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【発明の名称】 顎支持具及び座具
【発明者】 【氏名】金子 岑生

【要約】 【課題】簡便な構成でありながら、肩こりや腰痛などの症状の軽減を図ることができる顎支持具を提供する。

【解決手段】パイプ枠20にカバー40を取り付け、座椅子10の背もたれ12に取り付ける。このパイプ枠20には、カバー42,44もしくは46が取り付けられたアーム32,34を取り付ける。アーム32,34を開いた状態で、使用者は座椅子10に座り、背もたれ12にもたれかかるようにする。そして、アーム32,34の高さが自分の顎を支える位置となるように予め調整するとともに、アーム32,34によって顎を支え、アーム先端をベルト60で固定する。これにより使用者の顎は、アーム32,34で支えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 人体の顎に沿った形状に形成されており、顎を支える一対のアーム;これらのアームを回動自在に支持するアーム支持手段;前記アームを顎に当てた状態で固定するアーム固定手段;を含むことを特徴とする顎支持具。
【請求項2】 前記アームは、弾力性のある部材で覆われていることを特徴とする請求項1記載の顎支持具。
【請求項3】 前記アーム支持手段は、前記アームを着脱自在に支持することを特徴とする請求項1又は2記載の顎支持具。
【請求項4】 前記アーム支持手段は、前記アームの高さ位置を調整する高さ調整手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の顎支持具。
【請求項5】 前記アーム固定手段は、マジックテープ(登録商標)を利用してアーム先端を固定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の顎支持具。
【請求項6】 前記アーム支持手段を、座具に着脱可能な枠に取り付けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の顎支持具。
【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の顎支持具を備えたことを特徴とする座具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体の顎を支持する顎支持具及び座具に関するものである。
【0002】
【背景技術】人体の頭部ないしは顎を支えるようにした背景技術としては、特開平9−591号公報に開示された椅子型健康矯正具がある。これは、腰と尻に対する上半身の体重負荷を軽減して背筋を伸ばし健康の増進を図ることを目的としたもので、人体の両腕を脇の下に当てがうようにして腕載せ板に載せるとともに、頭載せ枠によって頭部の重量を支える構成となっている。
【0003】また、特開昭54−78886号公報には、椅子などに着席した状態で頚椎や脊椎の椎間板ヘルニアの治療を行う上体引張り装置が開示されている。これは、上向きに牽引する牽引装置を座席上方から吊り下げて、着席者の上体上部と連結する手段を設けるとともに、着席者の上体下部を固定する手段を設けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上のような背景技術では、いずれも、器具が全体として大掛かりとなってしまい、その設置や移動が非常に困難である。
【0005】本発明は、以上の点に着目したもので、簡便な構成でありながら、肩こりや腰痛などの症状の軽減を図ることができる顎支持具及び座具を提供することを、その目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の顎支持具は、人体の顎に沿った形状に形成されており、顎を支える一対のアーム;これらのアームを回動自在に支持するアーム支持手段;前記アームを顎に当てた状態で固定するアーム固定手段;を含むことを特徴とする。
【0007】主要な形態の一つでは、前記アームは、弾力性のある部材で覆われている。他の形態では、前記アーム支持手段は、前記アームを着脱自在に支持することを特徴とする。あるいは、前記アーム支持手段は、前記アームの高さ位置を調整する高さ調整手段を備えたことを特徴とする。他の形態では、前記アーム固定手段は、マジックテープを利用してアーム先端を固定することを特徴とする。
【0008】更に他の形態は、前記アーム支持手段を、座具に着脱可能な枠に取り付けたことを特徴とする。本発明の座具は、前記いずれかの顎支持具を備えたことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0009】
【発明の実施の形態】<実施形態1>……まず、図1〜図6を参照しながら、本発明の実施形態1について説明する。図1には、本実施形態の使用状態が示されている。図2には本形態の器具の枠構造部分を取りつける様子が示されており、図2の矢印F3方向から見た枠構造部分が図3(A)に示されている。これらの図において、本形態の器具は、座椅子10の背もたれ12に沿ってパイプ材を曲折したパイプ枠20を中心に構成されている。
【0010】パイプ枠20は、図3(A)の側面から見たときに略コ字形状に平行に曲折された左右の曲折パイプ22,24によって構成されている。これら左右の曲折パイプ22,24は、座椅子10の表側で連続している。パイプ枠10は、図2に矢印F2で示すように、座椅子10の背もたれ12に上方から引っ掛けるようにして、背もたれ12に取り付けられる。
【0011】また、パイプ枠20の表側上方には、左右曲折パイプ22,24の間に取付板26が設けられている。そして、この取付板26中央には、受けパイプ28,30が、長手方向が上下方向となるように設けられている。これら受けパイプ28,30には、一対のアーム32,34が着脱自在及び回動(回転)自在に取り付けられている。これらアーム32,34は、それぞれ人体の顎の右,左の骨格に沿った形状となっており、後側は略V字状に折り曲げられて前記受けパイプ28,30にそれぞれ挿通されている。
【0012】更に、前記受けパイプ28,30には、適宜位置に昇降ストッパ36,38がそれぞれ設けられている。これら昇降ストッパ36,38は、アーム32,34を上下方向に昇降して高さ位置を調整するためのもので、例えば図4に示すような構造となっている。なお、昇降ストッパ36,38は同じ構造なので、以下36を代表して説明する。
【0013】図4(A)には、昇降ストッパ36部分が拡大して示されている。同図の縦断面を示すと、図4(B)に示すようになる。これらの図において、昇降ストッパ36は、受けパイプ28の外周を覆う形状となっており、受けパイプ28との間に一つもしくは複数のバネ36Aが設けられている。一方、バネ36Aと反対側の受けパイプ28側面には、窓28Aが設けられている。そして、前記昇降ストッパ36から前記窓28Aを介して受けパイプ28の内側に突出するように、爪36Bが設けられている。また、アーム32には、段差32Aが適当な間隔で複数設けられており、これが前記爪36Bと係合するようになっている。
【0014】通常は、バネ36Aの作用によって、図4(B)に示す状態となっている。アーム32の高さ位置を調整する際には、図4(B)に矢印F4Aで示す方向に昇降ストッパ36を押す。すると、図4(C)に示すようになり、バネ36Aが縮んで爪36Bが段差32Aから外れるようになる。これにより、アーム32は、矢印F4Bで示すように上下方向に移動可能となる。使用者は、アーム32を所望の高さ位置とした状態で、昇降ストッパ36を離す。すると、バネ36Aの作用で爪36Bが段差32Aのうちの該当するものに係合し、アーム32が固定される。このようにして、アーム32の高さ位置が調整される。アーム34についても同様である。なお、同様にして、昇降ストッパ36を押すことで、アーム32,34の着脱を行うこともできる。
【0015】パイプ枠20のうち、特に人体の背中が触れる部分は、座椅子やソファなどと同様に、弾力性(クッション性)のあるカバー40によって覆われている(図1参照)。また、アーム32,34も、図5(A)又は(B)に示すように弾力性のあるカバーによって覆われている。図5(A)に示す例は、アーム32,34をまず第1の部材42で覆い、更にこの第1の部材を第2の部材44で覆うようにしたものである。例えば、アーム32,34として金属パイプを使用した場合、まずその防錆を目的として部材42を使用し、次に人体との接触を考慮した弾力性のある部材44を使用するという具合である。図5(B)に示す例は、アーム32,34を部材46で覆った例である。これらの例に示すように、覆う部材の積層態様は、必要に応じて適宜変更してよい。
【0016】次に、アーム32,34の先端は、例えば図6に示すような構造で止められるようになっている。図6(A)に示す例は、アーム32,34の先端を開口とし、これらの各開口に連結キャップ50を挿入するようにして、アーム32,34の先端を固定するようにしたものである。連結キャップ50は、アーム32,34に挿入される円筒52,54を結合部56で結合した構成となっており、着脱を容易にするためにつまみ58が設けられている。
【0017】図6(B)の例は、アーム32,34の先端をベルト60で止めるようにしたもので、ベルト60の適宜位置にはマジックテープのオス62とメス64がそれぞれ設けられている。ベルト60を矢印F6B方向に回して締めるとともに、マジックテープ62,64を結合することで、アーム32,34の先端が固定される。図6(C)の例は、ベルト60の一端に袋66を形成し、この袋66にアーム32を挿通した構成としたものである。ベルト60の他端を矢印F6C方向に引張るとともに、マジックテープ62,64を結合することで、アーム32,34の先端が固定される。これらのマジックテープ62,64を使用する例では、その結合位置を変更することができるという利点がある。すなわち、アーム32,34の開き具合を調整することができる。
【0018】次に、本形態の全体の作用を説明する。パイプ枠20には、上述したカバー40を取り付け、更に図2に矢印F2で示すように、座椅子10の背もたれ12に取り付ける。また、パイプ枠20には、カバー42,44(もしくは46)が取り付けられたアーム32,34を取り付ける。すなわち、昇降ストッパ36,38を押した状態で、アーム32,34の曲折部を受けパイプ28,30に挿入する。
【0019】次に、アーム32,34を開いた状態で、使用者は座椅子10に座り、背もたれ12にもたれかかるようにする。また、アーム32,34の高さが自分の顎を支える位置となるように、昇降ストッパ36,38によって予め調整する。そして、アーム32,34によって顎を支え、アーム先端を図6に示した方法で固定する。これにより、使用者は、図1に示すように、アーム32,34で顎を支える状態となる。なお、アーム32,34はパイプ枠20によって支えられており、パイプ枠20は使用者の重みで支えられている。すなわち、使用者は、座椅子10に座った状態で自重で自分の顎を支えるようになる。従って、ムチウチ症,肩こり,首筋こり,腰痛などの症状がある人でも、テレビや新聞を見るなどの日常生活を楽しむことができるようになる。また、それら症状の軽減効果も期待できる。
【0020】<実施形態2>……次に、図3(B)及び(C)を参照して実施形態2を説明する。上述した実施形態1では、アーム32,34のそれぞれに昇降ストッパ36,38を設けたが、本形態は、図3(B)及び(C)に示すようにアーム32,34に共通に一つの昇降ストッパを設けるようにしたものである。上述した受けパイプ28,30は、本形態では、図3(B)に示すように、昇降パイプ70の左右両側に固定されている。一方、パイプ枠20には、図3(C)に示すように、昇降受けパイプ72が設けられており、これに前記昇降パイプ70が挿通されている。昇降ストッパ74は、この受けパイプ72に設けられている。
【0021】本形態では、昇降ストッパ74によって昇降パイプ70の高さ位置が調整される。アーム32,34は、昇降パイプ70に同じ高さ位置で取り付けられているので、両者の高さ位置は、昇降ストッパ74によって同時に調整される。
【0022】上述した実施形態1によれば、アーム32,34のそれぞれに昇降ストッパ36,38が設けられている。従って、アーム32,34の高さを別個に調整可能である。しかし、アーム32,34を同じ高さ位置に調整する場合には、本形態のように昇降ストッパ74をアーム32,34に共通に設ける方が便利である。なお、本形態の変形例として、図3(B)の受けパイプ28,30にも昇降ストッパを設けるようにすれば、アーム32,34を、全体及び個々で高さ調整可能となる。
【0023】<実施形態3>……次に、図5(C)及び(D)を参照して実施形態3を説明する。上述した実施形態1では、アーム32,34を1本のパイプで構成した。これに対し、図5(C)に示す例は、2本のパイプ80A,80Bによって一つのアームが構成されている。図5(D)に示す例は、楕円状のパイプ82によって一つのアームが構成されている。このように、アーム32,34は、回動自在であれば、顎を支える部分はどのような形状,構造であってもよい。
【0024】<実施形態4>……次に、図7を参照して実施形態4を説明する。上述した実施形態1は、座椅子の背もたれに器具を掛けるようにしたが、本形態は、座椅子やソファなどに埋め込むようにしたものである。同図において、アーム32,34は、受けパイプ28,30に回動自在に支持されており、受けパイプ28,30は、昇降パイプ71に固定されている。これらの構造は、上述した図3(B)に示したものと基本的に同様である。
【0025】一方、ソファ100の背もたれ102の内部骨格を構成する背枠104には、昇降受けパイプ106が設けられている。この昇降受けパイプ106は、支持材108によって背枠104に固定支持されている。上述した昇降パイプ71は、この昇降受けパイプ106に挿入されている。昇降受けパイプ106の適宜位置には、昇降ストッパ109が設けられている。なお、昇降ストッパ109は、ソファ100の背もたれ102の背面に露出している(図示せず)。
【0026】本例によれば、例えばアーム32,34を使用しないときは、受けパイプ28,30からアーム32,34を取り外し、受けパイプ部分をカバー110で隠すことで、通常のソファとして使用可能である。そして、アーム32,34を使用するときは、カバー110をはずすとともに、受けパイプ28,30にアーム32,34を装着する。そして、背もたれ102の背面の昇降ストッパ109を操作して、アーム32,34の高さ位置を調整する。そして、使用者は、ソファ100に座るとともに、アーム32,34を自分の顎に当てがい、アーム先端を図6に示した方法で固定する。
【0027】<実施形態5>……次に、図8を参照して実施形態5を説明する。図8(B)は、図8(A)を矢印F8方向から見た図である。この例は、自動車のシートに本発明を適用したものである。自動車シートは、同図に示すように、シートクッション120,シートバック122及びヘッドレスト124を含んでいる。もちろん、前記形態のように、シートバック122に本発明の器具を取り付けるようにしてもよいが、本例では、ヘッドレスト124にアーム32,34を回動及び昇降自在に取り付けている。
【0028】このように、自動車のシートに取り付けることで、腰痛やムチウチ症などの症状のある人でも、長時間乗車して移動することが可能となる。もちろん、車両や航空機など、各種のシートに適用可能である。
【0029】<実施形態6>……次に、図9を参照して実施形態6を説明する。この例は、昇降ストッパの他の例である。まず、図9(A)の例は、アーム32,34もしくは昇降パイプ70が挿通されるパイプ130にネジ部132を設け、これに昇降ネジ134を螺合することで昇降ストッパとしたものである。昇降ネジ134を締めると、その先端がアーム32,34もしくは昇降パイプ70を押圧して固定する。昇降ネジ134を緩めることで、アーム32,34もしくは昇降パイプ70が昇降可能,着脱可能となる。図9(B)の例は、アーム32,34もしくは昇降パイプ70に適宜の間隔で複数の段部136を形成したものである。この段部136に昇降ネジ134の先端が当接することで、その固定が行われる。
【0030】本発明には数多くの実施形態があり、以上の開示に基づいて多様に改変することが可能である。例えば、次のようなものも含まれる。
(1)アームの高さ位置調整手段としては、例えば図9の昇降ネジ134の代りにピンを指し込むようにするなど、各種のものが知られており、いずれも用いてもよい。また、クッションを利用して人体の顎の高さをアームに合わせるようにしてもよい。
(2)前記形態では、マジックテープを利用してアーム先端を固定するようにしたが、他にボタンやフックなど各種のものが知られており、いずれを用いてもよい。
(3)アームは、上述したように人体の顎に沿った形状とするが、このアーム形状として異なる複数の形状のものを用意し、それらのうち適当なものを使用者が選ぶようにしてもよい。
(4)本発明は、椅子,座椅子,ソファ,シートなどの各種の座具に適用可能である。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、顎をアームで支えるようにしたので、簡便な構成でありながら、次のような効果が得られる。
(1)ムチウチ症,肩こり,首筋こり,腰痛などの症状がある人でも、それらを軽減してテレビや新聞を見るなどの日常生活を楽しむことができる。また、それら症状の治療にも役立てることが可能となる。
(2)車両などに器具を取り付けることで、腰痛などの症状がある人でも長時間移動することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】599130106
【氏名又は名称】金子 岑生
【識別番号】599130117
【氏名又は名称】岩上 建夫
【識別番号】599130128
【氏名又は名称】小野 善市
【識別番号】599130139
【氏名又は名称】田中 常雄
【出願日】 平成11年9月14日(1999.9.14)
【代理人】 【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
【公開番号】 特開2001−79025(P2001−79025A)
【公開日】 平成13年3月27日(2001.3.27)
【出願番号】 特願平11−259819