収材34の上に衝撃力を調整するためのポリアセタール35を載置し、ポリアセタール35の上に荷重変換器32をセットした。荷重変換器32の上方には、荷重変換器32から所定の間隔(素材選定試験では、3cm)をあけてスチールパイプ30を配置した。そして、スチールパイプ30を自由落下させて荷重変換器32に衝突させ、荷重変換器32から発生する電気信号をアンプ38及びA/D変換器39を介してコンピュータ40で測定した。衝撃吸収材34の評価は、衝撃吸収材34が無い場合に荷重変換器32に作用する衝撃力(入力値=200.9kgf(1969N))が、衝撃吸収材34によりどれだけ低下したかの緩衝率〔1−(最大衝撃力)/(入力値)〕で評価した。その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】

【0018】表1に示す実験結果から明らかなように、Aの硬スポンジ板と、D・EのPEライトが高い緩衝率を持つことが判明した。しかしながら、Aの硬スポンジ板は大腿骨の位置に装着した際に動きにくい等の問題があったため、そのような問題の無かったD・Eのポリエチレンフォームを衝撃吸収板の素材として採用した。
【0019】次に、D・Eのポリエチレン発泡体の緩衝率をさらに上げるため、D・Eのポリエチレンフォームと他の衝撃吸収材を組み合わせて多層構造としたものについて、上述した試験と同様の実験を行った。また、蒸れ防止を考慮して貫通孔(直径2mm・25個又は36個)を衝撃吸収材(4cm×4cm)に設けたもの(表2に示すk〜r)についても併せて実験を行った。衝撃吸収材に入力する衝撃力はポリアセタール35を大きくすることにより109.7kgf(1075N)まで低下させた。その結果を表2に示す。表2に示すように、PEライトと他の緩衝材(ポリ立体マット、ウレタンネット等)を組み合わせたもの(a〜f)より、PEライトどうしを組み合わせたもの(g、j)の方が緩衝率は高かった。また、PEライトとウレタンネット10mmを重ね合わせたbに示す組み合わせは、ある程度の緩衝率が得られるものの、その厚みが14mmと厚くなってしまうので、今回は採用しなかった。また、蒸れ防止を考慮して貫通孔を設けたもの(k〜r)は、緩衝率がかなり低下することが判明した。この結果から、衝撃吸収部材10に、PEライトを重ね合わせたものを使用することに決定した。
【0020】
【表2】

【0021】次に、転倒時に大腿骨頚部に加わる衝撃力に近い衝撃力をPEライトに作用させて、最大衝撃力が許容衝撃力以下となるようにPEライトの厚み及び組み合わせを決定した。ここで、転倒時の衝撃力としては、「Journal of Biomechaical Engineering」(1991年;Vol.113.No4)に報告されている640kgf(6272N)を採用した。また、骨折を回避できる衝撃力としては、「Climcal Orthopaedics and Relaied Reseanch」(1982年;No163)のI.Leichterの報告による300kgf(2940N)以下という報告を基準とし、300kgf(2940N)以下を許容衝撃力とした。したがって、図5に示す実験装置において、荷重変換器32の上方7.0cmの位置にスチールパイプ30をセットすることにより、衝撃吸収材34に作用する衝撃力を652.2kgf(6392N)とし、緩衝率を測定した。その結果を表3に示す。また、この結果をグラフにしたものを図6に示す。この結果から、同一の厚みであればPEライトの枚数を多くしたものの方が緩衝率(衝撃吸収性能)が高くなる傾向を示した。また、最大衝撃力を許容範囲内とするためには、PEライトの厚みを約7.5mm以上としなければならないことが判明した。したがって、この結果から衝撃吸収部材10を、PEライトを素材とする3枚の衝撃吸収板12、14、16とすることとした。なお、衝撃吸収板を3枚としたのは、衝撃吸収板の厚みを余り薄くすると市販されているものから衝撃吸収板を作製するのが困難となるためである。
【0022】
【表3】

【0023】また、既に述べたように衝撃吸収部材10に貫通孔を設けたものは、著しく緩衝率を低下させることが分かっていたので、第3衝撃吸収板16の表面に蒸れ防止用の溝を形成することとした。この溝の深さは、通気性等を考慮するとできるだけ深いほうが好ましいが、余り深くなると第3衝撃吸収板16の緩衝率が低下する。したがって、第3衝撃吸収板16の厚みを5mmとし、溝の深さを2mmとした。また、装着時に体の動きに柔軟に対応するために、溝は、溝幅2mm、隣接する溝の間隔6mmで格子状に設けた。
【0024】次に、第1衝撃吸収板12、第2衝撃吸収板14の厚みを決定するために、上述した溝が形成された第3衝撃吸収板16(PEライト)に2枚のPEライトを組み合わせたものに、652.2kgf(6392N)の衝撃力を加え、緩衝率(最大衝撃力)を測定した。その結果を表4に示す。この結果から、最大衝撃力300kgf以下とするためには第1衝撃吸収板12と第2衝撃吸収板14を併せた厚みが5mm以上とする必要があることが判明した。したがって、第1衝撃吸収板12及び第2衝撃吸収板14の両者とも3mmとするか、どちらか一方を3mm、他方を2mmとすれば良いことがわかった。ただし、この実施例では、装着時の装着感を考慮し、第1衝撃吸収板12を2mm、第2衝撃吸収板14の厚みを3mmとした。
【0025】
【表4】

【0026】このように素材や厚み等が決定された第1衝撃吸収板12、第2衝撃吸収板14、及び第3衝撃吸収板16は、大腿骨周辺に位置決めされ転倒時の骨折等が予防されることとなる。
【0027】次に、第1衝撃吸収板12、第2衝撃吸収板14、及び第3衝撃吸収板16からなる衝撃吸収部材10が装着される骨折予防装具の一実施例について図4を用いて説明する。図4に示すように、このズボン型骨折予防装具20は、ズボンの外側面に衝撃吸収部材10を収納するための収納部22が設けられる。なお、この収納部22が設けられる位置は、装着者がズボン型骨折予防装具20を着用したときに、収納部22の位置が装着者の大腿骨に相当する位置となるように調整されている。この収納部22は、衝撃吸収部材10と略同一形状を有し、その内部に衝撃吸収部材10が収納できるようになっている。また、収納部22はズボンに設けられるポケットと同様に上辺24が開口しており、その開口部から収納部20内に衝撃吸収部材10を出し入れ可能としている。そして、収納部20の上辺24に設けられる開口部の横幅は、図4に示すように衝撃吸収部材10の横幅より小さくされている。これは、簡単に収納部22から衝撃吸収部材10を取り出すことができないようにするためである。これにより、痴呆症等の老人が勝手に収納部22から衝撃吸収部材10を取り外せないようにしている。なお、このような収納部22は、ズボンに設けられるポケットと同様に、所定形状に切り取った布をズボン生地に縫い付けることにより設けられる。
【0028】このようなズボン型骨折予防装具20に衝撃吸収部材10を装着するには、まず、第3衝撃吸収板16の溝18が形成された面が表面となるように(図1、3に示す状態)、第1衝撃吸収板12、第2衝撃吸収板14、第3衝撃吸収板16を重ね合わせる。このとき、各衝撃吸収板12、14、16は接着されず、自由にずれ動くことが可能となっている。そして、重ね合された3枚の衝撃吸収板12、14、16は、第3衝撃吸収板16が装着者側となるように骨折予防装具20の収納部22に入れられる。この際、収納部22の上辺24に設けられる開口部が衝撃吸収板12、14、16の横幅よりさまくなっているため、衝撃吸収板12、14、16は折り曲げられた状態で収納部22内に入れられ、収納部22内で広げられることとなる。なお、ズボン型骨折予防装具20から衝撃吸収板12、14、16を取り外す際は逆の手順で行えば良い。
【0029】上述の手順で衝撃吸収板12、14、16が装着されたズボン型骨折予防装具20を人が着用することで、着用者の骨折予防が行われる。なお、ズボン型骨折予防装具20に衝撃吸収板12、14、16を装着した状態で、図5に示す衝撃吸収性能を評価する試験(入力衝撃力=652.2kgf)を行った所、最大衝撃力は256.2kgf(緩衝率=0.61)となった。よって、最大衝撃力を許容衝撃力(300kgf)以内に抑えることができた。
【0030】次に、第3衝撃吸収板16に形成した蒸れ防止用の溝の効果を確認するために、溝を設けた衝撃吸収板を収納部22に収納した骨折予防装具20と、溝を設けない衝撃吸収板を収納部22に収納した骨折予防装具20とを、成人男女14名(男4名、女10名)にそれぞれ1日(約8時間)づつ試着してもらった後に、アンケート調査を行った。その結果を、表5に示す。
【0031】
【表5】

【0032】表5に示すように、溝を設けた衝撃吸収板を取付けた骨折予防装具20では、全員が何らかの蒸れ防止効果があると回答し、その中の10名(72%)がはっきりと蒸れ防止の効果を認めた。これにより、衝撃吸収板に設けた溝により確実に蒸れ防止効果が得られることが判明した。また、アンケートと同時に行った聞き取り調査によると、「平らなものの方は、汗ばんで体にくっつく感じがした。」や、「平らなものの方は、肌を触ってみるとベタベタしている気がする。」や、「平らなものの方は、肌が厚く感じた。」等の意見が出た。このことからも、衝撃吸収板16に形成した溝が蒸れを防止し、快適な装着感に寄与していることがわかった。さらに、「溝を設けた方は、体に付けているという感じがしなかった。」という意見もあり、溝により装着時の違和感を減じ、フィット感が得られることが分かった。
【0033】以上、本発明の骨折予防装具、骨折予防用衝撃吸収部材の実施形態及び実施例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】599133347
【氏名又は名称】医療法人さわらび会
【識別番号】599133358
【氏名又は名称】社会福祉法人さわらび会
【出願日】 平成11年9月20日(1999.9.20)
【代理人】 【識別番号】100091742
【弁理士】
【氏名又は名称】小玉 秀男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−87294(P2001−87294A)
【公開日】 平成13年4月3日(2001.4.3)
【出願番号】 特願平11−265923