| 【発明の名称】 |
補填用人工骨設計システム及びそれを用いた補填用人工骨の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】西尾 将人
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| 【要約】 |
【課題】人工骨製造の工程を大幅に短縮することができる補填用人工骨設計システムと、それを用いた補填用人工骨の製造方法とを提供する。
【解決手段】複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、骨部画像領域を抽出し、その骨部画像領域に基づいて骨部外形線情報125を作成し、さらに各断層位置毎の骨部外形線情報125に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状データを作成する。そして、その三次元形状データに基づいて、被加工材料に対する加工シミュレーションを行い、その加工シミュレーションの結果を参照して、正常な切削の可否を判定するとともに、その判定結果に応じて、正常な切削が可能となるように、欠損部の三次元形状データに、平行移動、回転移動、拡大/縮小及びそれらの2種以上の組み合わせのいずれかからなる所定のデータ変換を施してから使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体断層画像に基づいて骨部欠損部を埋める補填用人工骨を設計するシステムにおいて、互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、骨部画像領域を抽出する骨部領域抽出手段と、その抽出された骨部画像領域に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、前記骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段と、前記欠損部の三次元形状データに基づいて、前記セラミック被加工材料に対する加工シミュレーションを行う加工シミュレーション手段と、その加工シミュレーションの結果を参照しつつ、正常な加工が可能となるように、前記欠損部の三次元形状データに、平行移動、回転移動、拡大/縮小及びそれらの2種以上の組み合わせのいずれかからなる所定のデータ変換を施すデータ変換手段と、を備えたことを特徴とする補填用人工骨設計システム。 【請求項2】 前記骨部は頭蓋骨であり、前記断層画像は、前記軸線方向をその頭蓋骨を縦方向に貫く形で設定することにより得られる頭部の輪切り画像である請求項1記載の補填用人工骨設計システム。 【請求項3】 前記欠損部の三次元形状データに基づいて、前記被加工材料に対する加工体積を反映した加工体積パラメータを算出する加工体積パラメータ算出手段と、前記加工体積パラメータの値が最適化されるように、前記欠損部の三次元形状データに所定の回転変換を施す回転変換手段とを備える請求項1又は2に記載の補填用人工骨設計システム。 【請求項4】 前記人体断層画像の画像データとして、断層画像撮影装置において、モニタ画像の撮影フィルムあるいは画像印刷物として出力された画像ハードコピーを、イメージスキャナにより画像データ化したものが使用される請求項1ないし3のいずれかに記載の補填用人工骨設計システム。 【請求項5】 前記人体断層画像の画像データとして、断層画像撮影装置にて取得された撮影信号に基づいて、直接デジタル画像データとして記録されたものが使用される請求項1ないし4のいずれかに記載の補填用人工骨設計システム。 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載の補填用人工骨設計システムにより作成された三次元形状データを参照しつつ、被加工材料を前記三次元形状データが示す補填用人工骨形状に加工する工程を含むことを特徴とする補填用人工骨の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、X線CT、NMR等の人体断層画像に基づいて頭蓋骨等の骨部の欠損部を埋める補填用人工骨を設計するシステムと、それを用いた補填用人工骨の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば交通事故やその他の事故により骨に欠損を生じた患者を治療するために、その欠損部を人工骨で埋める手術が整形外科あるいは形成外科の分野にて行われている。これに関連する従来技術として、例えば特開平7−284501号公報には、X線CTあるいはMRIの断層イメージ(断層画像)を用いて、人工骨頭等の内固定部材の挿入部位(例えば欠損部)を三次元データとして取得し、その三次元データを用いて該挿入部位の三次元イメージを表示しつつ、内固定部材の画像をその画面上にて移動させて、手術前に、部材の挿入部位に対する適合性をシミュレーションできるようにした技術が開示されている。 【0003】他方、特公平6−2137号公報には、X線CTあるいはMRIの断層イメージを用いて、人工骨頭等の内固定部材の挿入部位を三次元データとして取得し、その三次元データを切削装置に出力することにより、挿入部位のレプリカ(模型)を作製する装置が開示されている。同公報の第8頁16欄40行以降の記載によれば、そのレプリカを用いて鋳型を作り、これに注型(型取り)を行うことにより模型が作製されるものと思料される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、人工骨は、一般には生体適合性に優れたセラミックスにて構成されるが、難加工性のセラミックスにより、補填形状を精度よく反映した人工骨を効率的に製造するためには、上記公報の技術は必ずしも優れているとはいい難い。すなわち、頭蓋骨欠損部を埋める人工骨等の場合、頭蓋骨の表面形状は見かけよりも凹凸が多く、三次元データによりこの凹凸を反映した工具の切削パスはかなり複雑である。さらに、上記2つの公報に挙げられている三次元データの作製装置には直接的な記載はないが、X線CTの輪切り断層イメージを三次元データ化する際に、欠損部の位置あるいは姿勢の把握が容易なこともあって、輪切り断層の軸線方向が、三次元空間座標の固定座標軸の一つとして例外なく使用されている。また、一般には、顔側を正面、耳側を側面とするように、残りの軸線が定められる。従って、欠損部補填形状の三次元データは、この座標系に縛られる結果、例えば側頭部に位置する欠損部の場合、正立した人体頭部中にて直感把握される位置そのままに、空間的には立った状態、あるいは斜め方向を向いた状態を反映するものとして与えられることとなる。 【0005】この場合、次のような問題が発生する。 ■欠損部の姿勢によっては、凹凸部位を切削する際に、図57(a)に示すように、被加工材料の本来切削すべきでない部位に工具が干渉するために、切削の精度が低下したり、極端な場合は切削不能となることもある。 ■同じく、図52(b)に示すように、欠損部補填形状が縦や斜めを向いていた場合、欠損部補填形状が薄肉であっても切削体積は大幅に増大し、能率及び材料歩留まりの低下が甚だしい。 そして、前記の特公平6−2137号公報あるいは特開平7−284501号公報には、これらの問題を解決するための具体的な方法については何ら開示されていない。 【0006】そして、従来は上記のを回避するために、欠損部の三次元形状データを工具干渉等の問題を生じない光造形装置に出力し、光造形樹脂による模型を一旦作製する方法が取られていた。そして、その模型を用いて倣い加工と称される三次元形状測定を行い、その結果を用いて、工具と被加工材料との干渉等を生じず、かつ切削代の少ない加工パスデータを創出するようにしていた。しかしながら、この方法は、一旦模型を作製した後、倣い加工による形状測定を改めて行わなければならず、極めて能率が悪い欠点がある。すなわち、欠損部の三次元形状データを取得することで、実際に手術を行わなくとも欠損部形状を把握できる利点を手にしながら、その利便性が必ずしも有効に活かされていないのである。そして、このような理由による納期遅れのために、頭蓋骨欠損等の重症を負って身動き一つ取れない中で、補填用人工骨の到着をひたすら待ち続けなければならない患者の方こそ災難というべきであろう。 【0007】本発明の課題は、人工骨製造の工程を大幅に短縮することができる補填用人工骨設計システムと、それを用いた補填用人工骨の製造方法とを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課題を解決するために、本発明の補填用人工骨設計システムは、人体断層画像に基づいて骨部欠損部を埋める補填用人工骨を設計するシステムにおいて、複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、骨部画像領域を抽出する骨部領域抽出手段と、その抽出された骨部画像領域に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段と、欠損部の三次元形状データに基づいて、セラミック被加工材料に対する加工シミュレーションを行う加工シミュレーション手段と、その加工シミュレーションの結果を参照しつつ、正常な加工が可能となるように、欠損部の三次元形状データに、平行移動、回転移動、拡大/縮小及びそれらの2種以上の組み合わせのいずれかからなる所定のデータ変換を施すデータ変換手段とを備えたことを特徴とする。 【0009】また、本発明の補填用人工骨の製造方法は、上記の補填用人工骨設計システムを用いて作成された三次元形状データを参照しつつ、被加工材料を該三次元形状データが示す補填用人工骨形状に加工する工程を含むことを特徴とする。なお、骨部は例えば頭蓋骨であり、この場合、断層画像は、軸線方向をその頭蓋骨を縦方向に貫く形で設定することにより得られる頭部の輪切り画像とすることができるが、これに限られるものではなく、欠損が生じうるあらゆる骨部を対象とすることができる。また、被加工材料は、人工骨素材であるセラミックスの未焼成成形素材とすることができる。この場合、補填用人工骨形状に加工された素材を焼成することにより、補填用人工骨を得ることができる。なお、作成された三次元形状データは、例えば焼成による収縮等を考慮するために、所定の比率にて寸法の拡大(あるいは縮小)を行った形で使用することもできる。 【0010】上記システム及び方法によれば、X線CT、MRI等の人体断層画像に基づいて作成される欠損部の三次元形状データを用いることにより、実際に手術を行うことなく、欠損部の補填用人工骨を製造あるいは試作することができる(例えば、この補填のための手術前に、執刀医に試作品を提示しながら、詳細な打ち合わせをするようなことも可能となる)。 【0011】そして、本発明の最大の特徴は、欠損部の三次元形状データに基づいて、被加工材料に対する加工シミュレーション(例えば、切削シミュレーション)を行い、その加工シミュレーションの結果を参照して、正常な切削の可否を判定し、その判定結果に応じて、正常な切削が可能となるように、欠損部の三次元形状データに、平行移動、回転移動、拡大/縮小及びそれらの2種以上の組み合わせのいずれかからなる所定のデータ変換(これは、数学的には一種の一次変換である)を施してから使用するようにしている点にある。すなわち、加工シュミレーション(特開平7−284501号公報のおける、内固定部材(補填形状)の欠損部に対する適合性シュミレーションとは全く別のシュミレーションであることを付言しておく)の段階で加工可否の判定を行うことができ、しかも、その判定結果のフィードバックにより、欠損部の三次元形状データには、数学的には、平行移動、回転移動及びそれらの組み合わせのいずれかにより記述される一次変換が施されて、工具干渉等の不具合が回避され、正常な加工が担保される。その結果、従来のような光造形による模型作成と、倣い加工等による加工パスデータの創出といった、面倒で煩雑な工程を全て省略することができ、ひいては補填用人工骨の製造工程を大幅に短縮することができる。これにより、補填用人工骨の製造納期を劇的に短縮することが可能となり、頭蓋骨欠損等の重症患者にとっては、人工骨補填手術までの苦痛に満ちた待ち時間が短くなる点で一大福音であるともいえる。 【0012】また、上記の補填用人工骨設計システムには、欠損部の三次元形状データに基づいて、被加工材料に対する加工体積を反映した加工体積パラメータを算出する加工体積パラメータ算出手段と、加工体積パラメータの値が最適化されるように、欠損部の三次元形状データに所定の回転変換を施す回転変換手段とを設けることができる。従来は、欠損部の補填用人工骨を製造する際には、医師の直感的なイメージを優先するあまり、直立人体を基準として定められる空間座標系での欠損部姿勢に、余りにも縛られすぎていたといえる。しかしながら、患者あるいは人工骨製造者の立場からすれば、最終的に加工を行う際の欠損部の姿勢など端的にいえば二の次の問題であり、加工時間が短縮され、早期に人工骨製品が納入された方がよいに決まっている。上記本発明では、加工体積(いわゆる加工代)の大小を優先して発想を転換し、加工体積を反映した適当な加工体積パラメータを定めるとともに、欠損部三次元形状データに回転変換を行いながら、その加工体積パラメータが最適化される欠損部の姿勢を決定して、その姿勢にて被加工材料の加工を行うようにした。その結果、加工時間が短くなって納期が短縮されるばかりでなく、材料歩留まりも向上し、人工骨を安価にかつ迅速に製造できるようになる。 【0013】以下、上記補填用人工骨設計システムについて、さらに付加可能な構成について説明する。なお、本明細書において画素濃度とは、画素の濃淡、色彩及びその両者の組み合わせのいずれかにより示される広義の情報をいい、色彩のみが異なって濃淡の度合いが同一の画素も、「濃度が異なる」ものとして取り扱う。 (構成1)互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、骨部画像領域を抽出する骨部領域抽出手段と、その抽出された骨部画像領域に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段とを備え、骨部領域抽出手段は、断層画像を構成する画素濃度に対する、骨部領域抽出のための閾濃度レベルを、断層位置に応じて異なる固有の値に設定する。 【0014】X線CT等により骨部の断層画像を撮影した場合、所定幅の人体スライス領域からの累積断層情報に基づいて画像化されるケースが圧倒的に多い。例えば、頭蓋骨の場合、頭頂部に向かうほど縮径する形状を呈するが、頭頂部に近づくにつれ、頭蓋骨壁部の傾斜に由来した骨部画像領域のぼけ拡がりの影響が大きくなって、断層画像上での骨部領域とそうでない領域との境界が判然としなくなる。そして、決められた画素濃度以上の領域を骨部と判断する場合、このようなぼけ拡がりが大きくなるほど、画像上での骨部領域が実際の骨部領域よりも小さく表れることとなり、欠損部形状を誤認識する不具合にもつながりかねない。 【0015】そこで、上記の構成では、ぼけ拡がりの影響等を考慮して、断層画像を構成する画素濃度に対する、骨部領域抽出のための閾濃度レベルを、断層位置に応じて異なる固有の値に設定するようにした。これにより、より正確な骨部外形線の決定が可能となり、ひいては最終的に得られる補填用人工骨の欠損部に対する適合性を一層良好なものとすることができるようになる。 【0016】(構成2)互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、予め定められた濃度レベルの画素領域を、骨部候補領域として抽出する骨部候補領域抽出手段と、その骨部候補領域のうち、最終的に骨部領域として使用するもの(以下、確定骨部領域という)を選択する領域選択手段と、その確定骨部領域に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段とを備えたことを特徴とする。 【0017】例えば頭蓋骨を例に取ると、形状は大まかには回転楕円体あるいは卵型の外形を呈するが、内部構造はそれほど単純でなく、例えば鼻部や耳部には、小さな別の骨部として形成されている部分もあるし、また、眼窩などの大きな開口部も形成されているから、断層を取れば、本来は一体の骨部が分離して現われることも当然にありうる。さらに、測定上の問題として、骨部以外の領域にも、ノイズ等の影響により骨部と同じ濃度レベルの小さな領域が現われてしまうこともある。 【0018】上記の構成によれば、断層画像に表れた骨部候補領域のうち、例えば鼻部など、欠損部形状の正確な形状補間に好都合な影響を与えると思われる部分は、最終的に骨部領域として使用する確定骨部領域として選択し、逆に組み入れないほうがよいと思われる部分や、明らかにノイズ等によるもの考えられる領域は、確定骨部領域から除外することができる。これにより、骨部の欠損部の三次元形状データを精度よく決定することが可能となる。 【0019】(構成3)互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、骨部の画像領域を抽出する骨部領域抽出手段と、その抽出された骨部領域に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と、欠損部が関与する骨部外形線に対し、その骨部外形線の形状情報に基づいて、欠損部の推定外形線情報である欠損部推定外形線情報を生成する欠損部推定外形線情報生成手段と、骨部外形線情報と、欠損部推定外形線情報とに基づいて、骨部外形線を欠損部の推定外形線とともに表示する骨部外形線表示手段と、その骨部外形線表示手段に表示される骨部外形線と推定外形線とが識別可能となるように、それら外形線の表示状態を互いに異ならせる表示制御手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段とを備える。 【0020】上記の構成によれば、断層画像に基づいて生成された骨部外形線情報により、欠損部の推定外形線情報を作成し、骨部外形線と推定外形線とが識別可能となるように、それら外形線の表示状態を互いに異ならせる形で表示させるようにした。これによれば、欠損部の最終的な三次元形状データを作成する前の段階で、骨部外形線情報に基づく欠損部の推定外形線情報が作成され、しかもそれが画素の濃淡や色彩などにより、異なる表示状態にて表示される。その結果、欠損部の大まかな三次元形状を直感的に把握することができ、かつ、空間中の曲線姿勢を錯覚等により見誤る不具合も低減されるので、最終的な三次元形状データを設計・作成する際に、明確な完成イメージをもって混乱なく効率的に作業を行うことができるようになる。 【0021】(構成4)互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、骨部の画像領域を抽出する骨部領域抽出手段と、その抽出された骨部領域に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、骨部の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段とを備え、三次元形状データ生成手段は、骨部外形線情報に基づいて、骨部の健常部の表面形状を反映した補間基準線を設定する補間基準線生成手段と、その補間基準線に沿って補間曲線生成用の曲線制御点を設定する曲線制御点設定手段と、その設定された曲線制御点を用いて、予め定められた曲線決定アルゴリズムに従い、欠損部を曲線補間する欠損部補間曲線を生成する欠損部補間曲線生成手段とを備え、その欠損部補間曲線に基づいて、欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データを生成する。 【0022】例えば、図32を参照するまでもなく、人間の頭蓋骨SKLは、正面(顔側)から見ると略左右対象な形をしている。そして、図32(a)に示すように、顔面中央に鏡映基準面MSPを設定したとき、欠損部400が側頭部など、鏡映基準面MSPに関して片側にのみ存在する場合に、この欠損部400を埋める補填人工骨の製造方法として、鏡映コピー(以下、「ミラーコピー」ともいう)と称される手法が用いられてきた。このことは、特公平6−2137号公報の請求項5にも示されている通りである。 【0023】しかしながら、怪我等による骨部の欠損が、常に図32(a)のような形で発生するという保証は、実はどこにもないのである。現実に、同図(b)あるいは(c)に示すように、欠損部400が額や頭頂部など、鏡映基準面MSPに関して両側にまたがって生じてしまうことも決して少なくはないが、これらのケースについてはいうまでもなく、ミラーコピーの手法は全く無力となる。というのは、鏡映基準面MSPの片側に拡がった欠損部分に対し、コピー元として期待される反対側にも欠損が拡がっているため、参照すべきデータが存在しないからである。また、いかに左右対照的といえども、実際の頭蓋骨には対称からの微妙なずれがあり、機械的なミラーコピーが必ずしも最上の方法とはいえない場合もある。 【0024】そこで、上記の方式では、断層画像に基づく骨部外形線情報により、骨部の健健常部側の表面形状を反映した補間基準線を設定し、さらに、その補間基準線に沿って設定された曲線制御点を用いて、予め定められた曲線決定アルゴリズムに従い、欠損部を曲線補間する欠損部補間曲線を生成し、その欠損部補間曲線に基づいて、欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データを生成するようにした。この方法の特徴は、欠損部周辺の健常部の形状情報から、その形状に適合する補間曲線を欠損部に発生させることで、欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データを、健常部形状からの推定データとして作成する点にある。従って、ミラーコピーが適用不能な欠損部に対しても、容易にかつ正確に人工骨を設計・製造することが可能となる。また、ミラーコピーが適用可能な欠損部に対しても、左右の対称性のずれが大きい場合などは、上記のように欠損部周辺の健常部から欠損部形状を推定したほうが、却って違和感のない補填用人工骨を製造できる場合もある。 【0025】(構成5)頭部軸線方向の互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、頭蓋骨部の画像領域を抽出する頭蓋骨部領域抽出手段と、その抽出された頭蓋骨部候補領域に基づいて、最終的に頭蓋骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を、所定間隔の点群データとして生成する骨部外形線情報生成手段と、各断層位置毎の骨部外形線情報に基づいて、頭蓋骨の欠損部の三次元形状データを生成する三次元形状データ生成手段とを備え、三次元形状データ生成手段は、顔面中央位置にて頭蓋骨を左右両部分に分割する鏡映基準面を設定する鏡映基準面設定手段と、その設定された鏡映基準面に関して片側に存在する欠損部、又は左右非対象な形状にて両側にまたがって存在する欠損部を少なくとも部分的に補填するために、骨部外形線を形成する点群データのうち補填すべき欠損部に対応するものを、鏡映基準面に関して鏡映コピーすることにより、そのコピーされた点群データを補填部外形線データとして生成する補填部外形線データ生成手段と、鏡映コピーにより生成される補填部外形線が、補填すべき欠損部の周囲に存在する健常部の外形形状に適合するように、点群データのコピー先の位置を補正する鏡映コピー補正手段とを備え、その補正された点群データによる補填部外形線データに基づいて、欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データを生成する。 【0026】図32(a)を用いて既に説明した通り、欠損部400を埋める補填人工骨の製造方法として、特公平6−2137号公報にも示されている通り、従来より鏡映コピー法が採用されてきた。しかしながら、実際の頭蓋骨の左右には、対称からの微妙なずれが存在するケースがほとんどであり、機械的な鏡映コピーを行うと不都合が生ずる場合がある。例えば、図33では、鏡映基準面MSPに関して、右側の部分SKL1に対し、左側の部分SKL2が頭頂部側がMSP側に寄るようにねじれ変形した、対称性がやや悪い頭蓋骨の例を示している。この場合、右側の部分SKL1をMSPに関する鏡映コピーにより、欠損部400が存在するSKL2に重ねると、欠損部400の補填形状を与えるコピー元部分401は、鏡映コピー部401’に移る。しかし、この鏡映コピー部401’が欠損部400に適合していないことは明らかである。 【0027】上記構成では、顔面中央位置にて頭蓋骨を左右両部分に分割する鏡映基準面を設定し、その設定された鏡映基準面に関して片側に存在する欠損部(又は左右非対象な形状にて両側にまたがって存在する欠損部)を少なくとも部分的に補填するために、骨部外形線を形成する点群データのうち補填すべき欠損部に対応するものを、鏡映基準面に関して鏡映コピーする。しかしながら、そのミラーコピーを機械的に行うのではなく、鏡映コピーにより生成される補填部外形線が、補填すべき欠損部の周囲に存在する健常部の外形形状に適合するように、点群データのコピー先の位置を補正するのである。この補正により、例えば図33のような場合でも、従来の機械的なミラーコピーを行う場合と比較して、欠損部への適合性がはるかに良好な外面形状を有する人工骨を設計・製造することが可能となる。 【0028】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。この実施例では、欠損補填の対象が頭蓋骨であり、その補填用人工骨を設計するための三次元形状データを、X線CTによる断層画像に基づいて作成する場合を例に取る。ただし、断層画像の撮影手段としてはX線CTに限らず、MRI、ポジトロンCT、エミッションCT、超音波断層撮像等を採用してもよい。 【0029】まず、装置構成を説明するに先立って、公知のX線CTの原理について簡単に説明しておく。図1は、X線CTの一例を示す原理図であり、X線管からコリメータを通って細く絞られたX線ビームは被写体である人体(この場合、頭部)に放射される。X線ビームは途中の生体組織に僅かに吸収されて減衰した後、残りの大部分は透過する。透過したX線は検出器により測定される。 【0030】いま、放射するX線の強度をI0、被写体を透過した後の強度をIとし、被写体すなわち人体内部の組織によって吸収されるX線の吸収係数をμ(x,y)とすると、概ね数1の関係が成立することが知られている。 【0031】 【数1】
【0032】ここで、積分は透過したX線ビームの方向Lに沿った線積分を表す。この式で、両辺の対数をとると数2となる。 【0033】 【数2】
【0034】すなわち、X線の入射強度と透過強度の比の対数が、X線ビームに沿った吸収係数の積分値に略等しい。そこで、X線ビームの方向を一定に保ちながらX線源と検出器とを同期させて移動(並進運動)させると、この並進運動による操作によりこの角度の投影データが得られる。そして、角度を所定間隔(例えば1°)ずつ回転させて同様の操作を繰り返すことにより、全ての方向からの投影データ(投影積分値)が得られる。これらのデータは全てコンピュータに記憶され、そこでその投影データから、逐次近似法やフーリエ変換法あるいはフィルタ補正逆投影法等の公知の像再構成法によって各点でのX線吸収係数μ(x,y)が算出され、断層像が得られる。 【0035】なお、通常の臨床診断では便宜的にCT値と呼ばれる相対吸収係数が導入され、例えば水を0、空気−500、骨500にとり、その中を例えば1000等分して値を示す。本発明においては、特に骨の画像を抽出する必要があるが、基本的には他の組織のCT値との隔たりにより、その抽出処理が行われることとなる。そして、断層画像では、図14(b)に示すように、そのCT値を適当な階調閾値により区切り、各閾値間のCT値の区間に異なる表示色(あるいは濃度)の画素出力を表示色インデックスを用いて割りふることにより、同じCT値区間に属する画素領域が同一色にて表示される形で画像化されるのである。なお、画像表示に関しては、特定の吸収係数の幅の中にだけ階調を付けて、他は黒(又は白)で表現する、ウィンドウ機能が導入されていることも多く、関心のある対象(例えば骨部)についてコントラストのよい画像を得るようにすることも可能である。 【0036】図2は、本発明の一実施例に係る補填用人工骨設計システム(以下、単に設計システムともいう)40、及び、それを用いた補填用人工骨製造用加工システム(以下、単に加工システムともいう)1の電気的構成を示すブロック図である。設計システム40の中核をなすのはコンピュータ50であり、I/Oポート2と、これに接続されたCPU3、ROM4、RAM5、ハードディスク装置等で構成された記憶装置6とを含む。なお、I/Oポート2には、フロッピーディスク、光磁気ディスク、光ディスク(CD−ROM)など、デジタル断層画像データを記録したデータ記録媒体を読み込むためのデータ読取り装置8、断層画像のフィルムやハードコピー出力を読み取るためのイメージスキャナ7、表示制御部10とこれに接続された表示装置11、キーボード12及びマウス13等の入力部が接続されている。 【0037】記憶装置6には、設計システム40及び加工システム1の基本機能を実現するための、制御プログラム200が記憶されている。該制御プログラム200は、骨部データ抽出プログラム201、骨部外形線三次元合成プログラム202、三次元形状データ作成プログラム203、切削(加工)最適位置決定プログラム204、切削(加工)プログラム205、シミュレーションプログラム206を含む。また、記憶装置6には、設計データ記憶部207が形成され、図5に示すように、オペ対象者(患者)を特定するためのオペ対象者特定データと対応づけられた形にて、その欠損部を埋める補填用人工骨の設計データが記憶されている。そして、CPU3は、記憶装置6に記憶された各プログラム201〜206を、RAM5のプログラムワークエリア5aを用いて実行することにより、設計システム40及び加工システム1の基本的な作動制御処理、すなわち、工程毎に必要な機能実現手段を実現するための制御を行う。また、三次元形状データ作成に必要な設計データは、RAM5のデータ格納エリア5bに格納してプログラム処理に供される。 【0038】図8は、オペ対象者(患者)の頭部を示すレントゲン写真の一例であり、頭部上部をそれぞれ水平に横切る形にて、上下に略等間隔(例えば頭部に対する実寸法にて約5mm間隔)に並ぶ白抜きの破線が、断層撮影を行う断層位置SCを示している。図6に示すように、設計データは、これら各断層位置(以下、スライスともいう)を特定するスライスNo.と対応づける形で、断層撮影により得られる断層画像の多階調原イメージデータと、後に述べる処理により、骨部のみを抽出する形でこれを二値化した骨部抽出二値化データとを含む。また、その二値化した骨部抽出二値化データを用いて生成された骨部外形線データを、断層位置配列に従い三次元合成した骨部外形線三次元合成データと、これを用いて後に述べる処理により設計・作成される補填用人工骨の三次元形状データも含まれる。 【0039】人体断層画像の画像データとしては、例えば、図3(b)に示すように、X線CT(あるいは、NMR)等の断層画像撮影装置にて取得された撮影信号に基づいて、直接デジタル画像信号として記録されたものを使用することができる。例えばCTスキャナの場合、CTスキャナを介して撮影されたX線吸収率を反映した原信号データは、入力信号ケーブルを介してCT装置解析コンピュータに取り込まれ、ここで前述の像再構成のための公知の処理が行われて、断層画像出力のためのデジタル濃淡画像データ(断層データ)が作成される。この断層データはは、データ出力ケーブルを介して直接設計システム40のコンピュータ50に直接転送してもよいが、それが不可能な場合は、通信ネットワークを用いて転送したり、あるいは前述のデータ記録媒体9(図2)に一旦記憶して、データ読取り装置8を介して読み取らせてもよい。 【0040】上記方式の利点は、デジタル濃淡画像データを直接利用するために画像が極めて鮮明であり、ノイズ等の影響も受けにくいこと、デジタル合成によりスライス間の像の位置決めに際しても、アナログ的な誤差の影響を全く受けない点にある。しかしながら、以下のような欠点もある。まず、断層撮影装置の機種により断層データのフォーマットが異なることが多く、特殊なフォーマットのデータは利用できない場合もあることが挙げられる。また、断層撮影を行った病院側でデータ消去してしまった場合や、あるいは装置機種によりデジタル画像データの出力が不能な場合などは、根本的に対応不可能である。 【0041】そこで、この欠点を補完する方式として、図3(a)に示すように、人体断層画像の画像データとして、X線CT、NMR等の断層画像撮影装置において、モニタ画像の撮影フィルムあるいは画像印刷物として出力された画像ハードコピー80を、イメージスキャナ7により画像データ化したものを使用する態様を例示できる。この方法であれば、データ消去された場合や、あるいはデータ出力不能のCT装置等の場合でも、撮影フィルムあるいは画像印刷出力等の画像ハードコピー80さえ残っていれば、これを画像読取りすることでデジタル濃淡画像データを得ることができる。 【0042】図2に戻り、設計システム40にはデータインターフェース14を介して加工装置15が接続され、前記設計システム40とともに加工システム1を構成している。この加工装置は、セラミック被加工材料の切削加工に適したものであれば、特に限定されるものではないが、この実施例では例えば縦フライス盤を利用したNC加工機で構成している。図4は、そのハードウェア構成の一例を概略的に示すブロック図である。すなわち、セラミック被加工材料Wは、公知のねじ軸機構により水平面内のワーク送り(X−Y方向)を司るX−Yテーブル60上に固定され、他方、工具(フライす)TLをモータ64にて回転させる加工ヘッド65は、ねじ軸機構を介してモータ63により上下方向(Z方向)に移動可能となっている。 【0043】X−Yテーブル60のX軸方向及びY軸方向の送りを司るモータ61,62、加工ヘッド65のZ軸方向送りを司るモータ63、さらには、工具回転用のモータ64は、全て、各モータの回転軸と連動回転するパルスジェネレータPGにより回転角度位置及び回転速度の検出がなされ、その検出情報のフィードバックを受けるサーボコントローラにより回転制御される。各サーボコントローラは、制御用コンピュータ55(I/Oポート56とこれに接続されたCPU57、ROM58、RAM59等を含む)に接続されている。制御用コンピュータ55は、データインタフェース14を介して設計システム40に接続されており、作成された三次元形状データに基づいて出される加工制御信号(例えば加工パスデータの信号)を受けて、各サーボコントローラへモータ61〜64の駆動指令信号を送る。 【0044】以下、三次元形状データの作成処理の流れについて、順に説明を行う。まず、断層画像に基づく骨部外形線情報の生成処理であるが、これは図2の骨部データ抽出プログラム201により実行される。ここでは、該プログラム201は、CPU3が主体となるコンピュータ50を、以下の手段として機能させる役割を果たす。 ■骨部領域抽出手段:互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像90のそれぞれにおいて、骨部画像領域85を抽出する。 ■骨部外形線情報生成手段:その抽出された骨部画像領域85に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報103を生成する。また、断層画像90を構成する画素濃度に対する、骨部領域抽出のための閾濃度レベルKSを、断層位置SCに応じて異なる固有の値に設定する。 【0045】図9は、X線CTによる断層画像90の例を示しており、(a)は図8の最も下層側から見て第3層目(眼窩を横切る位置)の、(b)は第14層目(眼窩の上縁よりも数層上の位置)の、(c)は第24層目(頭頂部に近い)の各断層位置の多階調原イメージを示すである。いずれも、画像上側が顔側(正面側)であり、やや暗い灰色の領域として頭部の輪切り輪郭が表れ、頭蓋骨部として推定される画像領域(骨部推定画像領域;頭部外形に沿って環状に表れている部分)がなるべく白っぽく表れるように、画素の濃度レベル設定が行われている。図12の模式図を参照して説明すれば、骨部推定画像領域100は、着目している骨部の概略位置に対応して、所定の輝度K0以上にて背景との間に目視識別可能なコントラストを有して表れている領域をいう。その外縁部には、後述するぼけによるグラデーションが形成され、背景部分との境界が不明瞭となる場合があるが、この境界は骨部外形線103を決定する上でそれほど重要な役割を果たすことはない。他方、基準濃度レベル領域102は、その骨部推定画像領域100の内側にあって、予め定められた画素濃度レベル(例えば、輝度がKi以上である画素濃度レベル)である基準濃度レベルを有する領域であり、ほぼ確実に骨部に属すると断定しうる領域である(ただし、画像表現上は白黒が反転していても骨部の識別は同様に問題なく可能である。この場合は、逆にある輝度Kj未満の濃度レベルを基準濃度レベルとすればよい)。 【0046】図9(a)〜(c)を見て判明することは、上層側に位置するものほど骨部推定画像領域の幅(頭蓋骨の厚さに対応する)が大きくなっていることである。これは、骨部厚さの相違というよりも、むしろ、以下のような要因による像ぼけの影響を受けているものと考えられる。すなわち、図11(a)に示すように、多くのX線CT装置において断層画像は、断層撮影に使用するX線ビームが、一定以下の径には絞れないこともあって、図11(a)及び(c)に示すように、ある厚さをもった板状のスライス領域SC、例えばある断層位置と隣接する断層位置との間に挟まれるスライス領域SC1、SC2など、所定幅の人体スライス領域SCからの累積断層情報(人体スライス領域SCの厚さ方向にわたる一種の積分的な情報)に基づいて画像化される。この場合、特に頭蓋骨の眼窩開口部上縁よりも上の部分(例えば額よりも上の部分)において、下側のスライス領域SC1では、頭蓋骨SKLの壁部は、頭部軸線の向きからの隔たりの小さい比較的立った状態となっているのに対し、上側のスライス領域SC2では、頭蓋骨SKLの壁部は内側への傾斜が大きくなる。 【0047】この場合、図11(c)に示すように、頭蓋骨SKLの壁部が骨部推定画像領域100を形成することになるのであるが、上記のようにスライス領域SCの厚さ方向の積分的な情報により画像化される関係上、頭蓋骨SKLが傾斜している分だけその投影面積が拡がり、像ぼけにつながってしまうのである。具体的には、図11(d)に示すように、頭蓋骨SKLの傾斜の度合いが大きいスライス領域SC2の場合、頭蓋骨SKLのうちスライス領域SC2の全厚さにわたって位置する部分CPは、頭蓋骨SKLの幅方向中央付近に限定される形となる。この部分は、画素の輝度がKi以上の基準濃度レベル領域102となる部分である。他方、その両側部分CQは厚さ方向の一部のみを占めるので、輝度がKi未満の部分となって表れるが、背景部分の上限輝度K0より高いことに変わりはなく、骨部推定画像領域100に組み入れて識別せざるを得ない。結果として、骨部推定画像領域100の幅W”は実際の頭蓋骨SKLの幅Wよりも相当大きくなってしまう(つまり、ぼけてしまう)のである。他方、基準濃度レベル領域102の幅W’は、逆に頭蓋骨SKLの幅Wよりも小さくなってしまうので、これも正しい幅Wとして採用することはできない。一方、頭蓋骨SKLの傾斜の度合いが大きいスライス領域SC1では、上記のような傾向はそれほど顕著ではなくなる。 【0048】そこで、図12に示すように、頭蓋骨SKLの眼窩開口部上縁よりも上の部分において、頭蓋骨壁部の傾斜に由来した骨部推定画像領域100のぼけ拡がりの影響が緩和されるように、基準レベル領域102と最終的に定めるべき骨部外形線103との位置関係を定めるようにすれば、断層位置による像ぼけの大小に応じて骨部外形線103の決定位置を調整することができ、骨部外形線103をより正確に決定することが可能となる。図12に示すように、骨部推定画像領域100は、頭蓋骨の厚さ方向において、その中央に基準濃度レベル領域102が現われるとともに、外側に向かうほど画素濃度レベルが増加(反転した濃度設定を行う場合は、減少)する形でぼけ拡がりを呈する。そして、骨部外形線103の位置を、ぼけ拡がりの向きにおいて基準濃度レベルKiから、所定の値だけ隔たった閾濃度レベルKSを有する画素位置として定めることができる。 【0049】そして、ぼけ拡がりが小さい場合は、骨部外形線103の位置は基準レベル領域102の境界の隔たりが小さくなるように設定され、逆に大きい場合は隔たりが大きくなるように設定される。より正確な位置決定のためには、骨部推定画像領域100のぼけ拡がりが比較的小さい、下層側の断層位置の基準レベル領域形状を参照して、それより上層側の断層位置の骨部外形線103を決定することが有効である。例えば、ぼけ拡がりの大きい上層側の断層位置では、下層側の基準レベル領域の幅から骨部幅を推定して、その骨部幅の端点位置に対応する画素の濃度レベルを読みとり、これを用いて閾濃度レベルKSを決定することも可能である。 【0050】また、このような閾濃度レベルKSを設定することは、例えばぼけ拡がりの小さい下層側の断層画像でも有効となる場合がある。例えば、図11(b)に示すように、X線CTの断層画像を、モニタ出力のフィルム撮影により得る場合に、モニタ画面とフィルム膜面とがある程度隔たっているために、頭蓋骨部が位置する像外側部分ほど像拡がりが生じやすく、下層側の断層位置でもこれが原因となる像ぼけが不可避的に発生することがある。そこで、これを考慮して閾濃度レベルKSにより骨部外形線103の境界位置を補正すれば、より正確な外形線が得られる。 【0051】次に、頭蓋骨壁部の傾斜によるぼけ広がりの影響を受け難くするためには、閾濃度レベルKSは、軸線方向において頭蓋骨の上側に位置する断層位置ほど、基準濃度レベルKiからの隔たりが大きくなる値として定めることが望ましい。前述の通り、上層に位置する断層位置ほど基準濃度レベル領域幅は狭くなり、特に頭頂部に近い断層位置(スライス)では、図11(d)において頭蓋骨壁部の傾斜をさらに大きくした場合からも容易に類推される通り、基準濃度レベルKi以上を満たす領域、すなわち、基準濃度レベル領域102自体が失われてしまうこともある。しかしながら、現実には骨部は断面上に必ず表れているのであり、しかも傾斜している分だけ断面幅も大きくなるはずである。そこで、閾濃度レベルKSを基準濃度レベルKiから離れた値として設定することで、より正確な骨部外形線の決定が可能となる。 【0052】以下、閾濃度レベルKSの具体的な設定方法について説明する。例えば、図2の表示装置11は、各断層位置の断層画像90を表示する断層画像表示手段として機能する。そして、閾濃度レベルKSは、各断層位置の断層画像90を参照しつつ手動入力することができる。例えば、プログラム201により実現される骨部外形線情報生成手段には、図12に示すように、閾濃度レベルKSを多段階又は無段階に可変入力設定する閾濃度レベル入力手段99と、その可変入力される閾濃度レベルKSに応じて断層画像表示手段(表示装置)11に対し、抽出される骨部画像領域85を他の画像領域と識別可能に可変出力させる骨部画像領域表示制御手とを、機能付与することができる。 【0053】図12(a)に示すように、表示装置11の画面上に表示される断層画像には、画素濃度レベルが前述の輝度K0以上である骨部推定画像領域100が表れている。そして、その画面上には閾濃度レベル入力手段としての閾濃度レベル入力バー99が形成されている。これは、ポインタPをバーの長さ方向にマウスドラッグ等によりスライド移動させることにより、設定閾濃度レベルKSを無段階連続的に(あるいは有限複数段階により断続的に)変化させることができるようになっている。そして、表示装置11の画面上では、設定された閾濃度レベルKSを二値化閾値として、それよりも輝度の大きい画素が、残余の画素に対して識別可能な出力状態(例えば赤等の特定の色彩)に設定され、骨部領域85として表示される。そして、その骨部領域85の外縁位置を与える画素の列が、骨部外形線103を形成する。すなわち、骨部外形線情報は、上記のような二値化により形成される骨部領域85の外縁点の集合からなる点群データとして与えられることとなる。 【0054】そして、閾濃度レベル入力バー99の操作により閾濃度レベルKSを設定変更すると、図12(b)により、変更後の閾濃度レベルKSにより再度二値化処理が行われ、骨部領域85の表示状態が画面上でリアルタイムにて変更される。オペレータは、閾濃度レベル入力バー99を操作して、骨部領域85の表示状態の変化を観察しつつ、例えば他のスライスにて確定した骨部領域85の幅と、スライスの位置等を考慮して、最適と思われる設定閾濃度レベルKSを選択する。これにより、最終的な骨部領域85及び骨部外形線103の点群データが確定・記憶される。 【0055】一方、上記の骨部外形線情報生成手段は、図13に示すように、各断層位置毎の個別の閾濃度レベルKSの記憶値105と、各断層位置毎の閾濃度レベル値を演算するための演算プログラム105’との少なくともいずれかを、閾濃度レベル生成源として記憶した閾濃度レベル生成源記憶手段と、着目している断層位置に対応する閾濃度レベル値を、閾濃度レベル生成源に基づいて決定する閾濃度レベル値決定手段とを備えるものとして構成することもできる。この場合、その決定された閾濃度レベル値に対応する画素位置を、骨部外形線103の位置として定めるようにする。図13(c)に示すように、スライス(断層位置)毎の閾濃度レベル値KS(=KS1、KS2‥‥)の値をメモリ105に記憶しておき、着目しているスライスの閾濃度レベル値KSを適宜読み出して決定することができる。また、断層位置毎の閾濃度レベル値を演算するために、断層位置(スライスNo.)と閾濃度レベル値KSとの関係を関数式105’の形で記憶しておき、これを用いて閾濃度レベル値KSを決めることもできる。 【0056】なお、KSの値を直接記憶していなくとも、最終的には骨部外形線103の位置が決まればよいのであるから、閾濃度レベル値KSを反映した情報として、以下のような情報を利用する方法もある。すなわち、図13(b)に示すように、1層目(スライスNo.1)と5層目(スライスNo.5)とでは、骨部幅にそれほど大きな差がないにも拘わらず、前述の理由によりそれらの基準濃度レベル領域幅W1,W5には、W1>W5なる関係が生ずる。例えば、基準濃度レベル領域Wにある係数αを乗ずることにより、これを骨部幅に変換できると考えれば、そのαの値を各断層位置毎に求めておくことで、これを閾濃度レベル値KSを反映した情報として使用することが可能となる。この場合、スライス(断層位置)毎のαの値をメモリ104に記憶しておき、適宜読み出して使用すればよい。 【0057】骨部領域85は、以上説明した通り、閾濃度レベルKSの設定による二値化処理により自動抽出することができる。しかしながら、こうして抽出される領域の全てを骨部領域85として利用できるわけではなく、例えば頭蓋骨部に本来属さない部分や、ノイズ等の影響により表れた高輝度領域は、当然に除外しなければならないし、逆に骨部に属さないことが明らかな部分でも、正確な三次元形状データの作成のために敢えて頭蓋骨部に組み入れた方がよい場合もある。このような処理に好都合な機能も、骨部データ抽出プログラム201により実現される。すなわち、ここでは、CPU3が主体となるコンピュータ50を、以下の各手段として機能させることとなる。■骨部領域抽出手段:互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像90のそれぞれにおいて、予め定められた濃度レベルの画素領域を、骨部候補領域108として抽出する。■領域選択手段:骨部候補領域108のうち、最終的に骨部領域として使用するもの(確定骨部領域)93,110を選択する。■骨部外形線情報生成手段:確定骨部領域93,110に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報103を生成する。 【0058】骨部が頭蓋骨である場合、骨部候補領域108の抽出は、以下のようにして行うことができる。すなわち、図14(a)に示すように、多階調原イメージデータをある閾濃度レベル(ここでは、前述の閾濃度レベルKS)により二値ビットマップイメージデータに変換する。そして、図16(a)に示すように、ビットマップデータを所定の方向(例えばx方向)に走査し、「1」ビットの途切れが一定数(例えば3ビット)以上生じたか否かにより、同一の骨部領域であるか別の骨部領域であるかを判別しながら、各ビットにラベリング符号(本実施例では、1、2‥‥等の数字で表している)を施してゆく。なお、走査2列目以降は、「0」ビットの検出状態から「1」ビットの検出に転じた時に、その「1」ビットを取り囲む例えば8つのビットのラベリング状態を判別し、既に認識済のビットのラベリング符号が検出されれば、これと同一のラベリング符号を施し、何も検出されなければ新たなラベリング符号を施すようにする。そして、異なるラベリング符号が付されたビットの集合同士は、異なる骨部領域として識別するのである。図15は、このようなラベリング処理により、異なる骨部領域を互いに異なる色彩で出力した例である(左側が多階調原イメージ、右側がラベリングにより骨部領域を色分け出力したイメージである)。 【0059】さて、前記の領域選択手段は、図17に示すように、抽出された骨部候補領域108のうち少なくとも面積最大のものである最大候補領域93を確定骨部領域として採用することとなる。一方、図16(b)に示すように、予め定められた許容下限面積S0以下のものは少なくとも、確定骨部領域としては採用しないようにする。これにより、ノイズ等により表れた小さな骨部領域は全て除外され、その影響を受けずに済むようになる。 【0060】次に、頭蓋骨の欠損部を埋める補填用人工骨の場合、主に問題となるのは、頭部外観に表れる外面形状のみであるから、確定骨部領域のうち、人体外面側に臨む外形線のみを用いて、前述の骨部外形線情報を生成するようにすれば、全体として骨部外形線情報のデータ量を減ずることができる。 【0061】この場合、確定骨部領域の外形線の一部を使用して、本来確定骨部領域の存在しない領域に、骨部外形線の一部として組み入れられる推定外形線112を補間形成する機能(推定外形線補間手段)を付与しておくとよい。該機能は、具体的には、眼窩、口孔、鼻孔など、欠損部とは別に頭蓋骨が本来的に備えているべき開口部を閉塞する形で推定外形線を補間形成するものとすることができる(以下、これを「穴埋め処理」という)。このような穴埋め処理により、後の三次元形状データの作成処理において、このような開口部を欠損部と見誤って混乱してしまう不具合を回避し、作成効率を上げることができる。また、上下のスライスの骨部外形線データから欠損部の骨部形状を復元する処理である、形状補間を行う場合は、開口部が存在しては補間精度を確保できない場合もあり、これを予め閉塞しておくことにより補間精度の向上に寄与できる場合もある。 【0062】また、最大候補領域以外の骨部候補領域のうち、特定の一部のものを選択候補領域として選択し、その選択候補領域を最大候補領域に組み入れる形で確定骨部領域を決定するようにすることで、欠損部補間の精度をさらに向上できる。具体例を以下に説明する。すなわち、図17は、図9(a)に示す眼窩及び鼻を通る断層位置での骨部抽出画像であるが、開口部としての眼窩111に隣接して位置する鼻骨部位110を選択候補領域として選択している。そして、確定骨部領域は、その鼻骨部位110と、眼窩111を挟んで鼻骨部位110と反対側に位置する目尻側の頭蓋骨部位(目尻部位)111aとの外形線を利用して、眼窩111を塞ぐ補間曲線112を生成している。図18に示すように、穴埋め処理は、補間曲線112は、鼻骨部位110と目尻部位111aの外形線(図12の骨部外形線103)上に、マウス13の操作により、制御点115を打ち、公知の自由曲線生成ツール(スプライン曲線等)により補間曲線112を回帰的に発生させることにより行う。鼻骨部位110を確定骨部領域に組み入れることで、頭蓋骨輪郭の前後方向の寸法がより正確な寸法を反映したものとなるから、結果的にその頭蓋骨輪郭(骨部外形線)を用いた欠損部の補間精度をさらに向上することができる。 【0063】なお、より精度の高い方式として、図19に示すように、推定外形線補間手段を、以下のような手段を有するものとして機能実現させることができる。 ■サーチ円設定手段:鼻骨部位110の外形線と、目尻部位111aの外形線とに対し、それら外形線からの幾何学的な変位が最小となる所定半径のサーチ円117を設定する。 ■補間基準部分抽出手段:そのサーチ円117に対し、距離が所定の基準値未満となる外形線部分(マッチング部)を補間基準部分として抽出する。 ■曲線制御点設定手段:抽出された補間基準部分上に補間曲線形成のための複数の曲線制御点115を設定する。 ■補間曲線生成手段:それら曲線制御点を用いて補間曲線を生成する。 【0064】本発明者は、頭部の輪切り断面において眼窩部分を横切る断面外形が、多くの個体において、鼻骨部位を含め概ね円弧近似できることを経験的に見い出した。そして、上記のようにこれをサーチ円117により近似して、そのマッチング部のみを補間基準部分として使用することにより、特に眼窩部分を埋める補間曲線の精度を高めることが可能となり、ひいてはその補間曲線を、欠損部の三次元形状データを生成する際の、基準形状の一部として好適に使用することができる。 【0065】サーチ円117の中心Oは、確定頭蓋骨部領域の外形線に対する、一定形状の外接図形のうち、最小のものの幾何学的重心位置として定めることができる。外接図形の形状は、図20に示すように、外接長方形120を採用することが処理的に最も簡単で、しかも中心の決定精度も高いことから、本発明に好適に採用できる。ただし、外接図形は長方形に限られるものではなく、楕円等、他の図形を採用しても構わない。また、外接図形を利用せず、例えば頭部中心付近に位置していて、しかも骨部と類似した吸収係数を有する生体組織、例えば松果体をサーチ円の中心位置として参照するようにしてもよい。 【0066】さて、以上詳述した骨部データ抽出プログラム201の処理の流れの一例を、図10のフローチャートに示している。S1〜S4は、原イメージデータ(デジタル濃淡画像データ)としてX線CT装置等から直接取得したデータを利用するか、フィルム等に一旦ハードコピー化されたものをイメージスキャナにより取り込んでデータ取得するかを決める部分である。そして、S7で各スライスの原イメージデータを読み込み、S8で閾濃度レベルKSの設定により骨部外形線103を抽出する。そして、S9でラベリングにより骨部候補領域108を抽出し、さらに確定骨部領域を決定する。また、眼窩などの穴埋めが必要なスライスでは、前記した穴埋め処理を行う(S10)。こうして、そのスライスの骨部外形線の最終形状が確定され、骨部抽出二値データとして設計データ記憶部207(図2)に保存される。そして、各スライスに対する上記処理を逐次行い、全スライスの処理が終われば終了となる(S6、S13、S14)。 【0067】以上で骨部外形線情報の生成処理が終わり、続いて骨部外形線三次元合成処理に移る。これは、図2の骨部外形線三次元合成プログラム202により行われ、その処理の流れを図21に示している。S30〜S31では、上記作成された各スライスの骨部外形線データ(前述の通り、所定間隔で配列する点群データである)を読み出すとともに、欠損部がある場合には、その欠損部により中断される骨部外形線の端点座標を確定し(S33)、データ保存する。 【0068】さて、以下の処理においては、骨部外形線三次元合成プログラム202は、前記した骨部データ抽出プログラム201とともに、CPU3が主体となるコンピュータ50を、以下の各手段として機能させる。 ■骨部領域抽出手段:互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像SCのそれぞれにおいて、骨部領域85を抽出する。 ■骨部外形線情報生成手段:その抽出された骨部領域85に基づいて、最終的に骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報を生成する。 ■欠損部推定外形線情報生成手段:欠損部400(図23等)が関与する骨部外形線125に対し、その骨部外形線125の形状情報に基づいて、欠損部400の推定外形線情報である欠損部推定外形線情報を生成する。 ■骨部外形線表示手段:骨部外形線情報と、欠損部推定外形線情報とに基づいて、骨部外形線125を欠損部の推定外形線129とともに表示する。 ■表示制御手段:骨部外形線表示手段に表示される骨部外形線125と推定外形線129とが識別可能となるように、それら外形線の表示状態を互いに異ならせる。 【0069】より具体的には、骨部外形線情報と欠損部推定外形線情報とに基づいて、各断層位置の骨部外形線125と欠損部の推定外形線129とを同一画面上に合成表示するとともに、骨部外形線125と欠損部の推定外形線129とは、互いに異なる色彩及び/又は濃度にて表示することができる。ただし、濃淡や実線/破線など、色分け以外の方法にて識別可能とする表示態様も可能である。 【0070】図21に戻り、具体的な処理の流れについてさらに説明する。まず、S36では、各スライスの骨部外形線の点群データを読み出して、断層位置を参照してこれを三次元的に合成する。図22の121、123、124はその合成表示例である(図2の表示装置11の画面上にウィンドウ切替えによって表示する)。ここでは、頭蓋骨部領域のうち、人体外面側に臨む外形線のみを用いて骨部外形線情報たる輪郭点群データが生成されており、頭蓋骨を頭頂部側から見たときの平面投影121と、頭蓋骨を顔側から見たときの正面投影123と、頭蓋骨を耳側から見たときの側面投影124との3種類の投影により、骨部外形線を点群データにより表示している。これを見ることで、オペレータは頭蓋骨部の三次元形状と、欠損部400の概略形状を大まかに把握することができ、欠損部400を補填する人工骨の完成予想形態を明確にイメージすることができる。 【0071】図23は、平面投影121を拡大して示すもので、各断層位置の骨部外形線が年輪状(あるいは等高線状)に表れている。最も中央に位置するのが頭頂付近の骨部外形線であり閉じた形状をなしているが、それよりも下層の骨部外形線は図面右側に途切れが生じ、端点が形成されていることがわかる。これは、ここに頭蓋骨の欠損部が形成されているためである。この平面投影121の合成イメージは図24に示す通りである。ここでは平面投影面はX−Y平面であり、各スライスの骨部外形線125(端点は126である)の投影が、特定の座標(X0,Y0)を位置合わせ基準点として合わせ込まれる。なお、符号126は端点である。 【0072】さて、こうして合成された各投影では、欠損部推定外形線129は、平面投影ではこれを表示すると、却って見辛くなるので、図25に示すように、正面投影123と側面投影124との少なくともいずれか(ここではそれらの両方)にのみ表示している。これら両投影では、断層面と直交する投影面を使用するから、各断層位置の骨部外形線125が平行水平線状に表れることとなる。このうち、正面投影123では、欠損部が投影画像外縁部に位置するように投影される。そして、欠損部推定外形線129の外縁位置は、欠損部が関与しない健常部の骨部外形線125の投影外縁部の形状に基づいて推定形成されている。具体的には、健常部の骨部外形線125の投影外縁部を、中心線(鏡映面)MOに関して鏡映反転することにより形成されている。また正面側に表れている端点126(欠損部が関与する骨部外形線125の端点の情報である)が、欠損部推定外形線の端点ともなるので、これも欠損部推定外形線情報を形成していると見ることができる。他方、側面投影124では、欠損部により中断された骨部外形線125の両端点126,126が表れるから、これらを結べば欠損部推定外形線129が簡単に得られる。この実施例では、骨部外形線125を例えば青、欠損部推定外形線129を例えば赤で表示している(以上、図21:S38、S39)。 【0073】上記のような投影を参照することにより、欠損部の大まかな三次元形状を直感的に把握することができるほか、空間中の曲線姿勢を錯覚等により見誤る不具合も低減されるので、オペレータにとってはより混乱なく作業に没頭できる利点が生ずる。これは、わかりやすくいえば、図26に示すように、骨部外形線125の三次元的な位置関係が、ちょうど地球の緯線のように縦方向に中心がずれた環としてあらわれるため、ともすれば画面上にて環の手前側と後方側との前後関係を見誤る結果、頭蓋骨の立体形状を(b)のように上側(A方向)から俯瞰視しているのか、(c)のように下側(B方向)から仰視しているのかを錯覚することがよくある。しかしながら、図25のような投影を予め参照して、欠損部の該略形状と、その頭蓋骨部との位置関係とをイメージとして焼き付けておくことで、このような錯覚を効果的に回避することができるのである。 【0074】なお、図27に示すように、正面投影及び側面投影の少なくともいずれか(ここでは、正面投影123)において、各断層位置に対応する骨部外形線投影125の、欠損部が存在しない側の外縁位置130の配列にスムージング補正が施されるように、各骨部外形線の合成投影位置を調整する機能(骨部外形線投影位置調整手段)を付加することもできる。上記の骨部外形線の三次元合成データは、後の欠損部三次元形状データの作成の基礎として使用するため、各骨部外形線125を合成する際の位置決め精度が、作成される三次元形状データの作成精度にも直接影響することとなる。そして、上記の機能によれば、骨部外形線125を合成する際に、一部の骨部外形線125が突発的な要因により、他の骨部外形線125の配列傾向から極端にずれてしまった場合に、これをスムージング補正により解消することができ、ひいては三次元形状データの作成精度を一層高めることができる。 【0075】上記のような問題は、画像ハードコピーとして、図29に示すように、人体断層画像90とともに位置決め用目印画像(以下、単に目印画像ともいう)132aが形成された撮影フィルム80が使用され、その目印画像132aを頼りに各スライスの骨部外形線を合成する場合に生じやすい。図29の例では、L字状の目印画像(ターゲットマーク)132aと寸法スケール131aとがフィルム80上に形成されている。これらの目印画像132a及びスケール131aは、撮影時の患者の位置を固定とすることで、どのスライスについても患者、すなわち人体断層画像90との相対的な位置関係が、本来、全て同じとなるように形成されるものである。そして、画像をイメージスキャナにより取り込んだ後、その画像のZ軸方向(スライスの配列方向)の座標はスライスの番号から特定され、他方、X軸方向及びY軸方向の座標は、目印画像132a上の特定位置、ここでは図30(b)に示すように、L字を構成する2本の直線部分の交差部分の外側頂点を位置合わせ基準点として、これを例えば原点(X0,Y0)として定めることにより特定される。 【0076】ところで、図29に示すように、目印画像132aは通常、断層画像90の邪魔にならないように、フィルム80の外縁部に形成される。問題は、実はここで発生する。すなわち、図11(b)に示すように、CT装置のモニタ上に表示され断層画像を写真撮影する際に、先にも述べた通りフィルム外側部分ほど映像が拡がってぼけやすく、図30(a)に示すように、目印画像132aも、そのぼけの影響を受けたり、あるいはモニタの明るさや露光条件のばらつき等により、L字が太くなったり、あるいは細くなったりするなど、微妙に形が変わることがある。その結果、図30(b)に示すように、位置合わせ基準点の位置に重ね誤差が生ずる場合がある。さらに、別の要因としては、撮影時に患者が動いたり、あるいは図30(c)に示すように、イメージスキャナによる取込みの際に、フィルム80を回転させてスキャナにセットした場合に、目印画像132aに回転位置ずれが生ずることもある。 【0077】上記のような位置ずれがどの程度生じているかは、図30(a)に示すように、イメージスキャナにより取り込まれた、各断層位置の位置決め用目印画像132a付きの人体断層画像90を重ね合成して、図28に示すような重ねイメージ122を表示することにより、比較的簡単に確認することができる(重ねイメージ画像表示手段)。図22では、この重ねイメージ122を、先に説明した平面投影121、正面投影123及び側面投影124とともに表示している。図28では、位置ずれした目印画像132a及びスケール131が重ね合わされて、かなり太っていることがわかる。この場合、重ねイメージ画像122に現われた位置決め用目印画像132aの状態に応じて、骨部外形線投影位置調整手段による投影位置調整処理(スムージング補正)を行うか否かを選択するように、処理を行うことができる(調整選択手段)。選択は、キーボードからのコマンド入力や、画面上のソフトボタンクリック等により行うことができる(以上、図21:S40〜S44)。 【0078】図27は、スムージング補正処理の一例を示している。(a)では、複数本の骨部外形線125の外縁位置130が、頭蓋骨の外形形状を反映して、外側に凸となる曲線状に配列している。しかしながら、そのうちの1本125xが、その傾向から逸脱して外側に突出している。そこで、(a)〜(e)に示すように、骨部外形線125の配列に沿って片側(ここでは上側)から、3本一組の移動平均化処理を行う。すなわち、3本の骨部外形線125の中央の骨部外形線125の外縁位置130が、両側2本の外縁位置130を結んだ直線上に位置するように、その中央の骨部外形線125を移動させる。この処理を、(c)→(d)→(e)のように、骨部外形線125の配列上にて1本ずつ位置をずらせながら繰返し行う。(e)の状態を見ればわかる通り、骨部外形線125の異常突出状態がスムージングにより解消され、しかも、各骨部外形線125の外縁位置130の配列傾向も、おおむね保存されていることがわかる。 【0079】以上のようにして作成された骨部外形線三次元合成データ(骨部外形線情報)は、図6に示すように、設計データの一部として記憶・保存される。 【0080】骨部外形線三次元合成処理が終われば、その輪郭点群データを用いた三次元形状データ作成処理に移る。これは、CPU3が主体となるコンピュータ50を三次元形状データ生成手段として機能させる、三次元形状データ作成プログラム203(図2)により行われる。この処理では、既に作成されている各スライスの骨部外形線三次元合成データ(図6)を読み出し、これをX−Y−Zの三次元座標により、表示装置11(図2)に表示する。その表示形態としては、例えば図35等のような正面投影(ここでは、上方からの俯瞰形態で表している)のもの、図36のように側面投影のもの、さらには図41のように平面投影のものなど、必要に応じて各種切替可能とされている。なお、図35等の正面俯瞰投影では、環状に表れる骨部外形線(骨部輪郭線)125の前方側部分と後方側部分との前後関係を錯覚しないように、互いに異なる表示色にて表示されている。ここでは、前方側を表示する第一色が黄色であり、後方側を表示する第二色が赤色である。ただし、濃淡や実線/破線など、色分け以外の方法にて識別可能とする態様も可能である。そして、図36等の側面投影では、各骨部外形線125の投影が、正面投影に対応する形態にて色分けがなされている。 【0081】さて、三次元形状データの作成は、頭蓋骨のどの位置に欠損部が形成されているかによって異なる方式が採用される。これは、大きく分ければ、パターン1:図32(a)のように、頭蓋骨を略中央にて左右に二分するように適宜設定される鏡映基準面MSPに関して、欠損部400が頭蓋骨の片側にのみ存在する場合; パターン2:欠損部400が頭頂位置を含まず、かつ鏡映基準面MSPに関して、両側にまたがる形態で存在する場合; パターン3:欠損部400が頭頂位置を含む場合;の3通りあり、それぞれ異なる作成アルゴリズムが採用される。 【0082】まず、パターン1の場合は、基本的には鏡映コピー(ミラーコピー)による欠損部復元となるが、この場合、三次元形状データ作成プログラム203は、前述のプログラム201,202とともに、コンピュータ50を以下の各手段として機能させることとなる。 ■頭蓋骨部領域抽出手段:頭部軸線方向の互いに異なる複数の断層位置にて撮影された断層画像のそれぞれにおいて、頭蓋骨部の画像領域を抽出する。 ■骨部外形線情報生成手段:抽出された頭蓋骨部候補領域に基づいて、最終的に頭蓋骨部として定めるべき領域の外形線情報である骨部外形線情報125を、所定間隔の点群データとして生成する。 ■三次元形状データ生成手段:各断層位置毎の骨部外形線情報125に基づいて、頭蓋骨の欠損部の三次元形状データを生成する。三次元形状データ生成手段は、以下の手段を含む。 ■鏡映基準面設定手段:顔面中央位置にて頭蓋骨を左右両部分に分割する鏡映基準面MSPを設定する。 ■補填部外形線データ生成手段:設定された鏡映基準面MSPに関して片側に存在する欠損部400、又は左右非対象な形状にて両側にまたがって存在する欠損部400を少なくとも部分的に補填するために、骨部外形線125を形成する点群データのうち補填すべき欠損部400に対応するものを、鏡映基準面MSPに関して鏡映コピーすることにより、そのコピーされた点群データを補填部外形線データとして生成する。 ■鏡映コピー補正手段:鏡映コピーにより生成される補填部外形線251が、補填すべき欠損部400の周囲に存在する健常部の外形形状に適合するように、点群データのコピー先の位置を補正する。そして、その補正された点群データによる補填部外形線データに基づいて、欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データを生成する。 【0083】なお、「鏡映コピー」とは、三次元空間内のある点をコピー元として、所定の鏡映基準面に関してその点と鏡映対称(面対称)の位置に点を発生させる処理をいう。コピー元が点群からなる骨部外形線であればは、鏡映基準面に関してその骨部外形線を鏡映反転させた位置に、新たに骨部外形線を発生させる処理となる。ただし、補填すべき欠損部の周囲に存在する健常部の外形形状に適合するように、点群データのコピー先の位置が補正されるわけであるから、必ずしも数学的に厳密な鏡映反転とはならないことはいうまでもない。 【0084】図33に示すように、頭部の外形が、鏡映基準面MSPに関して幾分対称性の悪い形状を呈している場合、健常側の欠損対応部分401の形状データをMSPに関してそのまま鏡映コピーしても、そのコピーされた形状データは、必ずしも欠損部400あるいはその周囲の健常部形状に適合するとは限らない。そこで、図34(a)に示すように、本発明特有の手法として、鏡映コピーにより生成されるコピー点群列125’のコピー先の位置を補正することにより、補填すべき欠損部400の周囲に存在する健常部の外形形状への、より正確な適合を図るのである(鏡映コピー補正手段の機能)。 【0085】既に述べた通り、骨部外形線125の情報は点群データとして規定されていることから、鏡映コピーもそこから切り出される点群データのコピーとして行われることとなる。そして、その点群データのコピー先の位置補正は、図34(b)のように平行移動、回転移動及びそれらの組み合わせのいずれかにより行うことができる。これは、コピー元点群の各座標に対する一種の一次変換であり、骨部外形線125の基本形状も保存されるので、違和感のない骨部外形形状が得られる。 【0086】補正は、例えば、図34に示すように、補填すべき欠損部の400周囲に存在する健常部の外面上に基準外形線125sを設定し、鏡映コピーされた点群125’と該基準外形線125sとの幾何学的な変位の合計が最小となるように行うことができる。この例では、図34(a)に示すように、鏡映コピーのコピー元点群列は、鏡映基準面に関して欠損部400と反対側に位置する骨部外形線125から、欠損部補填に必要な最小長さよりも所定長だけ余分に抜き出される形で使用される。具体的には、コピー元点群列は、欠損部400よりも大面積のコピー対象領域140により骨部外形線125から切り取られるものであり、図34(b)に示すように、そのコピー領域140’は欠損部400の周縁領域も包含する形でこれに重ね合わされる。そして、該鏡映コピーにより生成されるコピー点群列125’は、コピー元点群列の属する骨部外形線125の欠損部周囲に位置する部分を基準外形線125sとして、列端部125kがこれに対向する位置関係となるようにコピーされる。 【0087】そして、コピー点群列125’のコピー先の位置補正は、上記の列端部の点群と基準外形線との幾何学的な変位の合計が最小となるように行われる。例えば、図34(d)に示すように、個々の骨部外形線125に関して、列端部125kをなす各点と基準外形線125sとの所定方向(例えば骨部外形線125がX−Y平面と平行である場合は、X方向又はY方向)における距離d、あるいは該距離dの2乗(d2)を前記幾何学的な変位とみなし、同図(e)に示すように、それをコピー領域140’内の全ての骨部外形線125について合計した値Σを変位和として算出する(なお、(e)は、(c)のA−A断面を表しており、125spが各基準外形線、125’pがコピー点群列、d1〜d6は、各骨部外形線125における両者の間の幾何学的変位を示す)。そして、その変位和Σの値が最小化されるように、コピー領域140’に含まれる点群に平行移動、回転移動及びそれらの組み合わせのいずれかを施すことにより、前記補正が行われる。 【0088】上記の方式によれば、鏡映基準面に関して欠損部400と反対側に位置する骨部外形線125から、欠損部補填に必要な最小長さよりも所定長だけ余分に抜き出し、いわばその余分に抜き出した部分である列端部125’kを、骨部外形線125基づく基準外形線125sに適合するように、鏡映コピーの位置補正を行う。すなわち、補間曲線等が介在せず、断層画像から精密に決定される骨部外形線125の情報のみを用いて鏡映コピーの位置補正を行うので、補正後の鏡映コピー点群列の健常部への適合精度を一層高めることができる。 【0089】なお、基準外形線125sと重なりを生ずる、コピー点群列125’の列端部125’kの長さは、基準外形線125sとの適合精度を高める観点において、実寸法対応長さにて5mm以上、望ましくは10mm以上は確保されているのがよい。また、変位和Σの計算時間は長くなるが、コピー対象領域140は、鏡映基準面MSP(図33)に関して欠損部が関与しない側の頭部外面の全体に及んでいてもよい。また、骨部外形線125は、一般に額から側頭部にかけてのコーナー部において局所的に曲率半径が小さくなっており、コピー対象領域140は、このコーナー部を包含するように設定位置及び大きさを定めることができる。例えば、コーナー部から外れた位置では骨部外形線125は円弧に近い形状を呈し、コピー対象領域140内の点群を鏡映コピーしたときに、骨部外形線125の周方向への位置ずれが発生しても変位和Σにその影響が反映されにくい難点がある。しかしながら、コーナー部を包含していれば、周方向の位置ずれが生ずると変位和Σの急速な増大を生ずることから、該周方向の位置ずれを効果的に識別・防止することができる。 【0090】鏡映コピーの対象が、複数断層位置(スライス)の骨部外形線の点群データである場合に、図34に示すように、それら複数断層位置にまたがる点群(すなわち領域140内の点群)をグループ化し、それら点間の相対的な位置関係が保存されるように、補正をその一体の点群グループに対して行うことができる。このようにすれば、欠損対応部分401の形状を概ね保存した形でのコピーが可能となる。他方、そのようなグループ化を行わず、各骨部外形線毎に個別に位置補正を行うことも可能である。このようにした場合、演算は骨部外形線毎(スライス毎)に行わなければならないので、コンピュータ50に対する演算負担が幾分増大するが、健常部の形状との適合性が優先された、よりきめ細かい補正が可能となる。 【0091】次に、パターン2あるいはパターン3については、図31に一例を示す流れにより、処理を行うことができる。この場合、三次元形状データ作成プログラム203は、コンピュータ50を以下の各手段として機能させることとなる。 ■補間基準線生成手段:骨部外形線情報125に基づいて、骨部の健常部の表面形状を反映した補間基準線149,163を設定する。 ■曲線制御点設定手段;補間基準線149(149a,149b),163に沿って補間曲線生成用の曲線制御点152,168を設定する。 ■欠損部補間曲線生成手段:設定された曲線制御点152,168を用いて、予め定められた曲線決定アルゴリズムに従い、欠損部を曲線補間する欠損部補間曲線151,164を生成する。その欠損部補間曲線151,164に基づいて、欠損部を補填する人工骨外面の三次元形状データが生成される。 【0092】補間基準線は、欠損部に隣接する健常部において、欠損部の内周縁側に端点を生ずる第一基準線セグメント(図39:149a、図46:163a)と、その第一基準線セグメントの欠損部側への延長方向において、該欠損部を挟んで第一基準線セグメントと反対側に位置するとともに、欠損部の内周縁側に端点を生ずる第二基準線セグメント(図39:149b、図46:163b)とを含むものとして設定可能である。そして、図40(a)に示すように、欠損部補間曲線151は、それら第一及び第二基準線セグメント149a,149b上の各曲線制御点に基づき、両セグメント149a,149bをつなぐ形で決定することができる。このようにすれば、欠損部両側の健常部形状の情報から、より健常部への形状的な適合性の高い欠損部三次元形状データを生成することができる。 【0093】欠損部補間曲線は、いわゆる自由曲線ツールにより生成することができ、設定される複数の制御点を所定個数に区切り、各制御点の組を通る曲線を、比較的簡単な数式、例えば二次以上の多項式により記述されるセグメントとして取り扱うことができる。この場合、欠損部補間曲線を健常部の外形線(基準線セグメント)と滑らかに接続するためには欠損部補間曲線を、第一及び第二基準線セグメントの各端点において、各々の基準線セグメントに対し少なくとも一次の微分係数が略一致するように、曲線制御点の座標情報に基づき回帰的に決定することが望ましい。このような補間曲線としては、特に内装法により表示される曲線、すなわちスプライン曲線が直感的で取扱いも楽であり、本発明に好適に使用できる。 【0094】例えば、三次スプライン曲線では、図40(b)に示すように、各制御点をつなぐ曲線を三次式、すなわち、 f(r)=k0+k1・r+k2・r2+k3・r3 ‥‥(1)にて近似するものである(位置座標を表す変数を、ここでは(r,f(r))としている)例えば、曲線を当てはめるべき最初の4点p0〜p3を制御点として指定すれば、(1)式の4つの係数k0〜k3を決める連立方程式が得られ、これを解くことでp0〜p3を通る三次曲線セグメントsg1が決定される。そして、次は、p3〜p5の3点を選択し、同様に(1)式に当てはめる。これだけでは、方程式は3つしか得られないが、既に決定されている三次曲線セグメントsg1に対するp3での接線ベクトル方向(すなわち一次微分係数)一致の条件から、第四の式が導かれる。これを、先の3式と連立させることで係数k0〜k3を決定でき、三次曲線セグメントsg2が得られる。以下、3点ずつに区切りながら、同様にして三次曲線セグメントを逐次的に決定・接続することで、任意の個数の制御点を滑らかにつなぐ三次スプライン曲線が得られるのである。 【0095】ただし、上記の三次スプライン曲線はアルゴリズムが単純な反面、例えば曲線上の制御点を1つでも動かしたり、削除しただけでも曲線全体に影響が及び、演算量が肥大する欠点がある。この欠点を解消した方式として、以下のBスプライン曲線を使用することができる。Bスプライン曲線では、基底スプライン関数にて規定される曲線上の点を制御点とし、この制御点の指定・変更で曲線形状をより簡単に制御できる。この制御点は、節点とも呼ばれ、n次のBスプライン曲線は、その節点を概念的に(n+k+1)次元の接点ベクトルの要素として取り扱うことにより、数3により定義される。 【0096】 【数3】
【0097】ただし、Nk,r(r)は節点ベクトルr(=[r0,r1,‥,rm](r0≦r1≦‥≦rm))をもつn次のスプライン関数である。これは、制御点Vkに対する重み関数であり、下記数4のように定義される。 【0098】 【数4】
【0099】よって、n次のBスプライン曲線は、n−1次の曲線を接続して形成されるスプライン曲線となる(例えばn=4とすれば、三次スプライン曲線に近くなる)。なお、本明細書において、Bスプライン曲線は、節点間隔均等な狭義のBスプライン曲線のみでなく、節点間隔が不均等なナーブス曲線の概念も包含する。 【0100】以下、具体的な処理例として、図32(b)の頭頂位置を含まない欠損部400、例えば額部分に欠損部が生じた場合から説明する。この場合は、図31のS52からS53へ向かう処理の流れとなる。まず、図35は正面投影を示し、骨部外形線125の額を横切る何本かに、欠損による途切れにより端点126が生じていることがわかる。この端点126をつなぐと、欠損部の平面形状を推察することができる。また、図36は側面投影であり、額に対応する左側部分に上記の端点126が表れている。これらの端点126をつなぐと、欠損部の抉れ深さを推察することができる。 【0101】まず、図35において、補間基準線の欠損部開口側の端点126の全て又は3以上の一部のものを曲線制御点126aとして選択し、図37に示すように、その選択された曲線制御点126aに基づいて、補填用人工骨401の外面周縁形状を表す外面輪郭線150を、欠損部開口形状400に対応する形にて決定する(外面輪郭線決定手段の機能:図31、S52及びS53)。端点126は一見、全てを利用した方が欠損開口形状を正確にトレースできるので、有利なように思われるが、必ずしもそうではない。つまり、図38に示すように、欠損開口形状の波打ちや凹凸が大きい場合、端点126の全てを制御点として選択すると、決定される外面輪郭線150が部分的に健常部側に入り込んでしまうことがある。こうなると、補填用人工骨401を欠損部にはめ込むことができなくなってしまうので、適宜端点126を間引く(つまり、制御点として採用しない)ことによって、外面輪郭線150の健常部への入り込みを回避することが望ましい(図37では、126bの符号を付与した端点を間引いている)。なお、端点126の間引きにより、外面輪郭線150と欠損開口内縁との間に形成される隙間が大きくなる場合は、外面輪郭線150上に、例えば新規に制御点を1又は複数発生させ、その制御点の位置変更により、形成される隙間が縮小されるように外面輪郭線150の形状調整を行えばよい。 【0102】他方、欠損開口形状の波打ちや凹凸を、極度に忠実に写し取ると、図38(b)に示すように、得られる補填用人工骨401の外形にも対応する凹凸等が形成される。周知のように補填用人工骨401はセラミックスの焼成により作成されるので、このような凹凸を起点として割れやクラックC等が発生しやすくなる問題もある。このような場合、図38(a)に示すように、凹凸を作為的に馴らした形状とするために、凹凸に対応する位置の、一部の端点は採用しないようにするのである。 【0103】次に、図39に示すように、第一基準線セグメント149aと、第二基準線セグメント149bとは、欠損部の存在により中断される骨部外形線125の、該欠損部に面した両端部分が使用される。そして、図40を用いて説明した方法により、第一基準線セグメント149aと、第二基準線セグメント149bとの点群データの一部又は全てを使用して、補間曲線151を欠損部が関与する(すなわち、端点126を有する)各骨部外形線125毎に生成する(図31:S55〜S59)。図41及び図43は、こうして形成された補間曲線151を平面投影あるいは側面投影により表したものである。これは、図25等に示す欠損部の推定外形線129とは異なり、健常部の補間基準線形状に基づいて補間生成されているので、欠損部のより精密な三次元形状を反映している。 【0104】なお、欠損部補間曲線151上には、新たな曲線制御点を1又は複数発生させる機能を付与することもできる(曲線制御点生成手段)。例えば、図41の平面投影を見ることで、補間曲線151の健常部との適合性、例えば曲線の滑らかなつながり具合や、不自然な凹凸の有無を確認することができる。そして、もし、その形状に満足できなければ、図42に示すように、ポインタPによる手動設定、あるいは間隔・個数を指定することによる自動発生プログラムにより、補間曲線151上に新たな曲線制御点154を発生させることができる。この曲線制御点154のうち移動したいものを、ポインタPにより選択し、公知のマウスドラッグ移動等(あるいは座標手動入力)により位置変更すれば、欠損部補間曲線151の形状調整を自由に行うことができる(欠損部補間曲線形状調整手段の機能)。 【0105】図31に戻り、S68、S69では、決定された補間曲線151と外面輪郭線150との各情報に基づいて、三次元形状データを生成し、これを設計データとして保存する。本実施例では、三次元形状データを、いわゆるソリッドモデルにより記述するが、これを概念的に表したものが図50である。すなわち、立体を構成する線及び頂点(幾何学的な狭義の頂点以外に、2つの線の共有点も広義に頂点と称する)、線と頂点との関係、及び面と線との対応を含み、さらに、各面に対する実体側を規定したデータが付加される。ここでは、図40に示すように、それら曲線にて各々囲まれる部分に自由曲面の曲面データを、例えば、スイープ曲面やスプライン曲面により発生させる処理を行う(図31:S68)。また、補間曲線151と外面輪郭線150とは、各端点あるいは共有点位置が座標値により規定され(外面輪郭線150は、それら点により区切られたセグメント状の線とみなせばよい)、また各線には曲面データを対応づける。そして、各面に対し、図50の(a)のように実体のある側の一点を指定する方法、(b)のように法線ベクトルを規定する方法、あるいは(c)のように面を囲む稜線の回転方向を指定する方法のいずれかにより、実体側規定データが生成・付加されて、三次元形状データの作成が完了する。 【0106】なお、図32(b)に示すように、欠損部400の形状が、鏡映基準面MSPに関して非対象である場合は、部分的に鏡映コピーによる修復が可能な場合がある。この場合は、図31のS54からS60に進み、健常部の残っている側(これは片側のみである場合と、両側である場合とがある)を他方の側に鏡映コピーして、図34により既に説明した、コピー先位置の補正を行う(S60,S61)。なお、図32(a)のように、その鏡映コピーにより欠損部が完全に補填される場合の処理は既に説明したが、この場合はS68に進む。他方、同図32(b)のように完全に補填されない場合は、鏡映コピーによる補填部分を健常部組み込んだ形にて、補填不能の部分を、S55以下の前述の処理による補間曲線により補うのである。 【0107】次に、頭頂位置を含む欠損部となっているパターン3の場合は、S64以下の処理となる。ここでの処理の基本的な思想は以下の通りである。すなわち、図44〜図47に示すように、骨部外形線125の情報に基づいて健常部の三次元外面形状を規定する健常部三次元面データを作成する。そして、その健常部三次元面データに基づいて張られる健常部外面オブジェクト160上に、欠損部161を横切る所定方向にて骨部外形線と交差する補間基準線164を設定する。 【0108】補間基準線は、具体的には以下のように形成できる。まず、図44に示すように、健常部外面オブジェクト160の底部側に基準面SPを設定し、図45に示すように、その基準面SP上に、例えば放射線状に投影元基準線162を設定する。そして、図46に示すように、その投影元基準線162を健常部外面オブジェクト160上に投影して、補間基準線163を形成することができる。 【0109】例えば、図45に示すように、平面投影にて欠損部161(図44)を横切るように投影元基準線162を設定すれば、図46に示すように、これに対応する補間基準線163のセグメントが欠損部161挟んで両側に表れる。これらは、第一基準線セグメント163a及び第二基準線セグメント163bとして使用することができる。そして、図40と同様の原理により、図47に示すように補間曲線164を発生させることができる。補間曲線164はこの場合、傘の骨状に放射状に表れる。なお、これらが必ずしも一点で交差しないときは、前述の制御点発生処理により各補間曲線164上に制御点を発生させ、例えば手動補正により、これらを一点αに接続することができる。その後は、図48に示すように、補間曲線164上に例えば所定間隔で面規定用の制御点165を発生させ、例えば交差点αに向けて下側から順に面セグメント167を発生させてゆけばよい。 【0110】なお、図49に示すように、平行線状の投影元基準線SPを発生させてもよい。この場合は、その投影元基準線SP上に発生させた制御点168により、図39と全く同様にして補間曲線164を発生させることができる。 【0111】以上の方法により作成された三次元形状データを用いて、切削(加工)プログラム205により加工装置15を作動制御することにより、図56に示すように、人工骨素材であるセラミックス未焼成成型素材W(例えばセラミックス粉末をバインダーにより結合した粉末成型素材である)を直接切削加工して未焼成切削体401’を作り、さらにこれを焼成することにより欠損部補填用人工骨401を製造することができる。三次元形状データは前述の通り、最終的に得るべき人工骨401の外面401aの形状を規定するものである。ただし、焼成による収縮を考慮して、未焼成切削体401’は最終的な人工骨401よりは大寸法に形成しなければならない。この場合、この収縮率に応じて三次元形状データに適宜、拡大のためのデータ変換を施すことができる。 【0112】そして、切削プログラム205は、最終的に削り出すべき未焼成切削体401’の外面401a’の位置を切削限界位置として、セラミック被加工材料(ワーク)Wに対する工具Tの切削パスデータを作成し、その切削パスデータをデータインターフェース14を介して図4の加工装置15に送信する。加工装置15では、セラミック被加工材料Wと工具TLとの間に、切削パスデータが規定する相対的な動きが生ずるように、ワーク送り用のX−Yテーブルのモータ61,62、工具のZ方向送りを行うモータ63の作動制御を行う。 【0113】図53は、その切削プログラムによる処理の流れの一例を示すものである。S100で、まず、セラミック被加工材料Wの縦、横、高さ等の寸法入力を行い、S101で工具種別と切削媒の種別とを選択する。図2の記憶装置6には、図7に示す加工条件データベース、すなわち、工具種別と切削媒(例えば、切削油や切削液など)の種別とを選択することにより、これに適したZ方向の工具切込量と、X−Yテーブルによるワーク送り速度とが読み出され、加工装置15に対して自動設定されるようになっている。 【0114】図53に戻り、S102で設計データとして作成・保存されている三次元形状データを読み出し、まずS103〜S115で荒削り処理を行う。ここでは、工具切込方向(上下方向)をZ方向、縦ワーク送り方向をX方向、同じく横ワーク送り方向をY方向とする。まず、S104で工具を原点位置(X,Y,Z=0)とし、ワーク送り速度に応じて定まる送り単位ΔXにてワークをX方向に送り、切削を行う(S105〜S108)。そして、三次元形状データが規定する切削限界位置の内側に入る直前位置となるか、あるいは限界位置Xmaxに到達したらX=0に復帰し(S108→S109)、Y方向に送り単位ΔYだけ移動させ(S109〜S111→S105)、S105〜S108のX方向の切削を繰り返す。そして、この処理を繰り返して工具とワークとの相対位置がY方向限界位置Ymaxに到達したら、工具を工具切込量ΔZだけ上昇させてX,Y=0に復帰し(S114→S105)、S105〜S111の処理を繰り返す。 【0115】図54に示す切削シミュレーション(後述)の画面表示を援用して説明すれば、これによりワークWは略階段状に荒削り加工されてゆくここととなる。なお、ワークWを示す材料素材オブジェクトはグレー階調により立体表示され、工具を示す工具オブジェクトは白抜き棒状に表れている。ワーク上面の図面奥側が荒削り面、手前側が仕上加工済み面である。他方、中央部が凸である外面形状を切削する場合、階段状の荒削りでは、X送り方向において凸部の向こう側の切削はできないから、S115からS116に進んでX方向ワーク送りの前後を反転し、原点も適宜変更して、S104以下の処理をもう一度繰り返す。これにより、先の荒削りでは切削できなかった凸部反対側の荒削りが行われる。 【0116】荒削りが終了すれば、工具を適宜交換し、工具種別と切削媒の種別(ひいては対応する送り速度及び切り込み量:図7参照)とを仕上加工用のものに変更して、S118の仕上加工に移る。仕上加工では、三次元形状データが規定する最終的な面形状に工具を倣わせるように送ることで、荒削り面の小さな凹凸を撫でるように除去し、面仕上を行ってゆく(図54を再度参照のこと)。 【0117】さて、従来の切削方式であると、先にも説明した通り、次のような問題が発生していた。 ■欠損部の姿勢によっては、凹凸部位を切削する際に、図57(a)に示すように、被加工材料の本来切削すべきでない部位に工具が干渉して、切削精度低下あるいは切削不能といった問題が生じうる。 ■図52(b)に示すように、欠損部補填形状が縦や斜めを向いていた場合、能率及び材料歩留まりの低下が甚だしい。 【0118】まず、■の問題は、欠損部の三次元形状データに基づいて、セラミック被加工材料に対する加工体積を反映した加工体積パラメータを算出し、その加工体積パラメータの値が最適化されるように、欠損部の三次元形状データに所定の回転変換を施すことで解決することができる。この処理を司るのは図2の切削最適位置決定プログラム204である。処理の流れの一例を図51に示している。切削体積の最適化を図る上で主に効果があるのは、水平軸(X軸及びY軸)周りの回転移動である。まずS70,S71では、三次元形状データに所定の回転角度単位ΔθXにて回転変換を施しつつ、その回転後の三次元形状データの空間的な拡がりから、欠損部補填形状外面のX方向、Y方向及びZ方向の寸法LX、LY、LZを求める。例えばLXは、欠損部補填形状外面の面データから、面に属する座標点のうち、X座標値の最大値をXmax、同じく最小値をXminとして、LX=Xmax−Xminとして算出する。LY、LZも同様に、LY=Ymax−Ymin、LZ=Zmax−Zminとして算出する。そして、S72で、加工体積パラメータVを、V=LX×LY×LZとして算出する。図52に示すように、これは欠損部補填形状外面401aへの外接直方体の体積であり、これが大きければ大きいほど加工体積、すなわち加工代が大きくなることは明らかであろう。 【0119】そして、S73では、上記Vが最小となるX軸周りの角度位置を見い出してこれに固定し、その状態でS74以下ではY軸周りの回転について全く同じ処理を行う。これにより、三次元形状データの、加工体積が最小となる最適の回転角度位置が決定されることになる。そして、S80では、決定された回転位置への回転変換を施した状態にて、三次元形状データを再保存する。 【0120】一方、■の問題については、実際に加工を開始してから加工不能であることに気付く愚は何としても避けねばならない。そこで、本実施例では、欠損部の三次元形状データに基づいて、セラミック被加工材料に対する切削シミュレーションを実施可能としている。この切削(加工)シミュレーションは、図2のシミュレーションプログラム207により行われるが、基本的な処理の流れは図53と全く同様である。ここでは、実際のセラミック被加工材料Wの代わりに、ソリッドモデルによる材料素材オブジェクトの三次元形状データを使用し、工具の代わりに同じくソリッドモデルによる工具オブジェクトの三次元形状データを使用して、図7に示すデータに基づき設定された工具切込量とワーク送り速度に従い、コンピュータグラフィックスによる切削シミュレーションを行う。例えば、材料素材オブジェクトと、工具オブジェクトとの間に空間的な重なりが発生すれば、その重なり部分は切削されたと判断し、材料素材オブジェクトからその切削部分に相当するデータ部を消去又は無効化する処理を行う。これにより、図54あるいは図55に示すように、加工進行状況を表すシミュレーション画面を表示することができる。なお、図54(a)は、人工骨表側の仕上加工が途中まで進行した状態を、同図(b)は、その仕上加工が終了した状態を示している。また、図55(a)は、人工骨裏側の仕上加工が途中まで進行した状態を、同図(b)は、その仕上加工が終了した状態を示している。 【0121】なお、工具切込量とワーク送り速度は被加工材料の種別によっても異なる場合がある。例えば、該加工装置を用いてセラミックス未焼成成型素材以外に、例えば石膏モデルの切削を行うこともできるが、この場合、それらセラミックス未焼成成型素材あるいは石膏といった、被加工材料の種類毎に図7に示すデータを用意しておき、材料別に適宜データを選択して用いることもできる。 【0122】上記のような切削シミュレーションにより、実際に加工を行わなくとも、図57に示すような要因により切削不能となる可能性があるか否かを、簡単に知ることができる。例えば、シミュレーション時に設定された加工パスによる加工で、既に切削済みの部位において、三次元形状データが規定する加工限界位置を超えて工具が内側に入り込むか否かを監視し、工具が内側に入り込むようであれば切削不能と判定することができる。また、実際の切削では絶対不可能な早送り処理等も、シミュレーション処理では極めて簡単に行うことができ、切削の可否を迅速に知ることができる。また、図53のS119に示すように工具あるいはワークの送り速度と、切削開始から切削終了までの総パス長とを参照すれば、加工に要する時間も簡単に知ることができる。 【0123】そして、切削シミュレーションの結果において、正常な切削が不能と判定された場合は、正常な切削が可能となるように、欠損部の三次元形状データに、平行移動、回転移動及びそれらの組み合わせのいずれかからなる所定の移動変換を施ことができる。なお、先の切削最適位置決定処理を優先した場合、加工代最小となる三次元形状データの回転角度位置が、必ずしも切削可能とはならないこともありうる。そこで、正常切削確保と加工代最小化との2つの課題を解決するために、図58に示すような処理が可能である。まず、S120では、三次元形状データをある初期位置に設定して切削シミュレーションを行い、その後、三次元形状データに少しずつ回転移動(あるいは平行移動:ここでは、理解を容易にするために回転移動に限って説明を進める)を施しながら、切削シミュレーションを繰り返す。そして、その判定結果を見て、切削可能な角度位置と切削不能な角度位置とを、例えば設計データの一部としてそれぞれ登録・記憶してゆく(S121〜S123)。 【0124】そして、全ての有効角度範囲を調べ尽くせば、切削可能な角度範囲[θV]が記憶されているはずであるから、その角度範囲[θV]に限定した形で、図51の切削最適位置決定処理を行えば、正常切削可能であってしかも切削代も最小化できる三次元形状データの変換位置を求めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004547 【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月24日(1999.9.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095751 【弁理士】 【氏名又は名称】菅原 正倫
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| 【公開番号】 |
特開2001−87291(P2001−87291A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月3日(2001.4.3) |
| 【出願番号】 |
特願平11−271467 |
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