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【発明の名称】 吸収性物品
【発明者】 【氏名】仁木 佳文

【氏名】納城 隆一

【氏名】仲野 はるみ

【氏名】松金 正元

【氏名】長幡 由起

【氏名】若狭 正信

【要約】 【課題】消臭効果に優れ、排泄物の臭いを外部に漏らさない吸収性物品を提供すること。

【解決手段】液透過性の表面シート21、液不透過性の防漏シート22及び液保持性の吸収体10を備え、多孔性消臭剤を含有し、前記多孔性消臭剤は、孔直径20〜200Åの細孔の容積が多孔性消臭剤1g中に0.2ml/g以上、好ましくは0.6ml/g以上となるように、該細孔を有している吸収性物品1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート及び液保持性の吸収体を備え、多孔性消臭剤を含有する吸収性物品であって、前記多孔性消臭剤は、孔直径20〜200Åの細孔の容積が多孔性消臭剤1g中に0.2ml/g以上となるように、該細孔を有していることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】 前記多孔性消臭剤が、塩化亜鉛賦活活性炭である請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】 孔直径20〜200Åの前記細孔の容積の総量が、吸収性物品の飽和吸収量に対し0.3ml/100g以上である請求項1又は2記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排泄物の臭いが少ない、消臭効果に優れた、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来より、使い捨ておむつ等の吸収性物品においては、ゼオライトや活性炭等の消臭剤を用いて、排泄物の臭いをおむつの外に出さないようにした消臭効果を有するものが提案されている。しかし、従来提案されている消臭効果を有する吸収性物品では、未だ十分な消臭効果が得られておらず、より消臭効果に優れた吸収性物品の開発が要望されている。
【0003】従って、本発明の目的は、消臭効果に優れ、排泄物の臭いを外部に漏らさない吸収性物品を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の課題を解消すべく検討した結果、特定の開口面積を有する細孔を特定の割合で有する消臭剤を用いることにより、前記目的を達成しうることを知見した。
【0005】本発明は、前記知見に基づいてなされたもので、液透過性の表面シート、液不透過性の防漏シート及び液保持性の吸収体を備え、多孔性消臭剤を含有する吸収性物品であって、前記多孔性消臭剤は、孔直径20〜200Åの細孔の容積が多孔性消臭剤1g中に0.2ml/g以上となるように、該細孔を有していることを特徴とする吸収性物品を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の吸収性物品をその好ましい一実施形態に基づいて説明する。本実施形態の吸収性物品としての使い捨ておむつは、図1及び2に示すように、液透過性の表面シート21、液不透過性の防漏シート22及び液保持性の吸収体10を備え、多孔性消臭剤を含有する。本実施形態の使い捨ておむつ20は、下着、おむつカバー等の着用具と共に着用されるもので、吸収体10が、液透過性の表面シート21と液不透過性の防漏シート22との間に幅方向中央において介在され、吸収体10の幅方向外方に延出された可撓性のサイドフラップ23が設けられると共に、サイドフラップ23の股下領域に長手方向に沿って伸縮弾性部材24を設けている。そして、吸収性物品20の後方の長手方向両側縁がそれぞれ表面シート21側に折り返されて吸収体10が内在する第1折り返し部25が形成されると共に、第1折り返し部25におけるサイドフラップ23が防漏シート22側に折り返されて第2折り返し部26が形成され、更に、第1折り返し部25は表面シート21に接合固定され、第2折り返し部26は第1折り返し部25に接合固定されている。尚、吸収体10は、その長手方向の中央部分が使い捨ておむつ20の股下領域に当たるように配置されており、該中央部分が実質的に体液等を吸収するように機能する。また、図示しないが、防漏シート22の幅方向中央には、使い捨ておむつ20を着用具に固定するための縦長長方形形状の粘着領域が設けられており、使用前は剥離シートで保護されている。
【0007】本実施形態の吸収体10は、図2に示すように、積層シート1の一側部1aと他側部1aとを重ね合わせるようにして縦長長方形形状の吸収材11を包んでなる。一側部1aと他側部1aとは吸収材11の幅方向中央において重ね合わされ、公知の方法により接着又は融着される。吸収体10は、その前端部及び後端部以外は、パルプシート3で覆われている。
【0008】本実施形態の吸収体10における一側部1a及び他側部1aは、何れも消臭剤含有シート2が介在していないので重ね合わせる際、どちらを上側に配置しても重ね合わせ部分の上側に消臭剤含有シート2が介在していない構成となるが、本発明の積層シートの構成が、一側部のみが全体に亘って消臭剤含有シート2を介在しておらず、他側部は消臭剤含有シート2が介在している構成である場合には、一側部を、他側部の上側に配置して重ね合わせる。
【0009】前記積層シート1は、図2及び図3に示すように、2枚の同サイズの長方形形状のパルプシート3、3の間に、該パルプシート3よりも幅方向の長さが短い長方形形状の消臭剤含有シート2を介在させてなる。そして、積層シート1の側部1a、1aは、それぞれ側部1a全体に亘って消臭剤含有シート2が介在していない。側部1a、1aは、図2及び3に示すように、それぞれ側部1a全体に亘って消臭剤含有シート2を介在させずに、2枚のパルプシート3、3を積層してなる2層構造部分である。側部1a、1aにおけるパルプシート3、3同士がそれぞれ接着されることにより、積層シート1の両側部が封止されて、側端部からの消臭剤の脱落が防止される。
【0010】側部1aの幅方向の長さLは、好ましくは0.1〜20cm、更に好ましくは1〜6cmである。0.1cm以上とすることにより、消臭剤の脱落防止が図れ、20cm以下とすることにより、消臭剤含有シート2の消臭機能が十分に発揮される。
【0011】本実施形態の積層シート1における消臭剤含有シート2は、消臭機能を有する消臭剤混抄紙であり、2枚のパルプシート3、3に幅方向中央で挟持されている。消臭剤含有シート2とパルプシート3とは、抄き合わせ又は接着剤等を用いた貼り合わせにより、前述のように積層される。
【0012】消臭剤含有シート2の長手方向の長さはパルプシート3の長手方向の長さと同じであるが、幅方向の長さは、消臭剤含有シート2が前記所定位置に配置されたときに、側部1a、1aが、それぞれ側部1a全体に亘って消臭剤含有シート2が介在しないように、パルプシート3の幅方向の長さよりも短くなっている。消臭剤含有シート2の厚みは、用途に応じて適宜調整されればよいが、好ましくは0.1〜2.0mm、更に好ましくは0.2〜0.5mmである。
【0013】パルプシート3は、消臭剤を含有しないパルプシートであり、2枚のパルプシート3、3で消臭剤含有シート2を挟持させることにより、積層シート1の強度が向上されると共に、消臭剤の脱落が防止される。パルプシート3の厚みは、用途に応じて適宜調整されればよいが、好ましくは0.1〜2.0mm、更に好ましくは0.2〜0.5mmである。
【0014】消臭剤含有シート2は、多孔性消臭剤と繊維原料を主体としてなる。消臭剤含有シート2の繊維原料としては、NBKP、LBKP等の木材パルプの他、藁、綿等の非木材パルプ等の公知の天然繊維が使用できる。また、シート強度を向上させる目的で、ポリエチレン繊維等の合成繊維を適宜混合してもよい。消臭剤含有シート2における繊維原料の含有率は、好ましくは50〜99wt%、更に好ましくは70〜97wt%である。50wt%以上とすることにより、シート強度やフレキシブル性が十分なものとなり、99wt%以下とすることにより消臭効果が十分に奏される。
【0015】パルプシート3としては、紙、不織布等が用いられる。紙とした場合、繊維原料としては、消臭剤含有シート2と同様のものが使用できる。また、不織布とした場合、例えば、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等の公知の不織布が何れも使用できる。
【0016】吸収材11の構成材料としては、従来吸収性物品に使用されるパルプ、不織布やポリアクリル酸塩系、デンプングラフト重合体系等の公知の繊維状又は粉末状の高分子吸収体が使用できる。
【0017】而して、前記多孔性消臭剤は、孔直径20〜200Åの細孔の容積が多孔性消臭剤1g中に0.2ml/g以上、好ましくは0.6ml/g以上となるように、該細孔を有している。孔直径が、20Å未満であると、粒子径が大きい場合など、吸着速度が遅くなり、消臭機能が発揮できないことがある。細孔の容積が0.2ml/g未満であると、消臭剤の必要量が多くなり、製品のコストがかさんだり、十分な消臭能力が発揮されない場合がある。ここで、前記孔径及び前記容積は、下記のように測定される。細孔容積測定法;十分に加熱乾燥した試料を減圧した後、窒素ガスで加圧し、窒素ガス吸着量と平衡圧とから細孔径と容積を求めるガス吸着法(BET法)で、各細孔径の容積分布を測定する。測定には、カンタクロム社製,装置名「オートソーブ3」を用い、装置の前処理として10-2torr以下の真空度で、100℃、2hr処理した後、測定を行った。
【0018】更に詳述すると、多孔性消臭剤は、その少なくとも一部が疎水性であるのが好ましい。少なくとも一部が疎水性であるとは、少なくとも表面が疎水性であることを好ましくは意味し、これにより、多孔性消臭剤が濡れにくくなり、排泄物で濡れることにより消臭性能が低下することが少なくなる。また、多孔性消臭剤の平均粒子径は、1〜500μmとするのが、吸収性物品へ導入する際の固定性、分散性及び風合いの点から好ましい。また、多孔性消臭剤の比表面積は、200〜2000m2 /gとするのが、安定した消臭能力を得るという点から好ましい。また、細孔の平均孔直径は、20〜100Åとするのが、安定した消臭能力を得るという点から好ましい。細孔の分布は、下記の通りであるのが好ましい。孔直径20Å未満の細孔が細孔全体の合計容積中2〜20vol %、孔直径20〜200Åの細孔が細孔全体の合計容積中30〜70vol %、孔直径200Å超の細孔が細孔全体の合計容積中20〜60vol %。なお、これらの孔径の異なる細孔は連続していても良い。即ち、細孔の分布とは、各細孔における上述の各孔径となる部分の容積の割合である。
【0019】このような多孔性消臭剤としては、薬品賦活活性炭、多孔性ポリマー、シリカゲル、ゼオライト、モンモリロライト類等が挙げられるが、中でも、薬品賦活活性炭、フェニル基を有する多孔性ポリマーが好ましい。具体的には、薬品賦活活性炭としては、塩化亜鉛賦活活性炭、リン酸賦活活性炭等が挙げられ、多孔性ポリマーとしては、2,6−ジフェニルーp−フェニレンオキサイドベースポリマー、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体等が挙げられる。
【0020】多孔性消臭剤の含有量は、吸収性物品の飽和吸収量(g)に対し20〜200Åの細孔の容積が0.3ml/100g以上であるのが好ましく、0.6ml/100g以上であるのが更に好ましい。0.3ml/100g以上とすることにより、十分な消臭効果を発揮することができる。なお、前記飽和吸収量は、下記のようにして測定される。
飽和吸収量;吸収性物品を生理食塩水に30分間浸漬する。30分経過後吸収性物品を引き上げ、30分間水切りを行い、水切り後の重量(g)から浸漬前の重量(g)を差し引き、これを飽和吸収量とする。
【0021】使い捨ておむつ20は、常法通り、幼児用、成人用又は失禁者用の使い捨ておむつとして使用される。そして、本実施形態のおむつは、上述の多孔性消臭剤を用いているので、従来のものより消臭効果が高い。これは、次のような作用によるものと考えられる。即ち、人体から排出される体液は一般に臭いを放つが、臭い物質のうちのステロイド類に代表される化合物は比較的分子量が大きく嵩高であり、かつ排泄物中で他の化合物と相互作用しているために、従来の活性炭等の消臭剤における主たる細孔である開口面積20Å未満の細孔では吸着できなかったが、本発明において用いられる多孔性消臭剤の細孔のように、20〜200Åのメソポア領域の細孔においてはこのような嵩高な臭い物質を、迅速に吸着できるものと考えられる。また、本実施形態のような吸収性物品の構造を採用することにより、股下領域で体液等の排泄物を吸収、保持すると共に、活性炭の消臭効果により、排泄物のにおいが除去される。なお、排泄された体液等は吸収体10の長手方向の中央部分に吸収されるが、吸収体10は、前述したように、その前端部及び後端部以外はパルプシート3で覆われているから、吸収された体液等と共に活性炭が吸収体10の外部に流出することがなく、身体や着用具を汚さない。
【0022】本実施形態の積層シートの製造方法は特に制限されないが、以下、本実施形態の積層シートの好ましい製造方法について説明する。
〈本実施形態の積層シートの製造方法〉消臭剤含有シート2は、多孔性消臭剤及び繊維原料を含有したスラリーから、常法通り、通常の湿式抄紙法によりシート状に成形して得られる。このスラリーには、通常の抄紙において使用される各種添加剤の他、多孔性消臭剤をシートに固着させるための各種バインダーが添加される。尚、他の消臭剤含有シート2の製造方法として、添加剤を含む繊維原料からシートを成形し、このシートをバインダーを混合した多孔性消臭剤の分散液に含浸する方法も採用できる。また、パルプシート3は、繊維原料を主体としたスラリーから、消臭剤含有シート2と同様の手段でシート状に成形して得られる。
【0023】前記のようにして得られた消臭剤含有シート2とパルプシート3とは、常法通り、抄紙機上で抄き合わされるか、又は貼り合わせ機を用いて接着剤等により貼り合わされることにより、2枚のパルプシート3、3の間に消臭剤含有シート2を介在させた積層シートとされる。その後、スリット工程において所望のシート巾に調整されて、本実施形態の積層シート1とされるが、その際、両側部1a、1aが消臭剤含有シート2が介在していないから、多孔性消臭剤が脱落せず、製品及び製造ラインが汚れることがない。
【0024】尚、本実施形態の吸収性物品20における吸収体10の前端部及び後端部はそれぞれパルプシート3で覆われていないが、吸収した体液等はその長手方向の中央部分に留まり、前端部及び後端部まで侵入することはないので、多孔性消臭剤がここから体液等と共に外部に流出することはない。
【0025】本発明の吸収性物品は、前記実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、積層シートは、少なくとも一側部が全体に亘って消臭剤含有シートが介在していなければ良く、該一側部を含めた周縁部が全体に亘って消臭剤含有シートが介在していなくても良い。また、製造時に切断される全ての部分が各部分全体に亘って消臭剤含有シートが介在していなくても良い。また、本発明の吸収体は、形状、大きさは、用途に応じて適宜変更できる。また、本発明の吸収性物品は、前記実施形態の使い捨ておむつに何等制限されるものではなく、展開型又はパンツ型の使い捨ておむつ、失禁パッド、生理用、おりもの処理用等の吸収性物品であっても良い。また、多孔性消臭剤は、本実施形態のように、吸収体に含有させるのが好ましいが、含有させる形態は特に制限されず、例えば、パルプ繊維に混合した形態、パルプ繊維からなるシートを製造し、得られたシートを2枚用意して、これらの2枚のシートにより狭持してなる形態等とすることができる。
【0026】〔試験例1〕下記〔表1〕に示す多孔性消臭剤を用いて、下記のような試験を行い、各多孔性消臭剤の評価を行った。その結果を下記〔表2〕に示す。
【0027】<評価方法>〔表1〕に示す各多孔性消臭剤を0.1gと吸水性ポリマー(商品名「アクアリックCA」、日本触媒株式会社製)1.0gと人尿10gとを、50mmφの秤量ビン中に入れて混合し、その臭いについて下記評価基準に従って5人のモニターに評価してもらい、その平均により評価した。なお、人尿は、同じ条件となるように全て同じものを用いた。
評価点〔臭気強度〕
5 ;非常に強くにおう4 ;強くにおう3 ;におう(もとの尿臭と変わらない)
2 ;弱くなった1 ;非常に弱くなった(尿臭とわかりにくい)
0 ;無臭【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】表2に示す結果から明らかなように、本発明で用いられる多孔性消臭剤である実施例1、2及び3の消臭剤は、優れた消臭効果を示すのに対し、本発明の条件を満たしていない比較例1、2、3、4及び5の消臭剤は、尿臭と判らない程度まで消臭することはできなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明の吸収性物品は、消臭効果に優れ、排泄物の臭いを外部に漏らさないものである。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成11年9月1日(1999.9.1)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外1名)
【公開番号】 特開2001−70339(P2001−70339A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−247425