| 【発明の名称】 |
レーザ手術装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】冨田 誠喜
【氏名】松浦 慎一
|
| 【要約】 |
【課題】患者眼の観察にディスプレイを使用しても、レーザ光の焦点位置合わせ用の照準が正確で、また容易に行えるレーザ手術装置を提供する。
【解決手段】治療用レーザ光を患部に導光照射して治療を行うレーザ手術装置において、レーザ光の焦点位置の照準を行うためのエイミング光を患部に照射するエイミング光照射手段と、エイミング光が照射された患部を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された患者眼像を映すためのディスプレイと、撮像手段により撮像されたエイミング光を画像処理し、その結果に基づいて照準状態を判断する判断手段と、判断結果を術者に知らせる告知手段とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 治療用レーザ光を患部に導光照射して治療を行うレーザ手術装置において、前記レーザ光の焦点位置の照準を行うためのエイミング光を患部に照射するエイミング光照射手段と、該エイミング光が照射された患部を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された患者眼像を映すためのディスプレイと、前記撮像手段により撮像されたエイミング光を画像処理し、該画像処理結果に基づいて照準状態を判断する判断手段と、該判断結果を術者に知らせる告知手段と、を備えることを特徴とするレーザ手術装置。 【請求項2】 請求項1の告知手段は、前記ディスプレイ上に前記判断結果を表示する手段であることを特徴とするレーザ手術装置。 【請求項3】 請求項1のレーザ手術装置において、前記判断手段は前記画像処理結果に基づいて適性照準になったか否かの判断及び適性照準に対するフォーカス方向のずれ状態を判断する手段であり、前記告知手段は適正照準となるように誘導する情報を前記ディスプレイ上に表示する誘導表示手段を持つことを特徴とするレーザ手術装置。 【請求項4】 請求項1のレーザ手術装置において、前記ディスプレイの配置位置を変更可能にしたことを特徴とするレーザ手術装置。 【請求項5】 請求項1のレーザ手術装置は、レーザ照射条件を設定するための設定手段を備え、該設定手段により設定されるレーザ照射条件は前記ディスプレイ上に表示されることを特徴とするレーザ手術装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、患者眼に治療用レーザ光を照射するレーザ手術装置に関し、さらに詳しくはパルスレーザ光を使用するレーザ手術装置に関する。 【0002】 【従来技術】後発白内障の治療のため、パルスレーザにて後嚢等を破砕させるレーザ手術装置においては、レーザ光の焦点位置にてプラズマを形成し、衝撃波を発生させ患部を気化、破砕させるため、治療部位に対するレーザ光の焦点合わせの照準を正確に行う必要がある。このようなレーザ光の照準としては、レーザ光の焦点位置に対応して1点に重なるように照射される2つのエイミング光を使用し、その合致度を目視にて確認するように構成されたものが知られている。 【0003】ところで、このようなレーザ手術装置を使用する時は、術者は片方の手にコンタクトレンズを持ち、このコンタクトレンズを患者眼に当てた後、レーザ手術装置側に設けられている接眼部にて患者眼やエイミング光を観察しながらレーザ治療を行っている。このため、例えば小柄な術者がこのような治療を行う場合、無理な姿勢を維持しながら治療を行わなければならない。 【0004】このような問題の対応としては、患者眼の観察を接眼部でおこなうのではなく、CCDカメラ等にて撮像した患者眼の映像をディスプレイに表示させ、このディスプレイを無理な体勢とならない位置(例えば、装置の側面側等)に置くことが考えられる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パルス波にて治療を行う装置の観察部(接眼部)をディスプレイに変更して治療を行うには次のような問題がある。 【0006】従来、エイミング光の重なり程度の確認は当然、術者本人が接眼部を通して肉眼で行っているが、エイミング光の重なり程度の判断は肉眼で行ってもなかなか難しい。したがってディスプレイを通して映し出されるエイミング光の映像でこのような判断をおこなうことはさらに難しくなるという問題がある。 【0007】本発明は、上記のような技術の欠点に鑑み、患者眼の観察にディスプレイを使用しても、レーザ光の焦点位置合わせ用の照準が正確で、また容易に行えるレーザ手術装置を提供することを技術課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。 【0009】(1) 治療用レーザ光を患部に導光照射して治療を行うレーザ手術装置において、前記レーザ光の焦点位置の照準を行うためのエイミング光を患部に照射するエイミング光照射手段と、該エイミング光が照射された患部を撮像する撮像手段と、該撮像手段により撮像された患者眼像を映すためのディスプレイと、前記撮像手段により撮像されたエイミング光を画像処理し、該画像処理結果に基づいて照準状態を判断する判断手段と、該判断結果を術者に知らせる告知手段と、を備えることを特徴とする。 【0010】(2) (1)の告知手段は、前記ディスプレイ上に前記判断結果を表示する手段であることを特徴とする。 【0011】(3) (1)のレーザ手術装置において、前記判断手段は前記画像処理結果に基づいて適性照準になったか否かの判断及び適性照準に対するフォーカス方向のずれ状態を判断する手段であり、前記告知手段は適正照準となるように誘導する情報を前記ディスプレイ上に表示する誘導表示手段を持つことを特徴とする。 【0012】(4) (1)のレーザ手術装置において、前記ディスプレイの配置位置を変更可能にしたことを特徴とする。 【0013】(5) (1)のレーザ手術装置は、レーザ照射条件を設定するための設定手段を備え、該設定手段により設定されるレーザ照射条件は前記ディスプレイ上に表示されることを特徴とする。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態の装置の外観を示した図である。 【0015】1はパルス波のレーザ光を出射するレーザ手術装置本体であり、装置内には治療用レーザ光源、エイミング用光源、導光光学系等が設けられている。2は上下動が可能な架台であり、装置本体1が載置されている。4はジョイスティックであり、架台2のテーブル上で装置本体1を前後左右に移動して、治療用レーザ光を患部に照射するための照準合わせを行う。上下方向の照準合わせは、ジョイスティック4に設けられた回転ノブを回転操作することにより装置本体1を上下に移動して行う。また、ジョイスティック4の頭部に設置されているトリガスイッチ4aにて治療用レーザの出射を行う。3はレーザ光の出力、一度に照射するパルス数やエイミング光の明るさ等のレーザ照射条件を設定するコントロール部、5は後述するCCDカメラ26や制御部30からの信号をケーブル7を通じて映像として表示するディスプレイである。ディスプレイ5は図1(a)の状態から図1(b)のように、装置本体1に固設されている載置台6から取り外すことができ、術者の望む位置にて使用することができる。 【0016】ディスプレイ5を載置台6に取り付けた状態は、図5の断面図に示すようにディスプレイ5に設けられている円筒形の穴部5aに、同形状の支持軸6aを挿通させた構造で、取付取外しが容易となっている。さらに取り付けた状態では支持軸6aを中心に回転可能である。 【0017】8は本体1を前後方向に移動させるための車軸である。図6に示すように本体1内部にはポテンショメータ9がギアを介して車軸8に取り付けられ、車軸の回転方向を検知するようになっており、レーザ光の集光位置を治療部位に合せる際の情報に使用される。 【0018】図2は実施形態の装置の光学系と制御系の概略構成を示した図である。10は主波長1064nmのレーザ光を出射するYAGレーザ光源、11はレーザ光の偏光方向を回転させる1/2波長板、12はブリュースタ角に配置された偏光板である。1/2波長板11は図示無きエネルギ調節ノブによって回転され、偏光板11との組み合わせによって患部に照射されるレーザ光のエネルギ量を調整する。13はビームスプリッタであり、偏光板12を通過したレーザ光の一部はビームスプリッタ13によって反射されて光検出器14に検出される。 【0019】15は安全シャッタであり、テスト発振や異常発生時等所定の場合にレーザ光を遮断する。安全シャッタ15を通過したレーザ光はエキスパンダレンズ16によって光束を広げられ、ダイクロイックミラー17で可視光半導体レーザ18からのエイミング光(主波長633nm)と同軸にされる。可視半導体レーザ18を出射したエイミング光はレンズ19を通過して平行光束とされた後、光軸Lを挟んで対称に設けられた2つの開口を持つアパーチャ20によって2つの光束に分離される。 【0020】21はレーザ光束及びエイミング光束を広げるエキスパンダレンズ、22はエイミング光の一部及びYAGレーザ光を反射して観察光を透過するダイクロイックミラーで光軸Lを対物レンズ23の光軸と同軸にする。ダイクロイックミラー22で反射されたYAGレーザ光は対物レンズ23、コンタクトレンズ24を介して患者眼Eの患部に集光される。また、2光束に分離されたエイミング光はダイクロイックミラー22で反射された後、対物レンズ23、コンタクトレンズ24によりYAGレーザ光の基準の集光位置で集光する。なお、YAGレーザ光の集光位置は、エキスパンダレンズ16を光軸方向に移動することにより、エイミング光の集光位置に対してシフトさせることもできるようになっている。 【0021】25はスリット投影光学系であり、スリット投影光学系25からの光束はコンタクトレンズ24を介して患者眼Eを照明する。26は被検者眼Eからの反射光を捉えるためのCCDカメラであり、捉えた映像は、ディスプレイ5に表示される。 【0022】30は装置全体の制御を行う制御部である。31は画像処理部であり、CCDカメラ26に撮像される2つのエイミング光の重なり程度を画像処理によって解析する。 【0023】次に画像処理によってエイミング光の重なり程度を解析する方法について、図3を用いて説明する。図3はCCDカメラ26にて撮像された患者眼E内に照射される2つのエイミング光の周辺部分をのみを取出して概略的に表したものである。 【0024】50a、50bは2方向から照射されたエイミング光の像であり、治療部位(例えば後嚢部分)にて反射したものをCCDカメラ26にて撮像したものである。治療部位に対してフォーカス方向の集光位置がずれていると、図3(a)のようにエイミング光が2つに分離した状態になる。 【0025】画像処理部31はCCDカメラ26からの映像データのうち、初めに周囲との光量の差からエイミング光50a、50bを認識する。次に、認識されたエイミング光の最上端(この場合エイミング光50aの上端部となる)に接しX軸に平行な直線Xaと、最下端(この場合エイミング光50bの下端部となる)に接しX軸に平行な直線Xbを引き、さらに、エイミング光の最左端(この場合、どちらのエイミング光の左端でもよい)に接しY軸に平行な直線Yaと、最右端(この場合、どちらのエイミング光の右端でもよい)に接しY軸に平行な直線Ybを引く。 【0026】上記のような条件にて引かれた直線Xa、Xb、Ya、Ybにより、それらによって囲まれる四角部分51が得られる。この四角部分の面積は2つのエイミング光の重なり具合によって変化し、図3(b)のように図3(a)の状態に比べさらにエイミング光50a、50bが接近すると、この四角部分51の面積は小さくなっていく。画像処理部31はこの四角部分51が最も小さくなった状態のとき、治療部位への焦点合わせが完了した状態と判断する。四角部分51が最も小さくなった状態とは図3(c)に示すようにエイミング光50aとエイミング光50bが完全に重なった状態のときである。 【0027】以上のような構成を備える装置において、その動作について説明する。 【0028】初めにコントロール部3を使用して、レーザ光の出力等のレーザ照射条件を設定する。コントロール部3にて設定したレーザ照射条件は制御部30の制御により、ディスプレイ5の画面下方に設定情報53として表示される(図4参照)。このようにディスプレイ5にレーザ治療条件を表示させることで、ディスプレイ5が本体1から取り外されていても本体1側にてわざわざ確認すること無くレーザ照射条件が分かる。 【0029】次に術者はコンタクトレンズ24を使用しながらレーザ治療を行うことを考慮に入れて、ディスプレイ5を見易い位置に置き、ジョイスティック4を操作して本体1を移動させ、ディスプレイ5に患者眼Eが映るように調整する。患者眼Eがディスプレイ5に映ると、さらにコンタクトレンズ24を使用しながら、細かな位置調節を行う。 【0030】ディスプレイ5には図4(a)のように治療部位に反射する2つのエイミング光が表示されるため、術者はジョイスティック4を微動させながら、ディスプレイ5に映るエイミング光50a、50bが重なるようにする。画像処理部31は常にエイミング光50a、50bの状態を解析し、その結果を制御部30に伝える。 【0031】また、同時にポテンショメータ9からは本体1が前後どちらの方向に進んでいるのかを判断するための信号が送られてくる。制御部30は画像解析部31とポテンショメータ9からの情報に基づいてディスプレイ5上に治療部位に対するエイミング光の状態の画像処理結果を表示する。 【0032】例えば、治療部位に対するフォーカス方向の照準が手前であった場合、装置本体1を前進させると、図3(a)に示した四角部分51の大きさは小さくなる方向に変化する。装置本体1の前後方向の移動情報はポテンショメータ9からの出力信号により得られ、この移動情報と四角部分51の大きさの変化を見ることにより、適性照準に対する前後方向(フォーカス方向)のずれ方向が判断できる。そして、適性照準に対して照準状態が手前であった場合には、図4(a)に示すように、その旨を表す「ant」の文字と、装置本体1を進めるべき方向を示した矢印記号55を表示する。術者はこの表示を見ながら、装置本体1を患者側(前方向)に進めていく。さらに位置調整を行いエイミング光50aとエイミング光50bが治療部位にて一つに重なり始め、肉眼では認識し難い状態になっても術者はディスプレイ5上に表示される情報を基に位置合わせを行う。 【0033】エイミング光50a、50bが重なったことが(あるいは、所定の許容範囲に入ったことが)画像処理部31にて確認されると、制御部30はその情報により、図4(b)に示す如く、ディスプレイ5に前後方向の位置が最適になったことを示す「OK」の文字とともに、位置が合ったことを示す図形56を表示させる。術者はこの表示が出たら位置合わせを止め、トリガスイッチ4aを使用してレーザ光を治療患部に出射する。 【0034】このように、ディスプレイ5を使用しても画像処理によって位置合わせを行うため、エイミング光の重なり具合が術者にとって見難い状態であっても適確に位置合わせを行うことができる。 【0035】また、本実施の形態では、コントロール部3にてレーザ照射条件の設定を行うものとしているが、これに限るものではなくディスプレイ5をタッチパネル形式のものにしてレーザ照射条件をディスプレイ5上にて行うことも考えられる。 【0036】また、適性照準に対する前後方向のずれ方向の判断は次のように行うこともできる。図7のように、アパーチャ20の開口部20a、20bを交互に開閉するシャッタ27を設け、制御部30によりシャッタ27を駆動させることにより、2つのエイミング光を交互に点灯するようにする。そして、画像処理部31により得られるエイミング光50a、50bと、シャッタ27の開閉動作の情報とに基づいて、適性照準に対する前後方向のずれ方向と適正照準になったか否かが判断できる。すなわち、照準位置が手前にずれている場合、開口部20aが開くことによって得られるエイミング光は、図3(a)におけるエイミング光50aとして検出され、開口部20bが開くことによってできるエイミング光は、エイミング光50bとして検出される。一方、照準位置が適性照準に対して後方に位置しているときは、その逆になる。これにより、前後方向のずれ方向の判断が行える。また、適正照準になったか否かは、個別に検出できるエイミング光50aと50bの中心のずれ量が所定の許容範囲に入ったか否かで判断できる。 【0037】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば術者では認識できないようなエイミング光の重なり具合を画像処理により判別することで、患者眼の観察にディスプレイを使用していても、レーザ光の焦点位置合わせ用の照準が正確に行え、また、照準合わせの操作も容易に行える。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000135184 【氏名又は名称】株式会社ニデック
|
| 【出願日】 |
平成11年9月1日(1999.9.1) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2001−70337(P2001−70337A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月21日(2001.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−247192 |
|